"引き金を引いて"私がいかにして人類を救うことができたのか。
“不停止の弾丸”
または、真っ赤に塗られた見た目から"紅の弾丸"とも呼ばれる。
それは、一度放たれれば止まることなく進み続け、急速に加速することから甚大な被害をもたらすとされているものである。
私の任務は、弾を決まった方角に放ち、大いなる目的を達成することであった。これは多大な犠牲者を出すことでもあり、心を強く持たなければ達成できないものだった。
しかし、それは心優しき私にはできないものである。その理由は弾丸が心で放たれるということにある。物理的な引き金を引くのではなく、精神的に決断することによって弾が放たれる。これは人殺しを決意するということであり、私には不可能でしかなかった。
大いなる目的。それは人類の未来を救うことを意味しており、これを託された私は人類全員を背負っていることとなる。それなのにも関わらず、引き金を引く、つまり決断することができない私は、本物の愚か者である。
どうしてだ、どうしてできないんだ。人類を救うということはどう考えても正義でしかない。これはやらなければならないことであり、できて当然なことでもある。それなのにも関わらず、私は自らの心の問題で躊躇してしまっている。なぜだ、なぜなんだ、私は自らの優しさが憎い。どうしようもなく憎ったらしい。人を罵れず、虫も殺せず、悪い考えも出来ないような自分が大嫌いだ。やるしかない、本当にやるしかないんだ、私がやらなければ世界は終わる。だから絶対に負けてはならない。決断しなければだめなのだ……。
そう自分に何度も何度も無我夢中で言い聞かせる。それでも私は決断できない。呆然と立ち尽くし、ただ優しさも時に仇となると痛感する他なかった。それほどに自分に対して無力であった。
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カテゴリー: SF
投稿日時: 2025/5/11 13:54
最終編集日時: 2025/5/11 14:10
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