mari
17 件の小説線香花火の願い事
「線香花火が最後まで残ってたら願いが叶うんだって」 昔誰かがそんなことを言っていた 仲良しの男女グループで手持ち花火をする 勢いよく火が出る花火、色が次々変わる花火。沢山やって沢山笑った。 最後はやっぱり線香花火。 「はいこれ」 と彼が私に線香花火を渡してくれる 「あ、ありがとう」と小さく呟く (ありがとうくらいしっかり言いなさいよ‼︎私のバカバカ‼︎) 心の中で自分の頭をぽかぽか叩く 「線香花火、誰が最後まで残るか競争しようよ」 一人がそんなことを言う みんなが「賛成‼︎」と声を上げ 「じゃあ行くよー。いっせーのーでー」 「「スタート」」 ほぼ同時にそれぞれの線香花火に火が点く 「あーー揺らしちゃったよ」 「終わっちゃった」 「もうちょっとだったのに」 みんなが脱落する中、残ったのは私と『彼』だけ 「いい勝負だな」 「どっちが勝つかな」 そんな周りの声は少し遠く感じる だって今私は彼の隣にしゃがんでいるんだから。こんなに近い距離で。 心臓の鼓動だけで手が震えて線香花火の火が落ちてしまいそう 「あ、終わった…俺の負けー」 彼の声が聞こえる 「わ、私が一番かーやったー…」 少し不自然になってしまうくらい緊張の時間だった 彼はみんなと話している 私は少し離れたところから彼を見る (「線香花火の火が最後まで残ってたら願い事が叶う」…か。もしそれが本当ならこの気持ちが実るかもしれないって期待してもいいかな…) 夏の夜の気温のせいだけじゃない暑さが顔を覆う まだ、誰にも気づかれていないはずの熱だ
七夕の願い事
「この短冊に願い事を書くんだよ」 お母さんは僕に紙をくれる 「何を書いてもいいの?」 「いいよ。うまく書けるかな?」 僕は一生懸命書いた 『サッカーがもっとじょうずになれますように』 紙いっぱいに書いた ちょっと最後の方は小さくなっちゃったけど、お母さんは 「すごいじゃん。大っきく書けたね。きっと叶うよ」 って頭を撫でてくれた へへへと嬉しくなる 「お母さんはどんなお願いしたの?」 僕はお母さんの紙を見た 漢字が多くてなんて書いてあるかわからない 「これ、なんて書いてあるの?」 僕はお母さんに聞いた 「これはね、『ずっと家族が元気で過ごせますように』って書いたんだよ」 って笑顔で言った 「自分のお願い事じゃないの?」 僕には不思議だった。 だってせっかくのお願いなのに家族のことなの?って思ったから 「これがお母さんの心からのお願いだからいいんだよ?」 お母さんはそう言った 僕はなんだか納得できない 「もう一枚書いてもいい?」 お母さんに聞いた 「いいよ?お願い事沢山あるんだね」 紙をもらってさっきよりも丁寧に書いたんだ 『おかあさんがずっとえがおでいられますように』 その紙を見てお母さんは少し照れたような顔をして「ありがとう」ってギュッてしてくれたんだ きっとこのお願いは叶うよね? だってお母さんが『ギュッ』てしてくれたんたから
暑い日のアイス
「暑いよー」 炎天下から帰ってきたら僕は汗でびしょびしょ お母さんは「早くお風呂入っちゃいなさい」って言うんだ ちょっとくらい休憩させてよ‼︎ 「早くしなさい‼︎」 って怒るから、僕は渋々シャワーをする とはいえ汗を洗い流してスッキリだ 「ふっーー、サッパリしたー」 体をほくほくさせて冷房の効いているリビングへと行く (いいなぁ、お母さんはクーラーの部屋にずっといられて) そんなことを思っていると、お母さんは台所でご飯を作りながら汗を拭っていた 「ふぅーあっついあっつい」 お母さんは料理がひと段落するとこっちを見た 「あ、お風呂気持ちよかったでしょ?アイスが冷凍庫にあるから食べな」 自分も汗だくなのに笑顔で言うんだ 「わーーい‼︎アイスー‼︎」 僕はアイスを箱から出した 一つは僕のやつ。もう一つはお母さんのやつ。 「お母さんも休憩して一緒にアイス食べよう?」 お母さんは少し驚いた顔をしたあと 「そうだね‼︎ちょっと休憩‼︎一緒にアイス食べようか」 って嬉しそうに言ってくれた 二人でクーラーの効いた部屋で一緒にアイス。 暑いのは苦手だけど、この時間は大好きだ
カラフルかき氷
「これ、何する機械?」 お父さんが持ってきた機械に僕は興味深々だ だって上に回すところがついてるんだよ⁉︎おもしろそう‼︎ 「これはかき氷を作る機械だよ、ここに氷を入れてこのハンドルを回すんだ。そうするとかき氷ができる」 お家でかき氷が食べられるなんて‼︎ 僕は本当に嬉しかった。お祭りやお店でしか食べられないと思ってたから。 「シロップも色々買ってきたから一緒にやろう‼︎」 機械に氷をガラガラと入れてハンドルを回す 少し硬くて回しにくいけどお父さんが抑えてくれてなんとか回せた シャリシャリとお皿に雪の山ができていく それだけですごく楽しい 雪の山が大きくなるとお父さんが 「さあ、どのシロップをかける?お店じゃないから色々かけてもいいぞー?」 そう言われて本当にワクワクした だって色んなシロップを一つのかき氷にかけられるなんて夢みたいだもん 「じゃあ苺とメロン‼︎」 お父さんは沢山かけてくれた 「お父さんはレモンとブルーハワイにしようかな」 お父さんのかき氷も完成だ 「「いただきまーす‼︎」」 「両方の味がする‼︎」 僕は初めての経験で本当に楽しい 「あーーー頭がキーーンってしてきた‼︎」 お父さんは頭をトントンしている しばらく食べて顔を見合わせる 「そろそろだな」「うん‼︎そろそろ‼︎」 僕たちはいっせーのーでーと声をかけて 「「べーーーー」」 と舌を出す 「お父さんのベロ変な色ー‼︎」 「お前のベロだって変な色だぞー‼︎」 普段のかき氷では絶対にならない舌の色 お家でやるからできる特別な色 「また次は違う色で試してみようね」 僕の言葉にお父さんはニカっと笑った
「できなーーい」とべそをかく君へ
「できなーーい‼︎」 とべそをかきながら電車のおもちゃを持ってくる君 「もー。さっきもつけてあげたばっかりでしょ?自分でできるようになりなさいよー」 と言いつつやってあげる私 きっと君はすぐに自分でできるようになるね お着替えも、歯磨きも、トイレも もちろん電車のおもちゃを繋げることもね どんどんママの力を借りなくても、一人でなんでもできるようになる君を嬉しく思いつつ寂しく感じることもあるよ だからね、君が「できなーーーい‼︎」ってママを頼ってくれる間はなんでも力になってあげたいと心から思うよ
夕飯の匂いと、口いっぱいの幸せ
「あっっっちーーな‼︎おい⁉︎⁉︎」 母は揚げ焼きの跳ねる油と格闘中だ 「晩ごはんできたからおもちゃ片付けなさーい」 母の声と美味しそうな食事の匂い まだ中身はわからないけどお皿からふわふわと湯気が立ち上っている 僕は急いでおもちゃを片付けて食卓に着く 「えー⁉︎またこれなの?」 そんな風に文句をいう僕。 「文句言わない。好きでしょ?これ。」 「むーーーー」と僕は頬を膨らませて不満顔 そんな日常の食卓。 文句を言いつつ僕はやっぱりこれが好き。 「おかわりしたーい‼︎」 僕がそう言うと母は「はいはい」と言いつつ嬉しそうだ 母が持ってきてくれたおかわり 僕の口の中は「幸せ」で一杯だ ずっとずっとこんな風にみんなでご飯が食べたいなと思う
私の「光」
きっと君は覚えていないのだろうね。 君が私のところに来てくれた時、どれだけ嬉しくて涙を流したかを。 一つ前の「光」を失った私には、君は本当に本当に何よりも失いたくない「希望」だったんだよ だからね。君のためならなんでもできる。 忘れないでね。「あなたは私の『光』そのもの」だということを。 私の「生」が終わるまで、いえ、終わっても。あなたは私の「光」です。
千日目の君へ
君は秋なのにとても暑い日に出てきたね。 とっても痛かったけどそんなものは君に会えたら吹っ飛んでいったよ。 あんなに細かった手も足もすぐにぷくぷくになったね。 君はよく笑いよく泣く子で、ママも沢山泣いたし笑ったよ。 寝返りをし始めて布団から転げ落ちる君も、離乳食を始めて「はやくはやく‼︎」とせがむ君も、ハイハイをし始めて部屋を冒険する君も、つかまり立ちをして後ろにひっくり返った君も、歩き始めて色んなところに行きたがる君も、走ることができるようになって、もっとわんぱくになった君も。 全部全部大変で愛しくて輝いている。 これから君の未来は無限に広がってる。 辛いことも悲しいこともあるかもしれないね。 でもママもパパも君の味方です。 ずっとずっと味方だからね。 これからも君らしく輝く笑顔で成長してください。 -ママより-
残火の誓い スピンオフ 「その言葉は誰がために」
またしてもこの町に不穏な気配が近寄る… じゃあ、お弁当届けに行ってきます‼︎ 雪菜が女将にそう告げて大樹の店へと出かけていった (気持ちが繋がってから本当に前よりももっと生き生きしてるわね。かわいいわ‼︎雪菜ちゃん‼︎) 女将は雪菜の楽しそうな姿を見て嬉しくなる 雪菜は、はやる気持ちを抑えられずかなりの早歩きだ (えっと、今日のお弁当は大樹の好きなもの沢山入れたし…あ、私前髪変じゃない?あーもっとおしゃれすればよかった…) そんな気持ちで頭がぐるぐるしている そんなことを考えているとあっという間に大樹の店へと到着する 店へと入る前に少しだけ身だしなみを整えて… こんにちは……ん? (なんだかお取り込み中?) 中には少し苛立った顔をしている大樹と見知らぬ男が一人。 だから‼︎無理だって言ってんだろ?いい加減にしろよ‼︎ 大樹の苛立っている声が響く まったく…私の注文が聞けないと?ちゃんと金も払うと言っているのに。これだから「親のいない拾われ子」は… 男のその言葉を聞いて、雪菜はつかつかと店へと入り大樹の前へと姿を現す。 大樹、お弁当持ってきた。今日は好物を沢山入れたよ‼︎ 完全に男の存在を無視して大樹に話しかける な、なんです?あなたは‼︎今は取り込み中です‼︎ 雪菜は男の方を向く 彼女の美しさに男は息をのんだ 雪菜は無表情のまま あなたのような無礼な人に割く時間は彼にはありませんので。お帰りください。 と冷たく言った 男は悔しそうに ま、また来ますから‼︎今度こそ受けてもらいますからね‼︎ と捨て台詞を吐いて帰っていった 二度と来んな 雪菜はボソッと呟く 大樹はそんな雪菜を見て驚きつつも自分のことで怒ってくれたことに感謝して彼女の頭にぽんっと手を置く ありがとな。 大樹は優しく言った 雪菜はその手の温度を感じながら大樹に微笑みかける さ、弁当もらうかな‼︎好物入れてくれたんだって?楽しみだ‼︎ 大樹はそう言って包みを開けて食べ始める しかし、雪菜はまだモヤっとしていた。 大樹は然程気にしていないようだが、大切な人を貶めるようなことを言われて黙っていられるほど雪菜は寛容ではない …さっきの、何? 雪菜はまるで周りが凍ってしまうかのような声で大樹に聞いた あー…お前は気にしなくてい… 「さっきの何?」 ここまで怒っていると言わざるを得ない 大樹は口を開いた あいつはこの町に最近来たやつでな。都から来たんだと。俺に刀を作ってくれって依頼しに来た。 でも断ってたよね? ああ。その依頼が「強くなれる刀」でな。 …は?強くなれるって…どういうこと? 雪菜は意味がわからない。 強さは本人のものであって、刀などの武器はその力を「補助」してくれるだけなのだから。 そのままの意味だよ。「それ持ったら強くなれる刀」を作れって依頼だ。だから断った。そんな刀は作れねぇってな 大樹も呆れのため息を吐く また来るって言ってたね。 ああ。めんどくせぇな。 大樹の目がじとっとなる でも何のためにそんなものを欲しがってるのかな? 雪菜の素朴な疑問だ さあな。興味ねぇ。 大樹はますます目をじとっとさせる 次の日 その男…「三柳」は再び大樹の店へと向かっている (今日こそ依頼を受けてもらう‼︎今日こそは‼︎) 随分と気合が入っているようだ お邪魔する‼︎ 三柳の声が店に響いた 大樹の「うへぇーーー」という声が聞こえるようだった。 その場にいた他のお客も大樹の顔を見て (あ、今から面倒が起こるな)と感じ取り帰っていった なんだ‼︎その顔は‼︎それがお客に対する顔か‼︎これだから「拾われ子」は‼︎ 大樹は三柳の言葉には一切動じない。 (お客にする顔じゃないのも拾われ子なのも事実だしな) とカラッとしている で?何のようだ? そんなことわかっているだろう‼︎「強くなる刀」を作れ‼︎ 大樹は、はぁーーーと全身の空気をため息へと変換した だから、昨日も言ったよな?「そんなものは作れない」って。不満があるなら他を当たれよ。ま、どこへいっても同じだと思うがな。 大樹がじとっとした目で言った 貴様の力量が足りないからだろう⁉︎ 三柳は興奮しながら詰め寄る そう思うなら違うところ行けって。俺にはそんな刀は作れない。 大樹はできるだけ受け流す 三柳はぐぬぬとなりつつ語気を強めて大樹に言う あの刀‼︎あの、「篝の当主」が持っていたのはお前が作った刀だろう⁉︎そう聞いている‼︎ 大樹の眉が少しだけ動く だとしたら? 暗くて低い声だ 私にも同じものを作れ‼︎そうすれば私はやつと同じ‼︎やつを超えられる‼︎やつは死んだからな‼︎これからは私が‼︎ は? 大樹はキレる寸前である 「これからは私が」…なんだ? 大樹の言葉が怒りをこれでもかと含んでいる だが三柳は自分のことで精一杯でそのことに気がついていない 私がやつのようになるのだ‼︎町の人気者、綺麗な奥方‼︎誰からも信頼される立場‼︎ そうそう、昨日の彼女。あんなに美しい女性は見たことがない。私が篝のようになった暁には彼女を娶ろう‼︎ 三柳は大樹の地雷をすでに二つ踏んでいる。 もう引き返すことは不可能である もう…喋るなよ…お前。 大樹は低く暗く言い放つ 何だと? 三柳は不服そうに大樹を睨む お前が旦那と同じになれるだと?ふざけてんのか?旦那がどんな人だったか知ってるのか?仮に知ってて言ってるならお前の目は節穴どころか付いてないな。 な、何だと⁉︎ 旦那がどれだけの人の心を救い、どれだけの人の支えになり、どれだけ人を導く「篝火」だったのか…お前にわかるのか?表面…いや、表面すら見えてないお前じゃ百万回生まれ変わったって旦那のようにはなれねぇぜ? 「あとな」と大樹は続ける 雪菜のことを「装飾品」みたいに言うんじゃねぇ…。あいつはお前なんかが手を出していい女じゃねぇんだよ‼︎俺の一番大切な人だ…今度同じこと言ってみろ?殺すぞ。 大樹の目は本気である それでも三柳は口を開く。ある意味折れない心を持っている か、彼女が私を選べばいいわけだろう⁉︎ そうすれば君は文句など言えなくなる‼︎ こんな小さい店の主人なんかよりよっぽど私の方がいいに決まって…‼︎ 三柳がそんな言葉を口にした瞬間、フワッと髪を風に靡かせて店へと入ってきた人物がいた あ‼︎君は‼︎ 三柳の瞳が輝く。まさに彼が手に入れたいと思っていた人物。「雪菜」がそこへ現れたのだから。 しかし雪菜は以前と同様彼を完全に無視して大樹の前に立ち弁当を渡し、世間話をする。 彼女が現れたことで大樹の瞳も元に戻っている 君‼︎私の所へきてくれ‼︎ 三柳はまだ折れていない様子だ 雪菜はそれまで大樹とにこやかに話していたが急に表情がなくなり目もじとっとした。そして三柳の方を向く …私は人のことを「所有物」のように扱う人間が一番嫌いです。ずっと外で聞いていました。大きな声でしたから。それにあなたは彼の大切な恩人も、誇りを持っている仕事も侮辱した。そんな人になんてついていくわけが無いでしょう? 三柳はバッサリと斬られてしまう し、しかし‼︎ まだ三柳は食い下がろうとする はぁーーーー と雪菜はため息を吐いた もう、言葉は選びませんね。 …二度とここへ来るな、ど三流が 低く、氷のように冷たい言葉で言われ三柳は逃げ帰っていく はぁ。ああいうのに絡まれやすいのかな?私…。 先ほどとは打って変わって柔らかい雰囲気だ 大樹は苦笑いをする そして… 雪菜 と大樹は彼女を呼んだ そして彼女が振り向いた瞬間に額へと唇を落とす ありがとな。俺のために怒ってくれて。 大樹は優しくほほえむ 雪菜の顔はぼんっという音をたてそうなくらい一瞬で真っ赤になってしまった な、ななななな‼︎な、なな‼︎ 雪菜は言葉にならない どうしたんだよ?壊れたからくり人形みたいだぞ? 大樹は乙女の機微をわかっていない そ、そそそ、そ、そ、 そ? そういうこと、他の子にもやってきたの⁉︎ 雪菜が恥ずかしさから目に涙を溜めて言ってくる …は?そんなわけねぇだろ? お前が初めてだし、今後もお前だけだ。 大樹はあっけらかんと言う ☆♪→+€3^」5€6#+*0]¥〜‼︎ 雪菜の言葉にならない叫びが店に響き渡った。 きっと彼らはずっとこんな感じ。 ずっと初々しさを持ったまま一緒に進んでいくのだろう ーおしまいー
残火の誓い スピンオフ 「気づいて」
最近大樹は疲れ切っている。その理由は 大樹様ーー‼︎今日もお弁当作ってきました‼︎ この金切り声だ。 この声の主は「れんげ」。この町の呉服屋の娘だ。 彼女、かなりの箱入り娘でありあまり街には出かけない。屋敷の中で全てが済んでしまうというお嬢様である。 そんな彼女がなぜ大樹にご執心なのか…それは1ヶ月ほど前の出来事に遡る その日はたまたまれんげが街へと出かけていた。 この町の祭りがあったからだ。 とっても人が多いわね…。もう‼︎全然演舞が見えないじゃないの‼︎ 彼女は普段出かけないことも相まって早々に泣き言を言ってしまう ちょっとそこのあなた‼︎演舞が見えないわ‼︎どいてくださる? はぁ?何言ってんだよ姉ちゃん。そんなのみんな同じだろ。俺がどいたところで見えないしな。 れんげはそう言われてしまってむぅーーーと頬を膨らませる その祭りの演舞。 刀を使ったものであるがその刀は大樹が打ったものだ。 前の刀―大樹のお師匠が作ったものも素晴らしいものだったがこの刀も引けを取らないできである。 10年に一度、刀を新しくするという伝統であり、舞を奉納するのがこの祭りである。 んんーーくぅーーー‼︎とれんげは何とか頑張って演舞が見えるところまで進んできた はぁ‼︎やっと舞台が見えるところまで来れたわ‼︎ さぁ‼︎どんな演舞が見えるかし…ら… その舞はれんげの心を掴んで離さなかった 舞っていたのは――大樹である ――― 本来なら大樹が舞をする予定はなかったのだが、舞手が見つからず大樹がすることになった。 祭りを仕切るおやっさんにどうしてもと言われてしまったのだ えーーー⁉︎俺⁉︎なんでだよ‼︎ お前しかいないんだよー。見栄えもいいし、背格好も様になるしよ…。 知らんわ‼︎あ、舞なら女性の方がいいんじゃねぇの?雪菜、舞えるぞ。あいつに頼めよ。 普段の祭りなら女性の舞手でも問題ないんだが、刀の奉納の時は男がやるって伝統なんだよ。だからさ‼︎頼むよ‼︎ そんなこんなで大樹がやることになってしまったのだ ――― (なに?なんなの?あの方は一体?) れんげは大樹から目が離せない 大樹は流石の体のしなやかさ、強さで見事に舞ってみせた わぁーーー‼︎と歓声が上がる (疲れた…もうやらねぇからな) 大樹の顔は疲れ切っている 祭りが終り、大樹はどっと疲れた体を引きずりながら自分の店へと帰ってきた はぁーーーーもうやんねぇ。絶対やんねぇ‼︎ そんな大きな独り言が出てしまうほど疲弊している そこへ雪菜がひょこっと顔を出す こんばんは。今日はすごかったね。 その声には少しからかいが混じっている うるせぇな… 大樹はそっぽを向いてしまう まあまあ、なかなかできることじゃないしさ。 刀を作った本人が舞うなんて初めてなんじゃない? …知るか。 大樹は少し恥ずかしそうだ …お前は……ちゃんと見てたのか? 小さな声でそう聞く うん‼︎一番見える席。特等席だよ。 雪菜はとても嬉しそうに言った (特等席?そんなもんあったか?…もしかして…) 舞台の横にある木の上か? うん‼︎ はぁ…。と大樹はため息を吐く お前なぁ…そんなところ登るなよ。 登っちゃダメなんて言われなかったもん。 それは、そんなところに登ろうとするやついないからだよ‼︎ 大樹は呆れ顔だ でもそのおかげですごいものが見れたもん。すごかった。綺麗だった‼︎ 彼女の感想は本物だった 大樹は少しだけ顔を赤らめて机に突っ伏してしまう そうそう、これ。 雪菜がなにやら差し出す。 私と女将さんから。頑張ったねって気持ちを込めてお弁当だよ。大樹の好きなもの一杯詰めたから。 雪菜はとてもいい笑顔だ お、おう…ありがとよ。 大樹は照れながら、ぶっきらぼうにお礼を言う じゃあ、疲れてるところにいつまでもいる訳にはいかないからもう帰るね。 お疲れ様。じゃあね。 と雪菜は駆け足で帰って行った 大樹の心はザワザワしていた。 今まで感じたことのないザワザワだ。敵と対面した時とも違う、命の危機を感じた時とも違う、どちらかといえば少し心地よささえ感じるざわめきだった 次の日 ここですわね‼︎ れんげが大樹の店の前に来ている お邪魔いたしますわ‼︎ ものすごく元気な声で店へと入る ⁉︎⁉︎い、いらっしゃい… (なんだ?絶対うちには関係ないお客だぞ?) えっと…何かお探しで?あ、それとも包丁の研ぎの依頼ですか? (そっちだ、そっち。絶対そっちだな。) 大樹は心の中で頷く 貴方様が大樹様ですわね⁉︎ れんげはずいっと大樹に顔を近づける は、はぁ。そうですが…、何か? 大樹はれんげの圧に押されてタジタジである ああ‼︎お会いできたわ‼︎私、呉服屋の「京極屋」の娘、れんげと申します‼︎ …どうも… 大樹様‼︎ ……なんでしょう? 私と「夫婦」になってくださいませ‼︎ ……は? 店の空気が固まった めおと? 大樹はれんげが何を言っているのか一瞬理解できなかった はい‼︎夫婦‼︎私、初めてでした。あんなに美しい殿方は‼︎あんなに優雅に舞う殿方は‼︎ もう、あの舞を見たとき一瞬たりとも「貴方から」目が離せませんでした‼︎ れんげは大興奮だ そ、それはどうも…でも俺はまだ結婚とかは考えていなくて でしたら‼︎まずはお付き合いからいたしましょう‼︎ いや、そういうのもちょっと… 大樹は歯切れが悪い。 れんげは大樹が一番どうしていいのかわからない種類の女性だ どうしてです? れんげはしゅんとする。悪気なく「自分のことを断る男性はいない」と思っているからだ。本当に悪気なく。 よく知りもしないのに付き合ったり結婚したりなんてできない。悪いけど… 大樹はそう言って断る でしたら… れんげはふるふると震えながら これから私のことを知っていただきます‼︎ と声高らかに宣言する そうと決まれば早速行動しなければ‼︎ れんげはものすごい速さで帰って行った え?あの、ちょっと⁉︎ (あ、嵐?でも、あの様子じゃまた来るんだよな…) 大樹はげっそりしてしまった 大樹はその夜女将の店に行った あら‼︎大ちゃん、いらっしゃい。 女将の優しい声が聞こえる いらっしゃい 雪菜の声も聞こえた ふぅと大樹は安心から出るため息をつく お‼︎大樹‼︎聞いたぞ⁉︎熱烈な求婚されたんだってな‼︎ 店にいた常連にそう言われる キュウコン? 雪菜はその単語を聞いて固まってしまう (きゅうこん、キュウコン?球根?)頭の中が埋め尽くされる 雪菜ちゃん?雪菜ちゃーん⁉︎ 女将が呼ぶが雪菜はなかなか戻ってこない もう‼︎と女将は常連を叱る 常連も「あ、やべっ」と思ったがもう遅い 大樹は常連にそう言われたことで、悩みの種がまた出てきて考え込んでしまい女将たちのやりとりは聞いていなかった ハッと雪菜がこちら側に戻ってきて あ、えっと…なんだっけ?あ、これ運ばなきゃ とカクカクになりながら、柱で頭をぶつけながら…とやっている (あらら…これはなかなか戻ってこれないわね…) 女将は困った顔をする あいつどうしたんだ? 大樹も思案から戻ってきたが雪菜の様子がおかしいのはまさか自分のせいだとは思ってないので純粋に不思議がっていた 常連は雪菜に聞こえないようにひそひそと大樹に話す で?実際のところどうなんだ?相手はあの「京極屋」の娘さんだろ?悪い話じゃないよな? 少し意地悪に聞く どうもこうも、今日初対面だぞ?なんとも思わないし、なんていうか一番苦手な部類だ。 大樹もつられて小声で答える 雪菜はまだ色々な所に色々なところをぶつけている でもさ、お前…めちゃくちゃ噂になってたぞ? 「京極屋」の娘が鍛冶屋の大樹に求婚したって。雪菜ちゃんが知らなかったのが不思議なくらいさ。 そんなの知らねーよ。なんで噂になんて…あぁ。噂好きの亀田のおばさんが包丁受け取りに来てたわ…。 大樹はガクッと突っ伏した 亀田のおばさんにかかれば噂話は半日で町を覆う でも、受けるにしても断るにしてもやっかいなことになるよなぁ 常連は雪菜をチラッと見ながらそう言った ――― 大樹は重たい気持ちのまま家へと帰る (はあ。なんか疲れたな…。せっかく女将のところ行ったのにあんまり休まらなかったし。) 大樹はそんなことを考えながら空を見上げる (結婚か…昔だったら絶対に考えられなかったな。そもそも自分がここまで生きている未来さえ見えなかった…) 大樹は目を伏せる (あいつもそうだったのかな。女だし、憧れとかあっただろうに…今は自由になったから…いつか…いい人が現れたらいいな。その時は…その時は?) 大樹の胸がチクっとなった ―――― その頃、雪菜は (大樹に求婚したっていう女の子…良家のお嬢様なんだ…そっか…もし大樹がその話を受けるって言ったら絶対に勝ち目ないなぁ。私はそもそも家柄なんてないし。…大樹よりもずっと血まみれだし…。そんなのをわざわざ選ぶ必要ないもんね…) 雪菜は布団の中で涙を流しながら眠りについた。この涙の意味を分からないふりをして。 次の日 おはよう。雪菜ちゃ…どうしたの⁉︎その顔⁉︎ 女将は驚いた 雪菜の目は泣き腫らしてパンパンになっていた。 なんか変になってますか? 雪菜は目の周りがヒリヒリするのさえ気づかないふりをする 女将はそんな彼女を見ていられない やだやだ‼︎かわいい顔が大変‼︎冷やすもの持ってくるわね‼︎ 女将は急いで手拭いを濡らしに行く (大ちゃん…雪菜ちゃんはこんなにも貴方を想っているわ。早く気づいてあげてね。あなただって…) 手拭いを絞りながら女将は悲しい顔をする あの壮絶な求婚から約一ヶ月。 毎日、毎日毎日毎日毎日れんげは大樹の店を訪ねてきた 「お弁当を作ってきました」 「お菓子を作ってきました」 「大樹様に似合う着物を作りました」 「今日はこんなことがありました」 「大樹様の好きなことは?」 「好きな食べ物は?」 彼女はどれだけ邪険にされてもずーーーーっとこの調子で喋っている 大樹も彼女の話を聞くのは嫌ではなくなっていた。と言うよりも日常になってしまっていた。 へー。 そうなんですか。 それはよかった。 そうですね。 そんな返答しかしていないがれんげは嬉しそうなのである (この折れない心は凄まじいな。尊敬する…。)そんな風にさえ感じるようになっている。 そんな日々が続いたある日。 大樹様‼︎私も刀を持ってみたいです‼︎ れんげが唐突に言った ダメです 大樹は即答し、却下する 何故ですか⁉︎持てますよ‼︎それに大樹様の好きなものを感じてみたいのです‼︎ れんげは目を輝かせながら訴える そんな目をして言われてしまっては断れない。 (仕方がない、刃が潰してある模造刀を持たせるか…) じゃあ、これならいいですよ。 と大樹はれんげに模造刀を渡す。 わぁーー‼︎これが刀… 彼女が刀を上に掲げると重さで刀身が後ろへ行ってしまった わ、わわわわわ‼︎ れんげは体勢を保てない 危ない‼︎ 尻餅をつきそうになった彼女を大樹が支えた あ、ありがとうございます… れんげは真っ赤だ そんな場面を…見られてしまった。 ――― 雪菜はそんな場面を目撃してしまい何も言えなくなってしまった (その子、本気で大樹が好きなんだね。だってすごく輝いてるもん。私には眩しすぎるくらい「恋」してる…邪魔しちゃったかな) そんな思いのまま雪菜は踵を返して歩いて行ってしまった 雪菜? 大樹はなぜ彼女が行ってしまったのか分からなかった。大樹自身にれんげに対する恋愛的な想いが一切ないため、自分たちが彼女の目にどう映っていたのかを理解できない。 しかし、彼女の何かを諦めたような表情を見ればこのままではいけないことはすぐにわかった ちょっと… 大樹様? …ごめんなさい、れんげさん。ずっと言っている事だけど俺は貴方の気持ちには応えられない。 え…そんな…まだ知らないところも沢山‼︎ 違うんだよ。そういうことじゃない。俺には離しちゃいけない手があるから。だから君の想いには応えられない。ごめんな。そのまっすぐな想いは貴方を本当に大切にしてくれる人に向けて欲しい。 れんげはその言葉で自分は「大樹の大切な人」にはどう頑張ってもなれないんだということに気がついてしまった。 ……わかりました。でも、この気持ちは本当でした。貴方を好きだというこの気持ちは絶対に本物でした。 …ありがとう いえ、…こちらこそ。楽しかったです‼︎ いつかまた会うことがあればそのときは一緒にお茶をしましょう れんげは目に涙を一杯溜めながら笑顔でそう伝えて帰って行った (私は本当に素敵な方に恋をしました。初めての本気の恋。とても苦しいけれど…私は大丈夫‼︎) れんげは涙を溜めながらも前を向いて歩いていく ――― 雪菜は俯きながら歩いた (とってもお似合いだもん。祝ってあげなくちゃ。私は大樹の妹分だから。兄貴分の幸せは私の幸せだから。そう。そうだよ。それなのに…どうして?この涙は止まらないんだろう…) 雪菜は以前、大樹が自分の頭に優しく手を乗せてくれた川のほとりへと来ていた その誰もいない場所でたくさんの涙を流していた (涙を一粒一粒こぼすたびにこの想いが消えればいいのに…‼︎) ――― (どこに行ったんだ?なんであんな顔して…いや、俺のせいか…) 大樹は自問自答を繰り返す。町の心当たりは全部探したが見つからない クソッどこに行ったんだよ…‼︎ (…そろそろ帰らなくちゃ。女将さんも心配するし…ああ、でもこんな顔じゃお店には出られないかな) そんなことを考えながら雪菜は土手を登って歩き出そうとした するとそこへガラの悪そうな男たちが絡んでくる なんだぁ?お姉ちゃん、泣いてたのか? 可哀想に。俺たちが慰めてやるよ‼︎ 無粋な手が雪菜を掴もうとする 雪菜はすぐさまその男の手首を掴んで捻りあげる いだだだたた‼︎何すんだよ、この女‼︎ 触らないで…気持ち悪い。 私に触っていいのは… ここでまた涙が流れてしまった なんだ?この女。突然泣き出しやがって…。まあいい。上玉だしこっちこいよ‼︎ またその無粋な手が雪菜に迫る その手を弾き飛ばしたのは…大樹だった 雪菜にはその後ろ姿がとても輝いて見える な、なんだお前⁉︎首突っ込むな‼︎ 悪いけど突っ込むぞ?こいつは俺の「妹分」だ けっ‼︎格好つけやかって‼︎ おい、やるぞ‼︎ 男たちは三人がかりで大樹に襲いかかるが大樹はそれを歯牙にもかけず一瞬のうちに片付けてしまった 邪魔だよ、失せろ その冷たい言葉に男たちは一目散に逃げていく けっ。弱ぇくせに変なことすんな 大樹は悪態をつく 大丈夫だったか? そして本気の心配をしてくれる (どうしてここにいるの?お嬢様は?何で助けてくれるの?私じゃなくてあの子を…) 雪菜は俯いて 別に大丈夫だよ…私一人でもあんなのどうにかできるし…大樹はあのお嬢様を守ればいいよ。 と言ってしまう …確かに一人で何とかできたよな。でも俺が首を「突っ込みたかった」。これはおれのわがままだ 大樹はそんな風に言ってくる (…ずるい、ずるいずるい‼︎どうしてそう言うことを言うの?私の言葉に呆れてどこかへ行ってくれるって思ったのに…どうして?) …迷惑だよ。いつまで「兄貴分」のつもり?私は大樹よりも長く戦ってきたんだから。もう兄貴分とか妹分とか関係ないの 思ってもないことが口から沢山出てしまう。止められなかった。 (いっそのこと、嫌ってくれたらいいんだ。そうすれば…こんなに胸が痛くなることもないんだから) そうだな…お前の言う通りだ… 大樹は落ち着いた調子で言う 雪菜は俯いているため大樹が今、どんな表情をしているのかはわからない (ああ、これで終わり。やっと今まで通り…ううん。今までより遠くなる。なれる) そんな気持ちに塗りつぶされそうになっていると雪菜の頭にぽんっと温かく優しい重さが乗った ??? 悪かった。お前は確かにもう「妹分」じゃないな。強くてしなやかな立派な女だ。これから先、どんな人が現れたとしても、俺が見つけ出して手を取って、頭に手を置くのはお前だけだ。 雪菜はその言葉にバッと顔を上げる 大樹は優しく微笑んでいた その笑顔が優しくて嬉しくて悲しくて。雪菜の涙は止まらない …信じていいの?ずっと…大樹が選んでくれるのは「私」だって。 ああ。絶対だ。 雪菜はその言葉を聞いて大樹の胸に飛び込む 雪菜はしばらく大樹の胸の中で泣いた 今までの人生で我慢していた分も涙が出たような気がする 自分のことを誰よりも想ってくれる人がいる幸せを初めて感じることができた (きっともう大丈夫。何があっても揺らいだりしない。大樹が側にいてくれるなら) 泣きながらもその強い意志が彼女に宿った 大樹はそんな彼女を見て頭を撫でながら優しく包んでくれている さあ、帰るか。女将さんが心配するぞ。 大樹は明るく言った うん‼︎ 雪菜はいつものような笑顔に戻っている ―――――二人は女将の店へと戻る あ‼︎おかえりなさい、雪菜ちゃん‼︎遅かっ…… (あらあらあら?うふふ。よかったわね、雪菜ちゃん) 二人の雰囲気を見て女将は察したようだ た、ただいま戻りました‼︎遅くなってごめんなさい‼︎すぐに準備します‼︎ 雪菜は急いで身支度をしに部屋へと走って行った 大樹と女将がその場に残る 大ちゃん。やっと手を取ってくれたのね。 へ? みーーーんな気づいていたわ。気づいていないのはあなたたちだけ‼︎ え……え? もう…こういうことに鈍いんだから。 まぁ、でもよかった。雪菜ちゃんがあんなにいい笑顔になって。 もし、これから先、あの子の笑顔をあなたが奪うようなことがあったら。絶対に許さないわ。私も町の人も。 女将が聞いたことのない怖い声で言う わかってるよ。絶対そんなことはしない。あいつは俺の……「大切な女」だからな 大樹がそう言った瞬間にバタバタと聞こえ出す ご、ごめんなさいーー‼︎お待たせしました‼︎ 女将はふふふと笑い 大丈夫よ。あ、大ちゃん今日食べてくでしょ? このまま待ってたらいいわ。 ああ。そうするかな。 わぁーー‼︎間に合わないよー‼︎ 落ち着いている二人とバタバタしている雪菜。 そんな温かな光景はこの先もずっと続いていくのだろう ー終ー