仙 岳美

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仙 岳美

放置気味   記    ・小説家になろう   ノクターンノベルズ  ・アルファポリス  ・カクヨム  ・X  ・web小説アンテナ  イラスト    ・自作  ・Grok  ・いらすとや

04 竜人と対峙する光の勇者ノ巻

※AI校正 ※この巻から「蝉と少女」の続きと物語は合わさる。 04 竜人と対峙する光の勇者ノ巻 序  霊剣を宙に浮かべ足場にし、夜空へ駆け上がった志摩長は、「霊刀斬舞!」下に群がる敵にそう叫び、究極奥義を放つ、も、その空から放った無数の霊剣手裏剣は全て跳ね返されてしまう、それもただの一兵卒達に。  『これはまさに百鬼夜行! 歯が立たぬ……万事休す』と感じた志摩長が全軍地下への撤退令を発する中、霧香はひとり撤退する味方とは逆方向にその人波を掻き分けて走る。数年前に去った恋人と、亡くなった妹を時折思い出しながら…… * * *    塞の女王の指示で淡国を攻めた竜人の将タツマは、ウネる列竜の背から戦場に変わった島の光景を見下ろしていた。 その戦況は予想通り優勢であり。 ふと『味気ない』ただ長きに渡る祖国、超の国の戦争に嫌気も差し『この戦争が終わったら竜帝に願い出て正式に塞の女王に文官として仕えよう』と、そんな事を考えている。と陣中、一箇所空間が丸く光り、その光が数珠の様に連なり陣を駆け抜け自分の方に向かって来る光を目にする。 味方は皆その光に視界をやられ手出しができずにいる。 タツマは横の側近に話しかける。 「アレは! なんだ! 何が起きている!?」 側近は首を傾げる。 そしてその光はタツマの足元まで来ると留まる。 それが人だとタツマは認識すると、その光人は声を発する。 「その姿、敵将と見受ける!」 「いかにも」 「なら降りて来て! 私と勝負しなさい!」 タツマはその光る者が女性と分かると「面白い」と思い、 竜の背から赤いマントを風になびかせながら地面に降り立つ。 タツマを前にすると、すぐにその女性兵は叫ぶ。 「私の名は霧香! この国の王族であります! 卑怯な事はやめ、私と勝負しなさい!」 「卑怯とな」 「見たところ竜人と思える、その様な高貴な者が身に包むのは、その優美な鱗だけで充分なはず!」 「ほう」 霧香は双剣を構える。 タツマは槍を構える。 そして霧香が斬りつけた刃をあえて首で受けると、刃と首元の接触面から青い光がほとばしり、刃がそこで止まる。 「卑怯とは、この事かな?」 「いかにも」 「光の勇者よ、これは兵法である、そして其方の目眩しも残念ながら効かぬ、光は竜人にとって癒しでしかない」 「……私が怖いの?」 その言葉にタツマは少し心が揺らぐも冷静になる。 「挑発には乗らん」 霧香は続ける。 「五秒! いえ、二秒!、そのビビりアーマーを解いてくれば、貴方なんか簡単に殺せるわ」 「二秒とな!言ったな!」 「ええ」 「二秒、良いだろう、しかし、それが出来なかった時、当然こちらに見返りはあるのだろうな!」 「全面降伏します、私はこの国の防衛の責任者です」 責任者、その言葉にタツマは、霧香の身に着けている贅沢に装飾を施された金色のマントと白革の鎧、そして品格の漂う容姿に偽りはない事と感じる。 「なるほど、こちらも話はその方が早い、乗った!」 タツマは挑発に乗る、それは戦場に嫌気が差していた事により終わりを急ぎ判断を誤った時だった。 霧香は笑いを堪える。 すぐにタツマのやや紫を帯びた肌の色は、本来の白に戻る。 「勝負!」 「おお!」 霧香はタツマに飛び込む、タツマは難なくその刃を槍先で弾く。 霧香は弾かれ双剣をその反動を利用し腰の鞘に戻し、流れる動作で両手を胸元に当てオームの輪印を組み頭上に掲げた その輪から光が溢れ出す。 タツマの目の前が白くなり。 「おっ!、眩しい、な! わけが……ありえぬ……これはまさしく勇者(竜狩り)の技に似ている……ぬかったわ! せめて!」 タツマは身体中の尖る鱗を一斉に放つ。 タツマと霧香の間から発生した白い光が周囲に広がる。 「竜人敗れたり!」 霧香は呟く。  それは前の大戦でも使う事のなかった、おそらく生涯において使える回数はそう多くは無く、一度使うと数年は使えないと感じていた、転生能力の神技である切り札を、霧香は初めて戦場で使ったのだった。そして上空の神竜さえもタツマを飲み込み葬り去った光を浴びると、その身体のウネりを一瞬止めるのだった。 幕  霧香は光に紛れ込みその場から脱し、市街地から遠く離れた暗い森の道を走り、思い出の場所へと向かう、ただその身体にはタツマが最後に放った無数の鱗が刺さり、各所から血が滲み始めていた。 [続] 解説と解釈 レンカフラッシュ  それは全身から光が咲く様に発する神技、その用途は広い。 コスモスフラッシュ  もう存在しない古き惑星で悪き竜帝と戦った幼い勇者が数年に及ぶ祈りの末に降臨させた花神から授かったと言われる小宇宙爆発的決着神技。 その光を浴びた者は、遺伝子の配列が操作され組み替えられ、その場から水の様に蒸発してしまう。 花神は抽(ぬた)と言われる通常の神を超える宇宙神であり、その姿は花に擬態し両手は鎌状になっている狩神でもある。その花神が授けた狩り技は、その受託者が亡くなった後は、次の受託者を探しに、綿毛の様に多次元の空間を彷徨う。 コスモスフラッシュの卵種は、同じ宿命と勇気を持つ尊い星の女性に降り立ったと伝わる。 コスモス(秋桜)  花言葉は、乙女、調和、宇宙、謙虚、終わった恋 カマキリ  それは虫でありながら宙の鳥も襲う、その事から勇気の象徴と崇める惑星もある。 エイリアンテクノロジー  それは、神の領域を超えた科学力。そして人類はやがて、それに触れる事になり、命、時間、次元、そして神への概念も変わるのである。

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外伝48 半島の乱・後期 シッブヤシティ

AI校正実地26.3.1 外伝48 半島の乱・後期 シッブヤシティ  塞の侵略を凌いだ帝都の王子は、生き残った都民・兵士と共に、帝都の地下に深く広がるシェルター街に移り、そこで親衛部隊を壊滅的に打ち負かした、塞への対抗策を練るのだった。 * * *  帝都の双天守閣の土台であり、元は巨大な渓谷をさらに掘り進め建造された両天守の間に深く地下へ伸びた暗部であるシェルター都市。 都市の名称はシッブヤシティ。 区画区分は地上の帝都とは分けられている。それは即ち裏の帝都でもある。  その都市の一角に用意された皇帝の椅子に鎮座する王子の前でシッブヤシティの最高責任者であり武器エンジニアのゾザックは、黒いドレススーツに身を包み、まずは臣従儀礼を済ませ、王子がにこりとうなずくと話し始める。 「現れた者達は冥派の亡者達に違いないでしょう、かつて旧帝は招き入れた異星の者達を組織し帝都の守りとして重用し、その組織が冥派の起源と言われています、そして古い盟約書には、形を無くしてもその役目は終わらずに果たすと記されています、しかし残念ながら冥派は兵士ではありません、この帝都には何か超常的な盟により地縛されている御霊に過ぎず、外に出ての軍事的目的で活用する事は出来ないと思われます」 各地から帝国に援軍要請の使者が訪れるもそれに応えられない事を歯がゆく思うも、最初からその気のない王子は黙って頷く。 「しかし再び帝都が攻撃された場合、彼らは、手を貸してくれる事でありましょう、そしてこれは今の最大の強みです、対策案を立てる時間が稼げます」 王子は頷く。 ゾザックは話を続ける。 「その戦場に一つも残されていない敵の武器は、我々の科学力を大きく凌駕しているのは確かでしょう、しかしその銃も剣も使用する時には実体がある物ならば、弱点はある様に思われます」 「策はあるのか?」 「はい、数年前の宇宙からもたらされた流行り病の時期に皇帝は私に指示をされました、あらゆる未知への脅威を、先に予測し対策をと」 「では」 「はい、塞の武器に対抗する武器システムは図面ではありますが、ほぼ完成しております」 「おお! 詳しく聞かせてくれ」 「ではお耳を」 ゾザックは王子の耳元で囁く。 「良し! 製造を許可する!」 「あと一つお願いがあります」 「なんでも言ってくれ」 「王子が目撃したその背から兵が降りて来たという長竜、その竜への対策も必要かと、故に地下の宝物殿に封印された聖双剣ロストウィングと、サタンウィングの分解改造及び速やかな量産を推奨します」 「良し! 許可する!」  ゾザックは平伏するも、その心は未知のテクノロジーに対する好奇心でやや不謹慎にも自分の世界に酔い、高揚し、その口元と目元は微かに歪むのであった。 [続] 解説と解釈 ゾ・ザック  普段はそのままゾザックと呼ばれる、先帝の残した重臣のひとりであり、先帝に特別扱いをされていた事から道化とも裏で言われていた文武両道の武器エンジニア。 その耳先は尖り、その名からも祖先は人間ではないのではと噂されている。 携えている武器は彼の自作である理力可変式ペンシルセイバー。 その上着の胸ポケットに差された金無垢仕上げのピンが特徴的なペンシルの、ペン先を目にして生き延びた者は、天才をひとり除いていないと言われている。そしてゾザックはその天才と本気でやり合って唯一生き残っている者でもある。 クロウウィング(電磁石パルス型・飛昇双剣)  半島の役(えき)を予測し、帝都に伝わる聖剣を元にその設計図は完成させていたゾザックの監修の元に半島の役の時代、本格的に量産製造された第三世代の武器である。 その双剣を手にすれば、その安定した空力を発生させるジャイロシステムにより空高く上昇し、空を飛ぶ燕の様に戦う事が可能となる。 また柄に内蔵されたパルスシステムは、兵士達の体内に流れる微量な電力を増幅させ、その左右の手に持つ、プラス極属性とマイナス極属性の双剣の間から人のソウルを取り入れ複雑化させた高次元対難パルス雷磁石波が絶えず自動で発生する。 そのパルスは、当然に耐磁加工された武器さえも、その性能減退を目的とし半島の役では帝国兵全員に配られ、その使用を固定した武器でもあるが、その成果は果たして……。 レブカブ  それは帝国軍用の空を飛ぶバイクであるが、半島の役では飛昇双剣にその出番を代わられ使用はされなかった。 理力可変式ペンシルセイバー  その万年筆の先から発する香りと閃光の刃は、それぞれのソウルに応じ属性が変化する。 またその香りはソウルが共鳴する味方に良い香りと感じ、様々な恩恵を与える、そして敵には、毒ガスの如く、刃と化す、それは世界戦記史上初の香りを武器とした最悪最強のペルソナ的な武器でもある。 原理核は帝都に伝わる謎の小さい香木木片を部品とし得ているが、詳しいその原理はゾサックでも解明に至っていないのである。  帝都の貴公子ゾザックが唯一無二の武器としてそのペンを身に付け愛用していたが、半島の役の時期にそのペンを分解し、木片を取り出し半分に切り、もう一本制作し、その使用条件に指紋キー(鍵)と、さらに自分の使用するペンには思念起動タイプの自爆装置も取り付け、新たに制作したペンの方には手紙添え、ライバルである清次に送っている。その真意は恐らく万が一に自分がかつてない未曾有の敵に敗れた際の保険であろうと思われる。 裏次元世界  それはパラレルワールドである、故に全ての歴史は表の世界とは異なるものである。

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外伝47 半島の乱・後期 静かな半面

AI校正実地26.3.1 外伝47 半島の乱・後期 静かな半面    かつては淡国の神社に偶像とし祀られた白拍子の人形は焼かれ、その身は朽ちて顔の部分の半面だけとなり、藪の中に深く落ちた鳥の古巣の中で地から這い出た木の根に侵食されつつ長い経年劣化の時期を過ごしていた。 その顔は月に照らされ青白く輝き、葉先に溜まった夜露がその頬に落ちると、ひさかたぶりに、ひとまばたきをするのだった。 * * * 塞国・女王の間  正午、玉座に鎮座した女王の前に、次々と帝国各地へ派遣した部隊の勝利報告が上がる中、巨人と精鋭を率い帝都の鎮圧を任され、そして巨人の兜ごと沖に吹き飛ばされ、救出されたトロルのロコは女王の前で額を床に着き、唯一の鎮圧失敗の敗戦報告をする。 「わかりました、もう下がりなさい」 「はっ……あの……私の処罰はどうなるのでしょうか?」 「とりあえず怪我を治しなさい、追って考えます」 「どうぞご慈悲を」 そうロコは呟きヨロヨロと退室する。 女王は呟く。 「黄国(九州)紫国(四国)赤国(中国)は鎮圧成功、でも、やはり帝都(東京)は一筋縄では、と言うわけね」 横に立つノウスは応えずに沈黙する。 少しの間を置き、女王は指示を飛ばす。 「でも相手はもう虫の息ね、戻ったばかりで悪いけどゴズとタツマに再び攻め込ませようかしら?」 腕を前に組みやや下に視線を傾けているノウスは口を開く。 「その案には反対します」 「その理由は?」 「確かに難敵と思われた皇帝とその息子は死にました、が、その不思議な力を持つ王子が気になります、そしてロコの釈然としない敗戦理由も気になります、おそらく帝都には、何か得体の知れない、いにしえの戦士達がまだ何かしらの盟により帝都を守っていると思われます、これらを良く調べずに、駒を送り込めば込むほどに、その者達に殺されてしまう事でしょう」 「……」 「とは言え、南帝の兵をほぼ壊滅させた事を考えれば、目標は達しておりませんが、しばらくの足留めには成功したと考えてよろしいでしょう、このまま南帝はしばらく放置し、予定通り孤立した傀儡神の潜む淡国(淡路)を攻め続けましょう」 女王は頷く。 「後、二点報告があります」 「なにかしら?」 「一つはかねてからの案件である式神を回収しました、とは言えカケラのみです、伝記に記された紫木月の杖は見つかりませんでした」 「見せて」 ノウスは懐から取り出した布袋を解き、中から式神の半分だけになった顔の部分である面を取り出し、女王に手渡す。 女性は手に取って面と目を合わせる。 当然ながらその目の先は抜けており床が見えている。 女王は面にシンパシーを飛ばしコンタクトを試みるも返信は一切無く。 「この子はもうへとへとね」とやや女王は残念そうな表情を浮かべる。 「次に、海底に沈められた、円空閣下の遺体も回収しました、そしてこちらは吉報になります」 「吉報?」 「ゴズ様が円空閣下には竜の血が混ざっている感じを受けるので、超国へ送ってみては、との提案をしてくれました」 「まだ生きてるの?」 「深海の冷水に冷やされていたので腐敗は少ないですが死んでると思われます、しかし竜族の魂はしばらく身に留まってるとの事、とは言え復活させるのに何かしら見返りはまた求められると思いますので、女王様のお考えのままに」 女王は少し考えた。 「いいわ、生き返らせて、交渉事が上手い貴方に任せます、ふっかけてこられたら報告して」 「御意」  それから女王は陰陽師が残した式神の面を再び見て、その目である穴を見ていると、「嗚呼」と微かなうめき声とその造り物の目が瞬きした様に感じた時、背に微かに何か細くいやらしく微笑む女の唇を感じる…… 振り向くとその先には参謀のノウス…… 「ノウス」 「はい、なんでしょう女王様?」 「合言葉を」 「合言葉?」 ノウスの反応を感じ取り、すぐに女王はホーリーブックを開き、分厚くページを引き破り、部屋全体に天井に向け撒き散らす。 そしてその宙に舞うページは発する光で連結し網となり、玉座の間を覆う。 女王が胸に当てた拳を握り締めると、その網幅は女王を中心に狭まり、ノウスの後でバッチリ!と何かに引っ掛かり青い火花が散る。 ノウスは一瞬後ろを向くとふらつき、そのまま倒れ込む。 そして『ほっほほほほ』 と部屋に女の笑い声が響き渡り、その気配は消える。 女王はノウスが傀儡神に操られ発言していた事を悟り、「面に憑いて来たんだわ、やるわね、いつぞやのお返しかしら、人形のくせに」と呟くと、取り憑かれたノウスが提案したと思われる方針を変更しようと思うも、自分の考えも踏まえ、裏の裏をかき、とりあえず帝都はそのまま、様子見に留めるのだった。 [続] 解説と解釈 式神・静 それはかつて淡国を攻略した帝国の参謀長であり、裏では、サイのマザークリスタルの使徒である安倍乃太郎が島国に根を張る異星物である傀儡神に対を成すが為、裏で監査役の使命を与え、表では、島の信仰神と仕立て上げるために過去の偉人の名を与え残した霊力を帯びた生人形。 しかし後に、この人形の信仰は島の長である志摩長の流言により忌まわしき過去の戦争の記憶に移し変えられてしまい、島民らの手により式神は燃やされてしまうが、焼き残った部品である面に宿る式神の魂は、近くにいた野鳥に憑依し、持ち去る形でその場から脱出し、反撃の時まで静かに時を過ごす。 そしてサイのマザークリスタルがその式神が発する微力なシグナルを察知し、塞の女王に回収させ、その手へと渡るも、その霊力は時の経過と長い期間月光の浄化光を浴び続けた事から流石に酷く衰え、最終的に傀儡神の呪いの媒体に利用されてしまった事から、女王もその力の衰えを認め、与えられた使命は女王の寝室を見守る事に代わり、役目を終えたのである。 万里列竜(まんりのれつりゅう)メビガロ  それは超の国に古くから住む、巨人が乗れるほど横に平たい背を持つ、長く巨大な神竜。その頭と尻尾は未確認である。 超の国と軍事協定を結んだ塞の女王は、この竜を兵隊輸送の手段とし、帝国各地に一斉襲撃を仕掛けたのである。 女の勘  それは男性の嘘を見抜くと言われているが、本来は生存をかけた、男には知りえない女同士の過酷な生存競争の中で培われた遺伝的遺物でもある。 ヒドラ(巨大植物兵器)の種   育ちきった巨人は指示すると一つの種を吐き出す。巨人が何かしらの理由で死ぬとその種は輝き出し、その種を再度育てれば、種を吐き出した時点での記憶を維持し巨人は再生が出来る。ちなみに死ぬ前にその種を育てると巨人を増やす事が出来る。 しかし女王は再び巨人を育てる事は無く、書き留めた手紙と一緒に入れた箱に上から封印紙を貼り、その種を宝殿の奥へと納めたのだった。 その真意はその手紙に書かれていると言う。 円空閣下  何かしらの理由で竜国・超の国の次元壁から抜け落ちてしまったお猿さん。(龍白猿) そして、その落ちた次元の猿の群れには馴染めず、放浪の果て無人島、後の淡国に辿り着く。 しかしそこでも後から島に入って来た人間と馴染めず、半島に渡り、半島の覇者・塞の女王にその才を見出され、淡王に任命され淡国に戻り一悶着の末に麻美に射殺され、水葬にされた。(戦死) 後に円空の遺体は塞の女王の手により深海から引き上げられ、故郷の超の国へ送られ超のテクノロジーにより蘇生される。 そして塞の女王は円空を再び兵士にする事はやめ、資源豊富な小島を一つ与え、そこで生涯何不自由なく暮らさせたと言う。 心の闇  それも心の一部に変わりなく、闇とてなくなってしまうとそこを埋めるものが必要である。故に、心に穴が空いた者は何かに付け入られてしまう状態に、あると言えよう。

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03 英雄の部屋ノ巻

03 狼少年バースト 英雄の部屋ノ巻 少し肌寒く、小雨降る中……。 「隊長、どう思いますか?」 隊長と呼ばれた兵士は煙草を足元で揉み消し、独り言の様に部下に言葉を返す。 「切り口から見て相手は二名、戦術はひとりが囮(おとり)になりの不意撃的な挟み撃ち、そのうちのひとりは、おそらく帝都の清次だろう……だとしても解せぬ……色々と調べなければいけない事もありそうだ、とりあえず奴の住処に向かうぞ」 * * *  戦火の最中、塞の百人隊長であり、ダークエルフのカムは、先行して淡国に乗り込んだ斥候四人の変わりはてた遺体を茂みの中で発見し、要注意リストにその名を見かけた清次を思い出す、そして手がらを取りそびれた前線に見切りを着け、選抜した数人の部下達を引き連れ、その清次を追う事を決断するのだった。 * * *  カムは清次のアパートに着き見上げたその清次の住まいである屋根裏部屋の灯りが消えている事に、戦中最中当たり前の事ながらも少し不気味さを感じる。 「お前達は出口を押さえろ、俺が乗り込む」  副官のマヤは呟く。 「大丈夫でしょうか、敵は英雄と言われている者です」 その言葉にカムはフッとした笑みを浮かべ。 「どの道は誰かが相手にしなければいけない相手だ、そしてこれは遅れをとった我々には絶好のチャンスだ」 「私は着いて行ってよろしいでしょうか?」 と側近の獣人ながらも美形のマヤは願い出る。 「頼む」 カムとマヤは拳銃を手に外階段を上がって行く。 二人は清次の部屋のドアの前に立つ。 カムがドアノブに手をかけるとカギは当然にかかっている。 カムは少し考え、生き物の様にウネるサイのピックを鍵穴に差し込む、旧式な造りのカギ穴は簡単に秒で解除される。 そしてドアが少し開くと。 「グッウ!」  「ハッウ!」 と同時にカムとマヤはうめき声を発する。 その理由は、まず最初に酒臭混じりの酷い生臭ささが鼻を突いたからだった。 そして人の気配は感じ無い。 電気も着かない。 「こ、これは、ゴミ屋敷だな」 「ですね、生活の乱れを感じます」 「……進むぞ、気配は感じないが油断はするな、おそらくプロテクターは意味をなさない」 「はい」  瘴気(毒気)が吹き抜ける感じがする、その体感時間も長く感じえる廊下を、二人は進み辿り着いた部屋の奥で見た光景は、床にゴミの小袋や酒瓶が散乱し、さらにその中に引き裂かれた女性の下着、ポルノ雑誌、などを垣間見える、ただ痛々しく荒れた切った汚染部屋だった、その荒れ具合からも長く部屋は放置されている様にカムは思えた。 カムはベットの脇の小さい丸机の上に茎だけが残る赤いビードロ花瓶の脇に薬の紙袋を見つける。 中に残された薬は俗に言われる精神薬で、袋に記された処方日は二年近く前の日付だった。 マヤは呟く。 「英雄殿はもういないのでは?」 カムは苦笑いを浮かべ、部屋に残された異国の煙草に火を着け、煙を吐きながら呟く。 「どちらにせよ、英雄並みの手だれの者が敵側にいる事には変わりは無い、これからもきっと多くの者が殺されるてしまうのであろうな……」  その言葉にマヤは、とりあえず自分達がその殺される側にならなかった事に安心をするも、部屋の様から、この部屋で破滅的な破局を迎え、英雄の横にいたと思われる女性の安否を少し気にするのだった。 [続] 解説と解釈   サイの拳銃・型番SSK08  その拳銃は鉛弾ではなくエネルギー弾である。 サイのピック  それはサイのマザークリスタルと連動しており、様々なカギの解除をオートでしてくれる便利な道具。 獣人  その混雑種には、良いところ取りの、優れた容姿で生まれて来る者も稀にいる。 ブラックセプターブレスレット  それは塞の役(やく)の末期に帝国兵に先行して配られた軍備装備である。そのブレスレットを腕にはめて振るう武器は、刃に特殊な電解能力を帯、帝国の敵である塞の兵士らの身を守る、サイプロテクトシステムの効力を打ち消すのである。ただ残念ながら高速で放たれる銃弾にはその最新技術は叶わず、そしてその結果が、戦場の姿を一時に銃無き古(いにしえ)の状態に戻したのである。

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02 避難場所へノ巻

02 狼少年バースト 避難場所へノ巻    僕が店主に礼を言おうとすると店主はフッと駆け、視界から消え、僕がひと瞬きする間に滑り込むように建物間の狭い路地に入り、「早く!、こっち」と僕に手招きをする。 狭い路地を進むと、突き当たった場所にゴミバケツがあり、その下にマンホールの蓋が見えていた。 店主はゴミバケツを退かし、そのバケツの蓋をマンホールにかぶし、慣れた手つきでそれは金庫のダイヤルの様に少し左右に回すとマンホールは浮かび上がり横にズレる。 店主は中へと降りて行く、僕も続けて中へ降りる。  降りた地下水路はさっきの騒ぎとは、世界が入れ替わった様に静かだった。 そして絶妙な距離で天井に四角いオレンジ色の照明もあり何か暖かいノスタルジーな感じを受け、少し僕は安心し、店主に礼を言う。 「ありがとうございました、僕は、仙身 一馬と言います」 「いえいえ、私は、赤坂 苗でございます」と少しユーモアに返してくれる。 そこで僕のスマホが鳴る。 スマホに届いたメールは全島民に向けての避難指示だった。 赤坂さんは言う。 「一馬君、避難場所はこの水路から行けるわよ、でも途中までしか私はいけないけどね」 「何故ですか?」 「私は帝都の人間なの、この事態を報告に行かないといけないの」 僕は察して、それ以上赤坂さんの素性を深く聞く事はやめる。  赤坂さんのスマホに表示された地図を辿り歩いて行くと、その存在意義が荷物を運ぶ為だけの理由に思える、屋根の無い骨組みだけの無骨なエレベーターの前に到着する。 「一馬君、ここから避難所に直通で行けるわ、じゃあね」 「大変お世話になりました、赤坂さんがいなければ今頃僕は死んでました」 「それはお互いさまよ、あと貴方は中々に強いわ。自信を持って」 僕は嬉しくも『まあ半分、いや、ほとんど社交辞令かな』と思い頭を掻くとそこで僕はある事を思い出す。 「おでんのお代がまだでしたね」 それを聞いて赤坂さんはプッと吹き出す。 「もう、それどころじゃないでしょ、お店は見た通りさっき潰れたわ」 「……」 「早く行きなさい、私は援軍を連れて戻って来るから」 そう言われ僕は急に寂しく不安になり、後先考えずに赤坂さんに変なお願いをしてしまった。 「一緒に行っても良いですか?」 赤坂さんは少し微笑み。 「君は一緒にいなきゃいけない人がいるんじゃないかしら?」 そこで僕は嫁を思い出す。 「家に帰らないと」 「それはやめた方が良いわ、このまま地下の避難所に向かって、保証は出来ないけど、今頃皆んなも地下の避難所へ向かってるはずだわ、普段からそう訓練を受けてるでしょ」 僕は頷き、エレベーターに乗る。  その僕を乗せたエレベーターが下がると同時に赤沢さんは背を向け駆ける、その速さは明らかに超人だった、僕はその赤坂さんが味方である事に希望を持ち絶望せずひとり暗い地下へと降りていけたのだった。 [続] 解説と解釈 ※ソルジャー  「ソルジャー」その呼び名は兵士の事であるが、特に優秀な兵士や特別な軍事訓練を受けた兵士をそう呼ぶ、世界もある。

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外伝24-2 第一次大戦記・吸血鬼を名乗る少女

AI校正実地(26.2.11) 外伝24-2 第一次大戦記・吸血を名乗る少女 登場人物  平乃清次(元軍人)    世の中は平和になり、退屈になった軍に嫌気がさし退役するも、更に暇になり、挙句の果てに無職の肩書に少しの見栄から耐えられず初めた仕事の業務実態は、なんでも屋であるが、その小さい見栄からバンパイアハンターを名乗っていたら本当に吸血鬼駆除の依頼が来てしまった。その時の話である。 私は軍人時代から双剣の使い手であるが、吸血鬼は切った事が無い、というのか『本当にいたのか』というのが最初に思った事だった。 そして依頼者に吸血鬼が居座っていると知らされた廃墟洋館の前に立ち、腰に帯びた双剣の鞘の留め具のボタンを外す。 私の胸は久しぶりに高鳴る。 ちなみに潜りであるから古来から吸血鬼に効くと言う、聖水や十字架やニンニク、銀の杭などの類は持っていないので持ってきていない。 要は何者であれ、小葉の微塵切りにすれば良いと思って来たのである。 それだけの自信も私にはあった。 預かった鍵で中に入る。 ギギ…… 中はカビ臭く何年も人は住んでいない様な感じを受ける。 順に部屋を見て回る……異常無し。 そしてそれらしい屋根裏……異常無し。 西洋棺桶なども無し。 私はやれやれと思い、その屋根裏でポケットから煙草を取り出し置いてあるベッドに腰掛け、一服しながら依頼主である、十代後半と思われるブロンドの髪の女性の事を思い出す。 そしてその女性に揶揄われたか、もしくは何処かの精神病院を抜け出して来た患者かと考え、煙草が燃え尽きると帰る事にしたが、まだ時刻は午後の四時と早かったことからビビって昼に来たものと思われてもシャクに感じ、その屋根裏部屋で夜迄張り込む事にすると、その時間の経過と共にその屋根裏の空間に微かな生活感を感じ良く調べて見ると、徐々に私の心は不安にかられていく、それは見て回った各部屋の状態から見るとその屋根裏のベットのシーツは不自然に綺麗であり、隅に置いてある小さな机の上も、その椅子も、本棚の本も埃をかぶって無く、明らかに何者かが手入れをしている事を感じだからだった。 私は待つ……  それから日付が変わる頃に、ギイギイと誰かが階段を上がって来る音がする。 私は双剣を抜き構える。 そして戸が開く。 目の前に現れたのは、燭台を持った依頼主である若い女性だった。 「吸血鬼を待っていたんだが……」 「私が吸血鬼です」 「君が?」 「はい」 「まさか」 「本当なんです」 困惑する私の前でその女性は燭台の火を吹き消す。 部屋は月の明かりだけが頼りの薄暗い空間に染まる。 そして彼女は私に向けて飛びかかって来る。 私は双剣の柄に交差させて手をかけ、切り捨てようと思うも瞬時に、『そもそもが吸血鬼なんかいるわけ無い』と思い『コレは訳あり』と判断し彼女を受け止める、そしてもつれてベッドに倒れ込むと「いった!」首筋を彼女に噛まれる。 「血でも吸おうと言うのかね?」 「はい」 私は彼女に身を委ねた。 しばらくして彼女がすすり泣く。 「どうしたのかね?」 「何故切ってくれなかったのですか」 「女は切らない主義なんもんでね」 「……」 「悪いが自殺なんかに手は貸せない、金は返す」 「……」 その場で話を聞くと彼女は、私が予測した通り、精神病棟を抜けて、何かしらの手で手に入れた金と屋敷の鍵を手に、酒場で私の噂を聞き、私のアパートを訪れたのだった。 そして案の定彼女が体調を崩した原因である、過去の友人の裏切りによる、悲惨な入り口にも立てなかった無念な結末の失恋話を聞き、そのまま私は彼女の誘惑に負けたのだった…… ……双剣を自在に操る私はそっちの方もイケイケのテクニシャンでもあった。 部屋に朝日が差し込む。 服を着る彼女を背に私は言う。 「これ以上は力になれない、帰りたまえ」 と私は彼女から受け取った札を彼女に渡そうとすると彼女は振り向き手を横に振る。 「スッキリしたので私の心の中の吸血鬼は死んだようです、それでモーニングでも食べてくださいな、おじさん」 「おじさんは酷いな」 彼女は舌を出す。 私はふと手に付着した彼女の聖血の跡を見て舐めとる…… その味は……悪くは無かった…… そして彼女に噛まれた首筋に疼きを感じたのだった…… [終] あとがき 外伝24-3 切り裂きジャックの章へと……

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芝庭

AI校正実地  芝庭 これは小学生の頃からの付き合いのある友達との話である。 彼とは古い付き合いであるが、学校でクラスが同じになった事は無く、お互いの祖父が友人であったことから付き合いが長く続いたのである。 ただ彼は中学生の頃に病気で手術をしそれが心に悪影響を及ぼし不登校になり、そして皆が高校生に上がる中ひとり働きに出るも半年で社会に対応出来ずに引きこもり、やがては、気が病み、錯乱し山奥の精神病院に入院してしまった。 そしてそれから数年経ち、病気は落ち着き、表面的には健常者と同じくらいに生活できる様になるも、薬は一生飲み続けなけれはいけない身体となってしまう。 そんな彼の家に私はこれと言った理由は無くも、時たま訪ね、変わらずに庭で紅茶をご馳走になっていた。 十代の頃は彼の飼っていた犬が青々とした芝庭を走り回っていたが、もう亡くなっていた。 それから彼のおふくろさんも亡くなり、その頃には、そんな雑草が目立つようになってしまった庭に彼と私だけとなっていた。 そんなある日、彼は言う、「俺もうすぐ施設に入るから、親父も会社をたたみしだい老人ホームに入るんだ」 私は紅茶をひとすすりし、「そうなんだ」 と来る時が来たとそうとしか思えず冷淡にこたえてしまう。 「だから、家の物で何か欲しい物があったら持っていてくれよ」 そう言われて私は彼のコレクションが頭に浮かぶ、特に棚に飾られた高級な腕時計の数々、それは、高い物で数百万、安い物でも二十万はするものである。 とは言え、いくら付き合いが長いとは言えそんな図々しい事は言えない。 「特に無いよ、今まで ありがとう、元気で」 そう私が言うと彼は家の中に入り、一つの腕時計を持って来てそれを私に差し出す。 「前にコレいいなと言ってたじゃないか」 「言ってたけど、そんな高い物は友達とは言え、もらえないよ」 彼は黙る。 「ただと言わないよ」 「何かな?」 「その……唇をくれないか」 「唇?」 「キスさ、俺は君とキスがしたいんだ」 私は首を横に振る。 と彼は凄く悲しい顔をする。 私は言い訳をする。 「キスは好きな相手と成立するものだよ、仮にしたとしてもそれはキスでは無く、ただ口を合わせたにすぎないよ」 「なら合わせるだけでもなら良いのかい」 そう言われて私は少し考え、ここまで言うのなら、しょうがないと思い首を縦に振る。 「良いよ、ただし時計はもらえないよ、それは高過ぎる」 「そんな、業者に査定してもらったら、定価の三割だったよ」 『それでも50万は超えていた』 私は何か、その何か彼を睨んでしまった。 私に睨まれた彼は驚いた顔し、弁解する。 「勘違いしないでくれ、君の唇に値段を付けた訳じゃないんだ、気持ちなんだ」 「なら、このコペンハーゲンのティーカップをくれないかな、これは私用にいつも用意していてくれていた物だろう」 話は決まる。 彼は緊張しているのか固まっていた。 私から彼の頭を胸元に抱え、彼の前髪をかきあげ口を合わせようとすると、彼は唇の間に手を挟み、私を見つめる、そして言う。 「悪かった、忘れてくれ」 そう言うと彼は庭に出て泣きじゃくり、呟く。 「俺は本当に馬鹿者だ、神や皆が全てを用意してくれているのに、何も手にする事が出来ないだ!」 私はそんな彼の背に佇む、もう冬は終わる頃の話しである。 [終] あとがき  時を沢山集めた彼は一つ面白い事を教えてくれた、右手にデジタル時計をして805に鏡を見ると、鏡の中の世界だけは、時が三分戻るんだ、と……。 ※お題・バレンタインの時に制作。 ※フィクッション

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流木釈骨(注・ホラー〕

流木釈骨  友人はある日唐突に一本の白木を持ち、僕に言った。 「コレはお釈迦さまの骨なんだ」 僕はそれは色が抜けただの流木にしか思えなかった。 でも持ち主である彼がそれをお釈迦さまの骨と言うのなら、それは一つの権利として存在するのだろう。そう思い。 「それは凄いね」 「だろ」 そして僕はこれから先の事も考え確認しなければいけないと思った。 「持たせてくれるかな?」 「良いよ」 手に取るとそれは思った通りの、明らかにただの木だった。 僕はふと悟り、後悔する。 『反論しないその木は、彼の世界では釈迦の化身以外に何物でもないんだ、そして現代において釈迦は感じるものであり、彼の方が正しい』 でも僕はそれ以後、彼の家を尋ねる事はなくなった。その理由は、僕の僕なりの信仰心を一瞬でも彼に試され、そして薄く傷つけられた気がし、もはや今後は、彼を狂人扱いしなければ、僕のアイデンティティが保てなくなる気がしたらからだ。 [終] お題・流木

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01 狼少年バースト 再びおでんノ巻

01 狼少年バースト 再びおでんノ巻 一  その日も仕事の帰りなんとなくそのまま家に帰るのもつまらない気がし、常連である駅前のおでん屋台に僕は向かう。 僕はそのおでん屋の味が母の味に似ていて癒され、それに酔い潰れても何故かこの店だと嫁が迎えに来てくれる。 そんなわけでそのおでん屋ののれんをくぐると四角いおでん鍋の向こで赤髪の女性店主が椅子に腰掛け腕を前に組みウツラウツラとしていた。 僕は寝てる所を悪いとは思うも起こさないと話しが始まらないから声をかける。 「すみません」 「ZZZ……」 「すみまっせーん!!」 「はにゃ!、あ、お客様?」 「そうです」 「ああ君か、いつもの盛り合わせで良いのかな?」 「はい、後はビールを一本下さい、カラシは多めで」 此処の店主は、栓を抜いたついでに最初だけビールをトクトクと注いでくれる。 僕はいつも遂、笑みを溢してしまう。 そのわけは単純で、店主は泡の作り方がとても上手かったからだ、何か泡のきめが細い、そしてその味わいはクリーミーである。 そしてお膳にとぎたてのカラシがたっぷりな小皿と、肴である昆布、蒟蒻、大根、ハンペン、卵、それに店の売りである丸ごと一本のフランクソーセージなどのおでんが盛られた皿が僕の前にお目見えする、僕は始める。 ………… …… … それからどのくらい経ったのだろうか? 酔い潰れていたのか? 辺りを見渡すと様子がおかしかった。『此処は廃墟?』いや『ガス爆発か?』と思った、でもそれは全て違った。 「ほっによよよよよー!」 と店主のただならぬ叫び声が聞こえ、その声の方を振り向くと、店主が、その装備が兵隊の様な、そうその様な二本足で立つ獣に取り囲まれ、包丁を必死に振り回して応戦していたからだった…… 二  僕は深く考える事無く、職務に従い腰のサーベルを抜き店主に加勢をする。 店主はすぐに何かを投げて渡す。 それはメタルなブレスレットだった。 「それをして今すぐ!」 僕は意味も分からずに従う。 敵兵は四体、二対四、でもそんな事を気にしている暇はすぐに無くなった、そうすぐに身体の何処かを切られていたのか貴重な味方である店主はその場にうずくまり一言「すまん死ぬ」と言うとうつ伏せに切腹の様に倒れ込み動かなくなり、一瞬桜が散る映像が僕の脳裏に走る。 僕はぼっちになり、ふと『こんな時に、また現れてくれれば』と暗殺業から手を引き、堅気の鯨漁師に成り、そして荒海に消えた父さんを思い出す。 今度は倒れた店主に代わり僕が正体不明の敵兵に取り囲まれる。相手は当然に話しが通じそうに無い雰囲気であり、此処だけの問題では無いと言う証である有事警報が周囲に鳴り響く。 僕がサーベルを構えると、それが合図と成り、僕は四方向から代わり代わり切り着けられる。 僕は、瞬間的に判断し、反撃はせずに避ける事に徹し、助けが来るチャンスを待つ。 しかし状況はまたもやすぐに変わる、それは死んだと思っていた店主がイキナリ起き上がり、敵兵二人の背を同時に最初から持っていた包丁と何処に隠しも持っていたバタフライナイフで突き刺す。 背を刺された敵兵二人はその場で身体を痙攣させ白目を剥く。 その事態に僕と対面していた残りふたりの敵兵は店主の方を一瞬振り向く、その隙を着いて僕はひとりの敵兵の脇腹に突きを放つ、その剣は刺さるもその瞬間に僕は危機を感じすぐに伏せる僕の髪先を無傷な方の兵士の剣先が掠める。 見上げると、もう決着は着いていた。 僕を切りつけた敵兵の背中を店主が包丁を突き刺さしていた。 そしてその敵兵も白目をむき、泡を吹きながらうつ伏せに倒れる。  店主が背を刺した三名の敵兵はもう死んでいた。 僕が刺した兵士だけが脇腹に僕の刺したサーベルの柄を掴み地にもがいていた、が、その首元に素早く店主がナイフを突き刺し、その息の根を止める。  ……こうして店主の奇策でとりあえずは僕は危機を脱する。 そして僕は店主の変わり映えしたその鋭く光る目を見て、それが麻美や島長……嫁に近い感じを受け、悟る。 『この店主は只者では無い、間違い無くソルジャー(特殊兵)だ……』 [続] 解説と解釈 新規登場人物   赤坂 苗(あかさか なえ)    一馬が通うおでん屋台の店主。 蝶蛾流・蟲派奥義・双剣ヨコサシ  それは一発必中の心臓を狙う時に刃を縦に刺すとアバラに刃が引っかかり討ちそびれるから刃を横に寝かせ刺す様にと言うそれだけの教えである。推奨するナイフは両刃。   蝶蛾流・蟲派秘技・回天剣シニナリ  それは圧倒的に不利な状況下を逆転一発好転させると伝わる伝説の奥義である。が、その正体は、ただの死んだフリである、けれども、それを信じて油断しきった敵は既に死んでいるのと同じであり、そしてこの奥義を見た敵は、言う迄も無く、生存していない事から、その正体は今日迄バレる事無く大袈裟に伝わってしまっているのでもある……に。 蟲派  かつてその派は、存在が確認されている蝶蛾流・全派一〇一派中で唯一武道以外の事も色々と教えていた、現代で例えると社会福祉的な奇派、その影響なのか指導方針は甘く、その内容も地味だった事から、最弱の派と呼ばれていた。しかしそれ故に、内容が現実的で要点を捉えた硬派の所もあり、それに加え、『まずは格好から』の流儀に乗っ取り、入門したその日から黒帯を授けてもらえる事から『蟲派で黒帯になろう』と言うキャッチフレーズが広まり、大人気と成り、門下生を、他の、どの派よりも増やし、後には基礎派とも言われ、結果的には名を変え、唯一今尚も世に存在し続けている派と伝わる。 また開祖は少しなんか足りない女性だったとも伝わっているが、多種多様な異星語で記され解読難解な未知の蝶蛾流奥義書その内容を、突起した超能力で広く浅くも全てを解読し、奥義の真髄を知り得ていたのではないかとも伝わっている。

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01 狼少年バースト 再びおでんノ巻

外伝46 半島の乱・後期 瓦礫の玉座

「うっおおおおおおおお!!」 巨人の目に刀を突き刺した王子は唸り、冥派の光の波に後押しされた力を利用し更に刀を押し込もうとするが巨人も弱点である目の中核を守るべく瞳に力を入れて堪える、そして片手で王子を払いのける。 とっさに受け身を取った王子は、そのまま巨人の鎖骨の窪みに身を打ち着けられる。 だかなおも冥派の光は諦める事無く、巨人の瞳と刺さった刀を照らし続けその視界を塞ぎ続ける。 それを見て王子は再び冥派の光りへ再度飛ぶ体勢を取ろうとするも遠に限界を超えた身体は痺れ、動けない自分の不甲斐無さに「あああああ」と雄叫びを上げたその時、冥派の光りの中を虹色に煌めくものが飛び、そしてそれが瓦礫の中に沈んだ祖父であり皇帝だとわかると、「陛下ー!」と歓喜の声上げる。 今度は皇帝が王子に代わり、その刀の柄を得意の蹴りで押し込む、そして遂に冥派の光は巨人の後頭部を抜け、巨人の兜と瞳は宙に弾け飛び、巨人は「うがっははははははは」と唸りながら地に片膝を折る体勢でしゃがみ込み動かなくなると、その身体は枯れ木の様な灰色に成り固まる。  夜空を貫く冥派の光に導かれ地に降り立った皇帝は、そのまま瓦礫の山を登り、その山の表面に奇跡的にその形を残し、帝国のシンボルカラーである漆黒の黒幕を風になびかせまとう玉座に腰掛け、周囲を見渡し、重傷を負うも瓦礫を退かし自分を助け出しそして力尽き倒れた息子の姿を目にし深い息を着くも、自分に向かって来る孫である王子の姿を見てふと安堵の笑みを溢し、腰の代々皇帝を継ぐ者の証である玉蟲の鞘を膝の上に横に置きそのまま絶命するのだった…… [続] 解説と解釈 マスターブレイド  銘・花潜利(はなむぐり)  後の通称は茂平字(もへいじ)    それは王子の師が愛用していた継承的武器である。その素材は隕鉄であり、その山岳波紋の上には雪を散らした様な柄が浮かび、下地の刀身は黒光する深緑のやや太作りな小太刀である。何か不思議な力が宿っていたと伝わるが、その力の内容は、師がそう言う事には無頓着だった事から王子には伝えられていなく、故に謎のままである。また残念な事に玉蟲色に光ると文献に書き伝えられるオリジナルの鞘は無くしてしまったらしく、安価な数打ちの鞘で代用されてしまっている。余談として、その鞘の鯉口には、にぎり飯が付着した後が残っていたので、王子は水を吹き着け、ふやかした後に拭き取り、その時に目にした鞘尻に彫られたへのへのもへじを「愛嬌を感じとても癒される」と、やや精神が病んでしまった晩年に涙ぐみ、そう側近に語っていたとも伝わる。 塞の四次元的飛行パールマント  塞は、女王が地下で発見した、その飛行原理が未知な古代のマント、その植物繊維を培養し、同等の生地を多量に生産する事に成功した。そしてマントを量産し、兵士達に支給したのである。 こうして後にマントの能力は竜の背から日帝を下降強襲する作戦の際に有効活用されたのである。

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外伝46 半島の乱・後期 瓦礫の玉座