復讐代行

復讐代行

完結です。 人々が復讐したいと望んだ時、報酬が『自身の寿命』だったらどうするーー? チャプターエンド1から6まで投稿しました。

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しん

アラフィフおばばですが、頭の中は小学2年生。好きな小説ジャンルはファンタジー。魔法とか大好きです。 pixivはhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=18759061

チャプターエンド4

チャプターエンド4 「話にならんな」  シンはつまらなそうに舌打ちをする。 ***** 『…条件がある』  苦渋した様に呟くゼウス。 「何だ?」 『…お前のやり方は問わない。本当に悪しき者だけ消して良い。その代わりこの仔を使ってくれ……』  疲弊したゼウスと共に、再び姿を現す神門穢流(みかどえる)。 「神門穢流と申します」  シンの前に立つと恭しくお辞儀をする穢流。 「ふん…」  シンは穢流を一目見て嫌悪な表情を見せた。 「『やり方は問わない』割には、この女を監視役にするんだな」 『どうとでも言うが良い』  投げやりな声色で言い放つゼウス。 「まあいい。俺は俺の好きにさせて貰う」  吐き捨てると同時にシンは、その空間から霧散するように姿を消した。  ――残されたのは、神門穢流(みかどえる)と名乗った女性の姿を成した【大天使ミカエル】だけだった。 「…御父様……」  虚空を仰ぎミカエルは哀しげに呟く。 『ーー良いな? 愛する我が仔よ。あの者から目を離すで無いぞ?』 「はい。心得ております、御父様」  ミカエルは誇らしげに微笑を浮かべ恭しくお辞儀をし、彼女もまた淡い光を残し粒子の如くその場を後にした。 『…何故、【アレ】がこの世に放たれたのだ? 何とも厄介な揉め事が起きなければ良いがーー』  真っ白な空間に、大神ゼウスの忌々しい呟きだけが木霊していた。

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チャプターエンド4

チャプターエンド2

チャプターエンド2 「さて。どうしたもんか…」  シンは真っ白に輝く虚空を見上げ小さく呟く。自身が【産み出した】空間は非常に心地良い。 *****  暫しその心地良さを堪能するべく足を一本前に踏み出した。するとシンの身体は、人が歩く様に交互に足を踏み出していく。 「成程。『奴等』の玩具だな、これは」  何とも可笑しそうに笑いつつシンは当ても無く歩みを進める。 『…何故、お前がその姿を成している?』  突如、空間に【声】が響いた。 「…気付いたか」  立ち止まり不敵な笑みを見せるシン。少し上を向き虚空を眺めて、 「まあ『気紛れ』だろうな」  厭らしく微笑んだ。 「貴様等の『真似事』でもして見せようか」 『…何?』  響く【声】に若干の焦りが入り混じる。 「悪い事をする玩具(おもちゃ)にはお仕置きが必要だろう?」  愉快そうに笑うシン。 『……』 【声】は敢えて何も言わずにいる。 「貴様等が丁重に扱う玩具は何やら意思があるらしいな?」 『……』  シンが虚空を見上げ呟くが【声】は答えない。 「意思があり自念(じねん)もあり、終始転生を繰り返す玩具ーーさぞかし遊び甲斐がありそうだ」 『…この仔を連れて参れ』 【声】がそう静かに言葉を紡ぐと、シンの前に一人の女性が現れた。 「…神門穢流(みかどえる)と申します」  そう名乗った女性は丁寧に会釈をする。 「…邪魔だな」  シンは神門穢流を一瞥すると吐き捨てる様に呟いた。

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チャプター11の6

チャプター11の6  つまらなそうに呟くシン。何かに気付いたのか穢流の方を向き、 「俺の好きにさせて貰う」  挑発的な視線を穢流に投げつけたのだった―― *****  ――とある病院の一室。  実母の遺体を確認した後、御堂筋美琴(みどうすじみこと)は部屋から出て張り詰めていた緊張をほぐす様に短い溜息を吐いた。 「…これで、良かったの…よね…?」  扉を背にして寄り掛かり自身を安堵させる様に呟いた。 「お前は、後悔しているのか?」  突如聞こえた声に、美琴はハッとして俯かせていた顔を上げる。 「…貴方…どうしてここに……」  吃驚して呟く美琴の視線の先にはシンがいた。 「約束通り依頼は遂行した」 「ー…ッ」  シンが端的にそう言うと、ビクリッと肩を震わす美琴。 「…わ…分かってるわよッ。ほら、早く報酬の寿命を取りなさいよ!」  半ば投げやりになって、美琴はシンに捲し立てる。 「そう喚くな、五月蝿い」    ウンザリした様に言うシン。 「ここは病院だろう。静かにするのがマナーではないのか?」 「……」  端的に言うシンに対し美琴は眉を顰めて黙り込み、 「貴方に、常識を問われるなんてね」  肩を竦めて苦笑した。

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チャプター11の5

チャプター11の5 「たった五年で憎むべき奴に復讐出来るんだ。安いもんだろう?」 ***** 「そう、ね…」  美琴はどこか不安気に頷いた。 「…もしかして怖気付いたのか?」  そんな様子の美琴がこの先どうなるかを【視て】いるシンは、敢えて彼女にそう聞いてみた。 「…いえ、そうじゃなくて」  美琴は小さく言って首を横に振る。 「此方(こちら)も慈善事業じゃあない。気に入らなければ他所(よそ)に行くんだな」  シンは少し痺れを切らした様に端的に言って退けた。 「…復讐は、して欲しいのよ。…ただ何故五年なのかって思っただけ」  半ば呆れ混じりに美琴は小さく笑う。  踏ん切りをつけたかの様に立ち上がり、 「それでは。依頼の方よろしくお願いしますね」  無理矢理に笑みを作りその場を足早に去って行った。 「……あの子は、少し勿体無いわね」  それまでシンの傍で人形の様に立っていた神門穢流(みかどえる)は興味深しく美琴が出て行った扉を眺めていた。 「まあ『奴等(やつら)』らしくて滑稽ではあるがな」  つまらなそうに呟くシン。何かに気付いたのか穢流の方を向き、 「俺の好きにさせて貰う」  挑発的な視線を穢流に投げつけたのだった――

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チャプター11の4

チャプター11の4 「…私は、御堂筋美琴(みどうすじみこと)」  ゆっくりと自分の名を告げる。 ***** 「この女に復讐したいの。これでもかっていうくらい酷い目に合って後悔しながら死んで欲しい」  強い復讐心をその瞳に宿しつつ美琴は忌々しげにそう言った。  シンはようやく口端に笑みを浮かべ、 「成程」  と、可笑しそうに呟く。 「次に報酬の件だがーー」 「……ッ」  シンがそう言うと美琴は片眉を少し跳ね上げて、 「…お金、は……少ししかないのだけれど…」  気まずそうにバッグから薄い封筒を取り出しテーブルに置いた。 「…報酬は金じゃない」  毎度の事ながら自身でも嫌になるが、シンは面倒臭そうにかぶりを振り、 「報酬はお前の寿命だ」  依頼者に【間】を持たせず端的に言って退けた。 「…どう言う、事…?」  訝しい表情を見せる美琴。差し出した封筒は取り敢えずバッグに戻した。 「寿命って、私の『命』って事?」 「…それ以外に何がある?」 「……それはまあそうだけど…」  そう言う美琴は少し納得出来ない様に呟いた。 「…五年だ」 「五年?」  シンが明示した期間をおうむ返しに聞き返す美琴に対しシンは小さく頷き、 「お前の寿命五年と引き換えに依頼を引き受けよう」 「……」  厭らしく笑うシンに若干の恐れを感じた美琴は小さく身震いをした。 「たった五年で憎むべき奴に復讐出来るんだ。安いもんだろう?」

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