ベビラビ

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ベビラビ

自分が経験したことから物語を書いてます。

恋の提出期限はいつですか?! 3話

ある日の家庭科の授業。この日は家庭科室できゅうりを切る実践授業のため授業前からみんな家庭科室に集まり授業の準備をしていた。私は家庭科室に入るやいなや真っ先に黒板に向かい自分の班の席が書かれている図を見た。私の班座席は右後ろと確認し、その席へと向かおうとしたがやっぱり颯の席が気になり、私は颯の班の席を探した。するとなんと彼の班座席は私の班座席のとなりだった。わたしは逸る気持ちを抑えながら自分の席に座った。そして間もなく授業が始まった。最初は先生が見本を見せてそれに従いながら生徒が各班で1人ずつきゅうりを切るという手順だ。班の子たちが次々と交代交代できゅうりを切っていく。そしてついに私の順番がきた。私はまな板の上にきゅうりを置き、包丁を持ち、輪切りにし始めた。元々家でも料理をしていたためこのくらいなら朝飯前だ。私が残り半分というところまで切っていたタイミングで「お前下手だな〜笑笑」と後ろから声がした。私はその声に驚き後ろを振り返るとそこには颯がいた。私は鼓動が高鳴るのを必死に抑え「颯?!なに?そんな切り方下手?普通じゃない?」と平然を装い彼と話し始めた。「大きさバラバラじゃね?」「うるさい!別に颯に関係ないでしょ」話しかけてくれたことが嬉しかったのに私は素直になれずに颯に強く返答してしまいすごく後悔した。結局、この日はこれ以上彼と話をせずに終わった。 そしてある日のお昼休み。颯のことがもっと好きになるきっかけとなるできごとが起こった。この日は学校に上履きの業者が来て、新品の上履きを売りに来ていた。私はその時履いていた上履きが少し小さかったため、お母さんが渡してくれたお金を持って販売所まで行き、上履き業者から上履きを購入した。そしてその上履きを持って教室に入ると、待ってくれていた果南と颯の2人だけが教室にいた。私が教室に入るやいなや果南は行っていた作業の手を止めて私の方へ駆け寄った。「おかえり〜!買えてよかった!」「待っててくれてありがとう!それと…靴紐結ぶの手伝って(泣)」私たちは席に座り、机に新品の上履きを置いてまだ紐が穴に通っていない靴を前に悪戦苦闘していた。すると颯が自分の席から立ち、私の席に来た。「お前靴紐すら上手く結べねぇーの?」と余計な一言を放ったと思えば「貸せ」と一言言い、その言葉通りに私は颯に上履きを渡した。すると颯はその上履きを自分の席へ持っていき、上履きを机の上に置き、紐に穴を通し始めた。その一生懸命靴紐を穴に通す横顔は少女漫画に出てくるような男子そのものだった。少し経つと彼はまた私の席にきて、「ぴったりフィットするかわからないから1回履いて」といい、彼はしゃがみ、椅子に座っている私に上履きを履かせてぴったりフィットするように靴紐を調節し、リボン結びにしてくれた。その瞬間、おこがましいが自分がシンデレラになったかのような優越感に浸ると同時に心臓の鼓動が早まりどうにかなりそうだった。「できた!」という声と同時に颯は顔を上げて私を見て微笑んだ。私は緊張して強ばってしまい「ありがと…」と照れくさく言うことしか出来なかった。

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恋の提出期限はいつですか?! 3話

恋の提出期限はいつですか?! 2話

授業のおわりを知らせるチャイムが鳴った。クラスではもっぱら席替えの話で持ちきりだ。誰と隣になったか誰と同じ班になったか、はたまた〇〇と離れて悲しいだとか色んな声が聞こえてくる。 そんなクラスの光景を眺めながら私は颯と少しでも近くの席になれたことに夢見心地だ。頭の中ではこの感情を表してくれているかのような幸せな音楽が鳴り響いている。 そんなことを考えているうちに次の授業の始まりを知らせるチャイムが鳴った。次の授業は国語。移動教室でもグループになって意見を出し合う授業でもないため席はこのまま。いつもは憂鬱な授業の時間もこの日ばかりは身が入る。だけど気になるのは颯の姿。私は椅子を少し引き、背中を仰け反るようにして颯の方をみた。すると颯は椅子を斜めにしロッカーの方へと傾け、片手をロッカーに置きながら授業を聞いていた。次の瞬間、颯は私の視線に気づいたのかこっちを見て、彼と目が合ってしまった。私は心臓の鼓動が早まり抑えられなくなった。いつも遠くから見つめることしか出来なくて目を合わせることなんて以ての外だと考えていた私にとってはとても嬉しい記憶だ。その日はその後も颯と何度も目が合った。もちろん偶然ではなく私が見つめていたからその視線に気づいてだけだと思う。だけどそれでも私は颯と目が合うだけで幸せだった。それから彼とは毎日のように目が合った。むしろ目が合うのが当たり前のような感覚になっていって学校に行く足取りも軽くなった。ここから幸せな学校生活が始まる。

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恋の提出期限はいつですか?! 2話

恋の提出期限はいつですか?!1話

中学2年生の秋。「今日は席替えをします」という先生の声とともに教室から歓声が起こった。私のクラスの席替えは毎回担任の先生が決めて端からこの席は〇〇と名前を呼ぶ形式だった。みんな誰と隣になるか誰と同じ班になるか予想しながら期待に胸を踊らせていた。私もその1人だ。なぜなら私にはクラスに好きな人がいるから。私の好きな人それは学校1のモテ男 颯。同学年の女子の半数が1度彼を好きになったと言っても過言ではない。そして彼の歴代の彼女は全員アイドル並みにかわいくて私なんて平凡な女は出る幕もなく…遠くから見てるだけで幸せだ、それでいいのだと何度も心に念じた。 席替えが始まり、先生が順番に名前を呼んでいった。緊張が走る。私は「彼と席替え隣になれますように」と何度も念じた。先生が順番に生徒たちの名前を呼んでいく。そして颯の名前が呼ばれた。それから一向に私の名前は呼ばれなかった。「はぁおわった…」私は心の中で呟いた。友だちにこの表情から悟られたくなくて頑張ってポーカーフェイスを演じ、それと同時に私は先生の声がうわの空になり、現実逃避をしようとした。すると少し経って友だちの果南が私の肩をとんとんと叩いた。「ねぇ移動しないの?おーい、聞いてるの?」 私はその瞬間目をかっぴらいて立ち上がった。「あ!席替え!私の席どこ?」 果南は呆れた顔をしながらも席の場所を指を指して教えてくれた。「もかの席はあそこ!あの1番後ろの左から4番目の席」私の席を教えてすぐ果南は自分の机と椅子を持ち、新しい席に移動した。 私は「ありがとう」と果南の方向に向かって言い、自分の机と椅子を持って果南が教えてくれた席の場所へと向かった。すると奇跡が起きた。なんと颯は1番後ろの席の左から2番目だったのだ。班も隣の席でもないがずっと遠くから見つめるしかできなかった存在の彼とこんなに近い距離は初めてだったため私の心の中は歓喜に満ち溢れた。 この席が彼と私の始まりだとはこの時知るよしもなかった。

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恋の提出期限はいつですか?!1話