早瀬 柚真
10 件の小説Boyfriend
僕には彼氏がいる。 一目惚れで、何が何でも手に入れたかったんだ。 同棲も始めて毎日が幸せだった。 でも最近 彼が 僕に対して冷たくなった。 いつも 声を掛けるとビクッと肩を跳ねさせてから顬に青筋を浮かばせて返事をする。 僕、何かしちゃったのかな、、 次の日 僕は大学の同期を家に招き、宅飲みをしようと思い付いた。 同期達をリビングへと案内すると ソファーに寝そべっている彼の姿があった。 「なんだぁ、ヒョン。今日は早く帰ってたんですね。」 と彼の頬に手を這わして軽く撫でた。 「。。。。。」 こんなにも優しく声を掛けてあげたのに返事もないの? まぁ寝てるからしょうがないか。 「おい、、、、お前、、」 同期の1人が目を潤ませて僕に言った。 「何?っあぁ、そう言えば、彼氏いるの言ってなかったよね笑この人僕の彼氏。最近、僕に冷たいけど愛し合ってるからさぁ、今度彼が起きてる時にまた紹介させてよ。」 そう言ってから僕は彼を部屋に運び、ベッドに寝かせておいた。 ツマミを作ってやろうとキッチンに立ち包丁を探していると 「ごめん、俺 今日 嫁さん待たしてるから帰るわ。」 同期のもう一人が声を震わせながら廊下へ歩き出すもんだから慌てて 包丁を手にしたまま引き止めようとした。 「ちょっとくらいくつろいでいってよ。あと少しだからさ、」 「あっ、いや、」 何でそんなに泣きそうな顔するのかな、 そう言えば、さっきからパトカーのサイレンうるさいな。。。 何か事件でもあったのかな?
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彼らに出会ったのは小学4年生の頃。 ダンスのイベントで自分の出番を舞台袖で待っていた時。 僕の前にいた韓国人の7人のかっこいいお兄さん達が踊っていた曲 「We are bulletproof Pt.2」を耳にした。 「何だこのかっこいい曲。誰の曲だろ、」 その日から僕はその曲が誰の作品なのか調べまくった。 その間にも沢山のアーティストに出会った。 その曲を聴いてから数年、中学3年生の頃 僕はBecky Gというラテンのラッパーにのめり込んでいた。 彼女のスタイルはスペイン語と英語が交差する僕の両親のルーツを思い起こさせる音で 僕はすぐに虜になった。 そんな時、彼女はJ-HOPEというアーティストと曲を出していた。 「J-HOPEって誰。めちゃくちゃかっこいい。なんかこの人観てると懐かしくなる。」 元々、新しいアーティストを覚えることそのアーティストのスタイルを調べることが大好きな僕はもちろんJ-HOPEのこともすぐに調べた。 「BTSっていうグループのメンバーなんだ。BTSって何だろう。」 BTSの曲を全て古い曲順にディスコグラフィを並べ変え、ひとつひとつ聴いていった。 「この人の歌声すごい。この音は K popには出せないような気がする。U.SのHip-hopやpopがベースになっているのかな。」 2cool4skoolというアルバムに収録されていた「We are bulletproof Pt.2」 という曲を聴いたとき、 「やっとみつけたこの曲!この人達の曲だったんだ。すごいや。」 Dynamiteで世界をざわつかせた彼らは、僕が小学4年生の頃に出会った曲を作った人達だった。
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一週間だけそばにいさせてください。 夏が過ぎていくように貴方を失いたくないんです。 冷たい水をください。 うるさいかもだけど僕の声を聴いていて欲しいです。 喉が痛くなるまで鳴き続けていますから。 一週間だけそばにいてください。 僕がまた新しい命として貴方のもとへ帰るから。
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漢江に面した縦3km、横1kmほどの広さの島で韓国の国会議事堂や政府機関が置かれているほか、大手金融機関やメディアの本社が多数立地しており超高層ビル街を形成している。 流石、ソウルのマンハッタン。 八角亭の中からは森を一望できるほどに美しい景色が伺える。 「ヒョン、許して下さい。」 僕は手に持っていた白い風船を空へ飛ばした。
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ある貴族が村の娘と恋に落ち結婚の約束をした。 でも、貴族は心変わりしてしまって村の娘は心身に深い傷を負って亡くなった。 悲しんだ友人が村の娘の墓前に薄紫色の花を植えた。 翌日に花の色が白に変化し、現在も咲き続けている。 今日は君のことを想い続けて3年が経ったんだね。 まだ君をいやずっと君を愛しています。 ライラック
無題5
もう少し待って。 すぐにいくから。 めちゃくちゃにして 吹き消して 夢みたいなの。 君の顔を見ると、早すぎたのかな神様? 君の顔を見ると、どこに居たのって思う。 どこが好きなの? ゆっくり触るから、教えて。 ねぇ、僕を必要としてるんでしょ? もっといいよ、君も。 僕は君だけのもの。 触れてほしいから。 今日は長くゆっくり抱き合っていよう。
無題4
あーぁ、 またこんなに酔い潰れて。 少し苦い君の唇を指でなぞった。 あの人の所へは行かないの? 君はいつも僕に身体を預けるけど 終わったらすぐに涙を流すじゃん。 僕が泣きたいよ。 口に含んだその煙を僕の口に流し込む君を見る度に 殺したくなるくらいに君を好きになってしまう。 愛でも憎しみでもないドロりとした心で君の深くへと 入り込む。 あぁ、結局 僕も正気じゃないみたい。 あと1回くらい、、、、、 いいよね?
無題3
僕が死んでも誰も僕を憶えてくれている人は居ない。 死んでも命日だけが記憶されて命日まで僕を憶えているなんてないもの。 みんな1日を生きるのに精一杯で「今日で彼の三回忌だ」と言われてから 初めて「あの人は本当に素敵な人だった。」「あの人は本当に美しい人だった。」 って思う。その日だけは僕を弔い、僕を恋しがり、僕の好きだったもので埋め尽くす。 まるで今まで一緒に居た恋人や家族かのように。 次の日になれば燃え尽きているのにね。 ねぇ、君は僕を憶えていてくれる? 僕が死んだら泣いてくれる? そう言って僕は花道へと足を進めた。
無題2
ボワの香りに身を包み狐の鳴き色に染まった空の下で 君の唇に触れた。 アンバーの目を僕に向けて必死に熱を奪おうとする君。 声を漏らしながら僕の背中に爪を立てる君に応えるように 僕も動きを速める。 汗だくなのは夏のせいだけじゃないのかな。 鋭い歯で僕の首筋を噛んだ君。 今日は満月だ。
無題。
鉄の香りが鼻を突き少しの高揚感にひたっていた。 こんなにも心地が良い瞬間があったなんて。 冷たい目が僕を睨んでいるが、青白いその身体でみられても興奮するだけ。 僕は君が堕ちても助けたりなんかしないよ。喜んで僕の所に堕ちて来てよ。 好きなんでしょ、この痛みが。 F**k Me. って涙目が狂いそうなくらいに美しい。