SHIDA
9 件の小説SHIDA
こんにちは、SHIDAです。小説を読むのが好きで、自分も書いてみたいと思い始めました。物語を作るのは超絶ヘタですが、頑張って勉強して書いたので、1つでも読んでもらえるととても嬉しいです。ちなみに投稿は不定期です。
君の笑顔は嘘をつく
俺は君が大好き。 君も俺を好いてくれる。 君の笑った顔が大好きだ。 ふとした時に見せるその顔が、 太陽みたいに笑うその顔が、 俺に元気をくれる。 君の楽しそうな顔が大好きだ。 一緒に買い物に行く時、遊びに行くとき、 楽しそうに笑うその顔は、誰よりもかわいい。 天使みたいだ。 君はたまに暗い笑顔を見せる。 なんかあった?無理しなくていいよ? 俺がそう言葉をかけても、 君は大丈夫と、無理して笑顔を見せる。 君はいつも俺と一緒にいてくれる。 君と出会えて本当に良かった。 嬉しい時も、悲しい時も、 ずっと一緒に居れたらいいな。 今日の君は元気で楽しそうだ。 たまに見せる暗い笑顔は心配だったが、 また俺の前で笑ってくれる君に安心する。 大好きだよ。 君は俺に泣いた顔を見せない。 無理しているのか、見せたくないのか、 君は目を擦ると、ぎこちない笑顔を作る。 少し心配だ。 君は俺に不安な顔を見せない。 無理して笑うその顔は、俺を不安にさせる。 無理しないで…我慢しないで… いつでも俺を頼って。 今日は君は学校に来なかった。 1人で歩く通学路はとても寂しい。 心配だったので帰り、君の家に寄った。 でも君はなんでもないと言い、俺を部屋に入れてくれなかった。 今日も君は学校に来ない。 LINEは〝大丈夫〟の一点張り。 心配だけど、〝大丈夫〟なら安心だ。 いつでも学校で待ってるよ。 1週間経っても学校に来ない。 1ヶ月経っても学校に来ない。 心配、寂しい、そんな想いも君には届かない。 会いたい、顔を見たい、そんな願いも叶わない。 心配だけど、いつまでも待ってるよ。 また君が笑ってくれるのを楽しみにしてるよ。 何かあったら、俺を頼って欲しいな。 君は死んだ。 自殺と誰かが言っていた。 君ともう二度と会えない、ただそれだけが悲しかった。 だから、 今すぐ俺もそっちに行くよ 待ってて… −−−完
君がいるから
俺は朝がとても苦手だ。 昼間はとても元気なのに。朝は本当にダメな体だ。 布団から出たくないとか、もっと寝ていたいとか、 そんな感情では無い。 朝起きて思うこと、それは 『あぁ…死にたい』 些細な悩み事でも、この時は死にたいって思うほど。 特に最近は高校に入学したばかりで、色々な事があったから、 より情緒が不安定になる。 どうしてだろう… 夜は早く寝てるのに。昼間はあんなに楽しいのに。 毎朝最悪な気持ちで起きるのはどうしても慣れないや。 朝だけ鬱状態だ。 だから俺が学校を休むのも別に珍しくはない。 でも、ここ最近は毎日学校に行けている。 俺に初めて好きな人が出来たからだ。 〝好き〟っていう感情はすごい。 朝、起きた時に死にたいと思っても、 まるで朝の太陽が窓から差し込むように、 朝の俺の不安定な情緒を支えてくれる。 〝君がいるから〟 〝君に会えるから〟 俺は朝、頑張って布団から出ることが出来る。 たとえこの初恋が実らなくても、 君がいるから俺は生きていける。 そんな君の名前は〝朝陽〟 好きになったのは名前が理由じゃない。 太陽のように笑う君の笑顔が大好きで、 太陽のように明るい君の性格が大好きだからだ。 文字通り君の存在は朝日のようだ。 いつか君と会えなくなる日が来たら、 その反動でまた鬱になるかもしれない。 でも、少なくとも今は、君がいてくれる今は、 俺の朝に希望が生まれるよ。 本当にありがとう。 −−−完
もう…遅いみたいだね【後編】
臨海学校の帰り。 バスの座席は相変わらず彩が隣。 告白の後、彩が俺にどう接してくるのか分からなかったが、 案外何も変わらなかった。 帰りのバスも前と変わらず彩と話しながらレクをしていた。 楽しい。 こうやって彩と話すのが楽しい。 この時の俺は、これでいいと思ってしまっていた。 友達よりも深い、恋人という関係じゃなくても。 いや、この時の俺は恋人というものもよく知らないか… そんな曖昧なまま、俺の楽しい臨海学校は終わった。 −−−夏休み明けの9月。 俺は彩に告白の返事をしないまま、 彩も俺に返事を求めないまま、 俺たちは夏前と変わらず過ごしていた。 そんな中、俺たちの生活を大きく変える出来事があった。 それは、校舎の改修工事が始まるという発表だった。 つまり、工事期間は仮校舎。 俺たちは約1年間、少し離れた仮校舎へ毎朝用意されたバスで 移動することになった。 もちろん帰りもバス。 ただ、行きと帰りのバスでは大きな違いがあった。 それは、行きは学区ごとに決まった班で、決まった座席。 帰りは、クラスごとのバスで、自由席。 もちろん、帰りのバスの隣の席はいつも彩だった。 俺らの仲は健全。 まるで臨海学校での出来事は無かったかのように。 他愛もない話で盛り上がる。そんな毎日が続く。 −−−肌寒くなってきた11月。 相変わらずバス通は続く。 朝早く起きるのにも慣れた。 仮校舎の複雑な作りにもすっかり慣れた。 廊下がめちゃめちゃ長いのは今でも理解出来ないが。 そんなある日の帰り。 彩が降りる俺らの学校だけのバス停まであと数分の時。 彩が、小さな声でこう言ってきた。 「これ、受け取って。」 彩の手には少し大きな手紙。 忘れていた臨海学校の出来事がふと蘇る。 俺に手紙を渡すと、彩はバスを降りていった。 1人になる。まだ手紙は見ない。 家に帰ってから読もう。そう思った。 俺は家に帰るなり、すぐさま手紙を広げた。 そこには、こう書いてあった。 −−−わたしのこと、好き? それともきらい? 好きだといいな。待ってるからね。−−− 待っているというのはきっと返事の事だろう。 2度目、か… よし、返事しよう。決心した。 俺は彩のことが好きなんだ、きっと。 一緒にいて楽しい、一緒にいて落ち着く。 そんな小さな理由から、俺は俺の気持ちを確信した。 そう思って手紙をもう一度読もうとした時、 ふと裏にも何か書いていることに気づいた。 長々と文章が書いている。 よく見ると、それは歌の歌詞のようだった。とても長い。 俺はその歌詞を読んでみる。 読んでみるが、1行読んだ時にあることに気づいた。 知っている曲だ。 この単語、このフレーズ、全てに見覚えがある。俺も好きな曲。 なぜ彩が曲の歌詞を書いているのか。最初は分からなかった。 でも、すぐに分かった。 きっとこの歌詞に彩の想いがあるんだろう。 直感でそう思う。 そして、考えるより先にサビを見る。 「あなたにとって 大事な人ほど すぐそばにいるの」 ああ、そうだ。大事な人。俺にとっての大事な人。 すぐ側にいるじゃないか。 このフレーズは、彩が思っている事なのか、 俺にそう思っていてほしいのか、俺には分からない。 だけど、少なくとも俺はそう思っている。 だからこそ、伝えないといけない。 俺はさっきより強く決心した。 −−−その日から1ヶ月後。 俺はようやく彩に返事をしようと思っている。 遅くなってしまった。返事の内容を考えるのが長すぎた。 まあ、あの手紙の通り、彩はきっと待っていてくれているだろう。 遅くなって申し訳ない。 でも、決心したことは変わらない。 あとは伝えるだけだ。 緊張する。これまでにないくらい。 なぜだ。返事をするだけなのに。 相手が自分を好きなのは分かっているのに。 でも俺は男だ。やるしかない。 時は昼休み。彩を廊下に呼んで、話す予定だ。 まずは彩に声をかける。 その時、俺が彩を呼ぶ前に、彩が俺を呼んだ。 想定外のことにビックリしたが、彩も俺に話があるらしい。 俺たちはとりあえず廊下に出る。 彩は少し下を向いている。 どうしたんだろう。話ってなんだろう。 俺の頭はさっき以上にこんがらがっている。 その時、彩が口を開いた。 「ごめん、私。新しく好きな人が出来た…」 俺の頭から全てが消える。真っ白。 え?嘘?そんなことを考えていると思う。 なんで?どうして?そんな言葉も、声には出せてない。 ようやく声に出てきたのは、 「へぇ、そう…なんだ…」だけ。 「ごめん。前、告白しちゃったけど、今は好きな人いるから。 私を、好きにならないで。」 心を保っていられない。もう、心が、心臓が、ダメだ… その瞬間、俺は全てを理解した。 そうか。全てが、遅かったんだ… 俺は大馬鹿者だ。とんでもないバカだ。 今更分かってももう遅い。何もかもが遅い。 2回も告白してくれたのに。2回も好きって言ってくれたのに。 よく分からないとかいう曖昧な理由ばっか付けて。 何ヶ月も返事を待っていた彩の気持ちも考えないで。 そりゃ、こうなるよ… 何してんだよ、俺は… 本当に… 俺は彩に「ごめん。俺は大丈夫。」そう言って去った。 俺が初めて、恋を学んだ瞬間だった。 −−−完 この物語はフィクションです。 最後まで読んで頂きありがとうございました。
絶望の終着地 第1章 幸福と絶望 3
SHIDA 「ピッ、ゴトン」 学校の下駄箱にある自販機の音。 俺ら卓球部は部活終わりに自販機に群がって、 「ぷはぁ」の時間を楽しむのが習慣になっている。 俺が飲んでいるのはレモンスカッシュ。部活終わりのこの炭酸がたまらない。 「ちょ颯斗、そのスカッシュ貸してみ。」透也が言う。 「なんや〜」そう言いながら透也に渡す。 次の瞬間、透也はこれでもかってぐらい俺のスカッシュを 振りまくった。 「おい!w なにすんねん!」 俺は笑いながら勢いよくスカッシュを奪った。 まわりのみんなも笑っている。 「おいどうすんだよこれ〜」 蓋を開けようとするが、炭酸の泡がプシュプシュ言いながら 吹き出そうとしてくる。 俺は蓋を全部開けた。 溢れてくる炭酸が手にかかる。 冷たい。でもその冷たさが気持ちいい。 「ふざけんなよ!!w」 「うい〜〜」透也が煽るように言う。 俺は少し変人かもしれない。 炭酸をかけられて嬉しいとか。でも、楽しいのは事実。 そんな小さなことが嬉しかった。 「じゃあなー」「また〜」 そんな解散の声の中、俺と透也は一緒に駅へ向かう。 帰りも一緒だ。 ホームの1番線と2番線。俺が2番線で透也が1番線。 俺たち2人の別れは同じホームである。 俺の電車が来た。 「じゃあまた〜」「おう!」 俺は電車に乗り込む。定位置は4号車のドアの前。イヤホンを耳に押し込み、音楽をかける。 見慣れてきた風景。左から右に流れていく建物。 空は相変わらずの曇り空。(なんならさっきより暗い) でも、今日は少しテンションが上がっている。 なぜなら今日は俺の大好きなアーティストの新曲リリース日 だからだ!これはテンションが上がる。 リリースは今日の20時ちょうど。ルンルンだ。楽しみに している分、いつもより時間の流れが遅く感じる。 「次はー新南木町ー新南木町ー」 新南木町(しんなんもくちょう)。ようやく俺の最寄りの駅に 着いた。急ぎ足で改札を通る。別に急いだからってリリースの時間が早まる訳でもないが。 駅から家までは徒歩5分。いい立地。 自然と急ぎ足になる。いい意味で。 駅を出て、家に向かう途中、救急車の音がする。 (最近救急車よく見るな。) そんなことを思いながら歩く。 パトカーの音も聞こえる。 (なんかあったんかな。結構家に近いっぽい。) 次の角を曲がると家。急ぎ足のまま曲がる。 俺の家の前に止まっている救急車。 次々と到着するパトカー。 黄色と黒のテープ。 家の前に群がる多くの人々。 何も理解できない。何も頭に入ってこない。 何が起こってるんだ?俺の家で何があった? 今までに無いくらい心臓がバクバクしている。 何?何?何?何があった?何が起こった? 思わず周りの人が話しているのを聞く。 「強盗が……たん…すって。」 「お隣……が救急車呼んだ………わよ。」 聞こえてきた単語に更に心臓がバクバクする。 強盗…? 救急車…? まさか!?……… ちょうどストレッチャーに横たわって救急車に乗っていく 人を見る。 母…さん…? 母さんだった。間違いなく。 は…?? 第1章 幸福と絶望 4 へ続く
自己紹介
どうもこんにちは、SHIDAです。 ありがたいことに、僕をフォローしてくれている方が出来始めた (本当にありがとう!)ので、ここで自己紹介をしたいと 思います。 【名前】 名前は「SHIDA」というものでやらせてもらってます。 由来は結構テキトーで、僕の苗字が「石田」なので、そこから 取ったという感じです。 気軽にSHIDAと呼んでください! 【年齢】 15歳の、高校1年生です。 高校生最初の夏休みを満喫してます。(宿題やべぇ…) 【性別】 男です。 【出身地】 トーキョーです。 【性格】 楽観的で、とりあえずなんでもやってみよう精神で 生きてきました。 慎重という言葉を知らない男です。 ですが、恋愛に関してだけは奥手で慎重かもしれません。 どうぞよろしく。 【趣味】 僕の趣味は多くも少なくもないです。 動画投稿サイトへの動画投稿、作曲、ピアノ、 そしてこの小説作りですね。 動画投稿も音楽関係なので、趣味も全体的に音楽関係が多い… 基本的に僕は飽き性ではないので、昔からのこれらの趣味を 大事にしてます。(小説作りは始めたてホヤホヤ) 【特技】 意味のない文字列を暗記することですかね。 例えば、歴代天皇だったり、歴代元号だったり、都市名だったり。 覚えてても役に立つことは……無いですね… (使えねぇなぁ) 自己紹介のネタが思いつかないのでここまでにします。 なにか聞きたいことがあれば気軽にどうぞ! 仲良くしてください😉 −−−終
もう…遅いみたいだね【前編】
これは俺が小学5年生の時に、クラスの女子から告白された話。 暑さのピークが来る8月。 俺たち5年生は一大イベントの臨海学校があった。 班に別れて海での遊泳。 スイカ割りに砂の城大会。 そしてキャンプファイヤー。 初めての移動教室であるため、多くの楽しそうなイベントに 俺たちは心を踊らせていた。 −−−ついに当日。 バスで宿泊地まで移動する。 俺はレクリエーション係という仕事をしていた。 これは、バスでのレクやキャンプファイヤーの 企画、運営などが仕事だ。 そしてこの係の人は、バスでのレクをやりやすくするために バスの座席は前方に集まっている。 バスのマイクを使うためだろうか。 俺の隣には同じレク係の彩。 顔立ちもよく、明るい性格。 異性というものをあまり気にしない年頃の俺たちは仲が良い。 −−−1日目。 今日は海で泳ぐ日。 特に他と変わりなく、俺は班のみんなと海で遊んだ。 その後の砂の城大会でも、賞は取れなかったがとても楽しかった。 そんな普通の臨海学校…になるはずだった。 その日、宿舎に帰った後の自由時間に事件が起こる。 事件という程でもないが。 俺たちの宿舎は、男女別館の、少し古臭いものだった。 俺が部屋で友達とババ抜きで遊んでいると、 他のクラスの知らない男子が俺を呼んだ。 どうやら男子棟の玄関で、「俺を呼んできて欲しい」 と言った女子がいたそう。 俺はよく分からないまま2階の部屋から下へ降りた。 玄関に着くと、俺を待っている女子がいた。 彩だった。 「なんだ、彩か。どした?」 彩は照れくさそうにして、顔を赤くしながら俺に 紙切れを渡してきた。 「何これ?」 「部屋戻ってから見て!」 彩はそう言って小走りで帰って行った。 なんだ?直接言えばいいのに… 俺はそう思いながら上へ戻る。 部屋に戻ると、即ババ抜きが再開されたので、 彩からの手紙はポケットに入れて友達と遊んだ。 −−−夕食前。 俺は手紙のことをふと思い出し、思わずポケットを探した。 数十分前、俺に忘れ去られてポケットに突っ込まれた手紙は、 きちんとズボンの奥にあった。 折りたたまれていたので広げてみる。 「好きです 付き合ってください」 それだけ書かれていた。 小学5年生の俺は、それを告白と捉えるのに少し時間がかかった。 「おーい。早く行くぞー。」 俺を呼ぶ友達の声。 そうだ。今から夕食に行くとこだった。 俺はまた手紙をポケットにしまって食堂へと向かう。 −−−寝る前。といっても消灯後。 俺はあの手紙について考える。 この時の俺は付き合うの「つ」の字も知らない。 彩が俺を好きなことだけ分かった。 まあいっか。 今までも結構仲良かったし。 今まで通り過ごそっと。 この時の俺はバカだった。 もう少し彩の気持ちを考えていれば。 もう少し恋愛について知っていれば。 あんな事にはならなかったのかな… −−−【後編】へ続く
絶望の終着地 第1章 幸福と絶望 2
SHIDA 高校から始めた卓球。仮入部の時、ラケットの持ち方すらままならない俺を先輩は優しく教えてくれた。そこから卓球が楽しくなり、今は入部してそんな先輩たちと、ノリがいい同級生たちと活動している。 学校の最寄駅を出たタイミングで音楽を聴いていたイヤホンを 取る。必ず〝アイツ〟がいるからだ。 「おっす、どうした。眠そうな顔して。」 「うるせぇ、目が細いだけだわ!」 同じ卓球部で友達の透也(とうや)が俺の細目をイジってくる。 「まあ、今日は11時起きで、起きたばっかだから、 眠いっちゃ眠い。」 「マジ?相変わらず颯斗の睡眠時間バグってんなぁ。」 「いや、昨日は3時に寝たから睡眠時間は健康的。」 「どこが健康的だよ!」 他愛もない会話。コイツとは話してて楽しい。 駅を出たすぐのコンビニの前で会った俺たちは、そのまま2人で 学校へと歩く。 「あっ、そうそう、聞いてよ!」透也が言う。 「んぁ?」 俺のいかにも眠そうな返事は、横を通ったバイクの音でかき 消された。多分聞こえていないが、透也は話を続ける。 「今日、マジでやべぇ夢見た。」 「えっ、どんな?」 「家が火事になって、俺以外の家族がみんな死んじゃう夢。」 「えっ、えぐ。」 ビックリして俺は思わずコケそうになる。 「いやー、久しぶりに怖い夢見たわ。」 「怖いどころじゃないだろ、そんなん。」 「確かに。夢って自分の頭で想像するよりリアリティある描き方 するからホントやだったなぁ。」 「えっ、何?透也もしかして夢にビビっちゃってる感じ?」 俺はちょっと煽る感じで言った。 「べぇつにぃ?」 透也の言い方も若干腹立つ。 でも、家族を失うってどんな感情なんだろう。 今の俺にはあんま分かんねぇや…心の中でそう思う。 割と出会ったばかりの俺ら2人。それでももう普通に仲がいい。 俺はそれがとても嬉しかった。 学校に着いた俺らは曇り空の下、体育館へと向かう。 数分前の会話など忘れかけながら。 第1章 幸福と絶望 3 へ続く
絶望の終着地 第1章 幸福と絶望 1
SHIDA 俺は椿颯斗(つばきはやと)。高校1年生。 今は夢の中。太陽がもうすぐ昇り切ろうとする午前11時、 俺はまだ寝ている。 タンタンタン、誰かが階段を上る音。そんな音が俺に聞こえる はずもなく、2階の俺の部屋のドアが開く。 「颯斗!はーやーと!早く起きなさい。もう11時になるよ!」 母さんの声。夢の中にあった意識が少しずつ現実に戻ってくる。 「えっ、もう朝?」 「何言ってんの。昼だよ昼!」 部屋のカーテンを力強く開けながら母さんは言う。 「今日あんた部活でしょ。早く起きてご飯食べなさい。」 現実に戻った意識が昨日までの記憶を蘇らせる。 「へーい」と、適当に返事をして枕元のスマホを手に取った。 午前11時05分の表示。LINEの通知。かわり映えのない、当たり前のように訪れる朝に、特別〝幸せ〟を感じることも無く、何十回、何百回と通った階段を今日も下りる。 俺は音楽が好きだ。 通学の時も、ご飯の時も、暇な時は音楽を聴いている。今日も大好きな音楽を聴きながら、ご飯を食べる。朝食か昼食か分からないご飯を秒で平らげ、部活の準備をした。 「今日は何時くらいに帰ってくるの?」 「4時くらい。また連絡する。」 そんな母さんとのいつも通りの会話をして、俺は家を出た。 「行ってきます。」 「行ってらっしゃい。」 当たり前だと思っていたやり取り。 そんな俺の考えを180度変えさせる出来事は、空いっぱいに 広がる薄暗いどんよりとした雲が暗示していたのかもしれない。 第1章 幸福と絶望 2 へ続く
絶望の終着地 あらすじ・第0章
SHIDA −あらすじ− 都会でも田舎でもない町に住んでいる俺、椿颯斗(つばきはやと)。ようやく高校に慣れてきた15歳の5月。平凡にも楽しく過ごしていた俺は、突然家を強盗に襲われたことにより家族を失った。その日、学校で部活をしていた俺だけが助かった。 家族が大好きだった俺は、何も考えられなくなり、ただ1人泣いていた。しかしそんな時、俺の前に1人の少女が現れた。ずっと俺の話を聞いてくれるその少女は病気で、余命3ヶ月だそう。大切なものを失いたくない。その一心で俺はまた1人になろうとする。 これは、 絶望の中から俺の生きる答えを探す、 家族愛と人生を描いた物語。 −第0章− 一瞬 壊れるのは、いつも一瞬。 今まで作り上げたものも、守られてきたものも。 俺が大切にしてきたものも、第三者によっていとも簡単に 壊され、踏み潰され、塵となり… 大切なものは、失ってから気づく。 たとえそれが、家族だったとしても。 そう、 「家族」だったとしても。 第1章 幸福と絶望 へ続く