山茶華

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山茶華

こんにちは。山茶華です。山茶花ではなく、山茶華です。さざんかです。 まあ、不定期更新で、でも適度に小説を投稿していこうかなと考えております。はい。 ここで言うのもあれなんですけど、活動場所が多々ありまして。 ・scratch ・netroom ・misskeyインスタンス諸々 ・猫ドラ(猫とドラゴンというwebゲームですね) とまあ、こんな感じです。 なんせ学タブ勢なもんで、占ツク、すしすきー、dotch、人狼online、ポチッと農園でもかつて活動していたのですけど、すべて忌々しい連合どもがブロックしやがったので。 くたばれPTA。 闇骨牌の第壱句公開して最後が「続く」になってるんですけど、後で全部fullにしますので心の消しゴムで消しといてください('Д')

タイムリープ

「お、ラッキー!ハンカチ落ちてんじゃーん!」 俺は手を洗ってからハンカチが無くて困っていたが、誰かのハンカチが落ちていたのでそれを拝借することにした。 「これ、誰のハンカチだろ…………お、なんか書いてる。どれどれ…………」 そのハンカチに書かれている名前らしき文字を見ると、恐らく苗字の一文字目であろう「落」という文字だけが書かれており、その先は点がたくさん書かれたように途切れていた。 俺は周囲も認めるほど極度のめんどくさがりだ。 届けるのが面倒だったから「まあ後でいいよな」と思い、そのハンカチをポケットに突っ込み、そのまま持ち主を探すのを忘れてしまった。 手が少しベタベタするなあと思ったため、俺はトイレで手を洗った。 濡れた手を拭こうと、ポケットに突っ込んでいたハンカチのことを思い出し、俺はポケットに手を突っ込んだ。 …………ハンカチが無い。 どこかで落としてしまったようだ。だが、探すのも面倒だったのでそのままトイレを出ようとした。だが、足元に落ちているものに気が付き、俺は足を止めた。

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雨漏りのティータイム 1杯目

季節は梅雨。 今日の天気は、大降りでも小降りでもない、加減の良い雨であった。 「ただいまー」 いつもの様に玄関を上がり。 「あら、すすきちゃん。おかえりなさい」 叔母の声を尻目に廊下を通り。 「っふぅ…………」 階段を上がって自分の部屋につき、一息つく。 すすきには、両親がいない。 父親はすすきがものごころがつく前に病死した。 母親に関しては顔も知らない。消息も分からない。 今は叔母の家でお世話になっている。 すすきは、誰よりも、母親の事を知りたいと思っていた。  ベッドに寝転がり、いつもの様にスマホで世界の流れを、特に意味があるわけでもなくひたすら眺める。 不意に、メールが届いた。 メッセージを開くと、送信主は幼馴染の未海からであった。 〔土曜日さー、廃館に肝試しいこーよ!午後3時にいつもの信号で待ち合わせね!〕 肝試しとはいかにも未海らしい、とすすきはしみじみ思う。  すすきの町には、大きな洋館がある。庭も草木が生い茂り、洋館自体もかなりぼろぼろである。今は梅雨、つまり雨が降っているため、今あの館に入ればびしょびしょになるか、あるいは滑って泥まみれになるかの二択だろう。 だが、前から洋館は気になっていたため、すすきは行くことにした。 --- 「お待たせ」 「おー!来た来た!」 未海はすすきの声に気が付き、手をぶんぶん振っている。 「それじゃあ洋館行こうか」 「そーだね!」 待ち合わせ場所である交差点から目的地の洋館までは、そう遠くない。 3分くらい歩き、二人は洋館に着いた。 「こうして改めて正面から見たらでっかいねー…」 未海はため息をつくように、感嘆の声を漏らした。 二人は門をそっと開け、敷地に入っていく。 庭に生え放題の雑草たちは、高校生二人の身長をも優に超えており、どれだけの期間この土地が放棄されていたかが伺える。  館の大きな玄関扉を開いて、中に入ると、広い廊下が現れた。敷かれた絨毯はぼろぼろで汚れきっており、ほとんど原形をとどめていない。 「やっぱり何年も放置されてたら汚いね…………」 「ねえ見て、この鏡だけめっちゃ綺麗だよ」 未海が指差すその立派な鏡は、言う通り不自然なまでに綺麗であった。 すすきは、その鏡に触れてみる。埃一つ付いていない。 こんなに中が汚いのに、鏡だけが、まるで誰かが先ほどまで磨いていたかもしれないと思うほどに綺麗であった。 「不気味…………」 そう、すすきがつぶやいた瞬間。 鏡に映っていた自分の姿がゆがみ、渦を巻き始めた。 未海は「え⁈」と声をあげ、後退る。 すすきは咄嗟に逃げようとしたが、遅かった。 文字通り、渦に飲み込まれていったのだ。

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雨漏りのティータイム 1杯目

闇雷京、曼珠沙華骨牌、第壱句。

「ほんと、勘弁しろよお天道様さぁ……」  夏のある日。 「雲の一個や二個くらい置いとけっての…………」  高めの位置で煌びやかな金髪をサイドポニテにした少女が、夏空に愚痴を吐いた。 横には同じような金髪をこれまた高めの位置でツインテールにした少女が並んで歩いている。 「なんか、ここまで晴れてたら…………嫌なことが起こりそうだよねぇ…」 ツインテールの少女がポツリと呟く。  二人は双子の姉妹。ポニテが滝紅 茉鈴、ツインテが滝紅 華鈴。 高校からの帰り路である。本日は授業が早く終わり、早々に帰宅出来て二人とも心が躍っている。 この夏の暑すぎる日差しを除いて。 「早く家帰っちゃおうか…………あっつい…………」 その時。 茉鈴の横髪に付けていた、母親の形見である大切な髪飾りがするりと、抜けていった。 「…………は?」 「お姉ちゃん!あそこ!」 華鈴がそう言って差す人差し指の先には、毛先が紫に染まった、黒髪おかっぱの少女が立っていた。 その少女の手には、茉鈴の髪飾り。少女はにっと笑って、路地裏へ走っていく。 「…………待ちなよこらぁぁぁぁぁ!」 「ああああお姉ちゃん⁈」 走り出した茉鈴に続いて、華鈴が追っていく。 少女をひたすら追い、路地裏を右へ左へくねくね曲がって、帰り路も分からなくなったあたりか。 少女が眼前から、唐突に消えた。 髪飾りを残して。 「何だったのあの子…………」 茉鈴は髪飾りを拾い、そう呟く。 その時、華鈴は奥から得体の知れない何かの禍々しい雰囲気が、空気を伝って伝わってくるのを感じた。 「…………何かある…………」 華鈴は、気配のする方へ近づいていく。 ……………………すると突然、不思議な形をしたオブジェが現れた。 「…………っ⁈なにこれいきなり…………」 紫色…………否、闇のような色をした、奇妙なひし形のタイルがびっしり並んでいた。 こつんと、華鈴の足に何かが当たった。ひし形のタイルであった。 オブジェをよく見ると、一つ欠けている。華鈴はタイルを拾い、はめようか迷ってしまった。 …………それを感づいたかのように、不気味な声がこだまし始めた。 「ソレヲ…………ハメテ…………」 「クルシイヨ…………ハヤク…………」 「ハメテ…………ハメテ…………」 「…………っ」 華鈴は少しためらったが、このままだと殺されてしまいそうな気がし、タイルをはめた。すると、こだましていた不気味な声達は一斉に笑い声に変わった。  異常を察した茉鈴は、華鈴のもとへ駆け寄り腕をつかむやいなや 「逃げるよっ華鈴!」 と言って、無我夢中に走り出した。 ようやく路地裏から抜けると、二人は立ち止まって後ろを見た。オブジェがあったと思われる場所から、闇色の霧が勢いよく上がっているのが伺えた。 それと同時に青空が鉛色に染まり始める。街を行きかう人々は黒色の化物になっていく。 「何、これ…………何が起こってるのさ…………」 茉鈴は変わりすぎる町の光景を目にして絶句する。 建物の窓ガラスは割れていき、雑草が勝手に伸びていく。アスファルトの地面はひび割れていき、空を飛んでいた鳥たちは朽ちて消えていく。 まるでそれは、町全体が死んでいくようだった。  気づくと化物たちは、二人を囲んでいた。 「囲まれてる…………何こいつら…………」 逃げることができればいいのだが、逃がすほど化物たちも馬鹿ではないだろう。華鈴は顔を歪める。 「ちっ……ここで死ねってことか……」 不意に、化物が一体襲い掛かる。 二人は死を覚悟して目を閉じた。 …………その時、化物が突如、横に吹っ飛んだ。 眼を開くと、そこには白髪の女性が立っていた。女性は次々と化物を文字通りなぎ倒していく。 数秒の事だった。 「ふぅ…………これで全部かな」 「あの…………名前は何ですか…………?」 茉鈴は恐る恐る女性に名前を尋ねた。命の恩人なのだから名前くらいは知っておこうという考えである。 「あ、私?まず名前を聞くタイプなんだね」 女性は苦笑している。茉鈴は助けてもらったことに対してお礼を言っていないことに気が付いた。 「あっ、すいません、助けてくれてありがとうございます」 「いやいいのいいの。助けるように指示されただけだから。んで、名前を名乗らないとね。」 女性は「えーっとね…」と呟き、少し間を空けた後、 「私の名前は、彼岸桜だよ」 と言った。 まさかの苗字無し。二人は少し驚く。深追いはしないでおいた。 「さーて、君たち二人はこれから私達の…………隠れ家じゃないな…………拠点だな…………拠点に来てもらいまーす」 華鈴は彼岸桜がどうして隠れ家か拠点かで迷ったのを不思議に思って首を傾げた。茉鈴は迷っていた理由が分かって首をすくめた。 「あーあー聞こえるかーこちら彼岸桜―」 〔ばっちり聞こえるぞーい、それじゃあこっちにテレポートして来てー〕 「了解ー」 彼岸桜は耳に付けていた近未来風の片耳ヘッドフォンから手を放し、アスファルトの地面に手を付けた。 すると、地面にはブラックホールのようなものが浮かび上がった。 「はーいじゃあこれに入ってー」 「…………死んだりはしません、よね」 「何、まさか助けてから殺すようなことすると思ってるの」 彼岸桜に間髪入れず突っ込まれた茉鈴は、恐る恐るブラックホール(テレポーター)に足を突っ込む。 なんとなく気持ち悪い。 入りきるのを渋っていると、彼岸桜が背中を押した。 「っ⁈のわぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」 「はよ入らないからだよ」 「あの、私もこれ入らないと駄目ですか」 「当たり前でしょ、ほらほらほら」 「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」 悲鳴を上げて入っていった茉鈴に続き、華鈴が叫びながら入っていく。 それに続いて彼岸桜が飛び込むと、ブラックホール(テレポーター)が閉まっていった。 続く。

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闇雷京、曼珠沙華骨牌、第壱句。