白崎ライカ
147 件の小説白崎ライカ
アニメ、ファンタジー、剣戟アクションが好きです。 最近はノリと勢いで詩をよく書いています! 自分の好きな時に書いてるので、 不定期投稿です。 今更ですが、誤字癖があります。 どうか温かい目で見て下さると作者は喜びます! 使用しているイラストは画像生成AIで作成したものです! よろしくお願いします〜
打ち切りにします。
私の連載作品の一つでもある『霊能探偵』なのですが、 今現在スランプに陥っていることもあり、 連載を続けるのが困難だと判断しました。 なので大変申し訳ないのですが、 「打ち切り」という形を取らせてもらいます。 気が向いたら連載を再開する可能性もあるので、 その点についてもご理解いただけたら幸いです。 よろしくお願いします!
夢
僕の中にはもう何も残っていない。 憧れも希望も失って、 ただ毎日社会の荒波に揉まれているだけだ。 そんな時、一筋の光が差した。 決して消えることのない綺麗な光だ。 その光に照らされて、僕は救われた。 「もう一度夢を追いかけて良いんだよ」 そう教えてくれている気がした。 僕は駆け出した。 青い桜が咲いていた頃に思い描いたあの夢を、 もう一度掴み取るために。 「もう自分はダメだ」って諦めている人達に送る。 夢はいつ追いかけても良い。 早い遅いなんてない。 追いかけたい時に全力で追いかけて良いんだ。 そうして見えてくる景色を全力で楽しむんだ。 僕はまだ、夢を諦めない。 いつか見える頂を目指して、 我武者羅に突き進むのだ。 淡い幻想なんかじゃない。 脆い幻なんかじゃない。 しっかりとした輪郭を持つ夢を追いかけて。 僕は進むんだ。
あやかし新婚日記 六日目「夏祭り」
「紗代さん。夏祭り行きませんか?」 突然の提案だったが、私は「夏祭り」という言葉に胸が高鳴るのを感じた。 夕飯時だった。献立はサバの味噌漬けにご飯と卵の豆腐のお味噌汁。春明さんはお味噌汁を二、三回啜ったのち、私にそう言ってきたのだ。 「夏祭り……ですか?」 「はい。今度人間界の方で開催するらしくて、よかったら一緒にどうですか?」 緑色の瞳を潤わせて彼はそう訊いてきた。よく見ると頬が少し赤くなっている。勇気を出して誘ってくれたようだ。これは応えなくてはならない。それに夏祭りは私も経験したがことがない。楽しみと言えばとても楽しみだ。 「わかりました。是非一緒に行かせて下さい」 「本当ですか? よかった……急に誘ってしまったので断られるのも覚悟のうちだったんですけど……よかったです」 「そんな、春明さんのお誘いを断るなんてするわけないじゃないですか。お祭り、楽しみにしてますね」 「はい。ありがとうございます」 春明さんはそう言ってにっと笑った。 その満面の笑顔に呼応するように胸の鼓動が早まるのを感じた。 翌日になった。 空はほんのりと紫がかっており、夕焼けの中に夜空が混在しているようだった。 私は嫁入り道具の中から着物を取り出して、久方ぶりに袖を通した。桃色の生地に桜の花びらが刺繍された逸品だ。私は軽く化粧をして、なるべく綺麗な状態で当日を迎えることにした。 「すみません! お待たせしました」 支度が終わるまで春明さんには屋敷の外で待ってもらっていた。 彼は甚平(じんべい)を着こなし、すらりとした格好で玄関に立っていた。 「いえ。全然待ってないですよ。着物似合ってますね。可愛いです」 「そ、そうですか……? ありがとうございます」 ドキドキと胸が高鳴り、鼓動が早くなる。おそらく顔は真っ赤になっているだろう。そんな顔を春明さんに見られるなんて恥ずかしいことこの上ない。私は思わず両手で顔を隠した。 「うぅ……」 「紗代さん? どうしました?」 「春明さんが悪いんですよ……」 「え?」 「そ、それじゃあ早く行きましょう! お祭り、楽しみです!」 私は彼の手を引いて、我先にと足を進めた。 恥ずかしくて彼の顔を見ることができなかったが、微かにふっと優しく笑う声が聞こえてきた。それだけで心の奥のさらに奥が温まるような感覚を覚えた。 結界を潜り抜け、私は人間界の神社に降り立った。 神社の石段の下には屋台が立ち並び、多くの人でごった返していた。 「すごい……これが夏祭り……」 「僕、夏祭りに来たのって小さい頃だけなんですけど、それでもよく覚えているんです。屋台でりんご飴を買って、射的をやって、花火を見て……とても楽しかったんです。だから、今回は紗代さんと思い出を作りたくて、お誘いしたんです。快諾してくれて嬉しかったです」 春明さんは私の手を握ったままそう語った。握る手がほんのりと汗ばんでいるのは、夏の暑さのせいだろうか。はたまた別の何かなのだろうか。 私は妖術で耳と尻尾を隠し、彼に話しかけた。 「春明さん、まるでもうお祭り楽しみ尽くしたみたいな言い方ですよ? 夏祭りはこれからです。楽しみましょう?」 そうして再び彼の手を引いた。 「──はい」 背後から高らかな声が聞こえてきた。 それから私たちは目一杯夏祭りを楽しんだ。石段を降って立ち並ぶ屋台の中を突き進んだ。りんご飴を買って、焼きそばを買って、射的をして、金魚掬いをして……少し汗ばむほどの心地の良い暑さの中で、夏祭りを思う存分楽しんだ。 やがて夕空に星々が光り出し、花火が打ち上がる時間になった。 私と春明さんは石段を上り、再び神社までやってきていた。 「ここ、人が少ないですね」 「この神社の祠は人間界とあやかしの世界を繋ぐ場所ですから、自然と両者が集まらないようになっているんです。ちょっとずるいですけど、花火を見るにはうってつけの穴場なんですよ」 ビニール袋に入れられた金魚をぶら下げて、春明さんはそう言った。 「そうなんですね……それじゃあ、私達だけの秘密ですね」 私は彼に笑いかけた。 春明さんは少し目を見開いて驚いたような表情を見せたが、すぐに口元を綻ばせて答えた。 「ええ、そうですね」 その彼の優しい笑顔に胸が高鳴ったと思った次の刹那、夜空に花火が打ち上がった。どんっと大きな轟音を響かせて、大きな火の花が夜空に咲き誇る。 金色の花火や虹色の花火。多種多様な色の花火が絶えず打ち上がり、夜空を綺麗に彩っていく。 「綺麗だなあ……」 彼は花火をうっとりとした顔つきで眺めていた。私は彼の綺麗な横顔を見つめることしかできなかった。その横顔があまりにも美しすぎて、心臓がうるさくて、花火の音も聞こえないくらいに私は彼に夢中になった。 あまりにも私の視線が不自然だったのか、春明さんはこちらに目を向けてきた。 「紗代さん? どうしました? 顔真っ赤ですよ?」 心配したように柔らかい声をかけてくれる彼。 「いえ……なんでもないです。ちょっとほてっちゃって」 私はそんな苦し紛れの言い訳をすることしかできない。 「そうですか? それなら良いんですけど」 彼はそう言って、再び花火に魅入られていく。その横顔を奪ってしまいたい。咄嗟にそんな衝動に駆られて、私は彼の頬に口付けをしていた。 「え?」 「どうしました?」 「いや、その……え?」 「ふふ……花火、終わっちゃいますよ?」 彼の興味を私に引かせることができて、心の底から満足感が込み上げているのがわかった。 「でも、今……」 「何もしてないですよ?」 「いやでも……」 たじろぐ彼の姿を見れただけで、私は満足だった。散々ドキドキさせられたのだ。これぐらい、バチは当たらないだろう。 困惑する春明さんを他所に、私は心の底から花火を楽しむのだった。
夏と狐
彼女は僕の手を引いてくれた。 地元で行われる夏祭り。 君が誘ってくれたから、僕は行くことにした。 尻尾を左右に振って、楽しそうに屋台の間を練り歩く君。 「ほら、早く早く!」 りんご飴を片手に、彼女は満面の笑みを浮かべる。 「あんまり急ぐと転んじゃうよ?」 僕は狐の面を買って、頭にくくりつけていた。 やがて、僕達は神社の祠にたどり着いた。 この小さな神社の下に沢山の屋台が並んでいる。 「ここは?」 僕は彼女に尋ねた。 「今日って花火上がるでしょ? ここ、穴場なんだ」 「そうなんだ。それじゃあここでみようか。花火」 まもなくして、夜空に光の花が咲いた。 火薬の弾ける音が響いて、満開の花火が打ち上がる。 「綺麗だね……」 「そうだね……」 僕達は気づけば、その光景に見惚れていた。 「──そろそろ時間かも」 「もう?」 「うん。今日はありがとう。楽しかった」 「僕も楽しかったよ」 彼女は光の粒子になって、どこかへと消えていった。 「来年も一緒に見ようね」 僕はそう呟いて、天高く咲き誇る火の花を見上げた。
何か
何かを見て感じたこと、考えたこと。 ただ気の赴くままに、 それらを書き留める。 自分の今の感情を忘れないように、 僕達は筆を握るんだ。 手に汗握る戦闘シーン。 心温まる感動シーン。 そのどれかをどう切り取ってみても、 人は何かに感情を動かされる。 それは決して悪いことじゃない。 創作意欲を掻き立てられて、 自分の表現したいことを自由に表現できるようになる。 さあ、今日は何を見ようか。
良い終末を。
考えてもどうしようもないことを考えてしまう。 今すぐにでも自由になりたい。 この鎖を引きちぎりたい。 でも、それが叶わない。 この世界は残酷で滑稽で醜くて、 それでいて脅威で満ち溢れている。 その一つ一つを対処しようなんて至極無理な話だ。 いっそのこと、世界なんて無くなってしまえと願う。 そうすれば、生き残るのは君と僕だけ。 二人きりで終末を楽しむんだ。 そこにはどんなしがらみもルールもなくて、 僕と君だけが絶対なんだ。 嗚呼、いつかそんな世界になったら良いな。 そして僕たちは自由になるんだ。
お知らせです!
今後の活動の中で新たに「聖なる戦いのその果てに。」という作品を執筆しようと思っています! これは私が「U」というペンネームで活動していた時に執筆していたものです。 せっかくなので、このアカウントでリメイクしようと考えています! 何も証明するものがなくて大変歯痒いですが、決して盗作ではありませんので、ご理解のほどをお願いいたします! それでは!
春に踊る。
ピアノを奏でていたら 美しい旋律が穏やかな春の午後を知らせた。 ギターを奏でていたら 優しいメロディーが花びらになって散った。 ダンスを踊ったら桜が満開に咲いて、 私と世界を乖離させる。 きっとこの世界はまだまだ未熟で、 理不尽で溢れていて、 どうしようもないゴミ溜めだけれど、 春の儚さを知ることができる。 命の儚さを知ることができる。 さあ、共に踊ろう。 桜の下で、 命尽きるその日まで。
あやかし新婚日記 五日目「陰陽師の仕事」
「それじゃあ、行ってきます」 いつものように支度をして、僕は紗代さんと共に屋敷の玄関に向かう。 陰陽師とあやかしのわだかまりは解消したとは言え,陰陽師にはまだまだやるべきことがある。人の世界とあやかしの世界、両者の世界の境界線を整備することだ。整備と言っても結界を張り直す程度で特別何か大それたことをするわけではない。しかしどんな小さな勤めでもしっかりと果たすのが、安倍家に生まれた者としての責務だ。 「はい。行ってらっしゃい」 紗代さんは笑って手を振ってくれた。 僕は少し照れながらも手を振りかえし、屋敷を後にした。 屋敷から陰陽塔までの道のりは近い。徒歩数分程度だ。陰陽塔というのは陰陽師達が集まる仕事場を指す。現代社会に散らばっている陰陽師達が一堂に会し、結界を張るために霊力を合わせるのだ。 僕は少し駆け足で向かい、塔へやってきた。白と黒のコントラストが映える陰陽塔。陰陽師の職場としてはもってこいの配色だ。 「さてと」 僕は霊符を取り出し、術を発動させて塔の上まで登る。 そこには既に数名の陰陽師達が集まっていた。 「春明様!」 「春明様、おはようございます!」 多くの陰陽師達は僕の姿を確認するや否や、その場に膝をついて深々と一礼をする。決して強要しているわけではないのだが、安倍晴明の末裔であり、尚且つ陰陽師界次期当主となってしまえば、他の陰陽師達がこのようになってしまうのも無理はないのかもしれない。個人的には堅苦しくて少し窮屈さを感じるのだが。 しかしそんな陰陽師達の中には、変わり者もいる。 「よお、春明」 フラットに僕の名前を呼び捨てにし、首元に手を回してくる少年の陰陽師。 「雄介……苦しいよ」 「おお、悪い悪い」 陰陽師には似つかわしくない金髪を携えた三門(みかど)雄介は僕の親友だ。 「おはよう。雄介」 「おう」 彼はにっと笑う。口の隙間から覗く八重歯は彼の底なしの明るい性格を体現しているようだった。 「しっかし良いねえ〜。奥さんのお見送り付きだろ〜?」 肘を僕に向けて雄介はそう揶揄ってくる。こういうふうに本心を曝け出して会話できる相手がいることは、僕にとってとても救いになっている。 「まぁね」 「良いなぁー。俺も彼女欲しー」 彼は口をとんがらせて羨ましがる。 「言っとくが政略結婚だからな? 雄介が考えてるようなラブラブ新婚生活ってわけにはいかないんだぞ?」 「うっそだぁ〜。そんなこと言って、ドキドキしちゃったりしてるんだろ〜?」 「それは……まあ」 僕は顔が赤くなってしまったので、思わず目線を逸らす。 その僕の様子を見て、雄介は「え、まじで?」と魂が抜けたような声を出す。 「ドキドキしちゃってんの? あの恋愛に全く興味を示さなかった春明が?」 「うるさいやい! しょうがないだろ……紗代さん可愛いんだよ……」 「かぁー、惚気かよ! はいはい。そーですか。どうぞお幸せに爆発して下さい」 「何だ嫉妬か?」 ここぞとばかりに僕は彼に反撃する。 「べ、別に? そんなんじゃねえし?」 「へぇ〜、本当かねぇ〜」 「ほ、ほら、そろそろ全員揃ったんじゃねえか? 始めようぜ? な?」 「はいはい」 僕は雄介と共に結界を張る位置につく。塔の上からは結界を見下ろすことができる。大きなシャボン玉のように虹色に光り、人間界とあやかしの世界を隔てている透明な球体だ。 「それじゃあ皆さん、やりましょうか」 僕はこの場に集まった陰陽師達に合図を出した。 「はい!」 一斉に返事が返って来た。 全員が両手を突き出し、霊力を結界に流し込む。放出された霊力は青い光の筋となって結界に注がれていき、やがて結界の上に青い球体が形成される。 「結界・展開」 僕は霊符を取り出し、霊力を込めて青い膜に向けて落とした。ひらひらと宙を舞う霊符はやがて陰陽師達が形成した膜に付着し、青い球体を強固な結界へと昇華させた。結界が新たに形成されると同時に事前に貼られていた結界は砕け、新たな結界のみが残る形となった。 「よし」 僕は振り返り、集まった陰陽師達に声をかける。 「これで今回の仕事は以上です。皆さん、お疲れ様でした」 「お疲れ様でした!」 陰陽師達は僕に向けて一礼し、各々の持ち場へと帰っていった。 「さて、それじゃあ俺も帰るとするかね」 「ああ。お疲れ様」 「嫁さんによろしくな」 雄介は手をひらひらとさせて踵を返し、塔の下へと飛び去った。 「ああ」 既にいなくなった相棒に声をかけ、僕も塔の下へと降りていった。 「ただいま帰りました」 僕は玄関の扉を開けると紗代さんが出迎えてくれた。 「おかえりなさい。お仕事お疲れ様です」 「ありがとうございます」 僕は玄関で草履を脱ぎ、屋敷の中へと足を進めた。 「わざわざ出迎えてもらってすみません」 「いえ。私にできることと言ったらこれくらいですから。お腹空いてません? お昼ご飯にしましょうか。今回はお蕎麦に挑戦しようと思ってるんです」 紗代さんは両手を合わせて笑った。 「お蕎麦ですか、良いですね。是非食べたいです」 「それじゃあすぐに用意しますね」 紗代さんはルンルンと鼻歌を唄って厨房へと行ってしまった。 僕は紗代さんが蕎麦を打ってくれている間、静まり返った広間にてくつろぐのだった。
捨てちまえ
嫌な事なんて捨てちまえ。 悲しみなんて捨てちまえ。 自分が好きなことを全力でやる。 それで良い。 それが良いんだ。 しがらみなんて捨てちまえ。 億劫な人間関係も、 宿題も課題も課せられた使命も運命も 全部全部捨てちまえ。 きっとその向こうに、 私が本当に見たかった景色があるんだ。 だから足枷になることは全部、 今からでも捨てちまえ。 そして手に入れたふんわりとした解放感と翼で、 明日へと飛ぶんだ。