雑草

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雑草

不治の厨二病 出戻りました、以前誰だったのかは聞かないでくれると助かります。 アイコンは自分で描きました

メモリ

「もう限界」、ある日ふとそう思った。 気づいたら都会の真上。あたりは鈍い灰色に沈み、あまりにも、底抜けに明るい空の青と対照的だった。 消えるということは、周りに迷惑をかけるだろうか。……いや、散々私に迷惑をかけてきた周りが今更何を「消えるな」というのだろうか。 「あなたのため」?ふざけるのも大概にしてほしいものだ。そのたび我慢して傷ついてきた。ずっとそんな人生だった。 「あなたより辛い人はいくらでもいる」。何を根拠にそんなことを言うのか。誰かが誰かの痛みを全部わかってやることはできないのに。自分にとっては致命傷のような痛みだって、その一言で全て蔑ろにされてきた。 「病みアピールやめて」。何故アピールだと決めつけられなければならないのだろう。苦しくて必死に相談したのに、返ってくるのはそんな言葉ばかり。 さて。迷惑をかけているのは、どっちなのだろうか。 もうどうでもよくなって、不意にスマホに目を落とした。もうメモリいっぱいの写真たち。 趣味はあった。写真が好きだった。でもそれだけだ。プロのような腕もセンスも、どうあがいたってなかった。写真家になりたかった。 「あ、懐かしい…」 幼少期に好きだった、クマのぬいぐるみ。縫い直せないくらいにボロボロになってしまうまで、ずっとこの腕の中にいた。 近所にあった公園のブランコ。楽しすぎて日が暮れるまで遊んで、よく叱られたな。 ここは…実家。お馬鹿だった頃、親と喧嘩してよく家出をした。結局お腹が空いて帰ってくると、まだ温かくておいしいご飯が置いてあった。泣きながら食べたなぁ。 「帰っておいで」 ふとそんな声がした。写真から聞こえたのか、はたまたストレスによる幻聴なのかはわからない。ただ、帰りたくなってしまった。 その日のうちに退職届を提出した。 これから電車に揺られて実家に帰る。 まず「ただいま」と言おう。 そして、大好きだった写真を、カメラのメモリいっぱいに撮ろう。

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フローズン・レガリア #1

(これは、世界が終わるまでのボクらの旅路だ。) 雪に覆われた雪原、ボクしかいない絶海の孤島。いつもの日常。 別に、一人だからって寂しい訳でも、誰かにいてほしいわけでもない。でも、 「…暇だな〜」 そう、退屈なのだ。退屈すぎてあくびの出るような毎日なのだ。 __あの子がやってきたあの日までは。 それは、突然だった。 ある日海がいつもより騒がしく鳴っていたから、ボクは気になって外に出た。 そこに居た。 ボロボロになっている、夕焼け色のドラゴンが横たわっていた。 「………!!っど、どうしたの!?」 声をかけてもガタガタと震えるだけ。目の焦点は合わず、「……っ……ぅ」と小さく呻いているだけだった。 「こりゃ重症かもね…よし、館まで連れて行こう!」 ボクはスノウゴーレムを召喚する。雪でゴツくて大きい巨体なら、この大きいドラゴンも運べるはずだ。 スノウゴーレムにドラゴンを担がせる。すると、「ジュッ!」と音がして真夏のアイスのようにみるみるうちに溶け始めた。 「わわ、なんか溶けるんだけど!でも、なんとかしなきゃ…!!」 「………………?」 朝の光のような金色の目が覗く。 「よかった〜〜〜!!!目を覚ましたんだね!!」 「そっか……生きちゃったんだ……」 その一言でハッとする。もしかしたらいい迷惑だったのかもしれない…!と焦っていると、ドラゴンは目から大粒の涙をボロボロ流し始めた。 「どうしたの?具合でも悪い…?!(あ、でもこの子傷だらけだったし…手当てしたけどまだ痛そうだもんね…!)」 「………っう……!」 「…?」 「うわ〜〜〜ん!!怖かったよ!!なんで、なんでぇ!!!なんで皆んな僕を置いてったのぉ!!!うわ〜ん!!」 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「落ち着いた?」 ホットミルクを飲むと、彼はようやく泣き止んだ。能力なのか、小学生のような姿にツノと竜のしっぽが生えたような姿になっている。 「…うん。」 「ここにはキミとボクしか居ないからさ。よかったら話してくれる?」 彼は大きく目を見開いたが、やがてぽつりぽつりと話し始めた。 「僕、ドラゴンのヒナなんだ。里では100年ぶりくらいの子供だったから、それはもう可愛がられたよ。だから皆んな大好きだった。」 ………でも、と彼は付け加える。 「月の明るかった晩だった。突然空が昼間みたいに明るくなって、「なんだろう?」って思ったら、「ドカーーーン!!」って爆発音 がして。気づいたらお兄ちゃんと僕しかいなかった。お兄ちゃんと外に出て分かったよ、勇者の仕業だった。」 …勇者。この世界では強いのをいいことに、私欲のままにやりたい放題やっている、正義のヒーローを名乗ったタチの悪い大悪党と聞いたことがある。 「お兄ちゃんがね、逃がしてくれたんだ。自分を犠牲にして。……だけど本当は大好きな皆んなといっしょに逝きたかった。」 話している内にポロポロと泣いてしまった彼を優しく撫でる。 「あ、でも助けてくれたことには感謝しているんだ。仲間からしたら、僕は生きてほしかったんだろうから…。ありがとう。…えっと…」 彼は切なげに微笑んだ。 「ボク?くおんだよ」 「くおん…さん。僕はてんって言います。どうか、行く場所も死ぬ場所もないので、ここに住まわせて頂けませんか」 深々と頭を下げられて焦る。そんなかしこまらないでいいよ、とてんちゃんに伝えた。 「いいよ。館内はボク一人では広すぎるし、話し相手がいるなら退屈しなそうだからね」 「………!!ありがとう…!!」 これから一人じゃない生活になる。 彼の傷が少しでも癒えてくれたらな…と思った。

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