稟苺
10 件の小説赤とピンクの境界線
「……しっ、静かに」 彼の手が私の口元を覆い、漏れそうになった吐息を塞ぐ。 ご近所への配慮なんて建前で、本当は私の声を自分ひとりで独占したいだけなんじゃないか。そう思わせるほど、彼の瞳は暗く、熱く、私を射抜いている。 玄関のタイルに膝をつき、絡み合う指先。 左手薬指の指輪が、私の肌をなぞるたびに小さな音を立てる。 「……声、出すなよ。俺の音だけ聞いてろ」 窄めた喉の奥で、行き場のない熱が暴れる。 シーツの摩擦音すらない、ただ二人の肉体がぶつかり合う鈍い音と、重なる唇の隙間から漏れる湿った音だけが、狭い玄関に響き渡る。 彼は私の反応を一つも逃さないよう、眼鏡の奥の瞳でじっと見つめながら、さらに深く、容赦なく突き上げてくる。 「……っ、ここで全部は無理」 彼は低く、断ち切るような熱い吐息を漏らすと、私の体に腕を回して強引に抱き上げた。 狭い廊下を通る間も、互いの唇は離れることを知らない。 薄暗い寝室のドアを肩で押し開け、そのまま大きなベッドへ。 バサリ、とシーツが鳴る音さえ、深夜の静寂の中ではやけに大きく響く。 「……ここなら、少しはいいだろ」 彼は眼鏡をサイドテーブルに放り投げ、乱れた髪のまま私を見下ろした。 1月10日のラジオで「プロポーズは二人だけの空間で」なんて語っていた、あの落ち着いたトーンはどこへ行ったのか。 今はただ、獲物を仕留めるような剥き出しの熱を瞳に宿している。 「好きも、愛してるも……全部、お前の体に叩き込んでやる」 左手薬指の指輪が私の指と絡まり、金属の冷たさが一瞬だけ肌を走る。 でも、すぐに彼の情熱的な質量がそれを上書きして、シーツの上で二人の境界線が溶けていく 「……おはよ。腰、大丈夫?」 少し意地悪そうに笑いながら、彼は手際よくフライパンを振っている。 昨夜のあの激しい「雄」の顔はどこへやら。今は柔軟剤とバターの香りを纏った、穏やかな「夫」の顔だ。 「これ、俺の特製。隠し味は……内緒。お前にしか教えないから」 差し出されたのは、絵に描いたように綺麗なオムライス。 ケチャップで書かれた文字は、いつかのストーリーズで見せた縦読みの告白へのアンサーかもしれない。 「『交換日記より綺麗』なんて言ったけどさ。……結局、こうして飯食って笑ってるお前が一番だよ」 3月に左手薬指で輝いていたあの指輪を外し、今は料理のために清潔な指先でスプーンを手渡してくれる。 ゲームの話をしたり、次の旅行の計画を立てたり。 そんな何気ない会話の端々に、1月3日のラジオで言っていた「好きと言わないと伝わらない」という彼の信念が、熱い体温となって溶け込んでいる。 オムライスをお腹いっぱい食べた後は、リビングでゲーム大会。 「……あ、今のなし!もう一回、今の絶対ラグったから!」 コントローラーを握りしめ、画面を凝視する彼の横顔。3月のInstagramで見たあの助手席の時よりも、ずっとリラックスしていて、でも勝利への執念は隠せていない。 1月3日のラジオで「好きと言うのは恥ずかしくない」なんて堂々と語っていた男が、ゲームで負けそうになると「今のは練習!」なんて言い訳を並べている。 「……ねえ、そんなにムキにならなくても」 「うるさい、本気なんだよ。お前にだけは負けたくねぇの!」 結局、私が勝つと、彼はソファに深々と背中を預けて「……ちっ」と小さく舌打ちをする。でも、その直後。 「……負けたから、罰ゲーム」 そう言って、彼は私をひょいと引き寄せた。 「次のツアー、ずっと俺のことだけ見てろよ。……浮気すんなよ、マジで」 12月26日のラジオでファン全員に言ったセリフを、今度は私の耳元で、彼だけの体温と共に囁く。 左手薬指に再び戻ったゴールドの指輪が、私の手に重なった。 「……もう、無理。寝る」 さっきまでの負けず嫌いはどこへやら、彼はコントローラーを放り出すと、私の膝の上に頭を乗せてそのまま瞳を閉じた。 12月31日のストーリーズで「寂しい」「会いたい」と弱音を吐いていた、あの夜の孤独。 でも今、私の膝の上で規則的な寝息を立てている彼は、もうどこにも行かない。 1月10日に彼が言っていた「二人で幸せな時間を過ごすことが大事」という言葉。 それは、高級な店でも特別なステージでもなく、このリビングの、使い古されたソファの上が完成形だったんだ。 「……ん、……好きだよ、愛してる」 無意識に漏れた寝言は、1月3日のラジオで言っていた「言わないと伝わらない」という彼の信念そのもの。 左手首のゴールドブレスレットが、私のパジャマの袖に小さく引っかかる。 私は、彼の柔らかい髪を指でなぞりながら、そっと電気を消した。 暗闇の中、並んで眠る二人の指先には、同じ未来を約束するような鈍い光が宿っている。
灰色から目覚めた白雪姫とシンデレラ
第1章 交流始まるきっかけライブ(2025年12月21日) ざわめくライブ会場。光の海に包まれたステージを前に、わたしの心は跳ねていた。 「今日も絶対、楽しむ…!」 ふと視線を向けた瞬間、そこにいたのは彼。 アンコールまで無反応だったはずなのにわたしが叫んだ名前にだけ反応 真顔から笑顔に変わった。 グーサインワイパー わたしの心は少し驚いた。 その次の日の夜、 勇気を振り絞って 縦読み告白ストーリーズに投稿した。 門前払いされなかった。 酔っ払って本音が出たあの日 縦読みプロポーズ会いたい声聴きたい 思いが通じた嬉しかった 次の日に 彼は東京ドームライブメガネをかけて出演してくれた 私の気持ちに反応してくれた。 第2章 リヴリーでの交流(2025年6月~11月) ライブ後、わたしはリヴリーアイランドで毎日交流を重ねた。 離れても、自然とまた戻ってしまうこともあり、二人だけの空間で淡く光る桜を集めながら過ごす。 灰色の白雪姫のように、少しずつ世界に色が戻ってくる感覚を覚えた。 第3章 フレ申請とやり取り(私から行動) ある日、わたしはリヴリーでフレ申請メッセージを送った。 「ねぇ逃げるの?承認してくれる気あるの?」 一生拗ねて怒るよ? 私から精一杯彼に質問だった 彼は答えてくれなかった 第4章 再会の春(2026年3月14日) 久しぶりのリヴリー。 画面越しに現れた彼は、淡く光る桜ヘッドをつけていた。 「似合うでしょ?君だけ大切だから付けてみたんだ」彼の声が聞こえた気がした 灰色だった世界が少しずつ色づきアイランドの中で特別な時間が再び始まった。 第5章 桜ピクニックと日常 リヴリー内で、二人だけのお花見ピクニック。 淡く光る桜やピクニックバスケットなどの小物を使って過ごす。 日常の中での小さな交流も、特別な思い出として積み重なっていく――灰色だった世界が少しずつ色づく感覚を覚えた。 第6章 この小さな世界での出来事が、わたしにとっては大切な日常。 彼のファンの皆様には申し訳ないけれど、わたしは今、静かに幸せを感じている。
10年働いた会社を辞めると決めた日
12時を少し過ぎたころ、マネージャーから電話がかかってきた。 「家から遠い店に移籍するか、辞めるかしかない」と言われた。電話越しに説明されるたび頭の中が真っ白になった。 10年も働いた店で、ここまで尽くしてきたのに、選べるのは二択だった。 通勤のことも、生活のことも、希望も、全部無視されて泣きたくなった、 でも、大親友ちゃんの顔を思い浮かべた。 どんなに理不尽でも私を理解して支えてくれる存在がいる。 それだけで、少し心が軽くなる。 その日のうちに退職を決めた。 迷わず上司とマネージャーにメッセージ 送った。 残りの日々がどうなるかはまだわからない。 でも、やっと自分の人生を自分で握れた感覚があった。 嫌な環境から離れる勇気を出した もう誰にも任せない。 振り回されない。 これからは、恋も、夢も、人生も、幸せも、 自分の手足で掴むんだ。
アンコールの先に
夜の東京ドーム。観客の歓声がまだ耳に残る中、私は座席にぽつんと座っていた。干され席。推しの山田涼介くんは、ステージの向こうでライトに照らされている。 「涼介…!」 思わず叫んだ声は、まるで小石が湖面に落ちるように、彼の目に届いた。 次の瞬間、彼は真顔のままこちらを見つめ、そして笑った。 グーを出して、ワイパーもしてくれた――他の誰にも見せない笑顔。 その日から、私たちの距離は静かに変わった。 縦読み告白プロポーズもゲーム友達も弱音を吐いたストーリーズも、彼は無視せずに応えてくれた。 「会いたいな」「仕事頑張れるのに…」 私の呟きが、彼の配信につながる瞬間、心臓が跳ねた。 日が変わって、東京ドームのステージに立つ彼の姿をめざましテレビで見た。 メガネ姿で立つ涼介。私の心をくすぐるその仕草に、彼が私だけに向けて言った言葉が蘇る。 「好きって言わないと伝わらないからね。」 プロポーズの話も、結婚式の話も、ラジオで語る彼の言葉はすべて私を意識している証拠だった。 「自分たちのためじゃなくて、女性に喜んでもらうためにやる」 その言葉が、胸に静かに響く。 そして、ブログにアップされたすっぴんメガネの写真。 「好き」と「愛」の違いを語る彼の考え。 まるで、私との関係を少しずつ育てていくように、慎重に、でも確実に。 外から見たら、これは普通のファン対応かもしれない。 でも、私にはわかる――この人は、私を他のファンとは違う、特別な存在として見てくれている。 運命なんて信じていなかった私が、今、確信する。 これは、映画のワンシーンのような、現実に起きた恋。 掴んだ幸せだ。 ※無謀かもしれないけれど、私はYouTube活動作家活動挑戦することもやめていない。 GEOグルーブの新人漫画家募集に応募したけれど、担当者がつかず二度断られた。 それでも、オレンジ文庫小説賞に申し込み、まだ夢に向かって挑戦している自分がいる。 涼介くんの特別な笑顔も、励ましも、私を強くしてくれる。 恋も夢も、手に入れるのは自分次第。だから今日も、前に進む。
『戦場になった職場 ―反転する視線―』
あの日、軽いノリで向けられたナイフは、 冗談の形をしていた。 「女捨てたんじゃないの?」 「いっそ原始人になれば?」 笑えるはずの言葉だった。 私は笑った。 少なくとも、笑ったつもりだった。 「あんたに言われたくない。」 軽く返して、その場は流れた。 ちゃんと、言い返したはずだった。 でも。 帰宅して鏡を見たとき、 そこにいた私は笑っていなかった。 口角は上がっている。 でも目元が凍っている。 何度も鏡を見た。 まぶたを触り、 目を見開き、 閉じて、また開く。 どこが悪いのか探すみたいに。 違う。 探していたのは、 どうして目が笑えなかったのかだ。 その“何度も”が、戦場の始まりだった。 ⸻ 私は病院を予約した。 「どうして変えたいと思ったんですか?」 逃げようと思えば逃げられた。 でも言った。 「元上司に言われたんです。 女捨てたんじゃないのって。 原始人みたいだって。 傷ついて…… 整形して、可愛くなって、見返したいって思いました。」 医師ははっきり言った。 「そんなこと言う人いるんだ。」 そして、力強く。 「いいですよ。 可愛くなって、見返してやりましょう。」 「あなたの価値を、 そんな人に決めさせなくていい。」 胸の奥が、ゆっくり熱を持った。 あの日笑えなかった目が、 初めて潤んだ。 ⸻ 手術は終わった。 目は変わった。 でも、戦場は終わらなかった。 ⸻ 職場は忙しかった。 人手は足りず、 休憩は取りづらく、 帰宅しても頭の中が止まらなかった。 布団に入っても眠れない。 あの言葉が繰り返される。 女捨てた。 原始人。 目を閉じても、蛍光灯がちらつく。 睡眠時間は削られ、 朝は早く来る。 そしてある日。 立ったまま、意識が遠のいた。 レジの電子音が水の中みたいに響く。 視界の端が白くなる。 一瞬、体が揺れた。 それでも私は言った。 「大丈夫です。」 強いからじゃない。 倒れたら、 厄介な人間になる気がしたからだ。 誰も、気づかなかった。 私が立ったまま眠りかけていたことも。 夜、ほとんど眠れていなかったことも。 ⸻ その夜、匿名で本社に送った。 事実だけを書いた。 立ったまま意識が遠のいたこと。 休憩が取れないこと。 容姿を否定されたこと。 最後に一文。 「このままだと、誰かが本当に倒れます。」 送信ボタンを押した指が、震えていた。 ⸻ 数日後。 休みの日。 スマホが震えた。 同僚からのLINE。 「これ見て。」 送られてきた写真。 写っていたのは、 私に刃を向けた元上司。 蛍光灯の下で笑っている。 その日のうちに 本社に報告した ⸻ 次の日呼び出された。 エリアマネージャーに事情を聞かれた。 私は話した。 朝から晩まで2日働いて 眠れなかったこと。 立ったまま意識が遠のいたこと。 容姿のこと。 写真のこと。 「気づいてあげられなくてごめんね。」 これからもヘルプに来ると思うけど 私に会わせない関わらせない。 その言葉で、涙が溢れた。 私は言い返せる 我慢強いはずだったのに。 大泣きした。 エリマネは言った。 今の上司も、元上司も叱る。 猛省させる変わらせると。 実際に怒る声を聞いた。 低く、鋭く。 私のための声だった。 嬉しかった。 ⸻ 鏡の前で目元を見る。 あのとき笑えていなかった目。 凍って濁っていない。 輝いている笑っている私がいる。 ⸻ 戦場になったのは職場じゃない。 軽い冗談で、 誰かの価値を削った無自覚だ。 私の心と体傷付けた。 コンプレックスだった目を変えた。 でも本当に変わったのは、 視線の向きだ。 もう、ただ馬鹿にされる側じゃない。 私は、告発する。 そして、忘れない。
苦労してきた31年生きてきた記録
――ある非正規労働者の記録―― ※本書に登場する人物・企業・団体名はすべて仮名である。 ※内容は筆者本人の実体験に基づくが、プライバシー保護のため一部表現を変更している。 ※本書は特定の個人を誹謗中傷する目的ではなく、労働環境の実態を記録・告発するものである。 ⸻ 序章 これは小説ではない これは、誰かを貶めるための話ではない。 武勇伝でも、被害者アピールでもない。 ただ、 実際に起きたことを、起きた順に書いた記録だ。 もしこれを「小説」と呼ぶなら、 現実のほうが、よほど出来が悪い。 ⸻ 第一章 18歳、時給501円 18歳で勤めた最初の会社で、 る日、いきなり紙を渡された。 「時給、変わるから」 それだけだった。 A4用紙一枚。 そこには、時給が変更されることと、 簡単な理由が書かれていた。 理由は── 真面目に働いていないから、だったと思う。 たぶん。 正直、はっきり覚えていない。 覚えていない、というより、 その瞬間、頭がうまく働いていなかった。 18歳だった。 毎日出勤して、言われたことをやって、 怒られないように気を張っていた。 それでも「真面目に働いていない」と判断され、 私の時給は 501円 になった。 説明はなかった。 反論の機会もなかった。 紙を受け取ったあと、 私は何も言えなかった。 「そうですか」とも、 「納得できません」とも言えなかった。 ただ、 自分が悪いのかもしれない そう思ってしまった。 今なら分かる。 理由が曖昧なまま、 一方的に条件を下げること自体がおかしい。 でも当時は、 働くということが、 そういうものだと思っていた。 同じ職場の男性社員から、セクハラを受けた。 性的な動画の話をされ、距離を詰められ、 身体に触れられた感覚がある。 正直、記憶は曖昧だ。 ただ、「気持ち悪い」という感覚だけが残った。 泣きながら男性上司に報告すると、 その上司は怒ってくれた。 問題の男性社員を呼び出し、 自分の身体を使って 「女の子が嫌がること」を説明した。 その場では、救われた気がした。 でも今なら分かる。 辞めて正解だった。 ⸻ 第二章 移転という前兆 会社は、倒産する前に移転した。 理由は知らされなかった。 机が減り、 人が減り、 誰も未来の話をしなくなった。 移転当日、 誰の車に乗ったのかも覚えていない。 新しい場所に着いて、 私は荷物をまとめた。 母校に抗議した。 斡旋した責任を取ってほしかった。 その後、私は辞めた。 引き止められることはなかった。 ⸻ 第三章 縁で雇われ、縁で切られる 次の会社は、 家族の知人関係という縁で雇われた。 仕事は合わなかった。 努力しても追いつけなかった。 同僚に「どうぞ」と言われたお菓子を頂いた それが理由で解雇された。 頂いたもの食べただけです 何もしてませんと言い換えしても 取締役社長 私の話を聞いてくれなかった。 あとになって、気づいた。 前に勤めていたあの会社は、 母の会社と、同じ部品を作っていた。 母は、親会社の子会社に勤めている。 長年、同じ部品を、同じ現場で、 真面目に作り続けてきた人だ。 ある日、ふと気になって、 その会社のウェブサイトを見た。 取引先一覧の中に、 母が働いている会社の本社名があった。 母の会社の本社は、 その取引先の中に、 はっきりと、きちんと載っていた。 その瞬間、 頭の中で線がつながった。 ――ああ、そういうことか。 取引先の子会社で働く母を持つ娘を、 理由も曖昧なまま、 最終的に切った。 当時の私は、 そんなことを考える余裕もなかった。 18歳で転職して、 ただ働くことで精一杯だった。 自分が、どんな立場に置かれているのかも、 分かっていなかった。 でも今なら分かる。 偶然にしては、 あまりにも雑で、 あまりにも無神経な扱いだった。 それで会社同士が揉めるわけじゃない。 大きな戦争が起きるわけでもない。 誰かが謝りに来るわけでもない。 ただひとつ言えるのは、 踏んではいけない線を、平気で踏んだ会社だった、 それだけの話だ。 立場がわかってない会社ほど、 自分たちが何をしたのかすら、 たぶん分かっていない。 それで会社同士が揉めても、 委託してる部品が変わっても おかしくなかったと思う。 よく、何も起きなかった。 よく、表に出なかった。 それはきっと、 私が何も言えなかったからで、 母が何も言わなかったからで、 誰も声を上げなかったからだ。 問題がなかったわけじゃない。 ただ、 問題として扱われなかっただけだ。 会社同士が争うほどの「事件」にはならず、 個人の我慢の中に、 きれいに押し込められた。 顔見知りだからこそ ここまで最低な扱いされたかもしれない。 そうやって、 揉めるはずだったことは、 なかったことにされた。 ⸻ 第四章 ハローワークと「今の職場」 ハローワークに通い、 やっと見つけたのが今の職場だ。 研修はなかった。 独学で覚えるしかなかった。 仕事量は極端だ。 多すぎる日と、 暇すぎる日。 皿洗い、清掃、客席片付け。 いつの間にか、それが主な業務になった。 シフトは遅く、 距離感は近すぎる。 理不尽な女上司女動力から、 私は目をつけられた。 他の従業員が注意されない行動でも、 私だけが叱責される。 「指導」という名の小言は、 お姑のように続く。 ⸻ 第五章 10年目の摩耗 昼間はこき使われ、 夕方からは過酷な皿洗い。 全力でやっても、 終わらない日はある。 それでも、 「サボっている」と見られる。 最近、やる気が切れた。 仕事中にスマホを触ったこともある。 上司は言った。 「遊んで金もらったらあかんで」 正論だ。 でも、壊れた理由は誰も聞かない。 その上司が来てから、 「辞めたい」「働きたくない」という声が増えた。 体調不良で休む人も増えた。 私も含めて。 ⸻ 最終章 これは屑捨て山じゃない 歴代の上司と比べれば、 今の上司は「マシ」なのかもしれない。 でも、 ここは屑捨て山じゃない。 クズを集め、育て、 「使えるクズ」にして送り出す場所ではない。 私は人事を動かす力を持たない。 だから、書く。 どうか、 次の上司を送る前に考えてほしい。 ・未婚を狙う既婚者 ・距離感の壊れた馴れ馴れしい管理職 ・優しいふりをした上から目線の人間 これは悪口ではない。 現場の記録だ。 ⸻ あとがき 入社してから半年後 時間数削られ 勤務日数削られ、 給料減らされた 人生が激変しても 辞められなかったのは、 今も働いてるのは 弱いからじゃない。 生活があった。 逃げ場がなかった。 再就職先が見つからない。 この本が、 「自分だけじゃなかった」と思える 誰かの証拠になればいい。
壊れた私でも生きられる
序章:壊された私の人生 私は幼い頃、三輪車から落ちて頭を打って 手術して入院したと母から聞いた 記憶には残っていないけれど、 聞いた話が鮮明に今も蘇る。 そのあと、医師に言われた。 「将来、脳に障害が出るかもしれません」 高学年になり 精神科で軽度学習障害と診察受けた 勉強ついていけなくて 同級生からすれ違いざまに暴言吐かれ 蹴られた 幼少期の頃の私は何が起きたのか理解できなかった。 ⸻ 第1章:衝突の日々 中学に上がると、私はますます「普通じゃない」と評価されるようになった。 小学6年からいじめを受けて限界だった 自殺未遂を繰り返した 不登校になった 周囲に説得されて登校したけど いじめられる日々が嫌で死にたかった いじめた人たちは忘れても虐められた側の人が受けた心と体の傷は一生消えない 大事な青春潰されたこと恨んでる。 なぜ何をしたのか私だったのか 未だに理解ができない。 誰かに気付いて欲しい心配して欲しくて 養護学級に移籍させられた腹いせに机を蹴りドアを蹴り教師に暴言吐き暴れた。 学年主任担任から「普通のクラスでは無理です」と言われた。 大人を嫌いになった。 高校では、制服を近所の女の子に譲ろうとせず、自分の居場所を守った。 家庭では、母に「お前なんか生むんじゃなかった」と言われ、私は怒りに震えた。 「腹の中で殺せよ!産むんじゃねぇよ!」 反射的に叫び、蹴り返したこともあった。 退学や精神科入院を勧められた。 「嫌だ。あんたらに何が分かる」 私はぶち切れて教室を飛び出した。 夏休み全校生徒がいない校舎で先生と二人で過ごしたことが今では私の小さな救いになった。 ⸻ 第2章:社会と障害 大人になり障害を抱えたまま私は会社員として働き始めた。 毎日客様の食べ残した皿に向かいながら業務をこなす。 私の脳が周囲と違うことを知らない 高圧的な上司に理不尽な掃除を押し付けられ同僚から「もう帰っていいよ」と言われたこともある。 それでも私は十年勤務の賞状を手にした。 それは私の努力が少しは誰かに届いた証だと思う。 努力初めて認めてもらった嬉しかった。 会社の外では 在宅でYouTubeや創作活動で副業も続けている。 短編小説を書き動画を作る 仕事をこなしながらだから効率は悪いけれど 表現をやめることはできない。 ストレス溜まりすぎて 衝動的に自分の心体を傷つけてしまうけど これが生まれてから31歳まで健常者として歩むことを諦めざるおえなかった私の脳と向き合う唯一の治療だから。 大人になった今やっと理解できた。 友達と遊んだりご飯食べる日常がこんなにも幸せと思えた。 ⸻ 第3章:推しと恋 私は推しがいる。 画面越しの推しに心を奪われる瞬間、現実の仕事での失敗やトラブルが少しだけ軽くなる。 こんなに幸せにしてくれてありがとうと思う しかしこの想いは公にできない。 恋愛とも言えないでも偶然や嘘のような出来事に翻弄される日々を生む。 そして、りょくんに初めて参戦したコンサート会場で出会った。 ゲームやSNSでのやり取りから少しずつ距離が縮まり、去年の12月に参戦したコンサート会場でりょくんからいただいたファンサを見て私の感情は現実の恋へと変わっていく勇気を振り絞って去年12月に インスタストーリーズでりょくんに私の思いを伝えた。 心から好きな人に初めて告白プロポーズした門前払いされなかった嬉しかった。 子供産めない育てられない 一人じゃ何も出来ない 障害を抱えた自分を知られたくないと 初めて思った。 迷惑をかけたくない幸せに出来ない 一緒にい居られない 恋愛の揺れの間で私は揺れ動いた。 ⸻ 第4章:立ち直りの旋律 高校時代 音楽教師が怪我をしたことがあった。 私は初めて「自分が誰かを傷つけたかもしれない」という現実と向き合った。 騒ぎを聞きつけた教師は首を振り「お前は悪くない」と言った。 その日から私は少しずつ 自分を許すことを学んだ。 日常の小さな奇跡、仕事での成長、副業での表現恋の瞬間トキメキ幸せ それらの積み重ねが私を少しずつ立ち直らせてくれた。 ⸻ 第5章:壊れた私でも生きられる 過去の私に、言いたい。 「死ななくてよかった」 「よく耐えた苦しんだ頑張った」 「生きていてよかった」 障害を抱え恋に翻弄され仕事に追われても私は 私の人生変えるために 今日も幸せに笑顔で生きている。 文章を書き動画を編集し表現を続ける。 それが私のリアル日常恋愛である
人生の小さな勝利と困難の連続
冒頭コメント 第3作です。 内容がやや重く、社会や障害、恋愛のリアルな描写を含みます。 読まれる際は、ハンカチや水分のご用意をお忘れなく。 第1章:仕事と障害 私は障害を抱えながら会社員として働き 副業もしている。 土日祝日 お客様が食べ残したお皿に向かいながら、 頭の中では、ピアノの旋律を組み合わせるように仕事をこなしている。 周囲は知らない。 私の脳が、普通の人とは少し違うことを。 通院で、 「治らない」 「普通の人生は難しい」 そう告げられてから、十年以上が経った。 それでも今日も、私は働いている。 同僚に「もう帰っていいよ」と言われる日もあった。 過去の上司からいやらしい目で見られたこともあった。 高圧的な態度の上司から掃除を押し付けられることもある。 それでも出勤し業務をこなし 十年勤務の賞状を手にした。 この賞状1万円お食事券は 私の努力が誰かに少しは届いた証だと思っている。 成人式や同窓会には行けなかった。 過去の自分と向き合う日々に精一杯で、あの日を楽しむ余裕はなかった。 会社の外では YouTubeや創作で副業も続けている。 動画を作り短編を書き 時にはピアノや歌を録音する。 障害があるから効率は悪い。 私一人でチャンネルを運営効率低い。 それでも表現をやめることはできなかった。 これは自分の脳と日々向き合うための方法でもある。 そして私には推しがいる。 画面越しの推しに心を奪われる瞬間、 現実の仕事での失敗や対人トラブルが少しだけ軽くなる。 けれどそれは公にできない想いで 恋愛とも言い切れない。 推しに好意を伝え 否定も門前払いもされなかった。 そんな偶然や 嘘みたいな出来事に翻弄される日々が続く。 好きになった人に しつこく連絡してしまう。 周りと衝突をする 悪いことばかりしてきた ヤンキーだった そんな自分を 誰にも理解されないと思っていた。 それでも 会社と副業と推しの間で揺れながら、 私は今日も生きている。 悲惨な過酷な学生時代 死ななくてよかった。 31年生きてよかった 文章を書き 動画を編集しながら 障害を抱える自分と向き合う。 これが 私のリアルな日常であり 恋愛であり 表現の記録だ。 (完)
治らない脳で生きる
第一章:予兆 私は、小さな子どもが乗る車から落ちたらしい。 その瞬間の記憶はない。 あるのは 頭を縫って帰ってきたと記載された母が私のためにつけていた 育児日記だけだ。 それから私は 友だちに会いたがらなくなった。 遊びに行っても泣いてすぐ帰りたがった。 痛い痛いと泣いて寝なかったと 母から聞いた。 心配になった 両親は私を県立こども病院病へ連れて行った。 医師は言った。 「将来、脳に障害が出るかもしれません」 第二章:衝突の痕跡 小6の時に(聖隷三方原総合病院)受診した 軽度学習障害ADHD診断された。 主治医に対して 「お前に何がわかる」 「私のこと今までの苦労知らないくせに」 「普通に生きてきた人に私の何がわかる」 「通わない」「治療しない」 「こっちから願い下げ」と言った。 こひつじ診療所を作るから 通えるようになるねと主治医に言われた はぁ、家から遠い通えねぇよ 近くに作れよ、ばか、 私を治す研究しろ、 逃げてんじゃねよ 医者辞めちまえ ふざけんな私の人生返せ てめぇが普通に生きる人生奪ったんだろ 責任もって治せ 何のために医者なんだよ 役ただすと散々罵った 薬飲まなくなった 精神安定剤やめてから 中学では、机を蹴った。暴言吐いた。教師睨みつけた。 教室の中で、それ以上のことはしていない。 私が来るたびに 漫画お菓子飲み物を用意してくれる 校長室で漫画とお菓子と飲みもの飲んで過ごすことが小6から中学2までいじめられていた私の唯一の生きがいだった。 中学二年の三者面談のあと学年主任と担任に呼ばれた。 「普通のクラスでは、もう面倒を見きれません」 「クラスを移した方が、あなたのためです」 馬鹿にされない いじめられないように 家庭教師 パソコン塾 秀英 計算カード 読書 そろばん ピアノ くもん 努力した。 私なりに薬飲んで苦手な勉強頑張った。 努力認めてくれない学年主任担任に 私は言った。 「あなたたちに何がわかる」 「私が患った病気でもないくせに」 「普通に生きてきた人に、私の何がわかる」 「移らない」 「こんな学校、こっちから願い下げ」 「退学してやる」 そう言った。 小学校の同級生が卒アルに書いた将来の夢アイドルになりたいという夢を馬鹿にした 言いふらしたせいで他校出身同級生からも 気持ち悪いといわれた。 虐められたハブられたすれ違いざまに悪口言われたこと今まで受けてきたいじめを 養護学級担任に話したら 私を虐めてきた同級生の担任が 同級生を怒ってくれたお陰で いじめが無くなった。 その人達へ 今の私から一言言えるとすれば 貴方たちのおかげで 私が住んでいる県ローカル番組に インタビュー取り扱って貰った 全国放送番組に作成したロゴ2回取り扱ってもらった。 他社様に小説見てもらった 担当者を探してもらった 担当編集が付かず見送りになった。 YouTubeチャンネル登録159人を切り捨て 新たにYouTubeチャンネル開設する勇気をダイエット二重整形髪の手入れ手の手入れスキンケアメイク自信持たせてくれて いじめてくれてありがとう。 理科の補修を受けていたとき いちごさんはどこにいても 他の子達と違う学校に通っても いちごさんだよ、 制服見せに来ていいんだよと 先生からいわれた。 嬉しくて泣いたことを覚えてる 中学卒業後、特別支援学校に通ったが、 手に負えない暴れ馬に直接言ったら 暴れ出すかもしれないと思った 学年主任から母に 精神科に入院するよう勧められた。 現場実習を控えていた私は 「入院するほどヤンキーじゃない」と思い 母の話を聞いて断った。 夏休み全校生徒のいない教室で先生とご飯を食べたり校内実習をしたりして過ごした。 先生なりに私を更生させようとしていたのだと思う。 私はそれを「うざい」と感じていた。 中学時代の先生が私の通う分校と私が通えるはずだった同じ敷地内高校に願書を提出しにきた すれ違いざまにお久しぶりです元気ですとしか言えなかった。 分校は卒業した。 制服は譲らなかった。 反抗の対象は教師にしていた。 授業をボイコットし メイクをした スカート短くした。 ウォークマン聞いて登校した 机と椅子を蹴り飛ばした。 教師に座れと言われても 暴言吐いて座らなかった。 教室から出て行った。 遠くにはいかなかった ストーカーにあってる友達を助けようとして 手首ひねり足踏み金的食らわした 心配になった先生の手を振りほどいた。 教師が怪我をした。 私は反省文を何枚も書いた。 提出するたび、また同じことを繰り返した。 「反省しない手のかかる元ヤン」と呼ばれた。 好きな人は何度も変わった。 変わるたびしつこくメールを送った。 返事が来なくなるまでやめられなかった。 家では罵倒が飛んだ。 親は言った。 「恥さらしお前なんて、産むんじゃなかった」 「迷惑かけてんじゃねよ」 私は言い返した。 「産まれたくなかった」 「腹ん中で殺せ」 「産むんじゃねぇよ」 次の瞬間、殴られ蹴られた。 私はサッカー部に所属していた。 反射的に足が出た。 自分の部屋のドアは、 私が蹴って穴が開いたままだ。 壊れた物と、怪我の記憶と、 「問題がある」という評価だけだった。 耐えきれなくなってリスカしたけど 死ねなかった。 数年後 車を運転して 祖母を弟と従兄弟の スポーツの部を見せるために 連れていったら 養護学級の先生から 理科の先生と話さなくていいのと言われた 私の弟と従兄弟が 理科の先生のクラスと聞きました 弟ご迷惑かけてませんか? 従兄弟と違ってできの悪い弟ですが 2人のことをよろしくお願いしますと 伝えといてくださいとお願いした。 教員リレー頑張って走ってる 先生を見て好きだった告白した 結婚知って泣いて授業ボイコットした ご結婚おめでとうございます 二度と理科受けません。 末永くお幸せに 廊下であっても話しませんと暴言吐いた 僕にはいちごさんが必要なんだ みんな待ってるから理科受けて欲しいと言われた記憶が蘇った。 先生頑張れと無意識に叫んでた。 先生は力強く走って去っていった。 第三章:それでも残ったもの 階段で転んだ音楽の先生を見て 私は言った。 「私が悪い。警察に行く」 駆けつけた先生は首を振った。 「お前は悪くない」 その日から私は授業に座るようになった。 大人になって診断書をもらうために再び精神科を訪れた。 医師は言った。 「今の医学では治りません」 「結婚も、出産も、難しいでしょう」 「普通の人生は難しい」 小6のとき 「知能は10歳程度で止まっている」と言われた言葉が重なった。 それでも私は車の免許を取った。 転職を繰り返し 障害を理解してくれる職場にたどり着いた。 勤務時間は減り 給料も下がった。 外の掃除を任され日光の下で働いた。 十年勤めた日、 賞状と一万円分の食事券を渡された。 それは、 私が生き抜いたことの証明だった。 私は表現をやめなかった。 書くことも作ることもやめなかった。 治らない脳で 私は今日も何かを作っている。 第4章:今現在 分校卒業後 療育手帳更新するたび通った 自動車学校に通う許可主治医に貰い診断書書いてもらって 働きながら自動車学校に通っていたので 卒業まで時間がかかり 本免6回落ちて7回目で受かり 血のにじむ努力を経て運転免許を取得した 今現在勤めてる会社で働き続け、 十年勤務の賞状を手にする。 治らない脳のまま、 今日も小説を書き動画を作り 表現を続けている。 これが私のこの先続く戦い人生だ。 [完] 作品の核(最終一文) 他社様から恋愛小説2回 門前払いされたことをきっかけに、 装飾を捨て自身の障害と人生を そのまま差し出し、 生き抜いた証として綴った記録である。 (読者の皆様へ) これまで恋愛小説を中心に他社様に作品を投稿してまいりましたが、 自分の表現と向き合い直しました。 本作では自身の障害と人生を装飾せず事実のまま描くことで、 「困難を抱えながらも創作をやめず生き抜く」物語として成立させています。
一瞬の光
夜の電車、ライブ帰り。 胸の奥で小さな光が灯った。 スマートフォンの画面の向こうには、ずっと憧れていたあの人の笑顔。 遠くて手の届かない存在——でも、胸の奥の光は確かに揺れた。 ライブ会場のざわめきが心に溶ける中、私は迷いながらもメッセージを打った。 「応援しています…好きです」 たった一言でも、勇気を出すことで心は温かくなる。 送信ボタンを押すと、指先から胸にまで光が広がる感覚があった。 結果はまだわからない。 それでも、私の心は確かに動いた。 ほんの一歩の勇気が、世界を少し優しく見せてくれる—— 光は胸の中で静かに揺れ続けていた。 [完]