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12 件の小説第12章:選ばれし星の意志
創世の扉(ジェネシスゲート)の向こう側は、世界とは思えない空間だった。 上下も、地平も存在せず、無数の星々がゆっくりと流れている。 「……ここが、創世の領域……」 遼は足元を見下ろす。だが、恐怖はない。 星光が彼の意志を受け止めるかのように、確かな足場を形作っていた。 オリジンアストラルは数歩前に進み、振り返る。 「ここでは、力は“覚悟”に比例する。 迷いは星界を乱し、意志は力となる」 その瞬間―― 空間が歪み、黒い星霧が渦を巻く。 「やはり来たか……」 低く、歪んだ笑い声が響いた。 闇の中心から姿を現したのは、 かつて遼たちの前に立ちはだかった存在――アンブラ。 「創世の扉を開いたのか、アストラル…… だが、その選択こそが“破滅”だ」 アンブラの体は以前よりも濃く、星界の闇を直接まとっている。 「創世など必要ない。 世界は崩れ、闇に還るべきだ」 遼は一歩前に出た。 「違う。 壊すために力を使うんじゃない。 俺は――“未来を続かせる”ために戦う!」 アストラルドライバーが強く輝く。 《ASTRAL RISE!》 星光が遼を包み、仮面ライダーアストラルが出現する。 そのアーマーは、創世の影響を受け、今まで以上に澄んだ輝きを放っていた。 「ほう……創世に認められ始めているか」 アンブラは闇を槍のように凝縮し、放つ。 「ならば試してやろう―― その意志が、本物かどうかを!」 星界を切り裂く闇の一撃。 だが―― 「――守る!」 アストラルの前に、星の盾が展開される。 それはオリジンアストラルの力ではない。 遼自身の意志が生み出した、防御だった。 「なに……?」 アンブラが一瞬、動揺する。 オリジンアストラルは静かに告げた。 「始まったな。 君はもう、“ただの戦士”ではない」 遼は拳を握り、アンブラを見据える。 「俺は選んだ。 闇も、光も、星も――全部背負って進むって!」 星々が共鳴し、アストラルの全身がさらに輝く。 ――その瞬間、 新たな力の目覚めが、星界全体に広がっていった。 創世は、まだ始まったばかりだった。
第11章:創世の扉
夜空が再び静寂に包まれた。戦いの余韻が冷たい風に乗って街を吹き抜ける。裂け目は依然として空に浮かび、闇と星明かりが混ざり合っていた。 「……アンブラめ、どこへ行った……」 (アストラル)は荒れた路地を歩きながら、夜空を見上げる。胸に残る余韻は、まだ冷たく脈打っていた。 ナイトメアとの戦い、闇の侵食――すべてが、ただの前触れに過ぎなかったのだろうか。 そのとき、空の裂け目が突然、強烈な光を放つ。 「――来る!」 遼は反射的にアストラルドライバーに手を伸ばした。光は収束し、ひとつの門――**創世の扉(ジェネシスゲート)**が姿を現す。 扉の中心に浮かぶ紋章は、古代の星霊信仰に伝わる“創世の鍵(オリジンキー)”。 その紋章は、かつてノワールが研究していた“創世の星霊”を思わせる形状だった。 「これが……創世の扉(ジェネシスゲート)……?」 その瞬間、割れた空間から静かな声が響いた。 「――ようこそ、星たちの始まりの地へ」 その声は、どこか懐かしく、しかし重みのある響きだった。 光の中から現れたのは――仮面ライダー・オリジンアストラル。 白金(プラチナ)と星光が交差する新たなアーマーに包まれ、彼は静かに立っていた。 「俺は……創世の星霊の守護者。 星と人――その均衡を守るために存在する者だ」 遼の瞳が光を反射する。 「守護者……? じゃあお前は――?」 オリジンアストラルは静かに頷いた。 「君たちは戦いすぎた。闇と光の果てに――星界は崩壊の危機を迎えている。 創世の扉は、世界を再構築する鍵。だが、その選択は――君自身が下すべきだ」 遼は立ち止まる。 「再構築――ってことは、もう一度世界を創り直すってことか?」 「そうだ。光も闇も、もう一度均衡を取り戻すために。 だが、それには代償がある」 オリジンアストラルの声が、一層静かに、しかし確かに響いた。 「君が選ばなければならない―― 世界を“守るために戦い続ける”のか それとも……“新たな創世として、すべてをやり直す”のかを」 星空が震え、裂け目がさらに光を増す。 星霊たちの囁きが、遼の心の中で重なり合う。 『――選べ、創世の意思を。 君の心が、次の夜明けを導くのだと……』 遼は拳を握りしめた。 胸の中で、星々が瞬く。 「……俺は、選ぶ。 ただ守るだけじゃなく――未来を創るために!」 その声と共に、創世の扉が完全に開いた。 ――光と闇の狭間で、新たな戦いが幕を開ける。
第10章:黎明の約束(アストラル・リジェネシス)
静寂――それは、宇宙の息づかい。 星界の崩壊から数日。 遼は目を覚ます。そこは瓦礫と化した研究施設「ノワールラボ」。 天井は崩れ、空から淡い朝の光が差し込んでいた。 「……ここは……?」 「やっと起きたか、アストラル。」 ノワールが、ぼろぼろの外套をまといながら椅子に座っていた。 左腕には新たな装置が装着されている――“星霊再構成ユニット”。 彼は無表情のまま、言葉を続けた。 「星界の崩壊で、お前の星核は完全に砕けた。 ……だが、星霊たちはまだ“お前の中で生きてる”。」 遼は胸に手を当てる。 微かな光――それは、かつて共に戦った星霊たちの残滓。 だが、その奥で何かが眠っているように感じた。 「ノワール、あのときセラフィスが言ってた“創世の星霊”って……」 「ああ、星霊の原点。全ての星を生んだ存在だ。」 ノワールが端末を操作する。 モニターに映るのは、古代の紋章とともに記された一つの名―― 『オリジン・アストラル』 「この星霊が、全ての力を再構成する鍵らしい。 ただし……その場所は“現実”のどこにも存在しない。」 遼は立ち上がる。 「行くよ。もしそこに希望があるなら。」 ノワールが小さく笑う。 「お前らしいな。だがその前に――これを使え。」 彼が差し出したのは新たなライドギア。 中央に“黎明”の文字が刻まれた白金のコア。 それは、星霊たちの記憶を再結合させる装置。 「これは……?」 「黎明ドライバー。星霊の再誕を導く装置だ。 ただし、使えばお前自身の記憶も失う。」 遼は迷わなかった。 「構わない。俺は“星”を信じる。」 その瞬間、ドライバーが共鳴し、星光が部屋を包む。 星霊たちの声が、再び彼の中で目を覚ました。 『遼。君の心が、私たちの黎明。』 輝きが形を取り、 新たな姿――仮面ライダーアストラル・リジェネシスフォームが誕生する。 白金と群青を基調とした鎧。 胸部には星々が浮遊し、動くたびに夜空のように光が流れる。 ノワールが息を呑む。 「……これが、“創世”の光……!」 遼は空を見上げる。 遠く、天の裂け目の向こうに黒い影が浮かんでいた。 それは、彼をずっと見つめていた存在――「星界の監視者」。 「星の再誕を望むなら、黎明を越えよ。」 声が響くと同時に、地平が揺れる。 星々が逆流し、空が裂け、再び異空間が開いた。 遼はドライバーに手を当てた。 「――変身。」 「アストラル・リジェネシス!」 「輝け、黎明の星よ――創世を刻め!」 爆光が世界を包む。 星々が一つに溶け、光と闇がひとつの輪となる。 ノワールはその光を見つめながら、静かに呟いた。 「……これが、黎明の約束か。」 黎明の空に、新たな仮面ライダーの影が浮かび上がる。 それは“人と星霊の融合体”―― 再誕の英雄、仮面ライダーアストラル・リジェネシス。 そしてその足元で、影が静かに動いた。 「……創世の星霊が目覚めたか。では、次の試練を与えよう。」 物語は――星の創世編へと突入する。
第9章:崩壊の星界(アストラル・エンド)
星霊セラフィスとの激闘の末、アストラルとノワールは奇跡的に勝利を収めた。しかし、セラフィスの消滅と同時に、「星界」と呼ばれる異空間が崩壊を始める。 光と闇のバランスを保っていた星の核が砕け、夜空の星々が次々と墜ちていく。 アストラルの胸に輝く“星核ドライバー”が悲鳴のような光を放つ。 「遼、聞こえるか? 星界はもう限界だ。ここに留まれば、すべてが消える!」 ――ノワールの声がヘルメット越しに響く。 だが遼は動かなかった。 崩壊の中心に、まだ“ひとつの影”が残っていたのだ。 セラフィスの力を取り込んだ残骸――「アストラル・ダークネス」。 それは遼の“もう一つの心”が実体化した存在。 彼がかつて捨てたはずの「怒り」「絶望」「破壊衝動」そのもの。 「……お前も、俺の中の星だったんだな。」 「違う。俺こそが、お前だ。」 2人のアストラルが剣を交える。 光の刃と闇の刃がぶつかり、星界全体に閃光が走る。 その衝突は、現実世界にまで影響を及ぼすほどのエネルギーを放った。 ノワールは崩壊の中で立ち尽くす。 遼の覚悟を知りながらも、手を伸ばせない。 星の輝きが、ふたりを包み込んだ。 「……ありがとう、ノワール。次に会うときは――本当の夜明けを見せてやる。」 その声と共に、星界は静かに消滅した。
仮面ライダーアストラル 第8章:審判の星霊
空が裂けた。 その裂け目の奥から、天の光が降り注ぎ、 白銀の翼を広げた存在――セラフィスが舞い降りる。 その姿は、神話に描かれる天使のようでありながら、 眼差しには冷たく正確な“判断の光”が宿っていた。 「星霊の均衡を乱した者たちよ…… 光も闇も、等しく裁かれねばならぬ。」 セラフィスの声が響くと、街全体が静止したかのように時が止まった。 瓦礫も、風も、人々の悲鳴さえも――凍りつく。 遼は息をのむ。 ノワールが一歩、前に出た。 「……セラフィス。お前が、星霊たちを“消した”のか?」 「消滅ではない。調和のための“帰還”。 彼らは、過剰に干渉した。ゆえに“回収”しただけだ。」 「……ふざけるなッ!!」 遼が叫び、アストラルメモリアフォームの剣を構える。 「彼らは……生きていた! 感じて、想って、戦ってた! それを“データの修正”みたいに扱うな!!」 光が弾け、遼の身体を星霊の記憶が包む。 過去に出会った星霊たち――ルナ、オリオン、ペガス、アクエラ。 彼らの声が重なり合い、アストラルの胸に流れ込んでいく。 『遼……私たちは、あなたと共に戦った。 でも今度は……あなたの中で、生きたい。』 遼の瞳が燃える。 星光がさらに強く輝き、アーマーの紋様が青から白銀へと変化する。 新たな姿―― 仮面ライダーアストラル・エクリプスフォーム。 その力は、光と闇の融合。 ノワールの闇エネルギーが、遼の星霊波動と共鳴し、 二人の間にかつてない調和が生まれる。 ノワールが微笑んだ。 「……やっと、俺の研究が意味を持つ日が来たか。」 セラフィスが羽を広げ、純白の剣を掲げる。 その光が空を裂き、全てを焼き払おうとする。 「では――審判を始めよう。」 遼とノワールは同時に叫んだ。 「変身――共鳴(レゾナンス)!!」 二つのドライバーが共鳴し、光と闇の旋律が重なり合う。 空間が歪み、宇宙のような舞台が広がる。 そこは――“星霊の審判空間”。 セラフィスの剣が閃き、遼とノワールは左右に分かれて受け流す。 衝撃で空間が砕け、無数の星片が散る。 ノワール:「アストラル……お前、迷ってるな。」 遼:「俺は……“正しさ”より、“守りたいもの”を信じる!!」 遼が星影剣アステリオンを掲げる。 七つの星座が輝き、エネルギーが一点に収束。 「フィニッシュ・ブレイク――スターダスト・リミット!!」 光の奔流が、セラフィスの羽を貫いた。 天使のような存在がわずかに微笑む。 「……なるほど。人の心、それが“星霊の核心”か。」 爆光の中、セラフィスが消えていく。 だが同時に、遼の体からも光が抜けていった。 「……遼!? おい、しっかりしろ!!」 ノワールが駆け寄る。 美琴の声が遠くで響く。 「遼――!」 崩れゆく世界の中で、遼は静かに微笑んだ。 「……俺は、大丈夫。星たちは……まだ、ここにいる。」 空の裂け目が閉じていく。 夜が戻り、星が再び輝きを取り戻す。 そして、地平の向こうで―― 誰かが、その戦いを見つめていた。 黒いフードの影が呟く。 「次の星霊は、“創世”の名を持つ者。 仮面ライダーアストラル……お前の運命は、まだ終わらない。」
🌌仮面ライダーアストラル 第7章:星影の記憶
夜空を覆う黒雲の中、ひときわ強い閃光が走った。 裂け目が再び脈動し、街を包む空気が重く歪む。 そこから漏れ出す光と闇の粒子が、まるで生き物のように絡み合い、 アストラルのスーツ越しに遼の体を締めつけた。 「……まただ。星霊が、暴れてる……!」 膝をつく遼。 その腕の中で、美琴が震えながら彼を支える。 「遼、もう無理よ! さっきの戦いのダメージがまだ……!」 「……俺が止めなきゃ……あの裂け目が広がったら、もう……」 彼の胸部装甲が淡く光る。 アストラルドライバーの中心、星核(せいかく)ユニットが激しく鼓動していた。 星霊たちの声が、脳の奥で重なり合う。 “運命に抗う者”── “光を選んだ愚か者”── “お前は、どちらの星に堕ちる?” 「黙れ……! 俺は、俺の意志で戦うッ!」 遼の叫びと同時に、ドライバーが眩い光を放つ。 新たなライドカードが浮かび上がった。 そこには―― 《ASTRAL MEMORY》 の文字。 『覚醒せよ、記憶の星々よ。光と闇の狭間に――星影(ほしかげ)を刻め!』 「変身ッ!!」 星光が渦巻き、翔真の姿が包まれる。 黒と銀のアーマーが交錯し、背中に浮かび上がる七つの星座。 それは、彼がこれまで戦いの中で出会い、消えていった“星霊たち”の記憶だった。 仮面ライダーアストラル・メモリアフォーム。 彼の瞳が、淡い青白い光を放つ。 その視界に、ゆらりと立つノワールの影。 「……その力、星霊たちの記憶を喰らって生まれたものか。 面白い。だが、同じ過ちを繰り返すなよ、遼。」 ノワールの声には、かすかな哀しみが混じっていた。 その表情に、かつて“黒瀬隼人”だった頃の優しさが一瞬だけよぎる。 「過ちを犯したのは……あなたじゃない。 星霊を、ただの力だと思った“人間”だ!」 アストラルの手に、星光を帯びた刃が形成される。 “星影剣(せいえいけん)アステリオン”。 振るうたびに、過去の記憶が閃光となって空間を切り裂く。 ノワールが反撃。闇の波動を纏った掌を突き出す。 二つの光と闇がぶつかり合い、巨大な衝撃波が街を貫く。 崩れゆく建物、光る星霊の残滓、そして空の裂け目が一瞬だけ開き―― そこから、何かが降りてきた。 白銀の羽を持つ、ヒトのようでヒトでない影。 それは、天界の守護星霊―― 「セラフィス」。 「選ばれし者、アストラル…… 星霊の均衡を乱すなら、お前もまた滅びの星と化す。」 遼は立ち上がる。 ノワールもまた、無言で構える。 「……どうやら、ここからが本当の“審判”だな。」 星空が裂け、三つの光―― アストラル、ノワール、セラフィス。 三者が交錯する、新たな戦いの幕が上がった。
仮面ライダーアストラル 第六章 影に潜む真実
ノワールとの初めての激突の後、街は不安と混乱に包まれていた。 人々は「二人の仮面の戦士」を見たと噂し、どちらが味方でどちらが敵なのか、誰にもわからなかった。 遼は美琴を守り抜いたものの、体の疲労は限界に達していた。 アストラルドライバーを外した瞬間、視界がぐらりと揺れる。 「遼!」 駆け寄る美琴が肩を支える。遼は苦笑を浮かべた。 「大丈夫……まだ、立てる」 だがその言葉に、自分自身が一番説得力を感じていなかった。 ⸻ 夜の路地裏。 ノワールは一人、漆黒の装甲を解いた。 姿を現したのは若き研究者、黒瀬隼人。 「やはり……この力は俺の体を蝕むか」 掌には黒い星座模様が浮かび、皮膚を焼くように広がっていた。 彼はかつて星霊エネルギーの研究に携わっていたが、事故によってその力を取り込み、歪んだ形でライダーへと変貌したのだった。 「遼……お前がその力を受け継いだのも、俺の計画の一部だ。必ず取り戻す」 彼の赤黒い瞳が、夜空に浮かぶ星を射抜く。 ⸻ 一方、遼は美琴と共に天文台を訪れていた。 星霊エネルギーを解析する古文書が、そこで保管されていたからだ。 資料に描かれていたのは、二人の戦士の伝承。 一人は「光の星を導く者」。 もう一人は「闇に堕ち、星を支配する者」。 「……まるで、俺とノワールのことだ」 遼がつぶやくと、美琴は不安げに彼を見つめた。 「じゃあ、この戦いは……運命なの?」 遼は首を振る。 「運命なんて関係ない。俺はただ……守りたいものを守るだけだ」 その言葉と同時に、ドライバーの結晶が強く輝き出す。 青白い光に混じって、金色の星屑が一瞬だけ走った。 「これは……新しい力?」 未知の輝きが、遼の胸に宿り始めていた。 ⸻ その頃、街の裂け目がさらに広がり、異形の怪物が次々と現れ始めていた。 そしてその中心に、黒瀬隼人――仮面ライダーアストラル・ノワールが静かに立っていた。 「光よ……闇に呑まれる時が来た」 次なる決戦の幕が、静かに上がろうとしていた。
仮面ライダーアストラル 第五章 光と闇の激突
夜の街を照らす街灯の光は、怪人シャドウリザードが影を喰らうごとに次々と消えていった。 残された闇の中、二人のライダーが対峙する。 青白い星座の輝きを纏う仮面ライダーアストラル。 漆黒の星霊を支配する仮面ライダーアストラル・ノワール。 「遼……」 後ろで震える美琴の声が聞こえる。遼は拳を握り、前を見据えた。 「俺は守るために戦う。お前には負けない!」 ノワールは薄く笑みを浮かべ、構えを取る。 「光は闇に呑まれる。それを教えてやろう」 次の瞬間、二人は地を蹴り、激突した。 ⸻ アストラルの拳が青白い残光を描き、ノワールの蹴りが赤黒い残滓を撒き散らす。 衝突のたびに火花のような星屑が舞い、街路樹が揺れる。 遼は渾身の連撃を叩き込むが、ノワールは片手で受け流し、反撃の掌打を胸に突き刺した。 衝撃でアストラルは壁に叩きつけられる。 「くっ……強い!」 「星霊の力は本来、俺のものだ。お前ごときが扱えると思うな」 ノワールの言葉に遼は歯を食いしばる。胸の痛み以上に、心を抉られるようだった。 ⸻ その時、シャドウリザードが美琴へと迫る。 「美琴!」 遼は立ち上がり、痛みに耐えて駆け出した。 星座のラインが胸で強く輝き、力が溢れ出す。 「俺は……絶対に守る!」 アストラルはシャドウリザードの爪を掴み、渾身の力で投げ飛ばす。 その隙にノワールが背後から迫り、蹴りを叩き込もうとする。 振り返ったアストラルの瞳に、決意の光が燃えていた。 ⸻ 「光は……闇に呑まれたりしない!」 遼の叫びとともに、星座の紋章が眩く弾ける。 その輝きに一瞬たじろぐノワール。 二人の拳が、夜空を裂くようにぶつかり合った。 衝撃で地面がひび割れ、街灯が吹き飛ぶ。 美琴が思わず目を覆ったとき、二人のライダーは再び間合いを取った。 息を荒げる遼と、余裕を失わないノワール。 戦いはまだ始まったばかりだった。
仮面ライダーアストラル 第四章 揺らぐ絆
流星の力を手に入れた遼は、その代償を痛感していた。 ステラーフォームの戦いから数日後、彼は体の芯が焼けるような倦怠感に襲われていた。 「……これが、力の代償ってやつか」 変身の反動は肉体だけでなく精神も蝕む。授業中も気を抜けば意識が飛びそうになる。 それでも遼は、街を覆う“裂け目”と怪人の存在を無視できなかった。 夜、自室の窓辺でアストラルドライバーを握りしめる。 その結晶は淡く瞬き、まるで問いかけるように脈動していた。 「俺は……守れるのか? 本当に」 弱気な声が闇に溶けたその瞬間、街の遠くから悲鳴が響いた。 市街地に現れたのは怪人シャドウリザード。 黒い鱗に覆われた巨体が、街灯に伸びる影を喰らうたび、人間たちは存在を失い、声も残さず消えていく。 「やめて……! みんな逃げて!」 人混みの中で叫ぶのは遼の幼なじみ、美琴。 友人を庇いながら震える彼女の背後に、怪物の爪が迫る。 「遼……助けて!」 その声が、遼の胸を突き刺した。 遼が駆け出そうとした時、先に現れた者がいた。 闇の中から歩み出る長身の男。黒いコートを纏い、手に持つのは漆黒のベルト。 男はゆっくりとベルトを装着する。 『UMBRAL NOIR! ――DOMINATE THE CONSTELLATION!』 闇が爆ぜ、漆黒の装甲が組み上がっていく。 赤黒い複眼が光り、星座のようでいて歪んだ模様が胸を走る。 その姿は、まさしくアストラルの影。 ――仮面ライダーアストラル・ノワール。 「星霊の力……お前が守るために使うというのなら、俺は支配のために使う」 ノワールは腕を振り下ろし、シャドウリザードが恭しく跪く。 怪人を従えるその姿に、遼は言葉を失った。 「どうして……同じ力を持つのに、人を守らない!」 遼の叫びに、ノワールは冷笑で答える。 「守る? 無駄だ。人は弱い。ならば、恐怖ごと俺が支配する。それが秩序だ」 怪人が暴れ、美琴の悲鳴が再び上がる。遼は震える手でドライバーを握りしめた。 「体が……まだ重い。でも……俺がやらなきゃ!」 結晶が光を放ち、心臓の鼓動が高鳴る。 翔真は深く息を吸い込んだ。 「――変身!」 光の星座が遼を包み、再び仮面ライダーアストラルが現れる。 その瞳に宿るのは、迷いを超えた決意の輝きだった
仮面ライダーアストラル 第三章 星霊覚醒
夜空の裂け目は日ごとに広がり、ナイトメアの出現も増えていた。 だが遼は昨日の戦いで、自分の力がまだ不完全だと痛感していた。アンブラとの衝突――あの圧倒的な力の差が脳裏から離れない。 「俺は……このままじゃ勝てない」 放課後、誰もいない屋上で遼は拳を握る。アストラルドライバーの中央にある星の結晶は、淡く瞬いていた。 そのとき、再び声が聞こえた。 前と違い、今度は温かく、導くような声。 『お前の心の中にある“星霊”を解き放て。光も影も、すべてを受け入れるのだ』 遼の視界に、星空が広がった。 その中心に浮かぶのは「小さな白い星霊」――幼いころから彼が見てきた存在だった。 「お前……ずっと、俺のそばにいたのか」 星霊は頷くように輝き、遼の胸へと溶け込む。 アストラルドライバーの結晶が強く光り、眩い星座の紋様が浮かび上がった。 『ASTRAL STELLAR FORM! ――UNLEASH THE CONSTELLATION!』 流星の雨が遼を包み、装甲が変化する。 黒と銀のスーツに、蒼い星座を描くラインが浮かび、肩と胸には光の星屑が漂うような輝きが宿った。 新たな姿――アストラル・ステラーフォーム。 「これが……俺の新しい力!」 その瞬間、空の裂け目からナイトメアが飛び出す。 巨大な獣のような影を前に、遼は迷わず駆け出した。 ステラーフォームの力は、今までとは桁違いだった。 拳を振るえば、軌道に光の星座が描かれ、蹴りを放てば流星群のごとき衝撃波が走る。 「これなら――勝てる!」 最後にベルトが共鳴し、必殺の音声が響く。 『STELLAR FINISH! ――CONSTELLATION IMPACT!』 夜空の星座を繋ぐように光が収束し、巨大な星図が描かれる。 その中心から放たれた光の一撃が、ナイトメアを貫き消し去った。 戦いを終え、遼は夜空を見上げる。 だがその瞬間、聞き慣れた声が背後から響いた。 「力を手に入れたようだな……アストラル」 振り返ると、闇に浮かぶ赤い複眼。 仮面ライダーアンブラが、静かに立っていた。 「その星霊の力――俺が奪ってやる」 光と闇の戦いは、再び動き出そうとしていた。