ケンチク

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ケンチク

14年間元気に過ごしていた少年。 その少年を襲った突然死。 その死に隠された真実と少年の生き様をえがいた物語。

14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第10章

家で過ごす最後の夜、俺に会いに沢山の人が来てくれた。 中学のツレ、琉斗、智陽はもちろん兄貴のツレ、兄貴が昔お世話になった先生、空手の師範、オカンのツレ、夜中まで皆んな俺に会いに来てくれた。 兄貴が中学の頃お世話になった先生が来た時の事やった。 『うちのクラスの子と、建翔月曜日に喧嘩をしたと聞きました。』 先生の発したその一言にオカンの執念の捜査が始まった。 『他校の子と喧嘩❓』 寝耳に水状態のオカンは、知っている事全て話してほしい。建翔が亡くなる一週間前に何があったのか、教えてほしいと琉斗と智陽に連絡をした。 俺も、ちゃんと真実をオカンには伝えたかった。あの日何があったのか、ずっと隠してきた事実を伝える時がきた。 俺は、ある意味ホッとした。 オカンには真実を知っといてもらいたかった。

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14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第10章

14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第9章

解剖を終えた俺は、3日ぶりに家へ帰れる事になった。 刑事からオカンに解剖後の結果の説明は 「心タンポナーデ。大動脈解離に伴うもので脳、打撲痕なども調べたが直接死因に繋がるようなものではなく、外傷性、事件性もなく自病の悪化に伴うものでしょう。」 (ふ〜ん、大動脈解離からの心タンポナーデ。。。自病と無理クリ繋げたようやけど、外傷性ではないんやー) 俺は疑問を感じた。 俺、死ぬ1週間前に喧嘩してるからな! それが原因で死んだ事を自分で分かっているらだけに、疑問と不信感しかなかった。 そして、当然ながらオカンは、刑事からの報告を信じとる。もちろん、この頃のオカンは、俺の喧嘩など知る余地もなく。。。 どうにかしてオカンに伝えなあかん。 俺は、オカンに重大な事を隠しとんや。 今回の解剖でぶっちゃけ全部バレると思っとったんやけど、こんな結果やったし、俺はオカンに真実を伝えてもらうようアイツらに頼む事にした。 3日ぶりに家へ帰ってきたら、すでに一階のリビングには、俺の布団がひかれ祭壇まで祀られていた。 (なんや、今日は俺ここで寝るんか?自分の二階のベッドでは寝れへんのか) なんや、変な感じやけどしゃーないな。 お供えのお菓子やジュース、花が大量に置いてあったし、とりあえず俺はコーラを飲みながら色々考えとった。 (俺、4日前家で風呂入ってる時に死んだんかぁ。。。この家も今日が最後やな。明日の昼には式場に行く言うとったし、今日が家族で過ごす、この家で過ごす最後の夜になるんやな。。。) 俺は、寂しかった。 1人で旅立つのはホンマ寂しい。 (後16日したら俺15歳の誕生日で、オカンにダウンジャケット買ってもらう約束しとってん。 年末には、琉斗や智陽と稲荷神社でも行って一緒にカウントダウンしよな!と約束しとったし。 年明けには、姉貴のとこに男の子が生まれるし、俺めちゃくちゃ楽しみにしとったんや。 兄弟下がおらんし、弟が欲しかった俺には楽しみで仕方なかった。 卒業式には、卒ランを着たかった。 そして、卒ランでイオンモール行ったり皆んなと打ち上げしたりしたかったんや。 高校行ったら、バイトもしてバイト代入ったらオカンに毎月、金渡したかってん。 16なったらバイクの免許取りに行ってアドレスに乗って、琉斗の学校まで迎えに行ったるって約束もしとったしな。 将来は、美容師になる夢も俺にはあったんや。美容師になったら智陽の髪も切ったるわと言うて話しとった。) コーラ片手に堪えていた涙が滝の様に俺の頬をつたった。 そんな俺の涙を拭うかのように 『けん。。。』 オカンは、俺の名前を呼びながら、頬を触り続けとった。 俺との思い出を思い出しとるかのように。 (ママ、ごめんな。)

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14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第9章

14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第8章

俺は今日、朝から遺体搬送車に乗せられ、解剖の為病院へ送られた。 その頃、家ではオカンが、葬儀会社と俺の葬儀について色々話しをしとった。 ぶっちゃけ俺は今まで、誰かの葬儀やらには出た事がない。 俺が生きてた14年間では,誰も身内、知り合いは亡くなって無いしな〜 やし、お通夜がどんなもんか、告別式でなにするんか、よーわからんと言うのが正直な所や。 コロナ禍やし、家族葬でとか身内だけでと色んな意見が出たみたいやけど、オカンが一言。 『建翔は、お友達多い子だから最期は、建翔の好きな曲を流して皆んなとお別れをさせてやりたい。今までの友達と過ごした日々の思い出も会場で動画にして流してあげたい。』 俺は正直嬉しかった。 俺、イベントや祭り、行事事とかめちゃくちゃ張り切るタイプやし、好きやしな! 盛大にパァ〜っとやって欲しかった。 音楽も、ガンガン大音量でラップを流して、棺にはツレから色々メッセージ書いてもろて、俺はお気に入りの黒シャツにダメージジーンズはいて、コーラとお菓子大量に持って旅立つねん! 葬儀の日程も、皆んなが集まれるように、土曜か日曜を入れてくれよ! 俺は色んな注文をしてみたが、まぁオカンに届いたんか、見事に俺の希望通りの葬儀になりそうや。 通夜が金曜日19時から、告別式が土曜日9時半からか〜 俺は朝早いの無理やけどしゃーないな〜なんて思ってたら、そろそろ俺の解剖も終わったようや。 ハァ⁉︎ なんやねん! 俺めちゃくちゃ切られとるやんけー 聞いてへんちゅーねん。 なんでやねん。 頭、胸、足、腕、アザがあった所全部切りあがって。 オカンにも、アザがある所と傷があるところも切りますと言うとけよ。言うてへんかったやろ! そんなことも言わず、俺の体をギタギタにしあがってふざけんな。 俺は刑事に怒りをぶつけ、後ろから思いっきり蹴りをかましてやった。 が。。。。 あかん、何も効いてへん。 クソォ〜 クッソ〜!!!

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14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第8章

14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第7章

警察からオカンの元に一本の電話が入った。 『お母さんにお話があります。今からご自宅にお伺いしてもよろしいでしょうか』 (オカン、何したんやろ?まさか、俺の死因でオカンが疑われたんか?署まで連行願います!とドラマみたいに連れて行かれたりしてな〜)笑 笑 笑 (ポリの格好でパトカーに乗って、手錠振り回しながら来よんのかな〜) 俺は、何故かワクワクしとった。 しばらくして、刑事2人が家に来た。 (なんや、パトカーちゃうし私服やんけ。おもん無いわー) しかも、オカン連れて行かれるどころか、なんや刑事家に上がり込んで、オカンと話し込んどる。 何や只事ではないようや。 えらい難しい話しをしとるけど、どうも俺の新法解剖を行いたいと言う話しのようや。 『胸全部開いて、頭も髪を剃って、開く。』それを聞いたオカンは、刑事に食ってかかり激しく反発しとった。 (ふざけんな。何で俺が切られなあかんねん!切られてたまるか!) 俺が言いたい事は、全てといっていいほどオカンが代弁してくれた。さすが、俺のオカンだけあって、俺の気持ち分かってくれとる。 俺が死んでからの、この数日、涙一つ人前では見せんかったオカンが、泣き伏す姿を見て俺は胸が痛んだ。 俺の死だけでも、オカンはショックを受け悲しんどった。でも、俺のツレ、琉斗、智陽、兄貴、姉貴の悲しむ姿を見て、自分が落ち込んでる場合やない!この子達を支えれる存在にならなあかんと気を張り頑張ってきとったのを知ってるだけに、今回の検死の話しはオカンにとったら崖に蹴り落とされた後の、悲痛と苦しみと哀しみやったに違いない。 阿鼻叫喚していたオカンが、意を決した様に刑事に向かって言うた。 『分かりました。でも、頭を切る際、髪の毛だけは切らないで下さい。あの子、髪の毛にはこだわりがあり、染めたりワックス付けてセットしたり、オシャレな子だったので、坊主で葬儀に出るのだけは。。。 生きていたら、絶対髪は切るな,触るなと言うてたと思います。だから絶対、髪だけは切らないで下さい。』 そう言うと、オカンは同意書にサインをした。 そして、明日俺は解剖の為病院へ運ばれる事になった。

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14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第7章

14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第6章

病院からあの日の夜、俺は警察へ送られた。 『お家で亡くなったので、建翔君は、検視を行ってからお返ししたいと思います。』 刑事はそう おかんに伝えると俺を署の遺体安置室のような所へ運んだ。 (真っ暗で、クソ寒い部屋や。) アイスノンで体を固められ、嫌気がさした俺は、とりあえずその場を離れようとした。 が、その時や 学校から、先生が俺に会いに来てくれた! (よっ!!だいち!)あれ⁉︎ 教頭、副担任、学年主任、、、 大地の姿はそこには無かった。 『お母さんすみません。担任は、だいぶ落ち込んでいて、とても来れる状況ではなくて。。。』 (どんだけ落ち込んでんねん。)と思いながらも 俺は心配やった。大地の事が。 大地は、俺が死んでから寝れてなかったせいか、目の下にはクマができていた。 そんな、大地の事が俺は心配でならんかった。 先生が1人づつ俺に線香を上げてくれた。 (正直、線香より俺はタバコがえーねんな〜 線香臭いしあんま好きちゃうねん。)なんて思いながら 先生達の顔見とったら、何故か今までの学校生活が走馬灯の様に出てきた。 毎朝、学校遅刻してトレーナー着ていき、没収され。 ワックスと香水つけたら怒られて、 ピアスばれて取り上げられ、髪が赤いし黒染めしてこい。 シャツはズボンの中に入れろ、胸のボタンはきちんと止めろ。 授業中に、教室から出て行くな。タブレットでYouTubeは見るな。 昼休み、校舎の屋根に登って遊ぶな、木に登るな。 学校抜け出して、駄菓子屋行って戻ってきた時には、担任アホほどキレとったな〜 うわぁ〜懐かしい。けど、毎日、学校生活が最高におもろかったわ! (ありがとうな!) その後、琉斗と智陽も来てくれた。 (よっ!2日ぶりか?) 琉斗も智陽も、俺の顔や手を触りながら、涙を流しとった。 お前らとこうやって触れ合えるのも、もう最後かもしれんな。 俺の目から涙が流れた。 2人と過ごした時間は俺にとって特別やった。 琉斗とは1歳、保育園からの仲やった。智陽は小1からやな。俺ら3人での思い出はありすぎて。。。 こいつらとの別れはホンマに辛かった。 小学生の頃に、結成した親友の証 MKR(モトヤM、ケンショウK、リュウトR) お前らと過ごした時間の全てが俺の人生での宝やった。 (おぃ、智陽、そんなに泣くなよ。お前さー、俺のリュックを持って学校へ行ってくれへんか⁉︎ 琉斗は制服。智陽はリュック。これで俺ら3人卒業まで一緒や!なっ。えーやろ!) 俺は、智陽に俺が使っていた通学用のリュックを託す事にした。

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14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第6章

14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第5章

『皆さんもご存知かと思いますが、1組の中村君が昨夜、入浴中に亡くなりました。 えー、突然の事なので。。。』 体育館に響き渡る校長の声。 俺が死んだって事で、急遽今日の1時間目が、学年集会になった。 分かってんねん。 オカンが、学校に電話して校長と話しとった事。 『建翔の事は、明日朝一、学年集会を開き校長先生の口から学年には話をして下さい。 そして私、あの学年の子たちに最後あいさつをしたいので、最後にお時間頂けますか。』 そんなん、えーちゅーねん。 ほんま、やめて欲しい。 そーゆーとこが、ほんまウザいねん。 校長も校長で、分かりました!とか言うとるし。 オカンが、皆んなの前で何を話すんか知らんけど、俺は朝から胸糞悪かった。 校長の話も、オカンの話しも聞く気の無い俺は、プラプラ歩き回って体育館の外へ出た。 ん⁉︎ 1人体育館の裏で、肩を震わせ泣いている大地の姿があった。 俺は、そっと大地の横に座り肩に手をやった。 (大地、泣くなって!)そう言いって 大地と共に 俺は泣いた。 初めて泣いた。 悔しかった。 やりたい事や夢も俺にはあった。 悔しくて、悔しくて、泣き喚いた。 俺は大地との、約束も果たせていなかった。 保体の教員やった大地は、成績、授業態度の悪い、チャランポランな態度の俺に、卒業までの残り4カ月きちんと体育の授業に出て、体操服に着替え参加したら『3をやろう!』と言うてきた。 そもそも、体操服に着替えるのもダルイ、体育のサッカーぐらい、制服でしたらえーやんけー的な俺にとては、なかなかハードルの高い面倒くさい提案だったが、大地の提案という事もあり、乗ってみた。 その日から、俺は体育だけは頑張った! 大地との約束を果たす為に。 七夕の時には、大地が持ってきた笹の葉にクラス皆んなで、願い事を書いて飾った。 もちろん、俺の願いは 『大地に彼女が出来ますように!』 いつも、俺らの事を気にかけてくれる大地に俺は、いい人を見つけてほしかった。 大地に彼女できたら、見てみたかった。 そやのに、俺 死んでる場合ちゃうのに、なっ。

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14歳で人生の幕を閉じた少年の物語 第5章

14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第4章

ピロリン🎵 病院から帰ってきたオカンのスマホに1通のLINEがきた。 琉斗からだ。 『夜遅くにごめん。 建翔の制服が欲しい。 建翔と一緒に卒業式に出たいし、建翔の制服を着て俺が毎日、建翔学校に連れて行く。』 アイツ、ほんま えー奴や。 持つべきものは友。 俺は嬉しかった。 こんなチャンス二度とない。 アイツと登校する選択肢以外、俺にはなかった。 『琉、ありがとう。琉の気持ちは嬉しいよ。 だけど、建翔を毎日学校へ連れて行くのは大変よ。大丈夫⁉︎無理をしないで、ママにも相談してゆっくり考えて』 ふざけんな!俺は怒りを覚えた。 大変⁉︎ 何も大変ちゃうっちゅうねん! 俺はな、アイツと学校へ行くんや! 黙れクソババアー! 声にならぬ声で 俺は必死に叫んでやった。 壁を蹴りまくり 叫びまくった。 ふざけんなーーー その俺の想いが、琉斗には届いたんだろう。 ピロリン🎵 『大丈夫。親にも言うたら、いいやん。建翔も学校連れて行ったり。と言うてくれた』 きたぁーーーー さすが琉斗。 ザマァ見ろ! これには、さすがのオカンも 『ありがとう。そしたら、明日からよろしくね!また制服渡します。』 そして、俺は明日から学校へ登校するすべを 琉斗のおかげで手にいれたのである。 次の日の朝学校へ着くと、何かが違う。 『建翔亡くなたらしいで』 『建翔の事なんか知ってる⁉︎』 『本当なん?何があったん』 あちこちで、俺の話しをしとるやん。 目立ちたがり屋の俺にとっては、まんざら悪い気はせんかった。 (そやで、俺、死んでん。でも、実はここにおるけどな〜ぁ) なんて言いながら、いつもと違うツレの表情をニヤニヤしながら眺めとった。 そや、俺はひらめいた。 職員室や! 今日の俺なら、職員室に入っても誰にも見えへんし、やりたい放題やんけ! 好奇心旺盛の俺は、職員室へ忍び込む事にした。 (ヤッホ〜イェ〜イ!) ワクワクしながら、職員室のドアを開け (大地〜おっはよぉー。。。おい、大地。。。) そこには、落ち込んでいる担任の姿があった。(大地。。。) 『昨夜、校長から建翔の話を聞かされたみたいで、だいぶショック受けてるわ。 昨夜は、寝てないみたいよ川口先生。あんなに建翔の事可愛いがっていたんだもん。無理も無いわ。』 他の先生たちの会話がきこえてきた。 (大地。。。)俺は、胸が熱くなってきた。 卒業までの残り4ヶ月、俺には大地との約束があった。 (ごめんな、大地。でも俺、かならず約束まもるしな!)

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14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第4章

14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第3章

俺の名前は、建翔。 どこにでもおる、イヤ こんな奴知らんわ!とよく言われるぐらい自由奔放に生きている、中学3年、自称イケメン男子。 俺の性格は、一言でいうなら陽キャやな。 ポジティブ思考、天真爛漫な自由人。 建翔は、アホやし、面白いし。そして優しい。 イキリの調子乗りで、カッコつけやな〜 とアイツらは言いよるけど、あながち間違いではない。 よーわかっとる。 俺の家族は、オカンと姉貴と兄貴。そして、可愛い,可愛いチワワのくーちゃん。 普段は、ママ、ねーね、にーにと呼んどるけど さすがに連れの前ではハズいしな オカン、姉貴、兄貴とカッコつけてゆーとんねん。 愛犬のくーは、俺の弟みたいなもんやな。 あいつは、俺が食っとる駄菓子も欲しがりよるし、オカンには内緒で、たまに一緒に駄菓子を食う仲や。 たまに、よっちゃんイカ食わせ過ぎて、夜に吐きよるし、そんときはホンマに焦るわ。 オカンが 『くーちゃん、あんたまた何か食べたんか?』 と言いよるし、俺の心臓バクバクやで。 俺が駄菓子食わしてんの、バレた日にゃ駄菓子代もらえんくなるやんけ。 頼むわ、くー。 兄貴は、俺の4つ上。 兄弟やけど、連れみたいな、時には親父みたいなよーわからん存在やな。 『けーん!おぃ、けーん』 と良く怒られたり、殴られたりしとるし正直あんま好きやない。 ゆーて仲悪いわけでも無いし、兄貴の機嫌がいい時は、バイクでツーリングに連れて行ってくれたり、一緒にゲームしてくれたり。 確か、ビー神戸が兄貴と行った最後のドライブやったかな〜ホンマあれは、最高に楽しい旅やった!懐かしいな。 姉貴はというと、まぁ優しいな。 俺の5つ上。 面倒見がいいんか、良く俺は姉貴からの恩恵を受ける。 バイト代が入ると、俺に色んな物を買ってくれる、女神の様な存在や。。。 結婚して出て行ったし、ちょっと寂しくなったけど、赤ちゃん生まれるゆーとったし、何気に楽しみにしとる。 男の子らしいし、一歳なったら俺のバイクのケツ乗せたるわと言うたら、姉貴にしばかれた。気のキツい姉御肌の姉貴やな! オカンは、我が家のボス!イヤ、ボスきどりのおばはんや。 だいぶイキっとる。イキリまくって、あれはヤバい。 なんせ、化粧も濃いし、若作り半端ないねん。 そのせいか、お前のオカン若いなー 綺麗やんけ。と何度か言われた事はあるが すっぴん見たらビビりよる。 うっさいし、しつこいし、声もデカいし、 『黙れクソババア、イテまうぞ!』と言うたら 『やれるもんなら、やってみー』と挑発しよる、ホンマやばい おばはんや。 まぁでも、俺らの事日々色々考えてくれてるし 学校からの呼び出し・警察からの呼び出し 毎日うまいメシも作ってくれるし、色々感謝せなあかん人やな。 こんな個性的な家族の一員として俺は14年間 楽しい日々を過ごしてきた。

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14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第3章

14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第2章

病院に着いた。 代わるがわる 医師が俺の心臓をマッサージしてくれている。 機械もなんや色んなんが付いてるし、ピーピー色んな音も鳴ってるわ。 俺、あかんかったんか❓ この時の俺は、不思議と痛みはなくフワフワと空中で浮いている感じがし、心地良かった。 孫悟空の雲に乗り移動しているような、そんな,感じにも思えた。 マジ俺、最高〜!! そんな快楽も束の間 ベッドで心肺蘇生されている姿を横目に、オカンと医師の会話が耳に入ってきた。 『死因は心タンポナーデです。自病の悪化に伴うものかと。。。今後、警察の方へご遺体は回される事になると思います。』 医師の口から出た言葉 死因。。。。 俺は一瞬固まった。えっ。。。 自分の耳を疑った。 血の気が引いた。 イヤ、違う。ただただ怖かった。 2022年11月14日 20時40分 俺は死んだ。無敵やったはずの俺が 死んだ。 15歳の誕生日目前のことだった。 しばらくすると、俺のベッドの周りには ツレが集まってきた。 皆んな来てくれたんや! 琉斗、智陽、みー、颯太、兄貴と姉貴も。 みんな泣いとった。 琉斗や智陽が泣いてる所を見た事ない俺は、慌てふためき 『オーィ!』『泣くなって!おーい!』 皆んなの肩をたたいてみたがダメだ。届いていない。 『建翔、ごめんな』琉斗が俺に呟いた。 気にすんな!泣くなって。俺、無敵やし大丈夫や!気にすんな。 ただ。。。 『建翔、ごめんな!』この意味をのちにオカンは知る事になる。 そして,この時俺は こいつらに全てを託す事にした。 琉斗、智陽、後は頼む。

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14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第2章

14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第1章

『喧嘩してから胸が痛むから打撲かなと俺は思ってる。』 『じゃあ、タバコやめろよ。お前の命の事とかあるんやし。』 俺と琉斗が交わした最後の会話。 この一時間後、俺は死んだ。 『ケーン、お風呂先入って! ケン、早く入ってお風呂、ケンお風呂。』 夜の八時を回ると毎晩オカンの風呂入れコールが始まる。 ホンマしつこい、俺が入るまで永遠ゆーとるし、今日は珍しく早めに入る事にした。 スマホとスピーカーを風呂場に持っていき、お気に入りの音楽を聞きながら入るのが俺様スタイル! 最近、ハマっている西野カナの「もっと」を聴きながら、今夜はゆっくりと。。。。 『ドン!!バーン!!』 持っていたスマホを落とし、俺は意識を失った。 台所で片付けをしていたオカンが、俺の倒れた音に気づき駆け寄ってきた。 珍しく今日はお早いご帰宅や。 兄貴も帰ってきて足だけ洗わせてくれよと風呂場へ来たが、俺が倒れた事に気づき 『ケーン、ケーン大丈夫か、ケーンお前死ぬなよ!ケーン』 兄貴の声が遠くで,聞こえる。 (ごめん。にーに、俺多分無理や) 救急車を要請したオカンは、俺に心肺蘇生を始めた。 『ケン、ケン!ケン、ケン!ケン』 何十回呼ばれただろか。 遠くから聞こえるオカンの声。 『さっき、下顎呼吸に変わりました。もう厳しいかもしれません。』 どれだけ人の死を見てきたのだろう。オカンは俺の死を悟ったかの様に救急隊へそう告げた。(ごめんな、ママ) オカンの手から、救急隊へ委ねられた俺は、AEDをつけられた。 『電気を流します。体から離れて下さい。』 これ、テレビで見たことあるやつやん。 俺の体に電気が走りビクッと動いた。 『ドン。  ピィーーーーー』 反応なし。俺、もしかして死んだんか❓ (ママー、にーにー、オイ、誰か返事せーよ。おーい、誰か何か言えよ) 俺の声は誰にも届いていたなかった。 アドレナリンを,投与され心肺蘇生をされたまま俺は、救急搬送されることになった。 夜の街に響き渡るサイレンの音。 救急車の中でオカンが誰かに電話している声がする。 『けんが。。。すぐに日赤に来て。』

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14歳で人生に幕を閉じた少年の物語 第1章