藤咲藍
52 件の小説死にたがりの君と
「私の正体を知った人は殺すか吸血鬼にする決まりなんだ」 「でも、吸血鬼が両親を殺したんでしょ!」 「そんな奴と同類になりたくない!」 「口には気をつけなよ、春くん」 「私も好きでなってないんだ」 「ごめん…」 「でも吸血鬼になったら暴れるんでしょ…」 「私は春くんを吸血鬼にするんじゃなくて半吸血鬼人間にするんだよ」 「だから安心して、君はどっちにもなれる」
死にたがりの君と
「やっぱり来たんだ」 「はい」 「てゆうか名前で呼んでくれないの?」 「ももちゃんって呼んでもいいんだよ」 「じゃあももちゃんって呼ぶ」 「もしかして照れてるの?」 「照れてないし!」 「もう一回聞くけど後悔はしないよね?」 「うん」 「じゃあ春くんも吸血鬼になろうよ」 「えっ」
死にたがりの君と
学校はとても退屈で億劫な場所だ。 早く夜が来て欲しい。 「如月くんだよね」 「私、隣の席の白井花蓮っていうの」 「なんで話しかけてくれたの?」 「私、人と話すの苦手で友達いなくて如月くんと友達になりたいって思って…」 「僕も友達いないから話しかけてくれて嬉しいよ」 初めて学校を退屈だと思わなかった。 「じゃあね!」 「じゃあね」 家に帰り、ご飯を食べて歯を磨く。 いつもと同じ毎日。 でも今は両親を殺した吸血鬼に復讐する為に夜の学校に向かっている。
死にたがりの君と
家に帰りふと屋上での出来事を思い出した。自殺をしようと飛び降りた僕は吸血鬼に助けられ、その吸血鬼に親の仇を取りたいと言った。冷静に考えたら吸血鬼なんて絵本の中の登場人物みたいで、実際には居ない。 馬鹿げている。 今日は早く寝よう。 でも、もし今日の出来事が本当にあった事なら絶対に仇を取る…
死にたがりの君と
「両親の仇を取りたいって吸血鬼を殺すの?」 「うん」 「辞めた方が良いと思うよ」 「何で?」 「春くんはまだ高校生で卒業したらその先がある」 「それでも良いんだ」 「分かった、気持ちが変わらなかったら明日の夜も屋上に来て」 「春くんの気持ちが変わることを願うよ」 そう言って桃木さんは去っていった。
死にたがりの君と
「なんで自殺しようとしたの?」 「全てがどうでも良くなったから」 「中学生の時に両親が亡くなって祖父母も亡くなって学校にも馴染めなくて…」 「春くんの両親は事故死なの?」 「死因は分からないけど誰かに襲われたような感じだった」 「例えば、腕が千切られてたとか…」 「なんで分かったの?」 「春くんの両親は吸血鬼に殺されたんだね」 「本当に吸血鬼が殺したの?」 「私の予想では」 「桃木さんも吸血鬼じゃん…」 「殺してやる、吸血鬼なんて死ねば良いんだ」 ポケットに入れていたカッターナイフを取り出した。 「殺さないの?」 「殺せないよ…」 「だって桃木さんは僕の自殺を止めてくれた人だから」 「桃木さんお願いがあるんだけど良い?」 「両親の仇を取りたいんだ」
死にたがりの君と
「空を飛んでた…」 「それとあなた誰なんですか?」 「先に名前を言ってくれないと名乗らないよ」 「僕は如月春」 「私は桃木やよい、吸血鬼だよ」 「死にたがりの少年の自殺を止めに来た」 「本当に吸血鬼なんですか?」 「うん」 僕は割と冷静な方だと思う。でも、この夜は驚きを隠せなかった。綺麗な桃色の長髪に、漆黒のパーカーを着たその少女は僕を助けた吸血鬼だった。
死にたがりの君と
自殺する場所の定番って言えば屋上な気がする。 夜の屋上には誰もいない。 遺書書くのも面倒くさい。 早く楽になりたいんだ… 「さよなら」 落ちている時に見る景色って綺麗だな… あれ、体が止まった。 「自殺希望者?」 「あなた誰ですか…」 自殺する為に飛び降りた僕は空を飛ぶ不思議な少女に抱っこされて自殺を止められてしまった。
死にたがりの君と
夜の二十時の高校。 自殺場所にはぴったりだ。 中学三年生の時に両親が亡くなった。死因は分からなかったが、鮮明に覚えているのは両親の首から流れていた血の赤さ。それと、誰かに食われたような千切れた腕。その後僕は祖父母の家で暮らす事になったが二人とも病気で亡くなった。それから一年が経ち高校一年生になったが、学校にも馴染めず全てがどうでも良くなった。どうせなら高校で死のうかな。そして夜の高校に行った。
記憶
大丈夫ですか? 女の子の方は意識があるぞ! 男の子の方は? もう亡くなっている… じゃあ女の子の方を優先して、早く! 私は、いつもこの夢を見る。 高校三年生の夏、私は交通事故に遭って記憶の一部を無くした。 自転車と自動車がぶつかって私は、頭を強く打ち、事故の時の記憶が無くなった。