霞上 千蔭
24 件の小説霞上 千蔭
大学生です 思いつくまま心のままに書いています 気まぐれなので不定期更新です 拙い文章ですが読んでくださると嬉しいです フォロー、いいね、コメント喜びます Twitter: @chikage_novel https://note.com/chikage__novel
恋
知りたくなんかなかった わかってしまうのが怖かった 出逢えば呑まれてしまうって知っていたのは もうどこかで見つけていたからだ きっともうわかってる けどまだわからない 私の中の何かがそれを拒むのだ けれど今もこんなに貴方を求めるのは 私の頭か、心臓か それともこころというやつか
プロポーズ
ただ君におはようって言いたいんだ 行ってきますって言ったら 行ってらっしゃいって言ってほしい ただいまって言ったら おかえりって抱きしめてほしい おやすみって言ったら おやすみって笑ってほしい そんなすごくシンプルで でもすごく贅沢なことを 君に望んでもいいですか
逆光
きっと私達は互いの顔が見えていなかった 背中に当たる光を言い訳にして 見ることに 見せることに怯えていた さよなら 一緒に光の差す方へと歩いていける そんな人とあなたが出会えますように
夢
枕へと流れた涙をごまかすように 隣で眠る君に抱きついた まだあなたを思い出してしまうけど いつか夢の中までも 君でいっぱいになりますように
海の底で
もしあの海に身を投げたなら何が見えるだろう 空気のかわりに海水で身体を満たして 海の底へと沈んでいきたい そこから見る光はどんな色をしているだろう 遠く 弱くなっていく光を見ながら 海の底で死んでいきたい
どうして
あなたに似合う人になりたい 自信を持って隣に並びたい 私の願いは届かなかった 私の努力は届かなかった 私の言葉があなたを傷つけた あなたの言葉が私を傷つけた あなたは私を責めた 私も私を責めた 私なんかもうどうなったっていい そんなふうに思っていたの 君は私を肯定してくれた 君は私を好きだと言った 私は“好き”が怖かった 私は“好き”がわからなかった 君のまっすぐに応えられるはずなかった 私はまっすぐに返せないから まだ怖い もう嫌だ 忘れられない 認めたくない なのにどうして 君に惹かれていると気づいてしまったの
箱
私はからっぽのまま完成してしまった からっぽなら何かを入れればいい 誰かがそう言ったけれど 閉じられた蓋はもう開かないと私にそう言っている 周りを覆って 色を塗って まやかしの彩りで誤魔化したって 中を覗いたら何一つだってないことを 私だけは知っているの いっそ、未完成のままならよかったのに
恋した少女のつぶやき
誰よりも大切だった 誰よりも大好きだった 私を見る優しい目と 私の名前を呼ぶ少し低い声と 私を抱きしめる細い腕と 私をからかっていたずらっぽく笑う顔と あなたがちょっとだけ気にしていた細い目も 笑ったときに端がくるんって丸まる口元も かわいくて愛しくて仕方がなくて 私が好きだったあなたは、どこに行ってしまったのかな あなたを信じていたの どんなに不安になっても どんなに苦しくても どんなに寂しくても あなたが幸せならそれでよかったの でもあなたはそうじゃなかったんだね そうじゃなくなったのはいつから? 私に嘘をつくようになったのはどうして? 私はどうしたらよかった? そう考えてしまうけれど きっと、どうすることもできなかったってわかってるの ねぇ、私もう好きって気持ちが怖いの いつか失ってしまうなら、最初からいらないって思っちゃうんだよ あなたのせいだからね 大嫌いだけど大好きで、心から愛した人 さよなら
君だけがいない世界
-本編は次頁から始まります- 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 珈琲を飲む。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 その中に君だけがいない。 ある日、世界から君だけが消えた。 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 珈琲を飲む。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 君がいないから余計にそう思うのかもしれない。 もういない君の姿を、僕は今も探している。 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 珈琲を飲む。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 君と二人で見た海に沈む夕日。 あの日見惚れた君の横顔を、僕はもう思い出せない。 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 珈琲を飲む。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 君と二人で飲んだ朝の珈琲。 今日も頑張ろうと笑いあった日々が消えていく。 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 君によく似合っていた名前。 愛しかったはずの言葉は、今はもう口にすることすらできない。 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 忘れたくないはずの君は、もうその声しか残っていない。 僕の名前を呼ぶ君の声を浮かべると、あたたかいのに少し哀しくなった。 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 僕にはいつか、とても愛した人がいたような気がする。 本当にいるかもわからない「君」に、僕はそっと思いを馳せた。 目覚ましが鳴る。 冷水で顔を洗う。 スーツを着る。 髪をセットする。 猫に餌をやる。 いつも通りの憂鬱な朝だ。 さあ、今日も仕事へ行こう。
私のなかみ
みんなと同じでいたいのに みんなと違うものを求めてる 消えてしまいたいのに 明日死ぬことを恐れてる 自分が大嫌いなのに 自分のことしか考えられない 愛されたいのに 誰かの愛から逃げ出したくなる 大切にしたいのに 突然全部壊したくなる 誰にも傷ついてほしくないのに 自分の痛みをわかってほしい 辛いって声に出すけど 周りに聞かれるのは嫌で 誰かに助けてほしいのに 自分なんか放っておいてほしい こんな私を あなたはおかしいって言うかな 矛と盾よりずっとぐちゃぐちゃで まったく違うふたつの気持ちが 私の中にすんでいる