あやかし新婚日記 五日目「陰陽師の仕事」

あやかし新婚日記 五日目「陰陽師の仕事」
「それじゃあ、行ってきます」  いつものように支度をして、僕は紗代さんと共に屋敷の玄関に向かう。  陰陽師とあやかしのわだかまりは解消したとは言え,陰陽師にはまだまだやるべきことがある。人の世界とあやかしの世界、両者の世界の境界線を整備することだ。整備と言っても結界を張り直す程度で特別何か大それたことをするわけではない。しかしどんな小さな勤めでもしっかりと果たすのが、安倍家に生まれた者としての責務だ。 「はい。行ってらっしゃい」  紗代さんは笑って手を振ってくれた。  僕は少し照れながらも手を振りかえし、屋敷を後にした。  屋敷から陰陽塔までの道のりは近い。徒歩数分程度だ。陰陽塔というのは陰陽師達が集まる仕事場を指す。現代社会に散らばっている陰陽師達が一堂に会し、結界を張るために霊力を合わせるのだ。  僕は少し駆け足で向かい、塔へやってきた。白と黒のコントラストが映える陰陽塔。陰陽師の職場としてはもってこいの配色だ。 「さてと」  僕は霊符を取り出し、術を発動させて塔の上まで登る。
白崎ライカ
白崎ライカ
アニメ、ファンタジー、剣戟アクションが好きです。 最近はノリと勢いで詩をよく書いています! 自分の好きな時に書いてるので、 不定期投稿です。 今更ですが、誤字癖があります。 どうか温かい目で見て下さると作者は喜びます! 使用しているイラストは画像生成AIで作成したものです! よろしくお願いします〜