始まり
「華のことが好きだ」その言葉が私の人生を狂わせた。
通知が鳴る。あの人からじゃない。彼からだ。あの人は私の人生を狂わせた元凶。彼はいま私の人生を狂わせている人。
あの人と出会った時の話からしようか。
その日は入学式から少し経った日。なんの変哲もない日。でもその日から私の人生は色付き始めた。
「名前なんて言うの?」「華」「俺は洸!」それがあの人、洸との出会いだった。その日から少しずつ言葉を交わし始めた。同じクラスじゃないから朝2人でお互いの教室に着くまで。帰りお互いの分かれ道まで。朝も帰りも約束はしない。毎日じゃない。偶然出会えて、偶然誰かとの約束がないそんな日だけ。それでも私は幸せだった。しばらく経つと、朝も帰りも2人で行けなくても、「おはよう」と「バイバイ」は必ずになって。休み時間も時々話すようになった。そのとき私は幸せだった。一年の終わりがけ。12月か1月か。「俺好きな人出来た」心臓がぎゅってなった。私の恋は散るのかもしれない。おそるおそる聞いた。「誰?」「できればその人と付き合いたいと思ってる」「華だよ」「華のことが好きだ」嬉しかった。「私も洸のことが好き」でも付き合わなかった。付き合えなかった。それが今の私を狂わせる。
ごめんなさい。私はあの時洸と付き合いたかった。気づいたら好きだった。自覚したその日から洸以外の人との未来は考えてなかった。それでも、あれを目にして付き合いたいと思えなかった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/1/18 12:54
華