海月
43 件の小説海月
しばらく投稿少なくなるかもです。たまに短編書いてたりします。 高校二年の海月(くらげ)です! 🔴YouTubeでボカロPをやってます! 興味がある方は、僕の作品のコメント欄まで♪🔴 ※サムネやアイコンのイラストは、ChatGPTやピクルー、フリー画像などを主に使用しています。
僕の蒼乃くんはズルい! #1 #BL
4限の体育が終わり、女子は講義室へ、男子は体育館のギャラリーでそれぞれ着替え始めた。蒼乃(あおの)と湊(みなと)は高校に入学してからずっと同じクラス。実はこっそり友達以上の関係になっていた。 そう、あのホテルでの出来事をキッカケにお互いの想いを知り、ここまで発展していたのだ。 湊は元々運動が苦手で、床にぺたりと座り込んでしまった。 「うぇ〜疲れたぁ……」 深いため息をついた彼の額に、突然ヒンヤリとした物が触れる。 「わっ⁉︎」 「えらいぞ湊〜! 頑張ったご褒美を授けよう!」 「蒼乃くん!」 蒼乃はニコッと笑い、スポーツ飲料を差し出してくれた。 「バスケ、湊にとっちゃ地獄だったでしょ? でも良いプレーだったぞ」 「いや〜、僕に比べたら蒼乃くんなんて、3ポイント決めてたもんね。つい歓声あげちゃったよ」 二人が喋っていると、体育教師がギャラリーの下から声を掛けた。 「湊、すまんちょっといいか? 記録の確認がしたいんだが」 「はい、分かりましたー。ごめんね蒼乃くん、先に教室行ってて!」 「全然大丈夫よ〜」 着替え終わった蒼乃は先に体育館を出て、湊は休憩の途中で教師のもとへ向かった。 * 用事が済んだ頃には、ギャラリーや館内には誰も居なかった。次の授業まで5分。湊はギャラリーにある荷物を持って、教室へ向かおうとした。 ふと、自分の荷物の近くに何かがあるのに気付き、湊はそれを拾い上げた。 「あ、これ……」 そこにあったのは、蒼乃の長袖体操着だった。きっと忘れていってしまったのだろう。湊はそれを大事にたたみ、少し笑みがこぼれた。 蒼乃くんの体操着…… 両手で持っていると、まだ彼の温もりが残っていて目の前に居る気がしてならない。思わず湊は、その体操着をぎゅっと抱きしめていた。 その時、体操着から蒼乃の匂いが空中に舞い、それを嗅いだ湊の中で、何かのスイッチが起動してしまった。 あ…まずい。こんな事、自分らしくないのに…… 気付けば湊は、飼い主を嗅ぎ回る犬のように、体操着の匂いを深く吸い込んでいた。頭がクラクラして、全身が脱力していく。 「や…ば、これっ…もう…」 湊はもう、顔が真っ赤になって呼吸が荒くなっている。我慢の限界だ。湊は周囲を見まわし誰も居ない事を確認すると、壁に寄りかかって自分のズボンを下ろした。 昂るそれに触れると、指から糸を引いている。匂いだけでこんなになるとは、我ながら驚く湊。 「…ごめん、蒼乃くん」 せっかくたたんだ体操着を左手で掴み、顔にうずめる。そして右手で上下に動かし始めてしまった。 「はぁ、蒼乃くん…ぁあっ…」 次の授業まで1分。湊はそんな事を忘れ、乱れた表情で夢中になって弄っていた。だが…… 「…湊?」 「‼︎」 突然声を掛けられ、びっくりしてそちらを見る。そこに居たのは、まさに今妄想していた人物、蒼乃だった。まさかの状況に困惑している。 「え〜っと…え?」 「ち、ちち違うんだよ蒼乃くん! いや、これは…っ」 やばい終わった、終わった、終わった…… 驚きと恥ずかしさと、気持ち悪がられていないかという不安が同時に押し寄せ、喋れない状態になってしまう湊。しばらく見つめ合う2人。すると、蒼乃はゆっくりと湊の方へ歩み寄り、壁に手をかける。 え? …壁ドン⁉︎ 「…体操着忘れたから取りに戻ったら、良いモノ見れちゃったな〜」 「ふぇ…、?」 蒼乃は汗ばむ湊の首に、そっと甘噛みをする。 「あっ…」 「…さてと」 今、湊を見ているその瞳は、兎を狩る狼そのものだった。 「お前のこと、どうしちゃおっかな〜?」 蒼乃の体操着が、床にぱさりと落ちた。 *** まだ教師が来ていない教室に、チャイムが鳴り響いた。とある男子が仲間に訊ねた。 「なぁ、アイツ体操着取りに行ってから帰ってこなくないか?」 「そういえば…あ、湊もいないな」 そこへ女子が割り込んできた。 「湊は知らないけど、蒼乃はどうせトイレでスマホゲームしてるんじゃない?」 「あーありえるわ」 「アイツの事だし、湊も巻き込んだんだろうな」 「断れないタイプに誘われちゃうか…」 「うわぁ俺もサボりてぇ…って、おい先生が来たぞ」 真面目そうな表情をした教師が入ってきて、生徒たちは正面を向いた。 すでに5限が始まった頃、あの2人は……… ーー本当にトイレに居た! 狭い洋式の個室の中で蒼乃は、壁に手をつけて恥じらう湊に向かって押し込んでいた。辺りに卑猥な音が響き、ネクタイはヨレヨレのまま、Yシャツのボタンは中途半端に取れかかっており、肌がちらちらと見えている。時々蒼乃は、その隙間に手を入れて胸部を弄る。 「ひあっ…」 「声出すなよ見つかるぞ…」 「だって、だってこんな……ああぁっ⁉︎」 あっという間に絶頂に達し、湊は便座にへたり込んでしまった。下半身には、粘液の雫がだらしなく垂れ下がっている。一つ息をつき、蒼乃も反対方向に寄りかかる。 「はあ……やっちまった…」 「その…ごめんね、体操着。洗濯して返すよ」 湊は顔がぐしゃぐしゃになったまま言う。 「湊お前…学校であんな表情でこっそりオナってんじゃねぇよ、反則だろ…」 「…反則?」 「そ、その気にさせるなって事だよ! んな事されると、こっちまでムラついてくるんだから…」 珍しく照れている蒼乃に、湊は笑って、今度は蒼乃にキスをした。 「ん…! みな、と…?」 「蒼乃くん、可愛い。好き」 照れている顔も、僕にしがみつく時の表情も、蒼乃くんが僕を求めているって伝わってくる。 「またそんな風に言って…もう加減しないぞ?」 「いいよ、蒼乃くん…♡」 またもや変なスイッチが起動しかけた時だった。 「お〜い蒼乃〜? 湊もいる〜?」 『‼︎‼︎』 クラスメイトの男子が、授業をサボってまでトイレに乱入してきた。蒼乃が慌てて叫ぶ。 「あ、あぁ⁉︎ なんだよ⁉︎ まさかお前もブロステやりに来たのかよ?」 「結局遊んでるじゃねぇか! なんか先生怪しんでるから、湊も一緒に早く来いよ〜」 「え、う、うん…」 外で扉を閉める音がして、2人は顔を見合わせる。 「…親、深夜出勤だから、絶対家に来いよ」 「え、いいの?」 「当たり前ぇだろ? こんな中途半端で終わったら、俺の身体がもたねぇよ」 「分かった。じゃあ、教室戻ろっか」 「…おう」 淫らな格好から着替えた2人は、正直このまま放課後までやっていたいと思っていたのだった。 fin.
バスタイム・ラバーズ #1 #BL
20時。とあるテーマパークの『EXIT』と書かれたゲートをくぐり、男子高校生の蒼乃(あおの)は指を重ねて大きく背伸びをした。 「っはぁ! 楽しかったな〜。やっぱり久々のジェットコースターは格別だったよな、湊!」 同じく男子高校生の湊(みなと)は、少し苦笑いを浮かべる。 「いやぁ〜…まあ、楽しかったけど、僕はちょっと怖かったかもな」 「はは、お前乗ってる間ずっと叫んでたもんな」 二人は昔ながらの親友で、中学の頃からこうして年に一度、一泊二日で夜遅くまでどこかに遊びに行くのだ。橋を渡り切ると、もうテーマパークの音楽は聞こえなくなっていた。前方に、二つの大きなビルが並んでいる。蒼乃が、そのうちの一方を指さす。 「よしじゃあ、あそこのホテルでチェックインしちゃうけど、どこかコンビニでも寄るか?」 「いや、もう部屋に入ろう。遊びすぎて疲れちゃったし」 「了解!」 こんな時間まで遊んだのは、今年高校生になって初めてで、二人とも相当疲れていた。ホテルのエントランスでチェックインを済ませ、予約した部屋の前に立つ二人。 「この部屋にも、有名なキャラクターの装飾とかがされてるらしいぞ」 「凄いね! じゃあ早速、開けてみますか!」 鍵をひねって中に入って明かりをつけると、湊は目を輝かせた。 「わあ…すっご…!」 その様子に、蒼乃も満足したような表情をしている。 「今まではビジネスホテルだったから、余計すごく見えるだろ う!」 「うん!」 そうしてしばらくベッドの上で寝転んでいると、蒼乃が言った。 「そろそろ風呂入るけど、お前も一緒に入るか?」 その言葉に、湊は驚き戸惑う。 「…えっ!?」 「はは、そんな驚くかよ。ここの部屋、ちょっと高かったじゃん? 実は、夜景が見れるジェットバスがついてるんだって! そんなの、一人で入るにゃもったいないだろ?」 笑顔でそう言う蒼乃。湊の頭は混乱していた。 ーーあ、蒼乃と一緒にって…あいつは平気なの!? 何も思わないの? 僕はやっぱり…他と変わってるから無理だけど、でもでも、あんな笑顔で言われたらさすがに断れないし…いやさすがに冗談か、あれ? でも、蒼乃が冗談ついてる時なんて見た事ないし……ああクソ、最後にケアしたのいつだったっけ!? 「…湊?」 「ふぁいっ!?」 湊は思わずおかしな返事をしてしまう。そしてーー。 「…ハ、ハイロッカ…イッショニ」 「よしきた! 絶景らしいから、湊もきっと気にいるぞ!」 「ウ、ウン…」 湊の顔は、既に赤くそまっていた。 *** 泡立つ湯船の片隅で、湊は硬く縮こまっていた。 「…そんな片隅にいなくてもいいのに」 「え、そう? …あ、ほら! 夜景、綺麗だよねー!」 適当な場所をふらふらと指さして誤魔化す湊を見て、蒼乃は微笑した。 「ふふ、ははは」 「な、なんだよ…」 「なんかさ、風呂入る時から様子おかしくない? 湊」 いや別に…、とまた誤魔化そうとすると、蒼乃は顔を近づけて湊をまじまじと見つめる。 「…蒼乃?」 「なに恥ずかしがってんだよ。顔真っ赤だぞ?」 「だ、だって蒼乃がーー」 「こんな狭い風呂、普通2人で入らないもんな」 「え?」 ガラス張りの浴室に、お湯とはまた異なる熱気が漂う。 to be continued… 作:海月 名付け親:高嶋のぎ
ご相談
みなさん、ごきげんよう! 最近何も投稿していない海月です。ボカロPとしての活動をぼちぼち始めている海月なのですが、小説のネタがもうこれ以上降ってきません。おそらくもう書けないのだと思います。というか正直、僕の作品が皆様にとって需要があるのかどうかすら、元から分からなかったのです。そこで皆様にご相談があります。僕は今後、どうすれば良いでしょうか? 選択肢は二つ。 ①皆様からもらうリクエストのみでもいいから、小説を書いてほしい。 ②たまに海月が主催のイベントを開催してほしい。 僕ができるのはこの二つのいずれかのみです。これらさえ出来なくとも、このNoveleeには読み専として居続けるし、LINEオプチャもずっと運営し続けます。大規模合作企画も、予定通り開催します。皆様のご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。 海月
わたしは禁忌 #ボカロ二次創作
寒い。こんな事を言うのは、今日で何回目だろうか。一人の少女が、公園のベンチにぽつんと座っていた。 (はぁ…いっそ太陽がこっちに落ちてくれればいいのにな。なんちゃって) ふと、時計を見る。18時。まだ明るいのに、いつの間にかそんな時間になっていた。少女は立ち上がり、彼氏のアパートに向かった。早く、貴方に会いたい。そんな事を思いながら、急ぎ足で進んだ。 (ここの路地裏って確か、アパートに繋がる道だったよね) 少女は普段行かない道を使い、時短しようとしたのだ。その時だった。不意に背筋が冷たくなり、動けなくなる。 (…!) 少女はゆっくりと振り返ると…… 《よお。こんな時間に何してるんだい?》 そこには、黒く、ゆらゆらとうごめく幽霊が大量にいた。 (しまった…) 少女は後ずさり、踵を返そうとしたが、幽霊に引き止められた。 《まあ待て。無理して人間の所に行く必要なんて無いさ。俺らの仲間になれば、自由になれる。縛りが無くなる》 『無理なんてしてない』 少女はそう強く言う。その態度に、幽霊は少し苛立っているようだ。 《けっ…お前はな、してはいけない事をしている。いつまでも人間の格好をして、ずるい。代われるものなら代わってほしいくらいだ》 『そう。でも、お前らはそうなれなかったんでしょ? 生前悪いことをしてきたんだろうね、ざまあみろよ』 少女は、自分は怖いはずなのに、幽霊を煽っていた。 『私のこの日常は、お前らには渡さないから』 それだけ言って、逃げるように去っていった。 《……》 * 次の日の昼。天気は曇りで日光が通ってないため、少女は一層、寒気がした。だが、その横には暖かい彼氏がいる。彼もあの公園に向かうらしい。 「今日は涼しいから、日傘が要らないね」 『んー…でも、やっぱり今は暑いほうがいいかな』 彼の言葉に、少女が答える。やがて公園に到着し、彼はそこのベンチに座った。 『キミもそこのベンチ、好きなんだ? 座り心地良いよね!』 「懐かしいなぁ。よくあいつとここに来て、一緒に座ったものだね」 そう笑う彼だが、目に涙が滲んでいた。 「あれ? なんだろう。近くにあいつがいる気がして、胸が……っ」 『……』 少女は唇をかみ、彼の頭を撫でようとした。だが、すぐに手を引っ込めた。 (…ダメ。私が触ったら、キミは…) 引っ込めた手を、もう片方の手で包み込み、胸に当てる。引きつった笑顔で泣く彼を見て、少女は心を痛めていた。一度離れよう。そう思い、少女が公園から出ようとした時、左肩に激しい痛みが襲った。 (痛い…!) 横を見ると、昨夜の幽霊が、少女に噛み付いていたのだ。 《なるほどな。お前はこの男に会いたくてここに居続けている訳だ。ならば、こいつをお前の仲間にすればいい!》 『な、何を…!』 幽霊がより強い力で噛んだ時、少女の左肩から腕が黒く変色し、感覚が麻痺した。そのはずなのに、少女の左腕は勝手に動き出し、指を開いて手を伸ばした。その先にはーー。 『!! やめて!!』 間一髪。少女は右手で左腕を押さえ、彼氏に触れるのを防いだ。しかし、黒い左腕はまだ伸ばし続け、彼に触れようとする。強い力だ。 『ぐ…うぅ…』 《やるじゃねえか。だが、いつまでもつかな?》 背後から幽霊が囁く。突然の襲撃に、少女は言葉が出なかった。出す余裕も無かった。 《そいつも仲間にしてしまえ! 我慢は無理だろ? さあ!》 《触れ! 触れ! 触れ!》 『う…るさい…っ』 少女は低く呟く。生きている人間に触れる事は『禁忌』であった。触れた瞬間、その人間は絶命する。……惜しいほどに暖かい彼を、ここで守らなくては意味が無い。少女はため息をつき、左肩を噛む幽霊を掴んだ。 『…いい加減にして』 《あ?》 その時、少女は幽霊を無理やり引き剥がし、口を大きく開けた。 『こんな寒さが、なんだってんだよ!!!』 少女は幽霊に噛みつき、引きちぎった。 《いだだだだだだだ!》 《こいつ、やりやがったな!》 幽霊が一瞬ひるんだうちに、少女は公園から飛び出した。 《あいつを捕らえろ!》 少女の足元に大きな沼が出現し、足をとられる。だが少女は、これ以上反撃しなかった。 (…これで良かったんだ) 禁忌に狂れていた少女は、自分で自分を嘲笑う。最初から干渉していなければ、彼は危険にさらされなかったのだ。沼に落ちていく少女。ベンチに座る彼氏を見て、目を閉じた。 ……よかった。 作:海月 オリジナル:いよわ『わたしは禁忌』
魔法が解ける、その前に 前日譚 夜真side
とある土曜日。黒咲 夜真(くろさき よま)は、自分の部屋の棚に飾ってある水晶玉を見た。紫色を基調としたそれは、窓からの日光を集めて美しい光を放っている。それは夜真が10歳の時、男手一つで育ててくれた父親がくれた物だった。ふと、夜真は自分の目の前で両手を広げてみた。するとその手のひらから、ぬるぬると黒い何かが出てきた。それはやがて尖った形状になり、うごめく触手へと変化した。これが彼の闇属性の魔法。身体の至るところからこのようにして触手を生やせるのだ。幼少期に離婚した母親は魔法を持たず、父親が闇の魔法を持っている。夜真は父親の遺伝子を継いだのだ。彼が3歳の頃、無意識に出していたその触手を、魔法の事を知らない母親が見つけてしまったのだ。 ーーこんな子、私じゃ育てられない! そう言い、母親は出ていってしまった。夜真はその事を知らない。 「…暇だな」 そう呟く夜真。人とあまり関わらない彼は、休日はほとんどする事がない。窓の向こうから、誰かがはしゃぐ声が聞こえる。その特徴的な声に、夜真は聞き覚えがあった。 「あの人、休みの日には大体あの鳥と遊んでるんだよなぁ。俺にもペットがいれば楽しいかもしれないんだけど…」 その時、遠くの窓の向こうで何かがひらひらと飛んでいるのが見え、夜真は触手を使って静かに窓を開けた。そして部屋の中に入ってきたのは、なんと、光り輝く蝶のような生き物だった。夜真が手を差し伸べると、蝶はしばらく手の周りを羽ばたき、やがて人差し指にとまって羽を休めた。その美しい輝きを放つ蝶を見つめ、夜真は不思議な気持ちになった。 「この蝶、綺麗だな。なんて名前の蝶なんだろう?」 夜真はスマホを取り出し、光る蝶を脅かさないように写真に撮って画像検索にかけた。だが…。 「…ウスキシロチョウ?」 画像とその光る蝶を見比べる。そんなはずがない。スマホをしまい、また蝶を見つめる。 「俺が暇だったから、遊びに来てくれたのかな。ありがと」 蝶は夜真の指から飛び立ち、部屋の周りをふわふわと漂った。それからしばらく夜真は、羽ばたく蝶を眺めていた。 作:海月
予告
大規模合作企画、始動。 海月 ✕ 七宮叶歌 ✕ 高嶋のぎ ✕ スズラン ✕ 叶夢 衣緒。 ✕ だked ✕ カタツムリ 以上、7人のNoveleeユーザーによる恋愛ファンタジーを制作中。 前日譚も投稿予定。 ーー君にこの想いを、伝えたい。
お前は殺せない
激戦のなか、崩れた建物の隙間に二人の戦士がいた。そのうち一人の戦士のナオトは、深い傷を負って体力もほとんど残っていない。やがて、仲間のアキラにこんな事を言い出した。 「痛い…もう俺はダメだ。どうせ死ぬなら、お前に殺されて死にたい。頼む、俺を殺してくれ…!」 「は⁉︎ なに言ってんだよ!俺はお前を殺せねぇよ!」 だが、アキラはすぐに否定した。 「はは…おまえは優しいよな。でももう、俺も限界なんだ。痛くて痛くて、たまらないんだよ」 致命傷を負っているはずのナオトだが、どういう訳かいつまでも意識がはっきりしているせいで、苦しんでいる。アキラは、ただそれを見守ることしかできなかった。 「ナオト…」 「だから頼む、お前が俺を殺すんだ。あぁ痛い! 早く、早く殺してくれ‼︎ 早く‼︎」 ナオトの苦しむ姿に、アキラは泣きながら叫んだ。 「無理だよ! 俺にはそんな事できない!」 「ためらうな! 俺は構わないから、そのナイフで刺すんだ!」 「違う、そういう事じゃない。本当に『できない』んだよ!」 「はあ…? どういう事だよ?」 困惑するナオトに、アキラはこう言った。 「忘れたのか? このマッチはフレンドリーファイアが無効になってるんだぞ! いくら仲間に攻撃してもダメージ通らねぇよ!」 作:海月
Silent Vortex 〜影の旋律〜 DATE1(#3)
ーーなんなんだよあいつら…俺らを殺害するだと? いやそんな事より、一体、どうやってここがアジトだって分かったんだよ! ハッカー集団のボスは、男と逃げ惑いながら考えていた。彼らに分かるはずもない。Silent Latticeは、24時間日本各地の街の様子、治安、ニュースをずっとモニタリングをしているのだ。その手段として、ネットニュースや気軽に呟けるSNS、至る所に設置されているライブカメラなど。彼らの情報網は、格子のごとく規則正しく張り巡らされているのだ。 * 一方、霞真たちは激戦を繰り広げていた。 ーー素人の動きではないな。意外と動きが速い。油断してたら撃たれてしまうかもな。だが… 霞真はナイフを握りしめ、目の前の男の胸ぐらを掴んだ。そして、奴の頸動脈を刺す。 「がッ…」 派手に血飛沫を上げながら、ばたりと倒れた。顔やローブに血が付着するも、霞真は構わず次の標的の方へ向かう。陸斗は右手に投げナイフを三本持ち、一本ずつ投げた。それはまっすぐ飛んでいき、男の胸に突き刺さった。 「ぐあぁっ!」 陸斗が投げるナイフは、99%の確率で命中する。そして彼らは、十分もしないうちに武装する男たちを全員殺害した。だが、本命は奴らではない。 「陸斗、あのボスらはどの方向へ行った?」 「たしか、そっちの出口に逃げたんじゃないかな」 霞真は手についた血をはらって、無線機を手に取った。 「こちら霞真。団員二十人の始末完了。残りの団員一人と、ボスの始末に向かう。Latticeはここの処理と、サーバーなどの回収を頼む」 《了解》 Latticeのもう一つの役目。それは、死体や返り血の後始末だ。特殊なスプレーなどを使って汚れを拭き取り、死体は持ち帰ってアジトの焼却炉で燃やす。全てを無かったことにするのだ。霞真は奴らが持っていた銃の残りの弾数を確認し、一丁を陸斗に渡し、自分も装備した。 「ボスを追うぞ」 「おけ」 霞真と陸斗が部屋から出ようとした時だった。無線から、焦っている様子の声が聞こえた。 《こちらLattice! ターゲットらしき二人の人物が、建物外へ逃亡している!》 「なっ…もう逃げ出したのか⁉︎」 続いて、別のメンバーからも無線が入った。 《こちらLattice。現在地付近にターゲット確認。今なら奴を仕留められます》 「おい、仕留めるってお前、なにで…?」 《今、手元に護衛用のナイフがあるので、覚悟はできています》 そう言う諜報員だが、霞真は首を大きく横に振る。 「ダメだ! 奴は銃を持ってるんだぞ。お前が先に殺られる!」 《しかし…》 「おい、霞真! あいつじゃね⁉︎」 陸斗が窓の外を指差してる。そこを見ると、ビル近くの道を、あの二人組が走って逃げている。その時、霞真はその窓を急いで開けた。陸斗は彼が何をしたいのかをすぐに理解し、慌てて彼を止める。 「おい、よせよ。ここ12メートルもあるんだぞ。怪我でもしたらどうするんだ…」 「止めるな‼︎ 今しか奴らを殺せない!」 陸斗の手を振り払い、霞真は窓から外へ飛び降りた。そして、僅かな空気抵抗を受けながらボスの方向へと飛んでいき、何も知らない奴にドロップキックをした! 「ギャアァァァァァ⁉︎」 ボスの肋骨が折れる音がした。霞真はすぐに姿勢を立て直し、二人をナイフで切りつけたのだ。倒れ込む二人。 「はぁ…はぁ…」 霞真の身体に疲労が押し寄せてきた。 「…死ぬかと思った」 そこへ、陸斗とLatticeのメンバーが駆けつけてきた。 「大丈夫か、霞真⁉︎」 「ああ、なんとか間に合ったよ」 「マジで無茶すんなよ、映画のワンシーンみたいな事しやがって!」 「手段がこれしか無かったんだよ」 こうして、Specter Hackの核が殺され、奴らの犯行は二度と起きなくなった。 * 翌日のアジト。Silent Vortexのメンバーの真夜が、霞真から当時の話を聞き終え、信じられないような表情をしていた。 「なにその映画みたいな倒し方…危なすぎない?」 「陸斗と同じ事言ってるじゃねぇか」 「霞真はすぐそうやって無茶するんだから。自分の身体は大事にしないとだよ?」 「…まあ次からは気をつけるよ」 本当なの?と言う真夜に、霞真は苦笑した。 DATE1 fin. 作:海月
Silent Vortex 〜影の旋律〜 DATE1(#2)
「本日、電子マネーサービス『EasyPay』が、ハッカー集団によるサイバー攻撃を受けた」 モニターに映る情報を指差しそう言うのは、諜報員グループSilent Latticeのリーダー、静馬だ。とある地下アジトの20時。ミーティングルームの中で霞真と陸斗も、真剣そうな表情で話を聞いている。 「そのハッカー集団の正体なんだが、かの有名な『Specter Hack』によるものである事が判明した」 「!」 Specter Hack。世界中で様々な電波障害、ハッキングを繰り返す厄介なハッカー集団だ。金銭や情報漏洩などを目的に動いており、毎年至るところで被害が報告されている。 「霞真。どうやらお前も被害に遭ったみたいだが、復旧はしたのか?」 「ああ、残高も減っている訳ではなさそうだし、大した問題はない」 陸斗が尋ねた。 「それで、奴らの拠点はどこか分かったのか?」 「もちろんだ。今回は駅近くにある〇〇ビルの四階を使用していたらしい。どうやらリーダーらしき人物もそこにいるらしいから、今夜、Specter Hackの核を潰すぞ」 「おお…なんかワクワクするな!」 そう言う陸斗に、霞真がつっこむ。 「殺し屋がワクワクするって、滅多に聞かないぞ」 「でもさ、俺らの手で、世界の治安を影ながら救うって、やっぱりかっこいいだろ!」 「…まあ、悪い気はしないかもな」 「だろ⁉︎ よし、今日も頑張るぞ!」 一層張り切る陸斗。静馬はモニターに繋いでいたパソコンを閉じた。 「ーーでは、22時に作戦を遂行する。それまでに準備してくれ」 「了解」「了解!」 * 〇〇ビル。それは数十年前に倒産した会社のビルで、所有者もすでに亡くなっている。解体するにも莫大な金が掛かり、今も残っている。薄暗い部屋を、不気味なサーバーの光が照らしていた。 「ボス、次のターゲット地区の提案を頼む」 大勢いる男のうちの一人の男が、Specter Hackのボスらしき人物に尋ねた。ボスは腕を組み、テーブルに広げられた地図のとある位置を指差した。 「明日、このあたりでイベントがあるらしい。人通りも多いし、ここにしよう」 そんな怪しげな話し合いをしている時だった。物凄く大きな音がしたと思ったら、入り口のドアが破壊されていた。 「ーーッ⁉︎ 誰だ⁉︎」 そこからコツコツと足音が響き、二人の人物が現れた。そう、霞真と陸斗だ。二人とも黒いローブを身にまとい、霞真は二本のダガーナイフ、陸斗は数本の小さな投げナイフを持っている。 「あんたがSpecter Hackのリーダー、イシダ ヤスノリか。こんな汚ねぇとこでコソコソしやがって」 「な、何故それが分かる!」 陸斗の言葉に動揺するボス。霞真もこう言う。 「我々は、お前らの行動が世界の秩序を乱す存在であると判断した。よって、本日お前らを殺害する」 その言葉に、ボスは一気に青ざめた。だがーー。 「まさかこんな事になるなんてな…おい、アレを用意しろ」 周りの男たちは、自分の懐からピストルを取り出した。 「へぇ…セキュリティガバガバかと思ったら、ちゃんと対策はしてあるんだね」 陸斗の煽りに、ボスが怒鳴る。 「黙れ! お前ら、こいつを蜂の巣にしろ!」 「「押忍‼︎」」 そうしてボスは、一人の男を連れて奥へ逃げ出した。 「殺れるか、陸斗?」 「勿論! 俺についてこい、霞真‼︎」 「…偉そうなヤツ」 Specter Hack武装者の二十人 対 霞真&陸斗。 二人は、銃を持つ群れに向かって走り出した。 to be continued… 作:海月
Silent Vortex 〜影の旋律〜 DATE1(#1)
Silent Vortexーーそれは、日本全国に潜む悪を抹消させるために立ち上げられた、凄腕の暗殺グループである。二本のダガーナイフで標的を切り裂く霞真(かずま)。銃器を使いこなし、相手に触れずに仕留める真夜(まよ)。大剣クレイモアで、一度に多人数を葬る龍也(たつや)。鎖鎌を振るい、目にも留まらぬ速さで標的を巻き付け、斬りつける明莉(あかり)。投げナイフを使って、標的を無音で仕留める陸斗(りくと)。様々な薬品を使い、賢く倒す京子(きょうこ)。彼らは新潟県に存在する地下アジトを拠点とし、今もどこかで任務を遂行している。 ある正午のことだった。霞真と陸斗が駅近くのカフェで昼食を取っていた。普段プライベートで関わることの少ない彼らだが、珍しく霞真が陸斗を誘ったのだ。陸斗は運ばれてきたコーヒーカップを手に取り、香ばしいコーヒーの香りを嗜む。 「今日は誘ってくれてありがとな、霞真。にしても、お前から誘ってくるとは珍しいじゃんか」 「ああ。たまには仲間と食べにいくのも悪くないと思ってな」 霞真も、注文したフレンチトーストを食べ始める。普段の仕事では見せない、僅かなリラックスした空気がゆったりと流れていた。 数十分後。空になった食器が乗ったプレートを返却棚にのせ、会計へと向かう霞真。 「これくらいなら、俺が払ってやるよ」 その言葉に、陸斗は目を輝かせた。 「え、いいの⁉︎ さっすが霞真、イケメ〜ン!」 「うるせぇ」 そう言いながらも、店員の方を向いた。 「千六百円です」 「QRでお願いします」 霞真はそう言うと、スマホを取り出し、電子マネーのアプリを開く。機器にスマホを当て、決済しようとしたが、いくら待っても、決済完了の表示がでない。やがて、こんな表示が出てきた。 『原因不明のエラーが発生しました。時間をおいてもう一度かざしてください』 「…ん?」 その後も何度も決済を試みるも、やはりエラー表示が出てしまう。そうしているうちに、後ろに会計待ちの行列ができてしまい、これ以上時間をかけると怒られてしまう。 「すまん陸斗。後でATMで下ろして返すから、今払ってくんね?」 「あ、ああ」 そうして陸斗は現金を出し、カフェから出ると、霞真は現金を下ろしにコンビニへと向かった。外で待つ陸斗。 「サイバー攻撃にでも遭ったのか…?」 そう呟いていると、突然、後ろから声をかけられた。 「こんにちは、お兄さん! こちら、試供品です。ぜひお試しください!」 「え? あ、はい…」 手渡されたのはポケットティッシュ。だが陸斗は、先ほど声をかけてきた人物に見覚えがあった。 「Latticeの諜報員か? てことは…」 Latticeというのは、Silent Vortexに所属して、情報収集の役割がある諜報員のことだ。陸斗はティッシュの紙を全て取り出し、それらを一枚一枚確認した。すると、そのうちの一枚に文章が書かれてあり、それを見た陸斗は険しい顔になった。 「…なるほどな」 to be continued… 作:海月