君の言葉がその声が
ずっと好きだったあの人に告白した。
とある日の深夜のことだった。
5月の初め、ゴールデンウィークの半ばに、些細なきっかけで一緒にゲームをすることになった。夜にライン通話を繋げて。
約束の日、約束の時間が近づくにつれ、ワクワク、興奮、緊張、それらの入り混じる複雑な思いが増していく・・・。この時には決めていた。その時に絶対告白する。根拠はない。でも、なぜだか今言わないと一生後悔する。そう感じたんだ。
そしてその日はやってきた。聴き慣れた着信音が数回。その後に、彼の声がした。いろんな話をしながらゆったりゲームをする。これ以上ない幸せな時間だった。深夜2時。どことなく湧き上がる緊張を抑え、「ねえ、前片想いしてる人がいるって言ったでしょ?ぶっちゃけ誰だと思う?」彼に問いを投げかける。「知らない。誰?」スマホの向こうから眠そうな声が帰ってくる。わずかな沈黙を挟み、大きく深呼吸をする。鳴り響く鼓動を無視し、さっきの問いの答え合わせを始めた。
対局する感情が次々に押し寄せ、小さな心を侵食していく。
ずっと好きだったあの人に告白した。…「ごめんね。」声がした。優しくて穏やかな、いつもの彼の声。少し遅れて、何を言われたのかを理解した。ぐっと目頭が熱くなるのを感じた。「そっか」動揺を悟られないよう感情を押し殺して呟く。
それから彼はこれまでの恋愛事情を話した。つい最近、2年くらい付き合っていた彼女に捨てられたんだとか。彼の性格上、それは相当傷ついたと思う。聞いているうち、辛い、寂しいなどの負の感情の中に、それなら仕方ないという納得が生まれていた。どうしていいかわからず1人考え込む。「やめてよこれで距離置くとかしないでよ。また一緒にゲームやるんだからね。」少し慌てたような様子で彼が沈黙を破る。いつまで経っても何も言わないから、心配になってフォローしようとしてくれたのだろう。温かいものが頬を伝い、落ちた。(バカ、そんなこと言われたらもっと好きになっちゃうでしょうが。)思わず漏れ出てきそうな言葉たちを押し込め、慎重に言葉を紡ぐ。「ありがとう。私は待ってるから、気が変わったらいつでも言ってね。」口にすると、少し恥ずかしくなった。「分かった。」彼は笑った。ちょっと嬉しかった。そうして通話を切った。
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カテゴリー: 恋愛・青春
投稿日時: 2022/8/6 3:26
最終編集日時: 2022/8/6 7:16
あめいろ。🌸
資格に障害のある高校生です。
楽しく小説を書いていきます!😁🌸