はの

24 件の小説
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はの

塵と海月。 多分恋愛系ばっか書いてる人 開始 2023/09/13

青いアネモネと夏の匂い

彼女は呟いた。聞き取れるか微妙なほどの小さな声で。 「もし私が死んでもあなたは幸せにならないでね。」 と。この言葉を僕じゃなく、事情を知らない誰かが聞けば、きっと驚くだろう。 だけど僕らはこんな物騒な言い回しでも伝え合える。そしてこれは、す彼女のただの愛情表現であると。 「そうなるくらいなら僕が死ねば良かったのに。」 お互いが求めている完璧な答え。他に何も失うものは無い僕たちは静かな部屋で2人寄り添い合う。 汗をかいた窓辺に置かれた儚げな花。頭を空っぽにして見つめる。そしてその花言葉を確認するかのように僕たちは唇を合わせた。 赤か黒か、甲高い音が遠くから聞こえてくる。いっそ2人で死んでしまおうか。 手を繋いでベランダに出る。すると微かに夏の匂いがした。暖かいけど凛としたそんな匂い。 「一緒に地獄に堕ちようね。」 彼女は言った。 「僕たち2人だけの地獄がいいな。」 最後の最期まで物騒にも聞こえる会話を交わしたあと、真っ白なワンピースと眼鏡が宙を舞った。 着地と共にワンピースは真っ赤に染まり、遠くから聞こえた音の正体は黒だった。 そんな結果は幸せそうに眠り続けている2人には知りもしないことだろう。 ところで、この心中が青いアネモネの悲しみと1部の界隈では騒がれているのは、窓辺にあったアネモネと、その日降っていた雨が理由らしい。

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青いアネモネと夏の匂い

もしもあなたと

もしもあなたと出会えたのなら、今よりずっと幸せだったっていう自信がある。 この子なんかより絶対にあなたを幸せだって言わせてみせる。 味のしないガムみたいになるほど観た映画。 だけど毎回同じところで全く同じ感情を抱く。 わかってる。 もっと早く出会えていたら私はこんな風になってなかった。 裸になって鏡を見る。体に模様が出来てていつも笑っちゃう。 これがずっと恋煩いのような思いを抱えている相手にやられたなんて、情けなさすぎて怒りすら覚える。 出会った時代が悪かった。そう、全部時代のせい。 じゃないとこんなに愛していながら大っ嫌いなことは無い。 そうだよね、 お父さん。

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もしもあなたと

りりー。

ねぇ、早く起きなよ。寝過ぎるともったいない気がするって言ってたのは君でしょ? 毎日おんなじ事を聞かされてきたから僕は早起きするようになったって言うのに。今日は僕が君に言う番になったとでも言うのかい? やだよそんなの。そんな立場になんかなってやるもんか。 だから早く起きてよ。今日は君の好きなものを朝食に揃えてるんだ。2人で食べようよ。 それから、洗濯ものを干して散歩をしよう。今日は地面が乾いているから森の奥まで行ける。 秘密基地を作るっていう計画を実現する時だ。こんな絶好の機会を逃していいわけが無い。 ねぇ、リリー。 なんで目を開かないの。昨日の夜まで笑顔で僕に「おやすみ!」って言ってくれてたじゃないか。 そっか。 そうなんだね。 ねぇ、リリー。 ううん、やっぱ何でもない。 この話はまた君と会える時にするよ。 おはよう。 そして、 おやすみ。

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りりー。

第一幕 第1場

学校の授業なんて上の空。放課後は家にも帰らず、国語や道徳の教科書に載った物語を音読し、演じることを追求している。だが、それだけでは物足りない。誰か練習相手がいないとこの欲求は満たされない。 誰も土手の橋の下でひっそりと思い続けた。すると昨日、橋の下には客人がいた。彼は背が高く整った顔立ちをしているというのに清潔感がまるでなく、完全なる怪しい人だった。私はその人を気にも留めずにいつも通り練習をしていた。すると、 「君、ご両親に練習付き合ってもらわないの?」 突然、なんの前ぶりもなく質問してきた。 練習に対して親が協力してくれない訳ではない。演技がしたいというのは言ったことがないだけだ。別に言ったところで阻止されることも無く、なんなら全面的な支えをしてくれるだろう。が、こればかりは親の力を借りず、自分の力で這い上がってみたい。 怪しい雰囲気を纏い、名前も名乗らず小学生に話しかけるなんで相当ヤバいやつだと即座に察知し、距離をジリジリ取りながら無視していた。 「演技好きなんでしょ。その目がハッキリ主張してる。」 さすがにちょっと気味が悪くなってきた。無視されているのが嬉しいのか。変態にも程がある。 「何なんですか。さっきから1人で」 我慢が出来ずに口を滑らせてしまった。すると彼が先程よりもっと気味の悪い笑みを浮かべて 「君は我がままに道を行くこと以外自分を許さない。っていう良い目をしてる。からかいたい訳じゃなく、本当にね。」 何だこの人。顔がいいからって言えど、とても気味が悪いのは許される訳じゃないぞ。全身に鳥肌が立ち、私は走ってその場を去った。

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第一幕   第1場

開幕

私が変わり果てたのは、いつか見た1つの劇だった。 内容は面白くなく、観客こそ少ない潰れかけの劇場だ。そんなところに連れられたところで育ち盛りの子供に眠ることを促すだけだろうと思っていた。 実際に周りの友達はみんな眠っていたし、私も眠かった。 目に眠気を飛ばす眩しいくらいの光が入ってきたのはその時だった。特にセリフを多い訳では無く、言い方は悪いが主演の引き立て役というような町娘が泣いたのだ。 あの人の涙は綺麗だった。5年経った今でも瞼に焼き付いているほどに。 そこから食い入るように彼女だけを見ていた。いや、彼女しか見ることができなかったのだ。 主演と謳われドヤ顔で演じる大根役者より、彼女の方がよっぽど魅力的かつ妖艶で、正しく主演にふさわしい人だと心から思った。 それからというもの、彼女を追いかけ、いつかはあの綺麗な涙を流す為にひたむきに走り続けた。まだ息は上がっていない。そして、まだあの涙を流すことはできていない。 私は今から、このブザーと共にずっと欲しかったものを追い求めてこようと思う。

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開幕

prolog

私は、幼い頃から関心や欲がない子供だったという。大人からしてみれば、誕生日もクリスマスも何をあげたらいいのか分からず、とても扱いにくい子だっただろう。 そんなのが成長して、天井からの機械的な光がソイツの為だけに役割を全うしようとしていると聞けばどうするだろうか。 腰が抜けるだろうか。本当にコイツなのか?と疑うだろうか。それはそれで面白いかもしれない。 さぁ、見に行こうじゃないか。

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prolog

1年

こんにちは。はのです。 気がついたらしれっと1年経ってました。 これからも部活や習い事の関係もあります故、ぼちぼち戻ってこようと思います。 よろしくお願いします。 飽きたり忙しかったりで数ヶ月空くのはざらにあると思います。

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いつかの咲いた花は泣く。 <夢と幸>

そろそろ思い出してくれたかな。ワタシの事。ちょっとだけ頑張って見たんだけどどうだろう。 どうやら未だに気付いてないみたい。こんなにも長く一緒にいるのにね。 まあいいや。気にしたら今までだってキリが無い。だから、心の中に留めておくね。 みんな、自分勝手な約束だけして1度も来た事ないんだよなぁ。でもあの子だけは違う気がする。ワタシやあの方のお気に入りで、特別な存在。 あの子の母親はどうしようもない子だったからワタシは大嫌いだったけど、それとは裏腹に子供の時から凄く優しくて、誰に対しても明るく振る舞うようなあの子。 言っちゃダメだけど、トンビが鷹を産んだみたい。きっとあのおばあさんの育てかたが良かったんだろうな。 ともかく、気付かなくていい、分からなくて良い。ワタシがずっと一緒に過ごして来た花涙だって事も、あなたをずっと想い続けてきたことも。 あの夢を見て思い出して、話してくれただけで、ワタシは幸せ。 夢を見せたのはワタシ。今まで叶うことの無いような夢を追い続けてきたのもワタシ。自己満足の幸せで満たされてるのもワタシ。全部自分の勝手なの。 あ、もう出発するの? 小さい時からその好奇心と行動力は変わってないね。 そうだ。この間夢を見たんだ、久しぶりに。まだ覚えてるんだけど、話、聞いてくれる? そうやって話すあなたの満ち足りた横顔を見て、本当に夢で会えてよかった、見せて良かったと思った。 今までワタシに夢のような時間をくれてありがとう。そのままでいてくれてありがとう。感謝してもしきれないそれほど幸せだったから。 大好きだったよ。 どこかで思い出すまで、またね。

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いつかの咲いた花は泣く。 <夢と幸>

素のままで。

こんにちは。読んでる頃にはこんばんはかな?おはようかな?まぁ、何でもいいや、好きな時に読んでね。 突然手紙なんか書くからビックリしてる?それともホントに馬鹿な私の事を再確認したかな。多分、あなたは両方何だろうね。 うん、きっと分かってるんだろうね。私はもうそこにいないし、探してもあなたの前に出ていかない事を。もう時間が無いんだ。ごめんね、 あのね、言いたいことがふたつあるの。これから伝えることが出来なくなると思うから。 まずひとつ。初めて会った日からずっと愛してたよ。今までそばに居てくれて本当にありがとう。 2つ目、死ぬまで素のままで居てね。 どれだけ変わっても、どれだけ傷付いても、あなたは素のままでいて。 じゃないと、私が愛した人なんかいなくなっちゃう。素のままのあなたを愛したことが、私の生きた証。 あ、そこまで責任重大な訳じゃないからね。 じゃあまたね。

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素のままで。

恋したクラゲの末路には。

深くて広い、海の中。とあるクラゲは恋をした。そのクラゲよりはるかに大きく、心の綺麗な生き物に。 そのクラゲには心臓がなかった、だがしかし一目見た時心臓が大きく高鳴ったような感覚に陥った。 話したくても話せない。一方的にあちらが声を掛けてくるだけ。あまり感情が分かりにくい海の中でも、優しい雰囲気をまとっていた。 出会いと別れを繰り返し、2人は疲れ果てていた。だからこそ、どれだけ大きさが違えど一緒に入れたのかもしれない。2人だけの安心感というのを知っていた。 恋をしたクラゲは、傍から見ればあまりにも哀れで儚い状態だった。 あなたのそばにいることが出来れば何でもいい。と思えたクラゲは海の底から浮き上がる泡に近付く運命にあった。 クラゲと思っていたものは、ただの恋心であった。

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恋したクラゲの末路には。