雷星
28 件の小説鏡の花 #0
五年前、某日。 これは幻想的で、夢のようなお話、いわゆる「夢物語」に近いもの。 −あるところに、まるで天国をも思わせるような世界があった。そこに暮らす人々は、いつも自由に暮らしていたのだった。だが不思議なことに、皆一日に一回は必ず一つの部屋に入って行ったのだった。それだけではない。私たちの暮らす世界の人間全員とそっくりなのだ。でも、私たちの世界の人より、ずっと幸せそうらしいな。仕事も勉強もないから、心が幾分か楽なのだろう。ゲーム機も、テレビも、スマホもないけど、その方がいい世界になるようだ。ただ、一つだけ。たった一つ、絶対に守らなければならない規則があった。それを破ることは許されない。 その規則は、『鏡には絶体写ること』 この規則を破ることは、詰まるところ鏡像の喪失となる。 ーーそう、ここは鏡像たちの住まう世界。この世界は、私たちと掛け離れた存在。そこへ通ずる扉は、存在するのかしないのか、といったものだ。もしかしたら、意外なところにあったりするかもしれない。 このおばあちゃんの話を聞いていた瑠奈(るな)は、正直信じられなかった。でも、もう一人の自分とは、どんな本当の性格なのだろう、と思っていた。 瑠奈の住む家には、裏に蓮の花があった。それもたくさん。その中に、ひとつ、硝子の様な、鏡のような花があった。その花の中には、沢山の人々の姿があった−。
報告
ボク、凛凛はなんと!卒業しましたぁ〜!いぇ〜い!えと、それで、これからは、新しい名前でやっていきたいと思う!アイコンも変えた! 『雷星』(らいせい) と言う名です。サムネがアイコンです! 中学生としてこれから忙しくなりますので、まぁいつも通り投稿ペース亀または蛞蝓ですがよろしくお願いします!
桜の花弁
私はいつも、嘘をつく ある時は自分の気持ちに またある時は他人に対して みんなに嘘をならべてみせたり 「全力で」と言う言葉を使ったくせして、全力を尽くさなかったり もう、ぜんぶ嘘 私の言動には本当は映らない 私自身、嘘でできている様なものだから まぁ、社会を生きるってそんなものだけど でも、学校の卒業式当日 今日だけは 本気で恋したあの人に 気持ちを伝えたいって思ってた でも、付き合うつもりは無い あの人は恋人がいるし 同性だから 私の初恋は成就しない それでも伝える 好きだったって それで吹っ切れたならそれでいい ダメだった時は二度と関わらないようにして、忘れよう どれだけ手を伸ばそうと届かなかったあの人に 気持ちを伝えるって、本当の性別も一緒に言うんだって 決めたんだから −−−−−−−−−−−−−−− 気持ちを伝えてきたけれど やっぱり同性とは思わなかったって 驚いていた 同性に恋愛感情をもつとか 気持ち悪いよね でも、そう言われて、なんとか諦められた もう後悔しない 絶対に 桜の木並ぶ帰り道 花弁舞い散る美しい様 まるで映画のワンシーンだ もう迷いたくない 気持ちに嘘もつかない まだ生きていく時間は長いから
心のままに
私? あたし? 僕? 俺? 「一人称」って何ですか? 一人で決めたものを「一人称」と言うんじゃ無いの? ああ、考えるのが嫌になっちゃった “苦しいな” 可愛いもの かっこいいもの 何を好きになってもいいんじゃないの? 「多様性」って何ですか? 女の子なら可愛いもので、 男の子ならかっこいいもので。 そう思わなければならないの? そんなの自由じゃないよ。 “苦しいな” “男らしさ”?“女らしさ”? それって一体どんなのですか? どうすれば自分の性別通りに生きていけるの? わかんないや。難しいね。 心のままに選びたい もっと好きなものを好きって言いたい 同性を好きでいてもいい世界に生きたい そんな事も出来ないんだよ “自由に生きる”ってなぁに?
#7 ちょっとした絆
〜あらすじ〜 仲間と共に魔法都市を出た玲。ユイトやアルスト・ロメリア、リンドウと共にうまくやっていけるのか? −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ユイト視点−−−−−−− 旅に出て一日、俺らは見つけた洞窟にて一晩過ごすことになった。 「玲!ほんとに僕にオムレツ作ってくれるの⁉︎」 ロメリアの歓喜の声が響く。みんなロメリアに温かい目を向けているようだ。 「うん、今日はご馳走ね!お米は無いからカリフラワーライスになるけど」 玲は少し残念そうに言う。そんな二人を愛おしく思う。 「玲の料理は美味いぞ。特にこいつが作ったアクアパッツァは、ほっぺたがとろけ落ちるくらい美味い」 思い出して、ついよだれが出る。玲が素早くそれを拭いているのを見て、 「二人は熟練夫婦かな?」 と同時に聞くロメリアとリンドウ。 「二人も熟練夫婦かな?」 と返す玲。コイツらといると飽きねえな……。思わずふっと笑う。 「あ、ユイトが笑ってる!なんかあった?」 玲が聞いてくる。 「何でもねぇよ……」 と呆れながらも言う。コイツは彼女は欲しくねぇな俺。 「俺は嫌だよ。こんなのは。だってどう見ても俺の大事な子供だもん」 と真剣に言うと、 「いやセコムかよ」 と三人に返された。そんな事ない……はずだが……? (つうかなんでちょっとロメリアは拗ねてるんだよ) 「鈍感男め」 玲がぼそっと言ってたけど、俺にはばっちり聞こえてるぞ?二人には聞こえてないみたいだが。 ん……?なにかの、気配?気の所為か……?よし、今夜確かめてみるか……。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−玲視点−−−−−−− ゆっくり寝ていた時、違和感を急に感じ、目を覚ました。起き上がると、瑠衣が居ない。そんな事は、しょっちゅうだったので、また寝よう、と思ったら、 「玲!」 と震えた瑠衣の声が聞こえてくる。慌ててもう一度起き上がり、声が聞こえてきた方をみると、瑠衣が血塗れになって倒れていた。 「………………っ瑠衣⁉︎」 嘘、目が真っ黒だ。見ただけでわかる。息をしていない。目の前が真っ暗になる。うまく呼吸ができない。苦しい、瑠衣、瑠衣……! 「っ!んぅ……夢……?なら、瑠衣は……!」 そこまで言って、息を飲む。瑠衣ではなく、ユイトが居ない。嫌な予感がして、洞窟を出ていく。案の定、ユイトの声が聞こえた。 「うぐ……っ」 でも、それは洞窟の上辺りだった。急いで登ると、 「玲、来るな!」 そう私を見ずに叫ぶユイト。彼の目線の先には、魔物。思わず息を飲む。 「……もう逃げるつもりないよ。私」 そう言って、もしもの為にと持っていた剣を手に、思い切り跳び立った。 トゥービーコンティニュー
辛いこと
ねえ、君はどうしていっぱい辛いって僕に言ってくるの? そんなに僕より辛く無いよね? なんて口に出して言うわけにもいかないからさ 人の顔色、たくさんみてご機嫌とりさ どんなに追い詰められたって これが僕の生き方だからさ 否定されたって無理な話さ 僕は生きている! 今も生きている! これに幸せ感じなくっちゃいけなくて どんな逆境に立ってもね 僕は絶対諦めない こんなに辛いって言ってるのに、何でわかってくれないの? ねぇなんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?どうして?教えて? お願いだから、そんなに聞かないで “ああごめん、人の気持ちがわからないのね” そうじゃない、違うんだ。生きていて本当にごめんなさい 君なら大丈夫、僕なら大丈夫 そうやって決めつけないで 僕も僕自身を閉じ込めちゃダメ 辛いなら、この命 絶ち切ってしまおうよ お願いだ、決めつけないで “本当の僕に気づいて” 心からの叫びに気づいて お願いだよ 本当は、弱いんだ 心は脆いんだ 僕らから言うのは無理なんだ “無理しているなら、しないでいいよ。僕に辛いこと全部吐き出してね” 心に余裕があるのなら こう言ってあげて みんなに聞いてまわって それだけで 僕みたいな人が少なくなっていくから どうか、無理をする人が減りますように こんな祈りを捧げながら 僕は屋上を飛び降りる
キャラクター紹介!
今回は、遅すぎるキャラ紹介をするよぉ〜!それでは早速行ってみよ〜! −−−−−−−−−−−−−−− 玲(レイ) 十八歳 名前の由来→ら行の女の子っぽいの。 性格→面倒くさがり、冷静。 好きな〇〇→あんパン、本、仲間、瑠衣(親愛的なもの) 地雷→意味のない殺傷行為 −−−−−−−−−−−−−−− ユイト(瑠衣) 十八歳 名前の由来→日本にいそうな名前。 性格→優しい、面倒見がいい。 好きな〇〇→辛いもの、ゲーム、仲間、玲(親愛的なもの) 地雷→玲が傷つくこと(セコム)、意味のない殺傷行為 −−−−−−−−−−−−−−− アルスト•ロメリア 十七歳 名前の由来→花のアルストロメリアから。 性格→物静か、時々感情豊か。 好きな〇〇→玲(友愛)、ユイト、本、民間魔法を見ること、オムレツ。 地雷→仲間が傷つくこと。 −−−−−−−−−−−−−−− リンドウ 十八歳 名前の由来→花の竜胆から。 性格→少し怖い、人間関係関わってくるとIQ3になる。 好きな〇〇→ロメリア、玲、ユイト、本、ゲーム、コーヒー、甘いもの。 地雷→仲間が傷つくこと。 −−−−−−−−−−−−−−− ??? 二十歳 名前の由来→??? 性格→??? 好きな〇〇→コーヒー、弟、魚料理。 興味→玲、民間魔法、人。 困りごと→魔物や魔族の勝手な行動。 −−−−−−−−−−−−−−− ??? 十六歳 名前の由来→??? 性格→??? 好きな〇〇→兄、紅茶、肉料理。 興味→玲、人の文化、人。 困りごと→魔物や魔族の勝手な行動。 −−−−−−−−−−−−−−− いかがでしょうか?最後の???は誰でしょうか?これからが楽しみですね!ばぁい!
#6 仲間との旅路
〜あらすじ〜 玲は転生した瑠衣に再会を果たす。瑠衣はユイトと言う名でこの世界を生きていた。だが、この世界に来て十八年もの年月が経っていた。まさかの事実を知り、玲は思わず硬直状態に。 ええと、私玲は、異世界に来て約二日、最初にこの世界に来て率直に思っていた願いが叶いました。ですが、私とこの世界との時差がありすぎて驚いております。 「俺からしたら、この世界に生まれて十八年ってだけで、えと……」 この人は瑠衣、いや、ユイトと言う男。前世からの、唯一の知り合い。前は二つ年上だったんだが、今は同い年っぽい。あ、相槌打たないと! 「つまり、私が元々いた世界ではあの件から二週間くらいしか経っていないけど、こっちではすっごい時間経っている、っていう事でしょ?」 今までの、“いつも”の様に話す私達。それから二分ほどして、ユイトが思い出す様に言った。 「お前、旅しているのなら、俺と出来掛けのメンバーも連れてってくれねぇ?」 え、戦えるんだよね?バンドのメンバーみたいな言い方だけど。 「おーい、お前らー」 困惑する私を他所に、パーティを呼びやがったユイト。え…………どうしよう?人見知り発動するのよ、私。そのくらい知っているよね?二年くらいは一緒にいたもん、忘れた訳ない、よね?………………。諦めよ。 「あ、きみ、ユイト君が昔からよく話してた子?えっと、レイちゃんって言ったよね。合ってる?」 なんかふわふわした感じの男の子が話しながらこちらへ来る。続けて、静かな、それこそ高嶺の花みたいな女の子も来て、 「僕はアルスト•ロメリア。魔法使い。十七歳。よろしく」 わぁ、結構かっこいいかも。魔法使いか。う……瑠衣の厨二病みたいな演技を思い出してしまったわ。あれは酷すぎてバレたっけ? 「あ、俺はリンドウ。黒魔導師。よろしくね」 そう言って黒い微笑みを見せてくるリンドウくん。全然ふわふわしてないかも……。黒魔導師ねぇ。 (表裏激しいんじゃなく、元がこっち、かな。初対面だもん、私でも取り繕った笑みで挨拶するし) 「よろしくね、私はレイで合ってるよ。それと、一応十八歳。たぶん勇者。戦闘経験はある方だよ」 ぺこりとお辞儀、周りをチラ見してにっこり笑う。人見知り発動しなくてよかったぁ〜。 (ひとまず安心かな) 「旅に必要なものは揃っているわ。いつでも出発できる」 お、ロメリアさん準備がいいな。 「じゃ、早速行くか!」 ユイトの声に、 「ええ!/ああ/あーい」 とそれぞれ返事をし、魔法都市を出た。 トゥービーコンティニュー。 〜追記〜 少しだけ体調悪かったので、低クオリティのものしか書けませんでした。申し訳ありません。リンドウくんは、花の名前から取りました。東リべの竜胆さんのパクリじゃないです。書いてから思い出しました。すみません。
#5 新旧の仲間
〜あらすじ〜 無事に魔族を倒した玲。疲れながらも町へ戻って来た。 ようやく町に着いた。遠い。いや、めっちゃ迷った。あの魔族変なとこ通るから全然出られんかった。そういう目的で彼処通ってんのかな。逃げられないように、とか。そういう感じの。てかどこの世界でも虫は森に大量発生するのかぁ……。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− −迷い中の玲の様子− 「ぎゃぁ〜!オ、オオクワだとぉ〜⁉︎こっち来んなやぁ〜!」 ブーーン 「なんか蜂も来たぁあ〜〜⁉︎」 いぃぃぃやぁぁぁぁ〜! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 大変だったな……何気に虫を見ると性格急変するタイプだし……。 「あの、おじいちゃんは?」 草と土まみれの玲に、町の人が聞いてくる。おじいちゃん呼び……。 「あの人、人外でしたよ。魔獣倒したら襲って来たんで切り刻みました」 ざわざわっと辺りが騒ぐ。本当、この人達は見る目ないな。 「あ、報酬の一億ルピーです」 「………………へ?いちおく?え?報酬額増えてません?」 最初は一千万ルピーって言っていた気がするわ……。 「おじいちゃんのお金が全額でこれでしたので。そのままおじいちゃんの家に置いていても意味がないので」 そんな大金受け取れないよ。どうしよ。寄付、とかはいけるかな。 「九千万ルピーは寄付、とかにしません?私そんな大金受け取れないですよ」 寄付の募集とかがあるのかは知らない。なければ町の資産にしといてくださいね。(圧) 「貴方、とんでもないお人好しじゃないですか」 意外で、感心しました。というように言ってくるもんで。 (この町失礼なのしか居ないのか?) 「あ、奥の門から『魔法都市』に入れますよ。仲間が必要なら喫茶店に行けばいいですし、物品が必要なら市場に行けばいいですよ。良い旅を」 仲間も物品も必要だし、行こう。(躊躇ゼロ) 喫茶ルイボス、と言う看板が見える。喫茶店にはいろんな冒険者が集まる。その中に躊躇なく入る玲。 り〜ん 鈴の音が静かに響く。即座に入り口を見る客。そして、玲が店に入って五秒後 「………………玲?」 驚く玲と玲の名を呼んだ男。双方に沈黙が流れる。 「誰、ですか?」 スキル 人見知り発動っ! すかさず男は言う。 「あー、わりぃ。俺、ユイト。前世の名前は“瑠衣”だ。憶えているか?」 玲が三秒固まる。 「うっそ、瑠衣⁉︎」 (確かに面影残ってなくも無い、のかなぁ?) 前から、横から、後ろから。様々な方向から瑠衣……ユイトを観察し、 「うん。本人だ。久しぶり。私は三週間ぶりだけどるi……ユイトは?」 挨拶と質問をした。ユイトは、 「十八年と二ヶ月くらいぶりだな」 と、堂々と答えた。それを聞いた玲は、 (へぇ、たったそれだ……え?十八年?じゅうは……え⁇) 脳内が宇宙になっていた。 トゥービーコンティニュー!
#4.5 玲の記憶(過去編)
[注意] 今回は過去編的なものです。なのでお話は進みません。次回はお話を進められると思います。話が進むのを待っていた方は申し訳ありません。(居ないかも知れないですが)それと、文章が可笑しくなっている場合がございますが、その点は甘く見てください。(良ければアドバイスください) 「玲」 少女に声を掛ける男が一人、そこにいた。 「なに? 瑠衣」 少女は素っ気なく、ぽつりぽつりと言葉を発する。 「さん、な。仮にも年上なんだぞ、俺」 瑠衣という男は呆れながらも言う。 「あんまり年上が一人称俺なの見た事無いよ」 不思議そうに問いかける。目をぱちぱちとさせながら、と言うのが可愛らしい。 「お前ねぇ、」 と言いかけて瑠衣は言葉を止める。 「あ、お前もう十六歳になるけど、捨て子だから常識あんま知らねぇのか」 少女はこくり、と頷く。そこにはまだ幼さの残る様子が見える。 「俺、コイツに常識も教えなきゃなのか……」 嘆くように瑠衣は言う。少女は少し揶揄うように、 「常識“も”は余計。私は今まで教えられていたこと、別に言われなくてもわかる」 と言う。続けて、 「“玲”って私のこと?名前無いのに」 と聞く。瑠衣は軽く頷いて、 「おう。部長が考えたんだ。名前が無いと大変だろう、ってさ」 と言った。そのまま、任務行くぞ〜、と部屋を出た。 「常識の前に、もっと大事な事あるのに。名前とおんなじ位にさ」 と呟きながら、玲と名付けられた少女も部屋を出た。 −−−任務先のビルの前へ来たとき、瑠衣は口を開いた。 「お前はこれだけは絶対守れ」 一、人を殺めない事。 二、相手は気絶させるだけ、殺さない事。 三、死にそうになったら迷わず逃げる事。 「……わかった、けど、一と二は結構厳しいと思う。撃ち合いになるのは必須の仕事なんだし……」 眉をひそめる玲。少し笑いながら瑠衣は言う。 「確かにそうかも知れないな…………でも、お前は」 “綺麗で真っ白なままでいろよ” その言葉は、玲の中で深く残った。 「…………………………わかった」 玲は心を決めたように、瑠衣を見た。瑠衣はそれに気づいているのかいないのか、わからない。 (もし貴方が気づいていなくても) 私は瑠衣について行く。と、玲は小さく言った。 「なんかか言ったか?」 と聞く瑠衣。 「何でも無い」 ほんの少しだけ寂しそうに答える玲。よく状況が掴めない瑠衣。この男、実に鈍感である。 「……行きましょうか」 玲が言う。瑠衣はおう、と短く答え、玲と共にビルへ入って行った。 −−二年後 「玲。あれ……」 呆然と言う瑠衣。 「わかってる!どうするのっ⁉︎」 慌てる玲。スパイ活動の拠点が火事になっていた。そこに猿のようにキーキーとした声で話しかけて来る少年が来た。 「ん?お前らも仲間か?……なら」 ニィ……と笑う。 「やっつけね〜と、だよなぁ?スパイさん方」 即座に構える玲を、瑠衣が制した。 「黒薔薇(くろばら)、お前は逃げろ。死ぬんじゃねぇぞ」 コードネームで玲を呼ぶ。名がバレぬように。 (逃げないと) 玲は瑠衣にもう会うことは出来ない、そう悟った。だから、すぐに走った。振り向かずに。何故なら、玲が後ろを向いた瞬間、銃声と唸る瑠衣の声を聞いたからだ。 −−−ネイト戦、玲の中でナニカがぷつんと切れる前。 (…………今思えば、) あれは瑠衣からの最期の、“優しさ”だったかも知れない。だからこそ、玲は初めて感じた痛みに、敵の非情さに。怒りの感情を、初めて表に出したのだった。 (もし、この世界に、彼が転生しているのなら) 玲は、密かに祈った。 もう一度、瑠衣に逢いたい、と……………… Too Be continue.