黒鼠シラ
34 件の小説黒鼠シラ
黒鼠シラの新しいアカウントです。 前のアカウントはフォロー欄の1番上にあります。是非そこからチェックしてみてください! 文字を書いたりするのは苦手なので、誤字脱字や文脈的におかしな部分があったら是非コメントで教えてください! 定期的にN-1グランプリと言うお題に沿った小説で1番を決める大会を開いてます。是非一度覗きにきてみてください! 歴代王者 1代目 美水小春 様 2代目 鴉君。 様 3代目 史 様 4代目 有陽へいか 様 5代目 花瀬詩雨 様 6代目 ナナミヤ 様 2022/6/30〜2023/1/31 2023/6/30〜
"引き金を引いて"私がいかにして人類を救うことができたのか。
“不停止の弾丸” または、真っ赤に塗られた見た目から"紅の弾丸"とも呼ばれる。 それは、一度放たれれば止まることなく進み続け、急速に加速することから甚大な被害をもたらすとされているものである。 私の任務は、弾を決まった方角に放ち、大いなる目的を達成することであった。これは多大な犠牲者を出すことでもあり、心を強く持たなければ達成できないものだった。 しかし、それは心優しき私にはできないものである。その理由は弾丸が心で放たれるということにある。物理的な引き金を引くのではなく、精神的に決断することによって弾が放たれる。これは人殺しを決意するということであり、私には不可能でしかなかった。 大いなる目的。それは人類の未来を救うことを意味しており、これを託された私は人類全員を背負っていることとなる。それなのにも関わらず、引き金を引く、つまり決断することができない私は、本物の愚か者である。 どうしてだ、どうしてできないんだ。人類を救うということはどう考えても正義でしかない。これはやらなければならないことであり、できて当然なことでもある。それなのにも関わらず、私は自らの心の問題で躊躇してしまっている。なぜだ、なぜなんだ、私は自らの優しさが憎い。どうしようもなく憎ったらしい。人を罵れず、虫も殺せず、悪い考えも出来ないような自分が大嫌いだ。やるしかない、本当にやるしかないんだ、私がやらなければ世界は終わる。だから絶対に負けてはならない。決断しなければだめなのだ……。 そう自分に何度も何度も無我夢中で言い聞かせる。それでも私は決断できない。呆然と立ち尽くし、ただ優しさも時に仇となると痛感する他なかった。それほどに自分に対して無力であった。 すると突然、額に鈍い痛みを感じた。 目の横を血が伝う。 頭がズキズキと痛む。なんだ、何が起きたんだ……。 ポケットから小さな手鏡を取り出す。 そうして額を見てみると、そこには小さな風穴が空いていた。 そういうことか。 意識が遠のく中、私はようやく理解した。 私は優しくなんてなかった。心の底では銃をもった時から決断はできていた。初めから人殺しの覚悟は決まっていた。 私が、自分は優しいと信じ切って上辺だけの葛藤をしている間に、弾は数々の犠牲者を出しながら地球を一周回り、背後まで迫っていたのだ。 引き金を引いてしまっていた。それも気づかずに。 あぁ、私は本物の愚か者だ。
【第1回NSS決勝】引き金を引いて
“不停止の弾丸” それは物理的な引き金でなく精神的な決断によって放たれ、全てを貫き、加速しながら地球を回り続ける、止まらない弾丸である。 私の任務は、弾を決まった方角に放ち、犠牲者を出しながらも大いなる目的を達成する事であった。 しかし、優しさゆえに虫も殺せない私にとっては、任務の遂行自体難しい。人類を救うという大いなる目的の犠牲は仕方がないものであり、出来ない私は愚かだ。 どうしてだ、どうしてできないんだ。私は自らの優しさが憎い。人を罵れず、悪い考えも出来ないような自分が大嫌いだ。やるしかない、本当にやるしかないんだ……。何度も何度も無我夢中に言い聞かせる。それでも私は決断できない。そうして呆然と立ち尽くし、ただ優しさも時に仇となると痛感する他なかった。 すると突然、額に鈍い痛みを感じた。 血が溢れ出る。 私の額には風穴が空いていた。 そういうことか。 私は優しくなんてなかった。心の底では端から決断できており、上辺だけの葛藤をしている間に弾は地球を一周回っていたのだ。 私は引き金を引いてしまっていた。それも気づかずに。 あぁ、なんて愚かなのだろう。
【第1回NSS】歴史上最低の王
私は歴史上最高の王である。 どんな時も国民のことを第一に考えて動いてきた。 税率を下げ、低収入な人々を多額の支援金を使って援助した。 戦争撲滅のために軍備を縮小し、国民が身近に恩恵を感じられる経済活動に税金を当てた。 さらに犯罪撲滅のため、刑務所を更生の機会を与える場にすることによって、再犯率を著しく低下させた。 医療福祉にも力を入れ、全ての国民が安心できる国を作り上げたのだ。 それなのにも関わらずこの国は破綻へと進んでいってしまった。 なぜだろう、私は歴史上最高の王であるのに…… なぜだろう、何故あの国王は今になっても追放されていないのだろう…… 奴は、貧富の差が激しくインフラも破綻してしまい、普通の人ではまともに食料すら買えない中、税率を下げお金の支援を始めた。 さらには侵略戦争で負けている最中に、軍備を縮小し、ほとんどの動ける国民が戦争に繰り出されている時に、犯罪撲滅政策をはじめ、大成功だと豪語した。 今不必要な善行を行い、国民の多くを苦痛に追い詰めている。 奴は歴史上最低の王である。
【予告】 Impact 7
人類は今年、絶滅する。 1500年前から決まっていた人類滅亡の年、2025年を迎えた人類は不安と混沌に包まれていた。 【7 Impacts(セブンインパクツ)】 歴史上最も預言を当てた預言者、ノア・イヴェルトによって書かれた7つの預言。 そのうち2025年に訪れる最後の預言は、人類の滅亡を示唆していた。 この預言を信じぬ者、信じて受け入れる者、信じても尚抗う者、彼らの考え方の違いによって、人類は新たな争いへと踏み込むのであった。 人類の最後に対する2つの家族を主軸とした終末物語。 「Impact 7」 作・黒鼠シラ 2025年6月1日公開
第6回 最終決戦結果発表
ついに第6回N-1の優勝者が決まります。 今回の大会は、執筆側の参加者が16名と史上最多であると同時に、史上初めて1人も辞退者がいませんでした。 第4回,第5回大会王者も参加する中、トップが決まりましたので報告します。 では早速第3位、第1位、第2位の順番で発表します。 惜しくも最終決戦第3位に終わった方は… エントリーナンバー16番 紫陽花 様(495点)です! 久しぶりの参加と初の決勝戦ということで、今回は惜しくも3位でしたが、2作ともとても面白かったのでぜひ次回も参加してみてください! それでは優勝者、第1位の発表です。史上最多の参加者の頂点に立ったのは… エントリーナンバー10番 ナナミヤ 様(512点)です! 初参加からの優勝おめでとうございます! 2作とも本当に面白かったです、特に1作目はアイディアが圧倒的に面白くてすでに満足できる物だった中で、最後にさらに満足感を味わえるオチがある話で個人的には今回大会で最も面白かったです! そして、惜しくも準優勝となってしまったのは、 エントリーナンバー3番 ot 様(510点)です! 初出場からの準優勝おめでとうございます! 文章力や表現がピカイチで圧倒的でした! ぜひ次回大会も優勝候補として参加してみてください! では、そんな感じで第6回大会は終了となりました。 初代王者 美水小春 様 2代目王者 鴉君。 様 3代目王者 史 様 4代目王者 有陽へいか 様 5代目王者 花瀬詩雨 様 につづいて6代目王者となったのは「ナナミヤ 様」でした! 本当におめでとうございます! それでは、次回第7回大会で会いましょう! 本当に参加者の皆様はお疲れ様でした!ぜひ次回も参加お願いします! 審査員の方も約1ヶ月間本当にありがとうございました!そしてお疲れ様でした! 第7回N-1グランプリの投稿予定日は、2025年8月1日です! ではまた!以上黒鼠シラでした!
小さな惑星
「高度700」 「船内気温正常」 「外部気圧誤差10」 「問題なし」 「大気圏突入」 燃える様な音と共に機体はまだ見ぬ新惑星の大気圏に突入した。 気圧や速度の変化で起こる、船体が軋む音はいつになっても不気味で慣れない。 だがきっと、この長旅もこの惑星が終着地点となるだろう。これでやっと我々人類は救われるのである。 ワイシャツの襟を直し、ネクタイを締め直すと、私は新たな世界へと降り立つ準備をした。準備といってもなにか荷物をまとめたりすることはない、いわば精神的なものだ。 「近くで見ても綺麗な青だな」 「あぁ、本当に故郷をそのまま小さくした様な惑星だ。大陸の数まで一致してる。」 「もっとも、ここの大陸は1つ住めそうにないがな」 我々人類は度重なる人口爆発に伴い、人口密度の上昇や重大な食糧難に直面してきた。そして、それを解決する策として長年目指していたものが、居住可能な新たな惑星の征服だ。何度かいい惑星を見つけたことはあったが、その全てに先住民がおり、争いを避けるためにやむなく見逃してきたのであった。 しかし今回の惑星は一味違った。先住民こそいるものの、まだまだ知能も文明も未発達で、征服どころか服従させることもできそうなのであった。 まだ進化途中なのももちろんあるのだが、何度も言うがここの生命は驚くほどに知能がなってない。火こそ発見したものの、まだ農業もできておらず栄養も取れないために皆短命であった。更にわかりやすくその知能の低さがわかるのが言語だ。彼らは本当に安直な言語を使っていた。我々のようにしっかりと文字を定めるのではなく、すこしシンプルにした絵を用いて書き物をするのである。言語があるのは共存を目指していく上で大切なことだが、これはなんとかしなくてはならない。彼らの安直さは重大だ。 「さぁ、着くぞ」 「資料のとおり平和的で獰猛でないといいんだがな。」 「資料は忠実な下調べの上で作られている。だから大丈夫に決まってるよ。」 「新たな世界と歴史への第一歩だ。」 我々の想定通りこの惑星の人類は非常に平和的で安直かつ純粋だった。そのあまりの安直さにはびっくりさせられた。彼らは自らの子供に1人目の子だからという理由で「いち」2人目だからと「に」と言った調子で名前をつけていくのである。正直これを聞くと愛のかけらも感じとれないが、実際はなかなか愛に満ちた親切な生物だった。 彼らは我々を警戒し追い返すどころか、歓迎し技術を伝授しようとすると喜んで話を聞いた。この教わる姿勢のおかげでかなりの技術を教えることができた。基礎的なことから発展した建物まで、様々なものを自らのものとして使える様になるまで教え込んだ。 そして我々が訪れてから50年がたった頃、突然故郷との連絡が取れなくなってしまったのである。なにかよくないことが起こったのではないかと思い、連絡が途絶えて2週間がたったころに調べるために帰ることになった。 もちろん故郷は大切だし悪いことがあったならいち早く駆け付けたい。でも私はこの惑星に、いや、ここの生物たちに非常に愛着を感じてしまっていた。互いを思い合い皆んなのために文明を発展させようとする彼らがとても愛おしく見えた。 彼らの寿命はものの50年程度。だから次来る時にはもう今共にいる者たちはとっくに死んでいるだろう。 別れを惜しみながらも我々はこの小さな惑星を飛び立った。 私は今呆然としている。 小さな惑星を飛び立って数時間、我々が行き着いた故郷にはもう何もなかった。我々がいなかった50年の間に大戦があったのか、、、いや、連絡がつかなくなってからはまだ2週間ほどしかたっていない。その間に滅んだのか、、、? とにかく我々は故郷を失った。 かつて栄えていた故郷が今や、どこに地雷が仕掛けてあるかもわからない様な戦場となっていた。いや、戦争はもう終わったわけだからもはや戦場ですらないな。 絶望を飲み込みようやく思考が復活すると、私は小さな惑星に戻りたくて仕方がなくなった。しかし乗ってきた宇宙船は地雷を踏んだために粉砕されてしまったため、もはや希望は無くなってしまった。 … あれから10年程がたった。 私は宇宙船の修復をしつつ、船内にいた仲間たちとなんとか暮らしていくことができていた。しかしそれは長持ちすることではなかった。仲間との仲はどんどん悪くなっていき、ついには仲間内で争う様になってしまった。 … 私はついに1人になった。 宇宙船の素材集めは広大な惑星中を探索する必要があり、その作業は3000年もの月日を用いてやっと完成するほどのものだった。なかなかの老耄になりながらも完成した宇宙船に飛び乗り、小さな惑星を目指して飛び立った。 この時の私の胸には、3000年もの歴史を紡ぎ大文明と化した様を見たいという気持ちが渦巻いていた。この長い長い辛抱と努力は全てが私たちで始めた文明のたどり着いた先を見たいという気持ちだけで耐えてきた様に思えた。私のメンタルはとうに限界を迎えていた。それは色々なことからきていたが主に寂しさだった。そして恋しさだった。 「まもなく目的地です。」 宇宙船内に搭載されたAIのアナウンスと同時に宇宙船は大気圏へと突入する。機体が軋む音が聞こえる。3000年ぶりなのにすこし不快感を覚えた。 機体が地表へと迫るにつれてなんとなく違和感を感じる様になっていった。 平だったのだ。地表で発展していると期待していた都市がそこにはなかったのだ。なんとなく不安が頭の中を渦巻いていく。 そしてついに着陸した。 外に出た瞬間、私は絶望した。 眼前に広がったのは、かつて私たちが作るのを手伝った都市が朽ち果てた姿だった。 文明は戦争で滅んだのだ。私の故郷と同じ様に。すでに遺跡と呼べるほどに朽ちたその都市は、私の不安や悲しみを更に深いところへと突き落とした。 技術も知能も発想も発達したのに、行き着く先は戦争という愚かな結果だった。 あんなに互いに思い合いみんなが幸せになれるために文明を築いていたのにも関わらず、結局はこうなってしまうのか。 あんなに安直で単純だったのに、、、 地面が球体だという理由で惑星の名前を「地球」にしてしまうほどに無知だったのに、、、 我々が建築を手伝った、技術の最高峰とも言えたピラミッドも、もはや無人の廃墟となっていた。この文明は滅んだ。その事実は私の生きてきた意味も、生きていく意味もすべてなくしてしまうような物であった。 小さな惑星「地球」にもたらされた技術は私たち民族の絶滅と共に失われてしまったのだった。
第6回 一回戦結果発表
黒鼠シラです。 N1 一回戦が終わりました、まずはその結果発表をしていきたいとおもいます。 第3位、第2位、第1位、の順番で発表し、その後に一気に下位を発表します。 ※1いいねの点数が20点に変更されています。急な変更すみません。 まずは、第3位です。 最終決戦に進出できる1枠目は、、 エントリーナンバー16番 紫陽花 様(502点)です! 第3回大会以来久しぶりの出場で最終決戦進出です!おめでとうございます! 次に第2位です。 1回戦2位通過は、、、 エントリーナンバー3番 ot 様(507点)です! 初出場にして最終決戦進出です! それでは、最終決戦へ進める最後の1人、 一回戦1位通過は、、、 エントリーナンバー10番 ナナミヤ 様(508点)です! 初出場者の一回戦1位通過は史上初です! 優勝目指して最終決戦も頑張ってください! それでは、その他の順位です。 第4位 エントリーナンバー14番 花瀬詩雨 様(498点) 第5位 エントリーナンバー7番 アマガミ 様(488点) 第6位 エントリーナンバー2番 Us 様(482点) 第7位 エントリーナンバー8番 有陽へいか 様(478点) 第9位 エントリーナンバー6番 ひばり 様(477点) エントリーナンバー18番 山口夏人 様(477点) 第10位 エントリーナンバー12番 海月 様(475点) 第11位 エントリーナンバー17番 た 様(472点) 第12位 エントリーナンバー5番 青天目翠 様(463点) 第13位 エントリーナンバー4番 新野楓衣 様(458点) 第14位 エントリーナンバー9番 水彩絵の具 様(453点) 第15位 エントリーナンバー1番 叶夢衣緒。 様(437点) 第16位 エントリーナンバー15番 冬華 様(367点) みなさま本当に色々な種類の面白い話をかいていて、読んでいてとても楽しかったです! 今回は前回に続いての高レベルな大会でしたので、成績があまり良くなかった方も本当に面白かったので、自信をなくさないで次回も参加してみてください! それでは、最終決戦への案内です。 ルールは一回戦とほとんど変わりません。 ・文字数に関して 文字数は5000字までです。オーバーすると、10文字につき1点を合計点から引かせていただきます。 ・お題に関して お題は、「精神的な死」「どんでん返し」「新人類」です。この中から1つを選んで話を書いてください。お題がわからないほどでなければ逸れても大丈夫です。 ・締切やタイトルに関して 締切は、4月20日24時までです。なるべく早くの投稿をよろしくお願いします。 また、タイトルの前に必ず「第6回N1決勝」と書いて投稿してください。(検索で出てくるようにするためなので、一文字一句完コピお願いします。) ・その他 無断無投稿はやめてください(次の大会を出禁にします) 投稿後の加筆や修正はお控えください。審査員が大変になってしまいます。 投稿したらここのコメント欄にコメントお願いします。 その他質問や要望がありましたら、ここのコメント欄にお願いします。 といった感じです。 審査に関しては1回戦と全く変わらないので、引き続きよろしくお願いします。 それでは、頑張ってください! 以上黒鼠シラでした!
第6回 小説で競って1番決めませんか?
本日より第6回N-1グランプリを開催いたします。 【N-1グランプリについて】 N-1グランプリは、 一回戦と決勝戦の2部構成となっており、お題に沿って書いて頂いた小説を審査員が審査し、一番面白いものを決める大会となっております。 決勝戦に進めるのは上位3名のみとなりますので、まずは一回戦を勝ち残れるように頑張ってください。 【参加者募集に関して】 審査員希望者と出場希望者を募集します。 参加方法は、この投稿にいいねをして、コメント欄に希望する参加方法を書くことです。(審査員希望,出場希望のどちらかわかるように書くこと。) コメントに主催者のいいねがつき次第参加となります。 審査員はMAX4人までとなりますので早い者勝ちです。 参加締め切りは4月10日までとなりますので、お早めに参加お願いいたします。 それでは参加表明をコメント欄にされた方からこの先の詳細を読んでください。 【出場希望者】 現在16名 エントリーナンバー1番 叶夢衣緒。 様 エントリーナンバー2番 Us 様 エントリーナンバー3番 ot 様 エントリーナンバー4番 新野楓衣 様 エントリーナンバー5番 青天目翠 様 エントリーナンバー6番 ひばり 様 エントリーナンバー7番 アマガミ 様 エントリーナンバー8番 有陽へいか 様 エントリーナンバー9番 水彩絵の具 様 エントリーナンバー10番 ナナミヤ 様 エントリーナンバー12番 海月 様 エントリーナンバー14番 花瀬詩雨 様 エントリーナンバー15番 冬華 様 エントリーナンバー16番 紫陽花 様 エントリーナンバー17番 た 様 エントリーナンバー18番 山口夏人 様 【審査員希望者】 現在2名 エントリーナンバー11番 つきみ 様 エントリーナンバー13番 はむすた 様 +黒鼠シラ 【大会概要】 ・文字数に関して 文字数は5000字までです。オーバーすると、10文字につき1点を合計点から引かせていただきます。 ・お題に関して お題は、「壁」「逆戻りする時間」「ランデブー」の3つから1つ選んで作品を描いてください。お題がわからないほどでなければ、お題から逸れても大丈夫です。 ・締切やタイトルに関して 締切は、今日から4月14日24時までです。なるべく早くの投稿をよろしくお願いします。(15日には結果発表と決勝戦に関することのの投稿をします。) また、タイトルの前に必ず「第6回N1」と書いて投稿してください。(検索で出てくるようにするためなので、一文字一句完コピお願いします。) ・その他 無断無投稿はやめてください(次の大会を出禁にします) 投稿後の加筆や修正はお控えください。審査員が大変になってしまいます。 投稿したらここのコメント欄にコメントお願いします。 一回戦上位3名は最終決戦へ進出し、もう一つ作品を描いていただきます。最後までやりきれない方は参加をお控えください。 その他質問や要望がありましたら、ここのコメント欄にお願いします。 【審査に関して】 審査員はもちろん、出場者の方も読んでください。 審査員は一人100点満点で評価してください。それを集計し、これまでの大会に合わせるために全審査員の合計点の平均を取り、残りの空きの人数の点数として加算します。 さらに、いいね数×10点(MAX100点)を足した、600点満点で採点します。 採点基準は、 49点以下 面白くない 60点 面白い 80点 非常に面白い 90点 プロ並みに面白い 100点 これまで読んだ作品で最も面白い 面白いという単語を基準に使ってはいますが、技術的なものなど、様々な観点での審査をお願いします。 という感じです。審査員の方は、必ず14日までに審査結果の方をここのコメントにしてください。 名前を書くのは面倒だと思いますので、エントリーナンバーで描いてください。(くれぐれも間違えないように) 以上が説明になります。 基本的には辞退や未提出は認めていないので、よろしくお願いします。 ※最後まで読まれた方は、合図としてハッシュタグから"#最後まで読んだらいいね"に飛んでいただき、そこにある「N-1グランプリの歴史」いう投稿にいいねをしてください。 すでにいいねされている方は一度いいねを外したのちに再度いいねをお願いします。(通知に残すためです。) それでは面白い作品を期待しています。頑張ってください。
第5話 バルダの塔
足は足枷をつけられたかのように重く、腕は上がらず、脳ももはやまともな思考をできない程に衰えていた。 "者"を倒して30分。俺は再びの敵との遭遇を恐れ、休むことなく人の気配を探して歩き回っていた。 しかしながら、当たり前に、という表現をしたくなるほどに森は静まり返っており、暗闇から光が漏れ出すことはなかった。 森の暗さと疲労による視界の衰えによりもはや色の識別は全くできなくなってきていた。そんな状態で見ると、この気味悪い森はモノクロで描かれた古い映画の世界かのように思えた。というかもはやそうであって欲しかった。 何かの間違いで映画の世界に迷い込んでいるだけ。そんなことがありえたらいいなと思っていた。 森に入って6時間経った頃、俺の目に予想だにしなかったある物が飛び込んできた。それは、ここ6時間見ることのなかった、きっちりと整えられた辺や角をもち、綺麗に造形された立派な建築物であった。 俺は不意を突かれたために驚きつつも、疲労困憊していたために休みたいという欲求が勝っており、最後と言えるほどの微量の力を振り絞って駆け足で建物に近づいた。 それは5階建の古き良き日本的な建築物であった。 五重の塔というべきなのだろうか、すこし既存のものと形状は違えど、限りなく酷似していた。 入口と思しき両開きの扉の横には大きな表札が掛けてあった。 「バルダの塔」 街でいうところのアパートの名前のような者だろうか、何人もの居住者が共に暮らすところなのかもしれない。現代的にいうならバルダ荘と言ったところかな。 俺はよくわからない説明を自分にして納得しながら扉を叩いた。 「どなたかいませんかー」 声にならない声をあげて必死に呼びかける。流石に勝手に入るわけには行かないからと、返事のない建物内に何度も声をかけた。 こんなに疲弊していたのにも関わらず常識は守ることにしていた。いや、別に守ろうと決めていたわけではないがな。疲れている時にするよくわからないことの最上級だったのかもしれない。 中々人が出てこない中、俺は先ほど目に入れながらもなんとなく飛ばしていた物に目を向けた。 それはバルダの塔と書かれた看板の下にあった小さな文字だった。 「5F 帝者 4F 岳三蔵 3F 名無し 2F アイブレイク」 先ほどはなんとなく居住者の名前を書いているだけだと思い見逃していたものの、あらためて見ると奇妙な点が多く見受けられた。 いや、突き詰めれば一つだろう。名前だ。とても真面目に書いたとは思えないほどに人間の名前から離れていた。特にアイブレイク、これが英語なのだとすれば直訳で壊れた目になる。疲れているからではなく、普通に意味がわからない。 正直気味が悪かったし、冷静にこんな意味のわからない森のど真ん中にある塔がまともなわけないとさえ思えた。しかしそれがどうでもよく感じてしまうほどに俺は休養がとりたかった。 これだけ大きな音を出しておいて誰も出てこないということは、ここにはもう誰もいないのかもしれない。いやきっと誰もいないんだ。 俺はそうやって自分に言い聞かせながら、ついに常識を破って思い切ってドアを蹴り開けた。 開かないドアを無理矢理開けるつもりで勢いをつけていたものの、朽ちたような汚く脆かったドアはそのままいくつかに割れながら地面に落ちた。 自分がしたことに少しおどろしつつも、俺は警戒心を必死に保つように頑張りながら、恐る恐る塔内へと侵入していくのであった。
第4話 恐怖
無謀だ。 無謀にも程がある。 端から俺は圧倒的に不利な状態だったんだ。全くもって知らない真っ暗な森の中で木の棒だけでこれもまた全くもって謎に包まれた人外の相手をするなんて。。 もう頭も体も限界だ。 諦めたい。投げ出したい。今すぐに横になって目を瞑って全てを忘れて熟睡したい。それほどまでの俺の疲労は限界に近い。 「父さん、剣のないところで剣術は無力だし、樹林をすり抜けて向かってくるような相手に肉体技は無力だよ、、、」 自分や大切な人や物を守るためと習わされたけど、結局大事な時には生きてこない。 生きたい。真実も知りたい。でも目の前に見える"逃げる"という選択肢が魅力的で仕方がないんだ。俺みたいな弱い人間はこんな選択肢を与えられてしまったらのむに決まってるんだよ、、、。 気づけば"者"は目の前まで迫っており、戦意喪失した俺の手の中にはもう木の枝はなかった。 これで終わるのか、俺の人生。 諦めずに努力していい大学に行き、いい企業に就職し、嫌なことがあっても必死に喰らいつくような気持ちで毎朝出社して、そんな努力で固められた人生はこの瞬間、諦めで終わるんだ。 もう"者"は目の前にまで迫っており、その壊死したかのような両腕を俺の首に向かって伸ばしてきた。 おわりだ。死ぬんだ俺は。諦めたんだ。そしてそれは俺が選んだ選択肢なんだ。 諦める。だから死ぬ。受験戦争でも就職活動でも同じことだった。それなのに本物の生々しい死が目の前に来ると、それらとは比べ物にならないほどに恐ろしい。 苦しいのか、死後はどうなってしまうのか、そういった恐怖ももちろんある。しかしそれ以上に自分が選んだ結果に怯えているということが恐ろしかった。 すなわち俺は自らが恐ろしくて仕方がなかった。 一度諦めたのになぜ今になって死にたくないと思っているんだ。なぜだ。なぜ不安が胸に残っているんだ。 迫り来る"者"の手を俺は反射的に屈むことで避けた。 なぜだ、死ぬことを受け入れたのになぜ避けるんだ。 やつの手を避け続けている。体が勝手にだ。俺は命令していない、なんなら死ぬようにと命令した。それなのに体は動いている。やつのノロマな攻撃をただただ避け続けて死なないようにしている。 いや、わかった。やっとわかった。諦めたい以上に俺は死にたくないんだ。 俺が俺に抱いていた恐怖は、受験戦争でも就職活動でも戦い抜いて勝ち上がった俺が、本当に戦わなければいけないところで逃げようとしたから発生したものだったんだ。 脳では理解していなくても体には染み付いているのだ。戦うということが。逃げないということが。 決意した俺は落とした木の棒を拾い上げて、思い切り"者"に向かって振り翳した。 しかしその覚悟を決めた決死の攻撃は空を切った。避けられたわけではない。"者"の中を確かに通っていた。それでも空を切った。 やはりこいつに実態はない。正真正銘の幽霊なのだ。一体全体どうすればこんなやつに太刀打ちできるのだろうか。どうすれば斬撃を浴びせることができるのだろか、、、 その答えは、死にたくないという思いから勝ちたいという思いに変わった俺の心がすぐに教えてくれた。 俺はそっと目を閉じると、ただただじっと体を動かさずにまった。"者"がさっきのように俺の首に手を巻き付けるまで待ち続けた。 そしてついに俺の首筋に、人外の冷たすぎる硬い手が当たった。その瞬間俺は目を開き、木の棒を思い切り敵の頭に振り下ろした。今度の攻撃は空を切ることなく、しっかりと重たい反動を残しながら"者"の後頭部に直撃した。 そうして"者"が怯んだその隙に、俺は左手で首を触った敵の手を掴み、何度も何度も木の棒で後頭部を殴った。 徐々に増えていく出血量が俺の勝利に色をつけていった。 「とどめだ」 俺は呟きながら"者"を自分の方向に引き寄せると、手に持っていた木の棒を捨てて一瞬でしゃがむと、大きめの石を手に取りそれを思い切り"者"の出血で赤く染まった後頭部にぶつけた。 "者"はなんとも聞くに耐えない悲鳴に似た断末魔を上げながら、その場に倒れ込んだ。 頭は綺麗に割れていた。 握っていた"者"の手を離すと、俺は顔についてしまった返り血を拭きながら、悪くない気分だなと感じ、自然と笑みをこぼすのだった。