あめいろ。🌸

3 件の小説
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あめいろ。🌸

資格に障害のある高校生です。 楽しく小説を書いていきます!😁🌸

クローバー

 今日もいつも通りだ。いつもの時間に起きて、いつもの時間に家を出て、いつも通りの通学路を歩く。そしてしばらく足を動かせば。くすんだ色の校舎が見えてくる。着いた。正門へ続く緩やかな坂を登っていると、後ろから聞き慣れた声がした。  「おはよう。」幼馴染の優奈だった。彼女は駆け足で坂を登り、すぐ隣までやってくる。「おはよう。すごい荷物だね。」何気なく彼女のリュックを指差した。「まあね。」彼女は少し笑った。こんな何気ない会話もいつも通り。  「あ。」隣を歩いていたユウナが花壇の横にかがみ込んだ。「どうしたの?」なんとなくその右隣に腰を下ろす。「見てこれ、四葉のクローバーがこんなところに。」細い指先が緑の葉に触れる。「ほんとだ、立派な四葉だね〜!」彼女の指の隙間から覗く四つの葉を観察する。  2人でそれを愛でていると、おなじみのチャイムが鳴り響いた。  「あ、やばっ。」彼女は忙しなく立ち上がり、校舎に向かって走っていく。急いでその跡を追うが、大きなリュックは少しずつ当座買っていく。なんであんなに足速いんだろ。考えながら必死で走る。「今日はなんだかいいことありそう。」前の方から、彼女の爽やかな声が聞こえた。そんなこんなで教室に着いた。机の上に乱暴に荷物を捨て、乱れた呼吸を整える。「ギリギリセーフ。」無意識につぶやいていた。直後先生がやってきて、いつものようにホームルームが始まった。  それからは特に何事もなく、淡々と時が流れていった。本当につまらない。勉強は苦手ではないし、運動もそれなりにできる。なんというか、新しい発見も、刺激的な出来事もなくて、ただただ退屈な毎日だ。今は一人で通りを歩いている。突き当たりの我が家を目指して。  考え事をしながら歩いていると、緑色の何かが視界に飛び込んできた。足を止め、小さなそれにそっと触れる。四葉だ。小さいけれど真っ直ぐに、堂々と葉を開いている。何気なくそれを眺めていると、今朝見せた優奈の笑顔が浮かんでくる。  いつもどおり。それでいいのかもしれない。毎日同じなわけじゃない。繰り返される日々の中に小さな幸せはたくさん隠れている。四葉のクローバーはそんな日々の幸せを運んでいるんだ。何故だか不意にそう思った。いつも通りが退屈なんじゃない。わずかな幸せを探そうとしないから退屈だって感じるんだ。なんでも話せる友達がいて、家族がいて、あったかい布団があって。それが幸せ。  そうだ。明日優奈に教えてあげよう。道の脇にかわいいクローバーがあったよって。

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クローバー

導き

 何もないところを歩いた。真っ白な世界を歩いた。ただ君が残した足跡だけを頼りに・・・  気がつくと私は真っ白な世界にいた。立ち上がるとキリッと冷たい空気が全身を包む。一体何があったんだっけ?思考を巡らせて見ると意外とあっさり少し前の記憶が見つかった。そうだ、幼馴染と一緒に登山に来てたんだ。それから…  私は全てを思い出し、急いで辺りを探索する。君の姿はどこにもない。ただそこには歪な形の足跡が斜面を下っていた。吹雪はとっくの前にさったらしい。少し崩れているがしっかり原形をとどめた足跡。間違いなく君のものだ。でもどうして、なんで私を置いていったのだろう..  じっとそれを見つめていると、不意にとあることが脳裏をよぎる。あれ、今日って確か。  考えるよりも先に、私の足はそれを辿っていた。一歩一歩慎重に。足跡を崩さないように丁寧に雪を踏んでいく。  この先に何があるのか、足跡がどこへ続いているのか、そんなことは知らない。だけど確信している。絶対いいことが待ってる!

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導き

君の言葉がその声が

 ずっと好きだったあの人に告白した。  とある日の深夜のことだった。  5月の初め、ゴールデンウィークの半ばに、些細なきっかけで一緒にゲームをすることになった。夜にライン通話を繋げて。  約束の日、約束の時間が近づくにつれ、ワクワク、興奮、緊張、それらの入り混じる複雑な思いが増していく・・・。この時には決めていた。その時に絶対告白する。根拠はない。でも、なぜだか今言わないと一生後悔する。そう感じたんだ。  そしてその日はやってきた。聴き慣れた着信音が数回。その後に、彼の声がした。いろんな話をしながらゆったりゲームをする。これ以上ない幸せな時間だった。深夜2時。どことなく湧き上がる緊張を抑え、「ねえ、前片想いしてる人がいるって言ったでしょ?ぶっちゃけ誰だと思う?」彼に問いを投げかける。「知らない。誰?」スマホの向こうから眠そうな声が帰ってくる。わずかな沈黙を挟み、大きく深呼吸をする。鳴り響く鼓動を無視し、さっきの問いの答え合わせを始めた。 対局する感情が次々に押し寄せ、小さな心を侵食していく。  ずっと好きだったあの人に告白した。…「ごめんね。」声がした。優しくて穏やかな、いつもの彼の声。少し遅れて、何を言われたのかを理解した。ぐっと目頭が熱くなるのを感じた。「そっか」動揺を悟られないよう感情を押し殺して呟く。  それから彼はこれまでの恋愛事情を話した。つい最近、2年くらい付き合っていた彼女に捨てられたんだとか。彼の性格上、それは相当傷ついたと思う。聞いているうち、辛い、寂しいなどの負の感情の中に、それなら仕方ないという納得が生まれていた。どうしていいかわからず1人考え込む。「やめてよこれで距離置くとかしないでよ。また一緒にゲームやるんだからね。」少し慌てたような様子で彼が沈黙を破る。いつまで経っても何も言わないから、心配になってフォローしようとしてくれたのだろう。温かいものが頬を伝い、落ちた。(バカ、そんなこと言われたらもっと好きになっちゃうでしょうが。)思わず漏れ出てきそうな言葉たちを押し込め、慎重に言葉を紡ぐ。「ありがとう。私は待ってるから、気が変わったらいつでも言ってね。」口にすると、少し恥ずかしくなった。「分かった。」彼は笑った。ちょっと嬉しかった。そうして通話を切った。  リビングからわずかに話し声が聞こえる。窓からはうっすら白い光が差し込んでいる。そっとベットから起き上がり、精一杯に伸びをする。そして思った。昨日、楽しかったな!

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君の言葉がその声が