オルカ
54 件の小説オルカ
シャチと鯨類大好きなオルカです。 小説に目を通してくれると嬉しいです。感激の潮吹き吹きます。 基本イラストはネットか自分で撮った写真を使ってます。 あと基本フォローしてくれたら仕返します。ただし、フォローする際は私が書いた小説に目を通し、いいねを押して下さい。
誰かこの詩に名前を付けてください第二
そう 私はこれからも悔やむでしょう なぜあの時 すぐに人に言わなかったのか なぜあの時 人に泣き付かなかったのか 考えてはみるのだけれど 理由はもう分かっている 恥ずかしいからだ 自分の理想は こうじゃない いつも物怖じせずに口答えが出来て いつもこれは嫌だと反論が出来て でも 理想と私は違う いつも相手に押され 意見が言えず いつも相手の気持ちを考え 嫌だと言えず ね?根本的に違うでしょう? だからこそ 理想が膨らんで行く 一生変わる事の無い自分を 好きなだけ想像出来たらそれはそれで幸せね でも そのたびに違和感が膨らんでいく 本当の自分を愛す事が出来ず 偽物の自分を愛すしか無い それは 自分を裏切っているのと変わらない それを分かっていて 私は偽物の自分を作って行く これからもそれは変わらない いくら涙が出ても 変わろうと思っても 無理でしょうね 諦めているからかも知れないけれど 私は生涯 自分を愛す事は出来ない
叶わぬ願い
あの時にまた戻りたい あの頃が懐かしくてしょうがないの 無理を言っているのは分かってる 私達 人間じゃなければ良かったわ わたし達は 絶え間なく動いている時に振り落とされたの もう元に戻る事は叶わない それでも良いの?わたしは嫌だわ 生きる希望を失うなんて 貴女はそれでも良いのかも知れない ええ でも わたしは嫌なの わたしには分かるわ 貴女の事 心に穴が開いている それで何もかも どうでも良くなるのよ 自分の事なのに 分からない? 大事な事なのに 分からない? 本当にバカね 貴女は真実から 目を背けているのよ まるで毛を逆立てている猫の様にね そのままで良いの? わたしなら嫌だわ ここにはわたし達しかいないの 考える時間はいっぱいあるわ 全て わたしに打ち明けて そうすればちょっとは楽になるわ そう わたしは知っているの わたし達 まだ若いわ そんな悩みに振り回されては 疲れてしまう さぁ 洗いざらい わたしに話して 打ち明けて 解決策は きっとある
カタツムリさんとの愚痴り部屋〜
カタツムリさんとの愚痴り部屋で〜す。 色々愚痴りましょ〜。
七匹猫の始まりの物語 第七話
七 八重達美術館に行く 「はぁ〜?美術館に付いて来いだとぉ〜?」 八重が空の家に出向き、宿題を見てもらおうとしている時、冬木が突如そう言い出した。 「え?美術館、ですか?珍しいですねぇ〜。三年生はそういう事するんですか?」 八重が冬木に聞く。 「そういう訳じゃないのよ。たまにはそういうのも良いかもね。って。梅雨ちゃんも友達になった事だし。」 梅雨はあれから、八重達にくっつく様になり、どこに行くのも同じだった。まだ空の事は怖がってはいるものの、側にいても周りの妖怪達の様ではない。 「人間界に行って、美術館に行かない?」 「え、人間界?」 八重達がキョトンとした表情で冬木を見る。その様子を見て、空がはぁ〜。とわざとらしくため息を吐いた。 「人間界に勝手に行けるのは戦士だけ。それも卒業していなければ行けない。だけど教員に許可をもらえば行けるんだよ。まぁ、正当な理由が必要だがな。」 「そこはでっち上げるわよ。」 満足そうな冬木と裏腹に、八重達はえぇ〜。という顔をしている。 「冬木先輩、そんなズルい事考える人だったんですね。」 「ふふ。予想外だった?案外ズルい事考えるのは得意なのよ。」 悪気の無さそうな表情の冬木に、八重達はさらにえぇ〜。という気持ちになってしまう。まぁ、氷の妖力を扱う妖怪は性格が分からない感じがするから。と心を説得し、八重達は本題に入る事にした。 「それにしてもどうして人間界に?妖怪界にも美術館ってあるんじゃ…。」 「そうじゃないの!妖怪界の美術館だけじゃなくて、人間界の美術館も見てみたいのよ〜。興味無いの?」 改めてそう言われると、だんだんと興味が湧いて来るのはどの生き物もそうらしい。空以外の3人はう〜ん。と頭を抱え込んだ。 「まぁ、人間の古い絵を見るのもあながち面白いかも?」 と梅雨が言う。 「う〜ん。どうしてもって言うんなら付いて行っても良いかな〜?」 八重と梅雨はもう行く気満々だが、勉強嫌い&不真面目な水月は空と共に冬木に反抗している。と言っても空は水月の言う事に乗っているだけなのだが…。 「人間界だなんてロクなもんありませんよ!」 「そうそう。」 「それに美術館だなんて!妖怪界の美術館で十分じゃ無いですか!」 「そーそー。」 「人間界で事故でも起きたら一生戦士になんかなれませんよ!そうなったらここにいる全員夢が壊れちゃうじゃないですか!」 「そーそ…ふぁああ。」 必死に冬木を説得しようとしている水月の側で、空は欠伸をする始末だ。 「空、最初から私の事説得する気無かったでしょ。」 「あったり前じゃん。お前を説得するなんて千年経っても無理だね。時間の無駄だよ。」 諦めが早過ぎる空に呆れながらも、冬木は水月を説得する。 「ね?面白そうじゃない。特に人間界って美味しい物がたくさんあるって言うし、行ってみても良いんじゃないの?」 「食べ物?」 美味しい物に目がない水月が、早速そのフレーズに食い付く。 かかった!と思った冬木は、携帯を取り出して巷で有名な人間界の食べ物の写真を水月に見せた。 「ほら〜!お金さえどうにかすれば、これ全部食べられるかも知れないのよ!もちろん私の奢りで!お得だと思うけど〜?」 「行きます!行く行く!」 冬木はうんうん。と満足そうに頷きながら、人間界の金の残高を携帯で見る。自分の小遣いを役所で変えてもらえば、何とか足りるはずだ。 「問題は空よね〜。」 もう話には興味が無いと見えて、早速頭をぐらぐらとさせている。 「空!行きましょうよ!もう皆んな決めちゃってるわよ!貴女だけ行けなくても良いの?」 「全然良い〜。」 呑気な空の姿に、流石に冬木の堪忍袋の緒が切れる。 「何がなんでも行かせるわよ!これまでみたいに空に振り回されてたまるもんですか!」 美術館出発当日。 冬木はその日までに、人間界に行くための許可証をゲットし、着々と準備を進めていた。 八重達は、冬木の凄まじい情報収集力にただただ驚き、その日までに空を説得する事に全力を注ぎ込んだ。 しかし、空はちょっとやそっとの事ではなかなか頷かなかった。三人がかりで説得しているのに、八重達の言葉を一言で否定してしまう。 「はぁ〜。もう無理だって!空先輩圧が強過ぎる!睨まれたらもう次の言葉出ないもん!」 当日になっても、空はなかなか行くとは言わなかった。いつもの屋上で横になりながら、無理ーと欠伸をしながら八重達を追い払う。 「もう!空先輩、人間界に行くのは今日なんですよ⁉︎行くって言って下さいよ〜!」 ほぼ泣き叫びながら、八重は足組みをして屋上の塀に座っている空に縋り付いた。 「ていうかなんでお前らそんな冬木にくっ付いてんだよ。人間界なんてロクな事無いぞ?人間らは妖怪の事嫌ってるし、バレたらそこで成敗だな。」 足を振るって八重を振り離しながら、空は面倒臭そうに顔を顰めながらそう言った。 「そこはこっちも反撃!でしょ。」 水月が空に反対する。 「はっ。そんな学力でよく戦士を目指そうとしているな。私らが狩る物は野生の妖怪だけじゃない。人間界で暴れる理性を持つ妖怪も狩るんだ。人間界で暴れたら妖怪学校は退学だな。」 空お得意の正論が出て、水月は馬鹿にされた事や何も言い返せない事で、きぃ〜!と怒りの声を上げた。 「おっ!いたいた!」 そこで登場するのが情報通の深広だ。 「空先輩を説得?」 深広自身が人間界に行った事は無いが、仲間が違反で人間界に行き、詳細を長々と話してくれたらしい。情報通なだけあり、深広はその内容を全て覚えているらしい。 「そのかわりさ、俺も人間界連れてってよ。」 「は?」 まさかの頼みに、水月が唖然とする。 「いやいや、やだよ。あんた連れてったら彼氏かなんかと思われるじゃん。そしたら三衣達発狂するよ?」 「え、そんな俺って危険人物だったっけ?」 残念そうに項垂れる深広に、とにかく駄目!と水月は突き放す。しかしそこで、空が思わぬ発言をした。 「深広連れてくなら行こうかな。」 「え。」 この言葉に、水月達はさらに唖然とする。しかしここで揶揄わねば水月という人格が壊れてしまうので、水月が思い切ってこう言った。 「もしや空先輩こいつの事が好きなのでは?」 しかし、そんな水月に何の反応も示さず、普通にこう言う。 「深広って響きが綺麗だから。」 当の深広が、嬉しそうに頬を染めた。 「ありがとうございます!俺も結構深広って名前好きなんだよなぁ〜。候補で浅広も出てたらしいけど。」 「何で全部水系なのよ。」 同じく名前に水系の漢字が入っている水月が突っ込む。深広は照れくさそうに笑うと、「役目は終了!今日行くみたいだけど、どこ待ち合わせ?」 サラッと言ったその言葉に、また四人が驚愕する。 「あんたストーカー?なんでそんな事知ってんのよ。」 わなわなと震えながら水月が言う。まぁまぁ。と宥めながら八重達はクスッと笑った。 〈ほ〜い著者話でっせ。今回は八重達の姿について話していきたいと思います。八重達は、基本人間の姿です(作者が書きやすいので)。なんか、妖怪本来の姿でないと通れない結界とかを潜る時だけ猫又の姿に戻りますが、基本人間だと思ってもらって構いません。スマホも触るわ、恋愛絡みのイジメはあるわで、ほぼ人間ですよね。〉
七匹猫の始まりの物語 第六話
六 水無月梅雨 「そいえば、最近三衣達絡んで来ないね。どしたんだろ?」 昼休み。今回は隙間に入らずに、ベンチに座って弁当を食べている水月が、ふと言った。 「空先輩がいるからね。きっと怖気付いてんだよ。」 三衣の話になると、八重がクールになるのは水月も知っているのだが、今回は一段とクールだ。 「それか、空先輩に気に入られたいかだね。あいつら空先輩の事も好きだから今度はそっちで絡んで来るよ。」 水月の心配に、八重は一段と怪訝そうな顔をし、弁当を二口食べただけで巾着に包み込んだ。 「よ〜し。もう黙ってらんない。こっちもこっちで反撃するよ。水月良い案あるでしょ?」 水月は急にやる気になった八重に驚き、ポカンと口を開けていた。今まで水月が反撃しようと言うと、大抵大目に見ようよ。と水月を宥めていたからだ。 「え、お、応。」 滅多に無い事なので、八重を写真に撮ろうと急いでカメラを用意する。しかし、水月がカメラのシャッターボタンを押す前に、違う方向からカシャ。と音がした。 「うんうん!良いよ〜良いよ〜その顔のままでいて〜!」 水月八重がポカンとしていると、物陰から一人の妖怪が出て来た。 赤みがかった桃色の髪をリボンヘアにし、制服のスカートの下からは、何やら桃色の尻尾が見えている。耳もエルフの様にとんがり、妖怪というより西風の妖精の様だ。 「え、えと。どちら様でしょうか?」 思わず八重が聞く。すると、その妖怪はさも残念そうに顔を顰めながらこう言った。 「あぁ〜ん。もう!さっきの表情のままでいて欲しかったのにぃ〜!」 悔しそうに顔を歪める妖怪は、んっ!と名刺の様な物を出す。 「徳野洦李?」 「漢字難っ!」 どうやらこの妖怪は漠の様だ。 「ていうか、漠がなんで写真なんか…。」 水月がそう言った時、また妖怪が隅から出て来た。 「あぁ〜!洦李心配したんだから〜!ちょっと迷惑かけないでよぉ〜先輩の人に〜!」 桃色がかった黒髪を後ろで纏めている可愛げのある猫又だった。 「え、あ別に迷惑とかなってないよ、ていうかなんで漠に続いて猫又まで?」 と水月が言うと、八重も首を傾げる。その様子に、その猫又がクスッと笑った。 「面白いですね〜お二人さん。あ、私は水無月梅雨っていうんです。二人の名前は?」 突然の事に、八重と水月はふいを突かれたが、それぞれ名を名乗った。 「私は八重。睦月八重。こっちは私の友達の如月水月だよ。」 「そこは親友って言いなさいよ。」 八重にそう突っ込んでいる水月を見て、水無月梅雨がクスリと笑う。その様子は、洦李よりも妖精の様に見えた。 「あ、言い忘れた。この子写真部なの。将来は人間の記者になりたいんだって。ここ妖怪学校なんだけどね。」 と梅雨が言った途端、洦李はバッと起き上がってこう宣言した。 「妖怪学校出て、きっちり化け方練習しなくちゃすぐバレるじゃん!そもそも妖怪学校出なくちゃ人間界にテレポートする許可証もらえないしここ卒業するしか無いんだよ!」 「じゃあここで記者やれば?」 と言う水月に、洦李が分かってないなぁと肩をすくめて続けた。 「人間界の方がぶっ飛んだ文章書けるでしょ。それに人間界の方が勉強だって簡単だし、東大楽勝に出たらパパッとエリート記者だよ。読み手に魅力呪文かければ評価だってすぐに上がるし、人間界って不正しまくりじゃん。」 「こいつ根っからの面倒くさがりだった!」 とてもではないが、おっとりとした雰囲気の漠とは似ても似つかない洦李に、二人はただただ驚くばかりだった。 「じゃ、私写真撮らなきゃ〜。」 とどこかに行く洦李を追いかけながら、梅雨が水月達に手を振る。 振り返しながら、八重が染み染みこう言った。 「色んな妖怪がいるんだね。ここにいる妖怪って、皆んな戦士になりたいもんだと思ってた。」 そんな八重を見ながら、水月も伸びをして、だね〜。と同感した。
🗡️専門部屋
前に🗡️が作ってくれたので、こちらも作り返します! 作って欲しい方はジャンジャン声かけちゃってください!🗡️さん、またお話ししましょ〜!
七匹猫の始まりの物語 第五話
五 深広と後輩 「おっ!深広先輩!」 八重達が空の母、凪に空の過去を聴いた次の日、深広はボーッと考え事をしながら廊下を歩いていた。 「あ、木南か。」 深広を崇拝している数十人の中の一人である、木南哲が深広を見つけ、早速近寄る。 「名前覚えててくれたんですね!」 と大袈裟に嬉しがる哲に、深広は優しく微笑みかける。 「そりゃあね。こんな俺を崇拝してくれてるうちの一人だし。名前覚えるのも得意だからね。」 「ハハッ。ていうか、何考えてたんですか?ボーッとしてましたけど。」 まさかの事実に、深広が目を見開く。 「え、気付かれてた?」 誇らしげに哲が胸を張る。その様子を苦笑しながら深広が見ている。 「で?何考えてたんですか?」 哲の言葉に、深広は返事に困る。考えていたのは、丁度クビになった会社の事で、学校では働いている事は秘密にしている。特に禁止という訳ではないのだが、一応不良のボスの名を名乗っている以上は、真面目なところを見せて他の奴に自分の仲間を取られてはいけない。そんな事になれば、犯罪でもしかねない。この妖怪学校の不良達が他の学校の不良より行儀が良いのは、深広のお陰とでも言える。 「もしかして、好きな女の子の事とかですか?」 まさかの発言に、深広は思わず吹く。 「えっ⁉︎はぁっ⁉︎なんで⁉︎」 哲はどこまでも淡々と喋る。 「だって、いくら女子に興味無くても、俺らだって一応男じゃないですか、やっぱ好きな子とかはいるんじゃないかなぁ〜って。」 「いやいやねーよ!」 慌てて否定する深広を見ながら、愉快そうに哲が笑う。 「ハハ。てっきり深広先輩に恋人が出来たのかと思って期待したのに。このままじゃ一生独身ですよ〜?」 「もう独身で良いよ。」 楽しそうに笑いながら、哲は他の生徒に呼ばれ、そちらに行く。これで終わり⁉︎と思いながら、深広は哲に手を振ってその場を後にした。
七匹猫の始まりの物語 第四話
四 雲海空の過去 「ねぇ〜。空先輩の正体って、なんだろ?」 空と初めて会った時から早一週間。なぜかたびたび空と顔を合わせる事があったため、もう八重も空を怖いと思わなくなっていた。 「えぇ〜?何よ。急に。」 中庭で弁当をちまちま食べていた水月は、八重の疑問に顔を顰める。 「だってさ〜。運動、勉強も出来て、強くて、しかも学校一の美人だよ?絶対何かある。私らの事全部把握して置いて、空先輩の家の事とか私達全然知らないじゃん?裏を取れたらな〜。」 確かに、空は八重達の事を巧みな言葉使いでさっさと聞き出した割には、全く自らの事を話していないのだった。 「空先輩を一番よく分かってて〜しかもいつも何でも聞けそうな人って…。う〜ん。」 わざと考えているのか、本当に分からないのか、言いたくて仕方が無い水月が、とうとう痺れを切らして言う。 「ふ・ゆ・き・せ・ん・ぱ・い・が・い・る・で・しょ!」 「あぁ〜!」 ようやく思い出したといった様子の八重に、水月がボソッと「案外アンタって天然なとこあるよね。」と突っ込んだ。 「えぇ〜?空の事を知りたいって?」 いつも教室で他の生徒にノートを見せている冬木は、簡単に見つける事が出来る。てっきりすぐにOKを出すと思ったのだが、本題に切り出すと、冬木は難しい顔をして、う〜んと考え込んだ。 「正直言って、私もあまり知らないのよね。」 ようやく話し出すと思うと、冬木も空の事をあまり知らない様なのだ。まさかの事実に、二人はオーバーに驚いてしまう。 「うぇえええっ⁉︎で、でもでもでも!いつも一緒にいるじゃないですか!」 「一緒にいるからといって、空の事を何でも知ってる訳じゃないのよ。何か、思い出したくない記憶があるんでしょうね。」 はぁ〜。と残念がっていると、冬木が、「あそうだ!」と叫んだ。 「空の家に行って、空のお母さんに聞いたら良いんじゃないかしら?母親だし、空の事も何でも知ってるんじゃない?」 名案に、八重と水月はすぐさま賛成した。という事で、放課後に空の家に行く事になってしまった。空にバレては作戦が台無しになるので、なるべく会ったらさっさと隠れる事にした。 放課後。 「うわぁ〜。やっぱそうなんだ。」 八重と水月は、想像通りの豪邸に、驚くよりか呆れてしまう。まだ空は帰って来ていない様なので、今のうちに家に入る事にした。 「凪さ〜ん。来たわよ〜開けてくれないかしら?」 青龍を模ったドアノッカーを三回鳴らし、冬木がドアに向かって言う。 「はいは〜い。あら、冬木ちゃん、そちらの二人は?」 空と似ても似つかない顔をした、優しげな猫又が出てき、冬木達に微笑む。それを見て、八重は勝手に、「空先輩はお父さん似なのかも。」と思った。 「どうぞ。入ってちょうだい。」 大きな正面玄関の扉を開け、八重達を家の中に招く。 「わぁあああ!」 外見に劣らず、中も輝く様な装飾品ばかりだ。 「これ、一個どれくらいの値段がするんだろう。」 思わずその中の一つに近寄り、値段の想像をしてしまう。と同時に売れば何万になるのかも。 「こらこら。よその家なのよ。」 冬木はやはり入り慣れているのか、苦笑しながら八重に注意する。 空の母親が三人を連れて来たのは、巨大な客間で、豪華なお菓子に紅茶が振る舞われた。それを夢中で食べながら、八重と水月は早速本題に切り出す。 「え?うちの空の事を聴きたいの?」 流石のこの話題には、空の母親も目を見張る。 「はぁ。あの子、“あの人”の事、何にも話していないのね。」 「え?あの人?」 空の母親、凪は、ふふ。と悲しげに笑った。 「私、結婚に失敗しちゃったのよね。妖怪なのに、情けない。」 重い口を開く様に、ゆっくりと凪は話し始めた。 「あの人、空の父親である雲海気月は、空を引き取った一年後から、暴力をふるい出したの。雲海気月って言ったら、当時は有名なエリート戦士だったわよね。でも、家では全然。酒は飲むわ、ギャンブルに金を使うし、借金なんて当たり前だった。最初はまだ口を出せたんだけど、ある時から変わっちゃった。朝から晩まで私達の愚痴を言って、その罰みたいに殴って、顔に痣があるから、外出は許されなかったわ。私は従ってたけど、空は違った。体格が全然違うのに経験があれば、きっと当時の空と気月は互角だったと思う。でもねぇ、経験値では気月の方が上だから、大体負けてたけど、気月を見た最後の夜はちょっと違ったかしらね。」 「それって、空が殺されそうになった日の事ですか?」 冬木が、身を乗り出して凪に聞く。 「あの子、それだけは話してたのね。」 「話してたって言うか、ふんわりと。アイツアイツって言ってるから一回誰か聞いてみたんですよ。そしたら、『私の首を絞めた奴。』って言うから…。」 「はぁ。あの子、心の扉が硬いから。そこらの鉄の鍵では開かないのよね。」 参ったという様子の凪は、さらに話を進めた。 「最後に気月を見た日、空の方が勝ってて、気月は焦ってる見たいだったわ。それで、空の首を絞めたから、私が保護呪文でどこかにやっちゃって、二度と戻って来なかったって訳。」 八重と水月はずっと口を閉ざしていたのだが、話が終わると、水月が口を開けた。 「だから、家族の話も何にもしなかったんだね。空先輩。」 凪は、柔らかく笑うと、「もう一つ話さないとね。」と言い、空になった水月達のティーカップに、新たに紅茶を注ぎ、体勢を直した。 「空は、拾い子なの。」 「え?猫又は皆んな引き取られるんじゃないの?」 妖怪は、分裂して増える者もいるのだが、猫又は基本的に三十五を超え、猫又になり、また子猫になった猫らを“受け取り場”で先に猫又になっていた者が引き取るのが定番だ。しかし、凪の表情を見たところ、そうではない様だ。 「空はねぇ。猫鬼と猫又の混血だったのよ。森に捨てられて、泣きもしないでずっとジッとしている所を私達に拾われたの。黒中の黒みたいな濃い黒が、とっても綺麗でね。今になったら引き取らずに、孤妖院に入れた方が、幸せだと思うけど…。」 笑いながら話す凪は、悲しそうな顔をしていた。 「カラス見たいな空先輩がそんな小さい赤ちゃんだったなんて…!想像出来ん!」 水月が沈黙を破り、そう言った。八重も想像しようとしてみたのだが、どうしても想像出来ない。 「ふふっ。そうよね。」 と、冬木も笑う。その日は空を見る事が出来なかったのだが、次に見た時には、もう少し空の見方が変わっているかも。と八重は思った。 〈は〜い著者話のお時間ですよ〜!(面倒臭かったらそのまま画面閉じても大丈夫ですよ〜)では、今回は妖怪学校について話していこうと思います!妖怪学校では、何歳になったから入学、とかそういう決まりは無くて、戦士になりたければ入れます。服装も自由で、制服を着たければ制服、私服の方が良いなら私服で登校できます。八重と水月、深広は制服ですが、冬木と空は私服です。そいじゃまたね〜!〉
七匹猫の始まりの物語 第三話
三 妖怪学校の超絶エリート雲海空 「眠い。」 屋上で一人の猫又が、頭をぐらぐらとさせてそう呟いた。 腰下まで伸びている紺色の長い髪。美しい顔立ちに、勝色の大きな瞳にかかる長いまつ毛が、太陽光に反射してキラキラと輝いている。 「ふう。二時限まであと数十分あるし…。」 制服のポケットから、スマホを取り出して、時間を見ると、その猫又は考え込み、独りこぼした。 「寝ても良いか。」 寝る事にした、猫又の“雲海空”は、屋上で眠りに着いた。 「あ、ちょっと良いかしら?」 同じ屋上で隙間に入っていた、水月と八重の前に、一人の猫又が現れた。 「綺麗。」 と思わず八重が口に出す。白い髪を一房のゆるい三つ編みにし、優しげな目はアリスブルーに光り、柔らかな笑みが住み着いた口元には微笑を浮かべている猫又が、目の前に立っている。 「は、はい!なんでしょうか⁉︎」 急にビシッとし出す八重を見て、その猫又がふふっ。と優しげに笑う。 「あ、そうだ。私、文月冬木っていうの。貴女達のお名前も聴いて良いかしら?」 文月冬木と名乗る猫又が、八重達の名前を聴く。 「わ、私は睦月八重です。こっちが、私の親友の如月水月です。」 「八重ちゃんと水月ちゃんね。よろしく。」 差し出されて来たスベスベの手を握り返し、八重は思わず頬を染める。 「私の友達の、雲海空がどこかに行ってしまったのだけれど、見てないかしら?」 冬木の言葉に、すぐに八重と水月は声が出なかった。なぜかというと、雲海空はこの妖怪学校で知らぬ者がいないほどの有名人なのだ。 「うぇええっ⁉︎雲海空って、あの雲海空ぁっ⁉︎」 思わず大声を出した水月の口を、八重が塞ぐ。 「え、み、見てないです!」 しかし、そんな八重も驚きを隠せずに、声が震える。そんな様子を見て、冬木は残念そうにハァ〜。とため息を吐いた。 「全くもう。あの子すぐにどこかに行ってしまうの。猫だったのはとうの昔なのにね。クールで一匹狼で、しかも人の心も勝手に読んじゃう。駄目って言ってるんだけどね。あ、長い事付き合ってたら、とっても優しいって分かるんだけど、あの姿だから…。」 あの子。という言い方が、まるで母親の様で、八重はすごく仲が良いんだろうなぁ。と思った。 「あ、ありがとうね。折角の休み時間を無駄にしちゃってごめんなさいね。また機会があればお話ししましょう。」 八重の鼻頭をつんと優しく叩いて、冬木は去っていった。 「また機会があればお話ししましょうだって!やった!」 八重はガッツポーズをして喜んだのだが、水月は難しい顔をして、う〜ん。と唸った。 「多分来たよね?」 「え?」 水月の言葉に、八重が聞き返す。 「私ら、隙間に入って一分経たない時にさ、めっちゃ美人の女の子通ったじゃん?あの紺色の髪の子。可愛い顔してんのに、ずっと無表情だから印象に残ってんだよねぇ〜ってえ⁉︎私雲海空に会っちゃったのぉ⁉︎」 急に叫んだ水月に驚き、ビクッと八重は飛び上がった。 「静かに‼︎」 また、八重が水月の口を抑える。暴れる水月をそっちのけに、八重は冬木の事をじっとみつめていた。 「どこにいるんだろ〜?ちょっと静かにしててよ。見てる事バレるじゃん。」 不満気に文句を言う八重に比べて、水月はさらに不満そうな表情で八重の視線の席を追う。視線の先では、冬木が屋上の隣にある妖術学の教室の屋根を見つめて考え込んでいた。 「あ、そういえば。」 急に、水月が八重に耳打ちした。 「雲海空って、異空間を作れるらしいよ。」 「えぇっ⁉︎異空間ってあの⁉︎大人の猫又でも難しいヤツじゃないの⁉︎え〜と、確か物理呪文と異空呪文を掛け合わせて出来るんだっけ?一回試してみたけど、異空呪文しか出来なかったんだよね〜。空の色が変わっただけ。ピンク色に。異世界は空の色がピンク色なのかなぁ。」 異空間を作り出すのはとても難しい。無い物を作るのだから、それも当然のはずだ。 「ていうか、その異空呪文も結構難しい部類に入るんだけどね?」 生まれ付き妖力が周りの妖怪より強い八重は他の妖怪と比べて、妖力の話になるとオーバーな内容が多くなって来る。そのおかげで妖術学の成績は一位と二位を誰かと争うほどなのだが、そのせいで苦労も多い。 「あ、冬木先輩戻って来た。」 「先輩って…。」 流石に早過ぎる先輩呼びに、水月が思わず突っ込む。それを気にせずに、八重はじっくりと冬木を観察する。 「う〜ん。他に人はいないけどなぁ〜。」 冬木の他にいる妖怪は見当たらない。八重は残念そうにはぁ。とため息を吐いたのだが、水月はまだ冬木を見ている。 「ねぇ八重。あれ見て。」 水月が冬木の背中を指差し、言う。 「何よ。」 と言いながらも、八重は冬木の背中をじっと見る。そこだけ空気が濁った様に揺らいでいて、不気味な空気を醸し出している。 「わぁぁあああっ‼︎な、何よあれ⁉︎」 思わず出した八重の声に、冬木がビクッと驚く。 「どうやら。」 後ろで低い声がした。恐る恐る後ろを振り向く。 「そこらの雑魚とはちょっとばかし違う様だな。いつから見てた。」 「ピキャッ!すみませんすみません〜!」 八重が変な声を出した瞬間、声の持ち主、雲海空の表情が少しばかり和らいだ。 「その様子を見ると、そこらの奴らがぼやいた嘘の噂を信じ込んでいる様だな。」 しかし、なぜかすぐさま顔を顰める。ひゃあああ!と震え上がっている二人の所に、救世主の冬木がやって来た。 「あ、あら⁉︎空⁉︎ちょっと、勝手に人の心を詠むのはやめなさいって前にも言ったでしょう⁉︎もう何回言っても聞かないんだから!」 まるで母親の様な口調で叫ぶ冬木の声を、空ははいはい。と受け流している。 「ともかく、散らばっている噂のほとんどは出鱈目だ。信じない方が良い。その内、叩き潰してやろうと考えているところだからな。アイツらの仲間に仲間に入ったら口潰しに骨を二、三本折るぞ。」 ズイッと近付けて来る空の顔が怖過ぎて、二人は縮み上がりながら何とか頷く。 「よろしい。」 空は顔をまた上げると、冬木を一度睨み、そのまま校舎の中へと入って行く。九死に一生の体験をしたと思っている八重とは別に、水月はポッと顔を赤く染め、「あぁ〜かっこいい!」などと呟いているのだ。 「はぁっ⁉︎かっこいい⁉︎どこが!あんなの輩じゃないのよ!」 と喚く八重を睨み、 「あぁ〜あの顔。ずっと見てたかったなぁ〜。見てるこっちまで綺麗になりそ〜。」 と空を褒め称える。 喧嘩をしながらも一緒にくっついているので、遠目からは「仲良いなぁ。」とこっそり耳打ちされているのだった。 〈著者話〜!は〜い初めまして!著者のオルカです!七匹猫では、この著者話で余談や裏設定などを明かして行こうと思います!皆さんよろしくね!それでは初回の著者話も、め〜っちゃ余談で始めて行きますよ〜!冬木の後ろにいた黒い影は、空の妖術です。模倣術を使う妖怪除けば世界で唯一全ての妖力を扱える空は、瞳の色を変える事で、相手に『妖力変えたよ〜!』と合図しています。まぁ基本的に寝る事しか考えてないので、複数の妖力を使う事は滅多にないですね!ていうか見れたらラッキー。今後も空達について語っていきたいと思います!空の暗い過去や、その謎の出生源も分かるので、興味があれば見て下さい〜!そんじゃ!〉
七匹猫の始まりの物語 第二話
二 八重と水月 「ねぇ、アンタが睦月八重?」 授業が終わり、八重と水月が上履きからスニーカーに履き替えていると、女子軍のリーダーが声をかけて来た。 「知ってるでしょ。三衣。」 今まで楽しそうに水月と喋っていた八重は、あっという間にすんっと暗くなる。 「アンタなんて知らないし。ていうかさぁ。今日もまた深広君と楽しそうにベラベラ喋ってたでしょ。ムカつくんだけど?さっさとどっか行ってくんない?」 そんな時に役に立つのが、水月の喧嘩っ早さだ。素早く喧嘩を見つけると、八重の前に立ちはだかる。 「今すぐどっか行かなかったら、アンタの事巴投げするからね。」 水月は相撲が得意だ。特に巴投げが得意で、威力は凄まじい。 明らかに、三衣達の目にたじろぎが浮かぶ。 と。 「な、何それ。そんな脅し効かないから。どうせ強がりでしょ?全く。そんな事しないと私達に勝てないんだから。可哀想だよね〜。」 「アンタの方こそ強がりでしょ。人数がいないとそういう発言出来ないんだから。行こ。八重。」 水月が、八重の手を引いて、昇降口を出て行く。 その後ろを、また木宮三衣が睨んでいた。 「う〜ん。美味し〜い。」 ようやくリラックス出来る場所に行く事が出来た八重は、水月が言っていたレストランで、店員が持って来たショートケーキを食べていた。 「全く。三衣達も、よく飽きないよね。あんなつまんない事、すぐやめれば良いのに。」 と言いながら、水月は八重と同じショートケーキを一口食べ、紅茶で流し込む。 「仕方無いでしょ。運悪く、私が深広と隣の席の上に仲良いと思われてるから。必死なんだよ。私から深広取られないように。」 そんな口ぶりの八重を、水月は感心した様に見つめる。 「なんか、アンタ変わったね。どうしたの?目が覚めたとか?」 そう言う水月に、八重がやだなぁ〜。と困った様に笑って見せる。 「そんなんじゃないよ。ただ、誰かが貧乏くじ引かなくちゃ行けないんだよ。」 「ふ〜ん。」 そんな時、聞き覚えのある声が聞こえて来て、八重と水月は思わず耳を傾ける。 「ちょっ!何で僕がクビなんですか⁉︎」 「だから、言ってるだろ?お前まだ学園卒業してないし、今から来る奴は、普通学校も卒業して、来年でもう二百歳を超える。まだ妖怪として生まれてから十四歳しか生きてないんだ。新しく入って来る奴の方が余程安心して大きな仕事も任せられる。」 「え。」 八重が、声の持ち主に気が付いて、思わず声を漏らす。 「これ、深広だよね。」 水月も八重の方を見て、珍しく変な顔をしている。会話はまだ続く。 「それに、お前も今が大事な時期だ。戦士になったら、年収一億を超えたりもするんだ。だから勘弁してくれ。」 「そ、そんな事言われても!」 深広の声に耳を傾けず、相手の妖怪は去って行く。 「退職金は、銀行に振り込んで置く。お前は働きっぷりが良かったから、期待出来るかも知れないぞ。」 深広は、その背中を追う事も無く、声をかける事も無く、ただ呆然としていた。 八重も水月も、声をかける勇気が無く、会話を盗み聞きしているままだった。 深広はじっと俯いている様子だったのだが、しばらくすると、会計を済ませて店を去った。八重も水月も、気まずくて、ずっと黙っていた。 「おじちゃん。聞きたい事あんだけど!」 長い間沈黙をしている事が苦手な水月が、店の店長を呼んで聞いた。 「ねぇ、今来た男の子、常連?」 初めて来たレストランなのにも関わらず、自分が常連の様な口調を聞く水月に、八重はしばし感心した。 「あぁ、深広君かい?よく来るよ〜。なんでも病気持ちのお母さんの入院代稼ぐために仕事二つ掛け持ちしてるみたいで。」 「え…。」 思わず、八重が固まる。珍しく水月も、硬い顔で店長の話を聴いている。 「感心するよねぇ〜。あの歳でろくに遊びにも行かずにずっと働いてるって。あんな息子が一人いたらねぇ。是非ともうちのバカ息子と取り替えて欲しいよ。」 と言いながら、店長はずっと暗い表情の二人から離れて注文を受け付けたりし始めた。 「私達、あんな感じで良いのかな。」 沈黙を破り、八重がポツリと言った。 「は?どゆ事よ。」 水月が顔を顰めて八重に聴く。だから。と八重が説明し出した。 「深広にあんな毛虫に対する様な態度で良いのかなって事だよ。家庭のストレスと私らのストレスで自殺しかねないよ。そうなったら困るし。」 「う〜ん。それは…無いんじゃない?」 「え?」 八重の話を聴いていた水月が、ケロッとその考えを否定する。 「無い。アイツに限ってそれは無い。ていうかアイツ私達と会話すんの楽しんでるよ。絶対。じゃなきゃ三衣達があんな私らに絡まないもん。」 「あ、そっか。」 水月の説明が分かりやす過ぎ、八重はなぜか妙に納得してしまう。 「ていうか、アンタ鈍感過ぎ〜!女子名乗ってるんだからそれくらい気付きなよ!」 「水月も鈍感でしょ。」 その日は大いに会話を楽しみ、二人は家に帰った。