獅勇

7 件の小説
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獅勇

はじめまして だいぶ下手ですが良い作品を書けるように頑張ります!

『名前を呼ばれない卒業式』

 体育館に、名前が一つずつ落ちていく。  呼ばれるたびに、拍手が起き、椅子がきしむ。  私は背筋を伸ばして待っていた。  自分の番が来ると、信じて。  けれど、最後の名前が読み終わっても、私の名は呼ばれなかった。  ざわめきの中で、先生が原稿を閉じる。  欠席者はいない。  間違いでもない。  私は気づいてしまった。  この一年、私は「出席」していただけだったのだと。  意見を言わず、目立たず、名前を呼ばれないまま。  式が終わり、誰もいなくなった体育館で、私は小さく自分の名前を口にした。  音は、確かにそこにあった。  呼ばれなかった名前は、消えたわけじゃない。  これからは、自分で呼べばいい。

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『地球滅亡五分前』

 それは、突然やってきた。  スマホの画面に表示された通知は、冗談にして は質が悪すぎた。 |地球滅亡まで、残り五分  同時に、街中のスピーカーが低い音を鳴ら し始める。  緊急放送。  誰かの冗談ではないと、すぐに分かった。  空は、いつもと同じ色をしていた。  雲も、風も、何一つ変わらない。  なのに、世界だけが終わろうとしている。  人々は叫び、泣き、走り出す。  電話をかける者、座り込む者、ただ空を見 上げる者。  俺は、動けなかった。    四分前。  やり残したことを考える。  謝れなかった言葉。  伝えなかった気持ち。  全部、今さらだった。  三分前。  隣にいた見知らぬ人と、目が合う。  言葉は交わさない。  それでも、不思議と一人じゃない気がした。  二分前。  空が、わずかに震える。  終わりが近づいているのが、分かる。  俺は、スマホを閉じた。  もう、知らせはいらない。  一分前。  最後に何をするか、ようやく決めた。  深く息を吸い、吐く。  ただ、それだけ。  生きている感覚を、確かめるために。  零分。  ーー何も、起こらなかった。  音も、光も、衝撃もない。  世界は、そこにあった。  数秒後、放送が再び流れる。 |誤報でした。地球は滅亡しません。  街に、怒りと安堵が同時に広がる。  誰かが泣き、誰かが笑い、誰かが怒鳴る。  俺は、空を見上げた。  五分前と、同じ空。  でも、同じには見えなかった。  あの五分間で、  俺は確かに、世界を失い、取り戻したのだ。  だから思う。  もし本当に終わりが来るなら、  きっと今日みたいな空の下で、  人は初めて「生きていた」と気づくのだろう。

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『最終ページだけ読めない本』

 その本は、町外れの古本屋の一番奥、床に直接 積まれた本の山の中にあった。  背表紙は無地で、題名も著者名もない。表紙 はひどく古びているのに、なぜか埃だけが払わ れていた。  気まぐれで手に取っただけだった。  だが、最初の一文を読んだ瞬間、指が止 まった。 「ーー彼が初めて嘘をついたのは、七歳の春 だった」  胸の奥が、ひくりと震えた。  それは、誰にも話したことのない記憶だった。  ページをめくる。  小学生の頃の後悔。言えなかった謝罪。昨日 食べた夕食。  すべてが、驚くほど正確に書かれている。  それは小説ではなかった。  俺の人生そのものだった。  読み進めるごとに、時間が追いついてくる。  まだ起きていない出来事が、淡々と、感情のない文章で記されていく。    三日後の雨。  半年後の別れ。  数年後、白髪の混じる俺の姿。  ページをめくる手が、次第に重くなる。  そして、最後のページを前にして、俺は立 ち止まった。  震える指で、最終ページを開く。  ーー何も読めない。  文字があるはずなのに、焦点が合わない。  白紙ではない。だが、どれほど目を凝らして も、意味として認識できなかった。  心臓が早鐘を打つ。  そこには、きっと俺の死が書かれている。  知ってしまえば、もう戻れない。  再びページを戻す。  最終ページの一つ前。そこに、短い一文が あった。 「彼は、この本の最後を読めなかった」  俺は、ゆっくりと息を吐いた。  その一文だけが、やけに人間らしく感じ られた。  その夜、本を閉じた。  続きを読もうとは、思わなかった。  未来が書かれているとしても、  最後の一行は、まだ書かれていないのだ。  本を棚にしまい、電気を消す。  明日、何が起こるかは分からない。  それでいい。  最終ページは、読むものではない。  ーー生きて、書くものなのだから。  

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正体

学校の帰り道、寄り道をした。 コンビニ行った。 そのコンビニには運悪く強盗がいた。 最悪だった。 強盗犯に睨まれた。 銃口を向けられ死を悟った。 走って逃げた。 なぜか追いかけてくる。 捕まってしまった。 強盗犯がマスクを取った。 顔を見ると父親だった。

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最終電車の五分前

改札の向こうで、電子音が乾いた音を立てた。 最終電車まで、あと五分。 ホームに吹き込む夜風は、昼間の熱をすっかり 奪って、やけに冷たい。 俺はベンチに腰掛けたまま、何度も時計を見た。 見たところで、時間が止まるわけでもないのに。        「まだいたんだ」 声がして顔を上げると、君が立っていた。 高校の頃と変わらない、少し眠そうな目。 変わったのは、もうここにいない前提で話す、そ の距離感だけだった。 「たまたま、な」 嘘だった。 君がこの時間にここを通ることを、俺は知っ ていた。 並んで立つ。 それだけで、胸の奥がざわつく。 話したいことは山ほどあるのに、口から出るのはどうでもいい言葉ばかりだ。 「向こう、どう?」 「まあまあ。人は多い」 それが、俺の新しい街のすべてみたいな言い 方だった。 電光掲示板が点滅する。 最終電車 間もなく到着。 あと、五分。 この街で過ごした時間より、これから先のほうがきっと長い。 それなのに、今この五分が、異常なほど重い。 本当は言いたかった。 ずっと好きだったこと。 離れるのが怖かったこと。 君が思っているより、俺は弱いこと。 でも言葉にした瞬間、この場所が終わってしまう気がして、喉が詰まった。 「じゃあ、気をつけて」 君はそう言って、小さく手を振った。 それだけだった。 電車の音が近づく。 ホームが震える。 俺は一歩、前に出て、そしてーー止まった。 「......ありがとう」 何に対しての言葉だったのか、自分でもわか らない。 君は少し驚いた顔をして、笑った。 「こちらこそ」 ドアが開く。 乗り込む人の流れに押されるように、俺は電車 に乗った。 電車のベルが鳴る。 窓の向こうで、君の姿が小さくなる。 言えなかった言葉は、 最終電車の五分前になって、ようやく胸を締 めつけた。

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本棚

 僕の家には読みきれないほどの本が沢山ある。「そうだ本棚を買おう」と思い家具屋へと向かった。  到着し、本棚を見に行くと、個性豊かな本棚が沢山あり魅了された。その中でも僕は螺旋階段状のオシャレな本棚にした。  そしてそれを買って帰っていざ本を入れようととしたがふと思った、「あれ?これ6冊しか入らなくね?」と    

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コントローラー

 ゲームのコントローラーが壊れた。新しく買い替えようと思いショッピングモールに行くことにした。だが、外に出るのがめんどくさかった。ゲームしたいでも外には出たくないと心の中で葛藤していた。  そして、なんだかんだいって外に出た。自分自身を褒めたいぐらいだ。そんなことを思っているうちにショッピングモールに着いた。  お目当ての物を探しに電化製品が売っている場所へ行った。とにかく急いで帰りたかったので、早歩きでゲームコーナーに行きコントローラーを買ってしまおうと思っていた。しかし、狙っていた最新モデルのコントローラーが売っていなかったのだ。自分自身、最新モデルじゃないとショッピングモールを爆発させたいぐらい嫌だった。なので人とできれば話したくはなかったが店員の方に聞いてみたら「売り切れてしまいました申し訳ございません」と言われた。絶望的だった。  あきらめて友達の家にゲームをやりに行った。家に着くと嬉しそうな笑みを浮かべた友達が出てきた。理由を聞いてみると自分が狙っていた最新モデルのコントローラーを買ったとなぜか悲しそうな表情で言ってきた。自分はムカついてしまってなんでそんな悲しそうなんだと聞いた。友達は、最後のひとつを買って家に帰り早速使おうと思ってたら一歳の妹が床に置いてしまったコントローラーを投げて遊んでて壊してしまったんだと泣き崩れながら訴えた。それに対し自分はこう言った…      「お前は馬鹿かーーー!!」

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