仙 岳美
569 件の小説仙 岳美
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外伝24-2 第一次大戦記・吸血鬼を名乗る少女
AI校正実地(26.2.11) 登場人物 平乃清次(元軍人) 世の中は平和になり、退屈になった軍に嫌気がさし退役するも、更に暇になり、挙句の果てに無職の肩書に少しの見栄から耐えられず初めたその仕事の業務実態は、なんでも屋であるが、その小さい見栄からバンパイアハンターを名乗っていたら本当に吸血鬼駆除の依頼が来てしまった。その時の話である。 私は軍人時代から双剣の使い手であるが、吸血鬼は切った事が無い、というのか『本当にいたのか』というのが最初に思った事だった。 そして依頼者に吸血鬼が居座っていると知らされた廃墟洋館の前に立ち、腰に帯びた双剣の鞘の留め具のボタンを外す。 私の胸は久しぶりに高鳴る。 ちなみに潜りであるから古来から吸血鬼に効くと言う、聖水や十字架やニンニク、銀の杭などの類は持っていないので持ってきていない。 要は何者であれ、小葉の微塵切りにすれば良いと思って来たのである。 それだけの自信も私にはあった。 預かった鍵で中に入る。 ギギ…… 中はカビ臭く何年も人は住んでいない様な感じを受ける。 順に部屋を見て回る……異常無し。 そしてそれらしい屋根裏……異常無し。 棺桶なども無し。 私はやれやれと思い、その屋根裏でポケットから煙草を取り出し置いてあるベッドに腰掛け、一服しながら依頼主である、十代後半と思われるブロンドの髪の女性の事を思い出す。 そしてその女性に揶揄われたか、もしくは何処かの精神病院を抜け出して来た患者かと考え、煙草が燃え尽きると帰る事にしたが、まだ時刻は午後の四時と早かったことからビビって昼に来たものと思われてもシャクに感じ、その屋根裏で夜迄待機する事にした。 すると日付が変わる頃に、ギイギイと誰かが階段を上がって来る音がする。 私は双剣を抜き構える。 そして戸が開く。 目の前に現れたのは、燭台を持った依頼主である若い女性だった。 「吸血鬼を待っていたんだが……」 「私が吸血鬼です」 「君が?」 「はい」 「まさか」 「本当なんです」 困惑する私の前でその女性は燭台の火を吹き消す。 部屋は月の明かりだけが頼りの薄暗い空間に染まる。 そして彼女は私に向けて飛びかかって来る。 私は双剣の柄に交差させて手をかけ、切り捨てようと思うも瞬時に、『そもそもが吸血鬼なんかいるわけ無い』と思い『コレは訳あり』と判断し彼女を受け止める、そしてもつれてベッドに倒れ込むと「いった!」首筋を彼女に噛まれる。 「血でも吸おうと言うのかね?」 「はい」 私は彼女に身を委ねた。 しばらくして彼女がすすり泣く。 「どうしたのかね?」 「何故切ってくれなかったのですか」 「女は切らない主義なんもんでね」 「……」 「悪いが自殺なんかに手は貸せない、金は返す」 「……」 その場で話を聞くと彼女は、私が予測した通り、精神病棟を抜けて、何かしらの手で手に入れた金と鍵を手に、酒場で私の噂を聞き、私のアパートを訪れたのだった。 そして案の定彼女が体調を崩した原因である、過去の友人の裏切りによる、悲惨な入り口にも立てなかった無念な結末の失恋話を聞き、そのまま私は彼女の誘惑に負けたのだった…… ……双剣を自在に操る私はそっちの方もイケイケのテクニシャンでもあった。 部屋に朝日が差し込む。 服を着る彼女を背に私は言う。 「これ以上は力になれない、帰りたまえ」 と私は彼女から受け取った札を彼女に渡そうとすると彼女は振り向き手を横に振る。 「スッキリしたので私の心の中の吸血鬼は死んだようです、それでモーニングでも食べてくださいな、おじさん」 「おじさんは酷いな」 彼女は舌を出す。 私はふと手に付着した彼女の聖血の跡を見て舐めとる…… その味は……悪くは無かった…… そして彼女に噛まれた首筋に疼きを感じたのだった…… [終] あとがき 外伝24-3 第一次大戦記・切り裂きジャックの章へと…….
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芝庭
AI校正実地 芝庭 これは小学生の頃からの付き合いのある友達との話である。 彼とは古い付き合いであるが、学校でクラスが同じになった事は無く、お互いの祖父が友人であったことから付き合いが長く続いたのである。 ただ彼は中学生の頃に病気で手術をしそれが心に悪影響を及ぼし不登校になり、そして皆が高校生に上がる中ひとり働きに出るも半年で社会に対応出来ずに引きこもり、やがては、気が病み、錯乱し山奥の精神病院に入院してしまった。 そしてそれから数年経ち、病気は落ち着き、表面的には健常者と同じくらいに生活できる様になるも、薬は一生飲み続けなけれはいけない身体となってしまう。 そんな彼の家に私はこれと言った理由は無くも、時たま訪ね、変わらずに庭で紅茶をご馳走になっていた。 十代の頃は彼の飼っていた犬が青々とした芝庭を走り回っていたが、もう亡くなっていた。 それから彼のおふくろさんも亡くなり、その頃には、そんな雑草が目立つようになってしまった庭に彼と私だけとなっていた。 そんなある日、彼は言う、「俺もうすぐ施設に入るから、親父も会社をたたみしだい老人ホームに入るんだ」 私は紅茶をひとすすりし、「そうなんだ」 と来る時が来たとそうとしか思えず冷淡にこたえてしまう。 「だから、家の物で何か欲しい物があったら持っていてくれよ」 そう言われて私は彼のコレクションが頭に浮かぶ、特に棚に飾られた高級な腕時計の数々、それは、高い物で数百万、安い物でも二十万はするものである。 とは言え、いくら付き合いが長いとは言えそんな図々しい事は言えない。 「特に無いよ、今まで ありがとう、元気で」 そう私が言うと彼は家の中に入り、一つの腕時計を持って来てそれを私に差し出す。 「前にコレいいなと言ってたじゃないか」 「言ってたけど、そんな高い物は友達とは言え、もらえないよ」 彼は黙る。 「ただと言わないよ」 「何かな?」 「その……唇をくれないか」 「唇?」 「キスさ、俺は君とキスがしたいんだ」 私は首を横に振る。 と彼は凄く悲しい顔をする。 私は言い訳をする。 「キスは好きな相手と成立するものだよ、仮にしたとしてもそれはキスでは無く、ただ口を合わせたにすぎないよ」 「なら合わせるだけでもなら良いのかい」 そう言われて私は少し考え、ここまで言うのなら、しょうがないと思い首を縦に振る。 「良いよ、ただし時計はもらえないよ、それは高過ぎる」 「そんな、業者に査定してもらったら、定価の三割だったよ」 『それでも50万は超えていた』 私は何か、その何か彼を睨んでしまった。 私に睨まれた彼は驚いた顔し、弁解する。 「勘違いしないでくれ、君の唇に値段を付けた訳じゃないんだ、気持ちなんだ」 「なら、このコペンハーゲンのティーカップをくれないかな、これは私用にいつも用意していてくれていた物だろう」 話は決まる。 彼は緊張しているのか固まっていた。 私から彼の頭を胸元に抱え、彼の前髪をかきあげ口を合わせようとすると、彼は唇の間に手を挟み、私を見つめる、そして言う。 「悪かった、忘れてくれ」 そう言うと彼は庭に出て泣きじゃくり、呟く。 「俺は本当に馬鹿者だ、神や皆が全てを用意してくれているのに、何も手にする事が出来ないだ!」 私はそんな彼の背に佇む、もう冬は終わる頃の話しである。 [終] あとがき 時を沢山集めた彼は一つ面白い事を教えてくれた、右手にデジタル時計をして805に鏡を見ると、鏡の中の世界だけは、時が三分戻るんだ、と……。 ※お題・バレンタインの時に制作。 ※フィクッション
流木釈骨(注・ホラー〕
流木釈骨 友人はある日唐突に一本の白木を持ち、僕に言った。 「コレはお釈迦さまの骨なんだ」 僕はそれは色が抜けただの流木にしか思えなかった。 でも持ち主である彼がそれをお釈迦さまの骨と言うのなら、それは一つの権利として存在するのだろう。そう思い。 「それは凄いね」 「だろ」 そして僕はこれから先の事も考え確認しなければいけないと思った。 「持たせてくれるかな?」 「良いよ」 手に取るとそれは思った通りの、明らかにただの木だった。 僕はふと悟り、後悔する。 『反論しないその木は、彼の世界では釈迦の化身以外に何物でもないんだ、そして現代において釈迦は感じるものであり、彼の方が正しい』 でも僕はそれ以後、彼の家を尋ねる事はなくなった。その理由は、僕の僕なりの信仰心を一瞬でも彼に試され、そして薄く傷つけられた気がし、もはや今後は、彼を狂人扱いしなければ、僕のアイデンティティが保てなくなる気がしたらからだ。 [終] お題・流木
01 狼少年バースト
一 その日も仕事の帰りなんとなくそのまま家に帰るのもつまらない気がし、常連である駅前のおでん屋台に僕は向かう。 僕はそのおでん屋の味が母の味に似ていて癒され、それに酔い潰れても何故かこの店だと嫁が迎えに来てくれる。 そんなわけでそのおでん屋ののれんをくぐると四角いおでん鍋の向こで赤髪の女性店主が椅子に腰掛け腕を前に組みウツラウツラとしていた。 僕は寝てる所を悪いとは思うも起こさないと話しが始まらないから声をかける。 「すみません」 「ZZZ……」 「すみまっせーん!!」 「はにゃ!、あ、お客様?」 「そうです」 「ああ君か、いつもの盛り合わせで良いのかな?」 「はい、後はビールを一本下さい、カラシは多めで」 此処の店主は、栓を抜いたついでに最初だけビールをトクトクと注いでくれる。 僕はいつも遂、笑みを溢してしまう。 そのわけは単純で、店主は泡の作り方がとても上手かったからだ、何か泡のきめが細い、そしてその味わいはクリーミーである。 そしてお膳にとぎたてのカラシがたっぷりな小皿と、肴である昆布、蒟蒻、大根、ハンペン、卵、それに店の売りである丸ごと一本のフランクソーセージなどのおでんが盛られた皿が僕の前にお目見えする、僕は始める。 ………… …… … それからどのくらい経ったのだろうか? 酔い潰れていたのか? 辺りを見渡すと様子がおかしかった。『此処は廃墟?』いや『ガス爆発か?』と思った、でもそれは全て違った。 「ほっによよよよよー!」 と店主のただならぬ叫び声が聞こえ、その声の方を振り向くと、店主が、その装備が兵隊の様な、そうその様な二本足で立つ獣に取り囲まれ、包丁を必死に振り回して応戦していたからだった…… 二 僕は深く考える事無く、職務に従い腰のサーベルを抜き店主に加勢をする。 敵兵は四体、二対四、でもそんな事を気にしている暇はすぐに無くなった、そうすぐに身体の何処かを切られていたのか貴重な味方である店主はその場にうずくまり一言「すまん死ぬ」と言うとうつ伏せに切腹の様に倒れ込み動かなくなり、一瞬桜が散る映像が僕の脳裏に走る。 僕はぼっちになり、ふと『こんな時に、また現れてくれれば』と暗殺業から手を引き、堅気の鯨漁師に成り、そして荒海に消えた父さんを思い出す。 今度は倒れた店主に代わり僕が正体不明の敵兵に取り囲まれる。相手は当然に話しが通じそうに無い雰囲気であり、此処だけの問題では無いと言う証である有事警報が周囲に鳴り響く。 僕がサーベルを構えると、それが合図と成り、僕は四方向から代わり代わり切り着けられる。 僕は、瞬間的に判断し、反撃はせずに避ける事に徹し、助けが来るチャンスを待つ。 しかし状況はまたもやすぐに変わる、それは死んだと思っていた店主がイキナリ起き上がり、敵兵二人の背を同時に最初から持っていた包丁と何処に隠しも持っていたバタフライナイフで突き刺す。 背を刺された敵兵二人はその場で身体を痙攣させ白目を剥く。 その事態に僕と対面していた残りふたりの敵兵は店主の方を一瞬振り向く、その隙を着いて僕はひとりの敵兵の脇腹に突きを放つ、その剣は刺さるもその瞬間に僕は危機を感じすぐに伏せる僕の髪先を無傷な方の兵士の剣先が掠める。 見上げると、もう決着は着いていた。 僕を切りつけた敵兵の背中を店主が包丁を突き刺さしていた。 そしてその敵兵も白目をむき、泡を吹きながらうつ伏せに倒れる。 店主が背を刺した三名の敵兵はもう死んでいた。 僕が刺した兵士だけが脇腹に僕の刺したサーベルの柄を掴み地にもがいていた、が、その首元に素早く店主がナイフを突き刺し、その息の根を止める。 ……こうして店主の奇策でとりあえずは僕は危機を脱する。 そして僕は店主の変わり映えしたその鋭く光る目を見て、それが麻美や島長……嫁に近い感じを受け、悟る。 『この店主は只者では無い、間違い無くソルジャー(特殊兵)だ……』 [続] 解説と解釈 新規登場人物 赤坂 苗(あかさか なえ) 一馬が通うおでん屋台の店主。 蝶蛾流・蟲派奥義・双剣ヨコサシ それは一発必中の心臓を狙う時に刃を縦に刺すとアバラに刃が引っかかり討ちそびれるから刃を横に寝かせ刺す様にと言うそれだけの教えである。推奨するナイフは両刃。 蝶蛾流・蟲派秘技・回天剣シニナリ それは圧倒的に不利な状況下を逆転一発好転させると伝わる伝説の奥義である。が、その正体は、ただの死んだフリである、けれども、それを信じて油断しきった敵は既に死んでいるのと同じであり、そしてこの奥義を見た敵は、言う迄も無く、生存していない事から、その正体は今日迄バレる事無く大袈裟に伝わってしまっているのでもある……に。 蟲派 かつてその派は、存在が確認されている蝶蛾流・全派一〇一派中で唯一武道以外の事も色々と教えていた、現代で例えると社会福祉的な奇派、その影響なのか指導方針は甘く、その内容も地味だった事から、最弱の派と呼ばれていた。しかしそれ故に、内容が現実的で要点を捉えた硬派の所もあり、それに加え、『まずは格好から』の流儀に乗っ取り、入門したその日から黒帯を授けてもらえる事から『蟲派で黒帯になろう』と言うキャッチフレーズが広まり、大人気と成り、門下生を、他の、どの派よりも増やし、後には基礎派とも言われ、結果的には名を変え、唯一今尚も世に存在し続けている派と伝わる。 また開祖は少しなんか足りない女性だったとも伝わっているが、多種多様な異星語で記され解読難解な未知の蝶蛾流奥義書その内容を、突起した超能力で広く浅くも全てを解読し、奥義の真髄を知り得ていたのではないかとも伝わっている。
外伝46 半島の乱・後期 瓦礫の玉座
「うっおおおおおおおお!!」 巨人の目に刀を突き刺した王子は唸り、冥派の光の波に後押しされた力を利用し更に刀を押し込もうとするが巨人も弱点である目の中核を守るべく瞳に力を入れて堪える、そして片手で王子を払いのける。 とっさに受け身を取った王子は、そのまま巨人の鎖骨の窪みに身を打ち着けられる。 だかなおも冥派の光は諦める事無く、巨人の瞳と刺さった刀を照らし続けその視界を塞ぎ続ける。 それを見て王子は再び冥派の光りへ再度飛ぶ体勢を取ろうとするも遠に限界を超えた身体は痺れ、動けない自分の不甲斐無さに「あああああ」と雄叫びを上げたその時、冥派の光りの中を虹色に煌めくものが飛び、そしてそれが瓦礫の中に沈んだ祖父であり皇帝だとわかると、「陛下ー!」と歓喜の声上げる。 今度は皇帝が王子に代わり、その刀の柄を得意の蹴りで押し込む、そして遂に冥派の光は巨人の後頭部を抜け、巨人の兜と瞳は宙に弾け飛び、巨人は「うがっははははははは」と唸りながら地に片膝を折る体勢でしゃがみ込み動かなくなると、その身体は枯れ木の様な灰色に成り固まる。 夜空を貫く冥派の光に導かれ地に降り立った皇帝は、そのまま瓦礫の山を登り、その山の表面に奇跡的にその形を残し、帝国のシンボルカラーである漆黒の黒幕を風になびかせまとう玉座に腰掛け、周囲を見渡し、重傷を負うも瓦礫を退かし自分を助け出しそして力尽き倒れた息子の姿を目にし深い息を着くも、自分に向かって来る孫である王子の姿を見てふと安堵の笑みを溢し、腰の代々皇帝を継ぐ者の証である玉蟲の鞘を膝の上に横に置きそのまま絶命するのだった…… [続] 解説と解釈 マスターブレイド 銘・花潜利(はなむぐり) 後の通称は茂平字(もへいじ) それは王子の師が愛用していた継承的武器である。その素材は隕鉄であり、その山岳波紋の上には雪を散らした様な柄が浮かび、下地の刀身は黒光する深緑のやや太作りな小太刀である。何か不思議な力が宿っていたと伝わるが、その力の内容は、師がそう言う事には無頓着だった事から王子には伝えられていなく、故に謎のままである。また残念な事に玉蟲色に光ると文献に書き伝えられるオリジナルの鞘は無くしてしまったらしく、安価な数打ちの鞘で代用されてしまっている。余談として、その鞘の鯉口には、にぎり飯が付着した後が残っていたので、王子は水を吹き着け、ふやかした後に拭き取り、その時に目にした鞘尻に彫られたへのへのもへじを「愛嬌を感じとても癒される」と、やや精神が病んでしまった晩年に涙ぐみ、そう側近に語っていたとも伝わる。
外伝45 半島の乱・後期 一閃
外伝45 半島の乱・後期 一閃 王子が城下町に着くと、そこは既に無数の敵兵の姿しかなく、味方の帝兵は全員撤退した後だった。 そして残る敵兵の視線全てが王子に突き刺さる。 王子はすぐに印を組み、奥義である召喚術の呪文を祈る様に唱える。 すると月は蒼く変わり、そこから無数の蝶の群れが現れ空を覆い。 王子は一度だけどこからの新派の危機迫る必死の要請受け冥界の間では召喚に成功した術が現世でも成功した事に思わずニヤリとする。 そしてその異界の蝶と蛾それに加え様々な羽蟲が入れ乱れた群れが敵に襲いかかる。 空からクラスター爆弾の様に弾ける鱗粉。 吹き付ける毒の酸。 身体に群がり差し込まれる毒針や鋏。 によりその場は、予測を超えたその攻撃による敵兵の叫び声が溢れ。 王子はその混乱した敵兵の間を駆け抜け遂に巨人の間近に迫ると、内大臣であり父が鬼の形相で、その巨人の足元でひとり、鎖で連なる連結剣を円を描く様に振り回し奮闘している姿を見つけ、「父上ー」と叫ぶと父は王子を見て叫ぶ。 「無理だー、逃げろー!」 無理、王子はその父の言葉に目が覚める。 勢いで此処迄来るも、何の手立てもない事に絶望する。 それに巨人の前には、また無数の敵兵が残り居座っている。 蟲達を再び召喚しようと印を組み呪文を唱えるも、月に動きは無く、何か自分の知り得ない神的な制限を感じ、それも無理だと悟り、王子は、もはやここ迄、こうなったら力の限り敵兵を殺してやる。 と決意した時、海中の危機の時と同じ様に背から光りが抜け、その無数の光りが敵兵に向けて飛んで行き、一度結集し何かそれは、羽ばたく鳳凰の様な戦隊的ポージングを決めると、再び拡散しそれぞれ様々な武器を手に戦ってくれていた。 王子はそれが冥派の先人達の御霊とすぐに気づき、その中に師の姿も見つける、その姿は、敵を切りつける最中も時折、見覚えのある、喧嘩の時の余裕かましに良くやっていた、股下に両手でVの字を切るふざけた踊りを踊り、そしてある程度敵が散るとその師が周囲に指示らしき手振りをすると王子の目の前に先人達の御霊の光りが縦に連なり馬跳びを組み、それが一筋の光線に変わり、その光の先が巨人の瞳を照らす。 そこで王子は師の声を聞く。 《さあ飛ぶんだ! 君なら出来る》 王子は頷き、刀の柄に手をかけると、そのままその光に飛び込み、空高く連なる残像を残しつつ加速し、それはマッハの速度で巨人の瞳に向け宙に逆さの体勢で渾身の攻撃を放ち。 「宙弍ノ形、真マッハ一閃切り!」 師を真似て、そう呟いた王子の口角は照れからわずかに上がるのだった。 [続] 解釈と解説 冥派の盃 その交わした盃の絆は世代を超え、ひとりとなっても切れずに繋がっていると伝わる。 召喚術及び特級技の制限 それは非常に強いエネルギーを消費し術者自らの命も削る事から、唱える呪文の文中に、最初から制限が組み書かれている事が多い。 技名 それは祈りを込め、神がかる現実不可能な名をつける事も良く良くある事である。 連結剣(九龍宝刀・くーろんほーとー) それは複数人を相手にひとりで戦う事を想定され開発された武器である。その姿は、その名の通り鎖で等間隔に短剣を繋いだ物であり、鞭の様に使用する。武器としては古くから人々に想像されてはいたが長らく現実的に成熟できなかった武器でもある。しかし帝国の武器に搭載された重力バランス補正機能と優れたセンス及び修練が実を結び、世に披露目を得たのである。 冥派・覚醒奥義・蟲喰曼荼羅地獄絵図下炎上拡殺陣 それは全ての敵を葬る。 煉獄戦隊・メイレンジャー それは個々に突起した能力を持つ伝説の九人衆、その中に敵の弱点を瞬時に見破る垓心眼(がいしんがん)の能力を持つ者をいたと言う。 祠や聖域物 それらを間接的であっても破壊してしまった場合、そこに宿る者達の怒涛の怒りを天魔覇王とて、その身をもって知る事になるのである。そしてそれをあえて戦争で利用する事は禁断の兵法とされている。
外伝44 半島の乱・後期 鬼閣
※AI校正 外伝44 半島の乱・後期 鬼閣 王子が陸に上がり心眼で見た夜景は想像を超えるものだった。 それは、二本の角が空に伸びる様な形から鬼閣と言われる帝国居城の天守閣の一つは完全に崩壊し、そのかたわらでその悪業の主だと思われる青い巨人が長い棍を両手で振り回し、やりたい放題に破壊行動を繰り返していた。 そして天守の下に広がる城下町でも、いたるところで火炎と黒煙が上がり、敵と思われる白いマフラーをした無数の獣の様な人の様な未知の襲撃兵と帝兵らが戦闘を繰り広げていた。 王子は明らかにその戦況は厳しい事を感じ周囲を見渡すと助けてくれた師の姿は見当たらず、王子は「天邪鬼」と一言呟き、自分でやるしかないと腹を決めると頭上に気配を感じ見上げた空の夜雲の隙間に、伝説上の生き物でしかないと思っていたそのうねる巨大な竜の腹が見え思わずその迫力に「おお」と声をあげる。 そしてその背から飛び降りて来た、狼の様な二名の敵兵が地に着くと素早く四足で跳ね、宙で口にくわえた剣を手に持ち替え王子に左右から襲いかかる。 王子は目にした帝兵の苦戦ぶりから、帝剣を切る、その敵の持つ剣の異常な硬度を感じ、剣を以て受ける事を避け、かわし、得意の居合で切り捨てるもわずかに耳を剣先が掠めた事に、敵兵の技量が兵卒としては異常に高い事を実感する。しかし同時に横に剣を構える自分の残像が残っている事に知識でしかなくその習得を途中であきらめかけていた奥義を無意識に使用していた事に、自分の力も大きく飛躍している事を感じ臆する事無く、半壊した天守閣へ走るのだった。 [続] 解説と解釈 冥派奥義・幻影残 それは意識を形としその場に残し跳ぶ。超奥義の一つである。そしてその幻影残は、それから先の様々な奥義の重要な要の技でもある。
外伝43 半島の乱・後期 光る加勢
外伝43 半島の乱・後期 光る加勢 26・01・02 AI校正 序 洞窟を泳ぐ王子の心眼の視野の中に向かって来る殺気を帯びた無数の赤い点が映る。 王子は『やはり』と思い、停止し、師の小太刀を抜く。 現れたのは、背にフィッシュイーターの様な尖る鰭をなびかせ泳ぐ人型の軽装の兵士だった。 その目は鋭く赤く、牙は生え、手には光るモリを携えていた。 暗い宇宙空間の様な交戦が始まる。 そしてその兵士達の素早い動きに初めての実戦と水中戦もあり、王子は緊張し、思う様に動けずに苦戦を強いられ、敵の攻撃を交わすのに精一杯になり、惜しい時間と酸素だけが消費して行き、王子は歯を食いしばると、背から抜けて行く光と唇から吹き込まれるやや甘い息を感じ、その光りは敵達の間を駆け抜けていき、その光に触れた敵達の動きが止まる。 王子は素早くその敵達を切りつける。 それからも次々と現れる新たな敵に先行して向かってくれるその白い光の輪郭がだんだんと判別出来る様になり、その姿に「嗚呼ー」と歓喜の声を王子は上げる。 その華奢(きゃしゃ)な身体、長髪、腰に付けた偽の狼尾、泳ぎ方、輪珠をかけた裸足、そして時折、その様に身覚えるのある、斜めに切り尖らした古花札を飛び道具にし、片手に小太刀を持ち。 その姿は暗闇を隔て感じていた亡き師その者、そして師は先んじて敵と戦ってくれていた。 その師の攻撃を受けた敵はその理由は分からずも動きが封じられ、その敵を安易に王子は斬り倒す事ができ、そのまま光る師に先導され洞窟を抜け出ると。 その途中にチラリと振り向いた師の口元は、生前によく派の戒律(かいりつ)を破り、定量を超える多酒(おおざけ)を呑み、狩った兎肉を食べ、博打に興じ、そして負けると決まっていた照れ隠しの笑みに感じた王子は思った。 『……世の決まりを破り、遂に化けて出てこられるとは、相も変わらずに、戒律を平気で破る人で頼もしい限りである、そして貸していた金はこれでチャラとしよう』 幕 王子の手首から外された念珠は深海へと沈んでゆく……。 [続] 解説と解釈 冥派・護霊召喚術 冥派奥義である心眼を得た者には見えない者が見えてしまう、その事に寄り、守護霊は半実体化が可能となり、世に参戦する権利を得るのである。
外伝42 半島の乱・後期 帝国の王子
26・01・04(AI校正) 序 半島を実効支配していた大国森羅が台頭した新興国・塞に恐るべき速さで滅ぼされ、その森羅に取って変わった覇者である塞は半島統一から少しの期間を置き、遂に日帝または南帝とも呼ばれる日本帝国へ宣戦布告をする。 そして日本帝国は、海を渡って来る時に使用するであろうと思われる塞の持つ大規模な船団の動向を見張るが、その動きが半年を経過しても全くと言って無い事に、少しの油断をしてしまったのだった…… * * * その帝国帝都から少し離れた領地内、即身洞と呼ばれる修験洞窟、その入り口は潮の満ち引きにより海の中へと沈み、不定期に否でも応でも世界とは隔離されてしまう。その洞窟の最奥地、先人が悟りを開くべく設けた天然の瞑想の間で、半眼の盲目だった目は窪み、頬には薄っらと縦の線が差し始めていた帝国の王子が穏やかに安らぐ先人や師の横で同じ様に座禅を組み、瞑想をしていた。 その静かな瞑想の間にどこからか微風が吹き込み、王子は横の燭台の灯火の揺らめきを感じ、同時に背後に何者かの気配を感じ取る。 そして訪れたその者は王子に話しかける。 「失礼します、私の贈り物は気に入ってもらえましたか?」 王子は無言で首を縦に振り、座禅印に組んだ片手を返す。 その手首にはワンアクセに蓮の花のチャームが取り付けられた銀色に光る念珠が掛けられていた。 「おお、早速身に付けていただけましたか、次も楽しみにしていただけると」「一つだけで、大変に満足である」 「……ほほほほ、欲の無い方、そして差し出がましいと思いますが、まだ解脱はお早いかと思います」 王子の頭の中に、少年に戻った自分の前に何か秘密の内容の話を持ちかけたくて、花を一輪持ちモジモジとする幼い女の子の映像が浮かび上がる。 でもすぐにそれは子供では無い事を感じる。そして既に取り込み術はかけられ始めている事に気付き、王子は印を解き、二発の指弾を弾き相手より先に口を開く。 「私はその身が変われども常に師や友と共に歩む、それが外道邪道であっても」 「……そうですか、ならば私は王子の友になれますか?」 「なれる、けれども古い友が優先である、そして私は見張られる事は好まぬ、故にこの念珠は失礼ながらお返ししたい」 「……わかりました、その念珠はどうぞそのまま、ではこれにて」 そして灯火の揺らめきはおさまり、洞窟は元の静寂へ戻ると王子はフッと念珠が少し軽くなるのを感じる、すると、その念珠から授かった力が失われて行くのを、再び得たはずの目の光も再び閉ざされて行ってしまう事で実感する。 王子は「なんとも正直で潔い良い敵よ」そう呟き、最後にもう一目と思い、横に座る師の方を振り向くと『君の思うままに』そう遠ざかって行く美しい師が言ってくれた気がし、王子は迷いなく立ち上がると、ズーンと帝都の方角から危機迫る強い衝突音と揺れを感じると同時に額に師の気配と光を感じた王子は身体中に新たな力が湧いてくる感じを受け、反射的に常に半眼に開いた目を完全に閉じると、今度は、かつてその瞳で見た光景以上に鮮明な映像で祖父である皇帝が瓦礫の下に埋まっていく映像が脳内に浮かび上がり、王子は師の肩に縦掛けてある師の愛刀を手に携え、結果として一時的にもそのサイの念珠の作用がきっかけとなり大きく開く事ができた奇跡の心眼を頼りとし、崩れゆく長い海中洞窟道を泳ぎ帝都へと急ぎ戻るのであった。 [続] 解説と解釈 蝶蛾流・冥派奥義・無吐息無音殺(むといきむおんさつ) 冥派の盲目剣士達は、仲間との協力戦または奥義継承権をかけて行う果たし合いの時に、そのコンタクトの手段は鍛錬により獲得した特殊な気配である。その暗黒静寂空間においては、微妙に気配との空間的誤差の生じる呼吸音はむしろ邪魔な雑音となりえ、故に、より長く息を止める事が求められた。そして同時に酸欠した脳は生命の危機を察知し覚醒開眼し、それこそが未知の皆伝書に記された、人にとって、それは夢物語でしかないと考えられていた奥義を次々と現実化した上派である冥派の骨頂であり、その光り無き剣士達は超常的能力の恩恵を受け取るのである。それは蓮の花が開くかの様に。 心眼 それは閉じてしまった瞳の代わりに脳が覚醒し開かせると言われている心の目、それはまるで見えているかの様に他者は感じるのである。 冥派・伯狼派奥義応用変体技・夢創円月眼 それは、脳が目以外の身体に伝わる情報を脳内で夢を作り出す能力を応用し、目で見た様に覚醒現実世界でも構築し、その映像は目の情報から作り出す映像以上に鮮明で、かつ視覚の妨げとなってしまう物理的な壁も透し、三百六十度円球に広い範囲に脳内に浮かび上がらせる究極の心眼であり、その生眼を超えた心眼を獲得した者は、次元を超えた奥義及び剣技も使用可能となると言われている。 ※内容は全てにおいてフィックション。