湯上

15 件の小説
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湯上

湯上(ゆのがみ)と申します! 雑に色んなジャンル書ける人です! 宜しくどうぞ。

暑い熱い夜

異常に湿度と温度が高くなった部屋の中、エアコンも付けずに僕らは身体を寄せあっている。 じっとり湿った肌、潤む瞳、混ざる吐息 1回終えてすぐだと言うのにもう1回戦始まりそうな雰囲気に、気付けば彼の腕を強く握っていた。 2度目ではあるが僕の体を気遣ってかゆっくり挿入されるそれに、未だに慣れることの無い異物感とお腹を押し広げられる感覚に軽く呻き声を漏らす それでも今更止まることのない侵入に目を潤ませながら耐える、、、。 半分ほど入ったところで彼も我慢の限界が来たのか、残りを叩きつけるように勢いよく挿入される まるで雷に貫かれたような感覚が身体を駆け巡って、想定外の快楽に全身を激しく震わせながら口からは嬌声が勝手に漏れてしまっている。 しばらく抱き合って少し落ち着いた やがて緩やかに腰が動きはじめる まるで自分のもので僕の中全体を楽しむかのようにじっくり、ゆっくりとした動きが続く、激しくない分自分の中に入ったそれの形がはっきり伝わって来てまた体がビクビク反応する。 視線が交差し、僕らは唇を重ねた 混ざり合うお互いの唾液、絡む舌の感触、呼吸も忘れるようなキスで脳が甘ったるく溶けていく。 断続的に発せられる僕の甘い声に彼も盛り上がって来たのが少しづつ上がる速度で分かる 奥を激しく疲れる度に、僕は彼のことしか考えられなくなって行って無意識に彼の名前を呼ぶ 彼も僕の名前を呼んでくれる事に幸せを感じてまた目の前の相手の事以外考えられなくなっていく。 彼も限界が近い、終わりの気配を感じてほんの少しの寂しさと果てるその瞬間を待ち遠しく思ってしまっている自分がいた。 今回もまた1番奥に熱い欲望を吐き出されてしまうんだろうか、期待が膨らんで奥が疼き始めている 腰を振る速度もどんどん上がる、彼の余裕もどんどん無くなってくる 頭の中で何かがバチバチ音を鳴らしている もう気持ち良いしか考えられない 僕の中で熱いそれが限界まで張っているのが分かる 彼が小さな呻き声と共に僕の奥まで届くように腰を押し込んだ _________僕の1番深いところで彼の熱い欲望が弾けてじんわり広がって行くのが分かった お互い息も切れて汗も滝のように出てヘトヘトになっていた 幸せではあるのだが、いつも攻められてばっかりなのがどうにも解せない 今度こそは攻めやるんだ そう誓いながら今日も彼の横で眠りにつく。

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ビー玉

僕には嫌な癖がある 人を自分の中で勝手に「A」と「B」の2つに分けてしまうこと 自分は紛れもなくBである、これと言った特徴もなく惰性で生活を続け、程よく他人を妬む 分けると言ってもAの人は世の中にほとんど居ない 道を歩けばBばかり、全く反吐が出る、、、、自分も含めて そんな世界にも救いはあって、それは腐れ縁の親友 こいつは男性とも女性ともつかない整った顔をしていて、叩かれるとそれはそれは良い音が鳴る 正直僕は性別なんてクソほどどうでもいいから、こいつのノリの良さが長く関わってきた理由だろう こいつも結局Bには過ぎないけど、Bの中では相当上位に置いてある、まぁ個人的な感情に過ぎないけど そう思っていた僕の気持ちにある日、突然変化が訪れる それはいつも通り僕の家でゲームをしていた時のこと 「っしゃ〜ボクの勝ち!約束通りアイス奢りなぁ?」 強えぇ!つい最近まで僕の方が強かったのに無駄に強くなりやがって、いつもならすげぇ腹立つとこ、、、なんだけど こんなのいつも通りの笑顔なはずなのに、変わってなんかないはずなのに その無邪気な笑顔に心が強く揺れる音が聞こえた気がして、思わず顔を逸らした 「あ、なんで顔逸らしてんの?しらばっくれようったってそうは行かないよ?もう奢ってもらうアイス決めたんだから」 そう言うことじゃないんだよ、そういうことじゃ...... 僕は一気に頭が冷めた気がして、いったんアイスを奢りに行くことにした 、、、、こいつ容赦なく高いアイス買いやがった 「なに?そんなにアイス食べたかったの?、、、、じゃほら1口あげるよ」 アイスの恨みと、さっき異常に動いた心への懐疑感からか恐らく無意識に見つめてしまっていたのだろう、あいつは目線に気付くとそう言って僕の口にアイスを突っ込んだ 突っ込まれて初めて気付く これ、、、あいつが齧った部分じゃないか? 脳が混乱して暴走を始めようとしている、落ち着け、た...たかが間接き、、、キス如き、味が変わるわけでもあるまいし そう、何も変わるはずないのだ、そんなはずないのに 口の中の温度を一気に奪っていく心地のいい冷たさと、それを全部置き去りにするほどの異常な甘さ、舌が、脳が、支配されそうになるほどだった きっとこれはアイスの甘みだけではなかったのだろう 今は声を聞くことも危ない気がして適当な理由をつけてその場を後にする、心臓はうるさいくらい鼓動していたのを覚えている 気付かぬ内にあいつをBからAに移していたことへの証明だったと今では思う。 その日はまともに眠れなくて、電気も付けない暗闇の中自分の唇、喉、腹へと触れていく あの瞬間僕はあいつの一部を体に入れたんだよな、、、自分でも気持ちの悪い思想だとは思ったのだが、一向に止まる気配がない ほとんど確信を持っていたがこの感情を確かめる為にもまたあいつに会わなきゃ 部屋の電気を付けカレンダーを確認すると明日はちょうど祝日であった。 いざ待ち始めると時間の流れは遅く感じるもので、待ちくたびれているとインターフォンが鳴る 意思は固まったはずなのに、覗き窓から姿が見えた瞬間胸の内で何かが弾けた 乱暴に扉を開けて勢いそのまま抱きしめた 困惑するあいつの声が聞こえたような気もするが、お構い無しに抱きしめながら僕は強く願う 「このまま僕以外の誰にも見られないように、包んでしまいたい」 その声に反応するように空間が激しく揺らぐ、未知の力に圧縮されて行く 本来有り得るはずの無い、有り得ては行けない現象に空間が悲鳴を上げる 困惑した声が次第に苦痛に歪み、骨と肉の潰れる音に変わり、やがて静寂が戻った 血溜まりの中にあるそれを優しく拾い上げる 「あぁ、なんて綺麗なんだ」 ふと、思い出したように指を鳴らす 辺りに飛び散った血が空気に溶けるように消えて無くなる 綺麗になったそれを部屋に飾り 身支度を整え、今日も変わらぬ一日を始めるために扉に手をかける。

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「気持ち」のジレンマ

あいつに、僕の知らない何かが起きたことは何となく分かってた。 浮かない顔に無性に腹が立って、文句の1つでも言ってやろうと声をかけた、、、はずだった あいつ僕の方を見もしなかった、全部まっさらどうでも良くなったような顔して、死んだ目で僕の横を通り過ぎて行った。 初めからあるはずも無い 「糸」が プツリと音を立てて切れたような気がした また無性に腹が立ってしばらく書いたこともない手紙に手を付け始めた ほとんど書きなぐりのようなもので、返ってくるのか、そもそも読んでくれているのかどうか、分からない それでも書いた、ひたすら書いた あいつに届くとか届かないとか、読まれるとか読まれないとか、そんなこと心底どうでもいい はっきり言う、これは自己満だ 僕がただ思っている事を目に見える形にしたくて、あいつに送るのは流れみたいなものだった、読まれないなんて百も承知。 どれだけ書いただろうか、そこそこな大きさの箱だったら溢れる位は書いたかもしれない 届かないと知りながらもあいつに向けた気持ちの矢印を 僕が好きになる日は.......きっと一生来ない。

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狂気に充てられて

「おにーさん?借りたものは手遅れになる前にちゃんと返さないとダメだよ?でないとこうなっちゃうからさ」 腰元に当たるひんやりした金属の感触 数秒後、体が爆発したかと思うほどの衝撃 白黒に点滅する視界 眼球に狂気的な笑顔を焼き付けられ、男の意識は闇に溶けていった。 「仕事にはもう慣れたかなー僕は血とか苦手だからさ、スタンガンが1番使い易いや」 愛用のスタンガン片手にそう話すのは少し前に組織に入って来た新人で、名前を含めた全てが不明だったと言う 色々不気味な点しかないが、今のところ仕事はちゃんとこなしているし文句は無い。 「また仕事?最近僕への仕事多くなーい?」 「そんだけ期待されてるんだよ、自分の才能を恨むんだな」 新人でありながら恐ろしいまでの吸収速度、非情さ、あまりにも才能に溢れ過ぎていた まるでこの仕事のために居るかのような、そんな奴だった。 今回は大した仕事でも無いからこいつ1人でもこなせそうではあったが、まだ信用する事も出来ず暴走した時が怖いらしい、監督役で俺も行くことになったらしい 目的地はごく普通の一軒家、インターホンを鳴らすも返事が無い こう言う場合は経験上、大抵裏から逃げているもの、とせなを裏に回らせる 決して俺が面倒臭いからではない 案の定裏から逃げようとしていた男が居たらしく、軽々捕まえてきた 「今回これだけ?なんか拍子抜けだよー」 「そだなー」 今回は軽い仕事だったからか、多少気を抜いていたのは事実だ それでも僕らに一切気配を悟られずに背後を取れる奴がいるなんて思わなかった 頭に鈍い痛みを感じながらそんなことを考えていたのだった、、、、。 .......目を覚ます、体を起こそうとするとジクジク頭に鈍い痛みが走る、我慢しながら体を起こして周りを見回すとその光景に目を見張った 眼前に広がるのは血の海、死体の山、死体の山の頂で狂気的に笑う一体の死神。 常人なら発狂待ったナシの光景だろう これは別に僕がこんな仕事してるからじゃ無いと思う、きっと僕には元からそんな所があったんだろう 火山の噴火の様に心の奥底から湧き上がってくるこの感情が抑えられない 「お前狂ってるよ」 そう呟いた僕の口角は、、、酷くつり上がっていた。

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変わることを望んだ者へ

良い時間だったな、、、 地図を片手に目を輝かせる君も 部屋の窓から見える大きな船にはしゃぐ君も 2ショットに目を輝かせる君も 寝起きでまだふにゃふにゃな君も 色んな君を見た、見すぎかもって思うくらいには見た。 どれもこれも鮮明に覚えてる 自分でも知らない内に目を伏せていたのは、今の僕にはそのどれもが眩しすぎたからかもしれない 友達だった君へ 友達のままで居たかった君へ まだ色んな君を見ていたかったけれど もうそろそろ時間みたいだから行くよ 幸せに[規制済み] 「ありがとう」

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夏は嫌い

「なぁ、お前夏好き?」     「、、、嫌い」 「そっか、なんで?」   「暑いし、汗かくし、、、、なんか青春って感じがする」 「そっか」   「そっちは?夏好き?」 「俺はねぇ、夏大好き、、、でも嫌い」   「なんで?」 「夏ってさ、短いようで長くて、長いようで短く感じる訳。」 「思ったより短いから、お前ともうお別れかってなるし、思ったより長いから、別れが惜しくなる、でもお前と初めて会ったのも夏な訳で、だから大好きで、嫌い」   「そっ⬜︎」 「もうかよ、、、早いな」   「う⬜︎、ご⬜︎⬜︎ね」 「謝るなよ、悪いのはお前じゃないだろ?」 「⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎」 「もっと話したいこと沢山あったのにな、流石に早ぇよ、、、、、、馬鹿野郎」   「⬜︎⬜︎、⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎」 「もう何言ってるか分かんねぇな、、、」 「夏なんか、大嫌いになれたらもっと楽なのにな」

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優しい殺意は毒の味

鼻に抜ける良い香り 水面に浮かぶ淡く美しい色の花弁 喉を通る柔らかな熱 最近は気分が悪い日が多くて、出来ないことが少しづつ増えて来たけど それでもこのハーブティーはとても 「美味しい」 なんのハーブで入れたか、君は頑なに教えてくれないけど、それでもこのハーブティーを飲んでいる時だけは穏やかな気分になるんだ これから段々体調も治して、また変わらない日常に戻るんだ こんな僕でも辛抱強く思ってくれる君を 僕の我儘にもいつも寛容で居てくれる君を 想いながら今日も眠る あぁ、何だか今日は、、、よく眠れそうだな 白と青の紫陽花が窓辺に咲き誇る、夜の話

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別の恋でも

僕は考えている あいつの事をずっと一途に想い続けるとある人のことを 叶わない恋でも良いと割り切る強い人のことを 愛情を向けられてるのは分かっていても、恋のそれとはまた別であることを知っている それで良いと割り切ったのが自分でも 複雑な気持ちが残っている事が隠し切れていなかった。 僕はきっとイライラしてたんだ 気持ちに応えてやらないあいつのことも 分かっててもずっと想う、あまりに一途すぎるあの人の事も その人の事を想う気持ちを抑えられなくなっている自分にも、、、。 とある日。あいつと談笑しているその人を見かけた 一見楽しそうに話してはいるが、顔に少しの曇りがあることを僕は見逃さない、見逃して、、、あげられない。 無粋と分かってても声をかけられずに居られなかった、あいつとの話が終わったであろうその人に僕は話しかけてしまう 今まで2人で話すことなんて無くて、話すグループの中にお互いが居れば何となく一緒に騒ぐ程度の仲 それでも話し始めれば案外会話は弾んで 他愛ない会話を繰り返した後、頃合いを見て一番話したかった内容を切り出す 本人はあいつが好きなことを周りに隠してはいなかったから、すんなり切り出すことが出来た 本人はあいつの事を聞かれると、少しの戸惑いを見せたが、やがて少しづつ話し始める。 「自分でも叶わない事を分かってて好きなはずなんだけど、ほんの少しだけの複雑な気持ちがどうしても.........どうしても消えてくれないんだ」 色々話して最後に、その人はこう言ったんだ 「好きではあるけど、別に応えて欲しいとは思ってないんだ」って 悲しげな顔で微笑んでいるその人を見て 僕は何となく、、、 「奪いたいな」 そう思ったんだ、思っただけのつもりがつい口から出ていて、その人はとても困惑したような表情をしている 「ねえ?良かったらさ、僕に奪われてみない?」 「えぇ、、、え?」 そりゃそうだ、突然自分に奪われてみないか、なんて聞かれれば反応に困るに決まってる それでも僕は引くつもりなんて一切無かった 「叶わない恋に複雑な気持ちが拭い切れないなら、僕が忘れさせてあげる、、、ね?」 「でも.......あの人が居るし困るよ 」 「へぇ〜そんなにあいつのこと好きなんだ......ふーん、なんか少し腹立ってきたかも、、、本当に嫌なら抵抗してね?」 少し強引な気はしたけど唇を奪った かなり驚いた様子でほんの少しの抵抗を感じたが、無視して舌を入れていく 「はぁ...はぁ......もうそんな顔トロトロにしてそんなに気持ちよかったか?愛してる人が居るって言うのに全くだらしない奴だなぁ」 もうまともに声も出せないでいるその人に休む暇もなく囁く 「ねぇ、僕とキスしてる間はあいつのこと、考えてる余裕無かったでしょ? これからもっと凄いことするし、多分もう僕以外考えられ無くなると思うけど、、、、」 良いよね

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荒み歪む一夜

「ねーねー」 僕は目の前で胡座をかいてスマホを弄っている彼のスマホと顔の間に入り込んで、目が合うように声をかけた。 「ん?」 スマホからは目線を逸らさず、少し気だるげに彼が答える 「僕いっつも受けじゃん?だからたまには君のこと攻めてみたいんだよねぇ〜」 昔から受けに甘んじて来たが 僕を攻めてる時の彼のほんの少し狂気を含んだ笑顔を見て、攻めの気持ちを知ってみたくなった。 「でもさ、そういう事言う奴って大体が攻めに分からせられて終わらない?」 言葉を言い終わらない内に少し強引に僕を引き寄せる彼 いつもだったらこのまま流されてたかな、でも今日は違う 「ごめん、今日はベタな展開になりそうにないや、、、」 押し倒そうとしてくる彼を逆に押し倒して、初めて味わう上からの目線 想像していなかった下の立ち位置に戸惑いの色を隠せない彼の表情に思わずゾクゾクしている自分がいた 「クッソ、君のせいで思わず僕まで顔が赤くなっちゃったよ」 いつも僕を意地悪に攻めていた彼の表情は意外なもので 潤みきった瞳、熱の篭った吐息、敏感に震わす体 僕のスイッチは完全に入った。 そこからは言葉なんて必要なくなっていて、初めは受けに抵抗感を持っていた彼も気づけばトロトロに蕩けた顔をしていて その顔を見た僕もまたエンジンがかかってあっという間に外は明るくなり始めていた 昇る朝焼けに照らされて、窓に反射した僕の 顔は、、、、、 酷い笑顔を浮かべていた。

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ラムネ

からん 飲み終えた瓶から涼しげな音色が響く 「子供の頃はよく中のビー玉欲しさに瓶割ったりしたっけか.....」 新しくもう一本手に取り、ビー玉を落として口を付ける 久々に喉を通る炭酸と爽やかな甘さに、自然と口から昔話が零れた。 まだ冷たい瓶を手放せないままベランダに出る 「確か、、、ここだったよな」 このベランダであの日、僕らは別れの言葉を口にした しばらくして、床に落ちた雫が想像以上に長くここに立っていたことを教えてくれた、体も予想以上に冷えていたから、部屋へ戻るために扉に手をかける、、、その一瞬 目の前が揺らいで幻覚のようなものが見えた気がした 「お前、、、僕が寂しがってるから会いに来てくれたのか?」 幻覚は少し微笑んだと思ったら消えていた。 僕は瓶の中のラムネを1口飲んで、本気でお前のところに行ってやろうか悩んだ 、、、、怒られるだろうし辞めとくか なんて考えて瓶を置く ことん

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