如月 織兎
74 件の小説メダカの恩返し 第0話「森のメダカ屋」
6時丁度に和室の小さな部屋でアラームが鳴り響いた。アラームを止め、背伸びをして起き上がる。布団の前に置いておいたジャージを着て、腕にブレスレットを付けた。魚の形をしたブレスレットを少し撫でてから部屋を出た。部屋を出て一階に降りる。玄関から出ると、池の前で、詩乃沙さんが、メダカに餌やりをしていた。 「おはようございます、詩乃沙さん。」 「おはよう、亜由ちゃん。今日もランニングしに行くの?」 私は、うなづいた。 「毎日走っているよね。」 「前に、朝のランニングは大切だって言われたので。」 「体力もうちの中で一番なんじゃない。」 「詩乃沙さんだって、体力あるじゃないですか。」 「まぁね。」 詩乃沙さんは、そう言いながら立ち上がった。 「さてと、朝ごはんつくろうかな。亜由ちゃんは、走ってきな。」 私は、頷き走り出した。私は家の前の門を通り越した。 私の家であり、仕事場。『森のメダカ屋』今日も、いつものように、困っているお客がやってくる。
夢見図書館 第1章「図書館」②
「何処いったんだよ、あの不審者。」 それにしてもこの図書館広すぎる。どんだけ本あるんだよ。収納してある本を見ても見た事ない題名ばかりだ。 「メルヘンな世界」、「好きな人と両思いの世界」、「嫌いな人がいない世界」。どれも「世界」がつく本ばかりだ。だけど歩いていくと沢山の本棚に空いているスペースが見えた。図書館でこんなに間が空いているなんて。 「どうかしましたか。」 声が聞こえてきた。だけど、あの不審者とは違う声だ。振り返ると低くポニーテールをした黒髪で毛先が赤い高身長の不審者と同じ様な格好をした女性が立っていた。 「すみません、迷ってしまって。」 彼女は、少し黙ってから問いかけた。 「貴方、生きてますよね?」 「・・はい」 おかしな事を聞く人だな。 「生きているお客様久しぶりです。」 彼女は私が珍しいものの様に見つめてきた。 「すみません、変な目で見てしまって。」 「いえ、大丈夫です。」 「お客様なら、きっと階段にいけばと思います。」 彼女は、指を奥の方に刺しながら言った。 「ありがとうございます。えっと、」 私は、彼女の胸元についている名札を見た。そこには、「雨北」と書いてある。 「雨北さん」 「とんでもございません。司書としての役割ですから。」 彼女は、少し笑った様に感じた。 「では、これで」 彼女は、静かな足音で逆方向に進んで行った。
夢見図書館第1章「図書館」①
あれから何時間経ったのだろう。水溜まりの中に引きずられ気を失った。目が覚めて辺りを見渡した。周りには本棚がずらりと並んでいる。ふらつく体をゆっくりと上げて、起き上がった。風の音と水の水滴の様な音が聞こえてくる。 「ここは何処なの?」 と空気に問いかけてみた。 「此処は私の図書館だよ。」 聞き覚えのある声が聞こえてきた。さっき水溜まりの近くで聞いた声と同じだ。 「貴方は、何処にいるの?」 「此処にいるよ。君の目の前」 私は左右に動かしていた首をいつもの向きを戻した。「わあ」 私は、驚いた。目の前には、黒髪のポニーテールに沢山の黒のリボンをつけた女性がちょこんと膝立ちしている。白いシャツに黒のネクタイをし、長めの黒いロングスカートをはいている。そして手には、雪の様に白い手袋を付けている。 「まさか、さっきの化物」 「こらこら、化物なんて失礼だな」 いや化物でしょ。水中から人が出てくるなんておかしすぎる。 「驚いているねー」 化物は、面白げに笑った。何が面白いのやら。 「私の名前は、夢下。君のお名前は。」 「不審者に言いたくなんかありません。」 「勝手に不審者扱いしてくるのはそっちじゃん。」 そう言われてなんだか負けた様に感じた。 「・・・由良です。」 「由良ちゃん・・か。」 いきなりちゃん付けかよと思ったが、ぐっと心の中にしまった。 「で、君の願いはなんだっけ?」 「願い?」。 「うんっ」 と夢下さん(不審者)は、頷いた。 「ほら、さっき水溜まりに話しかけてた奴。」 「・・いじめがなければ良かった。」 「それそれ」 夢下さんは、私に向けて人差し指を指した。 「叶えてあげよっか?」 優しい声で尋ねた。恐る恐る、 「叶うんですか」 と聞いてみた。 「うん」 彼女は、頷いた。 「だけど、現実じゃないよ。」 「どうゆう事だよ。」 私は尋ねた。 「いわゆるお試し体験みたいなものだよ。」 「はぁ?」 意味がわからない。 「まぁ、試すのが早いね。」 彼女は、立ち上がり私の前に手を伸ばした。 「良いです。」 私は、自分の力で立ち上がった。少しぶらついたが、なんとか立てた。 「そういえば、気がついてから全然立てなかったんですけど、何したんですか。」 「えっとね」 彼女は考えてから言った。 「麻酔」 と彼女は、何もなかったかの様に言った。そういえば、引きづられている時、刺された様に感じたからそういう事か。 「最低・・」 「君が抵抗してきたんじゃんか。」 何も言い返す事ができなかった。 「まぁまぁ速くこっちこっち。」 彼女は本棚の端の部分の隣を静かに通っていった。正直不審者についていくのは危ない。けど、何故かついていきたいという本心がある。 「待ってください。」 私は、早歩きで彼女を追っかけた。
夢見図書館 第〇章「始まり」
高校の帰り道。昨日の雨でぐちゃぐちゃになったコンクリートを見つめていた。鞄の重さなんて忘れ見つめていた。自分でもなんで見つめていたのかなんて覚えていない。だけど、その小さな水たまりが少し寂しく感じた。 「いじめがなければ良かった。」 気づいた時にはそうつぶやしていた。水溜まりに話しかけるなんて恥ずかしい。 「じゃあ、そんな世界にしてあげようか」 そんな声があたりに響いたように感じた。あたりを見渡しても誰も見えない。足が震えたように感じた。体に残っていた少しの勇気で、立ち上がった。素早く立ち上がった。くるりと方向転換をし、足のアクセルを回した。が、少し遅かった。 ガッと足を強く掴まれたように感じた。恐る恐る振り返ると、雪の様に白い手袋を付けた人間なのか、人間じゃないのか分からない黒い物体が水溜まりから頭を出している。足を掴まれたのと同時に、顔から転んだ。 「助け・・・て・・・」 私は、手で硬くて硬くて硬すぎるコンクリートを引っ掻いた。だけど、残るのは白い蛇のような跡だけ。私は誰に助けを求めているのだろう。周りには誰もいないのに。もう体力の限界が来ている。足のほとんどは、どこに繋がっているのかも分からない水溜まりの中水の冷たい感覚が足に伝わる。冷たいのと同時に痛みも感じる。さっきの化物に噛まれたのか体の力がどんどん減っていく様に感じた。やばい死ぬのかも、そんな事を考えてしまう。寂しくて、寂しい。きっと、あの子もそう感じたのかもしれない。誰にも見守られずに消えていった。きっと、死んだらあの子に会えるよね。強くもがいていた手を止めた。体はどんどん動かなくなり、いつの間にか全身が水の中だった。
思いっきり泣く
私は、小さい頃から泣き虫だった。 少し悲しかったことで泣いてしまう。 「こんなことで泣いたら、強くなれないよ。」 小学生の頃によく先生に言われた言葉だ。 別に強くなりたいわけじゃ無い。 ただ、自然に涙が出てしまう。 私は、その日から泣かないようにした。 中学生になった頃には、泣かない様になっていた。 大人になると泣かないようになるとは言うが、 大人に近づくのは、怖く感じた。 ある日、あるアニメを見ている時に、1人のキャラクターが言った。 思いっきり泣くのが大事。 そのような言葉が胸にささったのを覚えている。 私は、その日から泣きたい時は泣こう。 そう心に決めた。
ファミレス
⚠️めっちゃ、下手だしごちゃごちゃしています。見たく無い方は、見ないで良いです。 「お腹すいたなー」 僕は、そう思った。とりあえず何か食べたい。そう思い目の前にあった店に入る事にした。『ファミレス・バナナ』そう看板に書かれていた。小さな駐車場には、車が全然止まっていなかった。 カランとドアを開けた瞬間になった。 「ヘイいらっしゃい。」 1人の女の店員がそう言った。 「すみません、此処は寿司屋か何かですか?」 「いえ、ファミレスです。二名様ですね。」 僕は後ろを見た。そこには誰もいない。 「いえ、一名です。」 「えっ、後ろの方はお連れの方じゃ無いのですか。」 僕はもう一度後ろを見た。やっぱり誰もいない。 「えっ、怖い怖い怖い。」 「お好きな席にどうそ。」 彼女は、奥に進んで行った。 「えっ、勝手に話進めんといて。」 僕は、席に座った。 「メニューをどうぞ。」 「あっ、ありがとうございます。」 メニューの中身を見た。 「あの、すみません。」 「はいっ。」 「メニューにハンバーグしか書いてないんですけど…」 メニューにはでっかい文字でハンバーグと書かれていた。 「ああ、うちの店はハンバーグだけです。」 「ハンバーグオンリー!?」 「はいっ。」 「わかりました、じゃあハンバーグください。」 「はい、少々お待ちください。」 彼女は去っていった。ていうか、ハンバーグしかないんだったらメニュー要らなくないか? 「お待たせしました。」 「早っ!」 「こちらハンバーグです。」 その瞬間、彼女は足を滑らせて転んだ。 「ああ、すみません。大丈夫ですか。」 「はい」 「すみません、すぐにお持ちします。」 その後彼女は2秒後にやってきた。 「お待たせしました。」 前に出されたのは、普通のハンバーグだった。 「いただきます」 僕は震える手で一口食べた。 「うん、美味しい。」 ハンバーグは、とても美味しかった。 ◯ 「はあ、美味しかった。またこよっと。」 僕は、席を立ちレジに向かった。 「すみません、お会計お願いします。」 「はーい。」 「えっと、ハンバーグ一つで10万円になります。」 「いやっ、たっか!!」 「最近何でも値上がりしているんで。」 「いや、値上がりでこうは、ならんて」 「あっ、もう1人の方。」 「まだ、やってるんですか。」 「えぇ、この人の分払うって!!」 えっ嘘だろ。すると、宙を舞う十万円が店員の手の上に乗った。 「ありがとう。」 僕は見えない人物に礼を言った。 「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」 「いやもう来るかー!」 僕は、店を出た。
夕日に向かって走り出した
夏が終わり、夕方が涼しくなってきた頃の事。一週間後に体育祭を控えていた。私は、どちらかというと運動が苦手で、放課後にある練習が嫌で嫌で仕方がなかった。みんなは、勝つ気満々で練習で挑んでいる。だけど、私はそれに着いていくことが出来ずにいた。 ◯ ある日の放課後。その日は練習が無かった為久しぶりに友達と遊びに公園に行った。その日の帰り道のことだ。時計を気にしずに遊んでいたので気づけば、お帰りチャイムがなってから10分経っていた。公園を出てから前にある道を進んで行った。私と友達以外に子供の姿は見えなかった。友達の帰り道は私とは反対だったが、少し送るという事で自転車を引きながらついてきてくれた。秋は、暗くなるのが早く、夏にこの時間は余裕で遊んでいたのが疑う程だ。友達は、隣で鼻歌を口ずさんでいる。目の前に、赤のポストが見え始めた。 「ここまでで良いよ。」 友達は、コクリと頷き立ち止まった。 「じゃあね、また明日。」 真っ赤な子供のような顔をしながら、私に向かって、思いっきり手を振った。「うんっ」私も、歩きながら彼女の方を向き手を振った。 ◯ 私の家は、公園から10分程離れた場所にある。だが、いつも通らない道を通っていると、時間の流れが遅く感じることが多くある。それに加えて、1人だったので、ちょっとした風の音にも、体を震わせられる。私は、立ち止まり空を見上げた。夕日が沈もうとしていて、その近くは赤くなっている。そして、赤から薄い水色へグラデーションになっている。今日は、朝から雲一つ無い空だったので水色の範囲が広く、いつもより空が大きく見える。私は、前を向き走り出した。目の前にある夕日をどうにか取ろうと必死になって走る。そんなことができないことは分かっている。だけど、何故だかその光を手のひらに当ててみたいと感じた。あゝ、体育祭で勝ちに行こうとする気持ちはこんな感じなんだ。私は、夕日に手をかざした。手からこぼれる光も両手で取ろうとした。 「よしっ」 私は、また歩き出した。練習を頑張ろう。辛くても、苦しくても。勝ちという、夕日を掴む為に。
桜が散った
道を歩いていた。 空は、晴れていて桜が満開だった。 桜の花びらは、雪吹雪のように1秒ごとに散っていく。 ピンク色の優しい色。 それを見ていると何故だかわからないが、君を思い出す。 小学生がよく被る黄色の帽子を被り、自分と同じくらいの背を並べて一緒に歩いた。 小学生のあの日を最後に君に会っていない。 花のように満開の笑顔をよく君は見せた。 だけど、もう君には会えないのだろう。 君と見た景色も、今となっては1人でしか見ることができない。 私の中で、君は桜のように散っていった。
放課後の教室
放課後、窓を閉めていた。 日直の仕事の一つだ。 正直に言って面倒くさいと思った。 だけど、やらないとやり直しになってしまう。 このおかしなルールは何の為にあるのだろう。 先生は、 「大人になったら役にたつから」 というけれど、まだ子供の私達には役にたつ理由がよくわからない。 窓の外で他の生徒は下校している。 友達とじゃれていたり、 1人でさっさと帰っていたりと みんなそれぞれ帰える方向も、帰り方も違う。 「Bー、まだ?」 友達のCが不満そうに待っていた。 早く帰りたそうに、教室のドアの近くで待っていた。 「別に、早く帰りたいなら先に帰って良いんだよ。」 自分の為にこんなにも待たれると、少し相手が心配になってしまう。 「いやー、Bと一緒に帰りたいからな。」 私は、窓を全部閉めると、机に置いておいたカバンを急いで持ってCの方に行った。その時には、もう他の生徒の姿は見えなくなっていた。
シルバーウィーク
暇だから、ダラダラします。 クラスメイトは、映画を見るとか約束している。 僕は、約束しても 裏切られそうです。 期待して損するのが僕なんで。 ゲームしてもいいな。 すぐに飽きるだろうけど。 アニメ見ても良いな。 選ぶのに時間が掛かりそう。 はー、何しよう。 なんもすることないから なんか想像しとこっかな。 好きな子とのデートとか。