風鈴まこ
14 件の小説最後のロマンスⅡ
本当は貴方と水晶発掘できる山に出かけて一緒に水晶を採掘してみたかった。 夜は温泉に入って宿に二人布団を並べて、 「僕はこんな形のが採れたよ。」 「うん。私のも何だか不思議な形ね。」 水晶や宝石の原石がどのくらい長い年月の間、山や岩の中に眠っていたのか、最初は何もなかったところから長い年月をかけてどのように美しい水晶になっていったのか…そんなことを語り合ってみたかった。 そして手を繋いで眠りたかった。 身を委ね、抱かれ、それから同じ布団で眠りたかったの。
最後のロマンス
最後に好きになって恋愛をした相手の口から他の女の人の名前がこぼれて、その女の人と深い仲になっていたと知った時、私の胸は悲しみと激しい嫉妬の苦しみに掻き乱されました。 そして… 「三十代だから相手にしたけれど、四十歳を過ぎていたら僕は貴女からの電話は取らないし、他の誰も相手をしてくれる男性なんて誰もいないよ!」 これが捨て台詞…。 ええ、そうですとも。 今の私は四十九歳。 もう愛だの恋だのと口にするのも恥ずかしくなってきました。 最後の男性の酷い言葉をいつも気にしながら年齢を重ねてきました。 深く傷ついた私ですが、これからは男性を惹きつける恋愛的な魅力ではなく、人間的魅力に溢れた人になりたいです。 そうなることによって、心の傷も癒えるでしょうし、残りの人生をもっと豊かに過ごせるように思うのです。
石
最後に好きになった人から貰ったきれいな石が沢山敷き詰められたあの箱…。 憎いあの人に突き返してしまったの…。 もう私の手元にはない。 もう一度、もう一度、あの石が見たい。 私の最後のロマンスは美しかったはず…。
女の純情
美川憲一さんのヒット曲の「さそり座の女」は有名ですね。 男たち、よ〜くお聞き。 女性が男性に身を委ねる時は心も委ねているの。 信じているのよ。 貴方が私を愛してくれていることを。 私の他に女はないのだということを。 セックスの後に他の女の話をするのはタブーよ。 意地でも隠し通しなさい。 隠しきれないこともあるでしょう。 だったら最初からその女性に手を出さないことね。 女性にもいろいろなタイプ、気性の人がいると思うけど、アタシのような「さそり座の女」は例え「過去の女性」の話をされたとしても、とてつもなく切なく悲しくなるわ。そして怒り狂うのよ。 怒り狂う精神状態が五年、六年かかる女もいるの。 ソープ嬢やヘルス嬢は恋愛ではなくお仕事と割り切って性行為をしてくれるからお下劣なセクハラ質問にもキャハハと笑って答えてくれるでしょう。 でも、そのような世界に身を置いてない純情女性はセクハラ質問には恥ずかしくて答えられないものよ。 男たちよ。賢く判別なさい! ソープやヘルスはお金を払って遊べる女性よ。でも、そうでない女性との扱いを判別するのよ! 本当に愛しているならば抱かれた後の余韻に震えている女性に他の女の話はタブーなの! 「代用品」にされた…そう思って傷つくわ。 気の利いた言葉なんていらない。 ただ余韻に震えている女性を優しく見守っておあげなさい! さそりの猛毒は後で効くのよ〜! おだまり!!
恋
過ぎ去りし時。あの日の恋。 それは悲恋でした。 ほんの短い束の間の甘い歓び。 あの人が好きでした。 でも、結ばれない恋だったのです。 束の間の幸せよりもその後に来た荒々しい憎しみや怒りの感情の方が、ずっと、ずっと、長く続いたのです…。
恋の傷跡
貴方にとってあの人と私、どちらが大きな存在でしたか? どちらを深く愛していましたか? どちらを深く傷つけたと思っていますか? 束の間の幸せでした。 貴方と二人、手を繋いで海辺を歩きました。 私だけを見てくれている…そう信じていたのに、結ばれた直後に貴方はほかの人の名前を呼びました。 …マイコさん… 私とは違う名前を…。 束の間の甘い幸せよりも遥かに長く続く嫉妬の辛さの方が想像を絶する荒波でした。
ピアノ
私はピアノが好きだ。子どもの頃にピアノ教室を途中でやめたものの30歳を過ぎてからまたピアノレッスンに通い始めた。 そして15年が経つ。 上手くなりたい。上達したいという気持ちがあった。練習できる時は練習に時間を費やした。 それ自体は悪いことではないだろう。 でも一度だけ、思い返すと悲しくなることがあるんだ。 幼かった姪はよく私と遊びたがった。私もまた姪のことが可愛かった。 絵本を読んだり、折り紙をしたり、シャボン玉をしたり…。本当に可愛いかった。 ある日ピアノを練習している時に姪が遊びに来た。 まだ三つか四つだっただろうか。 ピアノを弾いている私の部屋に姪が来た。 その時、ピアノを弾くことをやめて、姪に微笑むべきだった。 その時の私はピアノが上達することの方が大事だったのだ。 姪は感じ取ったのだろう。悲しそうに俯いて、私の部屋を去っていった。 今その時のことを思うと可哀想に思う。 姪に微笑んで一緒に遊ぶべきだったと…。 姪は今、高校一年生。彼女の幸せを心から願っている。
可哀想なうさぎ
お昼寝してたらうさぎの夢を見たんだ。真っ白でふわふわの毛並みの可愛いらしいうさぎが冬の雪の中をぴょんぴょん飛び跳ねていた。 あぁ、思い出した。私、子供の頃にうさぎを飼ってたんだ。飼っていたというよりも飼わせてもらっていたんだ。 子供の頃は親にわがままを言ってあれが欲しい、これが欲しいと言っていたんだ。 その中のひとつがうさぎだった。 「うさぎが飼いたい」とわがままを言ってごねたら親が買ってくれたんだ。 私の両親は甘い親だったのだろう。 うさぎが家に来てもろくに世話もせず、うさぎの世話は親任せだったんだ。 ある日、うさぎは死んだ…。 父親はうさぎを狭いケージの中に閉じ込めておくのは可哀想に思い、夜になるとケージから出して外に放していたのだそうだ。 夜中に外に出ていたうさぎは近所の畑で死んでいた。 親は野良犬に襲われたのだろう、と言っていた。 野良犬?野良犬かもしれないし、野良猫かもしれない。 可哀想なうさぎ。 うさぎは近所の草藪の中、父親が穴を掘って埋めた。 夢に出てきたうさぎはとても可愛いらしかった。 野良犬だか野良猫だか、襲われた時はどんなに怖かっただろう…。 いや、もしかしたらうさぎを殺したのは人間かもしれない。 夜中、放し飼いにしていたから近所の畑の作物をかじって荒らしていたかもしれない。 迷惑に思った畑の主がうさぎに手をかけたのだろうか…。 私のわがままのために…。 ごめんなさい。可哀想なうさぎさん。 どうか天国で幸せでありますように…。
僕たちのアイドル
僕たちのアイドルの条件は、まず可愛いこと! 天使のように輝く笑顔、それから性格のいい娘がいい。 そして、そして、いつだって白いパンティを履いていて欲しいんだ。 純白のパンティはヴァージンの証。 誰にも汚されてないヴァージンでなくてはいけないんだ。 春の風に短いスカートが捲れたその時、チラリと見えるパンチラは絶対、絶対に白でなくてはいけないんだ! うん。これだけは、これだけは譲れない! どんなに可愛くても白でない派手な感じのパンティを履いてるようなヤツはアイドルとは言えない! 今日の朝食はパンとミルクティー。 パンとティーでパンティだ! 俺らの大好きな白いパンティだ! パンとミルクティーならばミルキーパンティ! LOVE! ラブリーパンティ! ミルキーパンティ! イェーイ!
ダイエット
女さんには皆んな美しくなりたい願望がある。それは女さんの本能なのだ。 アテも美しゅうなりとうて、スリムになりとうて、ダイエットとやらを始めたものの…困りますねぇ。運動するより食べることの方が絶対的に楽しゅうございますの。 とにかく食べることが楽しいんよぉ。 困りますねぇ。アイスやらポッキーやら、スーパーやコンビニにでも行ったなら、まとめ買いしたい美味しいおやつがいっぱい目についてしもうて、ホンマ困りますてぇ。