仙 岳美

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仙 岳美

こちらには、他のサイトのAI校正済の小説を載せるので少し更新が遅れます。 下記活動サイト    記    ・小説家になろう  ・アルファポリス  ・カクヨム  ・X  ・web小説アンテナ

外伝45 半島の乱・後期 一閃

外伝45 半島の乱・後期 一閃  王子が城下町に着くと、そこは既に無数の敵兵の姿しかなく、味方の帝兵は全員撤退した後だった。 そして残る敵兵の視線全てが王子に突き刺さる。 王子はすぐに印を組み、奥義である召喚術の呪文を祈る様に唱える。 すると月は蒼く変わり、そこから無数の蝶の群れが現れ空を覆い。 王子は一度だけどこからの新派の危機迫る必死の要請受け冥界の間では召喚に成功した術が現世でも成功した事に思わずニヤリとする。 そしてその異界の蝶と蛾それに加え様々な羽蟲が入れ乱れた群れが敵に襲いかかる。 空からクラスター爆弾の様に弾ける鱗粉。 吹き付ける毒の酸。 身体に群がり差し込まれる毒針や鋏。 によりその場は、予測を超えたその攻撃による敵兵の叫び声が溢れ。 王子はその混乱した敵兵の間を駆け抜け遂に巨人の間近に迫ると、内大臣であり父が鬼の形相で、その巨人の足元でひとり、鎖で連なる連結剣を円を描く様に振り回し奮闘している姿を見つけ、「父上ー」と叫ぶと父は王子を見て叫ぶ。 「無理だー、逃げろー!」 無理、王子はその父の言葉に目が覚める。 勢いで此処迄来るも、何の手立てもない事に絶望する。 それに巨人の前には、また無数の敵兵が残り居座っている。 蟲達を再び召喚しようと印を組み呪文を唱えるも、月に動きは無く、何か自分の知り得ない神的な制限を感じ、それも無理だと悟り、王子は、もはやここ迄、こうなったら力の限り敵兵を殺してやる。 と決意した時、海中の危機の時と同じ様に背から光りが抜け、それも無数の光りが敵兵に向けて飛んで行き、それぞれ様々な武器を手に戦ってくれていた。 王子はそれが冥派の先人達の御霊とすぐに気づき、その中に師の姿も見つける、その姿は、敵を切りつける最中も時折、見覚えのある、喧嘩の時の余裕かましに良くやっていた、股下に両手でVの字を切るふざけた踊りを踊り、そしてある程度敵が散るとその師が周囲に指示らしき手振りをすると王子の目の前に先人達の御霊の光りが縦に連なり馬跳びを組み、それが一筋の光線に変わり、その光の先が巨人の瞳を照らす。 そこで王子は師の声を聞く。 《さあ飛ぶんだ! 君なら出来る》 王子は頷き、刀の柄に手をかけると、そのままその光に飛び込み、空高く連なる残像を残しつつ加速し、それはマッハの速度で巨人の瞳に向け宙に逆さの体勢で渾身の攻撃を放ち。 「宙弍ノ形、真マッハ一閃切り!」 師を真似て、そう呟いた王子の口角は照れからわずかに上がるのだった。 [続] 解釈と解説    冥派の盃  その交わした盃の絆は世代を超え、ひとりとなっても切れずに繋がっていると伝わる。 召喚術及び特級技の制限  それは非常に強いエネルギーを消費し術者自らの命も削る事から、唱える呪文の文中に、最初から制限が組み書かれている事が多い。 技名  それは祈りを込め、神がかる現実不可能な名をつける事も良く良くある事である。 連結剣(九龍宝刀・くーろんほーとー)  それは複数人を相手にひとりで戦う事を想定され開発された武器である。その姿は、その名の通り鎖で等間隔に短剣を繋いだ物であり、鞭の様に使用する。武器としては古くから人々に想像されてはいたが長らく現実的に成熟できなかった武器でもある。しかし帝国の武器に搭載された重力バランス補正機能と優れたセンス及び修練が実を結び、世に披露目を得たのである。 祠や聖域物  それらを間接的であっても破壊してしまった場合、そこに宿る者達の怒涛の怒りを天魔覇王とて、その身をもって知る事になるのである。そしてそれをあえて戦争で利用する事は禁断の兵法とされている。

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外伝44 半島の乱・後期 鬼閣

※AI校正 外伝44 半島の乱・後期 鬼閣  王子が陸に上がり心眼で見た夜景は想像を超えるものだった。 それは、二本の角が空に伸びる様な形から鬼閣と言われる帝国居城の天守閣の一つは完全に崩壊し、そのかたわらでその悪業の主だと思われる青い巨人が長い棍を両手で振り回し、やりたい放題に破壊行動を繰り返していた。 そして天守の下に広がる城下町でも、いたるところで火炎と黒煙が上がり、敵と思われる白いマフラーをした無数の獣の様な人の様な未知の襲撃兵と帝兵らが戦闘を繰り広げていた。 王子は明らかにその戦況は厳しい事を感じ周囲を見渡すと助けてくれた師の姿は見当たらず、王子は「天邪鬼」と一言呟き、自分でやるしかないと腹を決めると頭上に気配を感じ見上げた空の夜雲の隙間に、伝説上の生き物でしかないと思っていたそのうねる巨大な竜の腹が見え思わずその迫力に「おお」と声をあげる。 そしてその背から飛び降りて来た、狼の様な二名の敵兵が地に着くと素早く四足で跳ね、宙で口にくわえた剣を手に持ち替え王子に左右から襲いかかる。 王子は目にした帝兵の苦戦ぶりから、帝剣を切る、その敵の持つ剣の異常な硬度を感じ、剣を以て受ける事を避け、かわし、得意の居合で切り捨てるもわずかに耳を剣先が掠めた事に、敵兵の技量が兵卒としては異常に高い事を実感する。しかし同時に横に剣を構える自分の残像が残っている事に知識でしかなくその習得を途中であきらめかけていた奥義を無意識に使用していた事に、自分の力も大きく飛躍している事を感じ臆する事無く、半壊した天守閣へ走るのだった。 [続] 冥派奥義・幻影残  それは意識を形としその場に残し跳ぶ。超奥義の一つである。そしてその幻影残は、それから先の様々な奥義の重要な要の技でもある。

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外伝43 半島の乱・後期 光る加勢

外伝43 半島の乱・後期 光る加勢 26・01・02 AI校正 序  洞窟を泳ぐ王子の心眼の視野の中に向かって来る殺気を帯びた無数の赤い点が映る。  王子は『やはり』と思い、停止し、師の小太刀を抜く。 現れたのは、背にフィッシュイーターの様な尖る鰭をなびかせ泳ぐ人型の軽装の兵士だった。 その目は鋭く赤く、牙は生え、手には光るモリを携えていた。 暗い宇宙空間の様な交戦が始まる。 そしてその兵士達の素早い動きに初めての実戦と水中戦もあり、王子は緊張し、思う様に動けずに苦戦を強いられ、敵の攻撃を交わすのに精一杯になり、惜しい時間と酸素だけが消費して行き、王子は歯を食いしばると、背から抜けて行く光と唇から吹き込まれるやや甘い息を感じ、その光りは敵達の間を駆け抜けていき、その光に触れた敵達の動きが止まる。 王子は素早くその敵達を切りつける。 それからも次々と現れる新たな敵に先行して向かってくれるその白い光の輪郭がだんだんと判別出来る様になり、その姿に「嗚呼ー」と歓喜の声を王子は上げる。 その華奢(きゃしゃ)な身体、長髪、腰に付けた偽の狼尾、泳ぎ方、輪珠をかけた裸足、そして時折、その様に身覚えるのある、斜めに切り尖らした古花札を飛び道具にし、片手に小太刀を持ち。 その姿は暗闇を隔て感じていた亡き師その者、そして師は先んじて敵と戦ってくれていた。 その師の攻撃を受けた敵はその理由は分からずも動きが封じられ、その敵を安易に王子は斬り倒す事ができ、そのまま光る師に先導され洞窟を抜け出ると。 その途中にチラリと振り向いた師の口元は、生前によく派の戒律(かいりつ)を破り、定量を超える多酒(おおざけ)を呑み、狩った兎肉を食べ、博打に興じ、そして負けると決まっていた照れ隠しの笑みに感じた王子は思った。 『……世の決まりを破り、遂に化けて出てこられるとは、相も変わらずに、戒律を平気で破る人で頼もしい限りである、そして貸していた金はこれでチャラとしよう』 幕  王子の手首から外された念珠は深海へと沈んでゆく……。 [続] 解説と解釈 冥派・護霊召喚術  冥派奥義である心眼を得た者には見えない者が見えてしまう、その事に寄り、守護霊は半実体化が可能となり、世に参戦する権利を得るのである。

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外伝42 半島の乱・後期 帝国の王子

26・01・04(AI校正) 序  半島を実効支配していた大国森羅が台頭した新興国・塞に恐るべき速さで滅ぼされ、その森羅に取って変わった覇者である塞は半島統一から少しの期間を置き、遂に日帝または南帝とも呼ばれる日本帝国へ宣戦布告をする。 そして日本帝国は、海を渡って来る時に使用するであろうと思われる塞の持つ大規模な船団の動向を見張るが、その動きが半年を経過しても全くと言って無い事に、少しの油断をしてしまったのだった…… * * *  その帝国帝都から少し離れた領地内、即身洞と呼ばれる修験洞窟、その入り口は潮の満ち引きにより海の中へと沈み、不定期に否でも応でも世界とは隔離されてしまう。その洞窟の最奥地、先人が悟りを開くべく設けた天然の瞑想の間で、半眼の盲目だった目は窪み、頬には薄っらと縦の線が差し始めていた帝国の王子が穏やかに安らぐ先人や師の横で同じ様に座禅を組み、瞑想をしていた。 その静かな瞑想の間にどこからか微風が吹き込み、王子は横の燭台の灯火の揺らめきを感じ、同時に背後に何者かの気配を感じ取る。 そして訪れたその者は王子に話しかける。 「失礼します、私の贈り物は気に入ってもらえましたか?」 王子は無言で首を縦に振り、座禅印に組んだ片手を返す。 その手首にはワンアクセに蓮の花のチャームが取り付けられた銀色に光る念珠が掛けられていた。 「おお、早速身に付けていただけましたか、次も楽しみにしていただけると」「一つだけで、大変に満足である」 「……ほほほほ、欲の無い方、そして差し出がましいと思いますが、まだ解脱はお早いかと思います」    王子の頭の中に、少年に戻った自分の前に何か秘密の内容の話を持ちかけたくて、花を一輪持ちモジモジとする幼い女の子の映像が浮かび上がる。 でもすぐにそれは子供では無い事を感じる。そして既に取り込み術はかけられ始めている事に気付き、王子は印を解き、二発の指弾を弾き相手より先に口を開く。 「私はその身が変われども常に師や友と共に歩む、それが外道邪道であっても」 「……そうですか、ならば私は王子の友になれますか?」 「なれる、けれども古い友が優先である、そして私は見張られる事は好まぬ、故にこの念珠は失礼ながらお返ししたい」 「……わかりました、その念珠はどうぞそのまま、ではこれにて」  そして灯火の揺らめきはおさまり、洞窟は元の静寂へ戻ると王子はフッと念珠が少し軽くなるのを感じる、すると、その念珠から授かった力が失われて行くのを、再び得たはずの目の光も再び閉ざされて行ってしまう事で実感する。 王子は「なんとも正直で潔い良い敵よ」そう呟き、最後にもう一目と思い、横に座る師の方を振り向くと『君の思うままに』そう遠ざかって行く美しい師が言ってくれた気がし、王子は迷いなく立ち上がると、ズーンと帝都の方角から危機迫る強い衝突音と揺れを感じると同時に額に師の気配と光を感じた王子は身体中に新たな力が湧いてくる感じを受け、反射的に常に半眼に開いた目を完全に閉じると、今度は、かつてその瞳で見た光景以上に鮮明な映像で祖父である皇帝が瓦礫の下に埋まっていく映像が脳内に浮かび上がり、王子は師の肩に縦掛けてある師の愛刀を手に携え、結果として一時的にもそのサイの念珠の作用がきっかけとなり大きく開く事ができた奇跡の心眼を頼りとし、崩れゆく長い海中洞窟道を泳ぎ帝都へと急ぎ戻るのであった。 [続] 解説と解釈 蝶蛾流・冥派奥義・無吐息無音殺(むといきむおんさつ)    冥派の盲目剣士達は、仲間との協力戦または奥義継承権をかけて行う果たし合いの時に、そのコンタクトの手段は鍛錬により獲得した特殊な気配である。その暗黒静寂空間においては、微妙に気配との空間的誤差の生じる呼吸音はむしろ邪魔な雑音となりえ、故に、より長く息を止める事が求められた。そして同時に酸欠した脳は生命の危機を察知し覚醒開眼し、それこそが未知の皆伝書に記された、人にとって、それは夢物語でしかないと考えられていた奥義を次々と現実化した上派である冥派の骨頂であり、その光り無き剣士達は超常的能力の恩恵を受け取るのである。それは蓮の花が開くかの様に。 心眼  それは閉じてしまった瞳の代わりに脳が覚醒し開かせると言われている心の目、それはまるで見えているかの様に他者は感じるのである。 冥派・伯狼派奥義応用変体技・夢創円月眼  それは、脳が目以外の身体に伝わる情報を脳内で夢を作り出す能力を応用し、目で見た様に覚醒現実世界でも構築し、その映像は目の情報から作り出す映像以上に鮮明で、かつ視覚の妨げとなってしまう物理的な壁も透し、三百六十度円球に広い範囲に脳内に浮かび上がらせる究極の心眼であり、その生眼を超えた心眼を獲得した者は、次元を超えた奥義及び剣技も使用可能となると言われている。 ※内容は全てにおいてフィックション。

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外伝41 半島の乱・後期 サイクリスタル

序  論功行賞は終わり、王に任命した重臣達と女王は次の段階へと進む。 * * * 「皆んな待って~」 と碧国・最下層にキラキラと光り広がる地底湖の中央から飛び出ている翼骨の様な、白い突起物へ、女王は浮き輪で、飛ぶのが得意な女王の妹トトリコは飛行で、他の重臣達は泳ぎ、目指していた。 それは一つの青春の場面でもある。 「一番ー!」 最初にトトリコが到着する。 そして次々と皆が到着し、最後に一番遅れて泳ぎ着いた女王がその突起物に手を当てると、周囲は白い区間に変わり、目の前の突起物は宙に浮かぶ白いサイクリスタルに変化する。 女王は背中に背負った円空の形見のサイサーベルを下ろし、そのサーベルをオデコに当て軽く祈り終えると、サイクリスタルの表面にそのサーベルを押し当てる。サーベルはサイクリスタルの中にユックリと沈み込む。 そしてクリスタルは語り始める。 《傀儡神の巣を良くぞ、見つけ出してくれた、そして抜かりなく得た鍵の情報も見事である》 「はっはー」 と女王が浮き輪のまま頭下げると、ただ何も聞かずに此処へバーベキューと言う名目で連れて来られた重臣達も意味が分からずに頭を下げる。 そして女王と重臣達各々の片手が輝き出し、その輝きが治ると、その人差し指には各自違う色の宝石が様々な動物を模した台座に納まった指輪が現れる。 《良いか、それは傀儡の巣に入り込む時の言うなれば鍵の複製である、各自、サイの武器を持ちいて、チャンスがある者から傀儡の神に撃ちかかるのだ! 宇宙の未来は若い君達にかかっている……そして犠牲になった、さ……円空君の冥福を祈る……以上……》※シリーズ小説の[狼少年シークエル]円空の乱より。 そして周囲は湖に戻り、また女王が最後で皆が白い砂岸に戻ると。 ガイアが女王に尋ねる。 「女王様、何処かの宗教団体にでも入ってたの?」 「かなり似てるけど、ちょっと違うかな、ガチな本物の方」 「本物?……まあそれより、俺はロコの黒い宝石の方が良い」 「私は竜で青が良い、ピンクの石で豚の台座はちょっと……」 「おねいちゃんの赤と私の紫交換してー」 と悶着が始まる。 「ち、ちよっと皆んな待って! 交換して良いか聞いて来るー」 『あの人なんでただの鍵石にわざわざと色分けするの?、傀儡神の説明も皆んなにしなかったし』 と思いながら女王は、バーベキューの用意をする皆を背にまたひとり湖の中央に向けて泳ぐのだった…… 幕 「かくかくしかじか」 《……それは少し寂しいが別に構わん、守護石として、おのの誕生石に合わせただけだからな、傀儡神の事は、皆がショックを受けない程度にオブラートに包む感じでやんわりと話しといてくれるか》 そして肉の焼ける良い香りが女王の鼻腔を突き、泳ぎ空かした腹が鳴る。 「わかりました、では戻ります」 《良い良い、では吉報を待つ》 「はい」 [続]

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外伝40 半島の乱・後期 清次

序  清次は馴染みのバーで、好物のその懐かしい味がするフライドチキンをほうばりつつ、バーボンを飲み過ぎ、意識がもうろうとする中、頭の中を整理していた。 * * * 「清次、久方ぶりだな」 「お、お前は志摩長!」 「覚えていてくれたか、私の顔を」 「当たり前だ!」 そうイキる清次に志摩長は煙草を差し出す。 清次はその煙草の箱を手で払う。 志摩長は煙草を拾い、胸のポケットにしまうと清次に話しの続きをする。 ………… …… 「と言うわけだ、二度の大戦を超え、今や我々は味方だ、そして手を貸してくれ」 「……私は皇帝陛下の命令しか聞く気は無い! ましてやお前なんかの!」 志摩長は皇帝からの勅書も取り出し清次に渡す。 清次が目にした勅書に記された皇帝の名は清次の記憶にある王子の名だった、そしてその内容は過去の事は水に流せ、それは手を結べと言う事だった。 清次は素直に受け入れる事は出来なかった。そこで思い出す。 「ところで私の服と剣はどうした?」 「全て用意している、隣の部屋に」 部屋には記憶にある自分のハット、服、奇剣、短剣、水筒、腕時計、それに財布迄殺された時のままに揃っていた。 清次は黙々とそれを着終えると志摩長に一言「わかった」 「おお」 「殺された相手におかしいかもしれんが、全ては身の不覚からと取り、とりあえずは礼を言う、かたじけない」 「では」 「勘違いするな、話しがわかっただけだ、味方するかは、決めていない」 「……」 「私は一回死んだ、それで生まれ変わった、もう違う人間だ、それに忠誠を誓った主であり師でもある陛下はもういない!」 「そうか……そう言えばこちらの謝罪がまだだったな、すまんかった、そして君が生まれ変わったと言うのなら、前世の遺恨は全て忘れ、気が変わる事があったのならば、迷わずいつでも此処へ来てくれ、是非に頼む」 と言うと志摩長は清次に頭を下げ、一つの鍵を渡す。 「……この鍵は?」 「此処は離島でな、外にボードが留めてある、少し行けば本島に辿り着く、そして電車で帝都へも行ける様になった、シツコイと思うがもう一度言う、気が変わったら手を貸してくれ」 「ああ、変わらんと思うがな」 * * *  そして本島に着いた清次はボードの鍵を船着を警備している、少し何か頼りない警備兵に渡すと、その足で馴染みのバーを訪ねる。     バーは、皇帝と同じに、店主も代替りしており、ただ店内の壁に数多く飾ってある街並を写した写真はセピア色に変化しているも変わらず当時のままだった。 清次はそのままその写真を眺めながら酒をあおり、ふと確認したサイフの中に見た、見た事が無い紙幣が時の経過を否が応でも清次を納得させた。  清次の住まいは、そのバーが入るレンガ造りのビルの六階の屋根裏部屋を借りていた。 そしてズボンから垂れる、それは記憶にある髑髏のチェーンを手で辿ると、ポケットの中で冷んやりとした、その部屋の懐かしい鍵の感触を感じる。 日が変わる頃にバーを出て、その部屋へ一応向かうと部屋の表札入れにはまだ自分の名が入っていた。 清次は、安らかに眠る様に冷たいその部屋鍵を指で起こす様に擦り、少し温めてから鍵穴に差し込むと鍵はスムーズに回り、主人の帰りを長く待ち続けた部屋のドアは開く。  部屋は全て昔のままだった、しかし綺麗だった。テーブルには花が差した花瓶までも置かれていた。 その花を見て清次は心に少し安らぎを感じ同時に眠気も感じ『今日はもう寝よう』 と思い、シャワーを浴び、部屋に戻ると部屋唯一の丸い小窓には雨が吹き当たっていた。  清次はベッドに仰向けに成り、その窓に当たるどこか安らぐ雨の音を聞きながら天井を見つめていると急に始めて切った女である女性兵士の顔を思い出す、すると呼び鈴が鳴る。 出ると、その女性兵士だった。 「お、お前、生きていたのか!」 「はい、貴方と同じに」 「君の身分は聞いたよ、で、此処へ何しに? 今度も志摩長に言われて来たのか?」 「はい、今回も私の……私の意思で決めて此処に来ました」 そう言うとその女王兵士は清次をまっすぐに見つめる。 シャイな清次は視線を逸らし会話を続ける。 「……そうか、何も変わらんぞ」 「ええ」 「外は雨だ、コーヒーでも飲んで行くか」 「ええ」 「コーヒーがしまってある所を教えてくれ、花も全ては君の仕業だろ」 「はい」 「飲んだら帰れよ、その頃には雨も上がってる事だろうさ、困ったお節介のお姫様」 「はい」 それから少しすると部屋の電気はソッと消えるのだった…… [続] 解説と解釈 平乃 清次  第一次西国諸島連邦討伐隊の副将。 武家名門の生まれであり、軍神武竜と言われた皇帝の最後の弟子、その剣技は皇帝を恐れるほどに成長を遂げた事から高官が暗殺を進言するも、その忠誠心の高さから、皇帝は彼を信用し生かす道を選んだ。後に皇帝の遺言の一文に「清次の精神の灯火、その揺れ幅は広く、彼を重大な局面では除外する必要があるも、帝国の根幹を薙ぎ倒すほどに天災的な敵が現れた時には、鬼札(切り札)に成り得る」と伝え残している事から、後の転生復活の選別とその他様々な人達の思いを汲み彼が生き返る事になるが……。 命の選別  それは複数人の英雄から一つ選ぶとした場合でも、最初と最後に対面する選択の壁の名は、情と言う名のかも知れない。 次は清次と共に復活者とし候補に上がた将軍達。 将門公  第二次西国諸島連邦大戦の連邦側の将。 志摩長が生き返らせた知武魅を備えたカリスマ的な女将軍、帝国の関東地域を裏工作で支配し、戦争では帝国の補給路を断つなどの軍功を上げる。後に皇帝を名乗り、単独で帝国と戦争を起こし、その追討軍の手により戦死。 野心が高く、転生復活させるには危険過ぎると言う理由で却下。 仙身 紫馬(せみ しぐま)  第二次西国諸島連邦大戦の連邦側の将。  志摩長により覚醒させられ冥界の軍勢を召喚できる様になった将軍、ただ戦争は好まなくその能力を使用したの生涯一戦だけである。軍功は帝国のネオ大阪城を陥落させる。王族になるも不審死、その理由は毒殺とも言われている。 転生復活をさせるには彼の能力はリスクが高過ぎると判断され却下。 銀河 明星  生まれ持っての霊剣の持ち主、志摩長の弟子、女王のボディーガードに成るも、引退後に反乱を起こし志摩長に討ち取られてしまう。 その反乱の理由になった女王に対する想いを汲む事は出来ないと言う理由で転生復活は却下。 源乃 義次  第一次西国諸島連邦討伐隊の総大将。  武家名家の血筋、清次の兄弟子、その戦争の最終局面で戦死。 そしてその血筋は原因不明確ながらも転生復活の成功の確率が極端に低い前例から、もはや転生薬も一つしかない事も踏まえ候補から最初に外される。 安倍乃 太郎  第一次西国諸島連邦征伐隊の参謀長。 戦争終結後に病死、遺言で遺体は海に散葬を希望した為(秘密裏に太郎にすり替わった式神の案)骨を使う事が前提の転生復活は物理的に不可能な事から転生復活案は却下される。 仙身 徳治(せみ とくじ)  王族・剣技は名も廃れた流派ながらも反射神経が人離れしている事からそれなり武功を上げた将である。ただ転生復活には反対的思想の持ち主だった事から、亡くなったのちは、忘れさられた。

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外伝39 超の国へと

序  戦後処理を終えると塞の女王は他次元である竜達の国、その国名は超の国の都へと向かう。  朱色の門の前では着流しを着た、竜族の皇帝である使いの者が迎え、「帝は現在遠征中ゆえに」と前置きを言い、女王に超の国の礼の形をとる。 女王も『どこも大変な事と』思い気にせずに、真似て同じように礼を返す。 そして早速に尋ねる。 「ゴズは」 「まずは、命は取り留めて置いております」 「取り留めて?」 「此処ではなんですので」 と近くの屋敷の一部屋に女王は通されるそこで説明を受ける。 まずは当然ながら検査をした結果を知らされ、骨髄迄病魔に侵され現在生きているのが奇跡と言われる。 女王は目の前が暗く成る感じを受けるも、その後の説明を聞き気持ちが立て直る。 「身体を代えればゴズは生きていられると言う事ね?」 「はい、ゴズ殿に竜の血が入っていたのが幸いでありました、そしてこれは天意に思えます」 「良いわ、すぐにやってちょうだい」 「はい……それで」 「いくらでも言って用意します」 「それ以外で」 「以外とは何かしら?」 と尋ねると相手の目は光り。 「サイを頂きたく思います」 「原料かしら?、それとも加工した武器そのもの?」 「剣を一振り」 「え、たった一本で良いの?」 「はい、我らの帝用に、ひとつの要望はこちらが用意した画の通りの形に作って頂きたい」 それからは簡素的ながらも取り決め的なやり取りは進み、その最中、女王はタツマと言う竜人がある日に目の前に現れ、色々と自分を助けてくれたその真の理由を気づくも、ノウスにせよ、皆んなそんなものだと思い、それ以上深く考えるのやめる。 そしてやり取りが終了すると女王はそのままその部屋で待つように言われ、ゴズとの思い出にふけていると、聞きなれない澄んだ美声で呼ばれる。 「女王さま……」 女王がハッと我に帰り見上げると目の前にそれは、美しい金髪な竜人の青年が立ち、はにかみ微笑んでいた。 そのはにかむ癖で女王はその青年がゴズと確信し立ち上がり、思わず抱き締めようとするも、その眩しい姿に思い留まる。 横に立つ竜の医師は見覚えのある骨舟に乗っていた竜人であり、その口を開く。 「我ら竜族の英雄殿の身体を頂きました、対価に見合うものと」 「その人は亡くなったの?」 「戦う事より眠る事を選ばれました、優し過ぎるお方ゆえ、そしてその身体は国の為に使ってくれと、そう言う事であります、故にこれ以上の事は御容赦をお願い申し上げます」 女王は医師に一礼し、ゴズに話しかける。 「勝手に決めてごめんね」 ゴズは頷く。 「お側に居れれは、私はそれで満足です、そしてなによりも、物と言って良いのか悩みますが、この素晴らしい贈り物に感激しております」 外に出ると、もう一回女王はゴズの前に立ち、その姿を見ては微笑む。 ゴズも『何かと』言う感じでもう一度はにかみ微笑む。 そこには健やかな気持ち良い風がひと吹きし、二枚の大小の長草が戯れ合う様にして空に上がって行く。 幕  女王は帰りに横を歩く自分より背が高くなってしまったゴズの姿を見て何かまだ信じられない気持ちでしばらくは夢の中にいる心地で過ごしたのだった。 [完] 解説と解釈 竜血  それは、時に混ざる物であり、その血を継ぐ者は他の者より強い出ており、その事が仇に成り群れから外れてしまう事は良くある事のようである。 一点物  それは唯一無二である故に、その世界では貴重なのである。特に世界を制する武器は。 竜玉  それは竜の魂であり、竜族は、生涯で一度だけ玉と成り他の物の身体に移る事が可能である。 それは子から親に親から子に、恋人から恋人に、そして友から友へと。 密偵及び隠密  それは何かしらの理由で味方のふりをしてその懐に入り込む、しかし時には本当にそのまま味方になってしまう事もある。 竜帝剣  それは全ての武器の性能を超越した覇者の剣である。しかしその宝物とて、時代の波には抗えずに秘密裏に選抜した素材で作り上げた別物に置き替えられる物でもある。

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外伝38 碧VS連邦

序  あれから、大長老率いる連邦軍は森林の中を進軍し。日は暮れる頃に近年、塞と碧が一方的に宣言し引いた、碧と連邦との国境線を少し超えた所で野営の準備に入る。それで連邦は森羅の要請に応じ出兵をした事に一応は形として成る。それから先の事は大長老は余り考えてなかった、と言うか、意地でも碧の軍との衝突は避け、臨機応変にのらりくらりと行動をし、戦争が終る迄ネバる方向で決めていた。 テント張りが始まる。  大長老は各分隊の陣を周りその様子を見て回る。 そこで目にしたものは、集まった若者達は姫と仲良くなっており雑談など交え和気あいあいと設営準備をしている光景だった。 大長老は思う。 『これがただのキャンプならどれだけ楽しい事か、そしてシャツ姿になってしまった息子は、女である事はバレてしまっている』 そして各分隊の陣にカレーの匂いが漂い。 大長老も皿を持ちその列に並ぶ。 そしてカレーをよそっている係の姫(元息子)に 「ご飯は少なめで」 と注文するも少なめの多めによそわれてしまう。 肉もゴロゴロといっぱい入れらてしまう。 「あの~、少しこれ」※小声『多いかも』 「はい、次の人!」 大長老は無視され引き下がる。 しょうがないのでスプーンを付ける前に横に座る若者の皿に『食ってくれ』と半分ほど移し、量を調整し、やっと落ち付き晩飯を食べ始める。 しかし皆で食べていると何故が美味しく感じ、久しぶりに少しおかわりしようとする気にもなり鍋の方に行くと鍋は空だった。 大長老は、やれやれとそんな間の悪い自分に嫌気を感じ、席に戻ると少し冷めたコーヒを啜り遠くを見渡し、コーヒーを噴く。  その理由は、遠く山の裾野にどう見ても巨人が歩いていたからだった。 そこで大長老は記憶に沈めた、数年前に聞いたヤナ噂を思い出す。『塞が太古の巨神を復活させた』そしてバッシューと鳴る耳鳴りと共に大長老の頭の中で過去の忌まわしき記憶がフラッシュバックとして蘇る、それも鮮明なカラーで。 『冷たい巨大鯨の目』 大長老は震える。 も自分の今の立場を思い出し、立ち上がり腰ベルトのポケットから気つけの霊薬取り出し飲み込み叫ぶ。 「敵襲ー!」 そして今の一番最適と思われる指示を飛ばす。 「……各自自由撤退ー! ワシも逃げるぞー!わーい」 その時、大長老は何か辺りに気配を感じる。 そう穏やかな森は異様な雰囲気に包まれ魔界に変わる様に変わっていた。 大長老は『これはイカン』と感じると、その予感は現実的な形に変わる、すぐにあちらこちらからの地面から突き出る、人の形をした木の根の様なその手には古代の戦争で地中に埋まったと思われる武器を持ち、闇雲に兵士達に襲いかかって来る。 陣は大混乱の渦に成り。 大長老はふと連れて来た姫(元息子)を思い出し探すと、意外にも襲い掛かる土兵をあざやかに切り倒している。 そこで大長老は「弟子ができるならワシにも出来る』と思い、指示を変える。 「コイツらはハッタリだ! 全員冷静に反撃ー!」 大長老も腰の刀を抜き土兵をどんどん切り倒して行く。 も切りが無く。 そしてなにか自分に襲いかかって来る土兵だけ運が悪くやたら強い気がし。 しまいにはなぜか集中攻撃を受け。ボコボコにされ。堪らず決断する。 「よしー! 皆良く戦った! 撤収!」 『既成事実は充分にゲットした!』 と叫ぶもエルフの姫は羽根を開き飛び立ち、「きっははははは」と笑いながら遠く巨人の方に向かって飛んで行く。 その後を一部の荒くれ者の若者達も「姫に続け!」 と叫び各自、近くの軍馬に飛び乗り巨人へ向かってゆく。 大長老は「おっおお前らー!」 と叫ぶも、口笛を吹き愛馬紫電を呼び飛び乗り、姫の後を追いかけ真下の地上から叫ぶ。 「頼むー!逃げてくれー」 「嫌だー」 「何故?!」 「面白くなって来たからー」 「馬鹿ー!死ぬぞ」 「長老は逃げて良いよ、私達だけであの巨人はやっつけるからー」 「お前を置いていけるかー!」 「なら」 と姫を降りて来て長老の両手を掴み再び空に飛び上がる。 「うおーーーあーーー」 大長老は初めて空を飛び、自分でもよくわからない、気持ちが良い様な、恐怖の様な、叫び声を上げる。 そして目の前にクネクネと竜の様にウネル、巨大な木の根が草や土と紛れて目の前に迫って来る。 その竜の様な根を姫はヒョイヒョイ左右上下にかわしてゆく。 ただ大長老の顔面や身体には色々な出土物が問答無用に生殺しの様にぶつかる。 「あっ痛!おっ痛!」ガン!「ぐっはー!」 そして巨人にドンドンと迫って行く。 大長老は姫に問う。 「あ、あんなもんどうやって倒すんだー! さ、策はあるのかー!?」 頭に鳥の巣を乗せ、その巣の中の卵を取りだし口に入れ殻を吐き捨てながら姫は答える。 「とりあえず後ろから首切る」 大長老は愕然とする。 「あほー、そ、そんな漫画見たいな事できるかー! これは現実だぞー」 姫を大長老に卵を一つ差し出す。 「う、ありがとう……ちっちちち違うー、卵なんか食べてる場合じゃ! あっあー ー!」 そんなやり取りをしていると遂に巨人の頭上に到着してしまう、大長老が目にしたその巨人は両手を地に差し込みしゃがみ込んでいる体勢でこちらに気づくと、片腕を抜きその手をこちらに向けてくると思ったところで素早く姫はその巨人の指に襟首を摘まれてしまう。 長老はその拍子に振り落ちてしまい、慌てて近くの枝に刀を差しぶら下がり、なんとか幹にしがみつく。 そして目を細め『終わった全て』と感じる。 つままれた姫はヒョウヒョウとし表情で、その丸い目で寄せられた巨人の目と目を合わしている。 そして巨人の目が少し微笑んだ様に変わると、姫をユックリと木の枝に戻すと背を向けそのまま引き上げて行ってしまった。  地上に降りた大長老も追って来た若者達も全員ポカーんとした顔を合わせ。 そのひとりが言う。 「俺たちは、勝ったのか?」 ひとり青あざだらけの大長老がすぐにその場を仕切る。 「あーあー、巨人はワシの恫喝に恐れをなして去って行った、いわゆるつまり、君達の勇気とワシの勝利である」 姫が言う。 「長老は何も言ってないよ」 その場には寒いなんとも言えない風が吹く。 「何じゃー! お前らは結果として遊んでただけだろうーに、ワシはズーとひとりでプレッシャーを背負ってたんだ、最後に華くらいは持たせろー」 そう叫ぶ大長老を横目に皆帰り支度を始める。  事の真相は、巨人を操るロコに女王から直々の戦争終結の報告と撤退命令が出たからそれだけであった。   幕  後に、連邦の姫は昔に誘拐され行方不明になっていた女王の妹である事が判明し、その関係性から連邦は半島を統一した塞と対等な形で同盟を締結する。 大長老は一時は誘拐犯とし疑われるも、最終的には保護していた者と認められ、莫大な恩賞を受け取る。 かくして此処に半島の乱は終結を迎える事となる。 [続] 解説と解釈 ※巨木連結陣  巨人ヒドラは植物属性の事から地中から森に生えてる木の根にエネルギー放出し、広い範囲に森の全てを操る事が出来るのである。 ※長老の霊薬    その白い丸薬はデパパと呼ばれ、村の呪術師から長老に処方された気持ちを楽にする速効効能のある漢薬である。ただ飲み過ぎると効きか悪くなる事とその依存性が問題でもある。

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外伝38 碧VS連邦

外伝37 令結

外伝37 令結  ノウスは部下に副女王の捜索の指示を出すと、乱戦で混乱する城内で急所を外し壁にのしたその姿が将校と思われる森羅兵の首に刀を当てがい、兄の屋敷の場所を聞き出しひとり向かう。 兄の屋敷は死角錯覚を巧みに利用し一定の場所から法則に従い視線を辿ると確認する事が出来る壁の隙間から入り、少し行った城の外壁を背に、植木に隠されるようにひっそりと建っていた。 その屋敷のロックシステムも動力は魔法石が得ていた事から無力化しており、ノウスは難なく中に侵入し暗く静まり返った兄の屋敷の廊下をゆっくりと警戒しながら歩く。 そしてその背に垂れ下がる垂れ幕の裏から飛び出る気配を感じ素早くその刃を指揮刀で受け後ろに飛び着地すると背後からも、もうひとり殺気を帯びて走ってくる気配を感じる、も、冷静に刀に気を込め振り下ろし、上手く前方と背後へ気功斬を飛ばし伏兵二人を片付け、「言うなれば、塞流、二の形、落下双葉斬」と呟き、再び暗い廊下を行く。 やがてドアを背に立つ兄と対面する。 兄の方から先に口を開く。 「ノウスか」 「ああ」 「やや歪気ながらも立派になったな」 「話しをしに来たわけでは無い、兄は私の主に切られもう死んだぞ」 「愚かな私怨で戦争を始めるとは」 「そのきっかけを作ったのはあなただ」 「きっかけだと? お前は天秤にかけられフラれたんだよ、それだけの話しだ、それを此処まで、俺を殺してどう成ると言うのだ、この先にいる兄に抱かれた女と生活をするのか? そうなれば、お前の心は今以上に闇に侵食される事だろうな」 それを聞きノウスは…… クッククと笑って返す。 「女はもうどうでも良い事だ、私は試したくなったのだよ、この力がどこまで行き着く事が出来るかを、ただ一つ、皮肉にもそのきっかけをくれたのは、あなたと言う事だけが不満だがね」 「……やはり命も取っとくべきであった、この異端者め」 「いくぞ! 狡賢いだけの兄者よ!」 二人は狭い廊下で剣を交える。 一合 二合 ………… …… その最中にノウスは悟る『もはや自分の敵では無い』 ノウスは兄と鍔迫り合いに持って行き、交える剣を通じ長年溜め込んだ全ての怨嗟的な気功を兄へ送り込む。 兄は「あっ」と声を上げると胸を抑えのそのまま床に倒れ絶命する。 ノウスは兄の横を進み背のドアを開くと奥の広いベットには、兄に奪われた想い人が胸に短刀を刺しもう亡くなっていた。 ノウスはそのもう息をしていない想い人を抱え話しかける。 「これが君の答えか、ならば納得できよう、でも全てが私のせいじゃないぞ、君は確かに好きと言ってくれたじゃないか……でもありがとう、これでなんの憂いもなく私は先へと行ける」 その後、ノウスは王室で捕らえた副女王に剣を抜かせ、そして切り、令結とした。 [続]

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外伝36 森羅開城

外伝36 森羅開城  騎馬戦で勝利した塞の女王は、投降した森羅兵を分散させ隊に組入れ、さらに南下し森羅の東部本国の本城を包囲する。 その森羅の留守を守る者は王族の血縁者であり、魔法の壁で守られた、城に立て篭もり抵抗の構えを取る。 女王は書簡をしたため送る。 『今現在、我々は誰一人とてその命を奪う気は無く、降伏をさえしてくれるならは一般的な生活とその命は保証する、しかしこのまま抵抗を続ければ、補給路を断たれた君達の未来は無い、籠城とは本来、救出が来るのが前提であり、今現在、存じているとは思うが、森羅中央部も我が同盟国である碧の軍が完全に包囲しておる事を良く良く考え、二日以内での英断を期待するとする、期限を過ぎれば後の保証はありえない』 ……それから一刻も経たずに城は呆気なく開城される。 女王は兵士達に一才の狼藉の禁止令を出してから城へ入城しそのまますぐに、城を守る魔法壁のエネルギー源である噂だけで知り得ていた大魔法石の場所の案内を降伏兵にさせる。 その場所は地下であり、生え木をそのまま加工し台とした上に乗せられ、目が眩むように金色に輝き、その下には、木の根が配線のように地中へと伸びていた。 女王はその根の一本一本の供給先を順に聞き出す、そして案内役のエルフが顔を曇らせた一本に辿り着き。 「この根は中央部へかしら、なら頷いてくれれば良くてよ」 案内役のエルフは一瞬間を空けるも頷く。 「ありがとう、これで戦争は終わるでしょう」 ならばとタツマが矛を構えると女王は手で制し「私が始めた事だから、私がやるわ」 「はっは」 女王はその中部へ魔法エネルギーを供給してるい根だけを用意したサイの斧で一刀で切断する。 その断面は光る樹液を吹き出すもやがてお落ち着き普通の見た目はただの木の断面に変わる。 この時点で中央部の城を守る魔法壁は無力に成り、その知らせるを聞いたノウスは歓喜し、一旦は降伏を促す書簡をしたためるも途中で破棄し、最後は自分の力で自分の過去と決着を着けるべく、城を包囲していた軍と城内へと攻め入る。 こうしてどの道にも塞が半島を統一するのは時間の問題となったのだった。 [続]

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