未来に進む
港の見える小さな町で、舞花は最後の冬を過ごしていた。高校生活も残すところ、あと数週間。
駅のホームで電車を待つ時間、放課後の空気の匂い、制服のポケットに残る寒さ―すべてが終わりに向かっているような気がして、胸が少し痛む。
舞花には、言えなかった想いがあった。
美玖、幼稚園の頃からの幼馴染。声がよく通って、誰にでも優しくて、けれどどこか遠くを見ているような目をしていた。最初はただの幼馴染だった。でも、気づいた時にはただの“友達”“親友”ではなくなっていた。
美玖のよく響く声が、長い茶色っぽい髪が。制服のリボンを解く仕草が、頭のどこかにこびりついている。舞花の心は、それからずっと美玖ので満ちていた。
おかしいってわかっていたからこそ、関係が崩れてしまうことが怖かったからこそ。
想いは伝えられないまま、季節は巡っていった。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2025/7/19 9:44
叶夢 衣緒。/海月様の猫
自己満です。
少し投稿頻度落ちてます。
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2023年
2月27日start
3月3日初投稿