涼風。

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涼風。

閲覧ありがとうございます。秋 涼風。と申します しゅう りょうかと読みます。 自己紹介は連載→わたしという人→📄からどうぞ

🌸清冽と薔薇

「ねぇ!みて!!晴(ハル)先輩だ!」 晴先輩、そう呼ばれている彼女、晴 咲雨(ハル サクラ)は長髪黒髪でいかにも優等生というオーラを放っている。 私立四葉(シシバ)高等学校に通う高校三年生である。 周囲の歓声の中、表情微動だにせず校門から校舎に続く道を歩いている。 彼女が校門を抜ければ学校中がガヤガヤと一層騒がしくなる。 「今日も美しいなぁー」 「晴先輩、おはようございます!」 色んな声が飛び交う中、清冽の女と呼ばれている咲雨に挨拶をする。 咲雨から挨拶はしない。 関わる気のない他人や友人には返さない。 それどころか表情一つ変えないので、「清らかで冷たいさま」を表す言葉である「清冽」という漢字を用いて呼ばれているのだ。 『...........ペコ』 だが、例外もある。 毎日、私にお辞儀をして元気に挨拶してくる後輩を見てつられてお辞儀をしてしまった。 しまった。 そう思った時にはもう手遅れであった。 「キャー!!」 「挨拶返されたんですけどー?!!!」 「えぇー、いいなぁーー」 「私も挨拶されたぁーーい!!」 この蟻達を正直、鬱陶しく感じている。 出来る限り近づきたくない。 そう傘をバッと広げ隠れて拒絶するのは、咲雨の大事な家族を「二度」も失っているからだ。 学校の後輩たちが彼女に向かって挨拶をしたが、スルーして歩く。 私はこの学校では殆ど会話をすることがない。 挨拶は咲雨にとって大切な人にしか返さない方がいい、そう助言をくれた友人が二人、この学校にいる。 「おはよう。咲雨ちゃん!」 「咲雨はよー。今日もやべぇ人だかりだな。なびかねぇ先輩に挨拶するとか。こいつら毎日やってて飽きねぇのか笑」 『陽月(ヒヅキ)くん、光月(ミヅキ)ちゃんおはよう。 ...陽月くん、こいつらと呼ぶのはやめた方がいい...と思う...』 「そうだ!そうだ!ひーくん、きょーも口が悪いっ!!」 この二人が咲雨と最も一番近くにいる人。 咲雨ちゃんと呼んだ子を白藤 光月(シラフジ ミツキ)。 明るすぎる、ポジティブすぎる所が少しあるんだけど、根は優しくて頼れるいい子なの。 一緒にいて楽しいわ。 中学が一緒で仲良くなった二人は、過去に囚われた咲雨にとって一番信頼できる人たちだった。 そして私の事を咲雨と呼び、光月ちゃんにひーくんと呼ばれていた人、彼の名を白藤 陽月(シラフジ ヒヅキ)。 「あっそ!じゃああいつらでいいか?あと、光月っ!口が悪いのはクラスメイトが俺ら双子を似すぎて見分けられねぇからそうしてんだよっ!お前も知ってるだろぅがよ!」 「えぇ、なんのことぉー?そんで、ひーくん!こいつらも、あいつらも対して変わらないよ!」 「ほぅー光月?ひーくん呼びは中学で卒業したんじゃねーのかよ!!」 ギャーギャー、ワイワイ.... 『はぁ....』 二人は双子。言動も声も似ていて、顔はそっくり瓜二つ。 陽月の方が少し声が低く、三ミリ背が大きい。 二人の違いはそれくらい。 美形な上に頭も運動神経も良いので、無敵な美男美女の双子として、生徒から注目の的だ。 この二人が人気なのは分かるんだけど.... どうして私も注目されているの.... そんなことを考えながら二人の喧嘩を咲雨はぼーっと見守る。 まぁ、私の話は一旦置いておいて.... 身長は三ミリ違うんだから同じにするな!と陽月くんはよく語る。 「三ミリの差なんてパッと見ただけじゃ分からないと思う笑」 つい口に出してしまった。 急に喋りだしてびっくりされる、そう思った。 「咲雨、それはひでぇーなー」 「咲雨ちゃんナイス!!」 どうやら喧嘩の途中で背の話が出ていた様だった。 結果的に繋がって良かった、咲雨は胸を撫で下ろした。 授業の内容について話しながら一緒に教室まで向かう。 至る所から生徒の視線を浴びながら教室へ入っていく。 私と光月ちゃんは三年二組で陽月くんはお隣のクラス、三組。一緒じゃなくて少し寂しいけど。そんな事を考えている間に着席のチャイムが鳴った。 今日はレナにどんな話をしようか。 ・・・ はぁー、やっと授業終わった、、 咲雨は一日中、他の生徒の視線を浴びる。 だから授業が終わる頃にはどっと疲労感を感じるのだ。 「咲雨ー、お疲れ〜。今日もレナちゃんに会いに行くのか?」 同じタイミングで隣のクラスのドアからでてきた陽月くんに話しかけられた。 『陽月くんもお疲れ様。うん。今日も会いにいくよ。』 「おう!病院まで送ってこっか?もう暗いしさ」 『ありがとう。じゃあお願いしようかな。』 「まかせろ!」 そうして、レナと言う少女に会いに校門を出た。 清冽と一輪の薔薇[完] 後書 お読み頂きありがとうございました。 こちらは連載作品となっています。 もし、ご興味を持って頂けましたら↓ 連載→桜沫。まで では、またどこかで。

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🚹身体の捕らわれ

僕はここに囚われている。 いま、動くことが出来ない。 動いてはいけない。 ——僕は今、寝ているんだ。 そう身体に言い聞かせじっとその時が来るのを待つ。触れられた所がくすぐったい。 余りにも幸せすぎて、物凄く抱きしめたい衝動に駆られる。 でも我慢。我慢。 あと少し近づけたら触れられる距離にいる。 それなのに自分から触れる事が出来ないのが、こんなにももどかしい。 腕の中に閉じ込めてしまいたい。 愛おしい貴女を。   ♡♡♡ 「今日も愛してるよ」 彼女の言葉。それは僕を起こす魔法の言葉。 ぎゅっ ?! 「おはよう」 あぁ、僕は幸せ。   ♡♡♡ 1 速水 咲来(ハヤミ サク)。 それは社内で完璧な人と言えば誰しもが思い浮かべる女の人の名前である。 彼女は毎月成績トップ、部下には優しく時には厳しく接し、視野も広く気遣いも出来る。さりげなくお茶や差し入れをしたり、まとめる資料の注意事項だったり間違えやすい箇所を予め付箋を付けておいたりしているのを僕は知っている。彼女がいることで職場は明るく心地いい雰囲気を纏う。そんな知性と優しさと思いやりで溢れている人は、それだけで魅力的であるというにも関わらず、料理上手で手先も器用なのである。 そしてこれは僕の自論だが、彼女は声も手も、仕草も笑顔も、酔った姿も、何もかも全てが可愛いのである。 ——神様、速水先輩のこと好きすぎじゃあないですか。 そう問いたくなるほど彼女は人格者だった。周囲の方々に愛され、慕われていた。上司として、人として、お手本のような人だった。それに対して僕、瀬山理人(セヤマ リヒト)はというと、仕事の成績はとても悪いという訳ではないが、さしずめ中の下といったところ。 僕は顔がいい訳でもなければ、背が高い訳でもない。外見も、人生も、中身も全てずっと真ん中にいて、ぶれることなく平凡な人生を送っている。自慢できる事と言えば、足と手がデカイくらい。 自分の名前の意味は『理由もなく人を助けられる人になりますように』 僕は元々自分の名前が好きだったが、理由を知った事により自分の名前がさらに大好きになった。漢字は尊敬する父・明人(あきと)から一文字「人」を取ったと母は言っていた。 先輩はお昼時になると毎日、窓際の一番隅の赤い色の椅子に座って表情をコロコロ変えながら美味しそうに色とりどりのお弁当を頬張っている。ある日、部下のスーツのボタンが外れるというハプニングが起こった。速水先輩は自分のデスクから裁縫道具を出し、手早く完璧に元通りに直したあの時は、周囲にいた人誰もが思ったことだろう。「なんて完璧な人なのだろう」と。そんな出来事も相まって、彼女の印象はなんでもできる完璧な人となった。だが、完璧な人間なんてこの世には存在しないと僕は思うのだ。だから僕は完璧なんて言葉は使わない。僕は過去にその言葉に随分と苦しめられ、たった二文字が呪いのように一時期背中に張り付いていた。だから使いたくないというのも理由の一つである。 僕から見た先輩は、誰にでも分け隔てなく、同じように接する人。誰にでも目線を合わせ、こまめに相槌を打ち、気遣いと思いやりに溢れた魅力的な人。でも、どこか寂しそうにみえた。辛そうに見えた。彼女がこんなにも気遣いと優しさで溢れているのは自身が辛い目にあったことがあるからなのではと変に考察している自分がいた。 ずっと彼女が気になっていた。 完璧人間と称される憧れの人が辛い思いをしていて、耐えて涙を浮かべて悲しんでいるとしたら僕が支えてあげたい。日に日に強く思うようになった。 その気持ちに名前がつき、その思いを溢れさせたのは、今年の春。「一人の女性として好き」であると気がついたのは、新入社員歓迎会という名のお花見飲み会でのこと。今年から原則スーツ参加ではなく、服装自由となった為、殆どの社員は私服の姿での参加だった。スーツ姿しか知らない人が多かったので新鮮だったのを思い出す。彼女もまた私服姿であった。周りは登場するや否や服のセンスもいいのかと大きな話題となる。僕らは休日サシで呑みに行く仲であった為、彼女の服がお洒落で可愛い事も、よく似合っている事も前々から知っていた。 ——僕だけが知っていたのに 何故か胸のこの辺が苦しい。 大盛り上がりだった新歓も幹事の挨拶で終わりを迎え、各々帰宅を始めていた。そんな中、先輩は一人空を見上げ、桜の木に可愛く微笑んでいた。 可愛いな。 好きだな。 「先輩!僕、貴女の事がすきです!」 「、、え?」 僕は今、何を言った? 僕は僕の言った事が理解できなかった。 そんなことも知らず、彼女はバッとこちらに振り向く。耳も頬もお酒のせいだろうか、赤く染まっているのが分かる。でも彼女は酒を飲んでも余り赤くならないタイプだ。 だからこれは、もしかして照れている? ——あぁ愛おしい。好きだ そうか、僕はこんなにも彼女を好きだったのか。 告白をしてやっと、自分のこの感情の名前を知った。 そう分かったのなら。 僕は彼女に近づき、告白の続きをした。 「貴女が辛い時も悲しい時も嬉しい時も全部分け合いたいんです。近くで受け止めたい。貴女を支えたいんです。だから、僕とお付き合いしてくれませんか。」 彼女は赤く染まった顔でびっくりした表情をしたり、恥ずかしそうに目を逸らしたり、終始僕の話を可愛く受け止めてくれた。「返事は今すぐにじゃなくていいです」そう続けて言おうとした時、彼女は僕に返事をくれた。 「余りにも突然で、、びっくりした。その、返事だけど私も貴女の傍にいたいと思ってました。私も貴方が好き、です。」 僕らはこの日から、晴れて恋人同士となった。 2 そんな奇跡みたいな日から五ヶ月。僕らは同棲をはじめる為、お互い引越しをした。家は勿論、職場から近い駅近の場所。お付き合いを始めてから連続した休みの日にはお互いの家に泊まりっこしていた。自分の家なのに、恋人の私物が増えていく。それがたまらなく幸せであった。 同棲の提案は彼女の咲来からで、もっと僕と一緒に居たい、僕のいる家に帰りたいってさ。 ——はぁ。可愛い。 そんな事言われたら同棲するしか選択ないじゃんかね。 こんなにも可愛い彼女と同棲をするのだ。 ご挨拶をしないと。 話し合った末、八月某日、スーツを着て髪型もバシッと決めた格好で彼女の実家へと向かった。 マンションのピンポンを押し、「はーい」そう言いながら出てきたのは、喉仏のある咲来の母。スーツ姿の僕をみてクスッと笑い、「緊張しなくて大丈夫よ」と彼女と同じく笑いを堪えたその声は低く、間違いなく男性であった。 この時、初めて恋人が父子家庭で育ったことを知った。 そして、同時に咲来の母だとも感じた。纏う空気感が彼女そっくりだった。お家に上がらせて貰い、たわいもない話を交わしお互いの緊張を解いたあと、本題の同棲の話をさせてもらった。そして、ゆくゆくは大事な娘さんと結婚したいと思っていることも。その話をした時、父であり母は「あらまぁ」と彼女を見つめ微笑んでいる。娘の幸せを噛み締めるその目は母であった。 「アタシから言うことはないもないわ。うちの娘を末永くよろしくお願いします」 そうあっさり承諾した。僕は彼の余りにも早い決断に吃驚したが、なによりも隣にいた咲来の方が目を広げて一番驚いていた。少し涙を浮かべていたような気がしたが、僕の気の所為だったようだ。 帰り際、そこの公園に寄りたいと指さし提案され、着いた先の公園の一番隅、木陰で周りよりも暗いベンチに咲来は座った。僕が同じように隣に座ると咲来はこちらを振り向き近さに吃驚したのか目を丸くして「あのね、話したいことがあるの!」と彼女はいつもより大声で言う。 結婚したいと思っていたこと黙ってたからその事かな? 結婚まで考えてなかったかな?! 僕と結婚したくないとか言われちゃうかな。 この先言われる言葉を先読みしようとグルグルと考えていた矢先、彼女は僕の手を強く握り、静かに語り出した。「父子家庭で父が女口調であることを黙っていてごめんなさい。」と。そんなことか、そう思った。 咲来が父子家庭で育ったのとか口調とかより緊張が凄くては特に気にならなかったな。ってかそんなこと考えれる余裕が僕にはなかったし。 そんなことを思っていたら、細い今にも消えてしまいそうな震えた声である告白をした。僕は慌てて彼女の声を聞き取ろうとしたが、時すでに遅し。もう一度言ってもらうこととなった。 「六歳、小一にあがりたてで母をなくした」 そう聞いた瞬間、料理や裁縫が出来る理由をなんとなく悟った。体温は温かいといういうよりも冷たく、今にも壊れてしまいそうな程に細い身体をそっと抱きしめた。僕のこの暑すぎて困る体温が彼女に移ればいい。そう思って少し強く抱きしめた。咲来は僕を受け入れてくれた。そして、話しながらゆっくりと僕の背に腕を回した。 「予定より早すぎる出産だったけど、産まれた。だけど弟は生まれてすぐにお空に行っちゃった。それからして母も息を引きとって私と父は大切な人を二人同時に失くして.......... 話している途中、目に溜めていた愛の記憶は零れた。 咲来は僕に縋るように強く抱きしめ、顔を隠した。声を出すこともなくただ静かに僕の胸で泣いている。その姿はまるで、泣き方を忘れた子供のようだった。その姿は僕が日頃感じていた寂しそうな目や辛そうな表情よりもっと深刻なように思った。 暫くそのまま動かなった。 「四月十三日」 ボソリと言ったその日、四月十三日。それは彼女に告白をした日だった。 「僕の誕生日知ってたの?」 そして、僕の誕生日でもある日だった。でも彼女は僕の誕生日だとは知らなかったはずだ。 「ごめん。話中断させて。続けていいよ。」 「、、、四月十三日。たった一人の弟、しげあきの誕生日。それと母と重明の命日」 ?! 「同じなんだね....」 うん、、その日はあの頃を思い出しちゃうから新歓があって気が紛れると思って参加したの。二人を失ってからさっきのアパートで父と二人でずっと暮らしてた。オネエである父と、幼くして母を亡くした私。周りからの異質な目や色んな言葉。先生や親戚の大人たちの変な気遣いとかも相まって、周りに父子家庭であることとか、弟のこととか話すのを遠ざけてた。思い出すと悲しくて会いたくなってしまうから。 料理も裁縫も母の代わりにならなくてはと思って身についたそうだ。彼女の語る細い声に耳を傾けていた。 、、、、 少し間が空く。 あまりにも長い無言の時間。動かない彼女。心配になり、顔を覗くと彼女は見ないでと言わんばかりに慌てて話を再び再開した。 「家族になったら貴方にいちごのケーキを食べてもらえる、できなかった愛のキスが出来ると思ったら、それがこれから先ずっと続くんだと思ったら嬉しくて幸せで色々ぐちゃぐちゃで涙が止まらなくて」と語った。 いちごのケーキ。それは会社に春になると何回かお裾分けされる品物だった。愛のキスとは生まれてきてくれて、生きてくれて、ありがとうというの愛情のキスの事である。 そんな話して駅で二人赤い目でまたねをした。 彼女との同棲の許可を頂き、来年の僕の誕生日にはいちごのケーキを彼女が作り、愛のキスを貰う。そして行く末は結婚と決まった。 九月八日。念願の彼女との暮らしが始まった。 それはそれはもう毎分毎秒幸せである。 おはようとおやすみを毎日傍で言い合える。それだけで溢れるくらい幸せだ。 約束をしなくても彼女も僕と同じ家に帰って来る 一緒にご飯を食べられる 一緒の部屋でくっついて毎日寝られる 休日仕事のない日はお家でまったりゴロゴロしてたまに外に遊びに出かけて。 好きな時に触れられて、好きな時に名前を呼べる。 それは本当に幸せで、怖いと思う程に満たされていく。 そしてびっくりするくらいに彼女の傍が心地いい。それは彼女も同じなようで、僕らはきっと出会い惹かれ合う運命だったんだと思っている。 「今、人生で一番幸せな日は今日だと思うんだ。」 「それ昨日も言ってたじゃない笑 また幸せの更新?」 「うん。君といる日々が増える度に僕の幸せは更新させてく」 「貴方って人は....」 いつも呆れた声で言うのに、君の顔はいつも幸せそうな嬉しい顔をしてはにかんでいる。「嬉しいんでしょ」そう言ってしまったらきっとこんな顔を見せてはくれないだろうからいつも言いたいのをじっと堪えている。 3 本日は週明けの月曜日、時刻は朝の六時を過ぎた頃。目を閉じた僕がなぜ時間が分かるのかって?ついさっき彼女がかけた六時を知らせるアラームがなった気がしたからさ。起きてはいるけど、僕は目を開けない。開けたいが、開けてはならぬ。そんなことを考えていたら毎朝恒例の彼女のルーティーンが始まる。 まず、六時を知らせるアラームを素早く止める。 そして僕の頭を優しく包み込むように撫でる。 そして、すこーしぎゅってハグをする。 聞こえるか聞こえないかのほんの小さな声で「おはよう」と挨拶をする。 起こさないように僕の頬を撫でる。 そうして冒頭に戻る。 貴女はきっと、愛おしそうに可愛い顔で僕を見つめ微笑んでいる事だろう。 触れたい衝動に駆られるが、次のルーティーン。 小さく囁くその言葉が僕は聞きたい。 だから僕はまだ眠る。 身体の捕らわれ。[完] 冒頭の♡の部分をお読み下さいませ! 番外編という名のその後にてこの作品は完結となります🙇🏻‍♀️ 後書 どうも、作者の涼風です 骸ノ詩様の空白小説、やってみませんかに参加させて頂きました 「僕はここに囚われている」からはじまり、「だから僕はまだ眠る」で終わるという条件の元、制作しました。 骸ノ詩様、素敵な二文をありがとうございました! 弟である彼の名前「重明」は明け方に生まれ、幸せが重なりますようにという意味を込めてつけました。気に入っていたので、名前からひとつの物語を書いてみたいと思ってましたが、中々納得いかなくて💦 愛のキスの話や誕生日は「先見の明、幸福な家庭、尊重と愛情」の花言葉を持つ「いちご」を参考にして作りました。 そして読者様、お気づきしょうか。 なんと花言葉に見事に重と明があるんです。わーすごい そんな訳でものすごく楽しく作らせて貰いました! この作品は『彼くんと彼女ちゃんの日常』にて連載されてますので、よければそちらの話もぜひ📖✨️ そして、カレカノ(連載愛称)更新遅くなってごめんなさい(前作から約1ヶ月経ってる) 最後まで目を通して下さり、ありがとうございました! では。またどこかで。 25.9.29 涼風。

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心の臓は二つ

とろけるような熱、お菓子のように美味しそうな君。 よく知るバニラ味の香りの水。 俺にだけ分かる甘い視線。 君の右頬の泣きぼくろが消える。 クシャッと少女のように微笑む彼女。 俺はどうしようもなく、激しく生きていると実感させられる。 目線を逸らすと君は言う。 「振られちゃった笑」 君の仕草の一部を始終、脳裏に焼き付けていく。 『あのグループにいる右頬に黒子ある女の子さ、 90人元彼がいるんだってよ』 さっきまで、明日で終わる試験についての話をしていた友人は、目線の先に彼女がいることに気がついたようで、『だからお前には無理だぜ』とそんな諦めを促すような声でボソリと語る。 君の分厚い恋の履歴に残ることに興味なんかない。 君を支え、君を受け止める唯一の存在に俺はなりたい。 「100歳までよろしく」 「こちらこそ、よろしくね」 そう君が答えてくれたのなら、俺は絶対に君を離したりしない。 知っていることなど家族に比べりゃいっぱいある。 でも家族も知らないことを知っている。 難しく絡み合う世界で胸を張って言えること。 「俺は貴女が好きだ」 「通話しよう」 それは一瞬で気分が晴れ、心躍る魔法の約束。 そんなことを言ったのなら、鼻でまた君に笑われてしまうかな。 君の掴めないその核心に迫るほど、恐いと思った。 「 ?」 俺の名をそんな笑みを含んだ柔らかい優しい声で呼ばないで。 俺のことが好きなんじゃないかと思い込んでしまいそうだ。 そんな感情ははじめてでどうしようもなく、頭に花を咲かせてしまう。 電車のアナウンスの声 暖かい風を感じる。 さようならの時間だ。 「またね」 開いた扉の中へと君は背を向け、足を出す。 「行かないで・・・」 気がつけば体は動いていて、君の可愛いコートの裾をクンッと握って引き止めていた。 「行かないで欲しいんだ笑?」 君ははにかむ。 ー閉まるドアにご注意下さい 君を乗せずに行ってしまった街を繋ぐ列車。 君を抱きしめる。 暖かくて、 いい匂いがして、 とても安心する。 心地がいい。 トクントクン トクントクン 右胸 左胸 二つの心臓の音を感じる。 その時間は限りなく幸せだ。 心の臓は二つ[完] 夜摎様の幸せのおすそ分けをくださいに参加させて頂きました 楽しかったです、ありがとうございました! 後書 涼しい風が吹くようになり、気温も下がってきまして。 ようやく夏も終わりそうですね。 私、芋がすきなんですが、さつまいも! コンビニやスーパーでさつまいもフェアをやっているんです。 誘惑に負けて最近はさつまいもばっかり食べています笑 秋の味覚。食欲の秋。 貴方も是非、「食」を楽しんで下さいね。 最後までお読み頂きありがとうございました では、また。 25.9.29 涼風。

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むぎわら帽子と、 白。

三十二日。 この世には存在しない日。 だけども、確かに存在していた日。 今日の外気温は三十五度を超えた。 昨日、災害級の猛暑となるでしょうと天気予報士は言っていたが、その通りの暑さだった。 「今日も暑いね。、、、びび?」 にー 暑い日差しが汗を誘発する。 こんな風に君と僕を隠したもやもやを吹き飛ばして、全部忘れられたらいいのに。そんなことを思いながら麦わら帽子を被った愛するBibiの温かい毛を撫でようと手を伸ばした。 気持ち良さげに僕に身を任せてくれる君はもういない。 Bibiと出会って四十九日目。 学生の頃に買ったカメラを持つ僕とBibiという女の子と海に行って、新しい白いワンピースを買って、神社へ参拝をしたりして。お祭りに行ったり、スイカ割りをしたりとそんな楽しい旅を続けている。 楽しい日が続いていたある日、お別れの時がくる。 君がいなくなる日は、決まって夏から秋へ変わる日だった。 まだ、夏でいてくれ。夏よ、終わらないでくれ。 そんな思いが僕の口を動かした。 「今日は八月三十二日だから!だから、そばにいて。」 暦を知らない君はそう言うと消えずに、僕のそばにいてくれた。 それに気がついたのは前回の事。 でも、きっとこれは僕らにとって最後の夏の日。 終わらない夏の夢の中に落ちた。 今年も夏蝉が頭に響いて、とても五月蝿い。 暑い日差しと水面の照り返し。 夏風と共に運ばれてくる潮の匂い。 毛が靡き太陽の温かい匂いを感じる。 ゆらゆらと、ひらひらと、白い妖精は軽やかに舞う。 鳥居の前で、はしゃいでいる君。 ゆっくりと誘われるように僕は目を閉じる。 麦わら帽子を被った君は白色の猫となり、水の上を駆け巡る。 ー来年は君だけがいない夏になるかなぁ。 君にまた会えますように。 目の前の鳥居に手を合わせ、どこかにいるかもしれない神様へと願いを込めて祈る。 「・・・・・・・」 にー 海に行きたいな。 そう君は言っていた気がする。 今年もやってきた最後の夏の日。 君とはここでお別れだね。 ありがとう。僕と出会ってくれて。 ありがとう。僕を選んでくれて。 大好きだ、愛してるよ。 Bibi。 今から会いに行くから。びび。 白猫柄の手帳を取り出し、九月の頁を開く。 九月一日にはボールペンで二本線が引かれており、そこには大きく『8/32』と書かれている。 にー 七月十四日。目を閉じれば、再び僕の前に訪れる。 「君の名前はBibi。僕と一緒に旅をしよう」 にー * * * 夏、僕らは出会った。 君との日々はどこまでも透明で。 どこまでも青くて、こんな時間がずっと、 ずっと続けばいいと思った。 たとえ君が もう・・・・・・・存在だとしても。 君の言葉はいつもキラキラ輝いて、 「人多いの、ちょっと苦手かも」 僕には眩しすぎた。 「変わりたい自分がまだ君の中にいるのなら飛び出してみてよ。 汗だくになって走ってみてよ」 だから僕は君から離れられない。 「お祭り...?そんなに行きたいの?」 君に惹かれるのをやめられない。 「今まで黙っててごめんね」 僕は君の秘密を知ってしまった。 君は今、何を考えている? 君がいればそれでいい 僕は君さえいればそれでいいのに。 僕を置いていかないで。 どうか、どうか。 ありがとう。僕と出会ってくれて。 ありがとう。僕を選んでくれて。 これできっと。 ずっと。共に。 8.32 むぎわら帽子と 白(くうはく) [完] 後書 作者の涼風。です。 この作品はボカロPである*Lunaさんの「8.32」という 素晴らしい楽曲を元に創作致しました。 最後の文章は実際にMVに出てきているものを引用させて頂きました。 この場をお借りして御礼申し上げます。 お読み頂きありがとうございました。 なんとか9月1日に間に合って良かったです💧‬ まだ暑い日は続きそうですが、体調を崩さぬようにご自愛ください🍀 私は今年の夏をもう少しだけ堪能しながら、秋の訪れを感じるその日を心待ちにしながら過ごそうと思います 良ければモチーフとなった楽曲を聴きながら読んでみて下さい。 二度(?)楽しめるかもしれません。 それでは、また。 25.8.32 涼風。

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むぎわら帽子と、     白。

眠り姫

僕の愛した人 君は眠ったまま 僕が君に落とすキスひとつ。 そのたった一つでお姫様のように、目を開けてくれるのなら 今すぐにでも眠りを覚ましてやりたい けど分かってるよ。 だってもう七年もそれを続けてるからさ。 美しいに降ると書いて美降(みふる) 僕の大好きな最愛の人。 僕に「好き」という感情をくれた人。 彼女は誕生日を迎える前日、五月二十三日。 事故により十七歳で眠り姫となった。 彼女は七年前の高校二年生の頃のまだ髭も生えていない若い僕の顔しか知らない。 今日も変わらず、僕の目を見ることも地面や空を見ることもなく、白杖を持った彼女が隣にいる。 『信号無視をした車の事故に横断歩道を歩く彼女が巻き込まれた』 当時、その場に僕もいたのだが、咄嗟に彼女を突き飛ばし、僕は転がってきた車の下敷きになり全治三ヶ月の骨折をした。 幸い彼女の身体は数箇所の擦り傷と打撲だけで済んだそうだ。 だが、破損したフロントガラスが目に突き刺さり、失明した。 でも、僕が突き飛ばした勢いのせいで、彼女は永遠に世界を知ることの出来ない眠り姫となってしまった。 ☆☆☆ 僕はついこの間、誕生日を迎え二十四歳になった。 誕生日プレゼントは、僕が大好きないちごのドーナツと赤い花。 美降も僕と同じドーナツが好き。 だけど、味はチョコレートが一番好きみたい。 僕の誕生日もチョコ味のドーナツを隣で幸せそうに食べていた。 それと、夏と青い空、あと海がきっと好き。 ♦︎日暮れ時、美術室♦︎ 時計の音 彼女が作業している音 そして僕の五月蝿い鼓動音 微かに聞こえる海の波の音。 僕は美降先輩が絵を描いている美しい横顔を眺める。 一目惚れした一個上の先輩をもっと見たくて、もっと近くで感じたくて。 たったそれだけの理由で美術部の部員になった。 彼女は暫く自分の描いた絵と睨めっこし、固まったと思えばせっせと片付けを始める。僕はすかさずお手伝いの声掛けをするべく、椅子を立つ。 美降はとても綺麗で繊細で、美しい風景画を創りだす人だった。 センパイ 影 と手を繋いで、彼女を家まで送る。 明日、十七歳の美降の誕生日には「美降先輩、十七歳のお誕生日おめでとうございます」お祝いの言葉からはじめて、見たいと零していた有名な天才画家の絵画展に一緒に行って、そして帰りには鈴蘭を渡す、そんな誕生日計画だった。 それなのに…… 「誰より君のこと大切だ」ってそう言えるかな 君の眠った顔 見ているとそんなこと思ってしまうんだ 明日起きたら何しようか 君が失ったもの全てを 僕の歌で思い出してほしい いつか 君の目が覚めたときはきっと この空を二人眺めそっと 当たり前の話をしよう 夜が明けるまで 「君より音楽が大切だ」ってそう言えるかな。 そんなこと思ってしまうんだ。 僕は元々軽音部、アコギ兼ボーカルとして活動していた。 美術部はあとからかけもちで入部した。 美降の誕生日の一週間後には一個上の代の先輩たちが引退する最後のLIVEがあった。 でも、僕は彼女が気がかりで、LIVEに集中出来なくて歌詞を間違えたり、コードを間違えたりとミスを数々重ねた。 そして、聴いていた美降に言われてしまった。 「私と音楽どっちが大事なの?」と。 いつか君が本当に目を覚ましたら この景色を見せてあげたいな そうして当たり前の話をたくさんしよう 二人の好きな食べ物の話とか たくさん 明日起きたら何しようか 君が失ったもの、全てを僕の歌で思い出して欲しい いつか君が目が覚めときはきっと この空を二人眺めそっと 当たり前の話をしよう そんな歌を一人、夕焼け空を眺め、思うままに弾き語りをする。 これを完成させて、先輩にあげたい。 僕が見つけた、この美しい青の空に出会うまでの話しも持っていくから。 眠る前、毎日必ずすること。 眠り姫の瞼に触れ、キスを落とす。 僕のキス一つ。 毎日願掛けをしたのなら、いつか目が覚めないかと思ってやっていた。 でも今は、愛情表現としてキスをしている。 あの頃の質問に答えるよ、君は僕の最愛の人。僕が愛した人。 君の居ない生活なんてきっと耐えられない。 僕は君がいないと生きていけないんだ。 美降、愛してるよ。 「なによ。いきなりはずるいよ笑、、知ってる!」 相変わらず、僕が好きと言うと君は知ってると答える。 僕はそれがとても嬉しいってこと。 愛する人に自分の愛が伝わってるってとても幸せだ。 眠り姫[完] 参考楽曲:「眠り姫」Guiano イラスト:みふる サムネイルに引用させて頂きました。 後書 バナナジュース職人様の「ボカロ二次創作!!!」に参加させて頂きました!楽しかったです 最後まで閲覧ありがとうございました。 どこかでまたお会いできたら嬉しいです。 それでは。 25.8.20 涼風。

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眠り姫

空雲👤

「土に還りたい」 そう考えた。 グチャグチャの感情に任せ、訳の分からないままグルグルと思考を巡らせる。その度にジワ、ジワ、と溢れ出してくる生温いものは私では制御出来ないようだ。制御しようとすると情けない声を出してしまいそうになる。温もりを受け止めていた畳まれた白い紙はやがて冷たくなった。考え込んでから時間はそこまで経っていない。体感では朝日が出ているのではないか、と思う程長く感じたのだが。長そうで短いその時間、吸い続けたそれはもう紙かどうかも分からない。頬を付けたまま動かすことすら出来ないが故に、随分と前に諦めがついている。発作が出ないよう、グッとただひたすらに耐える。それはまるで金縛りのように何処も動かせず、ただピクリともせずただ横になっている。ドクドクと、止まる気配すら感じ無い液体に、最早新しい紙になど取り替える必要も無いと悟ったのはもう数十分も前のことだ。 今日が昨日に、明日が今日に変わった、その日。 やっと思うように動かせるようになったその重たい体を、いつものようにベットからベランダへと動かす。午前の時とは全くの違う。その情けない弱弱しい姿はまるで別人のようだ。思いっきり、とまではいかないものの、ベットの横で啜り泣くよりかはいくらかマシに流せる。 外に出ると私の世界は限りなく広がる。 四季は移り変わる。 春は凍て溶け、春色が広がる。 夏は緑陰と碧々しさが広がる。 秋は金穂の群れと山粧うが広がる。 冬は白銀の絨毯が広がる。 そして、花々は目覚める。 シクラメンが挨拶したな。 梅がこぼれたな。 椿が落ちたな。 桜が散ったな。 躑躅が舞うな。 紫陽花が枯れたな。 朝顔が寝たな。 向日葵が俯いたな。 葉が照れ始めたな。 金木犀が吹いたな。 木の実が自立したな。 ポインセチアが染まったな。 12ヶ月を思い出せるんだ。私はひとりじゃない! 空を見上げると雲が一部分だけない。私はそれを見てまるで「心の穴」のようだと思った。考えるより先にカメラを構え、気付けば撮った後だった。フラッシュが眩しかった。 しばらく外の空気を吸って呼吸を、頭を、体を、落ち着かせた後、再び元の場所に戻り部屋を真っ暗にして横になる。目を閉じ、大切な布団に濡れないよう、今度は吸水性のよい綺麗に、いや。不格好に畳まれた白い紙を目に押し付けて脳裏にこびり付いた××××の温もりを浮かべ、自分の腕を使い温もりを感じる。 パチ... 目をあけると窓から日がこぼれている。朝だ。朝になった。 いつの間にか寝ていたようだ。 こういう日に限って目覚めが良いのは何故なのだろうか。 夜になると感情がグルグルとして頭では追いつくことすら出来ない。弱くて泣き虫で。温もりを感じながらじゃないとこわくて眠れない、それは「わたしであり、私ではない」のだ。 ——そうだ。 ——きっと 後書 夜の住人様の「自分を語る」に参加させて頂きました! 作者の涼風。(りょうか)です この作品は『わたし』にて連載されてますので、気になった方はぜひ。 最後までお読み頂きありがとうございました。 またどこかで出会えるのを願って。 25.8.20 涼風。

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空雲👤

天才画家は「オレンジジュース」であると語る

突然に話が変わるのですが、あなた達に聞きたいことがあります。 『もしも、僕が二人いたら 同じことは言えますか?』 『僕が彼らのように我慢できるように見えますか?』 全校集会の時に親はみんなの前で話してました。 『人類は皆平等』という内容の貴方の妄想話を。 「先生、それは本当ですか?」 「〇〇と〇は別ですか?」 「わかります」 『わかるだけですか笑』 「お前のこと嫌いだ! と思ってるのはお前だけじゃねぇ!」 「口に出さないだけ褒めてください」 自分でも分かるくらいしつこいですし、そしてびっくりするくらい負けず嫌いですね。 僕は家族愛を知りません。 温かい食事も知りません。 人に頼るのが苦手で、男だけど絵が好きです。 とか欠点がいくつもあります。 僕の長所は、日常にある色、例えば僕の学校にあった黒板の色は#2C6B6Aです。とまぁこんな感じでぴったしなカラーコードが分かることが僕の長所です。 はい、学校生活では役に立たない長所です笑 なので、60点目指して頑張ってました 『なんてね!笑笑』 家に帰って靴を脱ぐのにしゃがんだ時、絵の具の匂いがした。 玄関前には僕の作業場に置いてあったはずのキャンパスや絵の具、筆などがビニール袋に詰め込まれていた。 あぁ、またか 僕は普段学校では思いつかないほど、リビングにいる奴に大きな声で言い放った。 かぁさん!!!!俺の好きな物勝手に動かすなと何回も言ってるだろ!!!!!これは私が稼いだお金よ!私が何しようと貴方に拒否権はないわっ!ってこの前言ってたからお前の金で買った画材は全て捨てただろ! だから自分で稼いだ!!バイト先で稼いだ得た僕の金だ! それが稼ぎ主の俺がどう使おうと俺の勝手だろ?! 捨てんじゃねーーよ!!!! 「好き勝手言いやがって! 無駄なんて言わなくていいじゃないか!」 ひとつの音をただひたすらに奏でた。 白いキャンパスに様々な色を載せ、様々な音色を響かせた。 その音を作ることで忘れ、さらに没頭した。 僕を救うのは、美術室でしか嗅がないような絵の具の独特な匂いと、絵の具を絞る音。そして、その絵の具をキャンパスに載せて広げる音。 それは両親の嫌いな匂い。嫌いにさせた匂い。 僕のすること全てが嫌いな奴の考える「絵なんてどうせ金になどならん」と否定した進路相談教師の僕の親の一番嫌な事。 なんて皮肉なのだろう。 「あのさ、進路の事なんだけど。絵を描くのが好きなんだ。 だから美大に行って絵のことをもっと学んで画家になるよ。」 返事が 聴こえない。 僕の声があいつの耳に届かなくなった。 そう悟った途端に足元の灰色の床が崩れた。 瞬く間に落下する。 身動きが取れない。 落ちていく浮遊感すら感じる。 深く深くどこまでも頭からゆっくりと。 そう錯覚する程、それは早く底の見えない場所へ沈んでいく。 僕は酷く絶望した。 それならば。 絵を美しく描くコツ18選という動画を見ながら勉強をする。 僕が美術部に入部したきっかけは、そして絵を描き絵に没頭した最初の理由は、「なんとなく」というたったそれだけでした。 こんなに頑張ってるのに、みんな僕を笑いました。 被害妄想止まりませんでしたよ。 『〇〇ちゃん進路のことだけど、明日にでもどうかな?』 その生徒のことは気にかけるんだ。 あんなに小さい音だったのに、聞こえるんだ。 その音は聞こえたんだ。 その小さな音は聴こえるのに、僕の話しかける声には気が付かない。 あぁ、違うか。 「気がついているけど、なにも聴こえない振りをしているのか」 画面の君と同じ。ヒーローポーズ。 まぁ僕はヒーローなんかではないけれど。 あぁ センスがない! あぁ センスがない! センスもないし、ピースも足りない。 だって最近の若い子は突然ピースを壊すらしいから。 一生見つからない自分の一ピースを探してました。 結果、僕は両親の思いなど気にも止めず、受験をし現役で美大生になりました。 僕の色はオレンジです。 オレンジジュースみたいなパキッとしたオレンジ色をしていると思います。 理由はなんとなくです。 22歳という若さで難関美大学を卒業した彼。 見たことの無い独特なタッチと視覚を利用して描いてます。 どれも絶望を想像して描いていると語る。 様々な人を魅了する天才青年の画家は、インタビューで好きな色などはありますかと聞かれると自分自身の色を答えたそうだ。 そして、続けて言った。 『僕には生きるセンスがないですから、この色に随分救われました。だから好きな色というより、僕自身の染まった色です』と。 そのインタビューを元に作られた記事は大ヒットをし、その青年は「オレンジジュースの天才画家」と呼ばれ、絵画界において大きな影響をもたらした人となる。 [完] 参考楽曲 僕には生きるセンスがない Music By 青谷(aoya_aotani) 二次創作 後書 モノポリー様の「ボカロに短編」に参加させて頂きました! 一つのボカロ曲をお題に、創作するのはやってみたかった事だったので、とても楽しかったです 最後までお読み頂きありがとうございました

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天才画家は「オレンジジュース」であると語る

気がつけば、半月🌗🌓

その日は満月の日。夜中の出来事。 二人の天使がこの世に誕生した。女性は晴れて二児の母となった。 赤子の声が消毒液の香りのする白い部屋に響いている。 白い衣を纏った人達は、無事に産まれたことへの安堵で関係者が皆ほっとした表情をしている。 緊迫した雰囲気から一変し、優しい空気に包まれた。 病室の窓から仄かに金木犀の香る涼しい秋風を感じる。 その病室は東棟にあった。ベットから見上げた窓から見える空には雲がかかっていて、一部分光って見えた。 それが「ムーンライト」月光だと理解するのに時間はかからなかった。 暫くボーッと月光を見てみたら光が強くなった。雲からお月様が半分顔を出した。まるでひょっこりと私を見ているみたい。 そして、雲が流れ、反対のお顔も私を見た。 この時初めて今日が満月だったことに気がついた。 てっきり半月だと思っていた。 満月は気がつけば、半月になっていた。 あぁ、この子は私にとって満月だ。 私の腹の中でひっそりと私を見ていた。 そして今も二人の愛おしい天使はお月様と同じように私を見ている。 産後間もないせいか、その月明かりがキラキラと輝いているように見えて、眩しかったせいか、少し涙ぐんでしまった。 酷く明るく、美しい月夜だったのを今も鮮明に覚えている。 最初に産まれた姉に光月(みづき)と。 その後に産まれた同い年の弟には陽月(ひづき)と名付けた。 それから何年もかけて、私たち家族は喜怒哀楽を分かり合い、歩み寄ったり、喧嘩したり、時には離れたり、そして仲直りをしてを繰り返して私たちだけの家族の形になった。 光月が生まれた瞬間に、幸せと思ったんだよってこと、 陽月が生まれた瞬間に、会えて嬉しかったんだよってこと。 何年経っても変わらぬ事実だ。 あなた達に会えて、こうして高校生まですくすくと育ってくれた事、とても感謝している。 「菜美(なみ)、おまえが生まれた日はな、家のベランダの菜の花が満開に咲いた日だったんだ。毎年咲いてたんだが、その年の菜の花が一番美しかった。父さんと母さんはな、おまえに会えるのを楽しみにしとった。おまえの声を病室の外で聞いた時、俺はすごく幸せと思ったんだ。俺を父親にしてくれてありがとな、菜美」 私の父、じぃじの言葉は、いろんなことがあったけど、この言葉に随分と救われてきた。 心が離れそうになる時に、それでも自分は愛されて生まれてきたんだと、何度も思いだして、その度に勇気が湧くような気がして、勝手に御守りのように思って大事に心にしまっていた。 やっぱり言葉って大事ね。 いつか、光月と陽月が辛くなった時に、思い出せる言葉を伝えるのは、私の使命だと思うのだ。 あなたが生まれた日は、雲から光がキラキラと降る綺麗な満月の日だったんだよ、と。 そして、みんなあなたに会えてすごくすごく嬉しかったんだよ、と。 彼女たちがこの言葉に救われる日がくるのだろうか? 今夜も学校まで子供たちをお迎えに車を出す、はずだったのだけど、お父さんに最近いつも止められてしまうのでここ1週間ほどお迎えに行けていない。 普段なら私のことを待っててくれているはずなのに。 お父さんにはこんなこと口が裂けても言えないけれど、いつか娘や息子に子供が産まれたら話してあげようかしらね。 今日は何をしたの? なにを学んだの? 学食はなに選んで食べたの? お友達とどんなお話をして盛り上がった? 今日一日、楽しかった? そんな言葉が溢れる日常が、これからも続きますようにと願いながらお家に帰る。 あなた達姉弟が産まれた日の事を話すのが、楽しみでいる母。 もうすぐ、三児の母になる妊婦さんのお話。 気がつけば半月-母- [完] 後書 あいびぃ様の「芸術は爆発だ!」に参加させて頂きました 素敵なお題をありがとうございました! 実は私の連載作品、「桜の下で君を沫。」に出てくるキャラクターの番外的なやつです。 彼らはすでに作中に出ています。 最後までお読み頂きありがとうございました! では、またどこかで。 25.8.5

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中学生👤

1 我慢 二年生もあっという間に終わり、最高学年の三年生になったその日。自分のクラスの人を見た時、誰も知らないことに気がついた。もっと詳しく言うならば、知り合いが数年で知らない人になっていた、と言うべきだろうか。私が一年の頃、ずっと一緒に行動していた子は沢山の友達に恵まれていた。たくさん笑っていた。去年一緒だった子は私の知らない子と笑顔で笑っていた。 「気持ち悪かった。」  私の、私が知っている子とは全く違う人に見えた。それがどうにも吐き気を催すようだった。 一年間ずっと傍にいた私の事なんて頭にない様で、それはそれは無邪気に、元気に思いっきり笑っていた。私を嘲笑っているように見えて傷ついたなんて絶対に貴女には言えない。幼稚園が一緒だった人も同じクラスだった。覚えているだろうと、少し期待していた私が馬鹿だった。向こうは何一つ覚えていなかった。だって「はじめまして。」と言ったから。私は安堵した。なぜかって?私の否定された過去を知っていたら困ると思ったから。困ると思う反面、その人が私を受け入れてくれるかもしれないと心の何処かでそう思い込んでいた。  一緒にいなかった、六年間の空白はどうやっても埋めることは出来ない。 どんな人だったのか。 どんな人と友達になっていたのか。 どんな事をしていたのか。 どんな話をしていたのか。 どんな事で笑っていたのか。 どんな事が好きだったのか。  私は何も知らない。知ることが出来ない。過去は本人が語ってくれないと知ることが出来ない。それは向こうにとっても私にとっても変わらないだろう。私たちは、''顔や名前は知っているが、それ以外は知らない人''なのだから。 今の私と同じだ。私は偽っている。 私の周りにいる人たちは本当の私を知らない。  そして、そこで私は。 ひとりぼっち という事に気がついてしまった。 自分を偽っても結局、何も変わらないことに。友達なんて。偽りの自分で出来た友達なんて、意味なんてないと。ただ、本当の自分の味方が誰一人いなくなっただけということに。  ——私は気づいてしまった。 独りぼっちだと気がついてから何週間かしたある日の授業中。 自分のずっと溜めてきたナニかと我慢していた気持ちの糸がプチンと切れた音がした。周りの人の線がぼやけて、見えなくなって。気づいたら涙が出ていた。溢れ出して止められないと悟った私は、慌てて教室を飛び出してトイレにこもった。涙が止まらなかった。いつもは泣き声を殺して啜り泣くのにどうしても我慢出来なくていつの間にか喘鳴していた。苦しくて。悲しくて。 でもどうして苦しいのか。 どうして悲しいのか。 「、、、分からない。」 ——この時に話していたら違ったのだろうか。 人生において後悔は付き物というが、まさにその通りであると思う。 それからすぐに先生が来たが、昼まで出てこなかった。出れなかった。こんな顔を見られたくなかった。唇をギュッと噛んでいたら血が出た。独特な鉄の、血の味がした。それを口から吐き出した。吐血したと思わせる為に。たくさん吐いた。それから先生に「く、くるしいよ...」と掠れた声で助けを求めた。もちろん演技だ。それだけで何の事情も知らない先生は騙されてくれる。どうしても今までの過去を話したくなかったから。話しても事実を隠してまた無駄な嘘をつくだけだと分かりきっていたから。 それから先生と医務室で給食を食べた。その日はそこまでしか覚えていない。早退したのか、それとも授業を受けに戻ったのか何も記憶にない。 2 躊躇 その日から学校に行くのに躊躇いが出来た。 ——私はなんの為に偽っていたのか。 ——どうして我慢していたのか。 ——自分はそこまでして何が欲しかったのか。 それすらも忘れてしまっていた。そして生まれて初めて学校をサボった。体が、心が、軽かった。夢の中にいるような感覚だった。  何処へ行こうかと考えた時、私は鴨川の方へと足を運んだ。まるでなにかに引き寄せられるように。そこで偶然見つけた人気(ひとけ)のない公園でただボーッと外を眺めていた。鳥の鳴き声がして、大きな一本の樹木の若葉色をした葉っぱ達が風でサヤサヤと揺れる。目を閉じると土の匂いを、風は花の香りを感じた。全てが心地良かった。少し土手を歩いて道草の春を見たりもした。時々、吹く風が涼しくて心地良かった。顔を上げてみると、ビルやマンションはなく、見渡す限り青空だった。空はこんなにも広くて、青くて、明るくて、太陽の光が眩しくて、暖かかったのかとそう思ったら涙が出た。理由は分からない。 そのまま昼時までその公園にいた。ふと、お腹すいたなと感じて家に戻ることにした。別に怒られてもいいと思った。 自宅に着くとドアに向かって開けようと試みた。内鍵は予想通りかかっていて中に入れなかった。私や妹が帰る時間帯になるとお母さんが開けてくれるから、私は鍵を持って学校に行くことはほとんどない。この日も特に用事がなかったので、私は鍵を持参していなかった。 自宅周りを見ていたら、普段は三台並んでいる自転車が一台ない事に気がついた。ないのはお母さんがいつも使っている自転車だ。買い物でも言っているのだろう、なんて考えていた矢先、自転車を押しながら帰ってきた、お母さんとバチッと目が合った。姿を見るなり、互いに立ち止まり、その数秒後、自転車を止めると走って私に向かって来た。あ、これは怒られると悟り、覚悟を決めた。だが、予測していた事は起きなかった。キツくただ、何も言われず、私は抱き締められていた。体感では短く感じたが、お互いの体温で暑く感じるくらいの間、抱き合っていた。 『あぁ、やっと見つけたっ!学校から貴女が学校に来ていないけど、まだ自宅にいますか?今日はお休みですか?って担任の先生から電話が来てっ、、朝、学校に行ったはずなのに来ていないなんておかしいから、さっきまでずっと探していたんだからっ!』 抱きしめられながら、母は私が学校をサボった後の出来事を話し始めた。私が公園にいる間、大勢の先生達が私を探しに出ていて、昼を過ぎても見つからなかったら警察に届けを出すところだったらしい。表情は分からなかったが、涙声だったような気がした。その後、走ってきたお父さんの表情を見て、あぁ、私はすごく心配させてしまったんだと、ここでやっと理解した。お父さんの手が動いた時、叩かれる!と思い、反射的にギュッと目を瞑った。が、その予測とは相反して、ポンッと大きくて温かい手は私の頭を撫でた。大きくて温かい腕は私の体を閉じ込めた。涙が溢れていた。 今まで抵抗しても結局、諦めて学校に行っていた私が、初めて学校に行くことを拒否した日だった。その後、両親と三人でお昼ご飯を食べた。何を話したかなんて、味なんて覚えていない。ただ、頭には撫でられた感触と温もりが私を飽和している。 妹が家に帰ってくる頃には両親はいつも通りに戻っていた。 3 存在 それから私は学校に行くことが出来なくなった。正確に言えば、人が怖くなったのだ。ずっと私は偽ることで自分と周りを守れるとそう言い聞かせていた。だけど、本当は大事な人が出来て、卒業と同時に小学生のあの出来事のように、急にいなくなって独りぼっちになってしまうことが。私、一人だけ取り残されることが、再び傷つくことが怖いのだと。 ——自分の弱さに気づいてしまった。  人の接し方も、普段どんな話をしていたのかも分からなくなって。自分から離れてたのに今更気がついて、傍にいたいなんて言う資格、私になんてない。だから、せめて私の最低な部分だけを切り取って、幻滅して欲しい。もう友達じゃないと言われたい。そうしたら、私はわたしを守ることができる。でも、言うことが出来なかった。まるで私がひとりぼっちになることを望んでいるみたいな。そんな様に言っているようで中々言い出せなかった。その後、話し合ってオンラインで私は授業に参加することになった。それからはもう毎日天国のようだった。誰にも偽らなくてすむし、誰かに怯えて過ごさなくていいのだから。その後は、友達や自分自身の考え事も、悩み事も、もうどうでも良くなっていた。所詮偽りで出来た友達など友達ではなかったと、そう思っていた。あの日までは。 それなのに、ふと貴女を思いだす。 ——あの時、私が本音を言っていたら何か変わったのだろうか。 ——あの日、私が避けなければ良かったのだろうか。 あの瞬間、逃げなければ、 本音を言えていれば、 私が弱くなんてなかったら、 私のすべてを受け入れて貰えたのだろうか? 4 悪夢 布団に入れば、貴女が泣いている映像が映って、どうして私を裏切ったのかと、どうして私を信じてくれなかったのかと問い詰められる悪夢を見る。気づけば、私は泣き出していて、声もあげて泣くことも出来ず、ただ親にバレないように啜り泣く日々。  いつしか、寝れなくなって、ご飯も味がしなくなり、満足に食べられなくなって体重ばかり落ちていく。ベットに入っても、悪夢を見続けるので寝れなくなった。いつの間にか眠ると、また同じ夢を見る。飛び跳ねて起きた時、まだ朝日は出ていない事に絶望する。早く朝になってくれと、もうこれ以上私に悪夢を見させないでくれと、ずっと祈っていた。夢を見ると、貴女に無性に会いたくなる。もう全てを、私の全部を吐き出したくなってどうしようもなくなる。頭がぐちゃぐちゃになって、何も考えれなくなる。感情がぐるぐるして。気持ち悪くなって吐血するまで沢山戻す。夜中にトイレに何時間もこもって。戻ってベットに入れば涙がとまらなくなって、また寝れなくなる。  メールを打とうと携帯を持つ私。 本音を、騙していた事を話したくなる。でも話して楽になりたいと思う私がいて。暗闇のその奥の向かい側には言って何になるのかと思い問い詰めてくるわたしがいる。やめてくれ!そう叫ぶ私を嘲笑うかのようにくすくすとどこからか笑い声が聞こえる、そんな夢を見ることもあった。そして飛び起きるといつの間にか朝になっている。こんな日々が続くのだ。  いつも戦っていた。どうでもいいと思って離れたのに、私が我慢できなくて会いたくなるなんて。 私の知っている、自分じゃないじゃないか! [続く]

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🌸再び幸せが訪れる(2)

※この話は「再び幸せが訪れる(1)」の続きとなります。 まだ(1)を読んでいない方は 『連載→桜の下で君を沫。→再び幸せが訪れる(1)』 で読むことができます!よければそちらから読んで頂くと👌 次のページから本編です ねぇ、もう四年目になるんだって。 ナっちゃん私いつまで待てばいい? レナがずっと憧れていた高校生、もう終わっちゃうよ 私の制服姿もう見られなくなっちゃうんだから起きてよ、、 そう言いながらレナに額をコツンとぶつけるような形で下を向く。 横髪が彼女の顔を隠した。 「桜見に行こぉょ」 そう投げかけた言葉は、少女にしか聞こえない程小さな声だった。 またしても返答はなく、ただ機械音だけが病室に響いている。 もう一度さっちゃんって呼んでよ。ナっちゃん 望みの低い、ほぼ叶わぬ願いなのはとうの昔に理解している。 頭では分かってるのに。 それでも、妹のルナちゃんの声が脳裏にこびりついて離れない。 どうしても忘れられない。 あの頃のように無邪気に私の名を、さっちゃんと呼んで笑って欲しい。 『もう一人で見るのは飽きたよ。また一緒に桜を見に行こうよ』 これは私と、私の大切な幼馴染の忘れることの出来ない過去の出来事だ。 再び幸せが訪れる[完] 最後までお読み頂きありがとうございました。

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