しんきユーザー
33 件の小説情緒
人の糸(緒)の隣にある 立つ心(情)は青の隣に生まれるが それを繋ぐことを 誰が決めたか知らぬは 繋ぐことを知る我々なり 我ら繋ぎあるか知るために 雫落とすが それを掬うも我々なり
繋がり
情けを知る我々 繋がりあるか涙を流すが そこに糸あることを知らぬ 初めより情けを重んじるは 糸あることを知るより 繋がりあることを示すものなり
そっちを選ぶ
「りんごで」 無類のりんご好きである私は、りんご売りの知らん人に言った。 「り、林檎の方?」 「美味しいんだろ?」 「普通に」 「腐ってないならいいよ、普通のリンゴを選ぶよ。食べる食べる。あーでも塩水をつける手間がなあー」 「そっち?毒林檎選べよ」 「え?なんで?いいことと悪いことは?」 「い、運命の人に出会えたり、奇跡的なことが起きたり」 「奇跡的に美味しい林檎、とでもないとなあ。悪いことは?」 「死ぬ」 「弱いなー、もう少し食べさせようとしてよ」 「はあ?さっき魅力的なこと言っただろ?」 「運命の人に出会うためにスーパーに行くのと、おそらく店に並んでて適当にワンコインで買った林檎とだったら、相応なのは普通の林檎でしょ?」 「運命の人に出会うためにスーパー行くなんて聞いたことねえよ」 「運命の人に出会えるとか言うからね。それを言った後にひょっとしたら死ぬって言われちゃったらなー、食べないね」 「なんだったら食うって言うんだよ」 「今あなたに足りないものはセルフプロデュース力だよ」 「りんごか毒林檎を選ばせようとしてる奴にセルフプロデュース力求めるなよ!!」 「それはごめんなさい。でも、あんたは肝心なことを忘れてるから、そう言われても仕方ないんじゃ無いの?」 「はあ?肝心なことをお?」 「毒林檎はどれぐらい美味しいか言ってないだろうが!!!」 「そっちかい!」 私はそっち(普通の林檎)を選ぶ。 おまけだが、 知らん人は毒林檎を食べた瞬間にゲロ吐いてて、それを見てた優しそうな人が看護して… 結婚してたよ。
おもしれー男女はいない
「おもしれー女」、「おもしれー男」 個人の見解なので、無理があると思った方は流してどうぞ。 自分の容姿や才能に自信がある人が、全然相手にされなくて苛立ちと興味が混ざり合って恋と 勘違いする人がいる不思議。結構いると思うよ、相手にしない人。 誰も彼も愛されてきた人が好きな人に拒絶されてボロボロになっていく話があるけど、好きな人 ができたように、もう一人ができそうな気がする。というか自分を拒絶されただけでボロボロに なっちゃう人は多分その人のことは好きじゃない気がする。 自分は今の関係だけで満足して噛み締められる人に好きな人がいるのだと思う。 だっせえ笑
レシート
誰かが言った。レシートを貯めたら、貧乏神が寄り付いてしまう。 母はその言葉に、略して「貧乏紙」と呼んだ。 しかし、父はレシートを「幸せの短冊」と呼んだ。なぜかと聞いた。聞いたら… 願いが全部叶っている証だから 私と母は爆笑した
終い日の入り
初日の出ならぬ「終い日の入り」 世間の人々は、初日の出を見るために早起きをするようだが、私は母が提案した 「終い日の入り」のために歩いている。 時間を守れば、急ぎ足になることもないし、日が落ちていく景色は、黄色の宝石がオレンジ色に輝くように幻想的。 日が昇るより眩しくはない。 そして何よりの利点は 「早起きしなくていい」というところ。 皆様も来年、再来年あたり、試してみて下さい。 良いお年を
自殺した後のこと、考えたことありますか?
「はー死にてえ…」 「どうしました?自殺希望者ですか?」 「自殺願望だよ。世の中、嫌なことばっかり。 彼女もいねえし、バイトはうまくいかねえし、勉強はだるいし、あーいいことねえ」 「でもこの話を聞いてくれる友達がいるじゃないですか。私をそれに含めても構いませんよ」 「友達じゃダメなんだよ」 聞こえた周りは思った。死ぬ気あるのか、こいつ 「ほら、そのお守りだってあるじゃないですか」 「あー親から送られてきたやつ?」 「そのお守り一つ一つに、持ち主を守る効力が少なからずありますよね?守りは見守りという意味でもあります。 つまりあなたは見守られながら、こうして余生を過ごしているというわけです」 「余生って……まあ、そういう考えなら悪くねえけど」 「あなたは一人じゃない。見守られながらあなたがあるんです」 「ん?聞いてみたら、お前さりげなく俺を自殺から気を逸らそうとしてんじゃねえか。萎えるわー」 「そうですかー」 「では、自殺した後のシミュレーションをしてみるというのはどうでしょう?」 「え?なんだよそれ、どーゆー意味?」 「私達は自殺した後のこと、家族にとか自分のことしかあまり頭に入れていませんよね?」 「まあ、な」 「しかし、実際は人一人自殺しただけで、新聞に載ったり、救急車が呼ばれたり、警察の人が入ってきたり…… 案外自殺することは期間が短いだけで、影響力が大きいのです」 聞いていた周りは思った。話してる人は何をしたいんだ? 「自殺したら、この世にとどまることはない。 ならば、自殺した気になって、自殺したことによる影響の範囲を全て考え、不足のない満足した自殺ができるようになるでしょう!」 「自殺したくねー!!」 ここで問題 相手が望むことから焦点をずらし、そして戻した後デメリットと負担を提示させることで、やる気をなくさせること。 このような手法をなんという? わかった方はコメントにどうぞ
死にたがりが死にたい理由
僕はなる早で死にたかった。 死ぬは死ぬでも、楽に、穏やかに、一瞬で。死んでることにも気づかないほどにパッと死にたかった。 このことに、みんな私が本当に死にたいのか聞いてきた。 だって、この世に未練はないんだもの。 生きる理由がないんだもの。 生きる理由が見つからなくて、途方に暮れちゃってるところなんだもの。 と、思っていたけれど意外と、そうでも無かったんじゃないかと、最近気づいた。 僕は忘れる前に死にたかったんだ。 人間は、良いことも悪いことも忘れてしまう生き物なんだ。忘れてしまうから、覚えている間に、死にたかったのだと思う。 忘れるのが怖い。 苦しさや悲しさばかりで死にたくない。 忘れる前に、楽しくて、嬉しかった、幸せな思い出を持ったまま死にたかったんだ。 だから、死ぬは死ぬでも、そういう意味のこともあるから、 ゆっくり考えていけば良いのだと思う。 死にたがりのアマチュアより
神み殺しのテルツェット
「神様大変です!人間が神様達を殺しました!」 天使が叫んだ言葉に、神界(神の世界)は混乱の渦に巻き込まれた。 神が予想もしなかった、人間による神殺し。 そして、神様と神様を殺した人間は、一つではない。 一人目が殺した神は、火の神。 動機は愛する人が火炙りにされたこと。 二人目が殺した神は、戦争の神。 動機は夫が戦争の犠牲になったこと。 三人目が殺したのは、災害の神。 動機は家族が災害に巻き込まれたこと。 どの動機も、神からすれば知ったことではない。しかし、殺されたのだから動機についても渋々考えておかなければならない。 この事実に、神族(神様達が属する種族)達は驚きを隠せなかった。 「誰だ!人間に力を貸した神は!」 「まずそいつは厳罰だ!」 「神様!詳細です!」 天使は詳細を記したと思われる紙を掲げた。 「読み上げろ!」 「神様達を殺した凶器はすべて。 隕石から作られた物です」 「なんだと?」 隕石から作られたものということは地球外から降ってきたので、物質については言及できない。 ここで興味深いかつ、問題なのは地球外の神でさえ耐えきれない物質があってもおかしくないので、殺された神達は死亡してしまったということだ。 「じゃあ干渉した神はいないと?」 「凶器を作った職人とかをしょっ引きますか?」 「よした方がいい。神を殺すつもりで武器を作ったなんて認めるわけがなかろう」 「しかしどうするぅ?火の神、戦争の神、災害の神。火の神は我々の手中に収めておきたかった神ですし、戦争と災害の神は我々に貢ぐ人間が減ってしまう。 結果オーライじゃありませんか?」 族長と思われる神は大声で怒鳴った。 「結果オーライじゃねえよ! 人間が!神を!殺した!頭が高すぎるだろ! エベレスト飛び越えてんだよ!」 「比較対象が違いますよ、族長」 「しかし、族長。神を殺した人間、だからと何か問題は?」 「はあ?」 「仮に人間達に相応の罰を課したとしましょう。ですが、罪を終える前に死んでしまいます。終えるまで死なない様に半分不死にしますか?それでは神未満、人間以上の扱いになってしまいます。 そして、本来罰は決めた種族同士で行うこと。 我々が彼ら人間に罰を下したら……」 「なんだ?言え」 「同等とみなしたことになります」 みなさんは、神が人間を裁けると思いますか? 神は人間に殺されるなんて考えていなかったので、人間を裁く法律なんてありません。神具を壊したならば、神罰を下せた。 しかし、今回は神を殺した。人間が。 人間は人間、神は神と対等と見做さなかった故の結果だろう
秀才は天才に狂った
明治時代 中期 小生はとある貴族の当主に仕えている書記でございます。本日は、当主様に「自分の意見を記録してほしい」と言われたので、ご紹介します。 「私の同級生に、とても優れた人がいる」 「当主様以上にですか?」 小生は不思議に思った。当主様自身、優れた方だったのだ。教科書、参考書は全て覚えていたし、よくレコードを聴いていた音楽は演奏できていたし、武芸の講師をされてるお方も、当主様に並ぶ者はいないだろうと言ったのだ。 そして、それをひけらかさず、謙遜し、誰に対しても礼儀正しいお方だ。 そんな方が、「とても優れた」と言うのだ。驚いて当然だろう。 当主様はつらつらと教えてくださった。 「その人は、一度読んだ本を全て誦じていた。一度習った公式を全て使いこなしていた。武芸なんて見ただけで講師を圧倒していた。あの人こそ、天才なのだろう。天才とは、あのような方を言う」 「性格は、どのような?」 「唯我独尊で、我儘だ」 「え?」 「興味の無い授業は全て無断欠席しているし、文句を言うものには、教師が相手でも殴っていた」 「そんな方の、どこが優れているんですか?」 当主様は、微笑んで言った。 「天才は、生まれ持っている力では満足せず、それ以上を求めている。私のように、凡人が努力した結果で身につけたものを、天才はそれを更に超えていく。このことに、私は妬みなどない。 憧れと、尊敬ばかりが溢れてくるんだ」 当主様は凡人ではない、という言葉が許されない雰囲気に、小生は黙って記録するためのペンを動かしていた。 「天才と凡人を一緒にしてはいけない。天才は至高であるべき。もしくは、天才同士がすごすべきなんだ。 天才は、自分のことと同類(天才)以外視界に入れるべきではないし、凡人を含めた考えはしないんだよ。 天才は天才にしかわからない、できないことをしているべきなんだ」 小生はまるで薬を使ったような目をしている当主様に、なんとなく、聞いてしまった。 「何故そこまで、天才にこだわられるんですか?」 「私にとって天才は、憧れであり、神の子と言っても良いと思う。イエス・キリストは違うな。凡人のことを考えてる」 この時代にキリストを侮辱するのは良くないのでは?と思ったが、言わなかった。なぜなら、とてもそんな雰囲気じゃなかったからだ。 「私の夢は、凡人ではなく、天才達にとって生きやすい世界を作ることだ。そのためなら、私は様々な技術を習得するよ」 翌日、当主様は、その天才という方のパトロンになっておられた。他にも、天才を探しに海外にまで行って画家や科学者を支援していた。 そのお金は、技術と夢への気力でできたものだ。 当主様は、天才のためなら、天才のためならと、 身も心も、人生も捧げていくのだろう。 完