はむすた
94 件の小説はむすた
森の奥でひまわりの種もぐもぐしてる、ハムスターです。 人間語も読み書きできるのでご安心を。 細かい自己紹介は、はむすたるーむと、100の質問とか見てもらえると嬉しいです。 アイコン・(し)ょうじょめ~か~ さま (*・×・*)♡
はむすたるーむ つー
三月二二日 ・ちょい前に見てたスパイ教室を もう一度見返してた。 やっぱしエルナちゃん天使。 あと、アネットちゃんのあのシーンは 何回見てもぞくぞくするよね。 ・青ブタ再放送するんだって。 四月から。 本当に大好きなアニメだから、 絶対見る。皆も見てほしい。 ・KAWAII LAB.の推しはね、 きゅーすとのみゆちゃん、 ふるっぱーのあまねき、 きゃんちゅーのきりちゃん。 すいすては詳しくないので 勉強中!! ・ブルロのちぎりきゅんが 最強に可愛いいいいいい。 最高壮馬を声優に起用した方に お礼を言いに行きたい。 ・いのりんの次のライブツアー たのしみすぎる。 絶対チケットあてるんだからっ! ・TO BE HERO Xが早く見たい。 いのりんにまもちゃんに山寺宏一。 声優陣豪華すぎる。 あとPV超綺麗で期待大。 三月二四日 ・free!の真琴くんかっこい 特に子どもに水泳教える優しい目 がすき。 ・AJのステージ今年も豪華だった。 青ブタのステージ、よかった。 ・阿波連さんははかれない、第二期 楽しみ。れいなちゃんきゃわいいの。 三月二五日 ・小林千晃の沼にずぶずぶです。 抜け出せない。 アオのハコの笠原くん見て以来ずっと 胸にあの声が残ってる。 ・ごちうさの新シーズン楽しみ。 またチノちゃんに会えるよぉおお。 ・ブルロ何回読み返しても14巻の千切 くんの「赤の韋駄天」かっこよすぎ。 よみかえすたびに惚れ直してる。 三月三〇日 ・青ブタの新アニメのPV、号泣した。 ヒロインたちの台詞がばーっと押し 寄せてきたときからもう涙腺が無理。
舞い上がれ! 第二幕
——これで勝負して、三か月後に! 自分の一部であるダンスを否定されて、ついカッとなって言い放った宣言。 ダンスを誰かから教わった経験なんてない。 ずっと、アイドルのダンス動画とかを見ながら、独学で踊り続けてきた。 だから、そこまで自分の踊りに自信があったわけでもない。 ないのだが……。 「嫌いとまで言う必要ないじゃんっ!!」 坂道を駆け上がり、大空に叫ぶ。 近くの電線の、驚いた小鳥たちが一斉に飛び去った。 あの宣言から二か月と少し、ずっと胸に渦巻く悔しさ。 燃料を絶やすことなく、心で燃え続ける炎。 勝負を挑んでしまったからには、負けたくなかった。 確かに由舞の踊りはすごく高レベルで美しい。 本来なら、勝てるはずないとあきらめてしまう方が合理的なのかもしれない。 だが、気づけばあの日から毎日、今までやってこなかった地道な走り込みや筋トレ、ステップを美しく見せる練習などをしている自分がいた。 (だって、あの子に私のダンスが好きって言わせたいんだもん! それに、私にとっての存在証明を、馬鹿にされたまま終われない!) その感情のみに突き動かされて、今も彼女はひたすらに走り込みをしている。 勝負までは、今日でちょうど、あと三週間。 ここで折れてたまるものか! 目に染みる汗をグイっと乱暴にぬぐい、ひまりは少し走る速度を上げた。 そして気づけば、大会当日になっていた。 普段めったに遠出することのないひまりは、電車に乗るのでさえ久しぶりで、落ち着きなく車内を見渡した。 吊革につかまって揺れる不機嫌そうなあの人、座って本を読んでいるあの人。皆、ダンスコンテストに出場する人たちだったらどうしようと、不安がつのる。 もし、すごくレベルの高いコンテストで、私なんか通用しなかったら……。 (だめだめ、何ネガティブになってんの!) 胸をかすめた暗雲は、今更考えたってしょうがないことだ。 慌てて首を左右に振って、ネガティブを追い出す。 私の取り柄なんて、元気とポジティブぐらいしかないのに、弱気になっちゃったら終わりだ! 『さくら公園前~、さくら公園前~、お出口は左側です……』 車内でアナウンスが流れて、はっと見れば、もう会場の最寄り駅についていた。 「ごめんなさい、降ります! あの、通して……」 ただでさえ日曜日の朝で、車内は混みあっている。そんな中で、身長が百五十センチもない小さなひまりは、押しつぶされながら人波をかき分けて進む。 ようやく転がり出るようにして電車を降り、時計を見てみれば、コンテスト開催まで残り三十分だった。 駅の階段を駆け上り、鼓動が一段と速まるのを感じる。もう戻れないという不安も感じながらも、ひまりは進み続ける。 そして、最後の一段を登り、心で叫んだ。 ——絶対に、見返してやるんだから! こぶしを、ぎゅっと握りしめた。
舞い上がれ! 第一幕
その空間は、彼女の舞に、支配されていた。 合田ひまり、中学二年生。 自己紹介をしろと言われたら、きっと、真っ先にこう言う――ダンスが、大好きです。 家計が常にぎりぎりでレッスンにこそ通えていないものの、小さいころからずっと、暇さえあれば踊っている。 もちろん流行りのアイドルのコピーも楽しいが、ひまりが一番好きなのは、感情に任せて思いつくままに踊ること。 手足をのびやかに動かし、ステップを踏んで、くるりとターンして、自らを開放してただひたすら……そうしていると、心が泡立つような、幸せをどんどん吸収しているような気がしてくる。こんな時ひまりは、自分が世界で一番太陽のあたる場所にいるような気持ちになれる。その瞬間が、ひまりの生きがいなのである。 そして、ひまりがダンスの次に愛するもの、それは踊り終わった後の揚げたてカレーパン。 「あちっ……うまぁ」 いつも、熱いカレーで口の中をやけどしかけると分かっているのに、ついつい大胆にかぶりついてしまう。 一個七十円の、肉の入っていないカレーパン。毎週水曜日の、手のひらサイズのおおきなしあわせ。小学校一年生の頃からずっと、ちっちゃくてあったかい素敵なパン屋さんで買っている。店主のおばあさんも、ひまりとはすっかり顔見知りで、水曜日の十八時には彼女のために揚げたてを用意してくれているのだ。 「おいひぃ……んふふ」 口をカレーパンでいっぱいにして、行儀が悪いとはわかっているけど、しあわせすぎて思わず歩きながらステップを踏み出してしまう。 夕焼けに照らされる通りを抜け、店先から漂うおでんの香りや、どこかで聴こえるラジオの音に、さらに気分が上がる。 とととん、とっとと、ジャンプして、ターンして。 (あーあ、また踊りたくなってきちゃった……) さっきまでずっと、市民センターの無料で使える体育館で、ダンスの練習をしていたというのに、何だか踊り足りない。 門限までは、まだ二時間近くある。 ひまりは家の近所の公園に寄ることにした。 「らんらんら~ら~♪」 ついあふれたメロディーは、水瀬いのりのLucky Clover。 何かラッキーが起きますように、というささやかな願いも込めて、最近のひまりの鼻歌定番曲になっている。 五分くらい踊り歩いていると、公園が見えてきて、 (あれ……誰かいる?) いつもは誰もいないのに。人影が見えた。 人影は、くるくると公園の中心で動く……踊っている。 (ダンスしてる女の子がいる!) ひまりは、公園に慌てて駆け寄った。 夕日が紅く染める空の下、枯れかけの芝生が寝そべった、小さな公園。 一体、彼女はどんなダンスを見せてくれるんだろうか。ダンスはするのも見るのも大好きだ。 そして、ひまりは、公園の入り口で思わず立ち止まった。 ・・・・・・・・ いや、立ち止まらされた。 その空間は、彼女に支配されていた。 美しい曲線、直線が次々に生み出される。 指先まで、足先まで、繊細に艶やかに。 彼女のさらさらとした長い黒い髪が、 空間を切り裂くように広がって、 しいんと静かな空間に魔法がかかる。 ひまりを虜にしておきながらも、何も見えていないかのように、身勝手に、ひたすら踊り続ける彼女は、まるで、妖しい魔女のよう。 __怖いぐらい、本当に、綺麗だった。 すっと、彼女の動きが止まる。 その瞬間、ひまりの意識は現実に呼び戻された。 ひまりは、自分の皮膚がびりびりして、全身が熱くなるのを感じていた。 (なんて、綺麗なんだろう。この迫力は、なんなの) 人のダンスでこんなに興奮するのは、生まれて初めてだった。 心臓がどきどきして、心が叫ぶ。 ああ、ダンスってやっぱりすごい。私もあんなふうに踊りたい、と。 ひまりが公園に踏み入ると、彼女は背を向けて帰ろうとした。 「ま、待って!」 ひまりは思わず、数メートル離れたその背中に向かって叫んだ。 少し驚いたように肩を震わせて、ゆっくりと振り返る彼女は、先ほどまでの雰囲気が嘘のように、ただの普通の女の子だった。 ……普通と言うには少々見た目が整いすぎていたが。 無言でひまりを見つめ返す彼女に、ひまりは必死でうったえる。 「なんていえばいいか分かんないけど、めっちゃ、綺麗だった!」 自分の語彙力のなさがもどかしくってたまらない。この感動を、どうしても伝えたいのに。 しかし、彼女の反応は、あまりよくなかった。 「……見てたの?」 よく通る冷たい声で言い放った彼女が、ひまりは不思議だった。 私だったら、あんなに上手に踊れたら、きっと誰かに見てほしくてたまらないのに。 「ほんとにすごかった! 私、感動した!」 ひまりは、今にも帰ってしまいそうな彼女に駆け寄った。 「どうやったらそんなにうまくなれるの? ねぇ、私に教えてよ、お願い!」 自分より十センチほど背の高い彼女を見上げ、ひまりは手を組んでお願いポーズを作った。 まったくもって悪気のないお願いだったのだが、彼女は何かが気に障ったように眉間をぴくっとこわばらせた。そして一言、 「はぁ?」 それでも、ひまりは彼女のダンスに惚れてしまったのだ。どうしても、教えてもらいたかった。 お願いポーズを崩さずに、じっと彼女を見つめるひまりに根負けしたのか、彼女はため息を一つついて、 「とりあえず、何か踊ってみせて。そしたら考えてあげる」 「うん! 分かった!」 基本的に物怖じしない性格のひまりは、素直に頷いて、遊具のないひらけたスペースにさっさと行ってしまった。 ひまりを怯ませて帰すつもりで言ったのだろう、ひまりが本当に踊ろうとしていることに彼女は少し目を見開いたが、黙ってひまりのダンスを待った。 やがて、ひまりが、動き出す。 さく、さくと砂を力強く踏んで。 自由に、生き生きとした表情で、私は幸せだと世界に伝えるように。 (グレープヴァイン、手も動かして、そしてターン、あっポップコーンもやろうかな、そして、手伸ばして、思いっきりジャンプ! そうだ、側転もしたい) 衝動に任せて、ダンス、ダンス、ダンス。 音楽なんかなくても私は踊れる。私を見て! そう叫ぶように、ひまりは踊り続けた。 そして、三分ほどたって、ひまりは静かに動きを止めた。 踊りの余韻を楽しむように、少し惜しむように、ゆっくりと女の子のほうに歩いて行く。 「どうだった?」 彼女は、何だか複雑な顔をしていた。 驚くような、眩しがるような、羨ましがるような……。 「どうしたの?」 そんなに下手だったかなぁ、とひまりが首をかしげると、彼女は少し震える唇を開いた。 「……振り付けは、オリジナル?」 「ううん、即興」 彼女は、綺麗な髪が乱れるのも気に留めずに頭をふるふると何度も振った。 なぜか、絶望するような表情を浮かべていた。 「ダンスや、演技の経験は」 「ん? ないよ」 ひまりは、彼女が何を考えているのかわからなかった。 だから……なぜ自分が、嫌悪の目を向けられているのかが、理解できなかった。 「……私、あんたのみたいなダンスが一番嫌い」 「……え」 ひまりのダンスは、今まで人を笑顔にしたことはあっても、不快にさせたことはなかった。 なかった、はずだ ひまりは、彼女の顔を見るのが辛くなって、思わずうつむいた。 (なんで。なんで、そんなことを言うの) わからなかった。 ザク、ザクと砂を踏む音が遠ざかっていく中、ひまりは立ち尽くす。 なにがいけなかったんだ、ダンスは習ったことないけど、こんなにも大好きなのに。 【好き】だけじゃ、足りない? 何故それを、初対面の人に言われなきゃいけない。 生まれて初めて、面と向かって嫌いだと言われた。 これはなんだ、今胸の中に渦巻くこの気持ちは…… 悲しい? それもある。つらい? それもある。 でも、一番大きいのは…… 悔しくてたまらなかった。 初対面の人に、自分のダンスが嫌いだなんて言われるのは、ひまりにとってこの上なく悔しい出来事だったのだ。 気持ちは、自覚すると、ふつふつと膨らんでいく。 いっぱい練習して、細かい技術を磨いて、そして絶対彼女に証明してやる。 私のダンスを証明するチャンスが、必要だった。 あたりを見渡したひまりは、そして、見つけたのだ。 公園の掲示板に貼られたポスターを。 ああ、これだ。 (後で戻すから、ごめんなさい) と心の中で謝りながらポスターを引っぺがして、ひまりは駆け出した。 少し走ると、遠くに真っ黒な長髪が見えた。 華奢な肩、青いTシャツ、黒いスパッツ。 「見つけた」 ひまりは思わずつぶやいて、走る速度を上げた。 「ちょっと待ったぁぁああああ!」 少し振り向いたその後ろ姿は、またすぐに歩き出してしまった。しかもスピードを上げて。 「私の脚力舐めんなよー!」 十年以上ステップを踏み続けた脚は、さらに加速した。 足音が違づいてきたことに慄いたのか、彼女もさらに早歩きになるが、 「待ってってば!」 ひまりが速かった。 ひまりにシャツをつかまれて、少々慄いたように彼女が振り返る。 「何の用。あんたにダンスを教える気はないって」 つっけんどんな声で返されても、ひまりに引く様子は全くなかった。 「教えてもらわなくていい! その代わり、これで勝負して、三か月後に!」 バン、と突き付けたのは、さっきのポスター。 「さくら町、ダンスコンテスト……?」 「そう! この町で大会があるの!」 ひまりがグイと距離を詰めて、彼女は少しのけぞる。 「なにそれ、なんで私がそんなの」 「悔しかったから!」 なにが、とは言わなくても、彼女も察したようだった。 「嫌いって言われて、何でそんなに燃えるの?」 心の底から理解できないとでも言いたげな表情の彼女の肩を掴んで、ひまりは力強く言い切った。 「あなたに、私のダンスが好きだと、言わせたいから!」 嫌いと言われたら、次は好きと言わせたい。 ひまりの悔しさは、そうすることでしか解決できそうにないと自分で分かっていた。 だから……。 ひまりに見つめられ続けて、彼女は呆れたように眉根を寄せた。 「まあいいわ、どっちにしろその大会には興味があったの。だって、上位三名は市大会に出場でしょ?」 次は、ひまりが怪訝な顔をする番だった。 「んえ、なにそれ」 「ポスターちゃんと読みなさいよ、ここよここ!」 バシッと彼女が指さしたところを見ると、確かにそのようなことが書かれている。 「あ、ほんとだ」 宣戦布告なのに締まらないのが少々恥ずかしくって、肩をキュッとすぼめるひまりを見て、 「用が済んだならもう帰る」 と彼女は身をひるがえす。 「ちょっと待って! あなたの名前、知りたい!」 「かいなみゆま。海の波に、自由に舞うで、海波由舞」 名前までかっこいいなんて、少しつまらないなと思うひまりなのであった。
折セカサイドストーリー ~明星輪虎・降星瀬名~
「おっ、瀬名! まだ教室残ってたのか」 教室の隅の席で、本を読んでいる見慣れた背中に、輪虎は思わず声をかけた。 特に待ち合わせなどをしているわけではないが、週に一、二回、瀬名と教室に二人きりになる時間がある。 最近何だか、瀬名と喋ることができるその時間を楽しみにしている自分がいるのだ。 輪虎は、瀬名と喋るのが好きだ。何といっても居心地がいい。 今日は部活がないので少し喋ろうと、瀬名の後ろの席に腰を下ろした。 「何読んでんの?」 「この間図書室で見つけた本なんだけどね……」 嬉しそうに本を見せてくれる瀬名。 輪虎は本をあまり読まないが、瀬名が語る様子を見ると、何だか自分も読みたくなってくる。 それに、瀬名が読んでいる本は、あらすじだけでもいつも面白い。 夢中でその本について語り合っていると、ふいに瀬名がつぶやいた。 「やっぱり、輪虎君が来てくれると、嬉しい……」 その言葉に、少し聞き覚えがあって、輪虎は慌てて記憶の糸を手繰り寄せた。 ――明星君みたいな子が来ると思わなかったの。 ああ、そういえば、初めて瀬名と喋った日に、そんなことを彼女は言っていたっけ。 理由を聞いたら、内緒だと頬を赤らめていた。 「瀬名、初めて会った日にさ、俺みたいなのが図書室に来ると思わなかったーって、言ってたよな」 今理由を聞けるだろうか、と思いながら問うてみると、予想外の反応が返ってきた。 「ぁっ、それは、その、えっと」 少し焦っている様子で、手をパタパタと振る瀬名。 なんでそんなに焦ってるんだろう、何かやばい理由だったのだろうか、と案じていると、しばらくして瀬名が話し始めた。 「あのね……輪虎君はとっても明るくて星みたいにきらきらしてて、みんなと仲が良い……それに比べたら私はなんの取り柄もないし、人に話しかけるのも精一杯だから……! どうしたらそうなれるか、1回でも輪虎君とお話してみたかったんだ」 だから、輪虎君みたいな子が来てくれると思わなかった、って言ったの。 照れながらゆっくりと話した瀬名の目を見れば、その話は混じりっ気のない本当のことだと分かって……。 輪虎まで、どきどきしてしまった。 でも、さっきの話を聞いて、輪虎にも伝えたいことがあった。 輪虎にとっては、瀬名こそが尊敬する人で、瀬名はそのままがいい、と。 国語力がないながらに、懸命に、真摯に、言葉を紡ぐ。 「……俺、空気とか読めねぇし、瀬名の気持ちもわかってねぇかもだけどさ…… 瀬名は、委員長とか頑張ってるし、いつも真面目で、なんつーか、そういうとこ俺すげぇ尊敬してる。 ……瀬名は、俺の持ってねぇもんをいっぱい持ってる。だから、そのまんまでいーよ!」 伝わっただろうか、とそっと瀬名の様子を窺ってみると。 ……ああ、よかった。ちゃんと、伝わってくれた。 瀬名のふわりとした微笑みを見て、心からそう思った。 「……そっか。このままでいいんだ……。ただ単に委員長の仕事は私がやりたいと思ったからやってるだけだと思ってたけど、そう言ってもらえて嬉しい……! ありがとう、輪虎君」 瀬名の、輪虎君、と呼ぶ声が好きだ。 ずっと呼ばれていたいと、思ってしまう。 夕日に照らされた瀬名の横顔が好きだ。 睫毛や頬が、橙の光を反射して、綺麗。 瀬名の紡ぐ言葉が好きだ。 触れていたい、聞いていたい、大切な言葉たち。 そして、それらを自分だけがひとりじめできる、 こんな時間が、本当に好きだ。 「輪虎君も、輪虎君らしくいてね」 「ああ、さんきゅな、瀬名」 瀬名の笑顔はいつも綺麗で、あまりにも儚い。 ふわりと机に流れた、瀬名の綺麗な髪に、触れる。 儚すぎる彼女に、触れて存在を確かめたくなったから。 「……っ⁉」 身をぐっとのけぞらせた瀬名を見て、ようやく、そういえば女子って髪に触られるの嫌いなんだっけ、と思う。 「ごめん」 「……や、その、嫌なわけじゃ、なくって……」 じゃあなんだ、と瀬名の顔を見てみると、彼女の白い頬は紅く染まっていた。 鈍感な輪虎の脳みそでは、熱でもあるのだろうか、という可能性しか思いつかない。 「瀬名、なんか顔赤くねぇ? 熱でもあんのか?」 最近そういや風邪流行ってたな、と思い当たった輪虎は、彼女の額に手を伸ばした。 と、その時だった、 ……ぎゅ。 輪虎の手が、瀬名の小さく華奢な指で握られた。 彼女にとっては、彼に額を触られないための咄嗟の対処法だったのだろうが、思いがけず、手をつないでしまっている。 ……瀬名の指、いつも本に優しく触れる指、すげぇ綺麗だよな……。 彼女の指がぴくりとするのを感じ、ふと我に返る。 「ははっ、ごめん! ナイスキャッチ!」 瀬名に手をつかまれて動揺したくせに、照れ隠しをしてしまうところが、我ながらヘタレだと思う。 「っ……⁉」 瀬名の顔の紅が引かないのを見て、ようやく、手をつないだままだったことに気付く。 ゆっくりと手を離すと、瀬名はがたりと椅子を鳴らして立ち上がり、 「よ、用事思い出したから……!」 と焦ったように教室を出ていった。 ……あと少しで尻尾を捕まえられそうなのに、ひらりと身をひるがえして逃げてしまう、猫みたいな奴。 内気に見えて、話すと楽しくて。 笑顔が可愛くて……その笑顔は、できれば独り占めしたくて。 いつも、触れられそうで触れられない微妙な位置にいるのに…… 「手ェ、つないじまったな……」 指に残る柔らかな感触を、そっとやさしくなぞった。
折セカサイドストーリー *過去編高二秋 ~明星輪虎・降星瀬名~
「ったく、こんだけの本運べとか、川井先生も鬼だな……」 まぁでも、いい筋トレになるからいいかと、持ち前のポジティブさで考え直す。 前を向いてひたすらに歩く彼は、明星輪虎(あけぼしわこ)。 担任教師に手伝いを頼まれて、図書室まで本を運んでいるところである。 ところで、図書室はどこにあっただろうか……二年と数か月この高校には通っているが、図書室に行くのは入学式後の学校案内以来だ。 両手に大量の本を抱えた状態で迷子になるのは嫌なので、少ない脳みそとわずかな記憶を頼りに廊下を進んでいく。 「おぉ、あった」 しばらく廊下を歩いてみれば、いつの間にか目の前に現れた、【図書室】の札のかかった扉。 両手が塞がってしまっているので、わずかに空いた扉の隙間に足をねじりこみ、勢いよくがらりと開ける。 図書室に入って近くの机に本を下ろしたところで、輪虎は足を止めた。 奥の書棚の前にしゃがんでいる女子生徒が目に入ったからだ。 確か、図書委員長の…… 「降星瀬名じゃん」 瀬名は、肩をびくりと揺らして、恐る恐るという様子で振り返ると、 「……っ! あ、明星、君……⁉」 と目を見開いて手に持っていた本を落としてしまった。 「どした? そんなにびっくりした顔して」 不思議に思った輪虎は瀬名の落とした本を拾って手渡し、彼女の顔を覗き込んだ。 彼女は、長いまつ毛にふちどられた目を、何度かぱちぱちとさせて、 「あ、ありがとう……!」 と、ほっとしたように、微笑んだ。 ……可愛い。 輪虎の脳内で、突然浮かんで消えた言葉。 なんだこれは、これはなんだ。 俺は、今この女子生徒を、可愛いと……? でも、何故そんな唐突に…… だが、また書棚と向き合って本をせっせと並べ替えている瀬名を見て、思考は吹っ飛んでいった。 大変そうな人を助けることは、常に体力の有り余っている自分の役目だと思っているからだ。 「手伝う、この本をこっちに移動させればいいのか?」 言いつつ彼が本をいくつか持ち上げると、瀬名はこくりと頷いてから、 「助かる、一人じゃ大変だったから」 と笑って、輪虎に今やっている作業内容を教えた。 しばらくは隣に並んで作業をしていたのだが、数分後に、小さな小さな事故が起こる。 輪虎が書棚に本を入れようとすると、瀬名もその隣に本を入れようとしていて…… 「っぁ、ごめん」 指が、わずかに、触れる。 輪虎は、それくらいの小さな事故、と流してしまったが、瀬名の方は相当動揺したようで、 「わわっ……!! こっちこそごめんね……!」 と焦ったように言い、いそいそと少し離れた書棚に向かってしまった。 その後ろ姿を、何で離れていったんだろうと不思議そうに見ていた輪虎も、少したってから (女子の指に触れてしまった……?) と気づき、一人で少し焦って照れる羽目になった。 何だか気まずい空気が流れ、しばらく黙々と作業を続ける、二つの背中。 神山高校の図書室はしんと静まり返っていて、十数分間は集中していた輪虎だが、いつの間にか瀬名の方に視線がいってしまう。 本を手に取る、丁寧な手つき。 窓から差し込むオレンジ色の光に染まる白い頬。 ふわりとした、明るい色の髪。 ……こいつこんなに綺麗なやつだったんだ。 存在は知っていたが、じっくりと見たことはなかった。 と、輪虎の視線に気づいた瀬名が、照れたように笑った。 そして彼女は、作業を続けつつ、小さな声で話し始めた。 「……この図書室、薄暗いし掃除しても埃っぽい匂いが取れないから……なかなか人が来ないの……」 確かに、作業を始めてからというもの、誰一人図書室には入ってこない。 静かな話し方をする彼女の横顔は、なんだか少し寂しそうに見えて、輪虎は思わず口をはさんだ。 「俺も図書室は久しぶりだし、本も馬鹿だから読めねぇけど……俺はこの雰囲気好きだ」 すると瀬名は、髪を揺らして振り向き、心から嬉しそうな顔をして、 「一緒だね……私も、ここの雰囲気、好きなの」 と何度も頷きながら言った。 そして、話を続ける。 「それにね……明星君みたいな子が来ると思わなかったの」 「俺みたいな、って?」 すると、瀬名は、何故だか少し頬を赤らめて、 「それは、内緒」 とさらに小声で、ささやくように言った。 普通の男子ならこれでときめいてしまうところなのだろう。 だが、輪虎の鈍感さは天下一品だ。 踏み込まれたくない話なのかなと思い、おとなしく話題を変えることにした。 「そういえば、俺のクラス担任、川井先生なんだけどさ……」 今日のホームルームで会った面白い出来事を話して見せると、瀬名は時折笑いながら聞いてくれた。 それがなんだか嬉しくて、部活の話や勉強についても話すと、やはり彼女は楽しそうに相槌を打って聞いていた。 無口なやつだと思っていたが、案外よく笑うんだな、と輪虎は思う。 そして、 ……この時間が永遠に続いてしまえばいいのに、となぜか思ってしまった。 そして、五時ごろ。 「終わったね、手伝ってくれてありがとう」 丁寧にお礼を言う瀬名に、作業お疲れ、と返した輪虎は、おもむろに携帯を取り出して、ずいと瀬名に向けた。 「えっ、な、なに……?」 「連絡先、交換しねぇ?」 輪虎にとって、それを女子に言うのは、人生で初めての経験だった。 なんとなくお互い照れてしまい、黙々とラインを交換する。 「じゃ、じゃあ、私、帰るね……?」 「おう、気をつけてな」 瀬名の背中を見送った後、輪虎は密かに携帯を開き、ラインのホームに表示される【瀬名】の文字を見て、何故だか少し、そわそわとしている自分に気付いたのだった。
せなさんとの話し合いのお部屋
せなさん以外の コメントは 受け付けて おりませんので ご了承下さい。
折セカ サイドストーリー ~明星輪虎~
じりりりっ、じりりりっ…… 「……ぅぁ~、うっせー」 膨れたベッドから手がぬっと伸びてきて、目覚まし時計を叩くように止める。 そして、がばっと布団が跳ねのけられ、青年がベッドから飛び出した。 明るい茶髪の彼ーー明星輪虎は、眠たそうに目を擦って、ベッド脇に置かれた写真に微笑みかけた。 「おはよ、ナコ」 写真の中で、ニッと歯を見せて笑う小さい男の子、夏虎は、輪虎の愛する弟。 享年、九才。九年ほど前、病気で亡くなった。 「ちょっとバスケしてこよ」 輪虎の人生の目標は、弟の分まで全力で生きること。 そのためには、まず体力だ。 中学以降バスケ部である彼は、毎朝三十分ほど公園でバスケの自主練をすることを日課としている。 「わっ、まッぶし~!」 玄関のドアを開けてみれば、スッキリとした快晴。 雲一つない真っ青な空の日は、気分が明るくなるから大好きだ。 こんな日には、青空に向かって歌を歌いたくなってしまうのが、輪虎の習性。 思わず、公園に向かいながら、流行りの曲を口ずさむ。 だが、サビに向かって盛り上がっていく曲とは裏腹に、輪虎のテンションは下がっていった。 そのメロディーが、なぜだかしっくりこなかったからである。かゆいところがかけないような、むずむずする感覚。 「やっぱ、海月の曲じゃなきゃ気分上がんねーわ」 幼馴染の海月は曲を書く。 海月の作る曲が大好きな輪虎は、彼の曲は世界一だと心から思っている。 そして、弟を亡くしてしばらく歌を歌えなかった輪虎を励ましてくれたのも彼だった。こうして輪虎が今音楽を楽しめているのは、親友で幼馴染の海月の存在あってこそなのである。 ピロピロリン♪ ポケットでスマホが通知音を鳴らした。見てみれば、ちょうど海月から、音楽のデータが送られてきていた。 さっそくイヤホンを耳にさして聞いてみる。 「……最っ高じゃねーか」 くるり、公園に向かっていた足を方向転換。 バスケの練習は後回し、海月の家に向かうことにした。 海月の曲を聞いた時にしか生まれない、心の泡立つような興奮、胸のとくとくする感動、これはぜったいに直接伝えたい。 「これに歌詞がついたら、ぜってー歌わなきゃな」 大好きな幼馴染の曲を歌える日が一日でも早く来てほしいと、密かに心待ちにする輪虎なのであった。
折セカ設定!
・ 名前 , 読み方 明星 輪虎 アケボシワコ ・ 学校 神山高校 ・ 学年 , クラス 3ーA ・ 性別 ♂ ・ 性格 熱血で明るい。 強引な面はあるし鈍感だけど、 わりと優しい。 ・ 誕生日 八月十二日 ・ 身長 一八〇センチ ・ 所属ユニット Journey ・ 好きな食べ物 カレー・ハッピーターン ・ 嫌いな食べ物 甘いもの ・ 苦手 察すること 言いたいことを我慢すること 勉強 ・ 趣味 バスケ、写真を撮ること ・ 特技 歌をうたうこと 本人に自覚はないが、歌で 人の心を動かす才能がある。 ・ 委員会 なし ・ 部活 バスケ部(部長) ・ 口調 結構荒いけど、悪口は言わない。 声がでかい。 ・ 一人称 俺 二 お前、名前呼び捨て 三 お前ら ・ 過去 三歳下の弟・夏虎(なこ)がいたが、 自分が小五の時に小三で亡くなってしまう。 原因は病気で発症後半年で亡くなった。 それ以来、弟の分まで全力で生きると決意。 だから何かを諦めようとしている人を見ると 全て諦めざるを得なかった弟を思い出し [諦めんなよ!]と勇気づけたくなる。 歌は昔から好きだったけど弟を亡くして以来 歌えていなかった。 けれど中二の夏、海月の言葉で自分は歌が 好きなんだと気づくことができた。それが きっかけで歌で誰かを勇気づけたいと決心。 そして、中三でJourneyに加入。 ・ 関係 ・降星瀬名ちゃん(せなさまのキャラ)と 同クラで、仲がいい 音楽活動についての良き相談相手で、 仲良くなったきっかけは図書室で本を整理 していた瀬名ちゃんを手伝ったこと ・霧島海月くん(くらげさまのキャラ) とは幼馴染みで親友。 弟を亡くして以来歌えていなかった自分に 輪虎は歌が好きだと気付かせてくれた、 大切な存在。 ・譜条蘭那ちゃん(日和檸檬さまの キャラ)はユニット加入当時は 「冷たい奴」と思っていたが今は 仲が良い。とはいえ、言い合いは しょっちゅう。 ・ サンプルボイス 「写真撮るからちょっとこっち向け…… よっし、いい顔撮れた! さんきゅ!」 「諦めんなよ! やりてぇことがあるんだろ、 じゃあやってみりゃいいじゃねぇか!」 「瀬名、まーた俯いてんのかよ。美人が 勿体ねぇから、顔上げな。 ……ん、やっと目ぇ合った」 「一人でいるの苦手なんだろ? 海月。 誰もいないときはいつでも俺呼べよ」 「海月、やっぱお前の作る曲は最っ高だ」 「いちいちうっせーなぁ、蘭那はほんと おかんみてー」 「蘭那の歌声はまっすぐで綺麗だよな」 ・ その他 ・甘いものが苦手なのは、死んだ弟が パティシエ志望で、彼の作った お菓子以外食べたくないから。 ・ハッピーターンは一日一個は食べる。 ・声がでかくて、こそこそ話とかは不得意。 ・勉強は苦手だけど、赤点は回避したいので ある程度頑張ってる。 瑚碧 蒼さんの企画。 参加させてくださりありがたいです。 楽しかった。
はむすたるーむ
♯推しつぶやき 二月二日 いのりんのライブ音源配信、 第二弾は二月十四日。楽しみ。 文ストは本当にかっこいいし面白い。 双黒が好きです。新旧どっちも。 最推しは賢治くんですが。 リゼロ反撃編楽しみすぎる。 レムりんをはよ取り戻してくれぇ。 二月三日 そういえば昨日節分だったんだ。 推しがわいわい豆まきしてるの尊いだろうな。 恋愛漫画が大好きです。 特に好きなのは、【春の嵐とモンスター】 【沼すぎてもはや恋】【小宮山がキライだ】 二月五日 推しのLIVEBlu-ray楽しみすぎてそわそわ 二月七日 きゅーすとが大好きです。推しはみゆちゃん 二月十日 いのりんの歌声には唯一無二の尊さがある。 皆さんも聞いてみてくださいね! 感動する系のは「クータスタ」 「BLUE COMPASS」 かわいい系のは「Melty night」 「コイセヨオトメ」 かっこいいのは「Million Futures」 「Starry Wish」 がはむすたのおすすめ。 他の曲も全部ぜーんぶ素敵だけど。 きゅーすとの新着ショート見ました⁉ 雪の中で踊ってるの美しすぎる……。 沼恋、桜井君がわけわからん位イケメン。 二次元でここまで彼氏にしたい!ってなったの初めて。 ブルーロックはちぎりんと蜂楽くんが好きです。 ちぎりん声優斉藤壮馬とか最高じゃん。 最高壮馬じゃん。 二月十六 いのりんのBLUE COMPASSライブ音源配信。 本当に最高すぎた。 ライブで動き回ってるのにあれだけ歌上手って何事⁉ ライブでずっと歌ってるのにずっと可愛いって何事⁉ 表題曲のBLUE COMPASSは泣きました。 一生ついて行きます。 ブルーロックの水彩風グッズ見ました⁉ 蜂楽くんがきゃわいいし、ちぎりんイケメンすぎる。 買おうか迷ってる……お財布と相談して決めます。 たまたま読んでいた本に、いろんな人のエッセイが 乗っているコーナーがあって。 そこに、ななななんと、斉藤壮馬という文字が…! え、マジ⁉ってなって、あわててみたら……。 我が推しのそまくんがエッセイ書いてた! そまくんが文章のお仕事もするのは知ってた。 知ってたけど…… 不意打ちだったから本当にびっくりした! エッセイは、丁寧で優しい描写がそまくん本人のようで 最高壮馬でした。
今年も皆様お疲れ様ですっ!
ノベリーの皆様! 2024年はありがとうございました! 今年は私は、恋愛の詩をたくさん書きました。 あと、もともとオタクな私ですが、さらに推し活を頑張った一年でした! たのしかったです! 2025は恋愛のシリーズ書きたいなって思ってます。 後は、受験もあるので頑張ります! 来年もみんなで平和に楽しく行きましょう! サムネは今年作ったおせちです。全部で11品! がんばりました~!