短編小説愛好家

4 件の小説

短編小説愛好家

桜みたいな君に恋をする#1

僕の名前は青柳晴人、今日からこの高校の1年生だ 教室では、新しい友達同士での輪がある程度形成されているようだった 僕はというと... 一人ぼっちだった まず僕みたいなやつが自分から話しかけたりできるわけないじゃないか 簡単に言うと僕は勘違い野郎だった 心のなかでは主人公気取りのくせに現実は意気地なしで臆病で中二病というきれいな三拍子 趣味といったらリズムゲームと小説を書くことぐらいだ "高校では彼女をつくる!!" という目標を立てたはいいものの実際のところ友だちができるかも怪しい 僕はそんなプレッシャー押しつぶされ、中学校の頃のように机に突っ伏した その後の入学式は保健室で過ごした 朝とは一変して空模様も悪くなりポツポツと雨が降りはじめた 高校も結局は変わらないんだなー 少し涙ぐんだ後、ただただぼーっと天井を見つめた すると、 「君、体調不良?」 カーテン越しに女の子の声がした びっくりして僕は慌てて飛び起きた 「う、うん少し体調が悪くなっちゃって!君も体調がわるいの?」 「ううん、私はただ、入学式が少し面倒くさくなっちゃってさ、体調が悪いって嘘ついてきたの」 「!?」 「びっくりした?」 「そんなことして怒られないの?」 「バレてないから大丈夫!」 少しの間、沈黙が続いた 「そ、そういえば今日は」 「そうだね」 「...」 「君さ、さっきからなんでそんなに緊張してるの?」 「キ、キンチョウナンテシテナイヨ」 「君って面白いね」 「ウ、ウン」 なんだよこの返し、今まで一生懸命会話の練習して来たじゃないか、これじゃあ一つも役に立ってない 「それじゃあそんな君に一つだけ質問するね」 「は、はい!」 「雨は好き?」 唐突な質問に驚いた僕は少しの間フリーズして 「まあまあ...かな」 と答えた 「そっか」 少し寂しそうな声がした 「ごめん、邪魔したね。それじゃあ私はそろそろ行くから」 ばたん、と扉を閉じる音がした 保健室にはまた静寂が訪れる やっぱり僕はだめなやつだ ここぞというところで一つも力が発揮できない だけど僕の心臓はそこら辺のロックバンドよりもうるさく音を立てていた 初めての感覚だった 初対面なのにこんなにも話してくれるなんて こんなのって、こんなのって 「理想のシチュエーションみたいじゃん!!!!」 今までの人生は全部この物語のためのあらすじだったんじゃないかというくらいに 僕はこの日、顔も名前もわからない君に大恋愛をすることになった

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桜みたいな君に恋をする(プロローグ)

高校の入学式当日、空は僕たちを歓迎するように晴天だった 馬鹿みたいにブカブカの制服は自分が1年生であることをいっそう強く自覚させる 「いってきま~す」 今日は家族の誰よりも早く家を出ていった 僕はこの日がとても待ち遠しかった 高校ではどんな人達がいるんだろう そんな期待を胸に桜の絨毯の上を踏みしめながら 一歩一歩、歩いていく 高校では絶対彼女を作ってやるんだ!

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かたつむり(短編)

「君ってほんとに足が遅いね。僕の脚分けてあげたいくらいだよ。」 ある日の夜、8本脚の蜘蛛は蝸牛を馬鹿にするようにそう放った 「そうだよね」 蝸牛は少し酸っぱそうな顔をしながら笑っている 「それじゃあ、せいぜい頑張りな」 蜘蛛が笑いながらその場を離れていくと、僕はすぐに蝸牛の元へ駆け寄った 「かたつむりくん大丈夫?あんな事を言うなんてくもはほんとにひどいやつだなぁ」 僕がそう言うと蝸牛はゆっくりと、優しくこういった 「たしかに僕はみんなよりたくさん動き回ったり、速く走ったりすることはできないかもしれない。だけど、少しずつでも前に進んでいるという事実が僕にとってはとても嬉しいんだ。周りはどれだけ速くても、どんなことを言われても僕は僕のペースで進んでいこうと思う。僕が進んできた道は絶対に消えないからね。」 蝸牛はまた少しずつ動き出した 彼の歩いた道は月明かりに照らされ星のようにキラキラと輝いていた 編集後記 ここまで読んでくださりありがとうございました!このお話はあまり小説!って感じではないんですけどどうしても書きたくて載せちゃいました 今の世の中色々なことを言われると思いますが、たまには焦らず自分のペースで進んでみてはいかがでしょうか。周りに合わせる必要はないです、後で振り返ったときにこれで良かったそう思えることを願っています。最後の蝸牛くんの道のように頑張ってきたこと普段はあまり分かりづらいかもしれないですけど月の灯りに照らされて気づくとこんなにも頑張ったんだ!と思えると思います。皆さんの人生がより良いものになることを願っています

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さよなら大好きな人

彼はよく笑う人だった どんなことをしていても楽しそうで一生懸命で 学校ではクラスの中心人物だった けれど彼はもう笑わない 真っ白だったはずの部屋には彼と私 周りには鮮やかな血の海が広がっている そんな彼を見ながら私は笑った 私は彼が大好きだった... 高校の時 隣の席で初めて話しかけてくれて、私のどん底だった人生は変わりました 「よろしくね」 些細な言葉でした どこにでもあるありきたりなセリフ でも私には違いました 自分みたいな人でも生きてていいんだって思いました あなたはどんなときもどこでも優しかったです 家でも学校でもどこでも 「大丈夫」が口癖でいつもこの言葉をかけてくれました 情緒不安定な私にとってその言葉はどんなものより嬉しかったです 学校も嫌いだったけどあなたの「大丈夫」を思いだして頑張ろうと思いました スポーツも万能でどんな種目でも簡単にやって見せて スポーツができない私にとっては別の存在のようでした いつ見てもかっこよくて優しいあなたがわたしは大好きでした 情緒が不安定なせいで学校にいくのもむずかしくなってつらいときにもあなたはしんぱいしてくれました 毎日、いろんなおはなしをしてくれてそれだけが楽しみでした そんなあなたが他の女と帰るのを見た時、私は許せませんでした 私のほうがすきなのに 私のほうがあいしているのに あいつのどこがいいの 私をもっとみてよ あなたを殺そうとも思いました 腹がたった私はいえに帰ってからかったーないふで自分をきりつけました 次の日、切りきずだらけの私をしんぱいしてくれたあなたを見て少しだけ心がおちつきました あのときはごめんなさい あなたはやさしい人です どんな人からも好かれます でもわたしきづいたんです わたしがいないほうがしあわせなんじゃないかって わたしがあしをひきずっているんじゃないかって わかってた わかってたけど ずっといっしょにいたかったから そんなことかんがえたくなかったから だから だから もうしにたい... 彼は手紙を読み終えると膝から崩れ落ちた 彼女は心の病気を抱えていた 常に精神が不安定でささいなことで時々癇癪を起こす けれど誰に対しても優しく、彼もそんな彼女が好きだった そのうち、二人は付き合ったがそれと同時に彼女に異変がおきた 病気がどんどん悪化したのだ 精神疾患に加え知的障害も重なり、まともに生活ができる状況じゃなくなり入院をさせられた その事実はさらに彼女の負荷となった それから何日か経ち彼がいつものようにお見舞いに来た時 いつもの彼女はいなかった 病室の白い部屋を鮮やかな赤が侵食し、床は血の海とかしていた そしてベッドには一枚の手紙と満足気に笑う彼女の姿があった 読んでくれてありがとうございました!! よかったらコメントもお願いします!!

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