速水実弥

10 件の小説
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速水実弥

「狐少女と花少年」を連載しています。 お絵描きもしてます。

カレンダー

キュッ マジックの音が部屋に木霊した。 カレンダーに毎日、1日の終わりに丸をつけていく。 もうこの音は聞き慣れてしまったほどだ。 この音は“1日の終わりのチャイム”。 カレンダーをめくる音は、“1ヶ月の終わりのチャイム”。 カレンダーを取り替える音は“1年の終わりのチャイム”。 そしてこれを総じるならば、“人生のカウントダウン”だろう。 そう思うとマジックの音が悲しくて、何処か愛おしくて、美しいと思ってしまう。 人は朽ちていくのだ。 でも、そんな重いものでは無いと思うんだ。 人生なんて死ぬまでの暇つぶしでしかないんだから、 せいぜい死ぬまでカレンダーに丸でも書いていようかな。

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好き

あなたが好きだったの。 いや、“だった”はちょっと違うかも 今も好き。 でもあなたの好きはあたしとは違ったから ごめん。ごめん。 これは罪滅ぼしの言葉。これはあなたを幸せにする言葉。 効果は無いかもしれないけど、一応受け取ってね。 あなたの少し冷たい手が好き。 あなたの猫背気味な背中が心地よかった 疲れた時少し甘くなるその声も 全て愛してる 孤独を煮つめたこの夜はいつまで経っても終わってくれない。 おねがい、冬の寒さよ。 この恋と涙を凍らせて

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今生

狐人。 其れは戦好きで人間が嫌いな種族。 嫌いが故に、自分達の縄張りに侵入した人間は問答無用で襲いかかり、時には 帰らぬ人になる場合がある。 天月家は非常に気高く崇高な家系である。 実力主義、完璧は当たり前。 そして彼女、天月稲利は期待通りの素晴らしい才覚をもった少女だった。 狐人は生まれた瞬間から神様の恩恵、「能力」を付与される。 稲利の能力は「火炎」。 あらゆるものを燃やすことが出来る。 最高火力を出せば鉄だって溶かせる。 コントロールも稲利にかかれば容易いものだった。 …だが、彼女の父が其れを利用して人間を狩ろうとしたのがいけなかった。 そう、全ては「合理的」と「反骨心」がすれ違うことによる、長期に亘った「親子喧嘩」であった。

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原点

古い書物だ。表紙には何か書かれているが…読めない。 この書物を読みますか? ▼読む ページをめくった… 遥か昔、地上にある生物が生まれた。 その生物には、狐の耳、尾が付いていた。 よって、その生物を “狐人” と呼ぶことにした。 狐人は聡明である。 故に瞬く間に人知を超えた文明を作り出した。 人間とも友好的な交流を養ってきた。 米、青銅、住居、衣服の伝来も、交流の賜物。 だが、その“友好的”も長くは続かなかった。 … 引き金は????人の??少??だ?? 墨で書かれたであろう文字が所々滲んでいて読めない。 読むのを中断しますか? ▼はい 書物を閉じた…

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第三話 はじめまして

「なぜそんなことを聞くのですか」 慣れない敬語で心のままに捻り出した俺の言葉を聞き、少女は目を見開いた。 「だ、だって私“狐人”だし…」 …きつね…びと…? どうやら人は驚きすぎると声が出ないというのは本当らしい。 今の俺が正にそうだからな。 すると少女を驚いた声色で声を上げた。 「もしかして、“狐人”の事知らない!?!?」 その通りすぎてぐうの音も出ない。 「はい。」と返事をすると少女は糸がプツンと切れたように 笑った。 「あはは!そんな人初めて聞いた!」 思考が完全に停止している俺を置いて高らかに笑う。なんだろう… 嬉しい。 さっき会ったばかりのどんな存在かも知らないというのに、なぜこんなにも嬉しいと思うのだろうか。 「あー笑った!私の名前は“天月稲利”!敬語は取ってもらって構わない!」 「俺は“四月一日蒼空”…よろしく…」 「蒼空というのか!いい名前だなぁ」 「よし!お互い自己紹介も済ましたことだし」 −“狐人”についてお話しようか。

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第三話 はじめまして

好きは武器

この世の中って結局容姿ですよね。 これを読んでくださる皆様にも容姿で悩んでいる方はいらっしゃるのでは無いでしょうか。 男性が「女の平均体重は40kgくらいでしょ」と言っている動画を見かけますが、 舐めてますよね。 強い言葉にはなってしまいますが、よくその程度の認識で「異性」を語れているなと呆れてしまいます。 そのせいで、自分の「好き」を押し殺している方いらっしゃいますか? 髪型、服装、メイク。これらは全てあなたが積み上げて見つけてきた「好き」だと、私は思うんです。 だからどうか、それを壊さないで欲しい。 自分を殺さないで欲しい。 世間の目なんて単なるじゃがいもです。 世間の評価なんて単なる戯言です。 大丈夫。あなたはとっても綺麗。 こんな綺麗事を煮つめたような話を最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。 読者の皆様の幸福を心よりお祈りしております。 じゃ。

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だいじょーーぶ

さて、皆さんお疲れですね。 本当にお疲れ様です。 この世の中はたくさん頑張っている人へ「頑張りすぎないで」なんて綺麗事を吐きますが、 あなたを頑張りすぎさせているのは誰なのでしょうか。 「たまには息抜きも大事だよ」 じゃあ息抜きする間をくれよと。 「無理はしないで」 無理をしないと生きていけないんだよと。 この世界は本当に生きずらい。 結局顔だし。結局実力主義だし。 仕事の求人で「初心者さん大歓迎!」とか、そんなの嘘だし。 でも死にたい理由も生きる理由もない。 あぁどうしよう。お先真っ暗じゃないか。 それでいい。それでいいんです。 人生お先真っ暗な方が面白い。 そんなテンションで行きましょう。 じゃ。

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第二話 邂逅

「稲荷様」が居たという事実に脳が追いつかなく、俺はただ呆然と立ち尽くしていた。 すると少女はこちらに気づいたようで、大きな目をさらに大きく見開いてこちらから距離をとるように素早く立ち上がった。 「だっだれ!?」 少女は叫ぶ。 確実にあっちは俺に敵意を持っているというのに、俺は何を思ったか、少女の元へと足を動かす。 鉛のように重く、接着剤が付着したかのように地面から動かなかった足も、その時は恐ろしいほど軽快であった。 少女は俺が目の前まで来ると、死を悟ったかのよう目をギュッと瞑った。 そんな少女の 頬を俺は優しく包み込んだ。 「なぜ、泣いているのですか」 慣れない敬語でそう言葉を漏らすと彼女の口から“え”と素っ頓狂な声が小さく聞こえた。 すると彼女は質問を質問で返す。 「逃げないの?」 「…え?」 …なんでそんな質問するんだ?

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第一話 出発

ある所に花屋で育った高校生の少年がいた。 名を「四月一日 蒼空」という。 俺は風そよぐ快晴の中、自分の店の花と簪をもって母のいる病院へと向かう。 母は過労で倒れ病院にいる。父親は俺が小学4年生の時亡くなったから、今は1人で生活し、店は休業している。 病院に行くにはいつもバスを使うが、その日は気分で歩きで行き、遠回りすることにした。 俺はいつも遠回りのルートとしてある山を通る。 その山には「稲荷様」がいると代々言い伝えられていた。 その山の名は「宇迦之山」という。 まぁ名前の由来は知らないが。 でもこの山はなんとも美しい。 光に照らされて輝く草木。水面から見える綺麗な魚たち。 俺はこの場所が好きだ。 しばらく歩くと人のすすり泣く声がする。 あまり人の来ない山だと言うのになぜだろうか。その時の俺は、ほんの少しの「恐怖心」とたくさんの「好奇心」で出来ていた。 またしばらく歩く。どんどん声は大きくなる。 そして見つけた。声の正体。 この子は…女の子で背丈は俺より小さい。年齢も同じくらいだろうか。風でザーッと揺れる木陰で赤ん坊のように縮こまって泣いている。 「どうしたの?」 勇気をだして聞いてみた。 こちらを向いた彼女の顔を覗き込むと、 泣きすぎたせいか目元が少し腫れているが、なんとも可愛らしい顔であった。 いや、それよりも驚いたのは本当にその少女には──────… 狐の耳と尾があった。 本当にいたんだ…「稲荷様」…

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さぁスタート地点に立とう。

君らは「神」を信じるだろうか。 「神」とは、人知を超越した尊い存在なそうで。 そんな「神」を「人」は信仰する。 「神様、どうかお許しください」とか。 でもおかしいと思わないか? ''「神」であっても「仏」ではない''。 ''神は三度も許してくれない。'' そんなひねくれた普通の高校生の話。

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