茜桜 手鞠
180 件の小説51.中和
そんな日々を過ごしていたある日 流石にニュースになるほど人を殺めては自分の経歴に傷がつく可能性があると考えた私は仮想現実を作ろうと思い至った それを研究所の人間に話をする 医学等も生身の人間では行いにくい実験もあるだろうと研究にはもってこいの仮想現実を作ったらどうではと長々とつらつら説明をすると研究所の人間は目を輝かせ、仮想現実への実現に協力してくれたのだった そんな中、私は所帯を持ちたいと思った だが、そんな欲望と同等に女性への実験は抑えきれなかった 1人、いや複数人… 新しい命という芽生えである妊娠、出産を経て生まれてくる我が子 人間の本質はきっとここにあるのだろうと何かしら神秘的なものを感じる だが…そこからまた恐ろしい実験をしたくなる この何も出来ない小さな我が子はどこまで生きることができるのか 生命なる実験を考え始めるのだ そう自分の狂気じみさを全くも理解しないほど私は人間として不出来なのだ そんなある日、私は日用品を買いに家の近くのドラッグストアへ寄った そこでレジの担当をしていた女性はまだ若く20代前半だろうその人は慣れた手つきで作業をし、商品の中で薬が入っている場合は余裕のある声色で薬の作用について説明する そして、人が寄り付きそうな毒のない笑顔で見送っていく そんな女性だった 何故だろうか 勝手に毒が抜けたかのように、ふとその女性と話したくなるのだ
50.経験
私は女性経験が乏しかったため、手っ取り早く夜の店に行った きっとゆっくり友人や身近な人間から紹介などを経て、進めた経験のほうがより自分のステータスになっただろうが… それと長いこと一緒にいる気はないため、どうでもいいぞんざいに扱える人間がいいと考えた 夜の店では皆同じ顔立ちの数値で測ったらより綺麗なことが明確に分かりそうな整いをしている人が多くいる 自分の表面上の話をしつつ、周りを見ると真っ当に生きている人間は来ることがないのだろうとなんとなく分かる客層をしている あるとしても会社の付き合いなどだろうか…? 大金を払って疑似恋愛をすることがきっと男性にとって良いものなのだろうなと勝手ながらに解釈しつつ、目の前の女性と話をする 私は研究に明け暮れていたせいで女性の扱いが下手であったが、夜の女性の何人かと話をして向こうの身の上話を聞けるほどに仲が良くなり、女性とはこのように接すると勝手に落ちてくれるのかと手法を覚えていった それと初めての体験をしつつ、男というものはこうも欲に塗れていることを知る なるほど…これは覚醒剤のような作用があるのかと思うのだ この行為そのものに新しい命が宿るなどなんと面白いものだと思い、私は女性への実験を始めたのだった やはり、紹介などで知り合った女性では身の上がよろしいので自分に火の粉が被る可能性がある これで良かったのだ これで… そう心の内で思いつつ、残酷なまでの欲望への忠実さと共になんとも目に映すことが出来ぬ実験をしたのだ
49.探究心
小さくだけれどもそれなりの主張とともに見出しがつけられた題 静かな家と赤々と照らされた景色がそこにはあった 〇〇市で意識不明の家族が搬送された 全員重症で息はかろうじてあるようだが、存命は難しいだろうと医師は告げる その日から家族全員、ICUで治療が始まった そして、私だけが助かった 奇跡の復活とも言える見出しが貼り付けられていく その見出しと共にまた明るい世界へと私は行くのだった と…ハッピーエンドのように語るが、計画通り家族全員が死に私のみが生き返った それだけのこと… これで邪魔するものがいなくなった そう心から思い、笑いが込み上げてくる 私はきっと一般的な人間とはかけ離れているのだろう そのまま私は研究所に籠り、薬物反応を調べあげた 何度も何度も繰り返し続けれる実験 死んでも構わなそうな人間を雇いながら、実験という実験をし続け、私の部屋には恐ろしい結果報告のみが残った それでいいのだ 私の中で残っているものはただ探究心のみ それだけのために生きているのだ しかし、こんな私でも何故か人間関係を築いてみたいと思ったのだ 何も感じないからこそ、出来うる経験をしてみたいなどと思ったのだろうか その日から初めて女性へ視点を移すことになった
赤いそれに溺れ
ああ…記憶が無い そう気づいたのは起きた今に決まっている そうこうなったのは2回目、2回目なのだ 原因は分かっている あの赤色に揺れるワインだ!!! 前回は友人と飲んだ際に起きたのだが、記憶が無いところを確認すると普段通りだったという… 凄いな、私は天才的だ!…と思ったのだが、今回は違ったようだ 見てみろ、部屋が散乱している 泥棒でも入ったのか? いやはや、違ぇだろ 犯人は自分だ しかも、なんということでしょう 生理が来てしまったせいで血まみれになっておられる 何をしたのか壁にも床にも付いていてもう殺人事件の完成だ 本当に記憶が無い 現在、床で寝ていた私は起きて周りを見渡している最中である しかも、恐らく私は洗濯物を片付けようとした、お風呂に入ろうとした、吐いた、そして転けたことが読み取れるほど部屋がごった返している 泥酔した時に本性が出るというが…自分はなんだ、完璧にやりたがりなのか?となんとなくそう思うが…完璧にできずに死んだことだけはよく分かる 本当にお酒は怖いですね あとがき 汚い話ですみません いや、この時ボトル1本程飲んだのですが、いつもはそれだけ飲んでもこんな大事件にはならないのですよ…! なんでしょう、体調と精神面が色々重なるとこうなることが2回の記憶喪失により明らかになりましたね… 皆様、お酒にはご注意を…
48.ガス
ガスを使用するとしても、色や匂いなどが発生する可能性がある なるべく発生せずにガスを使用したいと考え、成分を1つ1つ調べあげる ちょうど閉じ込められている間、調べる時間が沢山できて都合がいい そして、あるとき… 匂いも反応もないガスが完成した あとはこれを実際に使うのみと…考えたが… 今、使用するのは惜しい 私の今の年齢は15、6といったところだ この年齢時期に実験を行い、家を失うのは厳しいところ 自分の生きる環境を作った上で実験を遂行したほうがいい そう考えた私はそのまま高校卒業までを大人しく過ごし、大学は叔父が住んでいる付近を選び、実家から離れ一人暮らしを始めた 時間に余裕が出来たときには叔父に会いに行き、経営を学んだ そして、少し経った頃…叔父に研究所の中を見たいと相談を持ちかけた 時間をかけ叔父との関係値を作り、その流れで研究所に入ることができれば自分の望むものが手に入るとそう思ったのだ そして、計画通りに研究所への入館を許され、最近は研究というものに励んでいるというものだ 叔父から許可を得ている関係で長い時間研究所で過ごしても特に何を言われることもなく、自由に研究を続けられ、大体この辺りだろうと落ち着いたタイミングを狙い大学3年のある日… 実家であのガスを使用した 私はガスへの特効薬というものを作り、半死状態でいられるように仕向けた そうすることによって犯人としての行動をなるべく悟られぬようにしたのだ
終.修復
「君はどこまで覚えてる?」 そう私に聞いてきた彼は長い前髪をオールバックにして、タキシードのような式で通用する格好をしている まるでゴシック様式のような建物の中で私はシンプルな少々の綺麗な柄が散りばめられたドレスを着ている 「私は酔っ払って…その後、どうなったの?」 「気を失う前にワインを飲んでいたよ。どうしてかな?」 気を失う前… 私は、林君を目の前で失い…坂口さんも殺した… 目の前で殺してしまった罪に耐えきれなかった私はお酒を飲みまくった とりあえず、外でお酒を買い飲み終わり次第また買い足す… それを繰り返し外で吐き、ワインをまた飲み足す… 頭が重くなり朦朧とし方向感覚も無くなっていった辺りから視界が暗くなっていったことを覚えている そして、記憶が曖昧になった 「林君…私を恨んでる?」 「うん」 「そうだよね…。私…償いきれないことをしてしまったよね…」 「そうだね…僕のことを忘れるために頑張っていたよね」 「…うん、私ずっと言えなかったけど…林君のこと好きだったの…学生の頃からずっと…だから、目の前で失った事実から目を背けたかった」 「……」 「ごめん…ごめん…私が今死んでいるのなら…恨めしい気持ちでいっぱいだよね」 彼は短な会話の中でずっと表情を変えずにいたが私の言葉を聞いて、眉毛を八の字にし、苦しそうな表情で私を見つめた 「……そうだね………僕も佐々木さんのこと好きだったよ。こんな形で終わってしまうのが悲しいくらいに」 その言葉を最後に温かい空気に囲まれて私は目を覚ました ああ…私は死ななかったのか… 病院で目を覚まし、自分が生きていることを再確認する あの場所で私は何をしたかったのだろうか… ただ、懺悔をして終わってしまった… でも…きっと今のまま生きてはいけない 罪を忘れないこと、それが私の罰なのだ そこで、私は警察に自首をした 3年の時が経ち、部屋を探す 新たな再スタートにしっかり向き合わなければならない 部屋を探している最中、私にしか見えない何かが写っている それはあの時死んだ彼女、坂口沙耶だ 「坂口さん、私に何の用?」 私は一生の償いをしなければならないのだが、何の悪びれも無さそうな態度で冷たく相手に問いかける これは相手の恨みが無くなるまで私はこの悪人を続けなければならない、そうこれが一種の罰なのだ 「見えているの?」 「ええ、見えるわよ。私のことを恨んでいるのかしら?」 「…ええ」 彼女は鬼のような形相で私を睨みつけている 彼女をこの現世に縛り付けてしまった理由がきっとここにあるのだろう そう思い、あるマンションの一室を借りて私はある行動に出たのだった 「昨日、ここに引っ越してきました佐々木と申します。確か…お隣さんでしたよね?」
6.同期の死因
騒がしい声と共に1人の男性社員は息を引き取った 慌てて病院に電話をかけたが遅く、急性アルコール中毒で亡くなったことが知らされる 一気に酔いが覚めた佐々木結衣は、先程自分が行った行為に後悔をし始めていた 数時間前、新入社員の歓迎会が行われ酔いが回り始めた社員達は飲みゲーを始めた ゲームで当てられた人は強制的に飲まされるシステム 最初はアルコール度数5%程のお酒で行われていたが、段々と調子が上がりワインでゲームをし始めるようになった そう提案してしまったのが佐々木結衣だったが為に、彼女は後悔の渦に巻き込まれた そのワインを飲み始めて1時間後、新入社員の林誠司は倒れたのだった 酔っ払いだらけだった社員達はただ眠っただけなのだろうと最初は思っていたが、飲み会が終わりにかけ起こそうと思い、声をかけても反応がない その現状に顔面蒼白となり、焦りに焦るがもう遅かった 「林君!何の本読んでるの?」 林君は長い前髪から覗く目をこちらに向け一言 「詩」とだけ告げる 「詩?どんな内容が載ってるの?」 私がめげずに話しかけると林君は少し面倒そうに話を続けてくれた 「…その時の感情とかを短く、だけれども簡素ではない…そんな文が載ってるんだ」 「へぇ〜、めっちゃ国語の点数良さそうだね!」 「国語?うーん…現国はまあまあだけど、古典は全くだね」 いつも、林君を見つける度に声をかけていた 少しだけでも仲良くなれるのが嬉しくて… でも、自分の気持ちを告白することなく高校を卒業して、大学に進学しそのまま社会人になった 新卒で入った会社で見覚えのある顔があり、名札を見ると林と書かれていた 久しぶりに林君を見た瞬間、高校時代の淡い想いが溢れ出し、もう一度話をしたいと思った だが、その瞬間は訪れることはなかった あの日、歓迎会で酔いに酔った私はまともに話をすることは出来ず、私のこと覚えてる?と聞くだけのことを出来ないまま林君に次のお酒を聞くだけ 林君の表情を見ないまま追い詰めて終わってしまったのだ 涙を流しても遅い 「…林君、私も同じ道程を歩んだのね」
5.ワルツ
わたしはキレイなドレスを着ておどる なにも知らない、どこだか分からない場所で… 「ここでずっと一緒にいよう」 彼はわたしにそう言った 「うん」 ずっとその言葉を待っていたような気がする なぜか気分がとても良く、踊ったからなのか体があたたかかった 「ここは…誰もいないの?」 「うん、ここは君と僕のお城」 「…そうなんだ。お城なんだ…」 彼と一緒にいられることがうれしいのか私は彼の言葉を聞くたびに微笑んだ そして、ふと我に帰った 「…私の部屋ってどこ?」 「…部屋はないよ」 何故か体が寒くなってきたような気がする 先程まで温かいと感じていたのに、今は凍りそうなほど寒い そういえば、私は何故こんな場所にいるのだろう 「私は…どうしてここにいるの…?」 「…知りたい?」 彼はそう言いながら私にワインを差し出した 「…これで僕と一緒だね」
4.帰り道
「今からさゲーセン寄らない?」 そう発した友人に私はテンションが上がったまま同意する 「え!めっちゃいいじゃん!行こ行こ!」 そこで友人はニヤニヤしながら聞いてきた 「そういえば!あんた好きな人いるんだっけ?聞かせてよ〜!」 私は照れながら回答する 「うふふ!そうだな〜!窓際に座ってる林君なんだけど〜知ってる?」 そう伝えると思い出したかのように友人は答える 「林……あの印象薄い子?」 私はちょっと気まずそうにだが好きな気持ちだけはめいいっぱい伝える 「うん…まあ…そうなんだけど、めちゃくちゃ好きなの〜」 すると、話は広がりそのまま時は過ぎていった 「え!どこが好きなの?」 「うーんと…前髪で隠れてるんだけどよく見るとめちゃくちゃ目がかっこよくて!しかも、結構話してくれるんだよ!」 「ふーん…それはギャップがあっていいね〜」 「でしょ!でしょ!」 あの時は楽しかったな〜 毎日、はちゃめちゃやってた気がする このまま時が止まればいいのにな… なんか凄く眠くなってきた あれかな…今日お酒飲みすぎたかな… 何杯飲んだか覚えてない…今ここどこなんだろう… ああ…なんか温かくなってきたし、ここで眠ってしまおうかな そういえば…昔、新入社員が亡くなったことがあったな… なんか飲みゲーやって飲ませすぎたんだっけ… なんで今頃になって思い出したんだろう 私が助けなかったから? 好きだった林君と同期として入って、半年で亡くなってしまった彼を忘れるために今まで生きてきたのに、何故今頃になって彼を思い出したのだろう ああ…もう分からない 私の目の前には星が瞬く間に広がっている 「僕と一緒に踊りませんか?」 そう言ったのは…
3.嫉妬の始まり
いつも通り仕事を開始し、お昼に同僚と話をしながら和やかに過ごす 何も考えない 生きるために必要なことをするだけ 微かに記憶の隅にいるあの人を思い出さないように… 「佐々木さん、お電話繋いでもいいですか?」 声色を震わせて、不安そうな顔色をしているこの女は最近この部署に配属された所謂同僚というものだ 配属されて初の電話だからか電話の内容が分からないらしい 「ああ…誰からの電話ですか?」 「菊池商事…だったと思います」 「分かりました。809に繋いでください」 「はい!お願いします」 新卒で入って3年 たまに、異動がある会社で異動先に行くと仕事内容が変わるため1から覚え直さないといけないのだ ああ…めんどうだ… 「坂口さん、電話大丈夫だった?」 そう坂口さんへ声を掛けたのは伊藤直哉という2年目の社員だった 前髪が長く、その髪を上手く流したような髪型をしており、パッと明るい印象がある訳ではないが年齢よりも落ち着いている…そんな印象だ そんな彼は中途採用で入社された坂口沙耶をよく気にかけている 茶髪のストレートを軽く巻き、シンプルだが綺麗な印象を持たせる姿をしている 「あ!はい!佐々木さん宛のお電話でしたのでなんとかなりました!」 最近、余計な感情が相まって忘れていたものを呼び覚まされているようだった 伊藤君があの人に似ているせいだ そのせいで心が重く感じるのだ 自分の中で整理がつかないまま、半年、一年と過ぎていく 過ぎていく中でいつの間にか伊藤君と坂口さんは付き合っていたらしく、結婚の約束も果たしているようだった ああ…私の汚い部分が出てくる… 私が失ってしまったものを坂口さんは手に入れた… 羨ましい… そんな汚い感情から私は行動に出てしまった 「佐々木さん、お話とは一体なんでしょうか?」 「…どうして彼を奪ったの?」 「何の話でしょうか?」 「貴方だけどうして…」 「私をどうするつもり?」 「…どうするのも勝手でしょ?」 私は一歩一歩道路に追い詰めていった 察した坂口さんは焦り始め質問を投げかける 「…どうしてこんなことをするの?」 「…いいわよね~。幸せな家庭で育って、美人で、イケメンな彼氏もいて、幸せよね~さぞ、お金に困ったこともないでしょうに」 職場での雰囲気で勝手な憶測を述べているが、相手の3割にしかすぎない部分にも嫉妬している ああ…汚い… 「…それがなんの理由に繋がるの?」 「…それが分かっても分からなくてもどうでもいい。ここで交通事故に遭って死ぬのだから」 そのまま彼女の肩を思い切り押し、彼女が車に轢かれる瞬間を見て警察に通報した 警察には彼女が倒れそうになるのを支えようとしたが間に合わなかったと伝えて無事警察署から出ることができた 私はもう手遅れだ… 一時の感情で人を殺してしまうなんて… その感情についていけなかった私はアルコール度数の高いお酒を飲みまくり、何度も吐きながら1日を過ごした ぼうっとした頭の中で楽しかった学生時代を思い出す あの時は楽しかったな…