嵐R.M
3 件の小説白黒ジグソーパズル #2 君と僕の思い出のピース
「ごめん、僕、君の名前忘れてた。それどころか、ここに来るまで君との思い出にモヤがかかってた気がするんだ。」 心当たりがあるのだろう顔で彼女は俯いた。 「うん、大丈夫…。」 大丈夫じゃない口調で無理させているのが伝わる。申し訳が立たない。 だが、目の前にいる彼女は果たして本物なのだろうか。こんな時に最低な疑問がふと脳裏に過った。 「本当に白鳩なの?」 「私は私だよ?w、けどね……」 一瞬笑みを見せたかと思ったら、すぐさま目の奥が曇った。 「生きては無いよ?....。」希望は消え失せた。でもなんで今この瞬間、僕は白鳩と喋っているのだろう。 まぁ、考えても分からないことは後回し。 白鳩は何やらボードみたいなのを僕に見せてきた。 「これは?」 「うん、ジグソーパズル。」 パズルを肌身離さず持っているような子ではなかったと思うのだが。 「その、ジグソーパズルが、どうしたの?」 まるでオープンワールドゲームのNPCの会話みたいなみたいな、定型文だ。 「これが全部埋まったら、私は成仏できるらしい。」 なんだよ、それ。 「埋まらなかったら?」 「私は幽霊みたいなこの姿で、秋くん意外の誰にも気づかれずに生活する。」 ならいっそこのままで……。 やっぱ最低だ。彼女を守ることさえ出来ないのに、自分勝手な理由で彼女を縛ろうとしている。 亡くなっても尚。最後に僕ができることは、このジグソーパズルのピースを、命をかけてでも、集めてることだ。ならば集めて見せよう。彼女を成仏させよう。それが彼女の望むことなら。 必ず。 【続く】
白黒ジグソーパズル
2019年12月24日、彼女は僕の前から姿を消した。 その日から僕の心は空っぽで、出来事全てがどうでも良く感じた。 ふらつきながら歩く姿を怪しまれ、髪は肩ら辺にまでのびて、爪は靴を履くのに血を出すほどのびていた。 それから、僕と彼女の思い出の場所に行ったが何も感じなかった。 その場でもたれこんだ僕はとうとう警察に目をつけられ、補導みたいな感じで家まで送られた。 家に着く。鍵を開けて玄関に入り、靴を投げ脱いでリビングに行く。 どこに行っても彼女はいない。まぁ、それは当たり前だ、なんせこの世にはいないのだから。 明日は墓参りにでも行こう。 こんな醜い姿を見せたくないが、今更おしゃれする気にもなれない。とにかく明日だ。 そう呟いてベットに体を投げた。 この日はいつもと違って、深い眠りについた。 ……「秋くん…起きて」 声が聞こえた。思わずはね起きてしまった。 彼女の声だった。久しぶりに聞けた…。夢だと知っていながらも。ただ嬉しかった。 「フフ…すぐ会いに行くよ…」 彼女が消え去って初めて笑顔がおはようした。どうやら僕はまだ人間だったみたいだ。 身支度なんてもんはない。僕は過去一早い足で彼女の墓に向かった。 墓地とはどこも少しミステリアス所だ、何が起こっても意外と受け入れてしまいそう。 「着いたよ…〇〇〇」あれ?彼女の名前が分からない。 いやそんなはずは無い、だって、あれほど好きだった。彼女のためならなんでも出来た。 それなのに……。「クッソ………」最低だ。また、今さっき言った僕自身の言葉に余計に腹が立つ。 こんなの受け入れられる訳ねぇだろが。僕は名を忘れた彼女の墓の前に立った。 墓石には「橘 白鳩」の文字が刻まれていた。フッここに来ないと思い出せない自分に反吐が出る。 僕は白鳩の前に座った。そして力なく手を合わせた。 「ごめんな、白鳩、お前の名前忘れちゃってたみたいだ。最低だな……。」 「秋くん?」なんとびっくり目の前に白鳩の姿が映った。ただ、今朝と違ったのは、その姿は消えることなく 僕の目の前に立っていた。 それは間違いなく、橘 白鳩(たちばな しろは)、僕の彼女だった。 「秋山 黒兎(あきやま くろと)、秋くん久しぶりだね。」 涙が止まらなかった。 【続く】
虫だって生きてる~その1ゴキブリの場合~
2022年7月7日、最高気温が平均して30度を超えてきた。暑すぎる。いや、暑いだけなら良いのだがもう1つ、、自分にはどうしても克服できないものがある。「虫」だ。蝉の声で起きた朝には決まってめまいが起きる。くらいの重症だ。 そして今、我が家に今世紀最大のボス級虫が襲来した。 Gから始まるそのものは素早くリビングをかけている。もう鳥肌しかない。無理だ...終わった。 いっそ家から出ていってしまおう。そんな時、どっかから声がした。 「君も僕から逃げるのかい?」と。ええ逃げますとも!....ん? 誰が喋った?今ここにいるのは30代前半の男性と、年齢不詳のGなるものだ。 ということは、、、Gが喋った!? いやいやおいおいそんなわけないだろ?考えてみろ、教科書にも、入試にもそんなことは出てこなかった。 今のは空耳、そう、空耳、、、「僕はここにいるよ?」 そう、いるのね....うん、こいつ喋るわ。 気づけばほら、俺の意識は飛んでいた。 (ゴキちゃん視点) どうも皆さんこんにちわ気づけばゴキブリと呼ばれて、人々の天敵的存在に成り上がったものです。 今回は人間の皆さんに言いたい。辛い!!そう、とっても辛いの。 みんなだって人に無視されたりした時にはもう涙もんでしょ?それは僕もおんなじ。 いつも変な筒状スプレーかけてくるし、あみあみの平たいので叩いてくる。隙を見て人の足にタッチしたら 思いっきり蹴られて壁にどんですよ。壁ドンされたの。乱暴な人は嫌いなのって言って逃げたんだけど。 まあ過去は振り返らない性分だからいいんだけど。 でね、話変わるけど今、人が目の前で倒れてるの、絶好のチャンスだと思わない??人とやっとお近づきになれるんだよ。 テンション上がって鼻血でそう、実際出ないけどね。 試しに耳元でASMR風に囁いてみようフフフ 「おはようございます!君の大嫌いなゴキブリだよ〜」 これ、ギネスじゃね?なんの?まぁそんなことァどうでもいい。だってあれデカすぎるもん。 起きないものだなぁ...よしもう一声 「君がいつも食べてる海老のしっぽあるじゃん。それって僕の羽と同じ成分らしいよ!」 ふう、疲れた。緊張しちゃってたみたいだ。はは、人間は僕達の後輩なのに、先輩の僕らに向かってひどい仕打ちを してきた。僕みたいな能天気なゴキはそんなに気にしないけど。 たまに会う友達の数がどんどん減ったり、足引きずって来るんだ。 それを見る度に僕は人間と何とか仲良くしたい。いつも僕だちを汚らわしいというような目で見てくる 人達にわかって欲しいんだ。僕達だって生きてる。なんなら僕たちの方が長く生きてる。(先祖の話だけどね) 君たち人間だって叩かれたり、スプレー撒かれたりするのやなはずだもん。だからさ 「僕から逃げないでよ。」 続く と思う