華
6 件の小説My treasure
武者震い 意味は心が勇み立つために、体がふるえること。 心臓がバクバクする 意識が遠のく 現実から離れてゆく ここはどこだ どこだ どこだ 不思議な感覚 霧に包まれてる ふわふわする あぁあぁわかったわかった ここは学校だ しかも2年前 私が高校1年生のとき 懐かしいと同時に苦しいそして悲しい 動こうと思っても動けない 意思とは違う動きをしてしまう きっとこれは夢なんだ これは過去なんだ 過去に戻ったとか、タイムスリップだとかそんなんじゃない 夢だ。 昔経験したことがそのまま夢になっているんだ 嫌だなぁと思いながら私はその日できた"おともだち"と歩いていた その先は音楽室 本当は反対向いて帰りたい でも、あの時の私は期待に胸を膨らませていた あぁやめろ そんなところに行くな 帰れ そんなことを思いながら笑顔で失礼しまーすと入っていった あーあやっぱりだ 過去は変わらない そりゃそうだ これはあったことがそのまま まるで映画やドラマみたいに流れていってるだけなんだから わかっていても胸は打たれて わかっていても入部したい衝動に駆られて わかっていてもどうしても望んでしまう そして手に取る金色に輝いた『それ』 そして隣を見る。 まるで桜が舞っているような、晴れたような笑顔でこっちを見ているあの人。 数ヶ月後には私が持つことになる銀色に輝いた『それ』 ようこそ吹奏楽部へ 金色のユーフォニアムを持つ私 銀色のユーフォニアムを持つ部長 私はいつか部長になりたい 彼女のようになりたい 手に入れられないのならせめて、同じ立ち位置を手に入れたい そんな風に思う私は駄目なのだろうか
貴方のそばで
私は吹奏楽に入りたい。 そう決めていた。そしてあの人に出会ったんだ。部活見学の日に出会ったあの人は綺麗だった。こんなにも綺麗な人がこの世にいるんだと思った。私は予定通りその日に入部届けをもらって家に帰った。 私は鋭い目つき、余計な一言を言ってしまう、思ったことをすぐに言ってしまう。我ながら最悪な性格だと思うし、浮いていると思う。それでもどうしようもないし、これが私なんだと割り切っていた。どうせクラスでも部活でも浮くんだから変に期待はいないでおこう。そう思っていたのに、あの人はこんな私と仲良くしてくれた。心の中でいっぱい理由を浮かべた。あの人は二年生1人だけで寂しいんだ。あの人は優しいから私を放っておけないんだ。あの人は初めてできた後輩を可愛がってくれているんだ。そうやって私が特別ではない理由を私が期待しないように、勘違いしないように理由を考えて納得させていた。でもいくら割り切っていたとは言え1人は寂しいもので、私はあの人を好いてしまった。これが人として好きなのか、恋なのかはわからない。あやふやなそんな気持ち。だけど幸せだった。お互いにひとりぼっち同士で、支え合った私たち。でもね、ひとつだけ違ったの。先輩はクラスに居場所がある。大切な友達がいる。それがほんの少し許せなかった。私だけの先輩でいてほしい。私だけを見ていてほしい。だから、だから、私はいくら邪魔だと思われようとも、もし言われたとしても、絶対に先輩から離れない。部活では隣をキープしているし、学校が早い日は一緒にお昼を食べるし、先輩が入っているソフト部に時々お邪魔している。そうやって先輩の『特別』をキープしてきた。私はこれからもずっとそうしていく。私と同学年の子たちも、新しく入ってきた後輩たちも、私には敵わない。だから大丈夫。そして、先輩との最後のコンクール。これで先輩との正式な部活は終わる。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だもしかしたら部活が終わってしまえば、この関係は終わってしまうかもしれない。私が積み上げてきたものが一瞬にして崩れ落ちてしまうかもしれない。それが怖くて悲しくて。私は先輩にコンクールの日、キーホルダーをプレゼントした。私が作った、世界に2つだけのお揃い。口には出せないけれど、先輩にそっと呼びかける。ねぇ、先輩。私がいて良かった?私はいい後輩でいれた?他の人よりも『特別』でいられた?全て答えは『YES』にして?私の世界で1番特別な貴方。 コンクールが終わっても先輩は名残惜しいようで普通に部活に来た。普通と言っても練習はしずに自分の使った楽器を掃除して、後輩に引き継ぐためだった。そして先輩は1人で楽器を掃除するのは寂しいからと言って、私と一緒に掃除をしたがった。よかった。そして先輩と2人きり。真夏の外で楽器を洗う。嬉しかった。幸せだった。そして好きだと言った。先輩はただありがとうと言った。愛の告白なのか、先輩後輩としてなのか彼女はわかっただろうか。これが同性じゃなければ何か変わっていたんだろうか。これからも私は先輩を好きでい続ける。先輩が想いに応えようが応えまいがなんでもいい。ただ私は先輩の『特別』を先輩への『好き』という気持ちをただただ大切にしたいんだ。
小説家
私の夢はいくつもある。 今回はその中の一つ 小説家になりたいという夢について。 小学生の頃は本を読むのが苦手だった。 文字を読むのもじっとしているのも苦手だった。 数百ページあるその本を読んでいる同級生はすごいと思った。 四年生のとき仲の良い子たちはお絵描きとか読書とかをしていた。どっちも苦手だった。外で遊ぶのは好きだけど、周りについていけないから嫌だった。昼休みは大体保健室で過ごしていた。保健室の先生は優しくて好きだった。文字を読むのは苦手だったけど、静かなところで先生は仕事をしていたから誰にも気を使わずに私もゆっくり絵本が読めた。誰も見てないから気が散らなかった。文字の間が空いていて目がチカチカしなかった。少しずつ本が好きになった。 五年生になった。 保健室の先生は離任した。 新しく好きになった先生は司書の先生だった。 優しくて、私の話を聞いてくれるから嬉しかった。この先生には六年生でもお世話になった。 毎日図書室に行くようになって、どんどん長くて、細かい字の本も読めるようになった。 苦手なことが得意になって少し自信が付いて卒業した。 中学生になった。 大きな図書室に心が踊った。 小学校にはなかったたくさんの本が読めて楽しかった。 二年生になった。 仲良くなったグループはあんまり図書室に行くような子たちじゃなくて、本を読む機会が少なくなった。 三年生になった。 久しぶりに行った図書室はなんだか少し懐かしかった。 久しぶりに本を読んだ。 素晴らしい本を書ける人間になりたい。 小説家になりたい。 小さい頃は本を読むのは苦手だったけど、割と周りからは想像力があるとかお話作りが上手とか言われてきたから、やってみようと思った。 現実は甘くなかった。 短編的なものは作れるけれど、あんまり面白くない。 自分が作りたい大まかな物語はあるけれど、どうやって言葉にしていけば、どうやって繊細な物語として成り立っていくのか分からなくなってしまう。 そして私はこの夢を諦めた。 物語は書けない。 小説家にはなれない。 でも自分語りのように文を作っていくことならできる。 自分が経験したものを少し誰かに見せれるように美化したり、ときには少し掘り深めたりして文を作る。 そうやって私は日頃の苦しみを吐き出して、諦めた夢を叶えているような気持ちになる。
愛
ポリアモリーって知ってる? 私も最近知ったんだ。 複数愛 お互いの同意を得て複数のパートナーと関係を築く。 私はその考えに惹かれた。 私も似たような考えをしているからだ。 私は幼稚園も小学校も市立だったから、みんな近所の子で、今思うと世界が狭かった。 世界が広がったのは中学生になってから。 いつも歩きだったのが、自転車で30分になった。 一学年30人だったのが、100人になった。 初めて恋をした時はなんの違和感もなかった。 次に恋をした時に違和感を感じたんだ。 違うクラスの男の子が好きだった。毎日話しかけて、学校に行くのが楽しかった。でも同じぐらい好きな人ができた。同じ部活の先輩だった。その人は女の人だったし、先輩だったからもうすぐ卒業だった。いろんな理由が重なって、先輩に恋した期間は少なかった。それでも大きな違和感があった。私にとってその男の子も先輩も同じぐらい好きだった。どうしていいか分からなかった。そのまま月日が経った。 また好きな人ができた。その人は私のことが嫌いだった。だから眺めているだけで何もしなかった。そしたらとあるクラスの男の子が私にアプローチしてきた。その人は優しいし、私を一番に考えてくれた。これで好きな人がまた2人になった。その時私は、同じ生活班の男の子といるのが気楽だった。その人のことも好きになった。自分が自然体でいられるから。3人の好きな男の子の中で2人は私を好きでいてくれた。2番目の子と付き合った。3人好きな男の子はいるけれど、自分を1番大事にしてくれる人と付き合おうと思ったからだ。でも3番目の男の子といい感じになっちゃって、ああこの人とも一緒にいたいって思った。でも彼氏はそれを許さなかった。愛情深いところが好きだった。だからそうなることもわかっていた。3日考えた今やっと自分がどうしたいかわかった気がした。 私はポリアモリーかもしれない。 それでも相手が複数の人と関係を持つのは嫌だ。 自分勝手な奴だと思う。 それでもこれは仕方がない。 変えられない。 だから付き合う人は1人。 それでも好きな人はたくさんできると思う。 今の彼氏にもこの先たくさんの経験をしていく中で言わないといけないと思った人にも自分のことを伝えて、理解してもらおう。 きっと普通じゃないと言われる。 だからこそ言おう。 そこで傷つけられたり、差別されたりするのならその人の本質はそうなんだ。 私は男も女も好きになる。 私は何人もの人を好きになる。 普通を望まれるこの世界で、私はきっと異端者だ。 だからこそ、それを武器にして生きていこう。 これは私の決意だ。
始まり
私の心を狂わせた。あの人は今でも私の心を締め付ける。 助けて。助けて。助けて。 私はこれからどうやって生きてけばいいのだろう。 動けば動くほど苦しくなる。 息をすればするほど、苦しくなる。 終わりのない道をずっと走るような。 終わりのない道をずっと走り続けるような。 洸との恋が終わって1年経った。あの時1年生だった私は今3年生になった。 時の流れは速かった。 私が泣いている間に 私が後悔している間に 1年経つものなんだな。 3年生の始業式。私は隣の席が男子でものすごく機嫌が悪かった。右は女たらしで有名な弘。弘は女の扱いに慣れていて、いつ聞いても彼を好きな人がいた。でも弘自身の浮ついた話は聞いたことなく、だからこそなのか人気だった。左は洸の親友の荘。荘はガードが固いというか、人を寄せ付けないというか、独特な人だった。私は彼らと接点を持つ事になるだなんて思わずに、過ごした。待ちに待った席替えの日。2人と離れて軽くなった心。仲のいい子と同じ生活班で踊る心。今年一いいとこかもしれないと思った。そんな幸せな生活を5ヶ月過ごした。そして2回目の席替え。彼らと同じ生活班になった。 終わった。 最初の感想はそれだった。 それでも時が経つにつれて、あの2人にも慣れていった。 そしてわかったことは2つ。 荘はものすごく性格が悪い。 弘はものすごくいい人。 弘は学校での生活が苦手な私をさりげなくサポートしてくれることが多かった。 そう。弘こそが彼なのだ。 「志望校どこなの?」そんなよくあるDMから始まった。1ヶ月の時を経て。「話したいことあるから一緒に帰ろ」ドキドキしてしょうがなかった。 こんな何かの物語みたいな事があっていいのだろうか。いつも友達と笑いながら帰る道。いつも散歩する私の大好きな道。そんな道を今彼と一緒に歩いてる。帰り際「俺は華の事しか考えれないぐらいあれだから」。『あれ』好きじゃなくてあれって言われた。『あれ』がなんなのか聞けずじまいで終わった今日。もしかしたらキープだから好きって言わなかったのかもしれない。それでも幸せな今を噛み締めていたい。キープかもしれない。そんな不安はいらない。幸せだからそれでいい。 今まで私は不安で仕方がなかった。 あの人に狂わされた心。 またあの人のときのような結末を辿るかもしれない。 恋への愛への不安。 好意を向けられると出てくる吐き気。 それでも、私を不安にさせずに私の欲しいことをしてくれる人がいる。 私のことを理解してくれる人がいる。 だから弘との恋が上手くいかずとも、きっとこれからは大丈夫。
始まり
「華のことが好きだ」その言葉が私の人生を狂わせた。 通知が鳴る。あの人からじゃない。彼からだ。あの人は私の人生を狂わせた元凶。彼はいま私の人生を狂わせている人。 あの人と出会った時の話からしようか。 その日は入学式から少し経った日。なんの変哲もない日。でもその日から私の人生は色付き始めた。 「名前なんて言うの?」「華」「俺は洸!」それがあの人、洸との出会いだった。その日から少しずつ言葉を交わし始めた。同じクラスじゃないから朝2人でお互いの教室に着くまで。帰りお互いの分かれ道まで。朝も帰りも約束はしない。毎日じゃない。偶然出会えて、偶然誰かとの約束がないそんな日だけ。それでも私は幸せだった。しばらく経つと、朝も帰りも2人で行けなくても、「おはよう」と「バイバイ」は必ずになって。休み時間も時々話すようになった。そのとき私は幸せだった。一年の終わりがけ。12月か1月か。「俺好きな人出来た」心臓がぎゅってなった。私の恋は散るのかもしれない。おそるおそる聞いた。「誰?」「できればその人と付き合いたいと思ってる」「華だよ」「華のことが好きだ」嬉しかった。「私も洸のことが好き」でも付き合わなかった。付き合えなかった。それが今の私を狂わせる。 ごめんなさい。私はあの時洸と付き合いたかった。気づいたら好きだった。自覚したその日から洸以外の人との未来は考えてなかった。それでも、あれを目にして付き合いたいと思えなかった。 小さい時からの夢だった。 「好きです。付き合ってください。」私以外は見ずに、真っ直ぐこっちを見ている。そんなシチュエーションが夢だった。洸が放った言葉は、「じゃあ、付き合う?」だった。私にとって、誰かと付き合うのは奇跡で、もっと大切なもので、こんな風に冗談みたいに軽く言うものじゃない。だから私は付き合いたいと思えなかった。 洸との恋が終わった。 幸せの終わりはこんなにもあっけないものなのか。 あの時付き合わないことを選んだことを間違いだとは思わない。でも付き合えばよかったと何度も泣いた、何度も後悔した。 あの人が私の人生の何を狂わせたか。それは私の心だ。 次の話は彼についてです。