Natume
168 件の小説走れ、愛すべき人よ
「今回の打ち合わせは映画の打ち合わせなんで適当に相槌打っといてください。」 「はいはい。」 「井上晴樹さん入られます!」 「よろしくお願いします。」 「こんにちは今回担当させて頂く佐藤です!よろしくお願いします!」 「…よろしくお願いします。」 「すみませんあと1人いるのですが渋滞しているらしく…。まだかな。」 「すみませんっ遅れました!」 「きた!」 絵麻? 「遅れてしまい申し訳ありません!台本を担当させて頂きます長谷川絵麻です!よろしくお願いします!」 「前にも…会いましたよね。」 「あっ!あの時の!あの時はありがとうございました!」 涙が出そうになったがなんとか堪えた。 「2人知り合いなの?だったら話も上手くまとまりそうね。」 −「うわ、雨だ。」 「もう仕事は終わりか?」 「はい!」 「寄るところがあるから先帰っててくれ。」 「え!いいんですか!ありがとうございまーす。」 「…にしても雨がすごいな。」 その時急に雨が止んだ。 「えっ?」 「大丈夫ですか?すごい雨ですけど。」 傘を差し出してくれたのは絵麻だった。 「絵…長谷川さん?なんでここに、」 「ここ帰り道なんです。歩いてたら傘も刺していない井上さんがいたものだから放って置けなくて。」 「あれ井上晴樹じゃない?」 「絶対そう!サイン貰おうかな?」 「一旦カフェかどこか行きましょう。人に見られちゃう。」 −「こちらホットコーヒーです。」 「ありがとうございます。」 「…ありがとうございます。入れてくれて。」 「ああ、いいんです。」 「同じ高校と大学でしたよね。」 「えっ?そうなんですか?」 「もしかして知りませんでした?」 「もしかして私のこと知ってました?」 「はい。…柳楽凪と付き合ってたでしょ。」 「えっ!?そんなことまで知ってたんですか?」 「みんな知ってましたよ。今は?」 「別れましたよ!5年前に。あっちが警察になるから仕事に集中したいとか言って振られた身です。」 え?5年前?ということは7年間も付き合ったのか?あっちも本気だったんだな。 「でももう未練はありません。吹っ切れました。」 よしっ! 「そ,そうなんですか?」 「はい。あ!雨止みましたよ!今のうちに帰りましょうっ!」 「えっ?あっはい。」 もう少しいたかったな。 「タクシーきましたよっ!お気をつけて。」 「そちらこそ。」 「はーい。」 当たり前だけど俺のことは1つも覚えてなかった。 奇跡が起こるかもと迂闊なことを考えていた。 バカだった。
走れ、愛すべき人よ
俺はボタンを押した。 「……ここは?」 スマホを見ると2023年だった。 「俺ホントにタイムリープしたのかっ、絵麻もこんな感じだったんだ。…クソ、雨か。ダンボールだけ置いたらすぐ家に入ろう。」 待て、この光景もしかして。 「おじさーんっ!」 俺が一目惚れした日だ。 「寒いでしょう!傘も刺さずに・・・これ使っていいですよ!」 「……。」 「野菜屋の娘なんでそこに置いてくれたらいいですよ!いつでもいいです!あ!あとこの飴貰ったのであげます!いつもお疲れ様です!」 そして絵麻は走って行った。 これで俺と絵麻の関わりは絶たれた。 そもそも俺が防げばいいんだ。 絵麻と関わるのはこれで最後だ。 ありがとう。絵麻。 そして絵麻が誘拐される日に俺は絵麻がバスで寝過ごしてしまう前に肩を叩いた。そして俺はすぐに降りた。 「ふがっ!…気のせい?あっ!降りますっ!」 これで絵麻が誘拐される理由がなくなった。 「はぁっ、はぁっ、良かったっ泣」 これで俺が絵麻にしてあげられることはなくなった。 −「晴樹帰ろうぜ!」 「ああ。」 「オーディションの日なんだけどさー、」 「凪ー!!!」 「……。」 「絵麻!どうしたのっ?笑」 「見かけたから走ってきちゃった笑雨なのになんで傘刺してないの?入れてあげる。」 「ありがとー!流石俺の彼女。」 「でしょ!」 絵麻が凪と付き合っているのか。 俺とは違う人に傘を差し出している。 これでよかったんだ。 これで絵麻はあいつと幸せになれる。 「晴樹?聞いてるの…って泣いてる?」 「えっ?あ、雨だろ。」 「ふーん。それでオーディションの日…」 そして大学生になった。 相変わらず合宿で罰ゲームでダンスを踊っていた。 「もう恥ずかしいよー!」 「よくやった絵麻!」 絵麻と関われている全ての人が羨ましい。 俺はもう絵麻と面と向かって話すことはもうないだろう。 「……。」 そして俺は大学を卒業してすぐに有名になった。 「晴樹さん!映画のオファーきてますよ!台本だけ渡すので考えておいてください。」 「わかった。」 台本を読んでみるとタイムリープがテーマだった。 《愛する人を救うために何回もタイムリープした主人公》 久しぶりに感情が込み上げてきた。 「ッッッ泣」 「晴樹さんっ?今日は泣く演技ないですよ?そんなに感動しますか?これ。」 「出る!出ると伝えてくれ!」 「は、はあ。」 −3日後− 「授賞式緊張するな…。2回も経験してきたとは言え…。」 「井上晴樹さん出番です!」 「はい。」 −「ふぅー緊張した。上手く行って良かったけど。」 階段を降りていると登ってくる女性に気づかずぶつかってしまった。 「うわぁっ!」 「くっ!」 危機一髪で受け止められた。 「大丈夫で…すか、」 その女性は絵麻だった。 「……はいっ。」 関わってしまった。 関わってはいけない人と。 「……。」 「…どうして泣いてるんですか?泣かせてませんよねっ?大丈夫ですかっ?」 絵麻に心配かけるな。 「目にゴミがっ。」 「あっ!すみません!」 絵麻は急いで姿勢を直した。 「私もう行かないとっ。それでは!」 行かないでくれ。せめてもう少し顔を見せてくれ。 『晴樹ー!!』 『見かけたから走ってきちゃった!』 『私はっ、あなたを守りたいのっ泣』 「…ごめん。」
走れ、愛すべき人よ
「私、行くね。私がみたらダメなものだと思うし。」 「……。」 《今日はどこに行きますか!》 《水族館です!》 「なんだ、これ。」 《映画めっちゃ面白かったな。》 《撮ってる?泣いてるから撮らないでよっ!》 だんだんと思い出してきた。少ししか思い出せなかった所も鮮明に思い出した。 「そうだ俺はっ、」 《お泊まり会でーす。今はお菓子パーティーしてまーす。》 《ん!これ美味しい!》 《ひまわり畑ー!綺麗。》 「俺たちこんな楽しいことしてたのか?泣」 最後のファイルには絵麻1人で写っていた動画だった。 「なんだ、これ。」 《これで見えるかな?よし大丈夫!晴樹!見てる?ここはひまわり畑だよ!思い出したかな?それより話したいことがあるんだけど話せるかな?泣きそうになったら動画止めるけど。実はね…私もうすぐでどこかへ行っちゃうの。多分、天国。この動画は48日に撮ったもので明日が49日。もうわかったかな?私、いなくなるの。この動画を撮る前に晴樹と話したんだけど泣いちゃった笑…会いたいよ。》 「絵麻ッ!泣」 《どうせ今泣いてるんでしょ!泣いてる暇があったら仕事してよね。》 《あのお姉ちゃん1人で話してるー!!》 《コラ!今動画撮ってるんだから静かにしてよね!お姉ちゃんのいうこと聞けるー?》 《はあい》 《まったく。見て。これ。夕立だよ!綺麗でしょ。》 「ッッッ…泣」 《知ってる?有名な歌手が太陽はまぶしくて甘い日だきみを踊らせるんだなっていう歌詞を練りだしたんだって。ホントに天才だよね。1秒前も過去になる今、人生で1番特別な時間は愛する人と過ごす日だと思わない?愛する人に向かって今すぐ走って!…走れ。愛すべき人よ。》 そこで動画は終わっていた。 「絵麻ッッッ!なんでいなくなったんだよっ!泣」 その時電話がかかってきた。 【もしもし?そろそろ見終わった?絵麻ね、あの犯人に殺されたの。パトカーで事故を起こして。運が悪かったのか、狙ってたのかはわかんないけど。…絵麻もそれ予知してたみたいでさ、自分が死んだらカメラを渡してくれって言われて、遅くなってごめん。どこに言っても取りあってくれなくて。絵麻、あんたのこと相当好きだったよ。だってずっと晴樹のこと見てたんだもん。】 「ごめんっっ…泣いてもいいか?」 【…うん。】 「あっあっあっあっ!泣」 その時ボタンが光った。 「……これ、」 俺はボタンを押した。
走れ、愛すべき人よ
「晴樹っ!」 「絵麻!」 「おはよー!笑」 私たちはあれから毎日幸せに過ごしている。 「私たち1日に100回はハグしてるんじゃないっ?」 「……。」 キスをされた。 「キスもね笑」 「もー!笑ていうかなんで昔のことを思い出せたの?」 「ああ、まだ完全には思い出せていないんだ。」 「そうなのっ?だったらもっと思い出せるように、このカメラをあげます!」 「カメラ?」 「うん。そのTIMEってボタンあるでしょ?そのボタンを押したら私はいなくなって過去の私に人格が戻るの。」 「えっ!?それは嫌だよ。」 「でもそのボタンを押して過去に戻ってきたのよ。」 「…だったらもう今の絵麻はボタンを押したら記憶が全部なくなるのか?」 「そうなんじゃないかな?ていうか元々死んでる人格だし。」 「え?」 「あっ、」 「今のどういう意味だっ?死んでる?何がだっ?」 「…私、ホントは2年前に死んでるの。」 「はっ?」 「私自殺してるの!だから死んでる私の意識が今の時間軸の私の体に乗り移ってるってだけで、ホントの時間軸の私はもう死んでるの!」 「…嘘だろ?なんでっ?なんで死んだんだっ!?」 「晴樹の後を追ったから…。」 「バカなのか!?なんで俺なんかの後を追った!絵麻がいなくなったら俺はどうしたらいいんだっ!?」 「大丈夫だよ!だって私今生きてんじゃん!死んでないよ!それより私が心配してるのは晴樹なの。晴樹が死んだら今までの私の努力が水の泡だよ。そんな私がいついなくなっちゃうかわかんない中喧嘩したくない!だから、仲良くしよ?」 「……いなくなんないで泣」 「なんないよっ。」 「このカメラ持っててくれ。俺には重すぎて持てやしない。」 「わかった笑」 −「もしもし?…えっ?犯人捕まったんですか!?」 【ああ!今隣に座ってるよ。悪そうな顔しやがって…。詳しくは署についたら話すからちょっと切りますね!】 「はっはい!ありがとうございますっ!」 やっとだ。やっと終わった。 晴樹、終わったよ。 −「絵麻、どうしたんだ?急に話したいだなんて。」 「別に。話したいなーって。」 「会いたくなったのか?笑」 「うん!」 「今日は随分素直だな?笑なんかあったの?」 「別にー?」 「あ、そうだ。ずっと言いたいことがあったんだった。」 「ん?なに?」 「お前俺のこと宅配便のおじさんだと思って話しかけたことあったよな。」 「えっ?!嘘!いつ?!全然覚えてないや笑」 「それで雨の日だったから傘を差し出してくれたんだ。黄色い傘。」 「待ってホントに覚えてないんだけど!笑」 「それで絵麻に一目惚れしたんだ。」 「……そうなのっ?泣」 「なんで泣いてるんだ?俺、泣かせてないよね?笑」 「ありがとうっ泣」 「何がっ?待ってホントになんで泣いてるんだっ?笑」 「嬉しくてっ泣」 「はははっ!笑」 −翌日− 「絵麻遅いな…。もう先行ったのかな?」 大学に行っても絵麻はいなかった。 「……あれ?なんでだ。」 紗奈がいたから話しかけた。 「おい紗奈。」 「あ、井上晴樹。どうしたの?」 「絵麻はっ?いないのか?」 「絵麻?…知らないよ。」 「何も知らないのか?」 「知らないってば!」 その次の日も1年後も10年後も絵麻は来なかった。 「晴樹!行くぞ!」 「ああ。」 徐々に絵麻のことを考える時間が少なくなっていった。 「こんにちは!lite4です!」 −1年後− 「晴樹さん!なんか長谷川絵麻の友達?が会いたいって言ってますけどどうします?」 「絵麻の友達!?すぐ会わせろ!」 「はっはい!」 −「久しぶり。」 「久しぶり。」 「あのね、今日はこれを渡しに来たの。」 「カメラ…?」 「うん。絵麻に渡してって言われて。見てみて。」 「……。」
走れ、愛すべき人よ
「絵麻。」 「晴樹!?」 「話がある。」 「な、なに?私忙しいんだけど、」 「未来から来たのか?」 「、!?な,なんでっ?」 「なんで夕立の歌を知ってる?」 「えっ?……それは。」 「昨日の今回こそ守ってあげるってどういう意味だ?」 「……。」 「ホントに未来から来たのか?」 「…知らないよ。」 「……どの時間軸から来てもいい。俺に取ってはどの絵麻もおんなじだから。だけど一つだけ聞きたい。どの時間軸でも、俺が好きなお前はいなかったか?」 「…いなかったよ。」 「……そうか、。悪い。時間取らせて。」 「ううん。」 そんなわけ無いじゃん。晴樹が好きな私しかいないよ。だけど晴樹を死なせたく無いからこんな形で突き飛ばしちゃう。ほんとにごめんなさい。 −「柳楽さん。それで話って?」 「絵麻さんが言っていたタクシーに拉致されたという話ですが、当時の証言ではトラックに追いかけられたと言っていますがどういうことですか?」 「ああそれは私が車の鍵を奪って逃げたんです。」 「ああ!なるほど!それではこの写真の中から似てるトラックを見つけてください。」 【誰かっ!】 「……これです!白色でした!」 「ホントですか?」 −「絵麻。」 「凪!?久しぶり!なんでいるの?」 「久しぶり笑可愛くなった?」 「ふざけないでよね。」 「もう引っかからないんだ。」 「引っかかったことないわよ!でもなんでいるの?警察署の前なのに。もしかしてまた悪いこと!」 「違うよ。父さんがここで働いてんだ。」 「へぇー……えっ!?柳楽さんの息子!?」 「びっくりした…。そうだけどなんで知ってんの?」 「あ、いやそれはなんとなく。」 「なんとなく?ま、いいや。これからご飯行こうよ。」 「う、うん。」 −「まだインスタは続けてるの?」 「いや?投稿はしてないぞもう。フォロワーは増えてくけどな。もうすぐ消すつもり。」 「なんで?続ければいいのに。」 「仕事がSNSダメなんだよね。」 「えっ?なんの仕事就くつもりなの?」 「警察官。」 「えっ!?それホントっ?!なんか驚き。」 「そんなに?元々決めてたし。」 「なんか感慨深い。」 「でも逮捕されそう。」 「なんで?」 「この甘い罪深い顔でお前の心も奪っちゃったから!」 「ホントに警察官なれんの?冤罪かけられそうだわ。」 −「なあ健。」 「ん?れ 「夕立の歌詞とかコード誰にも見せてないよな?」 「見せてないよ。俺ここんとこずっと家にいるし。」 「だよな。」 「なんでだ?」 「なんでもない。…ホントに未来から来たのか?」 −「もしもし?ああ、柳楽さん!どうしました?」 【長谷川さんのいうとおり隠れ家がありました。ですが凶器などは一切見当たらず、犯人が全て所持していると考えていいでしょう。トラックもなに一つ残していません。我々が捜索しているのを勘付かれたのでしょう。】 「そっそうなんですか?だったら晴樹を守ってください!犯人がもうすぐ犯行するかも…。」 【了解しました。擁護隊を派遣しておきます。】 「はい。ありがとうございます!」 私がどんどん未来を変えてってる。いい方向なの?悪い方向なの?わかんないよ。 ふと川に目が行った。 「……。」 −『2030年にここでまた会おう。』 「タイムカプセルだっ!それをみたらわかるかも!」 急いでタイムカプセルを掘り起こした。 開けると手紙が入っていた。 {2030年の晴樹へ。 ちゃんと2030年にみてる?見てても見てなくてもいいけどまずは言いたいことがあります! 生きてくれていてありがとう。 私ちゃんと晴樹のこと守れてるかな? バンド頑張ってね♡ 私は死んでるかもしれないけど! 絵麻より} 「これっ、」 頭痛がした。 「うっ!」 『なんで俺に付きまとうっ?』 『私はっ、あなたを守りたいのっ泣』 「…なんだ、これ。」 『お前が好きだ。』 「…絵麻…泣」 −「全部解決しますように。晴樹の警護もちゃんと頼んだし、もう解決するのかな。ああ、疲れた。ずっと全速力で走りっぱなしで、…疲れたよっ泣」 「絵麻!」 「…晴樹っ?」 「はぁっ、はぁっ、」 「どうしたの?そんな息切らして、」 「お前が俺を避ける理由がわかった!」 「えっ?どういうこと?」 「絵麻は俺を守るためにタイムリープしてきた。違うか?」 「……。」 「絵麻が俺を守りたい理由は…俺が死ぬからだろ?」 「ちがうっ!」 「…俺は死ぬんだな。」 「……うっ泣」 「それで、俺が死ぬ原因は絵麻だろ?」 「違うのっ、全部違うのっ。私そんなつもりじゃなくてっ、!泣」 「俺が死ぬ理由が絵麻ならもう逃げずに俺を好きになれ。お前を助けて死ぬなら俺は平気だ。」 「ダメよっ、これじゃ晴樹がっ!泣」 「俺は絵麻のために死ぬんなら、それが本望だ。」 「あっあああああ!泣」 私は晴樹に抱きついた。 「死なないで……!」 「死なないよ。笑ってよ。俺は絵麻の笑顔が見たい。」 「……ぐすっ、うっうん笑」 「はははっ笑」
走れ、愛すべき人よ
私は迷わずボタンを押した。 「ん…、ここは?」 「絵麻!絵麻!なにしてんのよ!早く降りなさい!」 「え?えっ!?ここって、木の上!?嘘…!どうやって降りよう!」 姿勢を崩して落ちてしまった時誰かが私を受け止めてくれた。 「…大丈夫か?」 「はっ!」 晴樹だ。 私は急いで逃げた。 「はぁっはぁっ、心臓に悪いわよ。もう晴樹には関わらないんだから!」 「絵麻ー!なに逃げてるのよお礼くらい言いなさいよ!ていうか新入生歓迎会の合宿くるよね?てかもうあんたのぶん申し込んだから!」 「そう…。」 「なによ嬉しくないの?」 「いや嬉しいけどさぁ、最近ほんとにつかれたなーって、」 「どういうこと?」 −「傘女も変わったな?なにも逃げなくてもいいだろ。」 「……。」 【晴樹、本当に感謝してるの。本当に感謝してるんだけどあなたの顔を見るだけで怖いの。あの時のことを思い出しちゃうの。だからごめんだけどもう顔見せないで欲しい。】 「……晴樹?」 「え?ああ。」 −「あのー、」 「はい?どうしました?」 「私、貯水池誘拐拉致事件の被害者の長谷川絵麻です。」 「え?2年前の?」 「はいっ。」 「どうされました?」 「…。」 −「犯人がまた犯行を繰り返すと?」 「はい!私あの人が一回で辞めるとはとても思えません。だから調べて欲しいんです。あいつが出所した後にどこにいるか。地図を書きました。この河川あたりに小屋があるんです。ここに犯人の隠れ家があるはずでふ。その中には凶器などたくさんのものがあります。そして井上晴樹という犯人を通報して殴り合いになった人が犯人の顔を見てるんです。逆恨みして晴樹を殺すかもしれません!」 「わ,わかりました。我々で調査してみます。」 「あとこれ。犯人の車の鍵です。」 −2日後-「これで犯人捕まるといいけど…。油断しちゃダメよ。今回が最後なんだから。」 「なにブツブツ言ってるの?たのしもーよ。だって新入生歓迎会の合宿なんだからー!!!!!」 「いぇーい!!!!」 「おいお前ら!佐栁大学の都市伝説知ってるか!この合宿でキスをした人は必ず結婚まで行く!!合宿でキスをしたカップルは必ず結婚してるんだ。」 「キャー!!!」 「絶対したい!!」 「晴樹くん。なんだかこの噂ロマンチックだね♡」 「……はぁ。」 「そして!罰ゲームでキスをした男子同士も海外で同性婚してる!」 「ええっ!?まじっ!?」 「これはリップクリーム必須ね!」 「楽しむ準備はできてるかー!!!」 「できてまーす!!」 「はぁ。動物園じゃないんだから。」 「....。」 「…晴樹くん?どこ見てるの?」 「……。」 −「はいはい!リズムゲームで負けた人は日本酒一気飲みだぞ!」 「そんなことしてる場合じゃないのに…。」 「はい!次郎から始まるリズムに合わせて!紗奈2!」 「紗奈紗奈!絵麻5!」 「絵麻絵麻絵麻絵麻絵麻。優馬3。」 「優馬優馬優馬!…」 −「次郎3連続一気飲みじゃん!弱すぎ。」 「うっせぇ!次負けた奴は体育部の宿舎に行ってダンスな!」 「体育部って晴樹のいるところじゃないっ!もう!絶対負けられないわよ。」 「はい次郎から始まるリズムに合わせて!江美2!」 「江美江美!紗奈5!」 「紗奈紗奈紗奈紗奈紗奈!次郎3!」 「次郎次郎次郎!絵麻4!」 「絵麻絵麻絵麻絵麻!次郎5!」 次郎集中攻撃よ! 「次郎次郎次郎次郎次郎!絵麻5!」 なんで!? 「絵麻絵麻絵麻絵麻絵麻!次郎10!」 「次郎次郎…」 −「ふぅ,ふぅ、」 「絵麻3!」 「絵麻絵麻絵麻!次郎2!」 「次郎次郎次郎!絵麻5!」 「絵麻絵麻絵麻絵麻!……あ、」 「よっしゃー!!!ダンス決定!俺様を攻撃した罰だ!」 「嘘でしょ!?お願いお願い!泣きの一回よ!」 「ダメだ!甘えんな!行くぞ!」 「そんなぁ!泣」 −「はいみなさん失礼します!今からうちの長谷川絵麻が罰ゲームでダンスをします!」 「やっぱやだ!」 「嫌じゃない!ミュージックスタート!」 ♪ 너무 너무 멋져 눈이 눈이 부셔 숨을 못 쉬겠어 떨리는 Girl♪ ああもう恥ずかしい! 晴樹も見てるし! ♪ Gee Gee Gee Gee Baby Baby Baby Gee Gee Gee Gee Baby Baby Baby♪ もうヤケクソだよ、、、 「はははっ笑」 やばい晴樹に笑われた! 「ありがとうございましたっ!」 私は急いで逃げた。 「絵麻ー!!もう女の子に罰ゲームやらすなんて最低よ!」 「ええ!?」 −「はぁ。もう最悪〜!!」 「絵麻元気出してよ!ほらほら飲んで!ダンスうまかったよ!」 「思ってないでしょ。はあー!もう!あのクソ次郎!!」 「酔いすぎ!」 「ちょっと外出てくるよ、」 「はーい。」 −「ちょっと酔いすぎちゃったかなぁ。」 「絵麻?…あっちは森なのに。」 「……あれ?ここどこ?迷っちゃった!?ああもうどうして私の人生こうなのよー!」 「絵麻っ!」 「…晴樹…?逃げないと…。」 晴樹が私の手を取った。 「俺を避けてるだろ。顔を合わせるのも嫌なのか?」 「…お?あー!お酒だ!そうだ次郎がここで冷やしてたな、……おいしー!!」 「はぁ。もう酒はやめろ。酔ってんだろ。」 「あっち行って!」 「…帰ろう。ほら、乗って。」 「なんで私を心配するのよお!私なんて忘れてよ!だからバカみたいにあんなことに巻き込まれんのよ!」 「……乗って。」 「……君はプレゼントです、天が授けた独りの世界の中で君を守るよ、、、」 「…その歌どこで聞いた?まだ健にしか見せてないんだけど。」 「テレビ…だよ。…この曲有名なんだ…から。」 「聞き間違いか?…でも、。はぁ。寝ちゃったか。」 「今回こそ……守ってあげるからね……、」 「なにが?」 「……。」 「なんで大事なところで寝ちゃうかな…。」
走れ、愛すべき人よ
「あ、晴樹だ!」 【これから撮影だよ!早く絵麻に会いたい…。】 「もう笑」 【私も会いたいよ〜🥺】 「ああ!可愛すぎるっ!」 「びっくりした…。おい。正直に言え。絵麻と何かあっただろ。」 「な,ないよ!」 「絵麻ってあの長谷川絵麻?懐かしいな〜。」 「俺が酔った時にお前の家に行った時玄関にハイヒールがあったんだ!」 「くっ…。」 「もう逃げらんないぞ。正直に言え。付き合ったのか?」 「…。」 −「えー!なんかエモいな!初恋の人と10年越しに復縁したとか。」 「でもそれ事務所には知らせたのか?」 「マネージャーが知らせればいい。」 「ですよね。」 -「柳楽さん。貯水池なんかきてどうしたんですか?」 「あの誘拐拉致事件の犯人は絶対また再犯すんだよ。俺の頭がそう言ってる。」 「そうですかね?真面目にやってましたけど。でも俺たち警察官は犯行前じゃなにもできないですよ。」 「...。」 −「長谷川さん!会議の時間よ!」 「あっはい!」 −「電話出ないな…。忙しいのか?はぁ、撮影で神奈川だからただでさえ会えないって言うのに電話もできないなんて…。あ,電話だ!もしもし?」 ピンポーン 【ホテルの部屋の番号なんですか?】 「え?お前知らないのか?今インターホン鳴ったけど。」 【知りませんよ!インターホン押してるの誰だ?ファンかな?今から行くので番号教えてください。】 「はぁ。1404だ。早く追っ払え。」 【はーい。】 インターホンが鳴り止んだ。 「しつこいファンだな。」 ドアを壊した音がした。 「……。」 −「やっと終わったー!晴樹から5本も電話きてる。電話しなきゃ!…出ないな。」 「絵麻っ!」 「紗奈?どうしたのそんな急いで。」 「みてよこれ、」 紗奈のスマホに映ってたのは晴樹が殺されたと言うニュースだった。 −助けられてなかった。助けられたって思ってたけど、助けられてなかった。まさか犯人が晴樹のことを殺すなんて。なんで晴樹を殺したの?ショックで立ち直れなかった。 その時電話が来た。 「…警察?」 −「絵麻!」 「凪っ?なんでここにっ!?」 「警察になってこの事件を担当することになったんだよ。」 「そうなんだ…。」 「それで呼び出した理由だけど、あの貯水池誘拐拉致事件の犯人の被害者だったから呼び出したんだ。その時の資料がこれ。」 「……。」 「晴樹は犯人に鈍器で殴られホテルのベランダからプールに落とされた。犯人はまだ逃走中だけどわかるのはここまで。」 「逃走中っ!?なんで捕まえられてないのよっ!」 「絵麻、落ち着け!それで犯人は逆恨みによる計画的な犯行で晴樹を殺した。この資料を見たらわかる。」 −結局私はその時の事件のことを洗いざらい話した。 凪から借りた資料を読んだ。 そこには2023年の目撃者による証言の欄に晴樹が書いたであろう文章があった。 《公園から帰っていると帰路に絵麻の物であろう黄色い傘が落ちていました。そして絵麻の家に行き絵麻の母親に聞いてみると公園に行ったと言っていました。ですが絵麻は公園にはいなく、絵麻の言っていた貯水池を思い出し警察に通報をして僕も貯水池に行きました。そして貯水池から少し離れた小屋で電気をついてるのを不審に思い入ってみると犯人がロープなど準備しているのを見て殴りかかりました。犯人と取っ組み合いになり僕は犯人にハンマーで頭を殴られました。そして僕も窓に犯人の頭をぶつけさせ犯人は逃げていきました。そして犯人を探していると走っている絵麻をみかけました。》 「…こんなの初めて知った…。晴樹は私のことを追いかけてきたってことは、私が原因っ?私が外に出たからっ?私が晴樹と関わったからっ?私が死んだら良かったっ!泣まだ一回残ってるはずっ!カメラはっ?」 棚からカメラを取り出した。 「これが…最後。」 迷わずにボタンを押した。
走れ、愛すべき人よ
「好きだよ。」 「…それほんとか?」 「...嘘なんかつかないよ。」 「正直今、心臓が破裂しそう。」 お互いの心臓の音が聞こえる。 「…。」 私たちは熱いキスを交わした。 「…ふふっ笑」 −「じゃあね!」 「電話するからっ!」 「うん!」 −「絵麻機嫌いいね今日。なんかあった?」 「まあちょっとねー笑」 「教えてよ!笑」 教えたら大惨事になっちゃう。 大スターの井上晴樹と付き合ってるだなんて。 「いやですー。」 −「晴樹ずっとニヤニヤしててキモいんだけど。」 「正直キモいわな。」 「なにがあったんだよ教えろ!」 「実はー…やっぱ教えなーい!」 「キモいわー!」 「絵麻となんかあったのか?」 「……。なんかここ暑くないか?」 「えっ!?あったのか!?」 「マネージャー!温度下げて!」 「答えろよ!」 −「あー!疲れた!」 電話が来た。 「あ、晴樹だ!もしもし?」 【仕事は終わった?】 「今終わったところ!晴樹は?」 【俺も今終わった笑今から会えない?】 「会えるけど疲れてないの?」 【疲れてるから会うんだよー!迎えに行くから笑】 「はーい笑」 30分後 「絵麻ー!」 「お疲れ様笑」 「疲れたろ?どこ行く?」 「ご飯食べたい!でも週刊誌に撮られちゃうわよ。」 「うーん…じゃあうちくる?」 「家っ!?家はー…」 「なに?もしかしてなんか変なこと想像してる?笑」 「しっしてないわよ!だったら家行こう!なんも問題ないわ!」 「はははっ笑」 −「随分広い家ね、、。私の家の10倍は広いわ…。」 「そうか?」 ふとリビングに目をやるとゲーム会社からプレゼントされた露出が多めの女キャラクターの等身大パネルがあった。 「はっ!」 「?どうしたの?」 「あ、…手!」 「手?」 「手を先に洗おう!そこ洗面所だから!」 「わかったー!」 「まずいぞ!」 急いでパネルを寝室に隠した。 「はぁ。くそッ!」 「洗い終わったよ。」 「あ、洗い終わった?なに食べたい?」 「うーん…オムライス!」 「オムライスね!わかった。今作る。」 「作れるの?」 「当たり前だろ!」 「すごーい。」 いい男アピールをしろ。 −「うわー!美味しそう!」 「だろ?食べてみて。」 「…美味しい!なんでこんなに美味しいの?」 「そんなに美味しいか?」 「早く食べて!」 「…確かにうまい!」 「ねっ!笑」 「…かわいい。」 −「晴樹ー!!俺様がきたぞー!!」 「健!?」 「えっ!?」 「いないのかー?電気ついてるからいるんだろー!入るぞー!」 「えっとー…寝室!寝室に入ってろ!風呂入ったらすぐ帰るから!あいつ。」 「わ、わかった!」 「なんだーいるんなら返事しろよー!」 「酔ってるのか?」 「酔ってないぞー!ただ焼酎を1瓶…、」 「1瓶!?酒臭え!早く帰れ!」 「風呂だけ入らせろよー!ここの泡風呂気持ちいんだよなー。」 「風呂だけ入ったらすぐ帰れよ?」 「わかったってー。タオルどこだ?」 まずい。寝室だ。 「持ってくるから脱衣所いけ!」 「はいよ〜。」 「ん?待て。寝室?はっ!!まずいあそこにはパネルがっ!」 寝室に入ると絵麻がパネルのほうをみていた。 「あっ、…み、見ちゃった。」 「絵麻これは違うんだ。これはゲーム会社からプレゼントされたもので…!」 「大丈夫よ!27歳男性の一人暮らしの家にこんなものがあってもなにもおかしくないよ!ね!」 「ほんとに違うんだ!!」 「早くタオルー!!!」 健がこっちに来た。 「まっまずい!クローゼットに隠れろ!」 「ああうん!」 「…誰かいたか?」 「なっなんのこと?このパネルじゃないか?」 「ふーん。」 −「今風呂入ったから早く出よう!」 「うっうん!」 −「あれはほんとに違うから誤解するなよ!」 「……うん!」 「はぁ。絶対信じてないだろ!」
走れ、愛すべき人よ
「あー!タイムカプセル掘りに行くんだった!いつだっけな。あと3日か…。それに春樹が死ぬ日まであと1ヶ月。あれはどう止めたら良いっていうのよ...!」 「どうしたの?そんなため息なんかついて。」 「うわっびっくりした。紗奈いたの?」 「そりゃいますよ。同じ会社なんだもん。」 「あ、そっか。同じ会社か。」 「頭おかしくなった?」 「……うるさいな。」 −「晴樹もタイムカプセルのこと忘れてるかもしれないよね…。だって大スターだよ!?そんな高校の時に決めたこと…。でも晴樹なら覚えてそう。」 −「晴樹。ほんとに3日後傘女に会うのか?」 「ああ。当たり前だろ。」 「傘女忘れてるぞ絶対。」 「いや?絵麻なら覚えてるさ。」 「お前まだ好きなのか?」 「……。」 「おい嘘だろ?傘女はお前のこと好きじゃなかったんだ。現実見ろ!」 「……でも泣いてた。」 「あ?」 「俺を振る時泣いてた。」 「それは申し訳ないからだろ!もう傘女のことを考えるのは3日後で終わりにしろよ!」 「なんでだよ!」 −3日後− 「早く着きすぎたか…。練習しないと。」 クールに行くべきか? 「よお。久しぶり。…無しだな。」 優しめに行くべき? 「久しぶり!元気だった?…凪みたいだな。」 やっぱり普通に? 「久しぶり。…愛想がなさすぎるか。ああもう!どうしたらいいんだ!…そもそも来るのか?」 「はーいそこどいてね。」 「…大工?」 「ちょっと君!ここ工事するから出てくれ!」 「工事っ!?なんで!?」 「ここを噴水にするんだよ。書いてるだろ。」 「ま、まって!」 −10分後− 「絵麻遅いな。」 「…晴樹…?」 「…絵麻?」 10年ぶりにみた絵麻はとても綺麗だった。 変わったけど変わってないような。 「…久しぶり。」 「あ、ああ。久しぶり。」 「もう掘ったの?コートに砂ついてるけど。」 「あ!ああ。少しな。」 「少し…?」 「この中になにが入ってるんだ?」 「色々よ。開けてみよ。」 中にはキーホルダーなど色々入ってた。 「あの時の私なんてどうでもいいものを...!!」 でも一つ入れた覚えのないものが入ってた。 「なにこれ。」 「なんだそれ…。どっかで見たような…。」 「見てみよ。」 {絵麻へ。これを見てくれてありがとう!俺すごい楽しみにしてたよ!別れてからも絵麻のことずっと好きでどうしようって思うくらい!なんなら今でも絵麻のこと考えてる!! 「はっ!それ、」 酔った時に… 『晴樹さんまた手紙書いてるんですか?初恋の人に。酔ったら初恋の人思い出すのやめてくださいよ!』 『うるさい!マネージャーは黙ってろ!絵麻ー!絵麻ー!』 「そっそれ!」 急いで手紙を取った。 「なんだー?これはー?はは、。」 終わった。 「晴樹。ずっと私のこと好きだったの?」 「…。」 「10年間もっ?」 「違うっ!12年だ!…あ。」 「1、12年っ!?」 「…す、好きじゃ悪いか!?あ!?」 「…い、いや…。す、すごいなと思って。」 私も好きでしたとか言えない! 「このまま帰るのもなんだし、ごっ、ご飯行かないか?」 「…そうね!」 −「すごい、高級そう…。」 「気にするな。」 「…すごい有名になったんだね。」 「ああ。今では映画の主演も、高級ブランドのアンバサダーも勤めてる。何もかも順調だ。」 じ,自慢? 「へえー、おめでとう。」 俺何言ってんだよ!見栄張るな!!! 「そっちは?」 「私?私は一応東宝の制作部…。」 「東宝?大企業じゃないか。その身なりからして稼いでんだろう。」 「ま、まぁ。」 −「遅くなったな。送るよ。」 「え!?いやいいよ!帰れるし!」 「もう終電ないだろ。」 「えっ!もうそんな時間…?」 「どうやって帰るんだ。タクシーも通らないぞ。」 「…はぁ。」 −「良い車だね…。」 「どうも。」 「あっあのさ!」 「なんだ?」 「辛くないっ?」 「…どう言う意味だ?俺が辛そうに見えるか?」 「ち、違くて…えーと、1ヶ月後!」 「え?」 「1ヶ月後!また会おう!」 「…え?ま、まあいいけど。どうしたんだ?」 「…人生なにがあるかわかんないし。」 「お前のその言葉10年前も言ってた。タイムカプセルを埋める時。今だから言うけどほんとに俺のこと好きじゃなかったのか?」 「…。」 「好きじゃなかったなら、今日の手紙の事も謝る。」 「…好きじゃないよ。」 「……そうか。……ごめん。」 「……うん。」 −「遠いのに送ってくれてありがとう。」 「大丈夫。」 「じゃあね。」 そう言って絵麻はマンションに帰って行った。 「……。」 −「晴樹なんも変わってなかったわね。」 ドアを閉めようとすると手でドアが拒まれた。 「えっ!?晴樹!?!?」 「はぁっ、はぁっ、あの時!」 「えっ?あの時?」 「あの時俺のことが好きじゃなかったんなら今は!?」 「今っ?」 「今は俺のことどう思ってる?」 「……それは、」 「なにも隠すな。お前な気持ちを教えてくれ。」 「……き。」 「えっ?」 「好きだよっ。」
走れ、愛すべき人よ
「は!?傘女と別れたって!?!?」 「…ああ。」 「なんでだよっ。お前が振ったのか?」 「な訳ないだろ。あっちからだよ。好きじゃなかったって。」 「マジかよ…。元気出せよ。これから音楽一本にしてこうぜ?」 「……。」 −「…これで良かった。これで晴樹にも迷惑かけない。死なない。未来の私があんな言葉浴びせられない。」 不意に涙が出てきた。 「なんで出てくんのよっ。泣いてる場合じゃないでしょっ!…晴樹ッ泣」 −「おはよ!絵麻。」 「おはよ。」 イヤホンを落としてしまった。 「あっ、」 誰かが拾ってくれた。 「…はい。」 晴樹だった。 「…ありがとっ。」 私は急いで走った。 「…。」 「絵麻!?待ってよー!」 −2ヶ月後− 「今日よ。外に出ないこと。バスに乗らないこと。タクシーに乗らないこと!…ここまで順調に行ってるんだから。」 その時メッセージが来た。 「誰よ。こんな時に。」 【自習室に忘れ物してたよ。俺のせいで来ないのか?負担はかけない。会って話そう。公園で待ってる。】 「無視よ。忘れ物なんか重要じゃない。晴樹には悪いけど。」 【ごめん。今日は行けない。】 「これでいいの。」 雨が降ってきた。 「大雨、。」 まだメッセージが既読になっていなかった。 「見てないの?……はあ。」 雨が強まった。 「流石にもう公園にいないよね。……ああもう!」 すぐ帰ったらいいのよ。 私は外に出た。 「急がないとっ。」 その瞬間タクシーが道を塞いだ。 窓から運転手の顔を見るとあの時の誘拐犯だった。 「…う……そ。」 目が合った。 −「……こないか。このキーホルダーどうしよう。また今度渡すか。」 帰っていると傘が落ちていた。 「この傘、」 『おじさん!』 あの時絵麻が差し出してくれた傘だ。 「なんでここにっ?」 絵麻の家に行った。 「はーい。…誰ですか?」 「絵麻はどこですか?」 「絵麻?公園に行くとか言って出て行ったわよ?」 「そうですか。ありがとうございます!」 −「絵麻ーッッッ!どこだ!」 どれだけ呼んでも返事は返ってこなかった。 「どこなんだ…。」 『これから貯水池に行く予定とかってある?』 「そうだ貯水池!…貯水池?貯水池誘拐拉致事件のところだあそこっ!」 急いで警察に電話した そして貯水池へ行った。 −「ん…。ここはっ?はっ!そうだ!私結局捕まってんじゃんもうなにやってんのよっ!なんのためにここまで……!今は逃げる事が重要よ…。落ち着いて。あの時みたいにカッターがここに、あった!よし縄は解けた。あとは……エンジンの鍵!」 私は急いで逃げた。 するとすぐにトラックで奴は追ってきた。 「はぁっはぁっ!捕まるわけにはいかない!」 「絵麻ッッッ!」 「晴…樹…!?ダメーッッッ!すぐに逃げて!反対方向に行って!」 するとパトカーが3台きてトラックが急停止した。 「はぁ……。」 私は安心して気を失ってしまった。 −「絵麻ー?友達がきたけどーってまだ帰ってきてないの?はぁ。いたっ!」 ぴっ 「カメラ?なんで床に置いてるのよ!あーもう痛い!」 −「絵麻っ、大丈夫かっ?」 「……誰?」 「えっ?俺だ、晴樹だ!」 「ここは?…きゃぁぁっ!来ないでっ!」 「大丈夫ですか!?落ち着いてください!」 「お母さんっっ!」 「……絵麻…。」 −「絵麻!いつまで寝てんの?!さっさと起きなさい!」 「はっ!びっくりしたぁ。…あ!!」 「びっくりした!大声出さないの!」 「今って…2035年!?私もう27歳…。晴樹は、っ!」 晴樹の名前を調べるとまだ生きていた。 「はぁっ!良かったぁ!…なんでいたんだろう。あの日も。あっ、仕事行かないと。…仕事?なんの仕事してるの?私。」 記憶を遡ると映画制作会社で私は働いていた。 「あ!そうだ!私映画に関係する仕事をやりたかったもんね。晴樹はあそこにいたけど全て順調よ。あとは、晴樹を死なないようにするだけ。大丈夫。私はあれから関わってない。」 着替えるためにクローゼットを開けると高そうな服でいっぱいだった。 「えっ!?こんなに可愛い洋服がいっぱいっ!この仕事ってそんなに稼げるのね!笑」 −「おはようございます!」 「おはよう!長谷川さん、ここの映像なんだけど…」 私ちゃんと理解できてる!すごいわよ! 「あ、はい!」 私ちゃんと理解できてる! −「打ち合わせ行ってきます!」 「はーい!」 スマホで音楽を聴いていると聞いた事がある声が聞こえた。 「…晴樹!?lite4の歌なの?すごい良い歌。私これプレイリストに入れてたんだ笑」 ♪ “止まらないことを願ったんです 初めて君が僕のところに来たあの日 しばらくの間 濡らす そんな雨じゃないことを 切に願って来たんです"♪ 「……良い歌作るのね。晴樹は。」 −「今日のゲストは井上晴樹さんです!」 「キャー!!!」 「よろしくお願いします。」 「早速ですが井上晴樹さんはなんのために歌手をやっているとかありますか?」 「そう言われたら難しいですけど、僕の大切な人に僕のことを認めてほしいと言う気持ちはあります。」 「へぇー!そうなんですね!きっと認められてますよ!」 「それはどうだろう笑…でも、久しぶりに会うんです。近々。その人と。」