叶夢 衣緒。
683 件の小説叶夢 衣緒。
自己満です。 飾らない“なにか”を綴りたい。 少し投稿頻度落ちてます。 努力は報われない。 ※フォロバ目的のフォローはしません。フォロバも期待できないと思います。 2023年 2月27日start 3月3日初投稿
社会との境界線で
テレビに映る成人式の様子。 本当なら僕もそこで笑っていたかった 中学生までは普通だった 優等生ですらあったのかもしれない テストもいつも上位 リレーのアンカーはいつも僕で だけどそんな僕はもう 過去の人だ ノートに書かれた暴言 無くなったたくさんの大切なもの 学校に行かなくなった理由なんて それだけで十分だった 十分すぎたんだ 行かなくなったんじゃない 行けなくなったんだ だけど誰も分かってはくれなかった 僕に期待して いつも笑顔で接してくれてた両親は いつも暗い顔でため息ばかり僕の前でついた 家に出るどころか 部屋から出るのすら難しくなって 勉強のために与えられていた スマホとパソコン に初めてチャットアプリを入れて ネットの人と話した “声かっこいいね” “優しそう!” 自分を偽って 活動を始めた。 僕の居場所はここしかない そう気づいた。 今も残ってる手首の傷と 今も消えない心の傷が 僕をネットの世界に繋ぎ止める。
本当に同じですか?
“いじめっ子に仕返しをするのはいけないこと” “やり返しちゃったら一緒だよ” 本当に同じなの? どうして、一緒にされなきゃいけないの。 いじめられたことへの 悲しみと苛立ちで 他の人に危害を及ばしてしまうのは 違う。 だけど、いじめっ子に。 自分を傷つけてきた相手に 仕返しをするのは悪いことなのですか? その子にとっては その人達にとっては “遊び”でしかなかった そんな“暇つぶし”に使われて 一緒消えない傷ができてる。 死ぬまで消えない 癒えない この傷を どうやって償ってくれるの? わからない。 どうしていけないのか。 分からない 今だって 何年経った今だって 僕は思い出してしまってるのに 僕の心を抉り続けてるのに。 きっとあなた達はどこかで 僕のことなんて忘れて 笑顔で過ごしてるんだろうー
最後の青春。
食べ物やお金じゃない。 愛に飢えた、人がいる。 ここしか居場所がない、 ここでしか生きれない 生きたいから、まだもがきたいから ここに逃げて来たはずなのに 自分を傷つけ 身体で稼いで 薬で死のうとする。 終わらしたいから。 どうせ、すぐに死ぬから。 普通の生活に苦しんだ。 普通の青春が送れなかった 彼女達の最後の青春の街ー
透明な君が消えるまで#11
「そんなことない!」 蒼真くんが必死な顔で僕を真っ直ぐ見つめていた。 視界がぼやけてる。ボクは泣いているのだろうか。 蒼真くんが息を吸い、話し始めた。 「僕さ、ずっと凛透のことが…受け入れられなかったんだ。」 よく分からなかった。 「正直すごくびっくりしたし、今までのは凛透の理想の凛透じゃなかったんだって思った。…気づけなくて、ごめんって、思った。」 少し怖くなった、これから蒼真くんの紡ぐ言葉の続きを聞くのが。 だけど同時に大好きな親友の本当の気持ちを聞きたかった。 「でも、僕たちに打ち明けてくれたあの日から、目の前の凛透の持ち物が変わって、僕たちに楽しそうに話す凛透を見て、違和感が拭いきれなかった。……最低だよね、僕。凛透をずっと、認められてなかったんだ。どんな凛透でもいいはずなのに、目の前の変化のスピードについていけなくて。」 それは、誰でもそうだ。だって…だって…ボクがおかしいのだから。 気づいたら蒼真君も泣いていた。 「どんな凛透でもいいって僕は言った。でもそれは、その時に出てきたただの綺麗事だったんだって……僕は気づいた。本当に凛透のことを認められてはなかった、認められなかった、受け入れられなかった。僕の脳裏にいるのは、男の子の凛透だから、…でもさっき凛透が絡まれている時に、助けなきゃって思ったんだ。大切な存在なんだって、無意識にでも分かった。」 自分が嫌い。大切な親友達にこんな顔をさせてしまう、自分が。 それは綺麗事じゃない。そう思った。人を悲しませないようにつく嘘は、嘘じゃないし、綺麗事じゃない。そう思った。 「……僕だって、口に出してないだけで、本当はあいつらと同じじゃないかって思った…受け入れられない、普段通りに接することができない、親友の変化を認めてあげられない僕の方が断然悪いんだって心の底から思った、」 そんなことない…蒼真くんも湊くんも、自分を危険に晒してまで庇ってくれた。 こんなボクともずっと一緒にいてくれた。それだけで、あの人たちと一緒な訳ない。 「だけどさ、僕もう決めたんだ。周りに受け入れてもらえなくたって、凛透は僕の大事な親友。どんな姿だって、どんな持ち物だって、全部凛透の選択で。」 嬉しくて、悲しくて、苦しくて。色々な感情が溢れて涙が流れ落ちるのを止められなかった。 「僕はずっと、凛透の親友だよ。」 蒼真くんがそう言って微笑んだとき、ボクは思わず蒼真くんに飛びついてしまった。 「ごめん、蒼真くん、ごめんなさい、」 もう悲しい顔をさせたくない。 ずっと、ずっと、一緒にいたい。
失敗作
1人じゃ何にもできなくて 努力も向いてなくて 何をするのも人より一歩遅れて 怒られて 笑われて そのくせよく思われたくて どうにか優等生を演じて でも、容量の悪い僕は そんな演技も上手にできなくて それでも見栄張って必死で 生きてきた 人と比べて 落ち込んで 辛い気持ち 疲れたな…が 積み重なって 何もかもどんどん上手くいかなくなって 意味もなく笑顔を貼り続ける僕は 失敗作で ダメ人間だ。
“いきたい”#2
病室のカーテンの隙間に差し込む明るい朝日で目が覚めた。 朝8時。久しぶりだ。こんな時間にスッキリと起きることができたのは。 自分の心臓に手を当て今日も生きていることを実感し、嬉しく思う。 今日は比較的体調も良い気がする。 久しぶりに病室の外に出られるかな…なんて淡い期待を抱きながらナースコールを押す。 「蒼君。おはよう。今日は早いね」 そう言いながら入って来たのは幼稚園くらいの頃から入院の度にお世話になっている看護師のまなさん。 呼吸器を付けているので声は出せず、スマホに打ち込んで見せる。 “おはようございます!今日は外出られますか?” 期待を込めてまなさんを見る。 「ん〜…無理しちゃダメだからなぁ…呼吸器が外せない限り辞めといた方が良いって言われてるし…先生と相談してからかな。」 そう言いながらテキパキと体温を測ったり点滴の袋を入れ替えたりしてくれる。 数時間後お医者さんにお願いして少しだけ病院のお庭をお散歩できることになった。お散歩、と行っても機械を外すことはできない上に歩く体力もないので車椅子だけど。 まなさんに押してもらいながら久しぶりの外を満喫する。 桜の木下で止めてもらい、ぼーっと眺め続ける。 「蒼君、ちょっと一瞬だけここにいてくれる?緊急のとこの人手が足りないらしくて、、ここからだったら受付も見えるし、何かあったら誰でも良いから助け求めてね!ごめん…」 そう言って走っていってしまった。 少しして、僕の前を男の子が通り過ぎて行った。俯いた顔は長い前髪で隠れてしまっていた。その男の子の腕をみて僕は思わず男の子に声をかけた。 「えっ…あの!う、腕…」 最近は呼吸器を付けていることが多かったので久しぶりに声を出したな…とふと思った。 「……ん?」 驚いたように顔を上げて僕の方を見た。 長い前髪の間から吸い込まれてしまいそうなほど綺麗で真っ黒な瞳が僕を捉えていた。 「腕のところが…」 「あ…大丈夫だから。」 白いシャツの左腕の部分に血のようなものが滲んでいた。 「いや、見てもらわないと、!」 焦りながらそう言うと僕の方をもう一度まじまじと見てふっと笑った。 「君みたいな子久しぶりに見た。」 そう言いながら僕の隣のベンチに腰掛けた。 訳がわからず慌てているとその子は口を開いた。 「腕、自分でやってるから大丈夫。加減分かってるし。」 「自分で傷つけてるん、ですか?どうして、?」 「夏凪凛遥。君はここに入院してるの?」 僕の質問を無視して突然聞いてきた。 「そうです…けど」 「名前は?」 凛遥さん…?のペースに流されてしまっている。 「灯蒼です。高校1年生。」 「え、高1?年下だけど中学生くらいかと思ってた」 少しイラついて言い返す。 「そういう凛遥さんは何歳なんですか?」 「高2。」 一年しか変わらない。だけど、凛遥さんの纏う空気は独特で惹きつけられる何かがあった。 「僕今から診察なんだよね…でもまだ話したいから連絡先交換しない?」 突然のお誘いに驚きながらも連絡先を交換してその日はお別れした。 不思議な人だったな…と、久しぶりに増えた新しい連絡を眺めながら思う。
歳を取らない親友と、歳を取って行く僕。
13歳。 あんなに大きく見えていたのに。 いつの間にかあなたの年齢を 超えてしまっています。 置いていかないで 戻ってきて どこ行っちゃったの 泣きながら まだ生きている どこかにいる。 そう信じて 疑いませんでした。 いつも僕を支えてくれて いつだって僕の 憧れだった 遺影のあなたは 13歳のまま歳を取りません。 そして、 あなたを追って 親友は また僕を置いて行ってしまいました 酷いよ 辛いよ あなた達を置いて 未来へ進まなければいけないのが また、 親友の年齢に 追いつき 超えてしまう ことが、僕は怖いです。
くるしめられたよるに、
囚われてきた概念と 苦しめられてきた言葉たちが 1人で天井を見上げる 眠れない夜に 蘇る。 気づいたら寝れなくなって 夜が怖くなった 耳元で聞こえ続けるあの声が “きえればいのに” “あんたさえいなければ。” “きもちわるい” 頭の中で流れ続ける映像が 誰かに階段から突き落とされた恐怖が。 前を向くには 明日を迎えるには この長い、長い夜を耐えることしかできないんだ。 こんな僕の夜にも朝日が昇る きょうもまた 1日が始まるから 少しずつでいい。 この夜にお別れできるその日までー
【第一回N S S】桜は永遠に知らず
隣を歩く彼女、咲玖(さく)は桜が好きだった。 昔病気で亡くなってしまった彼女の双子の姉、咲良(さくら)が桜の花が好きだったかららしい。 小学生の頃から一緒に毎年この公園に毎年お花見に来ている。 咲玖と俺は幼馴染だ。昔から活発で運動が好きな彼女とはよく喧嘩した。 だけど、俺は咲玖のことが好きだ。 きっと咲玖にとって俺は恋愛対象内ですらない。 分かってるからこそ俺はこの気持ちを隠し続ける。知られたら関係が変わってしまそうで。“仲のいい幼馴染”ですらなくなってしまいそうで怖かった。 幼馴染の翔はモテる。 今日も文句ひとつ言わずにお花見について来てくれる優しくてカッコいい翔に惚れない人なんていないのだ。 だけど私は可愛くないし翔に似合うわけない。 「咲玖ちゃんと翔くんって付き合ってるの?」昔からそう聞かれることがよくあった。でも翔は即答で返事をする。「幼馴染だよ。」と。 咲玖が、交通事故で死んだ。 学校の屋上。 俺は、遠くに見える桜の木に向かって飛んだ。 この恋の行方をきっと桜は永遠に知らないー
【ノベルズ】花の咲かない街の歌姫。
いつからだったのだろう。この街が灰色になったのは。 僕が子供の頃はあんなに明るくて眩しかったこの街に光は失われて、街を行く人々の顔も影っていた。 色とりどりの明るい髪色。だけどそれに似合わない表情。 大陸ノベルズの小さな街。この辺りでは栄える大きな街だが、花が咲き乱れ自然と共存する街だった。 どうしてか、なんて誰もわからない。気づいたら花は咲かなくなった。 そんな中気づけば僕は中学生になり、高校生になり、気づけば大学に進学した。 何もない日々。楽しみも、喜びも、悲しみすらない日々。 今日も俯きひたすら流れるように大学への道を歩く。 「わっ!」 「あ、、すみません、」 見慣れた、歩き慣れた道。でも今日はいつもと違った。 前から歩いてきた女の子にぶつかった。 思わず反動で尻もちをついてしまう。 この街の人ではない。すぐにそう分かった。 黒色の腰くらいまであるポニーテール。希望に溢れた笑顔でこちらに手を差し伸べている。 「大丈夫ですか?」 久しぶりだ。街以外の人を見るのは。いつの間にかこの街は閉ざされ、孤立していた。 「、、はい。」 「良かった!」 大きな声でハキハキとした話し方。 道行く人が少し顔を上げて様子を見て珍しそうな顔をし、また興味がなくなったように俯きながら歩いて行く。 女の子の手を借りず自力で起き上がり歩き出そうとした。 「あの!どうしてこの街の人はこんなに孤独なんですか?」 「え、?」 “孤独” 「私、今日からこの街に住むの。分からないことだらけだけど、たくさんの人と仲良くなりたい。だけど、みんな自分を閉ざしてしまってる。」 分からない。僕だって聞きたい。だけど、気づいたら自分もそんな大人になってしまいそうになっている。 僕は彼女に興味を持った。初めて大学をサボり、名前も知らない彼女について行くことにした。 「私、心都。あなたは?」 彼女は“こと”と名乗った。この街では聞いたことのない響きの名前だった。 「僕は、、ユアン」 「ユアン、ね。よろしく!」 手を差し出され躊躇いながらも手を取る。 こんな風に名前で呼んでもらえたのはいつぶりだろう? 「ことは、、何をしに来たの?」 「私はね、歌が好きなの。この街は自然が有名だったでしょう?だから本とかで見たこの街のお花畑で歌いたいと思って遠い小さな国から来たの。」 「、、全然違ったでしょ?」 「そうね。だけど、私には夢ができたの。この街の人をもう一度笑顔にさせるわ。」 彼女はそう誓った。 だけど、その夢は叶わなかった。 彼女は遠い国のお姫様だったのだ。勝手に城を抜け出し、この街に来ていた。 大捜索の末、半年後に彼女は泣きながらも国に連れて帰られてしまった。 そしてもう、彼女のことは忘れて灰色の世界のまま7年が過ぎた。 「ーー♪ーーーー♪」 どこからか優しい歌声が聞こえて来た。 思わず惹きつけられるようにその歌声に向かって歩き始めた。 灰色の広場に魔法のように花が咲いて行った。 「こと!」 知らない名前を呼んでいた。 「ユアン!」 花が開くようにこちらを見て彼女は叫んだ。 そうだ。ことだ。あの時の彼女だ。 ことはまた、歌い続けた。 あたり一面花が広がった。 人々が集まり始めた。 そして、またこの街に笑顔と自然が戻った。 だけど、ことは戻ってこなかった。 この街の自然の代わりの“生贄”になってしまったのだった。 また会える日を願いあの日彼女が残した歌を僕らは いつまでもいつまでも歌い続けるー