テト

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テト

小説を書いている怠惰な人間です

第4話

 迷子になって1時間経過した。未だに森から出られずにいるが、不定期に出てくる犬やツノの生えたウサギを殺しながら進み続ける。 「そういやグレイの種族と職業って結局なんなの?ただのオオカミってわけじゃないでしょ?」 「あーーー、それはだなぁ....うーん.....まぁ、見せてもいいか。これから一緒に行動するんだしな。」  グレイの空腹度回復のために必要なドロップ品の肉を集めながら聞いてみる。僕のステータスはもう見せてあったので、グレイのステータスが気になったのだ。  ちなみにレベルはもう6になっている。伊達に1時間借りを続けていたわけじゃないのだよ。  グレイは少し悩んだ後に見せてくれた。 ーーーーーーーーーーー 名前 グレイ 種族 原初の駄犬オオカミ Lv5 職業 狼 Lv4 体力 115/115 魔力 107/140 STR 35 VIT 5  AGI 30 INT 20  DEX 15 MND 10 種族特性『嗅覚強化』『気配察知』『原初』『駄犬』 unique magic『原初の存在』 スキル 『風魔法 Lv 2』『闇魔法Lv1』『逃走Lv3』『牙Lv2』『気配察知Lv2』『駄犬Lv4』 ーーーーーーーーーーーーー  グレイのステータスを見た瞬間、僕は思わず笑ってしまった。『原初の駄犬』、ルピでオオカミって書いてあるが、どこからどう見ても駄犬としか読めないのである。 「あはははは、何この種族!」 「くっそ、だから見せるのが嫌だったんだ。お前は人形でよかったな!チクショウ!」 ......しばらく笑い転げた。 「はぁ、はぁ、ふふふ、よくその職業選んだね。」 「これよ、ランダムで出た瞬間強制的にこれになったんだ。ふざけんなって思ったけどレア種族ならいいかーって思ったんだよ」 「そしたら人間に狩られたと....」 「ああ、もう踏んだり蹴ったりなんだよ。」  グレイの、駄犬のステータスを笑いながら歩いていると、木と木の間に白い人工物が見えたような気がした。  急いで駆け寄ると、それは神殿だった。 「これって神殿だよね。」 「ああ、神殿だな。もしかしたら人いるかも知れねぇし入ってみようぜ!」 「まぁ、ダンジョンだったらそれはそれで美味しいしね!」  警戒もせずに神殿に入ると、そこには何もなく、神殿というよりも内装は教会に近かった。  一番奥の男の子?の像の前に誰かいる。 「すみませーん。迷子なんですけどー、道教えてくれませんかー。」 「ああ、迷子なんですね。道なら教えられますが、その前にあなた方の信仰する神を教えてくれませんか?」  その人物の声は高く、近づくにつれその人物が少年だとわかった。  それにしても信仰する神か、リアルでもこっちでも特に神を信仰していたりはしていないな。アバター設定中も特に言われなかったし。 「私もこの駄犬もどの宗教にも入ってないと思うよ?」 「おい、俺はオオカミだぞ。」 「それならちょうどいい、ちょっと信者になってみませんか?」  それちょっとって言いながらやめるのは無理ですとか言うやつでは? 「正直信者なんていませんし、むしろ覚えてる人いるのってレベルですけど、」 「え、信者いないならお前はなんなんだよ。こんなところに住んでるなんて正気とは思えないぞ。」  おい駄犬、失礼なことを言うな。もしかしたら家がないからしょうがなく住んでるホームレスかも知れないだろ。 「ふふふ、僕ですか。  .......ふふふふふ、いいよ。教えてあげる。僕こそがこの神殿で崇められている神、『フリー』である!。その名の通り自由を司っているよ。」 「え、神さまなの!?口調も変わってるし、入信してもいいけど、規則みたいなのはないの?」  少年は神だった。いや、これだとショタコンみたいだな。まあいいや。駄犬は神だと知って驚いていたが、ゲームだしそんなこともあるだろって言ってすぐに入信しようとしていた。 「規則はないね。強いて言うなら『とにかく欲に忠実に』かな。まあ、それだけだね。それで、入信してくれるの?」 「まあ、それならいいよ。入信しようじゃないか。僕はメア、こっちの駄犬がグレイ。」 「よろしくな!俺、男の娘は頑張ればいけると思うぞ!」 「あ、ああ、よろしくね。メア、グレイ。早速入信の儀をするから右手出して。」  フリーが僕たちの右手に手を乗せると少し光って、その光が収まると、そこには黒い鳥が羽ばたいているマークがついていた。 ーーーー眷属化を確認。種族の変更を強制的に行います。  これで僕たちも晴れてフリーの眷属.....え、眷属?信者じゃなくて? 「ちょっと待って神様、なんか眷属化したって言われたんだけど!?」 「え?あ、あ、あーーーーー!?ごめん!ミスった、これ入信の儀じゃなくて眷属化の儀だ!」 「え、俺どうなっちゃうの?ねえ、誰か教えてよー!」  駄犬が横で騒いでる。  駄犬を見るとなんか身体中が真っ白な光に覆われていて、フリーはそれを見て諦めの表情を浮かべていた。 「ごめんよ。グレイ君、多分君は眷属になった影響で種族が大きく変わってしまったのかも知れない。まあ、運が悪かったとでも思ってね。」 「駄犬、もしかして駄犬をやめちゃうの?」 「やめれるならやめてぇよ!」  あ、駄犬、その姿で喋らないで。眩しいから。  というか僕はひかってないから種族が大きく変わらなかったということなんだろうな。  (駄犬、君はいいやつだったよ。君のことは寝るまで忘れないからね。)  駄犬への未練を残しながら、僕はステータスを開いた。  なお、駄犬はいまだに光り続けていた。 「俺はいつになったら元に戻れるのー!?」 ーーーーーーーー〜 後書き 種族 原初の駄犬  それはこの世界の創造神(運営)があそびで作った存在である。運営は言った。 「ランダム選ぶやつにはこれで十分だ」と。 『駄犬』  駄犬は自分をオオカミと思い込んでいる。それにより、何かが変化するわけでもない。強いて言うなら弱い人間が少し怖がるだけで、強者には効かないだろう。  そして、この特性は消えることは絶対にない! 「威圧」 『原初』 あなたは原初の存在です。まだ何も進化していない低スペックの犬です。言いたいことを一言にすると、「努力しろやこの駄犬が」というところでしょう。 「進化に補正」

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第4話

第3話

 盗賊達をぶち殺した後、少し休憩をとることにした。まわりに落ちている盗賊の死体は見ぐるみ剥いで一箇所に集めてある。金になりそうなものは盗賊のかしらがもっていたゴテゴテな装飾のついたネックレスだけだった。 「金になりそうなもの持ってたけどこれ売るとしたら最低でも街の中に入らないといけないか.....。  ま、考えるのはステータス確認した後にしよっと!」  とりあえずステータスの確認を開始! ーーーーーーーーーーー 名前 メア 種族 人形 Lv4 職業 悪者 Lv2 体力 190/190 魔力 145/145 SP:9 STR 25 VIT 5  AGI 25 INT 15   DEX 20 MND 10 種族特性『人形』『再生』 『unique magic』『呪いの人形』 固有スキル 『殺生』 スキル 『人肌』『犯罪Lv1』 『短剣Lv2』『隠密LV2』 『操糸Lv1』 ーーーーーーーーーーーーー  SPは1レベル上がるごとに3もらえるようだね。もらえたSPは全てAGIを上げるのに使う。  急所を狙えば殺せるからSTRなんてものはいらない子なんだ。  AGI 25→34  少しだけ走ってみる。 「うん、多分早くなった.....はず」  結果、よくわからなかった。まあたったの9だけだからね。そんなものだよ。自分を納得させて、新しいスキルを確認する。 「スキル名は『殺生』か。固有スキルだから強いといいけど、簡単に取れちゃったしね〜」  あんまり期待はしない詳細を見る。 ーーーーーーーーーーーー 『殺生』  殺すも生かすもあなた次第。でもどうせあなたは殺ししかしないんでしょう? 「人族特攻・中」「善人特攻・中」「住人特攻・中」 ーーーーーーーーーーーー  急にYes/Noが出てきたからYes押しちゃったけど結果的に人間特攻が3つになったからよしとしよう。Noを選んでたら回復系のバフがついたのかな?  スキルを確認して一息ついたあと、自分がまだ試していなかったことがあることに気づく。 「そうだ、味覚も感じられるなら人間の味を知れるじゃないか!」  思い立ったが吉日ということで、先ほどの盗賊の死体を漁ってちょうどいい大きさの腕を見つけると、腕を切り取ってくる。服が血で汚れるけど、盗賊を殺した時に真っ赤に染まっちゃってるので問題なし! 「あ、火がない!....つまり、生で食えってことだよね」  とりあえず切り取った肩に近い方からかぶりつく。初めに血の味がして、本当に生肉をそのまま齧ったような食感がして、やっぱり不味かった。 「ネットに書かれてたのは本当だったんだね。確かに不味かった。血は美味しくても肉が不味かったら誰も食わないか」  とりあえず、血だけ吸ってると、近くの草むらから『ガサガサ!』という音が聞こえた。 「ん、盗賊の仲間かな?」  腰の短剣に手をかけて様子を見る。すると、ついに相手は草むらから飛び出してきた。 「死に晒せぇぇぇぇ!.....え?」  出てきたのは灰色の狼。それも人間の言葉を喋るプレイヤーだと思われる狼。  彼は出てきてすぐに盗賊の死体が目に入り、次に人間の腕を持って全身血まみれの僕をみて止まった。 「わぁぁぁぁぁぁ!!!ば、化け物だあああ!?」 「いやどっちかっていうと喋る狼の方が化け物でしょ」  僕たちは数秒見つめ合い、狼が失礼なことを言ってきたのでツッコミを入れてしまった。  血まみれの人間は化け物っていうより普通に殺人鬼だと思う。 「いや、なんで人間殺してるの!?お前人族だろ?」 「いやいや、僕人間じゃないよー。お人形さんだよ〜」 「だとしても人は食わないでしょ。イカれてるな!」  なんか狼さんと少し話したら仲良くなった。というか狼さんも血まみれの人間と話すあたりイカれてるよね。 「なぁ、俺さぁ、このゲーム初めてから初めてすぐに人族プレイヤーに殺されてさぁ....」 「え、なんかはじまったんだけど?」    なんかグレイが急に話し出した。あ、グレイってのは狼さんの名前だよ。  話をまとめると、僕と同じくレア種族になったがリスポーンするたびに人族プレイヤーに殺されまくっていたが、どうにか逃げ出したそうだ。  そして逃げ出したはいいものの痛覚も最大になっている状態で何度も殺されたせいで、ゲームを続ける気力がなくなり、とぼとぼ歩いていたらここにたどり着いた。ということらしい。 「大変だったんだねぇ〜.........よし!グレイ、僕の相棒になってよ。」 「はぁ?そりゃまたなんで?」 「ふふふ、よく小説でさ、冒険する時に相棒に犬とか猫とか相棒がいるキャラがいるじゃん。僕、ちょっと憧れててさ。」  狼は犬じゃない?そんなのは知らん。私が犬って言ったらそれは犬だ。 グレイは少し考えてからオーケーを出した。 「まあ、このままやめるよりはいいだろ。それにな、俺はボクっ娘は好きだからな!」 「え、すけべ犬だ〜。駄犬だよ駄犬!」 「俺は狼だ!犬と一緒にすんな!」 「すけべは否定しないんだね......」  僕たちは会話を楽しみながら街へ向かって歩き出した。 そして、数分後に迷子になった。 後書き グレイ「俺はロリもお姉さんも貧乳も巨乳もいけるぜ!」 メア「守備範囲広いね。オネエは?」 グレイ「それは無理!あとケモナーって人種もだ。」 メア「オネエはまあいいとしてなんでケモナー?」 グレイ「あいつらよ、俺を追いかけてくる時、口から涎垂らして目が血走ってたんだ。俺は全力で逃げたね」 メア「確かにそれは怖いね」

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第3話

第二話 盗賊とお宝

 扉をくぐると急に内臓が上がる感覚がして、目の前が暗くなった。すぐに自分が目を閉じているだけだと気づいて目を開けてみたが、やはり暗いままだった。   どうにかして動こうとしてもすぐに壁に当たってしまい、動くことができない。  それと、どうやら僕は今体育座りをしているようで、それに加えて箱の中にいるらしい。それも体の一回り大きいくらいの大きさなので自由に動けないのだ。 「どうなってんの、これ?」  とにかく、どうにかして動こうともがいていると壁を蹴り破ることができた。  壊れた壁から外に出てみると...どうやらどっかの洞穴の中らしく、石の壁と松明があり、僕の入っていた箱の近くには宝飾のついた剣や首飾りなどが置かれていた。 「え、お宝が置いてあるとか絶対危ないとこじゃん。LV1のステータスでどうしろと? マジでイカれてるわ運営」  リスポーンした瞬間もう詰みそうということに驚きながらもこれからどうするか考える。  考えた結果、とりあえずステータスを確認することにした。まずはスキルの確認をしないと戦えもしないだろうし......  ステータスの確認法は簡単だ。ステータスって口に出していうか心の中で念じるだけだ。 「『ステータス』」 ーーーーーーーーーーー 名前 メア 種族 人形 Lv1 職業 悪者 Lv1 体力 190/190 魔力 145/145 STR 25 VIT 5  AGI 25 INT 15   DEX 20 MND 10 種族特性『人形』『再生』 異能『呪いの人形』 スキル 『人肌』『犯罪Lv1』 『短剣Lv1』『隠密LV1』 『操糸Lv1』 ーーーーーーーーーーーーー  ウィンドウが出てきてそこには僕のステータスが書かれていた。改めて見てみると僕の防御力が紙すぎて泣けちゃうね! 後悔はしてないけどさ......  それでは種族特性から順番に効果を確認していきましょう! ーーーー種族特性ーーーー 『人形』  あなたは人形です。人形には呼吸の必要もなければ食事の必要もありません。そして状態異常も一部を除き効くことはないでしょう。ですが、木製ゆえに燃えやすいです。火には気をつけましょう。湿気にも弱いので水にも気をつけないといけません。 『呼吸不要』『火属性耐性−100%』 『食事不要』『状態異常無効(一部を除く)』『水属性−50%』 『食事によるバフを受けない』 ーーーーーーーー 『再生』  その人形はすぐに治る魔法の人形です。体力が常時わずかに回復し続けます。 『自動回復 2%/分』 ーーーーーーーーーーーー 「え、状態異常効かないってもうチートじゃん。それにご飯も食べなくていいし呼吸も必要ないなんて.........さすがレア種族。それに自動回復も強い! 運営様さっきは悪口言って申し訳ございません。」  みんなは運営にイカれてるとか言っちゃダメだぞ?感謝してゲームを楽しもう。  手のひらクルクルさせたところで次に行こう。種族特性の次はスキルを見ていくぞー! ーーーースキルーーーー 『人肌』  あなたの肌はまるで人間のような触感を持っています。ですが体内は人間と同じではありません。血も流れていなければ、内臓も形だけ、ですが言わなければ人形だとバレないでしょう。 ーーーーーーーー 『犯罪LV1』  あなたは犯罪を犯しました。罪を犯したものはこの世界の住人から嫌われ、衛兵に見つかると捕まります。 ーー『住人からの好感度低下・大』 ーーーーーーーー 『短剣LV1』  短剣をうまく使うためのスキル。スキルレベルを上げると武技が解放される。 LV1--------『スラッシュ』  相手に向かって横一文字に切り裂く。剣系スキルの初期スキル ーーーーーーーー 『隠密LV1』  自らの気配を消して相手から気づかれにくくする。LV1ではあまり効果がない。 ーーーーーーーー 『操糸LV1』  糸を操り橋をかける、敵を殺す、相手を拘束する。使い方はあなた次第。 ーーーーーーーーーー 「いい感じじゃないかな?特に操糸とか厨二心がくすぐられちゃうよ! ......まずはここからの脱出からかな?インベントリにお宝を詰めたら外の確認して、敵がいたら殺せそうなのは殺してさっさと出よう。うん、こんな感じで行こう!」  これからの計画を立てると早速お宝をインベントリに詰め込み始める。  結構な量があり、正直インベントリがなかったら諦めていたかもしれない。  因みに元の所持金は0でした。人形には金なんて必要ないってことなのかな?食事とかも必要なさそうだし.......  でもそこに金があったんだから仕方ないよね!僕は悪くない!  全てをインベントリに入れた結果10万リーンとちょっと豪華な短剣を手に入れた。初めにどれくらいもらえるのか知らないから多いか少ないかわからないのが悲しいところだね。 (リーンはこの世界のお金の単位で円と変わらないらしい)  短剣は初期装備と交換した。こっちの方が切れ味良さそうだったからね。  お宝を手に入れて満足したのでこの金庫らしき部屋から顔だけだして周りを確認する。  すると、こちらに背を向けている何人かの盗賊らしき男達が目に入った。  どうやらこの洞窟は浅くて、奪った金を隠すためだけに使っているらしい。 火を囲んで酒を飲んでいる盗賊達のいる場所は洞窟からはみ出ている。  幸いにも僕の姿はちょうど日に照らされた盗賊の影で見えなくなっているので気づかれてはいない。  「頭さえ殺せばどうにかなるかな?」  とにかく逃げるのにも皆殺しにするのにも司令塔は厄介なので『隠密LV1』を発動させて一番体格のいい男の後ろへ忍び寄る。  盗賊たちは警戒なんてこれっぽっちもしていなかったので簡単に近づけた。 「『スラッシュ』」 「ぐげッ!?」  盗賊の首めがけて短剣を力いっぱい振る。拾った短剣は見事に盗賊の首を切り裂き、盗賊は血を噴き出して死んだ。 (血が出てるのは設定でグロ描写OKにしてあるから)  自分達のリーダーが殺されたことに気づいた盗賊たちはすぐに立ち上がって武器を構えるが、酒で酔っているのか少しふらついている。武器は全員片手剣で手入れもされていないのかボロボロだった。 「テメェ、なにもんだぁ!」 「僕は悪役だぁ!」  盗賊に返事をしながら僕は盗賊の鬱の一人に向かって走り出して直前でジャンプする。それで一気に喉に向かって短剣を突き刺す。  急接近してきた僕に驚いて行動の遅れた盗賊はなにもできずに喉から血を噴いて倒れた。 「くそ、テメェよくもやりやがったな!  おい、全員で一気にやるぞ!」 「はっはっは、何人で来ようとも君たちが雑魚なのには変わりないね!」  残りの盗賊たちが一斉に襲いかかってくる。ただ、雑魚って言ったってレベルは相手の方が上だ。攻撃が当たれば死ぬし、急所以外に攻撃を当てても死なないだろう。  でも逆に急所にさえ当てられれば殺せるっていうことだ。だから明らかに格上の頭も一撃で葬れた。  向かってくる盗賊は4人。連携もクソもない動きで近づいてくるので1人に向かって走る。  そして今度は直前で相手の股の下へとスライディングしてそのまま股間を切りつける。 「ぎゃぺ!?」 「おぉ、痛そうだね。楽にしてあげる!  『スラッシュ』!」  相手の後ろに回ると頭上に向かって飛んで、首にスキルを撃ち込む。そうしてまた一人減った。 「死ねぇ!」 「はは、これあげるよ!」  近くにいた一人が切り掛かってくる。 僕は近くにあったまだ倒れてない盗賊の死体を相手に蹴り飛ばした。楽しくてたまらなくなってきた。 「くそ、邪魔だ!」 「よそ見はダメだよ〜」  死体を突き飛ばしてどかした盗賊へと死体に隠れて接近してジャンプ。  そのまま目に短剣を突き刺した。そして無理矢理スキルを発動させる。 「ぎゃ!?目が、めがぁあああ!?」 「さよならの『スラッシュ』!」  短剣を無理矢理横へ引っ張っが骨は切れなかったので盗賊は短剣の軌道に引っ張られるように地面へと投げ出され死んだ。  短剣はずるりって感じに抜けた。血で汚れて初めのような綺麗な短剣では無くなってしまっていた。 「な、なんなんだよ、テメェは!?」  完全に怯えて動きの鈍くなっている残りの盗賊二人をちゃっちゃとかたづける。 〈種族レベルが上がりました〉 〈職業レベルが上がりました〉 〈短剣スキルがLV2になりました〉 〈隠密スキルがLV2になりました〉 〈跳躍スキルを獲得しました〉 〈この世界で初めて人間を殺しました〉 〈固有スキル『殺生』を獲得しました〉  戦闘終了と同時に大量のアナウンスが流れた。まあ、LV1で戦ってたからね。  それにしても誰も人を殺してないってみんな良い子ちゃん過ぎない? あ、異能使うの忘れてた。

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第二話 盗賊とお宝

Fantasy World Online 第一話ログイン

 僕はこれからVRMMOをする。ただのVRMMOではない。新しく売り出され予約を奇跡的に取ることのできた『Fantasy Wrold Online』だ。このゲームは本当の異世界に行ったように思えるくらいNPCとの会話に違和感がなく、5感がはっきりしているという。痛覚は設定で変えられるとのこと。(CMで見た)  僕は痛覚最大でやってみようと思っている(Mじゃないよ)。ゲームをするための準備をおえてゲームの世界へログインする。 「ログイン、『Fantasy World Online』」  僕は落ちたような感覚の後、真っ白な空間にいた。 「こんにちは、ここであなたのアバター設定をサポートするAIの01です。まずはお名前を設定してください」 「名前は『メア』でお願いします。」 「.........はい、重複がないようなのでこのまま次へ進みますね。」  メアは僕がゲームをするときによく使う名前だ。『ナイトメア』みたいにかっこいい(厨二な)名前が使えなくて、文字を削っていってやっと使えたのがメアだったのだ。意外と気に入って使い続けている。 「次はアバター作成ですね。身長や体重を変えすぎると現実での生活に影響が出ますのでお気をつけください。また、種族によっては少しだけアバターが変更される場合もあります。」  そう言って表示さえたのは現実の僕の姿だった。中性的な顔で身長は150cmちょっとの女が僕だ。顔は可愛い方だと思っているので変えずに髪の毛の色と目の色を青にした。  かっこいいと思う(自画自賛) 「これでお願いします。」 「わかりました。次は種族を決めましょう。ランダムを選ぶとレア種族が出てくることもあります。ランダムで出た種族は強制的に決まるわけではないので一度挑戦してみてください。」  レア種族、なりたい。何かしらのデメリットとかありそうだがそれでもなってみたいと思う。  こちとら厨二病だぞ!デメリットのある種族とか憧れるだろ!  まぁ、そんなわけで僕は『ランダム』を選んだ。 「ランダムでおねがします」 「わかりました。  .....出ました。レア種族『人形』です。よかったですね。」 「ちょっと待って、それ種族なの?置物とかじゃなくて!?」  AIは無表情で結果を伝えてきた。 やはり人形は種族じゃないと思うのだが、ファンタジーだから許されるのだろうか。 ーーー種族『人形』ーーー  お人形のように可愛い子とかそう言う意味ではない。体はどこで採れたのかもわからない木でできているが、種族特性によって触り心地も色も人間と変わらない。 ーーーーーーーーーーーー なんの木材でできているのかわからないのは不安ではあるが、どうせ木材の知識なんてないのでわかっても意味がないと思い、レア種族ならということでこれを選ぶことにした。 「次は職業を決めましょう。職業にもレアな職業が出るランダムがあります。」  ランダムを引いても特に強制的にそれを選べとかならないならば引くしかないだろう! 「ランダムで!」 「わかりました。  .....出ました。レア職業『悪者』です。種族だけではなく職業もレアとは、贅沢ですね」  そんなこと言わないでよ!というか悪者って職業じゃねぇよ。ここの運営どうなってんだ。.......多分これを選べって神(運営)が言ってるんだ。そうに違いない。  無理矢理自分を納得させる。 「最後はステータスとスキルを決めましょう。初めに持っているステータスポイントは100で、スキルは5つまで選べますがあなたの種族『人形』と職業『悪者』には必ず取得しなければならないスキルがあるので選べるのは2つです」  強制的に取得する必要があるスキルがあるって聞いてないんだど.....  ステータスはとりあえず攻撃は全て避ければ問題なしの精神でVITとMND以外を上げた。 ーーーーーーーーーーー 名前 メア 種族 人形 Lv1 職業 悪者 Lv1 体力 190/190 魔力 145/145 STR 25 VIT 5  AGI 25 INT 15   DEX 20 MND 10 種族特性『人形』『再生』 異能『呪いの人形』 スキル 『人肌』『犯罪Lv1』 『短剣術Lv1』『隠密LV1』 『操糸Lv1』 ーーーーーーーーーーーーー  まあ、ステータスはこれでいいだろう。  けど、異能ってのがよくわかっていない。AIに聞いてみる。 「すみません。異能ってなんですか?」 「はい。異能はあなたたち一人一人に与えられる必殺技的なものです。初めはテキトーに決まりますが、あなたがどのような行動をするかによって名前も効果も変わっていくのです。  ではステータスの設定が終わったようなのであちらの世界へ送ります。あなたの後ろにある扉から出ればもうそこはゲームの世界です。存分にお楽しみください。」 「あ、はい、ありがとうございました」  AIは説明を終えると消えた。  僕はお礼を言うと扉を開け、ゲームの世界へと進んでいった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『呪いの人形』  子どもを笑顔にするために生まれた人形。だが、笑顔にするはずの子供は殺され捨てられ忘れられた人形。  人形は悲しみ持ち主を殺した者を恨んで呪って呪って呪い続けてついには呪殺した。 『ねえ、お人形さん。私のお願い、聞いてくれる?』 ーーーーーーーーーーーーーーーー 初期装備 頭 なし 胴 汚れた人形の服 脚 汚れた人形のズボン 足 汚れた人形の靴 アクセサリー なし・なし 武器 初心者の短剣 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 作者『誤字があったり、直したほうがいいところがあったらご指摘お願いします』 種族と職業でLvを別々にすることになりました。ステータスポイントは種族レベルが上がった時にもらえます。職業レベルが上がってももらえません。 HPは(STR+VIT)×3+100 MPはINT×3+100 となっていて、だいぶテキトーに決めてます

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