マイズ

18 件の小説
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マイズ

なんかの間違いでI日が50時間くらいに増えないかしら。 書きすぎるマンことマイズです。 ぼちぼち進めます。幅広く好きです。 *がついているものとショートはオリジナルです。それ以外は2次創作。 最近タスク多くて投稿出来ておりませんが頭ん中では構成練ってますのでご承知おき下さい。

友人作 3

 ~ATTENTION~  こんにちは、この物語の作者でございます。この物語は「友人作 ショート2」で登場したキャラクター達に名前をつけて登場させています。まだ読んだ事が無い方はそちらを先に読んでいただくとより楽しめると思います。  それでは、物語の始まりです!  日中のぽかぽか陽気はどこへやら。容赦ない北風が僕を襲う。そんな中、 『へっくしょーいぁぁ! さっぶぅ…。』  僕は写真部の夜桜撮影会に参加していた。学校の近くの公園で夜桜のライトアップがされているため、顧問の先生が撮影会を開いたのだ。夜の開催とあって参加している写真部の生徒は少ししかいないが、先生はそれでも満足なようだ。まあ、植物好きな顧問の先生の話がウザすぎる…という理由も少しありそうだが、それは黙っていよう。 『さ、さぶすぎ。む、無理…。日中はあんなに暖かかったのにぃ。なんとかしてよ、蒼翔(あおと)!』 「無理に決まっているだろう、茜(あかね)。無理を言うんじゃない。そんなに言うなら厚着してこい。」 『だってぇ。ねぇねぇそれよりさ、良い写真撮れた?撮れた?』 「…ああ、撮れたよ。君という美しくない被写体が入った、それ以外は完璧な夜桜の写真がね。」 『まぁたそんなこと言う! シンプルにひどいなぁ。拗ねるよ?』 「拗ねとけば? 僕は知らない。」 『うっわぁ…。サイテー。…こぉんのバカ蒼翔!』 「ん? なんだ? バカ茜w」 『~っ! せんせぇー! 仁科(にしな)蒼翔君がウチに悪口を言ってきますー!』 「先生、先に仕掛けてきたのは東瀬(ひがせ)茜です。俺は悪くない。」 【はわわっ。おっ、落ち着いてください。…あっ、そうだ東瀬さん、あっちに良い夜桜があったんです。そこでモデルになってくれませんか? 】 『えっ、マジですか? やります、やります!』  そう言って、茜は音符が見えるほどのルンルン気分で先生のもとへかけていった。あいつは本当にモデルの仕事が好きだな…。   ピピッ、パシャ。 「うーん…。」  写真部の生徒達とは離れて夜桜の写真を撮っていく。簡単に言えば友達がいない。別にそれで悲しくなったりしたことは無いし、気にしたことも無い。友達を作ることが自分の人生において利益にならないと、そう判断したまで。ただ。それだけ。   ピピッ、パシャ。 「あー、うん、そうだなぁ。」  僕が写真を撮るときのモットーは“自分が美しいと思った物しか写真に撮らない”だ。そのためか、フォルダの中は風景写真がダントツに多い。人物を美しいと思ったことは無い。…ただ、1人を除いて。   ピピッ、、 『…! がおー!』   パシャ 「…はぁ。」  またかコイツ。なぜか茜は僕が写真を撮っているとこうやって邪魔をしてくる。 「なんなんだ、お前は。なぜいつも邪魔をする?」 『んー? ええやん、別に。ほら、あれだよ。“君に教えたところでウチの人生に得は無いとウチが判断したから”ってやつだよ。ねっ?』 「…はぁ。」  本当に謎だ。邪魔をしたって茜の利益にはならないはずなのに。だとしたら…?ダメだ、分からん。どうせ“面白いから”っていう理由なのだろう。まあ、知ったところで僕の人生に得はないのだが。  あともう一つ謎があるとすれば、 『―。…ねぇ蒼翔、聞いてる?』  コイツが勉強○運動×の典型的な陰キャの僕に、顔良し・スタイル良し・愛嬌良しの陽キャのコイツが絡んでくるのか、ということだ。コイツは利益ってやつを考えたことがないんだろうか。 「…なあ、なんで僕にいつも絡んでくるんだ? 僕と絡んだってお前に利益など無いだろう?」 『えっ? うーん…そうだなぁ…。』  一瞬驚いたような顔をして考えていた茜は、僕の顔を見てこう言った。 『ウチが君のこと好きだからかな。』 「…は? お前何を言って」 【2人ともー! すみませーん! 1度こちらに集まってもらえませんかー?】 『あっ、はーい! 今行きます! ほら、蒼翔行くよっ!早く行かないとまた先生が“はわわっ”ってなっちゃうよ。』 「あ、ああ。そうだな。」  茜はお得意の先生のマネをしながら先生のもとへと駆けていった。大混乱している僕を置いていって。 「なんなんだ、あいつは。」 『…? 蒼翔? 早くこっちにおいでよ!』  そう言って振り返った茜は、カメラの前でかしこまっている時よりもスゴく自然体で、モデルの名にふさわしいほどに美しかった。そんな茜に俺は思わずカメラを構えた。   ピピッ、パシャ。 『…? ねぇ、蒼翔ー! 何撮ったの?』 「…別に。何でも良いだろう。」 『もー! なんでー?』 「ん? ほら、あれだ。“君に教えたところで僕の人生に得は無いと僕が判断したから”だ。何か文句はあるか?」 『~っ! こぉんのバカ蒼翔ー!』 「はっw そう怒るな、怒るな。」  そう言って僕はカメラをしまってから写真部のみんながいる方に駆けていった。           END

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4−3

「すみません遅れました」  その言葉と共に教室へと入ってきた生徒に、教室中の視線が向けられる。 「『クォーツの至高』だ…!本物だよ…!」 「こんな近くで見んの初めてだわ…オーラやべぇ」  先程までは静かだった新入生達がざわつき、当人は自分に向けられる言葉に困ったような笑みを返した。  しかしそんな微妙な空気を気にしない性格なのか、望月遥は立花希佐に駆け寄った。 「待ってたんですよ。ほらほら、こっちに立ってください」 「まっ待って遥ちゃんまだ準備が」  無理矢理世長創司郎の前に連れられ、望月遥に「はい」と固定された。 「希佐ちゃん、挨拶を」 「うん」  立花希佐が向き直り、新入生を真っ直ぐに見つめる。琥珀色の瞳が陽の光に照らされた。 「はじめまして。クォーツ78期の立花希佐です。先輩として至らぬ部分もあると思いますが、新しく入ってきた80期生皆さんの、力になれるよう努力していきたいです。よろしくお願いします」  そう言って立花希佐が頭を下げると、教室にいた全員が拍手を送った。 「…よし、これで全員の挨拶は終わったから、改めて新人公演について説明していきます」  その言葉で立花希佐は後ろにまわり、世長創司郎が教卓に手を置きながら俺達を見下ろす。 「新人公演は、その名の通り新入生が主体となって行う公演で、主役であるアルジャンヌ、ジャックエースはもちろん、歌唱やダンスも一年生がメインになります」 「俺達ん時は、俺と立花が選ばれたんだぜ」  織巻寿々が補足をすると、何人かの新入生が納得した様に頷く。その中に俺の隣に座る瀬川も含まれていた。  流石ユニヴェール歌劇学校。ファンが多い。 「今スズ君が説明した通り、78期の新人公演ではこの二人がジャックエースとアルジャンヌを担当しました。図書室に公演の記録が残っていて手続きをすれば観れるから、時間のある人は観ておいた方が勉強になると思うよ」 「まだ俺は全然演技が身についてねー時期だからあんま参考にしてほしくないけどな。まあ立花はあん時から仕上がってたけど」 「そんなことないよ。今の私だってまだまだだから」 「立花でまだまだって…俺らどんだけ行けばいいんだよ!」 「…二人とも、説明中だよ」  世長創司郎の諌める声で、後方の二人は自分達に向けられている視線に気付き口を噤む。  クォーツ組長は咳払いをして気を取り直し、話を続けた。 「新人公演は5月28日の土曜日に行われます。数えると…明日で53日前になります」  その言葉でクラスがざわつく。 「53って…二ヶ月も無いのかよ」 「俺マジで初心者なんだが。置いてかれそー」 「この日数を聞いて、演技未経験者の多いこのクォーツでは不安に思う人も多いと思います。新人公演を観にくるお客さん達のほとんどは皆んなを優しく見守ってくれる。その一方でユニヴェール生として厳しく観る人も一部ではいます」  声色が暗いものへと変わり、クラスが緊張に包まれる。しかしその状況を作った本人は、ふっと優しく笑った。 「__でも大丈夫。僕達が皆さんと共に立ちます。立ち方を教えます。それに、先輩に訊くのは怖いのなら同期で支え合い、高め合ってください。 …ここクォーツでなら、それが出来る」  世長創司郎の言葉に79、78期の生徒が頷く。すると新入生達は困惑しつつも先程よりは不安の抜けた表情をした。 「…単純だな」 「ん?何か言ったか鯨木」 「いーや何も」  瀬川が横で首を傾げるが、こちらは首を振ってとぼけたふりをする。元々興味はそこまで無かったからか、瀬川は表情を変えずにあっさりと「そうか」と言って話は終わった。 「あの、配役発表だったり、それこそ台本はどうなるんですか?」  新入生の一人が手を挙げつつ質問をする。 「いい質問だね。台本についてですが、2〜3日後に皆さんに配布する予定です。その時同時に配役発表を行います」 「その配役ってどんな基準で選ばれるんですか?」  また別の生徒が訊く。次の質問者に身体の正面を向けてから世長創司郎は続ける。 「それを説明するにはまず、台本をどこから貰っているかを説明しなきゃかな。他のクラスでは殆どのの場合脚本家や先生方から譲り受けています。クォーツも譲り受けているにはいるんだけど、少し特殊なんだ」 「特殊、とは?」  質問者が首を傾げた。 「76期生クォーツOBの根地黒門先輩が草案を執筆して、その草案をこのクラスのメンバーに合うよう僕が微調整を行ってる、って感じかな。配役は普段の様子…例えば、歩き方、声の質、呼吸の間隔なんかを見て、誰がどの役に合うのか考える。解釈にはどうしても時間がかかってしまうから、他のクラスよりも台本に取り掛かるのが少し遅いんだ」 「それって、かなりのハンデを背負ってるんじゃ…」 「そう思えるけど、実はそうじゃ無い。実際に人を見て台本を作るわけだからその人が演じやすい、もしくは苦手なところをピンポイントで修正できたりする。まぁ、僕の解釈が違ったらかなり演じにくくなっちゃうけど…。だから変に思ったりしたら遠慮なく言って欲しいんだ」 「わかりました。ありがとうございます」 「うん。君こそいい質問をありがとう」  質問者は礼をして、世長創司郎はにこりと笑った。そして改めてクラスを見渡し一人頷く。 「他に質問は無いみたいだね。その他の細かい事は訊いてくれたら答えるよ。それじゃあ江西先生、連絡がありましたらお願いします」  教室の後方を示す。全員の視線が集まる場所に、その人はいた。  既視感を覚えると思ったら、隣の瀬川が「入試の時の…」と小さく呟く。あー確かに試験監督として俺らを担当してたかも。やけに気怠げだったのを覚えている。 「今の世長の説明で充分だ。…あぁ、紹介がまだだったか。江西録郎。クラスの運営は生徒に任せる。以上」 「…挨拶ありがとうございます。それじゃあこの後は寮の使用についての説明をしていきます__」  続く説明を軽く聞き流しながら誰にもバレないよう、俺は小さく欠伸をした。

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めっちゃショート(たい焼き編)

「零さんってたい焼きどっちから食べます?」 「腹」 「ワイルドですねぇ」 「そう言うお前は?」 「ちぎって食べます」 「女子かよ」 授業中に考えたので中身のない会話

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近況報告と土下座

お久しぶりですマイズです。 いやぁなんか、ね。うん。久しぶりですね(2回目) いや謝ります。すみません。 全ての更新が遅れているのには理由がありまして というのも、私最近また新たなシリーズ考えてました。はい阿呆ですね。どんだけ手を出すんだよ。 それぞれのシリーズの私の中の構想練ってる順序は 今考えてるやつ → → → JJ二次創作 → ショート → twst二次創作 てな感じで練りまくって練りまくって捻れてるんですよ(?) 珍しくストーリーの流れ、登場キャラ、キャラの過去、考え方、キャラデザ、世界観とか全部決めてから本編描き始めてるんですよ。本当に珍しく。 なので時間がかかるのなんの。あっはっは。 はぁぁ…(クソデカため息) まあとにかく私が言いたいのは更新はしてないけど小説は書き続けてますよということです。気長にお待ちください。

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4−2

 クラス表を確認した後、新入生はそれぞれのクラスの教室へと移動する。それは俺と瀬川も一緒だった。  校舎の外見は外国風だったが内装は案外普通の教室で、黒板と並べられた机がある。どうやら早めに着いたらしく、新入生は自分達二人以外はいなかった。 「…早かったか」 「少し待っていよう」  待つ。と言っても中に入ってからが困った。席に座るとしてもどこの席なのか。  座席表が廊下に張り出されてあるかもしれないと考え、教室を出る。その時、目の前に立つ人物にぶつかった。なんなんだろう、こんなにも人とぶつかるのは。 「お?もしかして新入生か?」  背が高く明るい赤い髪を持つその人は、その水色の瞳を輝かせた。俺はその人を知っていた。あのユニヴェール公演で、『チャンス』を演じた__ 「クォーツジャックエースの、織巻寿々さん⁈」  瀬川がかなりでかい声で後ろから叫んだ。あ、そうかコイツ普通にユニヴェールファンだ。  瀬川の叫びに織巻はニカっと笑う。 「おう!入試の時に確か見かけたんだよ、お前。名前は?」 「あっせ、瀬川ですっ!瀬川翔です!」 「瀬川か、よろしくな!こっちは?」  水色の瞳がこちらに向けられた。 「鯨木です。はじめまして」 「これからよろしくな」 「はい」  こちらも笑顔で応えると満足げに頷く。 「これから他の新入生も来るから、適当に席座ってていいぞ。あ、そうだ世長に確認することあったんだった!」 「行かれても大丈夫ですよ。俺たちがこの後の人に席のこと伝えるんで」 「ありがとな!じゃあ頼んだ。また後で」  弾ける笑顔で手を振り去っていく。人に見られることが慣れているんだろう。当然のように後方の瀬川はファンサに悶えていた。 「目の前にっ…いた…!入試の時に覚えてもらってたっ…!」 「よかったな席に座ろうか」 「なんでそんなに冷静なんだ?ジャックエースだぞ?主役だぞ?」 「熱が怖い。お前そういうキャラだったのか」  クールかと思っていたが表情筋が動きにくいだけで割と男子高校生だった。それも少し面倒くさい感じの。 「お前そんなんでこれから大丈夫か?寮生活でずっと一緒にいるんだぞ」 「理性がなくなるかもしれない。その時は頼んでいいか?」 「何を」 「息の根を。あの方々に迷惑なんてかけられない」 「なんでだよ」  そんな調子で会話をしていると、徐々に他の新入生が教室へと入ってきていた。 「席は自由だそうです」  誰か来るたびに軽く伝え、それから他の人へと空気で伝わっていく。日本人独特の空気感のまま、やがて、全ての席が埋まる。  自分達以外は知り合いが少ないのか、会話はなかった。それでもどこかピリついているように感じるのは、全員が舞台に対して何かしらの想いがあるからか。  自然と俺と瀬川の間でも会話が消えていった。  そして、教室が静寂に包まれた時黒板近くにある扉が開いた。 「全員いるかな?…うん。大丈夫そうだね」  顔だけを出して人数を数える。そして確認を終えると、その人物は何人かの生徒を引き連れて教室へ入ってきた。その中に織巻寿々と、入試の時に見かけた望月遥もいた。  立花希佐は、いない。  最初に入って来た人物は教卓の前に立ち、「緊張するなぁ…!」と小さく呟く。すると同期であろう引き連れられていた生徒の一人が「フン!普段貴様はもっと大勢の観客に対して堂々してるだろう」と前に立つ人物を小突く。  それに勇気付けられたのかそれとも後がないと思ったのか、こちらに向け口を開いた。 「っえーと、はじめまして。クォーツ組長、三年の世長創司郎です。…あ!78期生です。よろしくお願いします」  頭を下げると、教室に乾いた拍手が響く。他の新入生が緊張から動きが鈍いのに対して、隣の席の瀬川は一人興奮していた。 「世長さんはクォーツの演出、脚本の調整、その他諸々の作業を任されつつもクラスをまとめ、自らも舞台に立つ才能に溢れた人なんだ。その才能はかつてアンバーからクォーツに転科して自らの“天才”を使って再興させたとされる根地黒門にも劣らないとされていて、彼の多忙さがなければその演技力は同期である織巻さんと肩を並べるだろうと言われた、そんな、素晴らしい、人なんだ!」 「お前よくそんなに口回るな」  冷たい目を隣の人に向けていると、視界の端で世長創司郎がこちらを見て苦笑いをしているのが見えた。まあ、この声量だと教室中に響いていたんだろう。  首をクイっと動かして瀬川に教卓の方を示すと、自分の熱弁が本人に聞かれていたことに気づき顔を青く染めた。 「っあ……すみません!」 「ううん大丈夫だよ。むしろ自分じゃ紹介しきれてなかっただろうから、ありがとう」 「…ほんとに、すみません」  すっかり落ち込んだ瀬川を尻目に、世長創司郎を観察する。  最初こそは緊張から視線の動きが多かったものの、いざ本題に入ると真っ直ぐとした迷いのない瞳に変わる。クォーツの話や今後の予定を語る様はやはりクラスをまとめる存在に相応しい立ち振る舞いだ。  その姿はあの日見たユニヴェール公演に登場した『イザク』を彷彿とさせる。  これがユニヴェールのクォーツ。そして、立花希佐の同期。 「__それじゃあ、次は新入生のみんなに自己紹介をお願いしようかな」  世長創司郎がそう言って教室の一番前、そして廊下に近い席に座った人から当てていく。フルネームで他の生徒が自己紹介をして、それに世長創司郎が一言聞くという流れだった。俺と瀬川だと自分の方が廊下に近かったため、俺に先に順番が来た。 「鯨木(くじらぎ)です。…よろしくお願いします」  手短に終わらせて席に座った俺の自己紹介にクラスが固まった。それを補う様に世長創司郎は手元の名簿らしき紙を見て俺に尋ねた。 「えっと…照(しょう)くんでいいかな?」 「あー、はいそうですね」 「うんわかった。ありがとう。よろしくね」 「はい」  俺の番が終わり、しばらくして瀬川の番になった。 「瀬川翔(せがわかける)です。えぇっと、さっきは騒いでしまってすみませんでした…。これからはもっと自分をコントロールできるようになります。それが目標です。よろしくお願いします」 「よろしくね、翔くん。ユニヴェールに随分詳しいんだね。それほど覚えてもらえてるのは嬉しいな」 「いえっそんな!自分なんかがみなさんを応援できているとは思えませんが…その言葉はファンとして凄く光栄です!」  憧れの人物と直接話すことができた瀬川は今までも輝いていた目をさらに輝かせていた。 「よかったな」 「明日俺は死ぬかもしれない」 「いや折角入学したのなら死ぬなよ」  小さく話していると新入生の自己紹介が終わり、話題は新人公演のものへと変わった。 「さっきも話した、一年生が主体となって進める新人公演。それについて説明していきます」  世長創司郎が改めて教室中を見渡したその時、先程先輩方が入ってきた扉がまた開いた。 「すみません遅れました!」  その扉口に立つ人物を見て、新入生は一斉にざわつく。俺も目を離すことが出来なかった。  教卓近くで暇そうに欠伸をしていた望月遥が扉の方を見てその目を大きく開いた。 「立花先輩!また校長に呼び出されてたんですか?」  扉口にて呼ばれた人物は  あの日と変わらない琥珀色の瞳を真っ直ぐと教室に向けるのは  “クォーツの至高”。立花希佐だった。

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ショート(扉編)

______ん?…あぁ、こんにちは。 はじめましてだね。私の名前は…え?ここはどこだって? …自己紹介、したかったんだけどなぁ。まあその疑問は当然だろうから、いいけども。 それじゃあ、ここの説明をしよう。 うーん…よし、ここらへんでいいかな。よいしょっと…! はい。どん。真っ白な扉です。 え?見たらわかるって?いやいや喧嘩なんて売ってないよ。そんな価値のないもの売るわけがない。 …いや、物によっては価値があるか。 ああ、なんでもない。こっちの話だよ。 それで……そうだった、ここの説明だよね?本題を忘れるところだった。 えーゴホン。ここの空間には、こんな“扉”が大量にある。 これは真っ白だけども、ほかの扉には色々な色がついている。 落ち着いた色、怒りに満ちた色、独特な色。他にも数えきれないほどある。 色の意味、だって?これから説明するつもりだよ。 まず、色には扉の中身との関係がある。 落ち着いた色ならば、雨の空を部屋の窓から見上げているかもしれない。 怒りに満ちた色ならば、日常の理不尽に対しての思いをぶつけているかもしれない。 独特な色ならば、誰も予想ができない世界が広がっているかもしれない。 勘の良い君なら、もう気づいているだろうね。 __そう。扉は創作物だよ。 ここには長編、短編小説や随筆−エッセイが集まる。 日常も非日常も、この世もあの世も、加えて君がいる世界とは違う新たな世界も、ここには“扉”として存在している。 喧嘩なんて物にも価値が生まれる。 それがこの場所の存在する理由。 _君は、この真っ白な扉を何色に染める? そういえば、まだ私の名を教えていなかったね。 私の名は、Novelee。 今後とも宜しくね。

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ショート(扉編)

友人作 ショート2

 夕焼けの光が教室を照らす。この風景が、この世界で1番美しいと僕は思う。この美しい空間に僕はカメラを向ける。   ピピッ、パシャ。ピピッ、、  『…! イエーイ!』   パシャ  思わぬ邪魔が入った。何故コイツは僕が写真を撮っている時に限って邪魔をしてくるのか…。  『ねえ、良い写真撮れた?』  「…ああ、撮れたよ。君という美しくない被写体が入った、それ以外は完璧な写真がね。」  『シンプルにひどい…。これでもモデルをやっている身なんだけど。』  「モデルはモデルでも、“売れない”モデルだろう。」  『それでも、モデルはモデルですぅ。』  「美しい被写体を撮った物でなければ、それは写真とは言い難い。これは僕のモットーだ。何度も言っているだろう。」  『えっ、ウチは?』  「…。ハァ。」  『ため息つかれた?! モデルがいるのに撮らないとか、なんのためのカメラなん?! えっ、あなた、写真部だよね?』  「僕が写真部に所属しているのは、学校に合法的にカメラを持ち込むためだ。それに、僕は僕が“美しい”と思った物しか写真に撮らない。ましてや人物など…もってのほかだ。美しくない。美しいと思ったことも無い。…分かったなら、もう僕の邪魔をするな。いいな。」  『つれないなぁ…。』  コイツはそう言って、僕の近くの机に足を組んで座った。写真に撮ってもらう事を諦めたらしい。コイツのスラーッとした足がより長く見える。  同じクラス、同じ部活に所属しているコイツは、僕が写真を撮っている所にいつの間にか現れては邪魔をしてくる意味の分からないヤツだ。  なぜ、邪魔をするのか。なぜ、僕に絡んでくるのかは、知るよしもない。知ったところで僕の人生に得はないのだが。  『ねえ、君が撮った写真見せて。』  「…何故見せなければならない?」  『なんでって…。ウチが見たいから。』  「じゃあ、見せなくていいな。」  『いや、なんでなん?! 何をどうしたらそんな結論になるん?!』  「あれをこうしたら、そういう結論になった。」  『答えになってないんですけど?!』  「答えた所で君は納得しないだろう。」  『そっちの方が納得しないんだけど。』  そう言ってコイツは年頃の女子らしく口をとがらせた。  「…ハァ。いいだろう、教えてやる。君に見せたところで僕の人生に得は無いと僕が判断したからだ。…これでいいか? 僕は言ったぞ?」  『えぇ…。いいじゃん、見せてよぉ! それとも、見せられない写真でもあるのかなぁ?やだぁ、やらし~w』  クスクスとニヤつきながら僕を見るコイツの顔はとてつもなくムカつく顔だった。  「…あぁ? そんな写真は無い!俺はそんな写真は撮らない!」  昔の一人称に戻ってしまうほど、僕は冷静さを失っていた。ニタリとコイツは笑いながら僕にトドメとばかりに言葉を紡ぐ。  『じゃあ、見せてくれるよねぇ?』  「…くっ…。ハァ。分かったよ。好きにしろ。その代わり、俺の利益になるような事を後でしてくれよ。」  『オッケー! そうだなぁ…。あっ、ウチがモデルになっt』  「お前話し聞いてた?」  コイツは僕のカメラをいじりながらボケをかましてきた。チロッと舌を出して可愛らしい顔をしている。こんなんで、許してもらえると思っているのだろうか…?  『マジで教室しか写ってないじゃん! つまんなっ!』  「…ハァ。だから言っただろう。やましい写真など無いと。」  『…ふぅん。』  じぃっとコイツは僕の顔をのぞいてきた。今までこんな事をしてこなかったのに、いきなりなんなのだろうか。  「なっ、なんだよ…。いきなり人の顔をのぞき込んで。何か顔に付いているのか?」  『ううん、違うの。…あーあ、やっぱり分かんないや。』  「? 分からないって? よく、何考えてるか分からんとは人に言われるが。」  『…人の目を見るとさ、分かるんだよ。その人がウソをついているかどうかが。あの世界ってウソを見抜ける目がないと生きてはいけないからねw じゃなきゃ簡単に、他人に、食われる。そんなもん。あの、きらびやかなセカイは。』  「…。」  『でも君は分からないんだよねー。何度顔を見ても、何度目をのぞき込んでも。君はまったく見えてこない。…だからウチは君に惹かれるんだろうね。』  「…はあ? 何を言っているんだ?」  コイツの顔はひどく真剣だった。今までに見たことが無いほどに。  そんなコイツに現在進行形でウソをついていることが後ろめたくなった。  『なんかしらけちゃったね。ゴメン、ゴメン。カメラ返すよ。』  「…ああ。」  座っている机の上でのびをするコイツをカメラの動作チェックの振りをして写真に収める。   ピピッ、パシャ  僕が美しいと判断した物しか写真に撮らない―これが僕のモットーだ。やはり、自然体のコイツの方が写真に収める価値がある。  オレンジ色の世界が終わりを迎え、静寂が僕たちを包み込む。  僕が思う美しい、幸せな時間がずっと続けばいいのに。僕はそんな願いをカメラに込めながら、帰る準備をした。           END

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4−1

−−受験から一週間後  後方でそわそわする母を無視しつつ、俺はパソコンを開いて時間を確認する。 「…後1分」  今日はユニヴェール歌劇学校の合格発表の日だった。インターネットのホームページ上で行われる合否判定。その画面の直前をぼんやりと見つめ、待つ。  もし受かっていなければと考えかけて、やめる。そんなの、一つに決まっているのに。 「ほら、照。時間よ」 「…あぁ、うん」  母の声で我に返る。そしてその画面を開いた。  部屋に沈黙が落ちる中、自分の番号を探す。そして_ 「…あ、ある」 「え⁈本当に?お母さんにも見せて」 「ほらここ」 「……!ある!番号、ある!」 「語彙力消し飛んでるけど大丈夫?」 「だって…そりゃそうよ。自分の息子が自分の好きな学校に行ってくれるんだから!」  久しぶりに見た母の涙は、昔と違って喜びに満ちていた。その表情を見て、俺も笑う。 「ありがとう、母さん。応援してくれて」  その瞳には何も写さず。 *** −−4月3日−ユニヴェール歌劇学校 「…ふぅ」  目の前の校門を見上げ、一つ息を吐く。周りには自分と同じく新入生が集まっていた。  友人同士で合格することが出来たのか親しげに話す人もいたが、大半は俺の様にひとりでいる者だった。  ふと、新入生の会話が耳に入った。 「なぁ、クラス分けみたか?俺オニキスだった!」 「え、どこどこ見たい」 「あっちで張り出されてる」  示された方向をつられて確認する。というか、自分も見た方がいいよな。  自分がもし、どのクラスがいいかと聞かれたらもちろんクォーツと答える。だって、あの人がいるから。  そんなことを考えながら歩き始めた時、同じ方向へ向かおうとしていた人に肩がぶつかった。 「っわ。すみません」 「!」  びっくりして、慌てて頭を下げる。なんだろう、デジャヴを感じる。 「ああ、こちらこそすみません」  相手も謝る。だがその時互いに固まった。  聞いたことのある声だったからだ。 「!まさか」 「入試の時の人?」  顔を上げると相手と目が合った。  入試の日にぶつかった人と同じ顔をしていた。黒髪に黒い瞳。そこだけ見れば日本人の特徴が強いが、海外の血が混ざっているのか顔の彫りが深い。ただひとつ先日とは違うのは、ユニヴェールの制服を着ていることか。 「お前も受かったのか」  俺がそう言うと少しだけ恥ずかしそうに笑い、頷く。 「そっちも受かってたみたいで、よかった。俺は、瀬川翔という」 「鯨木。よろしく」 「よろしくな」  軽く握手をして互いの健闘を讃えあう。今ここで人脈を作っておいて損はないだろう。 「瀬川はクラス見たか?」 「これからなんだ。そっちは?」 「こっちも。どこに行きたいとかあるか?」 「クォーツ。…がいいかなって」  俺の問いに間髪入れずにそう答え、途端に自分の勢いに気づいたのか減速した。 「何?クォーツそんなに好きなの?」  クラス確認のため移動しつつ、からかいを滲ませて言うと瀬川は少し照れてはにかむ。 「…『ユニヴェールの至宝』って、知ってるか?」 「あーなんか昔いたクォーツのジャックエースだっけ」 「そう。あの人を、『立花継希』見てユニヴェール歌劇が好きになったんだ。入学できなくてもいい。ずっと見ていたいって」 「ふーん。でも、今は入学してるよな。立花継希が居なくなって不満だったからとか?」 「違うよ」  首を振る。そして目の前のクラス表を見上げた。  真っ直ぐで、揺らぎのない瞳で。 「『クォーツの至宝』。立花希佐を知って、あの舞台に立ちたいと思ったんだ」 「…やっぱ、そうだよな」 「あぁ。凄いんだ。2歳しか歳は離れていないのにな。そして」  クラス表のクォーツの欄。そこには__ 「俺たちの先輩だ」 ___________________  ・・・  瀬川翔  ・・・  ・・・  鯨木照  ・・・  ・・・ ___________________  二人でもう一度握手をする。黒い瞳と視線が交わる。 「改めて、これからよろしく」 「おうよ。よろしく」

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はじめに  こちら原作『ツイステッドワンダーランド』とはなんら関係のない2次創作となっております。この作品には以下の要素が含まれます。 ・not監督生 ・原作ストーリー改変 ・男主人公 ・オリキャラ何人か(一部女子も存在) ・原作知識不足 ・女監督生有(デフォ名) これらに嫌な予感がした方は読み進めることをお勧めしません。 それでも良いという方はお楽しみくださいませ。 「__次の者は、闇の鏡の前へ」  厳かな空気に包まれる鏡の間にて、学園長の声が響く。いつもは教師陣の話を聞かない生徒達も、疲れた表情をしながらも大人しく式が進むのをじっと待っていた。  やがて学園長の声で、一人の少年が前に出る。  足の運び方、姿勢の良さからどこかの貴族出身だと彼を見た者は思うだろう。  赤いようでどこか紫がかったマルーン色の髪の間から見える、そのレモンイエローの瞳は真っ直ぐと鏡を見つめていた。  どこか幼さを感じるのはまだ15歳という年齢か、それとも彼が童顔なのか。フードから溢れる様に肩には茶色い髪が垂らされていた。  少年は鏡の前に立つ。 「汝の名を告げよ」  闇の鏡の問いに、少年は答える。 「シイヒ・フレーローです」 「…シイヒ・フレーロー。汝の魂のかたちは……」  レモンイエローが、闇の鏡の緑の光を受けて輝く。 「熟慮の精神。スカラビア寮」  闇の鏡の言葉にシイヒはふわりと笑う。そして恭しく頭を下げた。 「ありがとうございます」  ひとつ礼を言ってから、シイヒは鏡の前から離れた。そんな少年の行動に他の生徒達は顔を見合わせる。  闇の鏡に礼を言うのかと。  しかしシイヒは他生徒達のヒソヒソ声には気づかないまま、自分が元いた場所へと戻る。ただただ寮へと入ることが出来たことに喜びを噛み締めていた。  シイヒの友人は彼を小突き苦笑いを零す。 「NRCっぽく無いんだよなぁ…」 「…え?何が?」 「何も言ってないよ」  次の生徒を呼ぶ学園長の言葉で、友人は鏡の前へ向かった。  元々フードを被る気がなく、動くことによって外れてしまったのを直すこともなく闇の鏡へと向かう。  ハーフアップにしたライムグリーンの髪は、毛先になるにつれてアイスグリーンへと変わっていく。  そして鏡の前に立つと、闇の鏡が尋ねる前に名を告げる。 「オゼア・フリエンド」 「……汝の魂のかたちは」 「スカラビア。でしょ?」 「………」  沈黙。それが答えだった。  それを確認してオゼアは満足げに頷く。そして踵を返し、元いた場所に帰ろうとする。が、思い出したかの様に振り向きアイオライトの瞳を細める。 「どーも」  そしてオゼアはシイヒのそばへと戻ってきた。 「駄目だよ相手の言葉遮っちゃ」 「お礼は言ったけど?他の生徒は言ってなかった」 「それはそれ。これはこれだよ」  そんな二人の様子を見て、学園長は一人嘆く。  ああなんでうちの生徒はこうも個性が強いんでしょう。と。  そしてこの後にも学園長は嘆くことは続く。  それは魔物と魔力を持たない異世界からの新入生によるものだとは、知る由もなかった。

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上司と助手 *

朽野 玲(助手) 性別:男 年齢:23 身長:170上あたり 一人称:自分、僕 好きなもの:炭酸系、音楽、楽しそうなこと、上司 嫌いなもの:テレビ、花 特徴:花崎探偵事務所副所長。基本目に光がない。上司を心酔している。よく見ると目が笑っていないが人付き合いがうまく、依頼人と話すのは主に彼が行う。 花崎 零(上司) 性別:女 年齢:23 身長:170ちょっと前 一人称:私 好きなもの:フルーツ系の紅茶、映画、面白そうなこと 嫌いなもの:ネット、炭酸系、助手の嫌いなもの 特徴:花崎探偵事務所所長。曲がったことは嫌いな性格で、はっきりものを言うため助手の胃が休まらない。あまり笑おうとしないが、元々がかなり整った容姿のため街を歩くとすれ違った人が振り向く。 二人の関係性(※花吐き病が存在する世界です) はじめに  花吐き病とは…ググれ。(誰が説明すると言った?) 上司の両親は国民なら知らない人はいない程有名な俳優。そのため幼い頃から子役としてカメラに写り続けていた。それを見た幼い頃の助手は、彼女の輝く舞台を作りたいと将来の夢をディレクターにした。 が、中学の時突然芸能界から彼女は引退する。マスコミへの返答は「面白くない」のみだった。ファンとして受け入れるものの、夢を失った彼はただただ呼吸をしていた。そしてそれに加え、高校の時にはずっと支えてきてくれていた両親が花吐き病にかかり目の前で心中。二人を覆う花々が目に焼き付き、花を見れなくなる。 数年後アルバイトをして何となく生きていた彼は、通りがかりに言い争う男女を見つけた。女性の姿を見て瞬間的に憧れていた彼女だと気づき、庇う。それが二人の出会いだった。事情を説明してもらい、探偵をしていると教えられた彼は、直ぐに「助手にしてください」と願い出た。  彼はもう一度、生きる理由を手に入れた。

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