綾遡 鮎

7 件の小説
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綾遡 鮎

綾遡 鮎(あやさか あゆ)です。超文系脳です。たまに書きます。

7唄『眼』

母が”二重にでもしてみたら”と簡単にできる二重用のりを買ってくれた。 私ってこんなに目でかかったけ…ただ感動した。鏡に映る私の顔に可愛さが少し感じられた。無造作にしていた髪たちもアイロンでストレートにしてみた。まだ短いものの女の子と取れるような私がここにいた。涙が溢れた母には見せられない、父には知られたくない、あの涙。恨みに近かった私のコンプレックスが一つ減った気がした。

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7唄『眼』

6唄『鹿』

今日の体重は52.6。 今日の体重は51.2。 今日の体重は49.7。 今日の体重は47.1。 今日の体重は46.6。 この間私は6kg痩せていた。 そりゃそうであろう。ろくに寝ずに、食事も粗末になり、部活だけは気力で耐え抜いていた頃。あいにく夏休みで会う人は部活の人かオフの日に遊ぶ人のみ。部活の人はほぼ毎日見ている事もあってか私の意図せぬ減量には気付いていないのかそれとも触れていないのか。でも久しぶりにあって遊ぶ人たちから「可愛くなった」「痩せたね」「部活やってる人は痩せれていいな」「痩せたけどなんかゴツいね」褒められているのか嫌味か分からぬ言葉を浴びせられた。結局のところ痩せても顔面の造形美は変わらなかったらしい。酷く青いクマが奥二重の眼を際立たせていた。

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6唄『鹿』

5唄『馬』

結局伸ばそうと思っていた髪をまたボーイッシュな長さまで切った。鏡に映る自分はブサイクな”男の子”だった。でも幾分かましになったと思った。だってこの長さのほうが私のコンプレックスが勝手に隠れるから。

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5唄『馬』

4唄『失』

彼には好きな人がいた。それも私と性格から見た目まで真逆と言っても過言ではないような関わりの少ないとあるクラスメイト。あ、私の恋終わったな。勝手にそう思った。一人で家の鏡に映る自分を見て”私こんなにブサイクなんだ”人生で初めて自身の顔面を恨んだ。今までかっこいいともてはやされてきた私の顔面は男顔で、髪は伸ばしかけのパシパシのショートボブという部類に入れても良いものかと思うほどだった。

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4唄『失』

3唄『恋』

私好きな人できたかも、ふと感じた恋の予感。このとき私は高校デビューを果たしたばかりで真新しい環境の中一目惚れをした。彼はいわゆるスポーツ推薦で高校に来たらしい。入学当初から彼はそこそこ強い我が母校のサッカー部で揉まれ三軍まである部で二軍から一軍に昇格していた。私も結局中学から続けていたバスケ部に入ったため一年にして一軍にいるのは一スポーツマンとして尊敬した。今考えてみれば面食いな私のことだしちょっとかっこいいなくらいだったのかもしれない。でもその頃は深くも知らないのにこれが運命の出会いなんじゃないかとか勝手に自惚れていた。

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3唄『恋』

2唄『私』

「そこの男の子!これ落としたわよ」ある地元のおばさまに言われた。私はどこを見ていっているんだと思った。私の周りには男の子どころが男性さえいないのに。 そうしているとおばさまは私に向かって私が落としたタオルを渡してくださった。「きみなかなか凛々しい顔立ちだねぇ。はいタオル、いまから運動しに行くのかい?」と。 私はこのとき初めて知った、私は今”男の子”だと思われているのだと。私はとてつもなく不思議な違和感に襲われた。私は女だ。 でもだからといってあの悪気などなにもない善意に満ちたおばさまを恨むわけにもいかなかった。

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2唄『私』

1唄『行』

私の眼は幼い頃から奥二重である。それが何だと思うだろう。解らぬ者には解るまい。私のいちばんの悩みであるということも。 私は幼い頃は女の子らしい娘であった、が中学生になりスポーツを部活動という形で日課になるに連れ日に日にとある物が邪魔になった。髪の毛だ。今や欲しくてほしくてたまらないものだというのに。その頃は邪魔で仕方なった。だから切った。何も考えずに、それが何だと言うだろう。でもその頃の行いがあるから私はわたし自身の眼を好きになれなくなったのだ。

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1唄『行』