( '-')@クソ体調不良
5 件の小説( '-')@クソ体調不良
ただの学生です。 投稿頻度や投稿内容は詳しく決めておりませんが、インスピレーションが湧いてきたらここに垂れ流すようにするつもりです。 カスの文章力と深夜テンションでタイピングしておりますのでお手柔らかに。
【短編】生きる意味
※こちらは自殺に関係するストーリーです。作者の勝手な解釈も含まれますため苦手な方はスキップすることを推奨します。 朝の新鮮な空気を吸いに訪れたアパートの屋上。隅のフェンスの向こう側に、その女は立っていた。 髪はボサボサで服装もだらしなく、身体のやつれ具合は精神の疲労を物語っている。十中八九、ここから飛び降りるつもりなのだろう。 こういう時は率先して止めろと色々な所で教わってきた。だから僕はもちろん声をかけようとして──踏みとどまった。 世の中では自殺防止がよく語られる。自殺関与なんて罪もあるくらいだし、生きていたら楽しいことあるよとか、辛いことは何でも話してとかなんとか言って止めるのが正義なのだろう。 正直言って、その程度で自殺を踏みとどまるような人間は自分の力で精神を持ち直せるだろう。 人に裏切られたのか全てを奪われたのかは知る由もないが、本当に本当に人生に疲弊して早く楽になりたいような人間に「きっといい事あるよ」なんて無責任な事を言える自信なんて僕にはない。相手をろくに理解せず偽りの希望を抱かせるなんて残酷なことはしたくない。 顔を上げると、その女は宙に躍り出ていた。 早朝の風に揺られ、錆びたフェンスが軋む音だけが屋上に残された。心の奥のわだかまりを誤魔化すように、僕はそそくさと屋上を後にした。 仲の良い友人が死亡したとの知らせが入ったのはそれからしばらく経ってからのことだった。 話によると、飛び降り自殺した女性に頭から衝突し即死だったという。 発見された場所や時刻、女性の特徴を聞くうちに、嫌な汗が肌を伝った。 あの日あの場所から飛び降りた女…聞いた時間も容姿も、その女と完全に一致していた。 あの時女を止めていればあいつは死ななかったのか? これが生きる意味なのか? 「きっといい事あるよ」なんて言葉を信じていなかったのは、僕の方だったのか?
通知ガチャ論
携帯電話の通知はいわばガチャである。 通知が鳴るシステムといえばSNSの投稿やメッセージツールなど多岐に渡る。これを試しにガチャと見なしてみよう。 携帯電話から通知音がなる度、我々は一回ガチャを引いている。起動して詳細を開くまで結果──どんな内容の通知かは分からない。割とどうでもいいシステム通知である可能性も、仲のいい人からのメッセージである可能性もありうる。 これにランクを付けてみよう。 たとえばゲームやアプリのシステム通知は簡単に起こりうるから星2。フォロー中のアカウントの投稿は少し上がって星3、誰かからのメッセージだと確率の低い星4といった具合だ。 星5、星6の高ランクはいわば気に入っている人や仲のいい人からのメッセージだろう。引けた時には思わず気が高揚し、幸福を得られる。 これを「通知ガチャ」と名付けよう。 ではガチャでおなじみ「すり抜け」は何なのだろう。ここで一つの例を考えてみる。 たとえば好きな人を遊びに誘ったとする。そこから暫く待って通知が鳴るが、SNSやゲームの通知ばかりで中々本命を引けない。 五十連、六十連と引いた頃にようやくその人からの通知が来る。だが内容を確認してみると、都合が悪くて行けないとの文字が飛び込んでくる。この場合はどちらかというとショックの方が強いだろう。 これが「すり抜け」だ。確かに送り主のランクは高いが狙っていた結果は得られない。爆死である。 今こうして文章を打っている間にも、そこら中では通知ガチャが引かれている。ある者は神引きをし、ある者は大爆死をする。 画面越しのあなた方は果たして何をゲットできるであろうか。
【短編】はい、これ
「あれっティッシュどこやったかなぁ…まさか忘れた?」 始まったばかりの高校、俺は机の上にこぼれた珈琲を前に突っ立っていた。机から溢れ出すほどこぼしてはいないが、高校生活の初っ端からやらかして若干気まずかった。面識のある人なんていないし、誰かから借りるしかないか。 「はい、これ」 急に後ろから声がした。振り返ると、クラスメイトであろう男子がティッシュを俺に差し出している。身長も顔立ちも普遍的だが、どこか純粋さを感じる目が印象的だ。 「え…あぁ、ありがとう…」 突っ立ってるのもあれなので有難く受け取る。なぜ知らない人にこんなに親切にしてくれるのだろう?というかこいつの名前なんだっけ? 「あぁ悪ぃ、自己紹介忘れてたな。 俺は須藤晴輝。ハルって呼んでくれ」 「あぁ…俺は渡辺伸吾。渡辺でいいぞ」 名を尋ねる前に言ってくれた。心が読まれているようで少し不気味だった。 「やっべ筆箱置いてきちゃった…寺野か中川に借りよっかな…」 「はい、これ」 「あっハル!いいのか文房具一式借りちゃって?」 「無問題だ!ペンはいっぱいあるからな。」 あれからハルとは友達になった。第一印象は気味が悪かったが話してみると意外と気さくで面白いやつだった。今も何か探していると矢のように飛んできて貸してくれるので非常に助かっている。 「そういや二限英単語テストだったよな。ちゃんと覚えてきたか?」 「そりゃ当然よ。 用意周到なんだ、俺」 「へーそうかい…じゃあ『desire』って何だ?」 「えっと…食欲?」 「『欲望』だよ馬鹿野郎w」 (暑っつ…やっぱ夏ってクソだわ…) 時は8月上旬。気温は夏本番というのにこの学校には課外授業なんてものが存在した。それだけならギリ許すが、なんと教室のエアコンの故障という重大なトラブルも発生していたのでタチが悪い。 「はい、これ」 冷たい感触が頬に触れる。振り返ると冷えた天然水のペットボトルを持ったハルがいた。 「おっハルじゃん!…それくれるのか?」 「あぁ、やるよ。お前水筒忘れてそうだったもんなw」 図星である。寝坊してドタバタしていたためうっかり置いてきてしまった。 「まじ?ありがたく頂くわ〜。 しっかしこうも暑いとなにかこう…」 「はい、これ」 「えっ団扇!?そんなのも持ってたのか! ありがとうちょうど欲しかったんだ!」 団扇を仰ぎながらハルを見つめる。この間言ってたとおりこいつは用意周到だ。休み時間でも放課後でも、一緒に行ったカラオケやオープンキャンパスでだって色々貸してくれる。ハンカチや文房具、付箋…例をあげればキリがない。 もしかしてこいつ超能力者なのか?俺が欲しいものを的確に持ってるし、いつどこにいても気づいたらそばにいる… 「どうしたそんな見つめて?顔にゴミでもついてたか?」 「いや?ただ…頭頂部に虫が…」 「は?…うわっ!!お前そういう事は早く言え!!」 ヘドバンしながら虫を追い払う彼の姿は滑稽だった。 「あっハル!そういえばお前こっち方向だったっけな」 「おっ渡辺じゃん。部活どうした?」 「顧問休みで無くなったのよ。今日は早く帰れるぜ〜」 夕暮れの路地を並んで歩く。九月になったとはいえまだまだ暑い。 「はい、これ。お前汗びっしょだぞ」 ハルがフェイスタオルを差し出す。 「いいのか?」 「安心しろ、今日は一回も使ってない。汗かかないんだよなぁ」 「それはそれで大丈夫か…?」 結構歩いたがハルはまだついてきている。結構近所なのか。 「あっそうだ。はい、これ」 「えっこの前言ってた最新刊じゃねーか!?貸してくれんのか!?」 「もう読んだし貸してやるぞ。一週間で返せよー」 「感謝感激!! …あっ、もう家着くな」 家の鍵を取り出そうとカバンのポケットを漁る。 「…あれ?鍵どこやったかな…」 カバンを地面に置き、探りを入れる。だが定位置から移動させた記憶はない。 まさか無くした?面倒なことになりそうだ。 厄介なことに共働きの両親が帰ってくるまでまだ時間がある。それまで家に入れない訳だがどうやって時間を潰すか… ふいに、背後から声がした。 「はい、これ」
【短編】邪魔だから
幼稚園児の頃、初めてポイ捨てをした。 お父さんの車でドライブしていた時、コンビニでアイスを買ってくれた。美味しくてすぐ食べ終わっちゃって、残ったパッケージで遊んでいると、 「車が汚れるから外に捨てなさい」 って言われた。わたしは素直に従った。 仕方ないよね、汚いから。 小学生の頃も、よくポイ捨てをした。 お母さんと散歩していた時、たまたまあった出店でかき氷を買ってくれた。ふたりで一緒に分けたら容器はあっという間に空になり、捨てようとゴミ箱を探しに立ち上がると、 「面倒だしその辺に捨てちゃっていいわよ」 って言われた。わたしは素直に従った。 仕方ないよね、面倒だから。 中学生、高校生と時が経っても、ポイ捨てはやはりわたしの選択肢の中にあった。 放課後寄り道して買ったガムの包み紙。カフェでテイクアウトしたラテのコップ。飲みかけのペットボトル。 だって持ってても邪魔なんだもん。ゴミ箱探すのも持ち帰るのも面倒だし、こんなゴミさっさと手放したい。誰も見てないし、いちいち責められる義理もない。 仕方ないよね、邪魔なんだから。 運動がてらに寄った大きめの公園。ダイエットしたいから、今日はここでジョギングしよう。 公園の端にあるジョギングコースに入り、ちょうど食べ終わったクレープの包み紙をくしゃくしゃにして脇の芝生に捨てた。 大丈夫。みんなやってることだし、どうせ誰かが掃除してくれる。 歩き始めて30分。こんなに長かったっけ、このコース。 足を止め、持ってきた水を飲み干す。15分もあれば外に出られるはずなのに、相変わらず周りには木々が生い茂っている。 引き返そう。そうすれば元いた場所につく。 わたしは飲み終わった容器を放り投げ、スタート地点へと足を進めた。 歩き始めて1時間。 一向にスタート地点が見えない。それどころか、木々の隙間を覗いても外の景色が見えてこない。 足が限界を迎えそうだったので道端に座り込む。ふと、茂みに放り込まれたゴミの数々が目に入る。 汚いからか、面倒だからか、誰も拾って捨てようとはしていない。捨てられたままの位置で、ずっと佇んでいるように見えた。 動けもせず、ずっと。 冷や汗が頬を伝う。 もしかして、わたしも捨てられた? ポイ捨てばかりするいらない子だから? 意地汚いから? 面倒だから? 邪魔だから?
【短編】神絵師の腕
「ほいよ…こいつが目当ての品だ」 ドサッと乱雑に置かれた「それ」は、薄汚い灰色のボロ切れに抱かれるように包まれていた。漂ってくる若干の腐敗臭と布に付着した赤黒いシミが異様さを醸し出している。 「見て驚くなよ」 目の前の不潔な男の声で、僕は唾を飲んだ。 そもそもこの路地裏の奥の暗い部屋に案内されたのは、「神絵師になりたい」という僕の願いを行きつけの喫茶店にいたこの怪しい男に打ち明けたからだ。この犯罪臭のする布切れの中に本当に神絵師になれるなにかが入っているのだろうか。 中身を覗き、僕は戦慄した。 腕。二の腕から指先までの、大人ほどのすらりとした腕。生気のないその肌は不気味だったがどこか妖しい美しさを秘めていた。 「希少部位…『神絵師の腕』だ。個体数と回収方法が厄介で滅多に出回らない。一部のコレクターやお前のような夢を追う者が文字通り喉から手が出るほど渇望している代物だ。」 話を聞くに、これの持ち主はいわゆる神絵師だったそうだ。定期的に美しいイラストをSNSに投稿していたが、ある日を境にぷっつりと投稿を途切れさせ──失踪してしまったとか。 そんな人の腕を取ってきてどうする?腕がひとりでに絵を描いたりでもするのか? 「それで…これ、どうすれば…」 「簡単だ。 食え。まるごと、全部。」 「え…?」 「当然だ。『人魚を食うと永遠の命を手にする』みたいな俗説を聞いたことがあるか?それと同じだ。」 食べるといったって、人肉を食らうという行為の想像なんてつきやしない。そもそも本当に食べていいのか?何かの事件の陰謀として利用されているだけじゃないのか? 「疑ってるのか?君みたいな未来ある人物を応援したかったのだが…残念だ。今回はなかったことに──」 「…食べます」 「…そうか。 まぁ、煮るなり焼くなり好きにしろ。」 持ち帰って丸焼きにして食べた。結構いけた。 あれから、僕の絵の技術は飛躍的に上昇した。昔は違和感を抱かなかった自分の絵の歪みや矛盾が驚くほど見つかり、改善を重ねて磨きをかけていった。スケッチや模写を繰り返しているうちに今までになかった創作意欲が掻き立てられ、浮かんだアイディアをつぎ込める一次創作にもてをだした。画法についても、今まではネットで眺めて「どうせできない」と避けていたちんぷんかんぷんなやり方を次々と試し、己の知識を蓄えた。 興味のなかったSNSも始めてみた。最初こそ閲覧数が雀の涙だったが次第にいいねやブックマークが増え、いつしか数十万のフォロワーを抱えるアカウントになっていた。依頼や出版などのお仕事も舞い込むようになり、脱ニートにも繋がった。 本当に…あの腕はすごい代物だ。いつかあの男と再開したら、ちゃんとお礼を言おう。 今はちょうど入稿作業中だ。珈琲でカフェインを吸収しているとはいえ、深夜はやはり眠気がひどい。締切までまだ焦る必要もない、少し仮眠をとるか。 薄暗い部屋で目を覚ます。机で寝ていたから全身が痛い。仮眠のつもりだったが結局夜を越していたのか。伸びをしようと腕を上げる。 おかしい。腕が動かせない。 まだ完全に起きていない目で手元を見る。腕と足が、ボロボロのロープで木椅子にがんじがらめに縛られていた。部屋も見慣れた自室ではなく、コンクリートの無機質な部屋だった。 どうにかロープをほどこうともがいていると、軋んだ扉の音とともに男が部屋に入ってきた。 「久しいな…絵で成功したんだって?神絵師さん」 その声には聞き覚えがあった。記憶が鮮明に蘇る。数年前、暗い裏路地であの腕を貰ったあの時の記憶が。 「どうだ?楽しかっただろ、沢山絵を描けて反応も貰って。今やお前は知らぬ者がいないほどの神絵師だ。」 「あ、はい、お陰様で…そんな風に言われるなんて嬉し…」 そこまで言って、急に鳥肌が立った。確かあの「腕」は失踪した過去の神絵師から回収したもの。まさか。 「ま…待ってください!僕をこんなところに攫ってきたのって…」 「随分と勘がいいな。そう、神絵師の腕は希少部位。わたしのような裏取引の者は躍起になって取り寄せたがる。なんせ神絵師になる夢を捨てきれない身の程知らずがごまんといるからな…かつてのお前のように。 どうだ、金も栄誉もたんまり得たんだ。その『腕』も使い古してきた頃だろう?」 男の手に刃物が光った。