どうか私で

どうか私で
私が恋に落ちた相手は、恋を知らない人でした。 いつも一緒に帰って、いつも一緒にお昼を食べて、何があっても一緒にいました。 帰り道、白い空気の中にいるとは思えない2人の男女を見たその子は、呑気な声で ┈好きってなんなんだろうねぇ どこか寂しそうにそう言っていました。 私は羨むようで何かに対しての感情を抱えているその横顔も、自分のペースではっきりとものを言う声や考え方も、愛おしくて仕方ありませんでした。 ですが、恋愛に疎いその子は無自覚にも人を好きにさせて、噂話が後を絶たない様子にも気付いてはいないようでした。
はの
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塵と海月。 多分恋愛系ばっか書いてる人 開始 2023/09/13