咲海月
14 件の小説だがしかし
もし私がこの世界に存在していなかったとしても、 世界は回るし 肉は美味いし 推しは尊いし 好きな漫画の続きは出るし 好きなアニメの2期は来るし 先生は怒りっぽいし 先輩は可愛いし 友達はバカだし 弟はあの時あの場所で転けるだろうし 私がいなくてもきっと何もかも上手くいくのだろう そうやって思ってしまうぐらいには今メンタルがズタボロになっている だがしかし 私は今そんな言い訳を正当化したくない いや できない どれだけメンタルがズタボロになっても 好きなことを見つけてしまった以上 言い訳を正当化する勇気は出ないのだ だから明日も 私は歩く
嫌いな曲
とっても暇だった日 適当に動画をあさっていたら 昔よく聴いていた曲を見つけた 何だか今は嫌いになってしまって聴けていなかった曲 暇だからという理由をつけて「嫌いな曲」 を聴いてみることにした。 曲の半分をすぎた頃だっただろうか、聴いているのがいやになって辞めてしまった。 でも、今は向き合わないといけないのかなと思ったから途中から聴くことにした。 涙が頬をなでる なんでか分かんなかった。でも、でも涙が止まんなかったんだ。 あぁそうか、辛かった頃の自分にそっくりなんだこの曲は。 今は辛くない辛くないって思いたくて、過去の自分とは違う自分になれたって思いたくて聞きたくなかったんだ。 変わってなんていなかった 自分を愛していると胸を張って言いたかった でも無理だった だから、この曲が嫌いになった。自分を見たくないから自分の暗い部分が見えてしまうから でも大丈夫 この曲は最後まで聴けただから 自分ともきっと向き合える 未来の自分に期待して 今日は寝ることにした また明日
不器用
放課後の学校 俺1人 「おいやめろよ笑笑」 「嫌だねー笑笑」 いつもの自分はみんなをからかうお調子者みんなから好かれてる……はず たまに自信が無くなる 俺は本当はみんなに迷惑をかけているのではないか、実はみんな俺のことが嫌いなんじゃないのか そんなことを考えてしまう日は放課後1人になる 「帰らねーの?」 「あーうん用事があって」 「おっけ、また明日な」 「おう」 いつも一緒に帰る親友にさえ毎回嘘をはく ごめん みんなを傷つけてごめん ちゃんと心を開けなくてごめん 嘘はいてごめん ネガティブになってごめん 生きてて…… 「忘れ物、わっすれもの……」 見られた。ぐちゃぐちゃで汚くてみんなに釣り合わない自分を…… 見られた 「なっ、なんだお前かよ…なに?わすれも」 「なんで泣いてんの」 「……」 「まぁ、理由言えないなら良いけど。あった〜明日の宿題」 冷たい静寂が広がる 「お前が思ってる以上にみんなはお前のことが好きだと思うぞ」 「……慰めてくれるのか?」 「うるせぇよ」 そう言いながら親友は俺を頭を叩いて、教室をあとにする 「……ほんと不器用だな」 自分しかいなくなった教室で自分の声だけが響く 俺の親友があれだけ不器用なのは知らなかった でも 今はあいつの不器用さが暖かい 窓から入ってくる夕日の明かりが涙でぬれた俺の制服を温める。 帰るか
まただ
また、何もしないで一日がたってしまった。 テスト前になるといつもこうだ。 夜に近づくにつれて感情が溢れだしてくる しんどいな 頭が痛くなってくるよ 僕は劇の脚本を書くのが趣味でね。 テスト近いのに手が進んだ不思議だ。 また、暗闇へと落ちていく 夜になる 今度は大丈夫 落ちても大丈夫 仲間がいるから 友達がいるから 朝になればケロッとしてるさ きっとね またね
シチューとごはん
誰もいない夜 温めといてと言われたシチューに手をつける。 自分の咀嚼音が部屋に響くのを聞いて何故か嫌になったのでスマホで音楽を流す 行儀が悪いって? 分かってるよ…分かってる 「シチューの中にごはんを入れるの意外といけるわ」 「いや、ないでしょ」 「これは革命だ!!よし私が名付けよう。今日から君はシチューごはんだ!」 「話聞けよ」 こんな感じの会話あの子としたなと、シチューを見ながら思い出す。 あの子は、何にでも本気だった。 あの子は、ポジティブだった。 あの子は、抜けていた。 あの子は、新しい物を作り出すのが好きだった。 あの子は、怖いほどに元気で輝いていた。 あの子は、きゅうりが嫌いだった。 あの子は、シチューが好きだった あの子は、自分のことを追い詰めた。 あの子は、もうどこを探しても足跡と思い出しか残していない。 探したくても見つけられないって、分かってる。 でも、戻ってくるんじゃないかって 馬鹿なことを考える 別に恋愛感情があったわけではない。 でも家族みたいに大切で、 いなくなってほしくなかった 少し塩味の増したシチューの中にごはんを入れながら 会いたいな そう思った。
クラゲと私
夜 雨が降り出してきた夜 わたしは、大きくあくびをして寝転がる 別に眠いわけではない だからなにも考えずに天井を見る 強くなる雨音をbgmにしながら 目を閉じる そうすると眠くはないんだと実感するんだ めがつかれているだけで 寝たい訳では無いってことを 夜を見ているとクラゲを浮かべなたくなる 深くてくらい海のようだから クラゲになりたい 毎日思うんだ 無気力で 知らないうちに消えることができて ぷるぷるで わたしが欲しいもの全部持ってるんだ もう一度目を閉じる 雨はやんでいるけど 冷たい風は無気力にながれ続けている 私の頬をなでるその風は心地よくて 今日はもう寝る準備をしようと ベッドへと 沈んでいった
弁当戦争
次も弁当にしよ。 「早く部屋片付けなさい」 「………」 「はぁ…」 ドアを強く閉める音に少し怯えながらも、僕はアニメを見ていた。 僕はニートだ。 まぁ、だからなんだという話だが。 「カップ麺どこだったけ」 いつのまにか昼の12時になっていたことに気づき、カップ麺を探す。 うちの親は、僕がニートになった瞬間から冷たくなった。 だから、こうして泥棒のように物を漁ってもなんも言われない。 自分の部屋は、窓もカーテンも閉めっぱなしだからいつもであれば12時ということは気づかない。 だか、今日は珍しくお腹が空いていたからカップ麺を探している。 「げっもうカップ麺ないじゃん。…………コンビニ行こ」 財布とスマホだけポッケにつっこんで外に出る。 「あっつ」 もう夏だったらしい。俺は、引きこもりすぎて季節の感覚が狂ってしまったらしい。 秋ぐらいかなと思ってた。 そんなことを考えて歩いていたら、目の前にコンビニが現れた。 (戦いますか?) [もちろん!] じゃなくて、お昼買おう。 コンビニの中は、すごく涼しかった。 すごくだぞ。すごく。 ここは、北極か!ってツッコミを入れてやりたいレベルだ。 冗談抜きで。 だってさ、見てよ商品棚に氷柱できてるよ。飲み物もだいたい凍ってるし。 半袖で来たお客さんなんて、コンビニの中にはいって5分も経たずにでていくよ⁉︎ もはや動けなくなってる人もいるよ⁉︎ 幸い僕は、日焼けしたくなかったから厚手長袖で来た。 女子じゃんと思った人には、将来自分の顔にシミを残したくないという、言い訳をしておこう。 そんなことより、カップ麺も凍っていることに気がついた今、どうすれば良いだろうか。 そう思っていたら、弁当コーナーに人が集まっていることに気がついた。 何があるのか気になり、見に行ってみたらそこには 凍っていない弁当があったのだ。 なんてことだ。コンビニに入って突き進んだところにあったのに、なんで気づかなかったんだ。僕! 早く手に入れたいところだが、人だかりができていて手に入りそうにない。 異様に人が集まっているから、あの弁当たちは人気なんだろう。 どうにかして手に入れなければ、でもどうすれば。 「あれ、ニートくんじゃん。元気にしてたか?」 「なっ!?お前は、筋肉大好き筋ちゃん⁉︎ 久しぶりだな」 「久しぶり」 「なんでここに?」 「弁当買いに来た」 「なんだと」 「ここの弁当美味しいんだよ。あーでも、人多いから無理かなーどーしよ」 こいつは使える!あいつはジムに通っていてムキムキ、僕はニートでガリガリ。 あいつに、僕のことを最前列へ投げてもらえれば、あいつの分の弁当だって手に入る!! 「筋ちゃん。手を組まないか?」 「え?」 「筋ちゃんが僕を最前列に投げてくれ。 そして僕が、二人分の弁当を持って帰ってくる」 「そんなのっだめだよ!横入りになる」 「そんなこと言ってられっかよ!お前、あの弁当の美味さを知ってるってことは、常連なんだろ?」 「っ、それは」 「やるしかないんだよ!」 「でもっでも!」 「はっきりしろ!」 「っ……やるよ」 「!」 「やれば良いんだろ!」 「ありがとう」 「怪我してもしらねぇぞ」 「ああ!」 「いくぞー!」 僕は、筋ちゃんに思いっきり投げられ、最前列に来た。僕は、何が入っているかに関係なく上から二つ掻っ攫った。 僕たちの勝ちだ! 「あっこれ俺アレルギーだ」 「ごめん」
うみつき
「動物だったら何がすき?」 ある時ふと聞かれる質問 私はそれに 「海月、絶対に海月」 そう答える。まるでおもちゃを見つけた子供のように、キラキラと目を輝かせて言う そしたらみんないなくなる。みんな海月をあんまり知らないから。ただ海に浮かぶ生き物だとおもってるから。 みんなと私が違うから また独りになる 出会いっていうのは突然やってくる。 これは私が高校生のときやってきた出会いのお話。 「いっつもピアノ弾いてますよね先輩」 この高校に入学して1年がたった。 友達ができるわけでも部活に入るわけでもなくゆっくりと1年が過ぎていた。 人はつまらないものを見ていると「いつもよりもゆっくり時が動いている」そうやって勘違いするらしい。つまり私はつまらない1年を過した、と今勘違いをしている。 でもピアノを弾くときだけは少し、小さじ1杯ぐらい楽しかった。ピアノは小学1年生ぐらいから、中学2年生ぐらいまでやっていた。だから人並み以上に弾けるはず……はず。 そんなことは置いといて、私は吹奏楽部に入っているわけではないから、そう簡単にピアノを使えない。だから誰も来ない昼休みに使うようにしている。毎日毎日ピアノを使い続けていたら、後輩ができた。 名前は、教えてくれない。 私が弾いていたピアノの音色が気になっていたらしく、あっちから話しかけてきた。 「え?」 「だから、いっつもピアノ弾いてますよねって言ったんです。」 初めはなんだコイツっていう気持ちが多かったけど、私と同じように毎日毎日来るもんだから慣れてしまった。 「先輩って、なんでピアノ弾いてるんですか?」 「小さじ…」 「え?」 「小さじ1杯の幸せ」 「そうなんですか」 この後輩も追い払おうと思った。でも、どう頑張ってもついてくるからあきらめた。 「先輩、海月好きなんですか?」 「え?」 「先輩が弾くピアノって海月が見えてくるんです。ふわふわ浮いてる海月。だから、海月好きなのかなって思ったんです。」 「昔……」 「え?」 「昔、嫌いになったの海月。でもまだ、未練がのこってるのかもね」 「………いきましよう」 「え?」 「海、海いきましょう!」 「何言って」 「うわっ」 私は、後輩に手を引かれて学校から電車で1時間かかる海に行くことになった。 もちろん学校さぼって。 「なんで海?」 「未練、消してもらおうと思って、未練なくそうさくせんです。」 「そんな必要ないのに」 「あります!自分昔水泳やってたんですけど、どうしても物足りない感じがして…だからもう1度プールにいったんです。それで、全身動かなくなるんじゃないかってぐらい泳いだんです。そしたらなんかスッキリして……とにかく!海月を見たら、未練無くなるんじゃないかって思うんです。 無くなれば、先輩のきらいな海月がピアノから消えちゃって未練ともおさらばです。」 「なんで…」 「?」 「なんでそこまでやるの?」 「え?」 「どれぐらい頑張っても、きっと未練なんて無くせないよ」 「強制的に無くしてもらいます」 「そっか」 後輩と話していたら、海に着いた。 「海、海ですよ先輩!」 「そだね」 「テンションひくー」 「上げられなーい」 「海月探しましょ」 「えー」 「早くー」 「はいはいはい」 「どこだー」 「どーこだろー」 「真剣に探してください」 「あっいた」 「え!?」 「ほら、あそこ」 「えーどこだー………いた!」 海月が好きだときらわれてしまう。みんなと違うから。 だから、見るのもやめていた。 でも あらためてみると 「きれい」 「ですね」 いつの間にか消えちゃう生き物だけど、無気力に浮かぶその姿はやけに魅力的で目を引かれる。そんな姿が、大好きった。 「夜にこれば良かった」 「夜?」 「ほら、海月ってうみつきって言うじゃん」 「あー本物の月との共演!みたいな」 「そうそれ」 「…………」 「…………」 「もう帰ります?」 「明日また来る」 「そうしますか」 未練をなくす作戦は失敗におわった。 そのかわり私の元には、海月と1つの青春が流れついた。
あさ
明るくなったばかりの時間帯。寒いこの時期一番好きな時間帯 暖かずぎるわけでもないけどこの時期にはありがたい 外に出る 鳥の鳴き声が聞こえる。 一歩踏み出す 笑顔になる 楽しくない、嬉しくない 生きることに執着はない。 そうだ私は、死にたいんだ! 太陽の日差しが私のことを馬鹿にしているよう。いや馬鹿にしないで欲しい。 今日はサボろ 「私も嫌い」 「知ってるよ〜」 いつのまにか寝ていたのだろう。そうでないとこの子に会うわけがないのだから。 「生きてるよ」「何が?」「君が」「私が⁉︎」「そうだよ」「そっか………なら殺してよ」「え?」 「私を殺して」「いやだ」「なんで」 「失えない」「誰を?」「君を」「私を?」 抱きしめられた。 「私はあくまでサポートしかできない……君のサポートを……だから殺してあげられない」 「そっか……そうだったんだぁ…ふふふ」 私は涙の代わりに、苦しいと言う感情の代わりに何度も何度も笑い続けた。そして夢の中で眠りについた。 また寒い寒い夜がやってくる。
よる
暗くなったばかりの時間帯、暑いこの時期一番好きな時間帯 涼しすぎるわけでもないけどこの時期にはありがたい。 部屋を暗くしてみる。 何もない 夜にあった曲を流す。 涙が出た 悲しくない、寂しくない、 死にたいという感情なんて昔捨てた。 きっと私は生きていたいんだ 風が頬を軽く触れる。励ましているわけではないだろうけど、いや励ましてはないな。 もう寝よう。 「私も好き」 「そうだね」 目が覚めたわけではないだろう。だって身体の感覚がない。じゃあ夢だ。夢でこの子に会ってるんだ。 「死んだよ」「なにが?」「君が」「そっか」「うん」「もどして」「え?」「死んでないんでしょ私」 「うん」「もどして」「なんで?」「まだ私の消費期限ある」 「ふふっ消費期限って表す人初めてあった」 「私も初めて言った」 「もどしてあげる」 「うん」 「嫌になったら変わってあげる」 「うん」 「一人じゃないよ」 「うん」 「じゃあね。 私」 「うん。 ばいばい」 また、暑い暑い夏の朝がやってくる。