るち

8 件の小説

るち

未読スルー

1日待っても 3日待っても いつまで待っても既読にならない でも2週間ぶりに既読になってリアクションだけ返ってくる それだけで喜ぶ私は 今日もあなたに振り回される

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夏めく二人

「ああ百合香。あなたはどうして百合香なの?」 階段の3段上で莉愛が言う 「ロミオとジュリエット?劇の練習?」 しれっとスルーして言う 「もー無視しないでよー。そーだようちのクラスの文化祭の出し物」 むっと頬を膨らませて言う 普段は大人びた彼女もこういう顔をすると一気に幼く見える 「なんかくじ引きで配役決めたらジュリエット役引いちゃって」 上手く仕組まれたくじ引きだと思った まぁ莉愛以上の適任はいないだろう 少し茶色がかった長いストレートの髪 大人びていてまさに清楚を具現化したような顔 ころころ変わる表情 きっとジュリエットが実在していたらこんな感じなのだろう 「責任重大じゃん。本番見に行く」 「ほんと?で今からちょっと練習付き合ってよ」 キラキラ輝く瞳で言われたら断れない 「ああ百合香。あなたはどうして百合香なの?」 さっきと同じセリフ 「台本通りじゃなくていいの?」 「だって百合香はロミオじゃないじゃん」 すっと息を吸う 「では私も百合香という名を捨てましょう」 3段の段を挟んで私たちの視線が交わる 遠くの方で野球部の掛け声が聞こえる 許されない関係の二人の視線を開いていた窓の枠に止まっていたセミの声が遮断する 「上手いじゃん」 挑発的な笑みを浮かべた莉愛はジュリエットには見えなかった きっともっとジュリエットは幼く純粋だ 「それはどうも」 だけどあの階段の下から見る莉愛はとても美しかった ロミオもバルコニーの下からジュリエットに魅了されていたのだろうか でもここにロミオがいたら間違いなく莉愛の虜になっていただろう ジュリエットより魅力的だ 「ね、帰りアイス買って帰ろ」 いつもの莉愛の無邪気な笑顔が言う 「いいよジュリエット」 「莉愛って言ってよ〜恥ずいじゃん」 莉愛のロミオは誰なんだろう 高身長だが私よりは幾分か小さい莉愛がなんだか遠く大きく感じる 夏の大きな入道雲を背に夏服を着た莉愛がふわりと振り返る。それと同時に彼女のスクバについた大きなリボンもゆれる 「百合香あなたはどうして百合香なの?」 「いつまでやってんの」 ころころと笑う彼女を見て私もふっと笑う 「許されない恋って大変だね」 ぽつりと口から出る くるりと莉愛が振り向いてあの挑発的な表情で 「でもその方が燃えるよ」 そうだよ知ってる だから聞こえないように言った 「ああ莉愛。あなたはどうして莉愛なの?」

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恋のキューピッド

美月 「ね!久世くん、やっぱ美月のこと好きだって!」 親友の莉奈が嬉々として言ってきた。 「え?ほんとに?」 「ほんとだって〜」 その嬉しそうな顔にずきりと心臓が痛む 「でも私に恋人ができたら寂しくない?」 寂しいって言ってよ 「うーん。でも私にとっては美月の幸せがいちばんだから」 まだずきりと痛む 「もう付き合っちゃおっかな」 なにけ何気なく言ってしまった 「え?ほんと?」 びっくりした顔をして莉奈は言った。 「うん。本気」 何よりこの気持ちを忘れたい 「そっか。がんばってね!」 いつもの笑顔で笑った やっぱり私のことなんとも思ってないんだ わかっていたのにどんどん苦しくなる あぁ 言えばよかった 莉奈 3日後美月と久世くんが付き合った 側から見てもまあお似合いな二人だ 久世くんはずっと美月に片想いしていたらしい 幸せそうな二人を見ると少し胸が痛む 自分からけしかけておいておかしな話だ あれから美月と話すときはなんだかぎこちない 「あ、莉奈」 美月がこちらを見る あの美しい黒い瞳が私を捉える 「美月、、、と久世くん」 俺はおまけかよ〜とヘラっと笑う久世くんのが声なんて聞こえない 二人の組まれた腕を見るとなんとも言えない気持ちになる 「田村ー」 美月が先生に呼ばれる 「ちょっと行ってくるね」 その背中を久世くんは愛おしげに眺める 「ありがとな山下。俺が美月を好きって言ってくれたんだろ?」 そうだった。でもあんたのためじゃない。でも 「ほんと感謝してよねー」 悟られないように気丈に振る舞う 「ただいま久世くん行こっか」 幸せそうな美月の笑顔 あぁ 言えばよかった

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月がきれいですね

「月がきれいですね」 「ねー!」 あなたは私がどれだけの思いでこの一言を言ったのかわかんないでしょ 「でもさ、 ぐっとその整った顔が近づく 「沙月の方がきれいだよ」 にこっと笑った顔が言う この言葉は彼女にとっては誰にでも言える言葉であることは知ってる でも 「この人たらし」 ちょっと期待したっていいよね

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下校

「莉子、もう迎え来てる?」 「うん来てるよ!」 嘘  まだ20分は来ない 「今日の部活も疲れたねー」 「それな〜」 このなんともない時間が宝物 「じゃあバイバイ」 正門から駐車場までのたった少しの時間 その少しでもいっしょにいたいの あなたのためなら何時間だって駐車場で待っていられる そして思う 「もっといっしょにいたいな」って

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せんぱい

話しかけた時にゆっくり振り返るのも 部長としてみんなを仕切ってるのも テストか嫌だってわめいてるのも 今日あったことをうれしそうに話すのも 結果が出なくて落ち込んでるのも ポロッとこぼす愚痴も 重圧に耐えれなくなった弱い姿も 全部好き 私だけが見れればいいのに 弱いあなたを私のものだけにできたらいいのに

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花火大会

ドンっとなる花火の音といっしょに言った 「大好き。世界でいちばん」 「ありがと。私も好きだよ〜」 ふわりと笑って言った 違うそうじゃない あなたの好きと私の好きは違う だってあなたは私を友達としてしかみてないんでしょ? ロムアンドの1番のリップを落とせるのは私じゃない もう一度花火が上がる 「そうじゃないよ」 茶色がかった髪が揺れる 「ごめん聞こえなかった!なんて?」 聞こえなくていいよ一生 「ずっと仲良くしてね」 花火が打ち上がったような笑顔で 「当たり前じゃんずっと友達でいてね」 本当はそれ以上になりたいの 叶わないのなら 一生1番の親友でいさせて

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それでもあの子は

あの子が憎たらしい 失礼な態度をとっても どれだけ遅刻しても こちらの気持ちなんか考えなくても 自己中なのも すべて許される だってあの子には実力があるから うらやましくて妬ましくてまぶしいあの子

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