クローバー
今日もいつも通りだ。いつもの時間に起きて、いつもの時間に家を出て、いつも通りの通学路を歩く。そしてしばらく足を動かせば。くすんだ色の校舎が見えてくる。着いた。正門へ続く緩やかな坂を登っていると、後ろから聞き慣れた声がした。
「おはよう。」幼馴染の優奈だった。彼女は駆け足で坂を登り、すぐ隣までやってくる。「おはよう。すごい荷物だね。」何気なく彼女のリュックを指差した。「まあね。」彼女は少し笑った。こんな何気ない会話もいつも通り。
「あ。」隣を歩いていたユウナが花壇の横にかがみ込んだ。「どうしたの?」なんとなくその右隣に腰を下ろす。「見てこれ、四葉のクローバーがこんなところに。」細い指先が緑の葉に触れる。「ほんとだ、立派な四葉だね〜!」彼女の指の隙間から覗く四つの葉を観察する。
2人でそれを愛でていると、おなじみのチャイムが鳴り響いた。
「あ、やばっ。」彼女は忙しなく立ち上がり、校舎に向かって走っていく。急いでその跡を追うが、大きなリュックは少しずつ当座買っていく。なんであんなに足速いんだろ。考えながら必死で走る。「今日はなんだかいいことありそう。」前の方から、彼女の爽やかな声が聞こえた。そんなこんなで教室に着いた。机の上に乱暴に荷物を捨て、乱れた呼吸を整える。「ギリギリセーフ。」無意識につぶやいていた。直後先生がやってきて、いつものようにホームルームが始まった。
それからは特に何事もなく、淡々と時が流れていった。本当につまらない。勉強は苦手ではないし、運動もそれなりにできる。なんというか、新しい発見も、刺激的な出来事もなくて、ただただ退屈な毎日だ。今は一人で通りを歩いている。突き当たりの我が家を目指して。
考え事をしながら歩いていると、緑色の何かが視界に飛び込んできた。足を止め、小さなそれにそっと触れる。四葉だ。小さいけれど真っ直ぐに、堂々と葉を開いている。何気なくそれを眺めていると、今朝見せた優奈の笑顔が浮かんでくる。
いつもどおり。それでいいのかもしれない。毎日同じなわけじゃない。繰り返される日々の中に小さな幸せはたくさん隠れている。四葉のクローバーはそんな日々の幸せを運んでいるんだ。何故だか不意にそう思った。いつも通りが退屈なんじゃない。わずかな幸せを探そうとしないから退屈だって感じるんだ。なんでも話せる友達がいて、家族がいて、あったかい布団があって。それが幸せ。
そうだ。明日優奈に教えてあげよう。道の脇にかわいいクローバーがあったよって。
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カテゴリー: その他
投稿日時: 2022/8/7 4:44
最終編集日時: 2022/8/7 4:47
あめいろ。🌸
資格に障害のある高校生です。
楽しく小説を書いていきます!😁🌸