風鈴まこ

8 件の小説
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風鈴まこ

自由に書き綴りたいです。

ピアノ

私はピアノが好きだ。子どもの頃にピアノ教室を途中でやめたものの30歳を過ぎてからまたピアノレッスンに通い始めた。 そして15年が経つ。 上手くなりたい。上達したいという気持ちがあった。練習できる時は練習に時間を費やした。 それ自体は悪いことではないだろう。 でも一度だけ、思い返すと悲しくなることがあるんだ。 幼かった姪はよく私と遊びたがった。私もまた姪のことが可愛かった。 絵本を読んだり、折り紙をしたり、シャボン玉をしたり…。本当に可愛いかった。 ある日ピアノを練習している時に姪が遊びに来た。 まだ三つか四つだっただろうか。 ピアノを弾いている私の部屋に姪が来た。 その時、ピアノを弾くことをやめて、姪に微笑むべきだった。 その時の私はピアノが上達することの方が大事だったのだ。 姪は感じ取ったのだろう。悲しそうに俯いて、私の部屋を去っていった。 今その時のことを思うと可哀想に思う。 姪に微笑んで一緒に遊ぶべきだったと…。 姪は今、高校一年生。彼女の幸せを心から願っている。

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可哀想なうさぎ

お昼寝してたらうさぎの夢を見たんだ。真っ白でふわふわの毛並みの可愛いらしいうさぎが冬の雪の中をぴょんぴょん飛び跳ねていた。 あぁ、思い出した。私、子供の頃にうさぎを飼ってたんだ。飼っていたというよりも飼わせてもらっていたんだ。 子供の頃は親にわがままを言ってあれが欲しい、これが欲しいと言っていたんだ。 その中のひとつがうさぎだった。 「うさぎが飼いたい」とわがままを言ってごねたら親が買ってくれたんだ。 私の両親は甘い親だったのだろう。 うさぎが家に来てもろくに世話もせず、うさぎの世話は親任せだったんだ。 ある日、うさぎは死んだ…。 父親はうさぎを狭いケージの中に閉じ込めておくのは可哀想に思い、夜になるとケージから出して外に放していたのだそうだ。 夜中に外に出ていたうさぎは近所の畑で死んでいた。 親は野良犬に襲われたのだろう、と言っていた。 野良犬?野良犬かもしれないし、野良猫かもしれない。 可哀想なうさぎ。 うさぎは近所の草藪の中、父親が穴を掘って埋めた。 夢に出てきたうさぎはとても可愛いらしかった。 野良犬だか野良猫だか、襲われた時はどんなに怖かっただろう…。 いや、もしかしたらうさぎを殺したのは人間かもしれない。 夜中、放し飼いにしていたから近所の畑の作物をかじって荒らしていたかもしれない。 迷惑に思った畑の主がうさぎに手をかけたのだろうか…。 私のわがままのために…。 ごめんなさい。可哀想なうさぎさん。 どうか天国で幸せでありますように…。

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僕たちのアイドル

僕たちのアイドルの条件は、まず可愛いこと! 天使のように輝く笑顔、それから性格のいい娘がいい。 そして、そして、いつだって白いパンティを履いていて欲しいんだ。 純白のパンティはヴァージンの証。 誰にも汚されてないヴァージンでなくてはいけないんだ。 春の風に短いスカートが捲れたその時、チラリと見えるパンチラは絶対、絶対に白でなくてはいけないんだ! うん。これだけは、これだけは譲れない! どんなに可愛くても白でない派手な感じのパンティを履いてるようなヤツはアイドルとは言えない! 今日の朝食はパンとミルクティー。 パンとティーでパンティだ! 俺らの大好きな白いパンティだ! パンとミルクティーならばミルキーパンティ! LOVE! ラブリーパンティ! ミルキーパンティ! イェーイ!

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ダイエット

女さんには皆んな美しくなりたい願望がある。それは女さんの本能なのだ。 アテも美しゅうなりとうて、スリムになりとうて、ダイエットとやらを始めたものの…困りますねぇ。運動するより食べることの方が絶対的に楽しゅうございますの。 とにかく食べることが楽しいんよぉ。 困りますねぇ。アイスやらポッキーやら、スーパーやコンビニにでも行ったなら、まとめ買いしたい美味しいおやつがいっぱい目についてしもうて、ホンマ困りますてぇ。

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うつ病のなってから

うつ病になって二十年が経つ。 うつ病になってからいろいろなことが出来なくなった。 家事、炊事、とにかく料理が出来なくなった。 掃除もだ。 趣味だった編み物も、うつ病になる前は完成するまでセーターを仕上げることが出来ていたんだけど、出来なくなった。 「最後まで仕上げよう!」そう思って材料を買って取り掛かるものの中途でやめて放置…。 そんなのがたくさんあるんだ。 あゝ、以前のように美味しい料理を作って家族に振る舞いたい。 掃除、片付けをきちんとしていたい。 編み物も最後まで仕上げたい…。 治る日は来るのだろうか?

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悲しみと憎しみ

憎らしい人ほど、元気で長生きするものです。

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甘い夢

20歳の頃、バイクをブンブン乗り回していたツッパッた16歳の男の子に片想いの恋をしていたんです。 彼の夢を見た。 彼は言った。 「もしかして、俺のこと好きなの?」 「…うん。」 「なんだそうだったんだぁ。じゃあ俺が働いているホストクラブに遊びに来なよ。」 ホストクラブになんて行ったことない。 そんなお金もない。 でも1時間くらいでワンドリンクならなんとかなるかも…。 そう思ってお洒落をして彼のいるホストクラブに出かけた。 私はお金がかかりすぎることに注意を払っていた。 こんなド田舎にホストクラブがあったのね…。 夢の中の私はあの頃の若さのまま、スリムで化粧のりも良く彼に「綺麗だ。」と言われて嬉しかった。 夢の中の彼はセクシーだった。でも滑稽でもあった。 お店で彼がキスをしてくれた。 炭酸とフルーツの甘味のカクテル味の彼の唇が私の唇に触れた。 二十歳のあの頃は彼に会えた日はただただ嬉しくて、ちょっと話せただけで、顔を見れただけでうれしくて…でもプライドが邪魔をして告白だなんてとても出来やしなかったよ。 今の私は四十九歳。彼は四十五歳になっている。 どうしているかしら。 あの頃はツッパッていた彼も今はお父さんになっているのかしら? 今でも会いたいと思うけれど、何だか恥ずかしくて…。

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うまれかわり

はあ〜ビバのんのん。ええのう、ここ極楽浄土の虹の湯は最高じゃわい。 そうじゃ、そうじゃ、人生はキツくて辛うて、虹の湯ほど癒される音泉天国じゃてぇ、 はぁ、お先にご挨拶ですが、私は神さん、仏さんからまた生まれ変わりなさいと言われました。 虹の湯は最高の極楽温泉でしたが、明日でお別れです… 私は今度はトルコ人としての人生を歩みゆくそうでございます。 トルコ人!! 日本人としての人生もキツく辛いものでしたが、トルコ人として生きるとはまたどのようなものでしょうなぁ… トルコですか… 戦争とか飢饉とかなければいいのですが… そうですなぁ… 戦争がないのが一番です… 日本人としての辛い人生を生き抜いてやっとここにこれたと思ったのに憂鬱です… 人生は辛い。ここ虹の湯にのんびりと浸かっている時こそ極楽天国ですのに… トルコですか…あっしは今度はアメリカ人に生まれ変わる言われましてねぇ、どんなものか…。 生まれかわりは嫌じゃ 生まれかわりは嫌じゃ 極楽天国の温泉、虹の湯が一番ええわ… ほんまに神さん仏さんはなんで辛い辛い人生を何度も何度も繰り返すように命じるんかのぅ… 人生とはほんまに辛い修行じゃ…。 “”

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