仙 岳美

519 件の小説
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仙 岳美

🌞🐦‍🔥 🗿🗿🗿✌️伝・最近ちと忙しい。🦤🦚🪇🗿 下記サイトでも活動中。    記    ・小説家になろう  ・アルファポリス  ・カクヨム  ・X

カレー復活

カレーの匂いがした…… 死んだふりやめた…… 「あれ生き返ったの?」 「うん」 [終]

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02 狼少年シークエル ナナフシヒカリ公園ノ巻

02 『何処と無く空から堕ちて来た白い羽根を拾った先生は、森の中の大勢の人で賑わう釣り堀を見つめ、今迄僕も見た事の無い、それはとても暗い顔をしていたんだ』  ……僕の中で元担任の妻を名前で呼ぶに何か釈然としない事から、『先生』と今でも呼んでしまう時期が時折訪れる、そんな時期の休日に先生と島の観光的施設である大きい公園を訪れる。 その公園内部は、半分は森を利用した様々な娯楽施設と、もう半分は、その先に海が広がり見える、黄色い花が一面に咲いた丘がいくつも連なり広大に広がっていた。 その日は涼しく天気も良い事から、まずは、その連なる丘を繋げる様に伸びる、人が三人横に並んで歩ける幅の散道を歩く事にした。 その道を先生の斜め後ろを歩いているとふと、初めて何かのピースがハマった気がした、それは幸せだった。 今日の今迄僕は何かに怯えていた。 理由はわからないけど、その怯えがその時は無く、何か遠くに行ってしまった、やっと行ってくれた気がした。 僕は先生の手を握る。 先生は振り向き、横顔で僕に微笑みかける。 「いきなりどうしたの?」 「理由は無いだけど」 「そう……だよね」 と先生は再び微笑む。 僕は思う、先生は歳を取らない、白髪どころか皺、滲み一つ無い。 握った手の指先を堪忍すると、おととい料理をしている時に誤って包丁で切ってしまった傷の跡も、もう見当たらない。 やはり先生は……僕はそう思い聞いてみる。 「先生は、ズーと先生のままですよね」 「どう言う事?」 「老ない」 僕がそう言うと、先生はフットした笑みを浮かべ言う。 「そのうち感じるわよ、その時は覚悟してね」 「覚悟?」 「ええ」 と先生は澄んだ空を見上げる。 僕は、その覚悟とは、なんなのかわからなかった、でもその事はあまり考えず、気に留めず、先生と同じ様に空を見上げる、その空には、何一つ無かった。 それは全てを二度も手に入れ戻した僕に、もう何一つ、神さまは与えてくれない気がし、少し不安気に映ったのだった、そう、気づくとやはり、僕は何か怯えていた。 その事にいつもの僕だと安心すると、僕の視線は空から先の海へ移っていた。 でも横の先生は空の方を見続けていた。  そんな何かに遠慮している先生の感じから僕は感じ取る、僕は本来此処にひとりで来る運命だったのかも知れない、そしてどこかに此処へひとりで来ているもう一人の自分の気配を感じ、僕はその自分の分も頑張らなければいけないんだと感じ確信する。 『『先生の瞳には、バッドエンドに進んだ方の僕もしっかり映り込み、その姿を今もただ、見守り続けている』』 気づくと僕のワイシャツの胸ポケットには、その白い羽根が差し入れられていた。 [終] ※転生者覚醒能力。  それはプラスの事ばかりでは無く、悲しい副反応の事例も稀に上げらている。その例として、強運の星を持つ皇帝すら超える事が出来なかったら死の壁を突破した転生能力者の力を持ってしても、ある意味で切り捨て分離させた世界と新たに得た新世界とを、都合良く、再び一つにまとめる事は容易では無い、と、宇宙の大覚醒者の最後の問いとして無限光年語り継がれている。 ※死  それは絶望、もしくは拠り所とされる、しかしどちらにせよ、それを克服したとしても、知り得ない宇宙歴の中ではちっぽけな出来事に過ぎない事なのかも知れない。 ※内容はフィックション。

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01 狼少年シークエル 結集する狼達ノ巻

※師の教えと狼少年の続編。 01 狼少年シークエル 結集する狼達ノ巻 登場人物  警備予備兵   仙身 一馬(せみ かずま 30代 男)    21:59  その夜、僕は勤務する警備会社の事務所の机に座り、その日の業務を終える為の日報を書いていた。その事務所のクーラーは調子が悪く室内は緩い空間になってしまっていたが、どこか、その暑さに心地良い懐かしさを感じつつ日報を書き終え、タイムカードを切る間際に本社から無線が入る。 《プッシュ! 天草高等学園校内に不審者目撃の通報が入りました、直ちに急行出来ますかー》 僕は、正直面倒臭いと思うも、その月は、残業が余り無く、稼げてなかった事もあり、まあ良いかなと思い無線を受ける。 「仙身です、直ちに現場へ向かいます」  僕は業務用の小型バイクにまたがり、近道な古道を進路に選ぶ。 道の少し先をヘッドライトが丸く照らす、その道の左右に生い茂る草からは、虫達が鳴く音が聞こえて来る。僕は、その鳴き声が言葉として理解できたら、ただうるさいだけだろうな〜とか思いながらガタガタする道を駆け抜ける。 22:15  着いた場所は母校である高校の門の前、その学校の警備は僕の勤める支店の管轄だった。 そして通報者らしき人は見当たらなく、良くある悪戯の様な気もするも一応は確認する。別に腹も立たない、不審者がいてもいなくても、僕は勤務時間が伸びれば伸びるほど金になる、夜の散歩で金がもらえるのなら気分は上々である。 廻る所は、大まかに分けると三箇所。 まずは、グラウンドの外周を廻りプールを確認する。 異常無し。 次は、合鍵を使い体育館の中も確認する。 異常無し。 最後に、合鍵で校舎の中に入る、当然ながら学校の中は静まりかえり暗かった、でもライトは点けない、そのわけは、侵入者が無差別的敵意を持つ者の可能性も考えての事である。光りはそんな相手に自分の存在をいち早く先に知らせてしまう事になるからである。いわゆる待ち伏せを喰らってしまう。    薄暗い月の明かりのみが照らす校舎内を一階から順番に職員室、保健室、更衣室、各教室、地下のボイラー室、電源室を見て廻るその最中、少し学生の頃を思い出し、今の自分に少し不思議さを感じる、そして異常無し。 そして屋上へと向かう。 屋上から見上げた夜空は、月は雲に隠れているも満天の星空、そして此処も異常無しと思いきや、先の鉄柵の上に光る二つの目と目が合う、その口元には牙が生えて見える。 僕は思わず生唾を飲み込み思う。 『鬼』 僕は腰の拳銃に手を伸ばすも、会社から日頃、拳銃の使用は最終手段と言われいる事を思いだし、まずは警棒の柄に手をかけ、声をかける。 「何者だ!」 返答は無い。 僕は警棒を下段斜めに構え、瞬きをしない様に相手の動きに常に注意をはらう。 そして敵の脚が宙に浮くと同時に飛び込んで来る相手に向け警棒を横に打ち込むと敵に想定外の動きをされる、なんと敵が宙から両手を警棒の上に着き、飛び跳ね、僕の真横を回る様に抜けるその時と同時に僕は肩を後ろ脚での蹴りを喰らってしまう、僕は肩パットが割れる音と同時に蹴り飛ばされ転がる。 その反射神経は紛れも無く人では無い事を僕は悟り、僕は自分の会社が何かの撲滅隊の下請けなのではと?考える、そして蹴られた肩が痛み『痛えな、これ、やっぱし仕事だよな』と此処で頑張らなければ、僕が自身が滅っしてしまうと思い、気を引き締め直す。 そんな僕を敵は飛び移った鉄柵の上から僕の方を見て再び牙を剥く。 僕を立ち上がり今度はサーベルを抜き上段に構えると月にかかる雲が動き、月の光りが相手を照らす…… その正体を見てピンと持ってる情報が頭の中で繋がる、目の前にいるものは、親の代から島で有名な札付きのその名を猿空と呼ばれている猿だった、その猿はいくら退治しても町に降りて来て悪さをする、その姿はマントヒヒの様な白い立派な雄の大猿。 しかし鬼だと思っていたその正体が猿だった事に僕は少し安心する。 そして猿はそこから動こうとしない。 その顔は、遂に光り物を抜いた僕の事をあざ笑ってる様にも思える。 猿は熊や猪よりその見た目の可愛さの方がイメージとして先に立つが、その牙と爪は生身の人間には脅威であり、その場である学校に留まってばいけない事を教える必要がある。 僕は拳銃を猿の頭上の夜空に向けて撃つ。 パンと音が周囲に響く。 その対処は効き、猿は配管を伝い校庭に飛び降り、そのまま山の方へ戻って行く。 僕はホッとし任務完了の無線を本社に入れ、そのまま家に直帰する。 23:45  帰宅すると、高校の時の担任でもある妻が、まだ起きて帰りを待っていてくれた。 僕はレンチンした遅いご飯を食べながら、向かいに座る妻にその猿の話しをすると。 「へえ〜 よく怖くならないで向かったわね、君、あ、あなたも進歩してる、うんうん」 「そ、そうかな?」 「うん、最近顔も少し精悍になってきてるよ」 とニコリと僕を見る。 僕はそう言われ、今日の出来事を振り返る……確かに前の僕なら何より先にも、恐怖が先に立ち、ほぼ先輩に行ってもらうか、そのまま気づかぬふりをし帰る選択をすると思う。 でも今回は違った、無意識に得体の知れない相手に向かって行き、始めての実戦であるのに普通にサーベルを抜き対峙し、攻撃を受けても怯まずに冷静に対応していた。 苦手な動悸もしなかった。 これが大人になると言うと事なのか? それとも年齢による精神の鈍化か? その答えは湯船に浸かり、痛む片肩を摩りながら考えるも、思いつかなかった。  風呂を出ると寝室の明かりはもう消えていた。 妻は僕がご飯を食べ終えた事で、その日の役目を終えた様にサッサと寝てしまっていた。 でも僕の枕元に赤色の丸い缶の塗り薬がソッと置いてあった。 僕は、その丸い缶を手に取り、その薬を肩に塗るとスーと、し、鼻にその清涼感を感じると、 ふと、 なにか、その缶の表面に映り込む赤い鬼の様な自分の顔を見て、 その顔が妻の言う通り少し精悍にも見え、 そのさまは、未来の自分がこちらを覗き込んでいるように思え、同時にその缶に長い縁を感じ、一抹の不安をおぼえる。 それに加え、その晩は珍しく、それも複数の狼の遠吠えが一晩中、何かの知らせの様に、まどろむ僕の耳元に聞こえていた……。 [終] お題・鬼に沿って筆。 R7.7.23

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外伝27 半島の乱 女王が育てた苗

外伝27 半島の乱 女王が育てた苗  女王は月に一度、塞に入国した者達を集め晩餐会をひらき、そこでまとめて会う様にしていた。 その集まった者の輪の中から、トロルと言われる種族の者が片足を引きながら女王の前に出て、顔を合わせるなり、懐から袋を取り出し、すぐに進言をする。 「サイで作った鉢で植物を育てて見て下さい、きっと素晴らしく良い野菜が育つ事でしょう、これは種であります」 受け取ったその袋を手にあけると数種類の宝石の様な種が光っていた。  女王はすぐにサイの鉢を作り、もらった種で植物の栽培を開始する。 進言の通り大きく立派な野菜が育つ、その中でもお気に入りになった、二枚貝の様に口を開けた食虫植物が群生した鉢を自室に持ち込み、朝起きるとその食虫植物にチーズで作った肥料と水を与えていた。 そのうちその口を開いた苗の中に視線感じ声をあげる。 「はっひょ?」 良く見ると苗の中に一つだけ口の底に目を持つ苗を見つけ、話しかける。 「おはよう」 返事は無い。 やがてその目を待つ苗以外は枯れてしまい、その目を持つ苗だけに女王は愛情を注ぎ、毎日話しかけていると、何となく意思疎通ができてる気がしていたのもつかの間、茶色く枯れ始めてしまった。 女王はどうにかして、その苗を救おうと種の提供してくれたトロルを呼び出す。 そのトロルは苗を見て答える。 「やや、これは、我らいにしえにのトロル王が作り上げた、巨大植物兵器ヒドラの苗」 「兵器なの?」 「はい、その種はもう絶滅したと言われていましたが、何処でどう混ざったのか……そしていにしえの種が発芽するとは、サイはやはり凄い、いえ、だとしても、これは一つの奇跡でありますぞ」 「でも見てのとおり枯れかかってるの」 「肥料を生肉にして見て下さい、そすれば恐らく元気になります」 「わかったわ」  それから女王は肉団子を自ら作りその植物に与え続けると茶色になってしまった茎や葉は水々しい青色に戻り、茎の先端はツボミに成り、やがてそのツボミは、角が生えた頭の様な形に変態し、土から三本指の手を出し、鉢の角を掴み、その身体をゆすりながら鉢から這い出し、女王の前に立つと、すぐにひざま着く、その女王を見上げる目を女王はとても優し目に感じる。  やがてその一つ目の植物は十メートル程の高さに成長し、その肩に女王を乗せて歩く様になる。 その巨人はサイから生まれた事から古代の巨大神の名を冠、サイクロプスと呼ばれ、その噂は半島に広く分布している中立的な信仰国にも知れ渡り、それは塞が神卸しに成功したと認知され、その信仰国の大半が塞の傘下に次々と入り始める事に成る。 それは塞が半島全土の重要な情報ネットワークを形成した事を意味し、種の提供者であるトロルその名ロコは、その功績により、女王の側近に取り立てられる。 一族の権利力争いに敗れるも手に残った一袋の種が実ったのである。 [終] トロル  その種族は角があり身体はゴブリンに似て小柄で一定の数でまとまり原始的な生活を好む。 そのコミニュティーは、大きくなり過ぎると争い事が必ず起き、分裂をする。 そしてそれを繰り返している。 その争いが絶えない歴史的性質からトロルは知能は高くとも獣人のカテゴリーに入れられている。

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夏の幻のカレー

夏の幻のカレー  小学生の頃の夏休み、友人の家でゲームをしているとお昼を知らせる鐘が鳴る。 「お昼だから帰るね」 と玄関に座り靴を履いてると、後ろから声をかけられる。 「お昼食べていきなよ」 振り向くと始めて見る友人のお母さん。 その姿は一言で言うとハイカラからのハイクオリティ。 ホクロも口元にあり何か、その何か……。 出されたのはカレーライス、そのカレーライスはうちとは違いその色は黒くそして人参やジャガイモが入っていない。 でも食べると何かが口の中でトロけ思わず言ってしまった。 「お母さんのより美味しい」 私がそう言うと。 その友人のお母さんは、細い指先を口元に添え、その切れ長の綺麗な目で笑みを浮かべる。 そして今だにあのカレーを超えるカレーはお店でもありつけない。 今思うとあの口の中でトロけたものは茄子の様にも思える。  現在その友人の宅は残っているけど、その表札は代わってしまっている。 [終]

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間鬼

間鬼  クーラーが効いたオシャレなデパ地下のストアーには少しその姿が似つかわしくなく浮いてしまう作業服姿の僕達は、昼の弁当を買いに降りる。  好みの弁当を買い、そのストアーから地上へ出ると、頭上をバツの字に交差する有料道路から点滅する赤いサイレンの光りが漏れていた。 それは僕達が弁当を選んでいた間に起きた交通事故だった。 弁当の入るビニール袋を手にぶら下げ横に立つ、職場の先輩でもある友人は言う。 「間鬼に挟まれたんだね」 「まき?」 「どこにでもいるんだよ、人に怪我させたり病気にさせたり」 「どこにでもいるの」 「うん」 「挟まれない様にするにはどうすればいいのかな?」 「回避する手段の一つは音かな、さあ観てないでもう行こう、いつまでも見てると目を付けられるよ」 そう言うと友人はその場から逃げる様にスタスタと速走りで歩き出す、途中一回僕の方を振り向き、急かす様に手招きする、僕も速走りでそんな友人を追いかける様に職場へと戻る、そんな戻り道の、蝉も不在な早く訪れた夏の道路の上には、物静かに揺ら揺らと無数の透明人間が揺れている様に感じた僕だった。 [終] お題・透明人間

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生徒狩り(ホラー)

カチカチ……  奴は学校に来なくなった、  後の人生はネットの中を彷徨う、いわゆるもう透明人間だな…… まあよい十分楽しんだ。カチカチ……邪魔だった生徒会長も転校してもういない、カチカチ…… 僕は次の獲物をさがしゅ。 カチカチ…… リスカ跡チラつかせるエセメンタル女にするか…… それとも、あの勝手に仕切ってる偽善野郎にするか…… ちょっと待て、あの、できもしないのに、いつもやたら飛び降りるとか騒いでる奴もいいな…… 擦り切れ程の緊張感を味あわせてやるぜ。   カチカッチリ…… [続] 登場人物  我聞 僚子(がもん りょうこ) お題・透明人間

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百合(ホラー)

 子供の頃、叔父の家に行くと、たまに知らない女性がいた、皆んな綺麗な人だった、そしてまた会える気はいつもしなかった。 最近叔父にその話しをすると知らないと言う。 そう言えば、叔父の庭には様々な色の百合が咲いていた、私が見ていたのは花瓶に差し込まれた百合だったのも知れない。[終]

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外伝26 半島の乱 黒馬鉄

外伝26 半島の乱 黒馬鉄 序  ゴーグルを額に女王とカルは一台の二輪車を挟み上昇する石盤の上に乗り地上へ向かう。  地上へ出ると空は青々と晴れ渡っていた。 外門の門番は人間の女性で、暇過ぎてやる気は無くなり、地べたに座り、雑誌を開き干肉とビールを楽しんでいたが、女王を見て慌てて立ち上がり敬礼の姿勢を取る。 女王は気にせず「ご苦労ご苦労、休憩中に悪いけど門開けて」と紙幣を一枚その門番に渡し「いいもん食べてるね、少しもらうよ」と皿代わりにしている兜に盛られている干肉を二つ摘むと一つは口に咥え、もう一つはカルに『どうぞ』と言う感じで差し出す。 門番は紙幣を貰ってやる気を出し勢い良く門の横に垂れている二本の片方の鎖を下へ引くと、門が開き、一応は道である荒れ道が一本二人の視界に入る。 「道もそろそろ直さないとね、さて始めようか」 「はい、まずは、またがってください」 「ほい!」 「膝が軽く曲がる、足付きは良いね、このスタイルにして正解ね、ベースは何処の国かしら?」  「はい、ベースはブイアクスと言われる南帝製の価格が百万キルの軍用バイクです」 「中々お高いわね」 「型落ちとは言え近年迄新鋭機だったもので」 「説明を続けて」 「はい、起動はハンドルグリップを握り登録した合言葉を」 「レッツラゴー!」 フィーとV型のエンジンから静かな起動音が鳴る。 「矛はタンクの下にある金具にかけて下さい、グリップから両手を離すと運転権利は自動でサイAIに移り、車体パランスと速度を自動で保ってくれます、後は普通のバイクと同じですが、スピードはサイの車輪を駆動の間に挟むと、個人の気の出量によりますが出せる速度は百キロ前後が限度だと思われます」 「馬より早いわね、そのくらい出れば十分よ、このボタンは?」 「あ、それは走る時に受ける風力と共に取り入れた自然界の微量な放射能を圧縮し溜め込みバルカンとして発射できます、ただ撃ち終わりと乗り始めにしばらく充電する時間が必要です」 「威力は人間が扱う銃並みなの?」 「やや劣ります、ですので装甲の厚い鎧や皮の硬い種族にはあまり役には、まだ試作的装備と思って下さい」 「ふーん、まあいいわ」 「では試乗行ってらしゃいませ」 「後ろに乗って」 「え、良いのですか?」 「ええ、まだ話しがあるの」 カルは後ろに乗り女王の腰に手を回し掴まると鼻にふわっとリンスの香りがする。 そして風がそよぐ緑の丘を登ったり上がったりしながら会話を続く。 「誰でも乗れるの?」 「サイの車輪を回すには、魂相が星型か円の者に限ります」 「それだとゴスは乗れないわね」 「はい、その前に足も届きません」 それを聞くと女王は少しニヤける。 「私が後ろに乗せるわ、ただすねちゃうから彼用の小さい普通のバイク作っといてね」 「はい」 「百機製造にどのくらいかかる?」 「バイクの調達のメドは立っていますので……一月程いただければ」 「オッケー、それでいいわ」 バイクは直線道に差し掛かり更に加速して行く。 コントロールパネルに青いboostの文字が浮かび上がる。 「あれ、200キロ出てるわね、まだ伸びそうよ」 「……はい、予測してたより、星形の魂相はサイと相性が良い様です、戦場でひとりだけ先行してしまうと危険ですので仲間から離れ過ぎない様に女王様だけは速度を調整して下さい」 「オッケー」 と女王はバルカンの発射ボタンを押すとベットライト下二本の砲筒から連なる無数の光の玉がフィンフィン!飛び、先の木に当たり木は粉々に砕け散る。 「コレは言ってたより」 「はい、コレも星の力でありましょう」 更にバイクが加速すると、バルカンの充電ゲージの針も事前の話より早く、すぐにE(エンプティー)からF(フル)に切り替わる。 「やや、こっコレは」 「今300キロよ」 「はい、予想以上のスピードが出ているので、ただこれ以上はバイクが持ちません、減速を」 「オッケー」  門に戻ると、噂を聞き付けた女王の側近達が数人待っており、交代でそのバイクを陽が沈む迄乗り回し、せっかく地上に出た事もあって、そのまま、門番の女性兵士も混じりバーベキューを初める。 幕  宴の終わりに女王は呟く。 「今日は久しぶりに楽しかったね、後は……らしく皆んな頭モヒカンね」 「!」 「!」「!」 「!」 その言葉に全員が一瞬ヒヤりとする。 「いや〜、冗談、冗談、世紀末ジョークね」 [終] ブイアクスサイ  帝国で魔人と言われるモンスター電動バイク、その駆動部分にサイの車輪を取り付ける事で供給エネルギーを生体無限エネルギーと変換し、また意思だけで舵を左右に動かす事が出来る、また、サイのマザークリスタルAIとリンクしている事からライダーは様々な面で補助を受ける事が出来る。

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無題(ホラー)

DMが入る。 開くと「あなたが嫌いな人の……」 個人情報だった。 試しに少し漏らし煽って見ると、相手は早々にそのサイトから離脱する。 当たってる様だった、そこまでして私に何をしてもらいたいのだろう?。 私はその内容を削除する。 私は一緒に腐るわけには行かない、いや腐れ無い。[終]

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