U2
8 件の小説U2
U2と申す物です。前に「U」というペンネームで活動していました。色々あって新たに「U2」として再始動することになりました! というわけで、これからもどうぞ、宜しくお願いします!
第42話「魔激戦線」
クルドがルーナの魔法で転移されてから、数十分。私とリュウ様を前線に、傲慢の悪魔・ルシファーとの攻防戦が繰り広げられていた。 「アンフィノス・ブレイズ」 私は上位炎魔法を詠唱し、天空に魔法陣を展開させる。そして徐々に隕石が生成されていき、蒸気を燃して放射される。 しかし、ボバリングする悪魔は常時バリアを展開させており、隕石が奴の体躯に接する事はなかった。軌道を逸らされた隕石は、炎を帯びながらはそのまま多方向に落ちていく。 「上位の魔法を使ってもこの程度か? なるほど。汝等のアドバンテージは頑強さのみか。悲しいことよ」 赤い目で私たちを見下し、罵詈雑言を浴びせてくる。全能に浸る彼のその様はまさに傲慢である。 「さっきからごちゃごちゃごちゃごちゃと……」 空中を浮遊していたリュウ様は風魔法を加速させ、一気に奴の間合に入ると、剣を勢いよく振るった。 「うるせぇんだよ!」 しかし、虚しくもバリアに弾かれ、リュウさんの体は後方に飛ばされる。 「くっ……!」 反動で身動きが取れない中、一瞬でルシファーはリュウ様に近づき、地上へ殴り飛ばした。 「ガッ……」 奴を覆っているバリア。俺の無限剣間を持ってしても、斬ることが出来ない。 −−ここまで確定打を与えられない敵は初めてだ。 神ビト族でさえ、力の三分の一程度で抑えることができたと言うのに。 奴に地上へ一気に殴り飛ばされ、体が痺れている。 足元に風魔法を集中的に、しかも持続的に発動させるのはコントロールも難しく、そう易々を数をこなせる物ではない。 もう、俺は宙を駆け回れない。ただでさえ、奴は空中から遠隔攻撃をしてくると言うのに。 どうすれば良い……? 「あなたっ! 怪我は? 立てる?」 俺の元へルーナが駆けつけてくれた。 「悪い。全く活躍できてねぇ……」 「奴のバリアが頑丈すぎるのよ……。ここは、私が全力を出す番だわ。あなたは休んでいて」 ルーナ俺の回復魔法を施し、冷ややかに俺たちを見下ろす化け物と対峙する。 「レイナさん。貴女に協力して欲しいことがあるの」 ルーナは魔法を放ち続けているレイナを肩を叩き、何かを告げている。ルーナは“最南の魔女”と言われるほど魔法の扱いに秀でており、その際はまさに神の愛された存在としか言いようがない。だが、その余りの力を政府を恐れた。当然と言えば、当然だ。彼女の力ならば、国家の転覆など一晩でやってのけるだろう。 今回の魔獣騒動も、核心をついたのは彼女だ。自分自身の嫁でありながら、ここまで頭が上がらないのはとても変な気分だ。 脆い、弱い……。 地上の進化種族たちは、これ程までに軟弱であっただろうか。神ビト族との戦いっぷりを見るに、少しはやると思ったが、期待外れであった様だ。 まあ、力関係を把握できただけ良いとするか。バリアと軽攻撃のみで奴らの力を測っていたが……それももう良い。 我は腰の鞘から“斬傲剣”を抜いた。暗黒石を使った黒い頭身に、縁を走るブラットエナジー。この剣の斬撃は爆風となり、我が斬れると判断したものは必ず斬れるようになる。 我は剣を振りかぶり、奴らを一掃しようとした。しかしその時、四方八方から突如鎖が出現し、私を拘束しようとした。生憎、バリアに弾き返されてすぐに朽ちた。 なんだ、今の無意味な鎖は……。 地上を見ると、エルフの剣士が魔法を撃ち終えた刻であった。 「猿女が。今更我を拘束しようとて、無駄に決まっておろうがっ」 我はそのまま剣を振るった。黒撃が一直線に崖を真っ二つに切り分け、エルフ族の女二人とヒト族の剣士はそのまま下に落ちて死んだ。 −−そして、展開していたバリアを解いた。 「仕方がない。少し早いが、我も聖国に……」 その時、我の体に二本の刃が突き刺さっていた。そして次の瞬間、我は磁力に引き寄せられる様に意識が飛び、再び目を開けると、エルフ族の魔法使いが、目の前に立っていた。 「なっ……」 我の体から青い血液がポタポタと剣を伝って地面に落ちていく。その剣は、エルフ族の女子の剣と、ヒト族の男の剣であった。 「一体……何をした……」 「悪魔と魔女……どうやら魔法に関しては、私の方が上だったみたいね。貴方には、幻覚を見てもらったのよ。私達がこの崖から落ちる幻覚を……ね。レイナさんには、意識を外らせるためにわざとあんな単純魔法を使ってもらったの。貴方、どうやら人一倍プライドが高いみたいだから、弱い魔法で攻撃したら感情的になると思ったのよね。案の定だわ」 「きっさまぁっ」 我は力を振り絞り、斬傲剣で魔法使いを切ろうとした。だが、咄嗟にヒト族の剣士とエルフの剣士が我の体から刃を抜き、すれ違い様に我を切りつけたことで我は力尽きた。 「ぐぁっ…………」 「それじゃ、左様なら。永遠に」
第41話「嫉妬の化身」
クルドが“最南の魔女”の元へ向かってから一週間が過ぎた。 相変わらず、私は寂しさを埋め合わせるように淡々と日々を過ごしている。 「王妃様。湯船の準備が整いました」 部屋で仕事を片付けていると、使用人長のルルカがノックして入ってきた。 「もうそんな時間……ありがとう。すぐに入る」 「いえ。それでは」 両の手首に鎖をぶら下げ、聖国城の使用人が着ることを定められる奉公服を身に纏っている彼女。その漆黒の髪と虚無を見つめる黄色の瞳は、昔の私のそれである。 私はクルドがいない寂しさを忘れるために、浴槽で自分の体を清めた。 そして時は過ぎ、夜が訪れる。 再び、部屋がノックされた。 「王妃様。少しお時間いいですか?」 ルルカの声だ。しかし、夜に彼女が部屋へやってくるのは珍しい。その時、私は異端の気配を感じた。扉の先にいるのは、ルルカではない。声色や口調を真似ているようではあるが、竜人族の感覚は誤魔化せない。 私はすぐに“炎の聖爪”を装着し、尾を使って天井の板張りに張り付いた。 「どうぞ」 私は普通を装って返事をする。ゆっくりと扉が開き、その正体が姿を見せたところで私は飛びかかった。 黒いローブを全身に纏っているが、六種族のどれにも属さない紫色の皮膚に、耳まで避けた鋭利な口、そしてニタニタと笑う赤い一つ目。 やはり刺客であったか……。 私は馬乗りになり、首元に爪を突き立てて言った。 「お前、何者だ」 「まさか、気づかれてしまうとは……。流石、聖王妃様だ」 私のことを知っている……。狙いは私の命か。 「誰の差し金だ」 「私は、自分の意思であなたを殺しに来たものです」 ニタニタを気色の悪い笑みを浮かべ、男はのらりくらりと答える。 「わかった」 私はそのまま男の胸ぐらを掴み、廊下の窓から外に放り投げると、自分も外へ飛び出し、奴の体躯を蹴り飛ばす。 「ガッ!」 奴はそのまま聖国の教会に落ちた。私も羽を広げて教会に降り立つ。 「お強い……ゴーンを一度殺した力量は伊達ではありませんね」 ゴーン……。今、あいつはゴーンと言ったか。どういうことだ。何故二年前の神ビト族との決戦を知っている。 −−いや、どうせこいつは口を割らない。 それに、他に聞き出したい情報もある。ならば、話したくなるまで痛めつける。 「ドルギール・ブレイズ」 私は聖武器の力を解放させる。真紅の炎が燃え上がり、夜の教会を真っ赤に染め上げる。 「お前からは聞きたいことが山程ある。全てを話してもらう」 男は再びニタニタと笑い、そうですが……と呟く。その赤い一つ目が弧を描いてこちらを見るたび、私は不快感を覚えた。 「では、ただでやられるわけには、いきませんね……」 そう言って、男は指を鳴らした。甲高い音が教会に響き渡る。それと同時に、とてつもない地震が、聖国中を襲った。 「! お前、何をした⁈」 「この国に、魔獣を数体放ちました。彼は皆、火を吹きます。あまり私に構っていると……この国は火の海になるかもですねぇ」 男はまたニタニタと笑みを浮かべる。 「貴様っ……!」 私は一瞬で間合いを詰め、炎の斬撃を喰らわせた。しかし奴はゆらりと体をのけ反って交わす。すかさず、私は足を鱗を展開し、力強く腹を蹴り込んだ。 −−半竜化。バギドラの技だ。 習得するのに二年の月日がかかったが、お陰で前よりも戦闘力が倍に跳ね上がった。体の一部分のみを竜の体質にする。鱗を展開し、爪を突き立て、獲物を狩り殺す。竜のように−−。 男は大口から血を吐き、ステンドグラスに叩き連れられた。虹色に煌めくガラスがあたりに散乱し、男は地に倒れる。 仕留めた……のか。 「その技……良いですねぇ」 「!」 「体の一部分を竜化するとは……。ふむふむなるほど……つまりは−−」 −−こうですね? 男はニタァと笑いながら自分の片足を上げて見せた。それを見て、私は体が弾かれたような衝撃を受ける。何故なら、男の片足が竜の鱗を纏っていたからだ。 いや、正確にはピキピキと音を立てて纏い始めている。半竜化を使えるのか。それならば竜人族? いや、ありえない。お父さんが竜人族を仕切っているのに、刺客を出すわけがない。 それでは、一体……。 「戸惑っていますねぇ。まあ、無理もないです。そういえば、先ほどの問いに答えていませんでしたね。『お前は何者だ』。私は、“嫉妬”の悪魔、レヴァイアタン。以後、お見知り置きを……」 「悪……魔?」 聖国が炎に包まれた。原因は突如現れた謎の魔獣。50メートルをゆうに超える体躯に地面につくほど長い腕、そして頭の上を回る炎の輪。その魔獣が、聖国の東西南北にそれぞれ四体。 「厳しいな。クルドがいない今、俺たちだけで対処ができるものか?」 「しかし、やるしかありませんよ。ガルさん」 「ウミ……。国民の避難は?」 「シャドウさんが時空の狭間に避難させています。心配はなさそうです」 国民への被害は最小限の留められたが……あの四体の魔獣をどう倒す。今の聖国騎士団の兵力では……。 その時、ベルトに取り付けていた連絡青石が光った。成績を見ると、“レイ”と刻まれている。 俺はすぐに連絡の応答した。 「こちらガル! レイなのか!」 「ああ。今聖国の北国境付近にいる。やっと任務から帰ってきたと思ったら、なんだあのデカすぎる化け物は?」 「わからん。正体不明だ。魔獣であることは確かだが、それ以外は……」 「なるほど。今エレナと全力で国境に向かってる。一体はどうにかするから、後の三体はそっちで頑張ってくれ」 そう言い残し、レイからの通信は切れた。 「三体……か。南の一体は俺とウミで対処できるが……」 「私とセバスチャンがいきます」 その時、青石からルルカの声が聞こえた。 「ルルカ。だが……」 「戦えますよ。そうでなければ王室の使用人は務まりませんから。私たちは西の一体を倒します」 「それなら、私とアクアは東の一体を殺そう」 そこにさらに、バギドラが割り込んできた。 「バギドラさん! しかし、元老の手を煩わすわけには……」 「たわけ者。今は非常事態。上も下もない。あの魔獣を全員で倒す。良いな?」 「−−分かりました」 −−全員で、この危機を乗り越える。
獏な君は、今日も僕の夢を喰らう
−−僕は人が嫌いだ。 自分と違う価値観を排除し、強者にしがみついて弱者を蹴落とす。他人の過去を掘り返し、罵倒しては石を投げつける。集団で一人を非難する。平気で同じ人を殺し、生態系において必要以上に命を奪う。裏切りなんてものも、日常茶飯事だ。 家族、恋人、友人、上下関係、先輩と後輩、夫婦……。 その全てにおいて、人は本性を隠し、機会を伺って爪をぎらつかせる。 だから、僕は人が嫌いだ。結局、みんな大事なのは自分だけ。あとのことは二の次。いじめを受けている場面に出くわしても、ターゲットになりたくないから見て見ぬ振りをする。 自己中心的で、単極的で、楽観的で、たんらくてきとても冷淡な生き物の集まりだ……。 *** 数学の授業は、とても退屈だった。内容が理解できないからではない。理解が容易すぎて、僕の脳活力では余裕なハードルであるからだ。二項定理など、中学に入って腐るほど演習した。今となってはもう脳内の前頭葉に染みついている。 チャイムが鳴り、校内は瞬く間に昼休みの雰囲気へと変わる。男子達ははしゃぎ出し、女子達は机を繋いでグループを幾つも形成する。 無論、それらの輪の中に、僕の存在はない。避けられているわけではないし、仲間外れにされているわけでもない。ましてや、イジメなんて以ての外だ。僕が、自身の意志で孤独を貫いているのだ。理由はとても明快だ。 −−人と関わり合いたくないから。 もう、中学の時のようなイジメには逢いたくもないし、親友に裏切られたくもない。全てを失って初めて気付いた。初めから、何も持たなければいい。重りなんてものは、初めから捨ててしまうのが得策なのだ。 僕はバックから弁当箱を取り出し、単調な足取りで屋上へ向かった。この場所は校内で唯一オアシスと言える所だ。立ち入り禁止区域、普通に学校生活を送っていれば、そもそも屋上に行こうとさえ思わない。 僕も、中学の時までそうだった。だが、人を信じられなくなってからというもの、どうも人の作ったルールの下で生きる事に息苦しさを覚えたのだ。 僕はいつものように屋上へと続く扉を開け、そのコンクリートに足をついた。 しかし、今日はいつもとは違っていた。 僕だけのオアシスに、熱湯が注がれていたのだ。それは、とても綺麗で、神秘的で、優雅で、この世のものとは思えない美しさだった。 「あれ? 高崎くん……?」 姫中優香。僕と同じクラスのマドンナ的立ち位置にいる女子だ。彼女のような優等生が学校の規則を破り、屋上に屯しているとは。学校一の美少女も、堕落したものだな。 「姫中さん。どうして屋上に?」 僕は何も考えずに答えた。今更規則を破っているところを見られても、心底どうだっていい。 どうせ彼女は僕のことを報告する。優等生だから。 そして僕は罰を受ける。劣等生だから。 −−そういう運命だから。 「私? 私はね、ちょっと息抜きしてたの」 「息抜き?」 僕がそう問い返すと、彼女は俯いて答えた。 「うん……。疲れちゃってさ。周りの期待に応えるの……」 彼女は無理に笑顔を作って答えた。一生懸命口角を上げているが、口の端が引き攣っている。馬鹿馬鹿しい。自分の感情を隠して何になるっていうんだ。 「ふぅん、そう」 そこで、会話は途切れた。 「……え?」 「え? 何?」 彼女は驚いたように声を漏らした。目を見開いて、僕を凝視する。 「いや、何も聞いてこないの? なんで?とか、誰に?とか……」 「聞いて何になるのさ。そんなこと、僕は興味ない。ただ、まあ、姫中さんの生き方は息苦しそうだなぁとは思うけど」 「息苦しそう……?」 僕はベンチに座り、弁当を広げながら返答する。 「だってそうでしょ? 優等生を続けて、周りの期待に応え続けて、みんなが見てるのは優等生の君だ。まあ、それが本当の君かもしれないけど。でも、学校の規則を破ってまで息抜きしたいなんて、そんなの、今の生き方は『本当にしたかった君の生き方』じゃないんだろうなって思っただけだよ」 僕の話を、彼女は目を見開いて聞いていた。 「そっか……。私。そうだったんだ……」 「別に、今の話は僕の推測、単なる憶測に過ぎないよ。本当にどう感じているのかは姫中さんだけが分かることだ」 ふと、彼女は涙を溢していた。 「う、うぅ、ひっぐ……」 嗚咽を漏らしながら、両目から溢れる涙を拭っている。人の涙を見るのは、嫌いだ。だって、そこにはいろんな感情が混ざっているから。 嬉しいのか、悲しいのか、はたまた楽しいのか。 はたまた、全て嘘なのか……。 「ねぇ、高崎君……」 「何?」 「高崎君は、私に期待してる?」 「……僕は人が嫌いだよ。勿論、君のことも嫌いだ。一刻も早くこの場から去ってほしいくらい。だから、期待どころか興味すら湧かないね」 「……そっか」 彼女は涙を拭い切って力強く立ち上がると、僕にこう宣言した。 「私、優等生止める!」 「あっそ……」 「それで、私らしく生きてみようと思う!」 彼女は僕に「ありがとう!」と言い残して校内に戻って行った。 「……」 −−人は嫌いだ。自分のことしか考えていない脳筋達だから。でも、彼女は、他の人とは何か違う感じがした。 「まあ、僕には関係ないか」 僕は弁当箱を開け、唐揚げに箸を伸ばし、衣のついた肉にかぶりついた。 彼女は僕のことを先生に言うだろう。だからと言って、僕は彼女のことを言うつもりはない。 −−ただ、何となく。そうしたくなったのだ。
聖なる戦いのその果てに。 あらすじ
どうも、皆さんおはこんばんわ! 最近アカウントデータの吹っ飛んだU2です。 ここでは、これから執筆していこうと思っている「聖なる戦いのその果てに。第二章 聖国編」の続きを読んでいただくにあたって、ここまでの聖なるシリーズを私が勝手にまとめるようと思います! ではスタート! ある日、突如地球に隕石が落下した。 地球上の生命の半数以上が死滅し、残ったのはヒト族、竜人族、海人族、獣人族、神ビト族、エルフ族の七種族。 残されたもの達は、臨時政府を設立。世界の今後について話し合いが行われた。その結果、七種族を合併した新たな独立国家を作り上げることで、七種族の代表は納得した。だが、そこにはある問題があった。 −−どの種族がその国を取りまとめる王になるのか? その議題だけは決まらず、代表達は、ある策を思いついた。 それは、隕石に含まれていた強大な力を持つ石を使って七つの武器を作り、それぞれを種族の代表戦士に与え、争わせるというものだった。 そして、最後に勝ち残った種族の代表戦士が王になる。後に“王戦”と言われる戦いが幕を上げた。 ヒト族代表戦士であるクルドは、心優しい少年。村を獣人族に焼かれ、親友と言える存在までも失った彼は、世界平和のために王になることを志す。 そんな彼は、王戦の中で、一人の少女に出会う。竜人族代表戦士・エルドラ。彼女はヒト族をひどく憎んでいた。その理由は、母親と同じ村に住む竜人族達を皆殺しにされたから。と言うのも、竜人族の血には超回復効果があり、不老不死になれると勘違いしたヒト族に襲われたのだった。 クルドは、自分と同じ境遇に立つ彼女を、心に訴えることで救い、その後は行動を共にしていく。 他にも、獣人族のガル、海人族のウミ、エルフ族のエレナと出会い、彼らの抱える苦しみを、互いが互いに影響し合うことで和らげていく。 そんな中、応戦会場の森に不審な動きがあった。 実は、王戦というのは、神ビト族が地球上の生き残りを皆殺しにし、自身が地球を支配する為の計画の一部に過ぎなかった。彼らは、種族の中で最も力のある代表戦士達を、応戦会場に閉じ込め、じわじわと追い込んでいく。 その時、現れたのは、影ビト族のレイという少年であった。彼は、エレナ、ウミと共に神ビト族を止める為に王戦に潜り込んだスパイであった。クルドは彼の思いに賛同し、エルドラと共に打倒神ビト族を掲げ、作戦を開始した。 そして神ビト族が地球上唯一の大国であったイーズル国に攻撃を仕掛け始める。天田の命が奪われ、臨時政府の面々に各々で、対処にあたっていく。 そのメンバーであるエルドラの父親、バギドラ。クルドの義父、リュウ。影ビト族の王、シャドウは手を組み、神ビト族のトップであるゴーンを倒しに向かう。 そして各地が戦いが繰り広げられてる中で、ついにクルド達はゴーンの元に辿り着く。シャドウの力により融合を果たしたクルドとエルドラ。ゴーンとの激しい一騎打ちの果てに、彼らはゴーンに勝利する。 そして全ての功績を讃えられ、クルドが新たな王、エルドラは王妃。他の面々は新たに建設された国家、聖国の治安維持を努める聖国騎士団として新たな人生をスタートさせた。 そして、物語は二章へと進む。 神ビト族との決戦から二年。すっかり平穏な暮らしを取り戻した世界に、突如魔獣という謎の化け物が各地で暴走を始めた。 クルドは義母でエルフであり、魔女でもあるルーナの呼び出しを受けて彼女の元へと向かう。そこで告げられたのは、魔獣達は悪魔という冥府の存在によって形作られた意志の持たない怪物であることがだった。 そしてその直後、畳み掛けるように傲慢の悪魔・ルシファーが出現。クルド達を苦しめていく。 その奥では、炎に包まれる聖国の悲惨な姿があった……。 以上です!! リアルが大変忙しく、不定期でとても長期的に間隔を開けてしまうことも考えられますが、「こいつ、またこんなに間開けて書いてるよ。仕方ないから見てやるか」のノリで良いので、是非見て欲しいです! よろしくです〜!
第二話「あの日の夕暮れ」
五百年前−−。 「お前、何者だ?」 俺は湖で休息をしていたところ、突如水の中から一体の水竜が姿を現した。透明な鱗に、水が太陽の光を反射させて虹色に染め上げている。頭に生えた一本の細長い角は、他の竜ではあまり見かけないものだ。 「貴方こそ、勝手に私の水源で水を飲まないで下さい。はっきり言って、迷惑です」 優しく透き通った声色とは裏腹に、刺々しい言の葉が彼女の口から発せられた。 「お前の水源だと?」 「はい、その通りです」 「……水源があれば喉を潤しに数多の竜がやって来る。まさか、全てそうして追い返しているわけではあるまいな?」 「全くもってその通りですが?」 何という融通のきかない女竜だ。ただ一口を水を含むだけでも御法度だと言うのか。 「……わかった。もうこの水源には寄らん。それで良いな?」 「はい。初めからそうして下さい」 そう、出会いは最悪であった。 「−−っ」 俺が目を覚ますと、そこは青々とした草花や木が生い茂る森の中であった。 起きあがろうとするが、体の節々が悲鳴を上げるかの如く激痛を走らせる。どうやら、昔の名残で飛ぼうとし、そのまま落下してしまったようだ。あたりの木々がクッションとなり、助かったみたいだが……。 昔ならば、この距離で落下したとしても何ともなかったのだがな……。 これも運命というやつか。 そして、俺は初めて自分の身体を観察した。五本指のついた二つの手、細長い足、白い皮膚、そして頭に生えている髪の毛。間違いない。俺が転生したのは、ヒト族だ。 「これがヒト……。竜の時より窮屈だが、悪くないな」 俺はその場から立ち上がり、森の中を歩き始めた。不思議と、この体の使い方は熟知していた。恐らく、転生した種族の大まかな知識は持ち合わせているのだろう。 「しかし、喉が渇いたな……。どこかに水は……」 その時、ふと2メートルほど先に太陽の光が何かに反射しているのが見えた。咄嗟に水源だと判断した俺は、思わず走り出す。果たしてそこには、水面に幾つもの葉が浮かぶ巨大な池と、中央の岩に腰を下ろす一人の少女の姿があった。艶やかで透明な髪に、太陽光が反射し虹色に輝いている。どこまでも透き通るような白い肌に、優しい空色の瞳の少女。 「ミリ…………」 俺は思わず彼女の名を読んでいた。理屈で言えば、彼女もこの世界に転生を果たしているはずだが、この広い世界で、そう簡単に会えるとは限らない。 ましてや、今目の前にいる彼女がミリであるなどもっての外だ……。 しかし、目の前の彼女は目を見開いて俺を見ていた。そして、「……リドル?」と俺の名を口にした。 その発言が全てを物語っていた。 俺は、気づいた時には涙を流しながら池に飛び込み、彼女を強く抱きしめていた。 「ミリ、ミリっ……」 「ああ、やっぱりリドルなんですね。お久しぶりです」 彼女はそっと俺から身を離すと、頬を濡らしながら優しく笑った。 「本当に……お久しぶりです……!」 「ああ。まさか、このような姿で再開するとは、思ってもなかったがな」 「えぇ、本当に」 それからは、彼女の話を聞いていた。彼女は、前世ではアダムの槍に貫かれ、そのまま地上に落下して死亡した。だが、俺も同じようにこの時代に転生を果たしており、既にこの世界のことをある程度理解していた。 彼女によれば、この時代には未だアダムと俺たちの戦いの傷跡が残り、神獣が各地に出没し続けている状態であるらしい。そして、神獣を狩るために政府は“討伐士制度”というものを設け、力のある一般市民を集い、神獣狩りに協力を仰いでいるのだそうだ。 斯く言うミリも討伐士として活動をしているらしく、この森にいたのも、ターゲットの神獣を狩るためらしい。 「もう狩りは終わったので、こうして薬草池でのんびりとしていたわけです」 「なるほど。道理でこの池は薬草が浮いていたわけだ。薬草池であったとは」 「本当。もう少し早ければ危うく私の裸をあなたに見られてしまうところでしたよ」 「それは大変惜しいことをしたな」 「……調子に乗らないで下さい。全くもう」 そう言って頬を膨らませているが、彼女は少し嬉しそうにふふと笑みをこぼしていた。 「そういえば、他の仲間とは会っているのか?」 「ええ。ライデンとブルアとはもう面識があります。たまに狩を手伝ってくれますよ。この世界に来て、数年経ちますが、中々に楽しいものです。神獣狩りは」 「それは確かにそうだろうが、不便ではないか? 前のように空を飛ぶことは愚か、異能を扱うことができないのだぞ?」 「その代わり、魔法の腕は賢者級です。それはリドルも分かっているのでは?」 確かに。この世界では炎魔法を扱えるようにはなっていたが、賢者級には程遠い気もしてくる。 「折角です。このあと続けてもう一つ仕事があるので、付いてきますか? 討伐士のお仕事見学です」 「なるほど……悪くないな」 俺とミリは池から上がると、俺の炎魔法で即座に服と体を乾かし、共に森を後にしたのだった。
第一話「契約の証」
荒れ狂う雷雨の中を、俺は体の力を振り絞って飛び続けた。 迫り来る矢をその身で受け、放たれる魔力をブレスで吹き返し、俺は大空を飛び続けた。 −−全ては、平穏な世界の為に。そして、死んで行った親愛なる仲間の為に。 目前を阻むは、全能神アダム。ラグナロクを引き起こそうと企て、宇宙そのものを支配しようとした堕神。天界より堕落した神の荒事に、俺達は見事に巻き込まれたというわけだ。 「お前で最後だ。駄龍よ。その身を持って、神である我に刃向かったこと、未来永劫後悔するが良い」 「−−神? ふん、堕神の間違いだろう?」 「そこまで大口を叩く余力があるか。面白い。思う存分痛めつけてくれる!」 50mにも及ぶ巨体を動かし、アダムは小槌を天に突き上げる。奴のモーションの応えるかのように、雷が落ち、小槌に纏わりついていく。 「ミリの仇……取らせてもらう!」 俺は胃の中でドロドロの溶岩を生成し、一気に放出した。俺の炎は奴の小槌を溶かし、雷撃を宙で乱発させた。 「ぐっ」 俺はすかさず突進し、アダムの体躯を溶岩が流れる爪で貫いた。奴の内臓は焼け、体の内側から焦げていく。 「ぎざっまぁぁぁ!」 「終わりだ。お前も、俺も……!」 「まさかっ…………−−!」 その時、奴の体は大爆発を起こした。無論、奴の体を貫いていた俺も巻き添いを喰らう。全ては、計算のうちであった。これで俺も、ミリ達のところへ行ける。 世界はより良い方向に進み、俺達は契約を果たした。 −−これ以上に、完璧は終わり方はあるだろうか? 俺はゆっくりと目を閉じ、重力に身を任せた。 ふと目を覚ますと、あたりは暗闇だった。 「何だ? 俺は、どうなったんだ?」 俺はふと、自分の体が異様に軽いことに気がついた。いや、軽いどころではない。縮んでいる……小さくなっているのか。 くそ。この暗闇では、自分の身体の確認もままならない。 何か明かりを……。 そうだ、ブレスだ。俺は炎竜神。このような状況下でこそ、力を発揮できるというもの。 俺は普段通り、胃の中に溶岩を生成し…………。 「……何故だ? 火を吹けない?」 やはりおかしい。このようなことは今まで一度もなかった。俺の体に異常が起きているのか。この不気味な体の軽さと言い、何が起きているのだ? 俺は試しに、炎魔法の詠唱をしてみることにした。竜である俺は魔力を持ち合わせてはいないが、これまでの変化を考慮すると、代わりに魔法が使用可能になっている可能性がある。 賭けになるが……。 「初級炎魔法・ブレイム」 その時、俺の目の前にぽうっと火が灯った。ブレスのような激しさはなく、ゆらゆらと揺れるロウソクのようなか細い炎だ。 しかし、これではっきりした。使えないはずの魔法が使用出来るということは、俺は竜族では無くなった可能性が高い。 そこで俺は、全能神との決戦の前夜、国王が話していたことを思い出した。 −−お前達には、苦労をかけた。人のために、ここまで力添えをしてくれたこと、本当に感謝している。そこでだ、もし、お前達が死んだとしても、今の時代から何百年後の世界に生まれ変わる魔法を付与しておく。そうすれば、お前達はまた新たな人生を歩めるはずだ。そこで、ゆっくりと平穏な日々を送ってくれ。これぐらいしか出来ないが、一国の王の、せめてもの礼だ。 あの時の魔法の効果が、俺の身に起こったとすれば、俺は転生したことになる。数百年後の未来に。 俺は窮屈な体で立ち上がり、炎を灯しながら辺りを探索してみることにした。そして歩いているうちに、この場所が大きな洞穴であることがわかった。 僅かだが、外の光がこちらに漏れてきている箇所を発見することができた。その壁を破ることができれば、地上に出られる。 「中級炎魔法・ブレイムノック」 俺は手のひらに炎を纏い、拳を作って勢いのままに壁を殴った。存外壁は薄く、あっという間に俺は外に出ることができた。 そこには、見たこともない壮大な自然が広がっていた。 茂った精霊の森、海人達が暮らす大きな湖、竜が優雅に飛び回る青空。どうやらこの洞穴は標高が高い山の一部であったらしい。 「これが、数百年後の世界……か……。ずいぶんと平和そうだな。良いことだ」 俺は自然と笑みをこぼしていた。心地良い風が優しく体を包み、優しい味の大気が体の中に染み渡っていく。思わず大きく体を伸ばし、俺はふぅと息をついた。 「折角だ。他の仲間と探すとしよう」 俺は開放感に煽られてそこから飛び降りた。 「あ……」 だが、しかし、竜族では無くなった今、翼が現れるわけではなく……。 「うわぁぁぁぁぁぁぉぁぁぉぁぁぉ!」 俺は重力に抗えぬまま落下していくのだった。
星に願いを
星に願いを。 そんな綺麗事で固めた言葉を、僕は信じない。 宇宙の岩石の塊に祈って、何になると言うのか。 僕には理解できなかった。 大学生になって、人生で初めて彼女ができた。 とても綺麗で、だけど、笑うと子供みたいに可愛くて、そんな彼女がとても愛おしかった。 人生初めての彼女との恋路は、順風満帆に進んで行った。 二年後、僕は彼女にプロポーズをした。 彼女は、耳まで真っ赤になって、両手で顔を隠して、笑いながら泣いてくれて……。 −−そんな彼女だから、死んでほしくなかった。 一瞬だった。 婚姻届を市役所に出しに行こうとして、二人で並んで横断歩道を渡っていたら、信号無視をしたトラックが突っ込んできた。 僕は彼女を庇おうとしたが、逆に彼女は僕は突き飛ばし、そのままトラックに跳ねられた。 そして頭から血を流していた。 僕は彼女の頭から流れ出る赤い血を見るたび、世界のピースが一つ一つ崩れていくのを感じた。 彼女は、僕を守って死んだ。 代わりに、僕が死ねば良かった。 僕は、一人では広すぎるアパートで、ひたすら無気力に生きていた。 ある日、ふと、夜空に煌めく星々が目に入った。 −−彼女は、星座が好きだった。 「私ね、人って死んだら天国に行くんじゃなくて、星になると思うの」 −−どうして? 「だって、そっちの方が何倍も素敵だと思わない?」 −−ああ、そうだね。 「会いたいよ……もう一度」 僕は星空を見上げながら泣いた。 そして、僕が一番嫌っていたことをした。 −−彼女に、もう一度会えますように。 ふと、目が覚めると、そこには同じベットでスースーと鼻息を立てて寝ている彼女の姿があった。 僕はわけが分からず、自分の頬をつねってみた。 痛い。 夢じゃ、ない……。 困惑していると、彼女が隣で目を覚ました。 「どうしたの? ……何か怖い夢でも見た?」 「え……」 「泣いてるから……」 そして彼女は、優しく僕の瞳から涙を拭ってくれた。 僕は、心から溢れ出る色々な感情が抑えきれなくなり、彼女を力強く抱きしめた。 「え、ど、どうしたの?」 「−−愛してる。これからも、ずっと……」 僕は、隣にいる彼女を、精一杯守っていこうと決めた。
改めまして
みなさん! とてつもなくお久しぶりです! Uです……と言いたいところなんですけど、実はスマホが壊れてしまい、データが吹き飛び、また最初からになってしまいました……。まあ、最近あんまり筆に力が乗ってなかったので、良い機会だとは思っています。(そう言い聞かせています) 聖なるシリーズや、狐のシリーズ、新たに始めようとして止まった吸血鬼のシリーズなど、書こうと思っていたのは山程ありましたが、一旦路線を変更します! 聖なるシリーズはせっかく第二章に突入したので、続けていきたいと思いますが、他の作品は一旦中止にし、新しい物語を描いていければなと思っています。 と言っても、決めるのは僕個人だけではないなと思っているので、みなさんの方でも何か意見ありましたら、お気軽にコメント下さい! 新年になったし、気持ちを切り替えて再び活動していきたいなと思います! (因みに前のアカウントはそのまま残ってるみたいなので、「U」で調べれば僕が前に書いていたのも読めます! 聖なるシリーズを追っている読者様はご安心を!)