koa
7 件の小説欲しかったのは、
もし、『あなたが望む事ひとつだけ叶えてあげます。』そう言われたら、 私は何を望むだろう。 世界から貧困を無くして欲しい? 才能だけで生きていると思っている人たちを無くして欲しい? 今までの嫌な記憶全部消して欲しい? お金が欲しいとか? まあ結局はどれも叶うわけなくてただの空想でしかないけど、 もし、魔法使いだかなんだかが現れて叶えてくれるんだったら、 『この心にぽっかり空いた穴を埋めて欲しいな』 いつからかはわからない いつの間にか心にぽっかり空いて埋まらない いつからかこの世界で呼吸がしづらい ふとしたときに思い出したかのように涙がダバダバ流れてくる いつもなにかが足りなくて いつも手を伸ばしてるのに掴めない 私に一体何が足りないのかわからない 心臓は動いてるのに息を吸うと心臓を貫通するように酸素が通り抜ける 何度かこの原因がなんなのか探していた時期があった でも何も見つからないし。 生きてるのか壊れてるのか これじゃどっちかわかんないね
見つからないもの
私はきっと他からみればすごく満たされている人間に見えるのだろう。 それは身近な人々の言葉からも読み取れる。 『私君になりたかったな。勉強もできて、優しくて、親も君を甘えさせてくれて、あ…君料理もできたよね。なんでもできて羨ましいよ』 そんな感じの言葉を私はよく聞く。小さい頃は疑いもしなかった。ああ、嬉しいな。私すごく幸せだ。そう実感できていたと思う でも今はどうだろう。私は私になりたかったというあの人たちに素直にありがとうと言えるのかな 勉強も、なんでここまで必死に食らいついているのかなんてわからない 私はいつも誰かに本当の優しさをあげられていたかな 料理も、よく家を空ける父と母の代わりに生きるために培われただけだ 親にも、甘えたくて甘えてるわけじゃないと思う きっと本当の私は、 何にもできない
あの春の僕らはいつか水底へ#2
#2『春の木漏れ日』 By 綾瀬桜良 「ーちょっと落ち着いた?」 校舎近くの木陰で数分過ごしていると不思議なくらい気持ちが落ち着いて呼吸が楽になった。 私が落ち着くまでずっと隣にいてくれた彼女はどこか儚げな雰囲気を放つ女の子で、顔はびっくりするくらい整っている。 「は、はい、ありがとうございます」 「うんうん、顔色も良くなってきたね。やっぱり具合が悪かったのかな」 「いや、えっと、」 休ませてもらったおかげで冷静にはなれたが、時間がないのも確かで事務室も見当たらないままだった。仕方なく彼女に協力してもらうことにしよう 「ーーそっか、災難だったね。さっき校門に先生らしき人が立ってるのみたから一緒に探してもらおう」 そうか、最初からそうすればもっと早く見つかっていたかもしれない。この子も私と同学年なのだろうか…いや、そうとは思えないくらい落ち着いている。先輩なのかもしれない その後無事先生から学生証の忘れ物が届いていることを伝えられ、私は教室に入ることができた。結局あの女の子の名前など詳しいことは聞けずさらっと挨拶を交わされどこかへ行ってしまった。 まるで春の木漏れ日のようなあたたかさを持ったなんとも印象に残る女の子だった。 「あ!桜良〜!!よかった入れたんだね!」 「え、ずっと待っててくれてたの?ごめん、」 海月と蓮は教室での身分確認を終えた後事情を話して私を待っていてくれたようで、廊下のど真ん中でわかりやすく仁王立ちしていた 「俺は止めたんだよ。邪魔になるし目立つし。」 「とにかくもう教室入らないと、もうすぐ入学式だよ」 私たちはクラスが別々となってしまっていたためここで解散となった。登校初日だというのになんというか濃い時間を過ごした気がする、 教室に入る前から散々な目に遭ったのに座席も廊下側の前から3番目というなんとも言えない位置なのだった 待機時間の間はずっと朝会ったあの子のことを考えてしまっていた。とても印象的な子だったしまた会ったら一発でわかるだろう。そのときには名前を聞いて改めてお礼しないと。 そんなことを考えていたからかいつも長いと感じる先生たちの話も流れていくように終わり、もう直ぐ終わりかなと思ったのも束の間、私の目線はステージに吸い寄せられるように奪われた。 「新入生を代表してご挨拶申し上げます。」 すっと光が溢れるような声色、 「暖かく、柔らかい風に包まれ、春に咲く花に命が芽吹き始めました。」 体育館全体がしんと静まる中通るマイク越しの音 「春の訪れを感じられる良き日に、この八陵高校に入学できることを心より嬉しく思います。」 私はこの声の主を知っていた。 この儚げな雰囲気を持つ、春の木漏れ日のような声の彼女は、 朝私と出会った彼女だった。 「新入生代表、暁月栞。」
アイのコトバ
すき きになってる 恋してる だいすき 本当にすき すきだな アイシテル。 「ね、好きだよ。」 「私、気になってる人がいて、」 「きっと恋してるんだな、」 「私ーー君のこと大好き!」 「本当に好きなんだよね、どうしよ笑」 「ああ、好きだなあ、もーとめらんないくらい!!」 「ー愛してる。一生そばにいてほしい。絶対に幸せにする。」 ーありふれているけど特別に感じるアイのコトバ 私はいつどれを信じれるようになるのかな そんな自分勝手なこと言われても、私にはどうすることもできない でも、いつかその言葉がたまらなく「愛おしい」と感じる日がくるのかな それだけを、信じてる。 投稿主より 私は小学校6年生の頃、恋愛、友達、家族関係が一気に崩れた時がありました 春から高校生で、今はその崩れた思いをひとつずつ集めてまた積み上げている途中です 悲しいことはあったけど、それがあったから今の私がいる。それをしれて、よかったなって思います。 これからも、小さなことでも拾って、自分の目で見て、受け入れていきます笑 (トラウマ克服中ってことです)
あの春の僕らはいつか水底へ#1
#1 『春と雨と朝靄』 By 綾瀬桜良 高校一年生の頃、私は桜が開花を迎えるとともに第一志望の高校に入学した。星稜高校という新しく都内にできた高校で校舎の綺麗さや制服の可愛さ 、そんな些細なことの積み重ねで志望を決めた。私の他にも二人の幼馴染が見事同じ高校に合格し、三人で新しいスタートを切ることになった 「桜良〜!明日の入学式髪アレンジしてよー、私センスが壊滅的なんだよねえ」 幼馴染の一人である海月(みずき)は明るく笑顔がよく似合う子だ。 「卒業式の時もしたじゃん!!海月髪サラサラで結びにくいんだよね」 「仕方なくなーい?まあ褒めてもらっちゃって嬉しいけど」 「誰が褒めてるって?まず日本語の勉強でもしたらどうだ?」 もう一人の幼馴染である蓮は口は悪いが多分誰よりも優しくてよく周りを見ている。 私たちは何年も前からこうして三人で生きてきた。きっとこれからも…こうして過ごしていくんだろう。でも苦ではなかった。 私はこの三人でいる時が一番自分らしくあれると思っていたから。 月日は流れ、入学式の日となった。 サクラは見事満開となり運がいいことに快晴のスタートとなった 「んーー見えないっ!!全然前進まないし…これ教室まで辿り着けるかな?」 生徒昇降口の前にクラス分けが張り出され、多くの生徒で賑わっていた。私たちもその一人なのだが… 「お前が途中で腹痛いとか言うからだろ。遅刻寸前じゃないか」 「悪かったね?でも仕方ないじゃーーん」 朝よく食べていたがために腹痛を訴えた海月を近くのコンビニまで運び15分待たされあまり時間に余裕があるとは言えない初登校となったのだ。 結局、蓮が前まで行って私たちの分もクラスを確認し、無事教室まで辿り着けた。 しかし… 「え、ご、ごめんちょっと待って」 「「?」」 「学生証が、ない、」 「「は?!」」 私の学校は少々珍しいことに入学前ら学生証が配布され、それを教室前で提示すると言うことになっているのだ。これでは教室に入れないが、確かにカバンに入れたはず…どこかで落としてしまったのかもしれない 「私たちも一緒に探すよ!桜良だけ置いていくわけにも…」 「大丈夫、とりあえず事務室に届いてないか聞いてくる」 こう言う時はとりあえず落ち着かなければと思うものの、ふつふつと焦りが込み上げてくるものだ。入学初日、事務室に向かっていたはずが迷子になってしまった。 足が動かない…どうしよう、 焦りと容赦なく当てられる太陽の光に焼かれ汗も止まらない。完全に詰みだと思ってしまっていた。 でも、 「大丈夫ですか。…すごい顔色悪いよ。少し涼しいところまで行こう、歩ける?」 すっと心拍がゆっくりになり呼吸が整ってくる。 そうだ、私はここで彼女と出会った
愛してやまない温かさ
3月13日、世の中で見ると少し遅めの卒業式を迎えた。 小学生の頃は好きだった彼と写真は撮れず、嫌われ、大切と思えた友達を棒に振るような最低な卒業式となってしまった 中学1年生になった時、 もう誰も傷つけたくない。もう誰かに離れられたくないと言う思いから自らクラスの輪から離れた。 心の奥がずっと冷たくて口には出さなかったが寂しかった でも少しずつ手を引かれて光の中へ足を踏み入れていった。 中学2年生から小学1年生の時から仲良くしてくれていた親友が同じクラスになりずっと隣にいてくれた。 誰かを信じるのは難しいが、その分多くの幸せがもらえてしまうこと 辛い時は本当に一緒にいたい人といればいいだけのこと 誰かを知ることはその人と笑いあえる時間が増えること 本当にたくさん、数えきれないほどの愛と優しさと勇気をもらった。 いつの間にか私は春の息吹が吹くとともに春らしい暖かい心になっていた もうあの頃の冷たい冬は終わったかのようにも見える。 きっとあの子たちはこれから先も頑張るんだろう 頑張って、辛くても、走り続けるのだろう。 そんな姿にいつも背中を押せれてしまっている。 私はあんまりこう言うことを言わない方の人間なのだが、 辛くなったらいつでも帰ってきてほしい 逃げたくなったら、私のところまで逃げてきていいんだよ。 いつでも背中を押す。転んだら手を差し伸べる。 だから、 世界で一番幸せであってほしい。 私の分の幸せ全部あげるから、ずっと笑ってて。 もうきっとずっと会えない。 でも、ふとした時でいいから思い出してほしい いつだって私は味方だよ。 君たちのさらなる活躍を願うとともに いつまでも笑って過ごせることを 心から祈っています。 本当にあったかい。 まるで春の陽気が私たちを祝福するかのような3月13日 私たちは、中学校の3年間を終えました。
あの春の僕らはいつか水底へ
プロローグ 桜はまっている ーあれはいつの頃だったか。10…いや、9年ほど前だったか。 私はあの3年間でありえないほど多くの経験をし、本当にたくさんのことに触れた。 22歳になった今でもふと脳裏に浮かぶことがある。 「…さん、…せさん!ー綾瀬さん!!」 誰かに呼ばれた気がしてふと目の前の視界をクリアにする。 どうやらずいぶんぼーっとしてしまっていたらしい 「あ、ごめん、ちょっと考え事してて」 「えぇ?らしくないですね。何かありましたか」 「いや…別に今何かあったっていうわけじゃ」 「…あ、わかった。どうせ”あの人達”のことでも考えてたんでしょ」 きっと彼の言う”あの人達”は今私が脳裏に浮かべていた彼女たちを表しているのだろう。 事実、間違ってはいない。私はどうもこの季節になるとあの時のことを思い出してしまう。 ちょうどこの季節、例年桜の開花時期が早まり早くもふんわりと甘い香りが私を囲んでいく頃、 私の人生を180度変えたあの三年間が蘇ってきてしまうのだ