【短編】神絵師の腕

「ほいよ…こいつが目当ての品だ」 ドサッと乱雑に置かれた「それ」は、薄汚い灰色のボロ切れに抱かれるように包まれていた。漂ってくる若干の腐敗臭と布に付着した赤黒いシミが異様さを醸し出している。 「見て驚くなよ」 目の前の不潔な男の声で、僕は唾を飲んだ。 そもそもこの路地裏の奥の暗い部屋に案内されたのは、「神絵師になりたい」という僕の願いを行きつけの喫茶店にいたこの怪しい男に打ち明けたからだ。この犯罪臭のする布切れの中に本当に神絵師になれるなにかが入っているのだろうか。 中身を覗き、僕は戦慄した。 腕。二の腕から指先までの、大人ほどのすらりとした腕。生気のないその肌は不気味だったがどこか妖しい美しさを秘めていた。 「希少部位…『神絵師の腕』だ。個体数と回収方法が厄介で滅多に出回らない。一部のコレクターやお前のような夢を追う者が文字通り喉から手が出るほど渇望している代物だ。」 話を聞くに、これの持ち主はいわゆる神絵師だったそうだ。定期的に美しいイラストをSNSに投稿していたが、ある日を境にぷっつりと投稿を途切れさせ──失踪してしまったとか。 そんな人の腕を取ってきてどうする?腕がひとりでに絵を描いたりでもするのか?
( '-')@クソ体調不良
( '-')@クソ体調不良
ただの学生です。 投稿頻度や投稿内容は詳しく決めておりませんが、インスピレーションが湧いてきたらここに垂れ流すようにするつもりです。 カスの文章力と深夜テンションでタイピングしておりますのでお手柔らかに。