Natume

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Natume

愛は颯爽に 拾陸話

「…ふあーあ!あれ?私どうやってここまで…。」 「あぁ、起きた?早いね。」 「京極さん、私昨日大丈夫でしたかっ?何か変なことっ」 「うーん、自分の格好見たら何が起きたかわかるんじゃない?」 「自分の格好っ?…っ!?!?」 「はははっ!反応おもしろいな。早くシャワー浴びておいで。ご飯作って待ってるから。」 「くっ…!」 −「もうなんで私って酒癖が悪いのよ…。」 「上がった?ご飯ちょうど出来たよ。」 「おいしそう!」 今日も楓の格好は際どかった。 「…ねぇ、今日休みだよね?」 「そうですけど。」 「服買いに行かない?」 「服?なんで?」 「…似合う服を買ってあげようと思って。」 「いいですけど。」 −歌舞伎町− 「は?それほんとなの?」 「らしいですよ。驚きますよね〜。あの咲夜さんが結婚って。しかも超溺愛してるらしいです。」 「嘘に決まってるわよ!だってあの咲夜さんよ?毎日違う女と遊んでた男よっ!?」 「好きなんですか?咲夜さんのこと。でも結婚はほんとですよ。お客さんの知り合いが結婚式に行ったらしいですもん。」 「嘘よ!」 「どれだけ好きだったんですか?まぁ確かによくここに来てくれてたけどあれはままのおかげで…す……よ。顔怖いですよ。沙羅さん。」 「許さないッッッ!」 −「いらっしゃいませ。京極様。本日はどのようなものをお求めで?」 「楓に似合うような服を。このカードで。」 「かしこまりました。ご予算は?」 「幾らでも使え。」 「かっ、かしこまりました。お茶をお出しして。楓様はこちらへどうぞ。」 「はい。」 「楽しみ〜。」 電話がかかってきた。 「誰だ。もしもし?」 『咲夜さんっ。』 「ああ、その声誰だっけ?」 『もう忘れてたんですか?沙羅ですよ。」 「ああ、沙羅か。どうした?」 『どうした?って、結婚ホントなんですか?』 「ほんとだけど。」 『…その女大丈夫なんです?絶対お金目当てですよ。』 「…違うけど。そういう発言やめてもらっていい?後女絡み無くしたいんだ。妻のために。切るね。」 『待ってッ!最後に会えませんっ?』 「…切るよ。」 −「楓様。こちらは?」 「かわいい!…なんかキツくないですか?」 「あー…」 (胸のせいだと思います。) 「大きいサイズ用意してきますね。」 「お願いします。」 −「京極様、準備ができました。」 「お、楓見してごらん。」 カーテンから楓が出てきた。 白色のAラインで茶色のベルトでウエストを絞ったシルエットの膝丈ワンピースを着ていた。 「……。」 「似合って…ますかね?普段こういう服あんまり着ないからなんだかへんな感じが」 「最ッッッ高ッ!」 「えぇ?」 「こんなにワンピースが似合う人は初めて見たよっ!」 「言い過ぎですよ…。」 「これ買うよ。カードで。」 「ありがとうございます。」 「そんなに簡単にっ!これ絶対高いですよ?!」 「このカード限度ないから。行こう。」 「早いなぁ。ありがとうございましたっ!」 「…ベタ惚れね。」 「ええ。すっごい惚れてる。」 −翌日− 「楓ごめんね。まとまった休みあげられなくて。本当は今頃ハネムーン行ってたんだろうけどさ。」 「大丈夫。働くの好きだし。」 「楓〜!」 「橋本さん!」 「はい?」 「お客様がお見えです。」 「お客様?私に?京極さんかな。今行きます!」 むかうと会ったこともない派手な格好をした女性が立っていた。 「…あのー、申し訳ないんですがどちら様でしょうか?」 「柳本沙羅よ。」 (どこかで会ったこと会ったっけ?) 「…ごめんなさい。覚えてないんですけど」 「だって会ったことないもの。」 「え?」 「単刀直入に言うけど、咲夜さんと離婚して。」

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愛は颯爽に 拾伍話

⚠️性的シーンが含まれてます⚠️ 「…ただいま…。」 「楓ッ。」 「…。」 「この前はごめんねっ。あんないい方して。あの時は嫉妬で狂いそうになってただけなんだっ。楓を信用してるっ!」 すごい勢いで言い攻めてきた。 「あ、はい。もう怒ってないし、私もムキになりすぎちゃいましたし、…ごめんなさい。」 「良かったーッ!もう嫌われてるかと思った。」 京極さんの逞しい腕に包まれた。 「ケーキ買ってきたんだ。一緒に食べよ?」 「食べたいっ!」 −「このケーキすっごい並ぶところだ…。ありがとうございますわざわざ。」 「ううん。俺が勝手にしたことだし。」 「…なんか全然違う。」 「え?」 「最初は殺人鬼みたいな人だった。人の気持ちを考えられないような人。」 「えっ、それほんと?」 「でも今はいい旦那さんって感じ。なんだか人間味増しましたね。」 「旦那さんっ!楓ちゃんに旦那さんって呼ばれちゃったぁ!」 (呼ばなきゃ良かった…。) −式当日− 「楓ーッ!」 「蓮子っ!」 髪を結い上げて角隠しをつけて雰囲気が全然違う楓がいた。 「ウエディングドレスも似合ってたと思うけど和装がドンピシャすぎるよぉっ!かわいいっ!」 「そうかな?ありがとう笑」 「このピアスもかわいい…。」 銀の輪っかのピアスが見えた。 「ああ、和装にピアス?って思ったんだけど京極さんがプレゼントしてくれてどうしてもつけろって。」 (どうせ俺のものっていう印って理由でしょ。) 「そ、そう。」 「あ、蓮子って京極さんに会うの初めてだよね?」 「あー…うん。」 「もう少ししたら来ると思うから待っててね。」 「い、いや別にいいよ。私戻ってるよ。」 「ダメ!京極さんのこと見て欲しいの!」 (もう死ぬほど見ました。) ノックの音がした。 「あ、はーい!」 「楓ちゃん?入っていい?」 「いいよー!」 「…。」 ドアが開いた。 紋付袴をきた京極がいた。髪もいつもとは違うセットの仕方だった。 「うわー!楓ちゃん綺麗だよ!こんな綺麗な女性初めて見たっ!私服の楓ちゃんも綺麗だけどこの楓ちゃんも綺麗すぎるよっ!」 「言い過ぎですって…。あ、こちら私の大親友の蓮子です!」 「は、初めまして〜。」 (空気読めよ?) 「…あー…。」 必死に目で合図した。 「…初めまして!京極咲夜です。うちの楓と仲良くしてくれてどうもありがとう。」 (空気は読めるんだ。) 「こ、こちらこそ〜」 (なんか蓮子怖い?) −「うわぁー、噂通り六代目の嫁さんめっちゃかわいいな。」 「今は羽織で隠れてるけど胸すごいらしいぞ。」 「えぇっ!マジっすか!?最高じゃないっすか。」 その時2人の僅かな隙間に小刀が刺さった。 「ッ?!…こ、小刀っ?な、なんで。」 「ちょっ、おいあれ!」 京極が鬼のような形相でコチラを見ていた。 「ヒッ!な、なんでもないです!」 「怒らせたらやべぇ…。」 修祓から玉串奉還までの流れが終わった。 「指輪の交換を行なってください。」 「楓ちゃん。綺麗だ。」 「京極さんもかっこいいです。」 「…ッ!ありがとう。」 2人は指輪の交換を行なった。 そして結婚式は終わった。 「ふー!疲れた!」 「だね。あ、そうだ。組長からお酒山ほど貰ったんだ。飲まない?」 「お酒!?飲みたいです!」 −それからしばらくして楓は潰れた。 「あ、お酒弱いの忘れてた。明日謝らないと。」 京極は楓をお姫様抱っこしてベットまで運んでベットに降ろした。 薄いレースの入ったキャミソール一枚の楓顔を赤らめた楓から目が離せなかった。 「外でも無防備な格好なのに、家ではもっと無防備って困っちゃうな。」 京極がシャワーに入り上がった後楓の様子を見に行った。 「楓?起きてたの?頭痛くない?」 「…京極さん…?水…。」 「ああ、水ね。」 ペットボトルの水を渡した。 「飲める?」 「うっ、」 水を溢してしまった。水が服を着ていない京極にかかった。 「ほら言ったじゃん飲めないって笑服着てなくて良かった。」 「水…。」 「水ならここにあるよ。」 「違う。」 「え?」 楓は京極の体にかかった水を舐めた。 「楓ちゃんっ!?ど、どうしたの?」 「京極さん…すき…です…。」 楓の胸が京極に当たった。 「ッ…」 京極は楓を押し倒した。 「あー服着てなくてほんとに良かった。」 2人は激しい夜を過ごした。

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愛は颯爽に 拾肆話

「ヤクザ。」 「…ヤクザっ!?」 「しかも若頭。」 「それ本当に言ってる?」 「ほんと。考えてみてよ。薬剤師が普通あんなことする?」 「いやそれはそうだけどヤクザと結婚って。どこで知り合ったの?」 「ああ、あの合コンの時に行ったカジノ。」 「えっまじ?!結構前だよね?」 「…まあね。…シャワー入ってきていい?」 「あ、いいよ。タオルとかは自由に使って。」 「ありがとう。」 楓がシャワーに行くと机の上に置いてあったスマホが鳴った。 「楓のスマホか。」 スマホには京極さんと記載されていた。 「京極さん…?これが旦那か。明らかにヤクザっぽい名前ね。」 電話が切れた。 「ヤクザが一般人と結婚できるんだ…。すっげぇや。」 −「お風呂ありがとう。」 「ううん。…旦那さんから電話来てたよ。」 「えっ?嘘。」 急いでスマホを確認した。3回も電話をかけてきていた。 「…流石に何も言わないのはまずかったかな。ごめん電話してくる。」 「楓は優しすぎるよ。」 いつもは穏やかな口調の蓮子が真剣な声で言った。 「えっ? 「楓がそうやってすぐ許すからあっちも毎回何も分かってないんじゃないの?少し痛い思いさせないと。これからのためにも。」 「で、でももう3日は口聞いてないし、」 「日数の話じゃないよ。相手に何が悪かったのか思い知らせないと。」 「…。」 確かに私毎回すぐ許しすぎてたかな。 −「…出ない。話したいのに。行くしかないか。」 −翌朝− 蓮子の家のインターホンが鳴った。 「ん、もう誰よぉ〜、眠いって言うのに。はーい。」 ドアを開けるととても背が高くて顔が綺麗な人が立っていた。 「えっ!?誰っ!?」 「楓の旦那です。楓はいますか?」 (この人が楓の旦那っ!?全然ヤクザっぽくない!) 「蓮子〜?誰だったの?」 「あっ!かえd」 急いで口を塞いだ。 「えっとぉ、セールスっ!ちょっと話してくるからっ!」 「わかったー。」 ドアを閉めた。 「な、なんで口を塞いだんですか?」 「京極…さん。でしたよね?」 「?はい。」 「少し話をしましょう。」 真剣な顔で言った。 −「話というのは?」 「あなたのこと。楓から聞きました。」 「ああ!ほんとですかっ?何言ってたんです?」 「長くなりますから簡潔に言いますとまるで私のことを信用していないって!あなた楓のこと信用してないんですかっ!?」 「信用してますよ。」 「だったらなんで浮気してもいいって、」 「楓の好きにさせたいんです。ほら、俺が無理やりアプローチして付き合って結婚したじゃないですか。」 「だからって楓はもう京極さんのこと好きなんですよ?」 「でも女は単純な生き物だ。違う雄に愛想を振り撒かれたらすぐそっちに行く。今までの女もそうだった。」 「楓を京極さんと寝た女と一緒にしないでください。京極さんだって楓が他の女と違うから楓にアプローチしたんでしょ?」 「…確かにそうですね。」 「だったら楓は浮気しませんよ。」 「浮気しないってことはわかってるんです。」 「え?だったらなんで、」 京極がスマホを開いた。 「ほら。」 「これは?」 「GPSです。楓のスマホにチップを埋めました。これで楓の居場所がわかります。もし楓の場所がホテルだったら浮気してるってわかります。」 「うわ…。すごいな。あっ、私が言いたいのは楓は浮気をしない。楓のことを信用してってことです。でもそれは京極さんもわかってるんですよね?」 「わかってます。ただ俺に隠し事をしてほしくないって事です。」 「だったら最初からそう言えば、」 「あの時はなんだかおかしくなってました。」 「おかしく…?なんで?」 「他の男と楽しそうに喋ってて。なったこともない気持ちになりました。」 「それ、嫉妬です。」 「嫉妬?…ああそうだ。嫉妬か。そうですね。嫉妬でおかしくなってました。だからうまく言えませんでした。」 「…楓の話を聞いてたら相当な変人だとは思っていましたがここまでとは…。とりあえず今のうまく言えなかったことを冷静に楓に言ったら伝わると思います。…後確認したいことがあります。」 「はい?」 「楓をどのくらい愛してますか?一生愛せますか?」 「はい。愛せますよ?どのくらいか言いましょうか笑」 「……。」 「もし楓が誰かに怖い思いをさせられたのならそいつらを殺しますし、後は他の男が楓を見る目、楓の喋る口を縫えますし。それと、楓が目移りしないように世界中の男を全員殺すとか?あとはそうだなぁー…楓の言うことならなんでも聞きますよ。楓が言うなら知らない女とも寝れますしブサイクな女とも寝れます。…蓮子さんともね。」 「ッ!?」 思わず京極の頬を叩こうとしてしまったが京極に手を掴まれてしまった。 「おっと、ごめんなさい。他の女の体を触ってしまったなぁ。職業病というやつですかね。」 「キモッ…。楓こんなのと…。」 「はい。だから楓には感謝してます。こんな変な僕を愛してくれて。俺がこの世で一番楓を愛してる。」 狂気じみた笑顔で言った。 「ホントに気色悪いッ!」 「あ、もしかして蓮子さん…俺に抱かれるかもって思いました?」 「ッ…!」 「安心してください。楓が言わない限りは抱かないので。…俺はできればこれから楓しか抱きたくない。今でも思い出したらゾクゾクするんです。初めてのこと。」 「ああもう!アンタといたくないっ!さっさと別れろっ!」 「ああ、俺も蓮子さんといたくはないので!こんなに性格が合わない女の子初めて見ました。最初の方は良かったんですけどね。」 「アンタにアドバイスした私がバカだったっ!帰るっ!」 「ああ、楓によろしく言っといてくださいねっ!」 −「あ、蓮子おかえり。遅かったね。セールスそんなにしつこかったの?」 (楓はこんなにいい子なのになんであんなやつとっ!) 「ま、まぁ。」 「言ってくれれば私が撃退したのに。」 「だいじょーぶ。」 「そっか。私そろそろ帰る準備するね。」 「え、もう?」 「京極さんと話さないとね。いつまでもシカトしてても。子供じゃないんだし。」 (楓が可哀想っ!) 「そ、そっかぁ。がんばってね!」 「うん!ありがとう。」

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愛は颯爽に 拾参話

あれから私たちは新居を決め引っ越した。 「あのー。」 「うん?」 「広すぎやしませんかね…?前の家の二倍はありますけど。」 「そうかな?ちょっと広いくらいがいいんだよぉ。それより朝起きたら楓ちゃんがいて帰ってきても楓ちゃんがいるのって最高!」 「はぁ。これが毎日ってなると気が遠くなる…。」 「なんでそんなこと言うのー!」 「この…あのねぇ!あなたもう28ですよ!もうすぐ30なのに子供みたいなこと言わないでください!年相応の発言をしてください!」 「年相応ってたとえば?」 「…もうちょっと落ち着いて話すとか。」 「わかった。今日から試してみる!」 「は、はぁ。」 −夜− 「ふぅ。これでやっと荷造り終わった…。」 「ただいま。」 「あ、おかえりなさい。ご飯できてます…よ。」 なんだか雰囲気が違った。 「わかった。」 「…ああ、年相応の振る舞いしてんだっけか。」 −「明日も仕事だし早く寝よ。」 (いつもは後ろから京極さんが抱きしめるような状態で寝てるけど今日は違うんだ。) 『親愛なる楓ちゃんおやすみなさい〜』 (なんて楽なの…!) 「……。」 それから一週間くらいそう言う生活が続いた。 (2日に1回はあっちから求愛行動がくるのだが…まぁ30手前の男なんてこんなもんか。これはこれでいいとしよ。) いつも通り眠りにつく。 −翌日− 「残業で遅くなっちゃった。」 「…遅かったね。」 「ああ、残業で。」 「俺もうダメかも。」 「え?」 「楓ちゃんに愛が伝えられないなんて!俺無理だよ!もう無理!」 そう言って年相応に振る舞う生活は終わった。 「式場もきまってよかったね。楓の和装楽しみ…。」 「そ、そうですか。」 −「楓の旦那さんの写真ないの?」 「写真あんま撮んないんだよね。」 「えー。何してる人なの?」 「ヤク…」 (これって言っていいの?!) 「やく?」 「や、薬剤師!」 「へぇー。なんだか頭良さそう。イケメン?」 「別に普通だよ。」 「キャー!何あのイケメン!」 「やばい恋しそう…。」 「彼女いるかな?」 「なんか人だかりできてない?」 「なんだろ。」 「楓はどこだろう。」 「ッ!?」 (京極さん!?あれが旦那って知られたら絶対めんどくさい!逃げないと!) −「トイレに逃げてきたけど…。電話しよ。」 【あ、もしもし?今どこにいる?】 「何勝手に会社まで来てるんですか!」 【あ、ごめんごめん。お弁当忘れてたから。」 「あ、確かに今日忘れてきてたかも。…じゃあ外で待っててください。取りに行くので。」 【いやそうできるならしたいんだけど出来なさそうなんだよね。】 「え?なんでですか?」 【女の子たちが大勢いて辿り着けなさそうっていうか外に出れても着いてきそうっていうか…。】 「はぁ!?」 (そんなにイケメン枠だったっけ。) 「今から行くので待っててください。」 【おっけー。】 「もう…。」 トイレから出ると人だかりが見えた。 「あれだ…。」 「連絡先交換してください!」 「彼女いますか!?いたら2番目でもいいですっ!」 「あはは、困るなぁ。できれば道を開けてくれると助かるんだけど…。」 (風俗だったらおっさんに人気の顔だな。こっちは顔はあんまりだけど身体はいい。5番目くらいかな。) 「すみませんっ。通してくださいっ。」 「あ!」 京極さんがこっちに気づいた。 「かえ」 (まずいっ!) 「ああー!あそこに山崎賢◯がいるー!!」 「えっ!?どこどこ!?」 群がっていた女軍達はすぐさま違うところへ行った。 「山崎賢◯だなんてわかりやすい嘘だなぁ。」 「そうするしかなかったんです。お弁当は?」 「はいどうぞ。」 「ありがとうございます。」 「楓の部署ってどこ?」 「2階ですけど…。なんで?」 「ちょっと顔出していい?」 「はっ!?ダメですよ!」 「お願い!バレないようにするから!」 「ダメです!」 「バレないから絶対!顔隠す!」 「はぁ…。」 −(来ないじゃん。良かった。) 「橋本さん。この書類なんなけどさ。」 「あっはい。」 男の同僚に話しかけられた。 「ここってー、」 「ああそこは課長のー、」 「誰あの人。あんな人いたっけ。」 「さあ?見たことないけど。めっちゃいい匂いしない?」 「わかるー!サングラスかけててあんまわかんないけどイケメンじゃない?」 (ま、まさかね。) 「橋本さん?」 「あ、はい!すみません。」 「大丈夫。あと手伝ってほしい仕事があるんだけどさ、」 「はい、どれですか?」 「こっち来てもらっていい?これなんだけどさ。」 「ああ!大丈夫。やりますよ。」 「ほんと助かるわ。ありがとう!お礼にコーヒー奢るよ。自販機いこ。」 「ありがとうございます!」 (よっしゃここ離れられる。) 片目で見ると紛れもなく京極さんだった。多分私には気づいてないはず。 「はい。」 「ありがとうございます。ほんとによかったのに。」 「ううん。これくらいさせてよ。」 「優しいですね。」 「そうかな?」 その時先輩のスマホが鳴った。 「あ、ごめんね。出てくる。」 「はい!どうぞ。…ふぅ。」 「橋本さん!ごめん俺急用できちゃって、」 「行ってください!」 「ありがとうっ。じゃあねっ!」 「…優しいなぁ。」 自分の部署に戻っていると手を引っ張られ非常用階段に連れてかれた。 「誰っ!?京極さん!?なんで、」 「本当に気づいてないって思ってた?最初から気づいてたよ。あの男と何話してたの?」 「仕事の話ですっ!やましいことは何もありません!」 「別に浮気してもいいよ。ねえずっと言いたかったんだけどその服装分かっててやってるの?」 「えっ?」 「いっつも胸元が空いてて谷間も見えてるし足だっていっつも短いスカートだから。」 「ッ!?別にこれはっ、適当に選んでるだけで...。」 「浮気してもいいけどすることは全部俺の前でやって。キスも。それ以上のことも。」 「…は!?やるわけないじゃんっ!…京極さんも浮気するのっ?」 「しないよ?楓以外の女に興味ないもん。」 「私は浮気してもいいけど自分は浮気しないってこと?なんか全然わかりません。」 「初恋だもん。俺も初めてだから全然わかんないよ。」 「はぁ?どうせ女と関係持ちまくってたんでしょ?」 「それはそうだけど、愛はなかった。だけど君は愛があった。」 「なんのことを言ってるのか全然わかりません!」 「俺が言いたいのは俺以外に愛せる人がいるんなら浮気してもいいよってこと。できるもんならね。」 「チッ仕事で話すのもダメなの?独占欲の塊かよ。キッショ。馬鹿馬鹿しい。もう戻るわ。」 ドアを強く閉めた。 「…やっばゾクゾクしちゃった。」 −「あ!楓おかえり!帰りケーキ屋さんあって美味しそうだから買ってきちゃった!2人で食べよ!」 「……。」 楓は何も言わず自分の部屋に行った。 「楓?」 −「楓!お風呂入ろ!入ったことなかったよね?開けてー!」 「かーえーで。もう朝だよー。仕事ないよね?朝ごはん作ったから食べようよー。」 楓が部屋から出てきた。 「楓!」 「もしもし?うん今から出る。お泊まりとか本当に楽しみー!」 「お泊まりっ!?聞いてないけど!?」 「…。」 −「って感じで口も聞いてくれないんだよねぇ。」 子供の頃から友達で今は組の幹部の丹山に相談した。 「いやそれはお前が悪いだろ!」 「多分そうなんだろうけどさ、理由がわからないんだよね。」 「お前病気か…?」 「最初は口聞いてもらえなくてゾクゾクしてたんだけど最近めっちゃ辛くて…。」 「…はぁ。あのなぁお前逆で考えろ。浮気してもいいよって言われたらどんな気持ちになる?」 「…しないよ?」 「だろ?お前橋本ちゃんに自分のこと信用されてないってか思われてんだよ。」 「なんで?」 「はあ!?お前まだわかんねぇの?相手に浮気されてるって一生思いづつけられてんだぞ!?」 「でもやることは全部俺の前でやれって言ってるもん。俺の前でやってこないってことは浮気してないんでしょ?」 「お前何言ってんの?はぁ、多分お前は人間じゃない。」 「楓は俺に何をして欲しいの?」 「信用して欲しいんだろ。」 「信用かぁ。逆に楓は俺のことを信用してるかな?」 「してんだろ。してるから結婚したんだろ?」 「…。」 (楓は俺のことを信じなかったことがあったかな。) 『結婚するから、もう離れないで。』 「…ちょっと行ってくる。」 −「へぇー、それは旦那さんが悪いね。どんな旦那よ浮気してもいいって。旦那さん話聞くと相当いろんな女と身体の関係持ちまくってだらしいけど自分で言ったの?」 「本人からも聞いたけど組の人に教えてもらったの。幼馴染だったかな。私に会う前までは毎日女とホテル三昧だったらしいよ。」 「はあ!?それホント?!なんで結婚したのよ!薬剤師の旦那そんなにモテるの?かっこいいの?」 「…モテるでしょあれはぁ。顔は超絶いい。しかも人懐っこい性格だから女が惚れんのも当然よ。あと…。」 (蓮子には本当のこと言ってもいいよね。) 「ずっと旦那の職業薬剤師って言ってたけどほんとは違うんだよね。」 「え?じゃあなんなの?」 「ヤクザ。」

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愛は颯爽に 拾弐話

バンバンッ 銃の扱いにもだいぶ慣れてきた。 「怪我してませんか?」 「はい。大丈夫ですっ。」 (学習能力バケモンだな。) 「ッ!安藤っ!兄貴っ!大丈夫か!?」 「あ…佐々木。」 「どうしたっ!?誰にやられたんすか!」 「赤い髪の…パーマをかけた男…。」 「死なないでくださいッ!」 「しなねぇよ…。良かったわ…。防弾チョッキ着てて。」 「良かったっす!はっ、とりあえず隠れれるところに移動してください!」 「わりぃな…。」 その時佐々木さんが蹴られた。 「ッ!?」 「あっ…」 「邪魔なんだよ。クソ。」 (赤い…パーマ。) 「…あ?女もいるじゃねぇか。ああ、こいつか。京極の嫁。」 顔を掴んできた。 「ッ…離…して。」 「京極なら死ぬぜ。組員なんてもうボロッボロだろ。なんてったって50人しか組員寄越してないんだせ?そういうところだよなぁ。ほんと。組員の命だけ重く見てて後はどうでもいいんだよ。一般人が死のうがなんでもいいんだよ。あの男。せっかく結婚できたのに死ぬなんて気の毒だよなぁ。」 「離せよっ、クソ野郎!」 発砲した。 「危ねぇ危ねぇ。女にやられちまうところだった。」 殴りを入れた。 だけどアイツは素早く避けた。 喋ってる隙をついて足首を蹴った。 「うおっ!…ってぇ!…やるなぁ。お前。」 (力だったら絶対負ける…。だったら、今は、) 私は逃げた。 (逃げる一択!) 「あっ、おい待てっ!」 −(外に出たはいいけど…。どうしよう。交番とか?いやいやそれはダサすぎ。) 【右方向100メートル自転車駐輪場、自転車レンタル場】 「……。」 −「チッ。おいどこだよ?おーい。いるんだろ?見たぞさっき!」 ガサッ 「ここか?いねえじゃん。」 「ちょっとっ!ちょっとっ!」 「あ?」 (どこだ。) 「右!右!」 (右?右にいんのかっ?) 崖から自転車に乗った京極の嫁が出てきた。 「ッ!?」 落ちた自転車が見事赤いパーマの男に降りかかった。 「……。」 赤い髪のパーマの男は脳震盪なのか意識を失った。 「やったぁっ!成功した!あっ、佐々木さんのところに行かないとっ。」 −「佐々木さんっ!大丈夫ですかっ?!」 「は、はい。ついさっきおきました…。はっ!大丈夫ですかっ!?怪我は、あいつは!」 「あの人なら私が自転車で轢きました!」 「じ、自転車?!」 「頭から血が出てますよっ。包帯巻きましょう!」 「あ、これ。包帯です。」 「…大丈夫ですかっ?」 「な、なんとか。…橋本さん俺より強いっすね。」 「えっ!?それはないですっ!」 −「久しぶりだね。鬼塚。」 「…俺の名を呼ぶな。」 「なんでー?悲しいよ。」 「悲しいなんて思ってないだろ。」 バンッ 「いきなり…銃を使うなんて卑怯だな。」 「卑怯なのはどっちだ。おい京極。サシで勝負だ。」 「言われなくてもそのつもり。」 「俺が勝ったらお前は死ね。這いつくばれ。」 「どんだけ俺に恨みがあるのよ。」 「あ?俺の組だけ捜索されたのおかしいだろ?お前もクスリの取引、売春。山ほどやってただろ?」 「んー昔のことなんだけどなぁ。要するにそれってヤクザが一番求めてる勘の良さだろ?お前はそれを持ってなくて俺が持ってただけの話。まあいいや。じゃあ俺が勝ったらお前の組は京極会の傘下になれよ。」 「ッ!…いいぜ。どうせ勝つからな。」 「やだなぁ。負けるの間違いじゃない?みずぼらしい。」 −ドンッ! 「ッ!?今なんかすっごい大きい音聞こえたんだけど…。」 「屋上っす!行ってみましょう。」 「はいっ。」 屋上にいくと発砲し合ってる京極さんがいた。 「京極さっ」 「しっ!静かに!気づかれます!」 「何もできないなんて…。」 初めてみる京極さんだった。 あんなに素早く動く人を初めて見た。 「…京極さん、勝ちますよね?」 「はい。勝ちます。絶対。」 「勝つなら行きましょう…。」 「どこにっすか?」 「いるんでしょ?そこに。」 「くそ、気づかれてたか。」 「バレバレなんだよクソ。」 (六代目と似たようなものを感じる。) 「東京湾に沈めてやろうか?」 『東京湾に沈めようか?東京湾の水は冷てぇぞ。』 「お前の頭、トマトみたいに潰すぞ。」 「あ?抜かしたこといいやがってっ!」 「そんなんでイキんなよ。」 (橋本さん。早い…。) 「あっ、橋本さん!俺も加勢します!」 −「ッ?」 「よそ見すんなボケ!」 「くっ!」 「なんだ?もうギブか!?」 「何言ってんの。ギブなのは君の方でしょ。頭からそんなに血流して。」 「オラァっ!」 −「うっ!」 頭をバットで殴られた。 「橋本さんっ!大丈夫っすか!?」 「だっ、大丈夫。」 「すごい血っすよ?!包帯撒きましょう!」 「おらぁっ!」 「うっせぇ!」 バンッ 「行きましょう。」 「いや、京極さんのところに行かないとっ。」 「でも大怪我っすよ!やめときましょうっ!安全なところで処置しましょう!」 「…。」 −「クソッ!」 「…チッしつけぇな。」 (楓。勘違いかもしれないけど、俺はカジノで会う前に一回楓のことを見たかもしれない。借金を回収しに行く時に 『なんとしてでも全員今日回収させるよ。』 『はいっ!』 ふと窓を見ると後ろ姿だけだったけどなぜかその女性に心を惹かれた。 『...。』 カジノで君とすれ違った時似たような雰囲気を感じたんだ。話した時はイメージ通りって感じだったけど話せて嬉しかった。でも他の女と同じようにすぐ飽きるかと思ってた。 『咲夜さんっ、私と付き合ってくれるっ?』 『…帰るね。』 他の女はつまらない。だから全員体の関係で終わってた。 だけど楓は違った。 『俺と結婚して借金帳消しにしない?』 『最ッッッ低ッ!』 多分あの時確信した。俺にはこの人しかいないって。 「なにボーッとしてるんだよっ!」 あー。やば。よそ見しすぎた。) 「オイッ!咲夜ッッ!死んだら許さねぇからっ!なんとしてでも勝てッ!」 「ッ!?」 「ちょっと橋本さんっ!あんたまだ包帯撒き終わってないし出血やばいんですから暴れないでくださいっ!」 「負けるとか男してダセェからッ!負けたらあんたと私はそこまでッ!もう縁切るからぁッ!だから絶対勝てぇッ!」 「橋本さんっ!いい加減に!」 「イタァッ!」 「あ?なんだあの女。確か…橋本楓」 急に体が地面に倒れた。 「あのさぁ俺の女だから勝手に名前呼ばないでくんない?虫唾が走るんだけど。」 「クッソ!離せッ!」 「どーしよっかな。もう殺そうかな。傘下なんかもう死ぬほど組あるし。」 「やめろっ!やめてくれっ!」 バンッ 「あぁー!疲れた。」 「やった、おいテメェらッ!京極さんが勝ったぞッ!」 組員たちの雄叫びが聞こえた。 「…勝った…。良かった…。」 「あっ!橋本さんっ!?やばいこの人包帯巻いてる途中で意識失った!」 −3日後− あれからまだ楓は目を覚ましていない。 医者は命に別状はないっていうけど、それでも心配だ。 「…はぁ。」 「6代目っ。ちゃんと寝てますか?あと食べてますか?俺たちで真心込めてオムライス作りましたんでどうぞ食べてくださいっ!」 ケチャップで汚く6代目の文字をハートで囲まれたオムライスを見せられた。 「…あー、後で食べるわ。」 「それ絶対食べない奴じゃないですかぁっ!頑張って作ったのに…。」 そんなオムライスより楓のところに俺は行きたいんだってば! 楓のいる部屋の襖を開けた。 真っ先に目が入ったのは目が覚めて布団の上で冊子を見ている楓だった。 「あ、京極さん。」 「ぁっ、」 俺は持っていた荷物を全てその場に捨てて楓を抱きしめた。 「ちょっ、京極さっ」 「良かった…。目覚ましてくれて。」 「ただの脳震盪だったんですからっ!そんな大事にしなくても…。あー!!」 「何?どうしたの?」 「冊子が潰れた!」 「ああ、ごめん。あとで新しいの買っとくから今は…」 「もうぐしゃぐしゃだよ。」 「なんの冊子?」 「式場です。ここに届いてたの見て。」 「ッ!」 「和装とかも結構良くないですか?」 「…あー。もうダメ。」 「なにがですか、」 甘いキスをされた。 「はっ!?」 「君の初めての男が俺じゃないのが悔しい。」 「ッ!?病み上がりですからっ!」 頭突きされた。 「いった…。あ、そうだ。楓ちゃん。」 「はい?」 「抗争の時名前呼び捨てだったよね?もう一回呼んでほしいな♡」 「ッ…!」 「あん時の口調とか乱暴すぎてゾクゾクしちゃった!」 「キモ!」 「ていうかなんであんな強いなら後輩の時やっつけなかったの?」 「…大事な後輩だし…。」 「とんだお人好しだなぁ。」

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愛は颯爽に 拾壱話

中に入ると大勢の組員が殴り合いをしていた。 「ッ…京極さんッ!どこですかッ!京極さん!」 男が殴りかかってきた。 「オラァッ!」 「どいてっ!」 蹴りを入れた。 「くそっこいつか。京極の嫁は。おいお前ら手加減すんな!」 ざっと数えて10人はいた。 「かかってきなさいよっ!」 履いていたハイヒールを手に持った。 「クソがっ!」 (2人同時にやった方が早い…。) 2人同時に蹴りをかました。 そして持っていたハイヒールを相手に向かって投げた。 「ウッ!」 「…今日ズボンで良かった…。」 相手の拳を避け胴を殴った。 「ウガッ」 相手の持っていたナイフを持った。 「……。」 −「さっさと吐けよ。情報提供者。」 「お前に教えるわけねーだろっ!」 「…めんど…。じゃあもういいよ。違う奴に吐いてもらう。」 「ああ?」 「お前はもう死んでいいよ。」 「ッ!?やめろっ!」 「じゃあ吐けよ。…吐いても殺すけど。」 「クソがぁっ!」 「六代目ッ!」 「なに?」 「橋本さんらしき人がここにきています!」 「…は?それホント?」 「はいっ。私も橋本さんのことは一度しか見たことないので定かではないのですが、」 「...おい。こいつのこと任したぞ。」 「はいっ!」 (なんでいるんだ。楓。) −(後2人…。) 「こんなことしてる暇ないのにっ!ここは...」 (逃げる一択!) 「あっおい!待てっ!」 「追え!」 「京極さんっ、死なないでっ!」 無我夢中で走っているの壁にぶつかった。 「いったぁ!」 (行き止まり!?そういえば私ここの構造とか何もわからないんだった…。) 「チッ、手間取らせやがってよ!」 (どうしよう…。) 後ろに後ずさったら足に固い何かが当たった。 「ッ?」 拳銃だった。 「拳銃ッ?」 (あっちはナイフ…。だとしたら拳銃を使った方が強い、はず。でも私使ったことなんかないし。でも…。) 私は素早く拳銃を手に取った。 「はぁっ。はぁっ。かかってきなさいよ。いつでも、あんた達のことなんか殺せるんだから。」 「ハッ。そんな顔して言われてもなぁ。お前どうせ素人だろ?京極の嫁ってだけで。あ、そうだお前。殺そうと思ったけど殺さないでやるよ。お前なら高くつきそうだな?」 「いい加減にしてよっ!」 バンッ! 「ッ、いってぇぇぇっ!」 「大丈夫すかっ!?くそっ、こいつ!」 「橋本さん!大丈夫ですかっ!?」 「!?」 (確か京極会の組員…。) 「だ、大丈夫ですっ!」 「怪我は…してなさそうっすね。すげぇな。あ、俺佐々木国広っす。」 「あのっ私撃っちゃったんですけどっ、」 「こんなの撃ってなんぼっすよ!早く橋本さんは外へ!」 「京極さんはっ!?」 「京極さんなら大丈夫っすよ。あの人想像の何倍も強いんで。」 「強い強くない関係ありませんっ!早く京極さんのところへ連れってってください!」 「ッ…わかりましたよ。俺がもしやられたら走って逃げてくださいっ!」 「あっ、ありがとうございますっ!」 「おいお前ら俺を忘れんじゃねぇっ!」 「うっせぇ!お前とっととくたばれやっ!」 バンッ (やっぱりヤクザ怖い…。) 「行きましょう!」 「はいっ!」 −「おい!楓ちゃん見なかったか?」 「女ですか?見てないと思いますけど、」 「くそっ!」 −「おいいたぞ!京極の嫁だ!」 「顔は割れてんだな…。」 バンバンッ! 「なるべく早く行った方がいいっす!」 「はい!」 「そこっす!京極さんのいる場所!さっきそこで他の組員詰めてました!」 ドアを開けた。 「京極さんッ!…いない!?うちの組員がやられてるっ?!どういうことだっ。」 「なんでっ…。」 その時佐々木さんが撃たれた。 「ウッ。」 「佐々木さんッ!大丈夫ですかっ?!」 「大丈夫っす…撃たれたの足でよかった。」 「良くないです!」 「あーっ!さっき京極に殴られたところクソ痛いわぁっ!おいテメェ京極の嫁だろ?お前の首何万で売れんだろうな?」 「やめろっ!この人には手出すな!」 「あ?うっせぇ。テメェどうせ使い捨ての駒なんだよ。あいつはそういう男だ。人のことを利用して生きてやがる。だからあんなに大勢から恨み買ってんだよ!」 「…ろや。」 「あ?聞こえねぇ!」 「もう一回言ってみろやっ!このボケチンカスッ!」 「橋本さんっ!?」 「なんでヤクザっていい人間と悪い人間の差がすごいんだ?」 「あ?だったらあの京極のクソ野郎は悪い人間のてっぺんに立つ男だ。」 「京極さんがクソならテメェは屑だよ。その腐った根性一から叩き直してやるよ。」 「ハッ。女のくせにっ!」 ヤクザの肩を打った。 「肩撃ったから腕むやみに動かせないんじゃない?ってことは銃もまともに打てねぇわけだ。」 「まだ左肩が残ってるさっ!」 「だったら左肩を今から撃ってやるよ。」 「ッ!くそっ。」 突然ドアが蹴り飛ばされた。 「ッ!?」 そしてヤクザが蹴られて意識を失った。 「…京極さんっ!?」 「六代目っ!」 「楓ッ…良かった。生きてて。」 (呼び捨てっ!) 「死んでたらどうしようかと…!…おい。楓をここまで連れてきたのはテメェか?」 「ひっ、はい!」 「…よくやった。佐々木。よく守ったな。」 「ウッ、名前覚えててくれたんすかっ!」 「あったりめぇよ。」 「うわああんっ!六代目ぇっ!」 「今はあんまり泣くなっ。」 「…フッ。案外微笑ましいですね。ヤクザって。」 「今の状況は全然微笑ましくないけどね。…楓これからどうするの?…俺としては今すぐ車で帰って欲しい。」 「…帰りませんよ。京極さんが帰るまで。」 「そういうと思ったよ。おい。足の怪我は?」 「止血したのでうごけはします!」 「だったら一番安全なところで落ち着くまで待ってて。生きてたら絶対行くから。」 「絶対が絶対になってません…。」 「…じゃあ、できたら会おうねっ。」 それだけ言って京極さんはどこかへ行ってしまった。 私は驚愕した。なんでそんなに身軽に自分の命を捨てれるのか。でも私たちにもう手段はない。修羅場に入ってしまった以上抜け出すことはできない。 「…佐々木さん。」 「はいっ。」 「弾。あります?」 「えっ?弾っ?そりゃもう腐るほどありますけど。」 「だったら貸してください。後ナイフは?」 「ないふ…あっ、そこに落ちてるものでよければ。交換しますか?」 「いや、これで大丈夫です。佐々木さん。動けるんですよね?」 「はっはい。」 「だったら行きましょう。」 「えっ?でも。」 「早く終わらせましょう。このクソみたいな抗争。」 京極さんの負担を少しでも減らすんだ。 −「はぁ。…マジで吐かないね。だーかーら。うちの嫁さんの顔流出させたの誰?」 「しらねぇよっ!」 「だったら知ってること全部吐き出せや。あ?」 「ヒッ、…。」 「チッ電話かよ。誰だ。もしもし?」 「京極さんッ!Bブロックにいる組員もう動けませんッ!」 「誰にやられた?」 「見てないのですが相当な強物かと…。みんな意識が朦朧としています!どうしますか?」 「…お前はAにいけ。」 「はいっ!」 「クソが…。おい。そっちで今日いる奴で一番つえーのってドイツ?」 −「弾はこうやって変えるのね。ありがとう。」 「弾余分に渡しときますね。」 「そしたら佐々木さんのがっ」 「言ったでしょう。腐るほどあるって。ジャケットのポケットとズボンのポケットにパンパンに入ってるんです。」 「ならいいけど…。」 「おい!いたぞ!」 「…いこう。」 「おっす!」

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愛は颯爽に 拾話

「ただいまー。」 「お嬢様、お帰りなさいませ。」 「お嬢様…?」 「ただいま。芳田。お母さんとお父さんはいる?」 「はい。いますよ。」 「ふーん。」 「こちらの方は?」 「言ってなかったけ?結婚相手だよ。」 「結婚っ!?ホントですかっ?」 「こんな嘘つくわけないでしょ。」 −「こんにちは。京極会六代目若頭京極咲夜です。」 「京極会の、頭!?」 「あなた動揺しすぎよっ。こんにちは。楓の颯です。」 「ああ、父の風太郎です。」 「まさか楓が結婚相手を連れてくるなんてな。」 「いつから交際を?」 「あー…半年以上、前。かな。」 「半年で結婚っ?スピード婚ってやつね。」 「結婚…してもいいの?」 「もちろんッ!咲夜さんみたいな逞しい人だったら安心よ!それに若頭なんて…ドラマみたい!ね、貴方もいいでしょ?」 「ああ、大歓迎だ!」 「ありがとうっ!」 「ありがとうございます。」 −「良かったです。どちらの両親も賛成してくれて。」 「ねえ。」 「?」 「式のことなんだけどさ_______。」 余裕そうな顔で喋る京極さんが理解できなかった。 (えっ?) −翌日− 「楓ー!結婚するんだって?おめでとう!」 「ありがとう。」 「式は?いつ?」 「…まだはっきりしてないんだ。決まったら教える。」 −「お疲れ様でしたー。」 「おつかれー。」 「はぁ…。」 『式のことなんだけどさ、近々抗争が起きるんだ。…結構大きめなね。だから近い内に式はできないと思うんだ。…俺が式の時に生きてる保証はない。けど絶対勝つから。』 「なんなのよっ。ほんと自分勝手。」 居酒屋へ足をいれた。 「いらっしゃいませ。」 「ウイスキーロックで。あと焼き鳥。」 「かしこまりましたー。」 (京極会が勝ってもあんたが死んでたらなんの意味もないのよ。) 「こちらウイスキーのロックでございます。」 「ありがとうございます。…うっ、濃すぎっ。」 『まずはロックで一杯。』 「あれで会うのが最後かもしれないって、…あいつどんだけ自分勝手なのよ。最後だったら結婚しても意味ねえっての。…なんのために、なんのためにっ、お互いの実家行ったんだよ。あの組員ぶっ倒して、なんのために。生きるためだよっ!」 『初恋みたいなんだよね。』 「その初恋の相手がお前を待ってるっつーの!早く抗争終わらしてよ!」 −翌日− 「…ああ!無理。落ち着けない。…決めた。」 私は本部へ向かった。 「あ、君確か六代目の」 「京極さんはどこですかっ!」 「ここにはいねえよっ。いるとしたら…」 −「あの!もっと急いでください!」 「急いでるっつーの!…あんた死ぬかもよ。」 「…死にませんよ私は。京極さんが守ってくれるって言ってたので。」 「フッ…六代目相当愛してんだなこの女のこと。…ついたぞ。やばそうになったら引き返してこい。組員を派遣するから。」 「はいっ!ありがとうございました。」

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愛は颯爽に 玖話

(やばい。緊張する。) 「大丈夫?顔強張ってるけど。言ったじゃん。優しい人たちだよって。」 「そ、そうですよね。」 「……。」 京極さんが私の手を握った。 「行こう。」 (緊張が治った…。すごいな。京極さんって。) 「入っていいよ。」 「お邪魔します。」 「お母さんお父さん来たよ。…入って。」 「こんにちはっ。」 「あら、かわいいお嬢さんじゃない。」 「よく来たね。いらっしゃい。」 そこに座ってたのは優しい顔した夫婦だった。 (怖くない!?) 「どうぞ座って。」 「失礼しますっ。」 「咲夜のことだからキャバ嬢でも連れてくるかと思ってた。まさかこんな誠実そうなお嫁さん連れてくるなんてね?」 「やだなぁ母さん。俺がキャバ嬢なんて連れてくるわけないだろ。」 「あぁ、そういえば聞いてなかったね。お名前はなんというんだい?」 「橋本楓です!」 「いい名前だね。」 「結婚はいいの?しても。」 「楓さん本当にいいの?ヤクザの妻、しかも頭の妻なんて荷が重くないか?いつどこで何が起きるかわからない。こういう世界だ。君にまで命の危険が及ぶかもしれない…。」 「全部承知の上です。久しぶりなんです。こんなに人を好きになったこと。だから何が起きてもいいからそばにいたいんです。」 「…覚悟はあるようだね。結婚を認めるよ。」 「ほんとですかっ!?」 「ありがとう父さん、母さん。」 −「さっきからなんなんですか。気持ち悪い顔して。」 「さっきそばにいたいって言ってたの聞いて嬉しくて嬉しくて。」 「そういうことですか。あー疲れた。お風呂ってどこですか?」 「ああ、案内するよ。」 「ありがとうございます。」 「ここ。」 「露天風呂があるっ。」 「両親刺青のせいで温泉入れないから設置したらしい。」 「へぇ。」 「一緒に入る?」 「入りません!」 「えーなんでー!」 「なんでも!」 −「気持ちかったー。」 「…なーんだ。」 「どうしました?」 「初めて会った時みたいにバスタオル姿で出てきてくれるかと思ったのに。」 「ッ!?この変態っ!」 京極さんを叩こうとすると手を掴まれた。 「言っとくけど、俺も男だよ。その気になったら今押し倒すことだってできる。実際君が家にいる時襲おうか何度も思ったよ。」 「このっ…、ちょっ、離してくださっ!」 「一応俺たち夫婦だよ。…前とは違って好き同士でしょ?」 「くっ…!」 「嫌だったら嫌って言って。」 「…。」 「嫌じゃないんだ。どうしたの。そんなに顔赤くして。」 京極さんが私の耳を舐めた。 「ッ?!」 そうやって私たちは初夜を迎えた。 汗をかいてる京極さんがこっちを見ながら笑ってくる顔がすごく綺麗で、安心した。 ホントは今まで酷く京極さんを突き放した私が京極さんの隣に立つ権利なんてないのに。 −朝− 朝起きると京極さんがベットにいなかった。 「あれ、いない。」 京極さんを探しに廊下に出た。 「京極さーん?」 「おいそこの女!」 「わたしっ?!」 「部外者だな!?どうやって入ってきた?!」 「えっ?!私京極さんのっ」 (お嫁なんです!なんて恥ずかしくて言えないよぉっ!) 「こっちこい!」 「私はただ京極さんを探してるだけなのにぃー!」 「楓ちゃーん。起きて朝だよー!コーヒー淹れたから飲もう…あれ?いない?」 −「お前は何が目的できたんだ!?六代目の首か!?」 銃口を突きつけられた。 「私っ、ただご両親に挨拶をしに」 「ああ!?」 「こいつ殺っちゃいましょう!」 「殺すならこいつで遊んでもいいですか?」 「ああ、好きにしろ。」 「おい嬢ちゃん。喜べ。こいつが相手してくれるってよ。」 「…大人しく聞いてたら勝手なことばっかり…。」 「あ?」 手に繋がれてたロープをちぎった。 「違う方の相手してやろうか?」 相手の顎を蹴った。 「グハッ」 「兄貴ぃっ!?」 「おい!こいつやれ!」 「女だからって手加減はしねえよ!」 次々と向かってくる相手を殴り、蹴った。 「…はっ!」 気づくと5人倒してしまっていた。 「私とんでもないことをしてしまったのでは!?…あのー、大丈夫、ですか?」 後ろから組員がバットを振り下ろしてきた。 「やばっ」 「グハッ!」 誰かが猛烈な蹴りを入れた。 「京極さんっ!?」 「いやぁ、驚いたな。これ一体どういうこと?」 「…実は、」 −「えっ?!大丈夫!?楓ちゃん!ごめんうちの組員がっ、」 「大丈夫です!怪我してないし…あ、」 私重症負わせちゃったのでは…? 「ごめんなさいっ!」 「えっ?」 「私すごく殴っちゃって…。」 「いや全然いいよ。」 「えっ?いいんですか?」 「うん。楓ちゃんに何かしようとしたあいつらが悪いんだし、ていうかなんでそんなに強いの?何かやってた?あっち殴りのプロだよ?」 「あぁ、親に格闘技習わされたんです。」 「へぇ...。じゃあいこうか。」 「はい!」 −「ここです。私の家。」 「でっかー…。楓ちゃん。俺の買った服とか家高そうとか言ってたけど楓ちゃんも随分お高いところに住んでたんだ?」 「私お金持ちな分人一倍、いや二倍お金を稼ぐ大変さわかってるんで。」 「へ、へぇー。変わってるね。」

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愛は颯爽に 捌話

「はぁっはぁっ」 私は本部へ行った。 「なんで誰も出ないのよっ!家はっ?!いるかなっ。」 タクシーで京極さんの家に行きインターホンを押した。 「京極さんっ!いないのっ!?…どこよっ!電話も出ないし!」 正直こんな状況昔の私だったら死んでもしなかったと思う。臆病で、頑固な私。でも京極さんと出会って全てが変わった。ありがとうっ。京極さん。 走ってる途中で躓いて転んでしまった。 「いった…。」 涙が出てきた。 痛みのせいなのか京極さんと会えないせいか。 「京極さんッ」 「美しいお嬢さんに涙は似合わないよ。」 後ろから聞き馴染みのある声が聞こえた。 後ろを振り向くと京極さんがいた。 「半年ぶりだね。楓ちゃん。」 私は走って抱きしめた。 痛い足なんか気にもしなかった。 「会いたかったッ。」 「ッ!…俺も会いたかった。ごめんね。突き放しちゃって。結婚しようっ。離れられないように。」 「するっ。するから…もう離れないでっ」 「もう離れないよ。絶対。」 −翌朝− 「ん、」 「おはよう。起きた?」 「起きました…。」 「こんなこと半年前だったら考えられなかった。…感慨深いなぁ。今こうやって君がここにいるのが。」 「私も、…あ、ていうかなんで電話出なかったんですか?」 「ああ、身バレ防止のために定期的に電話番号変えてるんだ。」 「そういうことか…。」 「2日連続同じ服って気持ち悪いでしょ。あそこの部屋に君にあげようと思ってた服が山ほどあるから。」 服を着にいった 「全部ハイブラ…。」 「お、似合ってる。綺麗じゃん。」 「…なんであんなに山ほど?」 「実はあの後君に会いに行こうと何度も考えたんだけど迷惑かなって思って、辞めてたんだよね。」 「へぇ…。」 「ていうか俺たち夫婦なんだから一緒に住むんだよね。楽しみだなぁ。引っ越す?このままでもいい?」 「…早い。」 −「えええっ!?いい感じの人いたのっ!?」 「いい感じっていうか、まぁ。」 「なんかショックー!!!」 「…。」 「どうしたのそんなチラチラ見て。」 「タトゥー増やしました?前まで首の後ろにありませんでしたよね?」 「増やしたよ。味気なくて。」 「かっこいいですそのタトゥー!蝶々ですよね?」 「入れてみる?楓ちゃんも。刺青がたくさん入ってる楓ちゃん可愛いだろうなぁ。」 「入れてますよ。」 「えッ!?入れてるの!?気づかなかったけど!」 「わかりにくいところに入れてるんですけど耳の裏に。」 「わあ、ほんとだ!意外とイカついんだね。ずっと髪下ろしてるから気づかなかった。おしゃれの一環として入れた感じ?」 「…若気の至りというやつですかね。」 「悪だねぇ。…俺たちお互いのこと知らなすぎない?タトゥーにも気づかないなんて。俺の年齢知ってるっけ?」 「え?そういえば知りません…。」 「1998年生まれ。3月12日生まれ。」 「一個上なんだ。もっと年上かと…。」 「そんなに老けて見える?」 「別にそういんじゃ…。」 「結婚式いつにする?」 「ほんとに話早いですよね。」 「確かに早いか。その前に両親へのご挨拶しないとね。」 「…京極さんの親ってどんな感じなんですか?極道だから怖そう…。」 「怖くないよ。大丈夫。優しい人たちだよ。いつ空いてる?」 「土日ならいつでも空いてます。」 「おっけー。じゃあ土曜日にしよう。そのまま泊まって。」 「泊まるんですか?」 「うん。日曜日そのまま楓ちゃんの実家行こう。」 「わかりました。」 −土曜日− (やばい。緊張する。)

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愛は颯爽に 漆話

(ずっと外食だった分お金が有り余ってるな。) 久しぶりに乗るバスが私を変な気持ちにさせた。 『俺と結婚して借金帳消しにしない?』 『最ッッッ低ッ!』 『やっぱり心配だよ。…付き合おう?付き合ったら君を守れる。』 「…くっうっうっうっ…」 泣いちゃったよ。京極さんのせいで。いや、私のせいか。 「大丈夫かな。あの人。めっちゃ泣いてるよ。」 会いたい。会いたいよ。京極さん。 −翌日− 「おい林!また先方から苦情がきてるぞ!」 「楓、最近元気ないけど大丈夫?」 「…えっ?そうかな。」 「うん。…なんか痩せた?」 「そんなことないよ。」 「…私のお弁当今日唐揚げだから一個あげる。」 「林!橋本じゃなくて俺と話せ!先方から苦情が来てんぞ!」 「あの!課長。言いづらいんですけどうるさいです。」 「だって林がぁ!」 「次から気をつければいい話ですよ。ね、蓮子。」 「楓ぇー!」 − 「楓って今彼氏いないよねっ?」 「いないけど。」 「だったらさ!楓に会いたいっていう友達いるんだけど、会って見ない?」 「えっ?いや無理無理無理!」 「お願い!合わなかったら帰っていいからさ!」 「…しょーがないなぁ。」 一週間後−「秋田守って言います。」 「橋本楓です。」 「いい名前ですね。」 「ありがとうございます…。」 「では楓さんって呼びますね。」 『楓ちゃん!』 「ッ…」 「い、嫌でしたか?」 「あ、いえ!全然。じゃあ守さんって…呼びますね。」 「はい!」 それから私と守さんは距離を縮めていった。 「今度海行こうよ。」 「うん。いいね。」 あれから半年経って京極さんとのことも立ち直れそうだった。 「ええ今度海行くのっ!?」 「うん笑」 「もうカップルじゃん笑いつぶりよ恋人できるなんて。」 「カップルじゃないよ!…半年とか?」 「えっ!?その時期あんた彼氏いたの?」 「…すぐ別れたけど。」 「あ、もしかして服くれた人?!そういうことか!どんくらいで別れたの?」 「二ヶ月…とか。」 「おお、。まあ終わったことだし!なんてったって守がいるしね!」 「…うん。」 −「海なんていつぶりだっけな。下手したら大学生ぶりかも。」 「私も、多分そのくらい。」 「…あのさ、楓ちゃん。」 「?」 「結婚を前提に付き合わない?何があっても守るから。」 『何があっても必ず守るから一緒にいてくれない?...結婚してほしい。』 涙が溢れた。 「どっどうしたのっ?!」 「ごめんっ、ごめんなさいっ!うっうっああっ!」 「…僕じゃダメだった?」 「ごめんなさいっ!ずっと考えないようにしてたのにっ。」 「…いいんだよ。いいよ。顔あげて。ダメ元だったから。…君とは不思議と将来が想像できたんだけどな。…帰ろう。」 「…うっ、怒ってっないのっ?」 「怒ってないよ。…これからいい男が見つからなかったら僕のところへ戻ってきなね。」 「ありがとうっ」 京極さん。決めたよ。私。自分の気持ちに正直になるね。

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