仙 岳美
485 件の小説外伝 15 志摩長VS青年将校
外伝15 志摩長VS青年将校 青年将校と対峙し、その気を感じ取り志摩長は思う……コイツは清次以上かも知れん……それ故に残念かな……やはり隠密だったか。 それから数分睨み合いが続き、青年は口を開く。 「中々、仕掛けてこないね、なら僕からいくけどいい」 志摩長は応えない。 不意に青年将校が突きを繰り出す。 想像以上にその突きと飛び込み速度は早く、が、志摩長はその突きを横に払うと、その長剣は瞬時に二箇所二点が折り曲がり、クランクに状に成り、突きとして軌道継続し、そのまま志摩長に襲いかかる。 志摩長は反射的に、その奇剣の内側に巻き込まれてしまった太刀を捨て、鉄甲小手でその剣先を跳ね飛ばし、後ろに飛び距離を取る。 「あれー、今ので終わりと思ったんだけどな~、避けられたのは初めてだよ~、ひょっとしてこの剣の動きも見えました?」 志摩長も自分の反射神経に驚いていた。そして青年の言う通り、常人には見破る事ができないだろうと思われる、研ぎ澄まされた技から繰り出さられる、その剣のカラクリと突きの軌道がスローに感じ見破る事ができた、その認識と手応え、確かな確信を持ち、志摩長は青年へ向かって言う。 「最後に聞いておくが、再び投降する気はないかね」 「無い、理由は知ってるはずだ、僕にはあなたの首がいる」 志摩長、歌う。 「かなしくも うつくしき枷 それ故に それ守る君 よりほしいかな」 「……悲しい枷なんかじゃ無いさ、僕に与えられた運命の甘美な枷さ、さてと僕も本気になるとするよ、あんた思ったより強いわ、別人だ、ひょっとして副長にワザと負けたの? その場を欺く為とか?、でも本気になった僕なら、まだあんたの腕は格下だよ」 志摩長はニヤリとし、脇差し抜き、構える。 「え、脇差しで戦うの、舐めてるな~、太刀拾っていいよ、そのくらいは待つよ」 「いらぬ、いくぞ」 今度は志摩長から突きを繰り出す。 青年将校は、その突きを余裕で跳ね飛ばし、反撃に出ようとした時、両手首に違和感を感じる、そして手首から血が吹きだし、血の滑りで掴む奇形長剣を落とす。 「あっあ! そ、そんな、つ、突きは、ま、間違いなく弾いたはず……何故に」 すぐに全身の力が抜けそこに膝を着き、前に倒れ込む…… 志摩長は言う。 「トドメだ」 その時、 「志摩長! 待ってよ!」 医務室から戻った姫が青年と志摩長の間に入り、両手を横に広げ止めに入る。 「もう、勝負ついたわ」 「ならぬ、どいてくだされ」 「ダメ」 志摩長は、この三女の姫が国王の後継者に真っ先に外された事に納得した。 『甘すぎる、これでは国がすぐに滅ぶ』 後ろで青年将校が叫ぶ様に言う。 「女にかまってもらい生きるのは、真っ平だ、兄を許せ妹よ……グッフォ」 口から血を吐き青年は、そのまま生き絶える…… 「あっあ!」 それ見て姫は声をあげる。 「舌を噛みおったか」 志摩長は転生した時にその身に授かった、志摩長にしか見えない手に帯びる霊小太刀を体内に仕舞う。そして霊剣の姿が太刀で無く小太刀だった事に悔しも思う。小太刀、故に、危険を承知で敵に脇差しで近づく必要があった。 そして初太刀で勝負を決する必要があった。 それは万が一、クズクズし霊剣の気配を察知でもされたら、剣の達人となれば、気配だけで見えぬ剣が見えるかの様に立ち回る事が可能、そうなれば……全て失う。 姫は青年の胸に顔を伏せ泣いている…… 「うううっう、元々は私が巻き込んだ事だわ」 志摩長は言う。 「違う! その青年は私と清次の勝負を見ていた、そして偶然を装い姫様に近づき利用したのだ、それに、その真の狙いは太古より帝国皇帝の宿願だった不老不死の秘薬、即ち我々の転生技術を盗もうとしたのだ、自分を責めてはいけませんぞ」 「……」 「とわ言え、その青年は最後に姑息な事はせずに立派に戦って死んだのです」 「この子の妹さんをお願い、志摩長」 志摩長は頷き答える。 「これも縁、できる事は全てしましょう」 後日、戦争が終結した後、月の洞窟の氷層に保存された青年は姫の強い意向で転生復活する事になるが、それは、また別の物語でもある……[完] 付録 志摩長の霊剣 志摩長が転生した事で得た霊剣、その姿は小太刀ながら霊剣特有のステレス機能を備えており、その恩恵は計り知れない。 後に志摩長はその霊剣を精神と共に鍛錬し鍛え、自在に変形させる事に成功している。 長刺剣・梅鳩(うめばと) 帝都の暗殺者ハーゲンが自ら開発し、使用した暗器。 継ぎ目が肉眼ではわからないほどの、その刀身の二箇所が折れ曲がり、宙をクネり敵を翻弄する。 名の由来は、花札に描かれた鶯が留まる梅の木の枝が、この剣の折り曲がる姿に似てる事だと言われている。お気づきだと思うが、鳩と鶯を間違えてる事からハーゲンは少し天然だったとも言われている。 そのハーゲンの最後は冷酷な暗殺者に相応しく無く、馬車に轢かれそうになる子猫を助け、その事故で亡くなり、その後、長剣の所有者は安定せず、あらゆる人の手に渡り歩く、その理由は、そのカラクリ武器の本来の能力を引き出すのは困難を極める事だったと伝わる。
外伝14 マシュリア
外伝14 マシュリア 地下研究室の最下層の図書室、そこでマシュリアは、愕然としていた、突如、目の前に降伏兵の青年が腰の剣を自分に向けて抜いたからだった。 「あなた……そう言う事なの?」 「ああ、そうさ、わけは長くなるから話さないよ、でも安心しておねいさんは殺さないから、ただ少し眠っててくれるかな」 「そうは、いかないわよ」 マシュリアは拳を構える。 「だよね、へー、おねいさんの武器は素手かい」 「ええ」 …… 意識を途切れる途切れるの中、マシュリアは笛を取り出し吹き散らす…… 「呼ぶのかい、まあ、行く手間がはぶけるかな、此処の研究室は広すぎる、まだよく迷うよ」 笛の音を聞きつけた、志摩長と姫は、駆けつけ、その惨状に呆然とする。 倒れているマシュリアに志摩長は駆け寄り、手を取る。 「志摩長さま、すみません……」 「おい、しっかりしろ、傷は浅いぞー!」 「志摩長様、お気をつけて、その者只者では……」 青年将校は口開く。 「心配しなくてもいいよ、急所は外してるから、でも早く処置室に運んだ方いいかな」 志摩長、マシュリアの手をその胸の上に置くと、裏切りの青年将校に影が差す横顔を向けたまま、話しかける。 「貴様は安倍乃太郎の犬か?」 「犬、人聞き悪いな、直属の部下さ、そしてあんた達を逃したお人好しの副長の見張り役さ、まあ、僕も女は殺さない主義だけどね」 姫が青年将校に話しかける。 「全部嘘だったの?」 青年はうつむき答える。 「まあ、九割は嘘かな、ただ志摩長を切った後、姫様が僕のガールフレンドになってくれるなら、喜んで受け入れるよ、ただし転生復活の秘密は全て喋ってもらうよ」 「あなたは何が目的なの? 悪い人には見えないけど」 「……聞くかい、志摩長公がその時間をくれればだけど」 「話してみろ、お互いにどちらが死ぬにせよ、知らんと気持ちが悪い、単純に出世と金が目的なら話しはもうよい」 「出世と金か、まあそうだな……ただ単純と思われるのも癪だから話すのよ……妹が病気でね、治療に莫大なお金がいるんだ、あんたの首を取ればお釣りが来るほどの金が入る、そしてあんたを逃した事が知れた副長は失脚し、カリスマ的な隊長も今回の戦争で戦死した、安倍参謀長も病気だ長くは無い、即ち時期に帝国は僕の天下さ、それだけだよ」 「そうか、この島には帝都程に良い医者はいないしな」 「そう言う事」 「では参る、残念だ、※鍾会気取りな裏切り者の君よ」 志摩長は太刀を抜く。 青年も細身の剣を構える。 「姫さま、聞いての通り、私の客だ、離れていてくだされ、マシュリアを医務室へ」 [続]15へ ※鍾会士季(しょうかい しき) 中華三国志時代の武将、司馬昭の右腕として活躍し、遂には蜀漢平定に貢献する大功を立てるが、彼の地で反乱を企てた後、敗死した。(ウイッキペディア引用)
外伝13 別れ
外伝13 別れ そして洞窟を抜けるとそこは離れ小島の中の志摩長の研究所の地下室へ出る、そこには一人の女性兵士が出迎え、黒い土壺が置いてあった。 出迎えた女性兵士は首を傾け言う。 「姫さま、その若い御仁は、どなた様でしょ?」 「マシュリア、無事でなによりよ、彼は、かくかくしかじかよ」 マシュリアは姫に説明を受け、納得し隅に下がる。 志摩長は言う。 「姫さま、壺の中を」 姫が除くと志摩長本来の体が沈んでいた。 仮の志摩長は青年に言う。 「ここからは本当に国家秘密だ、君は此処に残ってもらう」 「えっ、置いてきぼり」 「なーに、すぐに戻る」 「へい、新参者は此処で大人しくしています、そしてその隅にいる人は僕の見張り役かな」 「彼女は、ここの事務員だ、そして君の話し相手だ」 「ふーん、まあ綺麗な人だから光栄だけど」 と青年はやや不貞腐れた感じに応える。 翌日、転生復活の儀式を終えた志摩長は、銀の壺の中へ移り、そのまま研究室に戻る……。 数日後、壺は縦に半分に割れ、羊水と共に現れた志摩長は目を覚ます。 その時ふっと志摩長の仮の身体の男は消える…… 二人は二人だけの異空間で向き合い最後に語り合う。 「もう行くのか」 「はい」 「裏の、その彼女には、合わないでいいのか」 「私の思い人はひとりだけです、永遠に」 「そうか……短かったが、いろいろと世話をかけた元気でな、兄者」 「師匠も、遠くながら武運を祈っています」 「私も武運を祈っているよ、存分に暴れてくれ」 「ありがとう、最後に……あの青年には、ご注意を……」 「やはりそう思うか……心得た」 「では……」 …… …… …… そして事件は起きる…… [続]外伝14へ
外伝12 再開
外伝12再開 やがて舟は岸に着くと、その地面は一面氷だった、その氷を透けて見える光景に再び青年は驚く。 その光景は無数の人だった。 その人達は、埋葬された様に綺麗に並べられていた。 「こっこれは、なんだい」 「うん、戦死した人達」 「ここは天然の墓地かい」 「そうなのかな」 とやや意味ありげにその問に姫は答えず凍りの上を歩い行く。 青年は察して、それ以上は聞かずに黙って後を着いて行く。 やがて目の前に人らしき、ものが見え。 こちらに近づいて来る、そして目の前にワイシャツ姿の男が立つ。 姫は、やや首を傾け。 「志摩長……かな」 「はい、少し声は違います、借り物の身体故に」 「詳しく教えて」 姫がそう言うと、志摩長は姫に横にいる青年将校をチラリと見て言う。 「その者は何者か?見ためは帝兵のようだが」 姫は経緯を話す。 志摩長は頷き言う。 「そうか、悪いが君には、此処で死んでもらうかな」 「えっ!」 と姫が驚きの声をあげる。 青年将校はボッーカンとしている。 「此処は国家機密の場所、それを知った者、ましては敵」 「ちょっとまってよ、私が声を助けを求めて、この人は心良く応じてくれたの、やめてそんな事をするのは」 志摩長は首を横に振り太刀を抜く。 姫が志摩長の前に立ち、両手を横に伸ばし、青年は構う。 そこで青年は口を開く。 「僕に降伏の選択肢はないのかな?」 そう聞いて志摩長の顔は緩む。 「ほう、我々に着くと言う事かな」 姫が言う。 「そう、そうしなよ」 「杏里さまには、聞いていない、その帝兵に聞いている」 青年将校はアッサリとした顔で言う。 「構わないよ、ただ条件もある」 「条件?、言ってみろ」 「僕は姫さまの、直属のボディーガードにしてくれるかな、身分は貴族級で保証してくれ」 「そちらの保証は?」 「帝都に妹がいるんだ人質じゃ無いけど」 と青年は胸ポケットから取り出し物を志摩長に投げる。 「僕の身分証明書だよ、その住所の場所に妹と住んでいる、後は、今この場では口約束しかできないかな」 志摩長は身分証を仕舞い、話を続ける。 「君に、あと一つ確認したい事がある」 「なんでしょう」 「簡単だ」 そう言うと志摩長は太刀を素早く構え、青年に突きを繰り出す。 その突きは青年の胸元で止まる。 「あっあ」 青年は唖然としている。 「ボディーガードが君に務まるかね?」 「頑張ります」 「まあ、いいだろ、降伏を認める、そして、ようこそ!、名は」 「サバル ハルです」 姫はようやく安堵の笑みを浮かべ言う。 「貴方、帝国では上から一桁の腕前って言ってたじゃない」 「えっへへ、自称だよ」 青年は頭を掻き顔を赤める。 「もう」と姫は顔をプイと斜め上に振る。 「あ、怒った顔も可愛いです」 「調子は変わらずにいいのね」 その姫の仕草に、その場の空気は一層と緩み和やかに変わっていた。 [続]外伝13へ
外伝11 月の洞窟
外伝11 月の洞窟 「ここが月の洞窟かい?」 と姫に着いてきた、青年将校はたずねる。 「うん」 と姫は首にかけたペンダントを取り、そのヘッドの丸いソケットを開き中から月の形をした小さい鍵を取り出し、岩壁に両手を着けて探りだす。 「あった」 とその表面は岩な引き戸の鍵穴を見つけると、その鍵を差し解除する。 戸を開くと日の前は岩壁で左右にカーブする道が伸び、その足元に均等な間隔で壁に掘られた仏灯籠、その洞窟の道を照らしていた。 目の前は岩壁な事から、左右のどちらかに進むと青年将校は思ったが、姫は意外にも目の前の壁を押し始めた、すると岩は後ろに下り、足元に梯子がかかる穴が現れる。 「こっこれは」 「秘密の場所」 姫に続いて降りた、その神々しい場所に青年は圧倒される。 その場所は広く目の前には青く透き通る湖が広がっていたり その辺りには船着場があり、木舟が三艘置かれていた。 「こ、これは凄い」 姫はその青年の驚き様に薄らと自慢げに笑みを浮かべる。 「舟があると言う事は、何処か行けるんのかな?」 「うん、この先に岸があるの、舟が一隻無いから、もう多分、志摩長は来てるかも」 「え、お腹裂かれた君のおじいさんの事かい?」 「うん」 「君のおじいさんは不死身かい?」 「うーん、どうだろ」 と姫は舟に乗り込み。 「君も乗って」 「あっううん、僕が漕ぐよ」 「ありがとう」 「いえいえ、少し寒いけど、こんな素晴らしい秘密の場所を見せてくれた、お礼さ、それにもうほとんどデートだし、釣り竿を積んでるね、何か釣れるのかな?」 「うん、目の無い魚や海老、焼くと美味しいよ」 「そうなんだ、少し落ち着いたら、ここで僕に釣りを教えてよ」 「ふふふ、いいわよ」 「やったー、よし、用事はサッサと終わらせよう」 こうして意気揚々と青年が漕ぐ木舟は、青い洞窟を進む…… [続]外伝12へ
パラレル……ノ巻《師の教えと狼少年》生徒手残記(九)
25.2.11加筆修正更新 登場人物 主人公 若草 光(生徒・美少年 十八歳 高三) 先生 (主人公の担任兼遠縁の女教師) =私立聖斗天草高校=でのお話し。 朝の透き通る寒さの中、僕は校門の少し手前で困っていた。 何故なら、その朝、校門の前で先生達が抜き打ちの荷物検査をしていたからだ。 そのうちの、担任の先生は遠目に僕を発見し、ニコリとしてくれた。 その担任の先生とは、遠縁という事もあるけど僕は気に入れられ、でも今回はその事が反対に仇になり、鞄(かばん)の中の物を見られるのが恥ずかしい事情になってしまっていた。 そして目の前に間が悪く、担任の先生がきてしまった! 「光君、おはよう~ 大丈夫だと思うけど鞄開いてくれるかな」 「えー あのー」 と中々に鞄を開かずモジモジしてると先生は、 「なーに~見られると困る本でも持ってるの~?」 と鋭いヤラシイ目をした(汗) そして『もうどうにでもなれ』と腹を決め、やむ得なく鞄を開く…… 先生は当然覗き込む。 「どれどれうんうん……」 鞄の中身、それは、他のクラスの同趣味の友達に貸すつまりで持ってきたBL本だった…… 先生は、顔上げニッコリとし…… 『僕どうなちゃんだろう?』と思ったけど先生の反応は予想を反したものだった。 「友達と仲良くするための教科書ね、行ってよし」 と言われた…… これが二ノ丸君の言っていた先生の裏のルールか…… その日を境に先生はやたら、態とさりげなく僕の肩を触ったりし、スキンシップしてきたり、胸元を見せる様に僕の前にしゃがんだりしてくる。 ピンクの花柄下着が見えた…… それは先生なりに、遠縁の僕の事を心配してる様だ…… でも悪いけど僕は先生にも、それ以外の女性にも何も魅了は感じない。 その時、二ノ丸君が言っていた言葉を思い出した。 『先生には気をつけろ、少し普通ではない!』 と言う言葉が頭に浮かんだ…… それから少し注意する様にし、先生が近づいてくると、さりげなく避けたり距離を取ったりしていたら、そのうち先生がムキになってきた! ある日、廊下の先に先生が見えた! 避けるため引き返して先生に背を向けて走ったら! 「あー こらー」 後ろから先生が少しキレた時に発する、生徒皆んなに恐れられてる声質、スットキョンなサイコパスっぽい声が聞こえた(汗) 即ち追いかけて来たのだ。 あっと言う間に先生が横に並んだ! 『はっ早い!』 そして微笑みかけてきた!(ゾー) 「何を先生を避けてるの光君! 君君! 後ね廊下を走っちゃいけませんよ」 と先生が言った時! 《ドッカン!》 ……気づいたら顔に何か柔らかい感触が? 先生の胸が顔におい被さっていた! 僕は、慌てて起きた上がった! 先生も僕もお互いの顔を見て横を向きながら走っていたので廊下の突き当たりである壁に衝突してしまったのだ。 「痛ったた、光君、大丈夫?」 と先生は僕のオデコに手を当ててきた! 僕は先生の手を掴み先生の方に戻した、 「大丈夫です」と返す。 先生はニッコリとし。 「そう、良かった~ ごめんねー」 と先生は転んだ拍子にズレた下着を直してるのか、ブラウスの胸元に手を入れてモゾモゾしている……ジーとそれを見てあたら、先生はその視線に気づいたのかフッと少し口元をゆるめ、満足した様な表情になり。 先生は言う。 「よしよし、光君またね」 その場から去る先生の後ろ姿を見ていたら先生はこちらを振り向き、僕を見つめグーパーする様に手を振ってきた…… その無邪気さに、僕の心は先生に捕らえられた気がした。 その場に一人取り残され僕は気づいた。 あれ? 僕は無意識に着衣の乱れを直す先生の胸元を見ていた…… 気づいたら下半身が勃っている…… なんで? ……その時あの先生の満足気な表情の意味が理解できた。 先生はこれを見たからか…… 恥ずかしかったと同時に何か先生に心の仕切りを取り払われ、丸裸にされた気がした…… 確かに先生は少し普通じゃないかも、少し怖いくらい悪魔的な魅力を感じる…… 即ち今の僕の防御力は、百のうちたった十だ…… それからは、毎日先生の事を考えていた、次第に心が煮詰まって来た。 * * * 数日後、先生に放課後、保健室に呼ばれた…… 先生は珍しく白衣を着ていた…… その先生は薄目の少しニヤけた顔で僕に言った。 「来たわね、待ってたわよ、まずは段階的に取り敢えず女の人に興味を持つ手段を先生と色々探ってみようか……光君のは唯の勘違いよ、元の男の子に戻せるわ」 先生が二回指打ちを鳴らすと、開閉が音声認識見たいで保健室のカーテンが自動で閉まって行き、照明も赤い色に変わり薄く暗くなっていった……。 瞬く間に部屋は写真現像室の様な赤暗い空間に変わっていった……。 (何、この演出は? 粛清(暗殺)?!) 焦り周りをキョロキョロしているとポンと両肩に軽い衝撃が走る。 振り向くと、先生が後ろ立っていた。 その両手が僕の肩から胸に回る。 そして先生は遂に僕に…… ※自己規制 僕は、ジックリユックリ焦らない様に心を理解させられながら…… それは方程式を解く様に…… 自己洗脳を解かれる様に…… 最後は僕からお願いをさせるようにさせられて、トドメを刺された。 果てた僕を含み笑みで見下ろしていった、先生のその顔はゾクゾクするほどにやらしかった…… 「ひかるくん」 * * * 「ひ か る くーんー! もしもーし!」 起きると授業中だった。見上げると先生が笑顔で微笑んでいた。 「疲れてるのかな、調子悪いなら、保健室で休みなさい」 「あ、いえ、すみません」 「もう」 そんな夢を見てしまった僕は、 新たな素晴らしい世界に目覚めた。 即ちBL本は、いらなくなった…… 女王様先生大好き。 【終】 ※内容はフィックション。
蝉と少女外伝⑨ 回想・一騎打ちの章
帝都による、第一次・西國諸島連邦征伐大戦末期…… 10:00 砂浜……志摩長とその姫は侵略者である帝兵に囲まれていた。 「ヌウウウウ、もはやここまでか」 と志摩長は唸る。 その兵達の間をすり抜け、ひとりの白面一重の青年将校が志摩長の前に出て、言う。 「私は副将、平乃清次、総帥志摩長公と見受ける」 「いかにも、お前が清次か、噂通りいい男だな」 「昨夜送り込んで来た、女は切った、そしてお前も今から切る」 「若者よ、人を侮るなよ」 「残念ながら、私は常に全力でね、その言葉は的外れだ」 と言うと、その青年将校は双剣を抜き構える。 二人の間合いが迫って行く。10:05 先に志摩長が突きを繰り出す。10:06 その突きは右の剣で下から弾かれるも志摩長はそのまま太刀を手放し、右手で青年の左手双剣の刃の反り側を掴み、左で腰の脇差しを抜き、下から左斜め袈裟に青年将校の胸に目がけて切り上げる。 10:06.10 青年将校は素早く掴まれている左手の双剣を手放し、志摩長のその切り上げを、右足を軸に中腰で時計回り三百六十度近く回りその刃をかわし、その回避回転と共に回した右の剣で、その志摩長の右手首の筋も回し切り、宙に浮く双剣を素早く掴み直すと同時に右足は、志摩長の右足に後ろにかけ、志摩長の引き避けを封じ、そのまま流れるような動きで志摩長の脇腹に、右から左へ一文字、下から上へ一文字に双剣を振り抜く。 10:06,12 「みっ! 見事じゃー」 横腹を十文字に斬られた志摩長は、うつ伏せに倒れ、勝負の幕は下りる。10:06,14 「最後に言う事はあるか」 「私が死ねば、この戦争の勝負は、ほぼ着いた様なものだ、その姫は見逃してくれ、凡以下の足りない者だ」 青年将校は志摩長に寄り添う、そのまだ幼が残る姫の顔を見て、言う。 「……凡以下、その言葉に偽りは無いか」 「無い! 男の言葉だ」 「わかった、安心して旅立てよ」 「おおっ恩にきる、いずれ冥界でその時が来たら酒を飲み交わそうぞ、グッン! グッワワワアッアアアア》 とアドレナリンが切れた、志摩長は痛みを感じ断末声をあげ生き絶える。 青年将校、その姫を少しの間、見下ろし。 「凡以下は言い過ぎだな、しかし約束だ、去れ、そして今迄は夢と思い、今からは平民に成り生きろ、敵として現れたら切る」 そう言うと首に巻いてる帝国の紋章が刺繍されている赤いスカーフを解き、「これは身の保証書になる」と姫の二の腕に巻き、懐から取り出した財布の全ての札を抜くと、その札を姫の前に置き、兵を引き連れ去って行った…… 『馬鹿、何が全力よ、やっぱり男なんか常に酔ってる様な生き物だわ、見てなさい』 と三女の姫は、札の角を揃えると思ったのだった…… 10:10 [終]
僕……ノ巻《師の教えと狼少年》生徒手帳残記(十一)
リンク作品 蝉と少女外伝⑧ バタフライエフェクトの章 * * * ……どこか悲し気で、その全て人の魂に捧げる鎮魂歌、そして同じどこか悲し気な狼の鳴き声、そして飛び交うコウモリが見え重なる満月の下…… 「よし、これで全部か」 「……おっ」 「まだ、なんかあったか?」 「隅にプローチが、これは紫陽花かの?」 「副葬品だろうな、渡してやれ」 「しかし頼んでおいてこう言う言い方もあれですが、墓を掘り起こすのは、骨が折れるし、けしていい気分はしないもんですな、生きてる時の姿を知ってる身内は特に、島長」 「まぁな、しかし、知らな者にとっては、死人はいつまでも生きた姿のままだ、その虚しい思いは雪の様に積もってゆき、やがては気の、毒になる、だからと言って無理に知る必要は無い、知らないままで良い、人の果ての姿を知るのは我々の世代で十分だ、それにまだ綺麗な方だ、そして魂と言うのか念と言うのか、何かが留まり残ってる気もする……臭いはしょうがない、それに臭うぐらいの女じゃ無いといかんだろ、ちなみお前の死にズラは見れたもんじゃなかったぞ」 「はっははは、ワシの嫁も島長の死にズラは見れたもんじゃ無いと言ってましたぞ、この世の終わり見たいな」 「おお言うな~ アレは痛かった~、なんせな後に帝国の英雄と呼ばれた若者に双剣で腹を十文字に裂かれたんだからな……まぁ、あの時、お前の嫁を見逃したのがアイツの最初で最後の失敗であり、弱点を露呈した時よ」 「……ところで念ですか、それに息子は惹かれて、忘れ切れなかったのかの……ボインの麻美ちゃんの心を知っても……しかし死体を前にシモ話しですか、島長やっぱりアンタは本物ですわ、それに、まあ、そうですな、若いうちから知る必要なんか無いですな……色々ありがとうございました、お礼もしたいので、そのワシの嫁と貴方しか知らない秘密の儀式とやらが、終わったら是非うちに寄って下さい、一杯やりましょう、鍋でも作って待ってます」 「おおっお、……たしかにあの子はデカいな、鍋に呼べるかな」 「……」『島長は、もはや本物のタダのクズかも……』 「うん、なんだ! 今聞こえたぞ、お前が不意にボインとか言うワード出すから、こっちのスイッチが入ったんだろ」 「ボイン! ボイン! ロリコン」 「なっ!」 こうして二人の男の夜はふけていった…… * * * 念じると手の中に、メスの様な、小さいバターナイフみたいな物が湧き、それは実物の物として掴める、離している時は手の周りを回り、地に落ちる事は無く、中に小さい緑色の水玉が見える、その幅一センチ程の手の付け根の辺りから出ている帯状の光線とで繋がっている。 そして念じると、横に伸び線状に成り、通信を切った様にフッと消える…… それを繰り返し。 『私し、どうしちゃったのかしら? それに此処は何処? 病院? 隅のガラス張りのシャワールームはなんなの? ひょっとしてエッチな撮影所?」 そう頭を抱え悩んでいると、部屋の隅に置いてある三脚の丸い小さい机の上の空の小さい花瓶の横に、キラリと光る物を見つけ、近寄り確認するとそれは、自分の持ち物であり、恋人との情のサインに使っていた紫陽花のブローチ、そのブローチに触れると灰色の記憶が一気に花が咲いた様に、色が着いた様に、鮮やかに蘇り。 『あっ、私し家、カタツムリな彼のところに戻らなきゃ』 と思うと、ガッチャリと部屋のドアが開く。 「あら、お義父さん、それに島長さんも」 「目が覚めた様だな、島長から少し話しがある、聞いてくれるか」 「はい」 「その前に服を用意する、少し待ってくれ」 「!」 ガチャリ。 《馬鹿、島長なんで服置いてかないじゃー、モロにモロに見てしまったわ、オッパーツ》 《すまん、遂にウッカリ、これでも最近多忙でな、ほんとに謝る》 「……」 * * * 「麻美! 朝から、なんなんだよ?! ワクチンなら、うるさいから先週打ったじゃないかー、そのおかげで、副作用なのか知らないけど僕はとても調子が悪いだよー」 「一馬が調子悪いのは、いつもでしょ、いいから、いいから」 麻美に背を押されつつ、辿り着いた場所で、「ほら、あそこ」と麻美は、小さい丘の上を指差す…… 霞む目で見たその丘の上には木が一本立っていた…… その横に白いハットをかぶっている人らしきものが見え……!「はっ!」っと僕は息が詰まり声をあげた。 一瞬その姿に心臓も強く揺れ動悸をまた起こした…… 心臓が痛む、でも僕は、そんな事は、お構い無しに、その丘を駆け登る。 後ろから「私しさー 用があるから帰るねー またねー」と麻美の声が聞こえる。 僕は手だけを上げ、振り向かずに丘の頂上を目指す。 そしてそこには、死んだはずの先生が肩に白というよりパール色で孔雀の羽根の様な柄の長い尾を持つ、それは不死鳥の様な見事な鳩を乗せ、微笑んでいた。 僕は先生その姿にデジャブと言うか走馬灯を感じ、恐る恐る先生に手を伸ばして頬に触れる、暖かい…… 「くっすぐったいい」 と先生は喋った、そして笑った。 僕は自分が遂に死んだと思った。 でも違かった。 * * * 話しによると、先生は危篤の後、一時は息が止まったが再び息を吹き返したと言う、そして島長の計らいで、そのまま帝国の大病院に移り新たな治療を受け、命を取り留めたという、しかし完全回復迄に時間がかかり、今に至ったと言う事だった。 ただ僕には、それは雨の日、嵐の様な耳鳴りを聴き、溺れる視界の中、先生の葬儀の記憶が確かにある。 棺桶に土がかかっていく絶望的な光景も記憶にある…… それを先生に聞いたら。 「なに、人を勝手に殺してるのよ」 と言い、先生は僕を胸に抱き寄せ、口元で囁く。 「全部悪い夢、そう悪夢は覚めたのよ、全部ね、ゆっくり話しでもしましょう」 僕は頷く。 先生は何かを隠している、流石の僕でもそう思った、でも僕は、そんな事は、どうでもよかった。 ただ今が夢でない事を願って先生にほっぺたをツネってもらった、嬉しいくらい痛かった。そして『止め』と言わないと永遠に常にツネり続けてくれた。と言うか痛くて、中々ちゃんと止めが言えなかった。何ともあれ、先生のその変わらないエグさに本物の先生と確信し、やっと安心する事も出来た。 * * * 話すと先生は、本当に何も変わっていなかった、僕の好物な先生の手作りのタマゴサンドも持って来てくれた、その味も変わらずに美味しかった。そして木のリンゴをモギ、何処からか取り出した、それはとても綺麗なデザートナイフで、それを剥いてくれた。 その味は、甘酸っぱく、どこか懐かしく、そして疲れが、いや病気が身体から抜けていく様なフレッシュな不思議な感じがした。 先生は肩に乗せた鳩にもリンゴをあたえている、鳩はとても先生に懐いている様だった。 僕は聞く。 「先生、その鳥は?」 「この子は、お義父さんが、退院祝いにくれたの」 「親父が?」 「そう」 僕は珍しく粋な事をするなと思った。 「それは鳩かな?」 「見ての通り、この子は、合いの子見たい」 そう言うと先生は、その不死鳥を「そら!」とかけ声と共に手を空に掲げ、飛び立たせ、自身も丘の傾斜を利用して斜めに飛びクルリクルリと舞う、するとその不死鳥は先生に合わせ、その身の周りに纏う様に重なり合い一緒に踊る様にキラキラと飛び廻っている、僕は、その光景は一つの神話の奇跡の一場面に思え、思わず自分が踊りが苦手な事も忘れ、惹かれ、先生に向かって飛ぶ、すると下から風が吹き上がり僕も先生の様に、舞う様に宙を回れた、そんな僕に先生は微笑み手を伸ばしてくれた、僕はその手を取り一緒に舞わった。 * * * 日が暮れかけても、先生とその丘に座り、丘から下に広がる港町を見ていた。すると、「もうそろそろお邪魔しても、いいかな~」と麻美の声が聞こえ、振り向くと、大きい鍋を二人で手分けして持つ麻美と二ノ丸君を先頭に元クラスメイトの皆んなが丘に集まって来た、宴が始まり、皆んな酔い、その余興で久しぶりに学生の時の様に背の一番低かった僕が先頭で先生を前に横一列に並んで見る、左を向くと横顔がキッチリと並び揃っていた、クラス違いで、一番後ろに並んだ麻美は「すごい綺麗な列、皆んな酔ってないみたい」と言うと、急に真顔に成り、僕を見つめ、その目が少し揺らぎ、口元も緩むと、その片手はスーと伸び、前に立つ二之丸君の手と結ばれた、二之丸君は、恥ずかしそうに頭を掻く、僕はそれを見せつけられ、なんと言うのか、安心し心から祝福するも、フラれた男として、その表情に困り、苦笑いしうつむく。 そんな僕らを見て、先生はニコリとすると、「私はこの辺りかな」と列の中央の辺りに入り込み、僕達と横顔を揃えて同じ方向を向くその顔と目は夕日に照らされ輝いていた、僕は先生のその光る目を見て、急に列に入って来た理由を察っした、そしてすぐ周囲は暗くなり、先生は顔を上げると、不意に「あっあれ」と夜空を指差す、皆んなが見上げた、そこには、とても大きな星が輝いていた、そしてその星はさらに大きく輝き、その輝きは周りに光る星達を促し、共に引き上げてゆく様に遠くに流れていった、僕と先生と皆んなで、いつまでもその無数の流星群を見ていた…… 途中、先生を見ると目尻から大きな真珠の様な涙が湧き、一筋頬をつたい流れた…… 僕にその涙を見られた事に気づいた先生は、僕に僕だけの、はにかんだ、それは美しい笑みを浮かべてくれた……んだ……。 [完結] ※ゲールのメス[転生者開眼能力] そのメスで調理した素材は、食を通し身体内部から災いの根源を断ち、万人の心の傷を癒すと言われている。霊剣の一種。 ※転生者開眼能力 蝋燭の火が消える間際一瞬燃え上がる様に生き物は死ぬ間際に全ての潜在能力が一瞬解放され、永遠の眠りに着くという、転生者が持つ特殊能力は、その時の残り火だと言う。または、冥界より持ち帰った遺物・神からの土産とも言われているが本当のところは定かではない、出来る事は、後付けでその能力に相応しい名を付けるだけである。その名には、当然ながら神々しい名がよく付けられる。 あとがき🌱 結果としてこの作品[師の教えと狼少年]もリンク作品の[蝉と少女]と同じ様に二つの終わり方を書いてしまいました、まあどちらも、優柔不断で食いしん坊な、私らしい作品という事ですね。
蝉と少女外伝⑧ バタフライエフェクトの章
リンク作品 生と師……ノ巻《師の教えと狼少年》 生徒手帳残記(十) * * * 「おじいちゃん! 助けてー! 帝都の偉い人と知り合いなんでしょ! なんとかして……頼む……よ……」 「麻美さん……」 * * * 「だとしても! 島長! 頼む! ただ頼む! 無理ならワシ単独で宮殿に忍び込み、盗む!」 「やめとけ、転生の能力者のお前でも聖域である宝殿に入る前に死ぬ、そして帝国との同盟に亀裂が生じる、それは護国存亡の危機を招く事だぞ、わかってるのか」 「そんな事は後で考えればよいじゃろ! 万人の民よりワシは子供の未来を選ぶ、そして何がなんでも、五臓六腑、体から飛び出ようとも転生薬を持ち帰る!」 「今、何がなんでもと言ったな……別の次元から来たお前は、相変わらず馬鹿で熱いな……わかった、後は任せろ」 * * * バタバタと旗がひるがえり、夕刻の赤い日差しに照らされている帝都。 その皇帝の間…… 帝国のシンボルカラー漆黒の黒幕の前の玉座、そこに皇帝である老人が鎮座し、その左には、銀髪でスラット背が高く盲目ではあるが、心眼、悟りを開いたと言われる程、優秀な孫であり、後継者の王子が立ち、右には、末子で内大臣である、白髪の初老が立つ、その三公の前に志摩長は平伏していた。 皇帝である、その老人は口を開く。 「なるほど、志摩長に泣きついた古い友人の息子の若くして亡くなった嫁を生き返らせたい、故に、朕に献上したもはや唯一無二の転生の秘薬を返還せよと言う事だな」 「はっはー 無礼極まりない事は重々承知の上で志摩長、一生のお願いとし、申し上げる次第で御座います、その心は子が親に助けを求める気持ち同等であります」 そう言い終えると志摩長は脇差し抜き前に置き、ダメなら腹を切る覚悟を示す。 皇帝は沈黙している。 そして皇帝の横に立つ大臣が口を挟む。 「志摩長公、その薬は、まもなく先帝復活に使用する故に」 皇帝は大臣に手制し、また少し沈黙し、立ち上がり壁窓から空を見上げる…… 王子は、左右それぞれの親指と人差し指を着け、円作り、その右手の円を腹に当て、左手の円は頭上にユックリと掲げる、するとどこからか一羽のそれは猛禽類に襲われたのか血だらけの白鳩が皇帝が立つ窓際に降り立ち、ヨロヨロと何かを訴える様に窓に近づくとオデコを窓ガラスに数回擦り着けるとそのまま横に倒れ込む、その目は、なおをもまだ閉じずに皇帝を、見つめ続ける、それを見て皇帝の心は動く、「訪れたのは、決死の平和の使者か……うんうん」と相槌打ち口を開く。 「わかった、返そう」 すかさず大臣が「皇帝陛下!」 と反対とばかりに叫ぶ。 「良いのだ、それにあの……|戦《いくさ》馬鹿……いや、武神と言われた親父を生き返らせたりしたら、また戦乱の世に後戻りするやも知れん、死ぬ間際に名誉を挽回したいと言ってはいたが、親父は人の恨みを、それは果てしなくけして取り返せない程に背負ってしまった、悪いが役目は終わりだ永遠に、ただし条件もある」 「はっ」 「その見返りに、そちが朕と碁を打つ日を週一回増やす、以上」 「はっ!……へっ?! それだけで良いのでしょうか?」 「最近流行りおった、あの宇宙から来た未知のウィルス、そして意を合わした様にして突如異星の商人が持ち込んで来たウィルスワクチン、どうも使用できんかったのでな、使用を遅らせた朕にも原因の一端はある、それに死ぬ前に、朕も一つくらいは、良い事もしたいとちょうど思っていたのだ、ただそれだけよ、あ! 後一つ」 「はっ、何なりと」 皇帝はニヤリとし。 「お前たまに手加減するだろ、アレは辞めてくれんか、何気に傷付く」 「はっはー」 平伏しながら横目に見た盲目の王子は、誰が見ても心が安らいで行く様な笑みをただ浮かべていた。 それを見た志摩長の目に一筋の涙が流れた……。 そしてこの事により、皇帝はワクチンを使用許可の勅令を下々に緊急でその日に下す。 それはバタフライエフェクト…… 歴史が実は大きく変わり世界も次元も分離し別れた時だった…… それは、誰にも知り得ない。 また実感も無い。 [完結] あとがき 小さくも切なる思いは、人々に伝達する事で増大し、世界やがては、創造主すら、動かすものなのかも知れない。 新規・登場人物 皇帝 六十歳 武器 ブラックソード[玉蟲] 大臣 四十歳・皇帝の末子 武器 ブラックソード[ネオ] 王子 皇帝の孫・後継者 武器 ブラックソード[居合] ※ブラックソード 帝国が開発し生産している剣の名称。メイン機能は、剣にかかる重力を使用する者の腕力に応じ、程よく調整し、軽快に使用出来る様にするAIアシスト機能が特徴。 形状も様々なタイプの物が生産されている。その中でも皇帝の所有する剣は、ほぼ実戦に用いられる事は無い事を踏まえ、剣帯が楽な事に重きを置かれ、刃渡りは二尺と短めに軽量作りとし、その刀身は代々受け継がれた玉蟲の殻が散りばめられた鞘におさめられている。 余談として、後にサイと呼ばれる人の潜在能力を呼び起こすとされる未知の鉱物で生産された武器で武装した新興勢力が台頭し、帝国に戦線布告をする、その奇跡の武器と唯一渡り合える武器とし、帝国の武器テクノロジーは発展し、やがては、その新興勢力を撃退し、滅亡させる事に成功する。 僕……ノ巻《師の教えと狼少年》生徒手帳残記(十一)へ続く
鍋……
深夜の宴 序 『とうとうお母さん帰ってこなかった、ご飯チンしないで待ってなのに……駅にいるかも……』 そう思い外に出るも、外は風が唸り真っ暗な世界、その世界に恐怖を感じ一旦部屋に戻り、見様見真似で書き、上手く書けた事から捨てずに持っていた自作の魔除けの札をポケットに入れ、闇夜の中を傘を斜めに傾け行く…… だが途中に強風で傘は、折れてしまう…… * * * 深夜二時。 鍋を囲みの宴。 それは、世に恨みつらみのある物達の宴。 様々な悪態が飛び交う、そしでゲラゲラ笑う。 そんな中、その連中の中に、いるわけのない者が混ざり鍋を突っついている、それも肉ばかり、いろんな意味で目を疑った…… 他の物には見えていない…… 人間が何故? それとも人間に見えるどこぞやの神か…… いや、紛れもなく人間の子供だ…… そして何か愛しく懐かしい…… 何か通じる…… そう感じ、見て見ぬふりをした。 やがてその子供は、満腹になったのか、帰ってしまった。 こうして朝に成り、人外の宴は終わる。 幕 『あの人達は、なんだったのだろう?』 そう空き地で首を傾げる少女の前には、投棄された鍋やら食器、酒瓶が散乱していた、そしてその中にギリギリまで使った鉛筆が混ざっていた……その事は、その鉛筆の持ち主であった少女も誰も知りえない。 [終] ※お札(護符) それは素人でも一応は書ける、ただどんな副効力が発動するか知れない、故にやめた方が無難。 お題・鍋 ※内容はフィックション